筑波・富士S-FJ選手権

第6戦筑波決勝 これぞリアル「グランツーリスモ」SIMレース出身の角間光起がラスボス小村明生に競り勝ちキャリア初優勝

優勝した角間光起(ELEVレーシング10V ED)と前田大道監督

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第6戦決勝が9月17日(日)に筑波サーキット18周で開催され、今シーズン途中からスーパーFJへの参戦を開始した角間光起(ELEVレーシング10VED)がオープニングラップでポールシッターの小村明生(Fガレージ Gyrotech TKR)を仕留めると、小村のプレッシャーを跳ねのけて18周を走り切り、参戦初年度での初優勝を飾った。前田代表率いるELEVレーシングとしてもチーム結成以来初の優勝となる。

 筑波サーキットはたまに晴れ間が覗く曇りで、午前の予選の段階でも30度以上あった気温は午後2時のコースイン時点では34度、路面温度48度まで上昇し、湿度もやや高めの厳しいコンデション。予選トップタイムの武者利仁(ZAP RACorse ED)がピットレールでのスピンによりグリッド最後尾に降格となり、ポールポジションの座にはここまで筑波4戦4勝の小村が収まり、隣にはデビューイヤー3レース目でフロントロウ獲得の角間がマシンを並べた。

決勝がスタートした

 フォーメーションラップを終えた9台のマシンがグリッドに着くとレッドライトが消えてレーススタート。蹴り出しがよかったのが3番グリッドから発進の中澤凌(ZAP FOCS 10VED)で、やや出足の鈍かった角間の横をすり抜けて小村の背後へと迫り第1コーナーを目指す。しかしここから角間の加速の伸びがよく、中澤のアウト側から並んでターンイン、ここは中澤がいったん引いて3位に落ち着く。

 角間の勢いは止まらず第2コーナー出口でアウトから小村に並びかけるとS字の進入で前に出てトップを奪う。今シーズンここまで負け知らずの小村が初めてオーバーテイクを許す瞬間を観客は目撃した。その後方でも順位変動があり、5番手スタートの内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)が第1コーナーで前を行く小田部憲幸(いえらいふZAP 10VED)のインを突いてポジションを上げる、小田部5位に後退。7番手スタートの村田将揮(湘工冷熱ZAPSPEED ED)、最後尾スタートの武者もそれぞれ前からスタートの秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)と初レースの松原将也(ZAPアルミック10VED)を仕留めて順位を上げる。

 オープニングラップを終えてトップ角間と2位小村の差は0.565秒、3車身程度の差がついている、3位中澤は小村から0.396秒差と小村はむしろ中澤のプレッシャーにさらされている状況だ。2周目も角間の勢いは衰えず小村との間合いを保ち0.537秒差。武者はこの周も前を走る秋山を第1コーナーでインから差して7位に浮上する。

 3周目以降変化がなかった角間と小村のギャップだが6周目、7周目と角間がプッシュし小村を1.181秒後方へと追いやる。3位中澤は依然として小村の0.512秒後方に位置してチャンスをうかがっていて、いつもと違い小村のペースが上がらない。

 上位が膠着状態になる中で気を吐いているのが武者で、4周目に村田を仕留めて6位へ上がると8周目には小田部も攻略、5位までポジションを挽回する。9周目にはここまでのファステストラップを出して4位内藤まで0.644秒差まで迫る。

 11周目、角間は小村とのギャップを2.122秒まで拡大。対する小村は3位中澤に攻め立てられている状況で0.334秒差、中澤の方が僅かに速いラップタイムを刻んでおり、小村はディフェンシブにならざるを得ない。15周目に角間は59秒176のファステストラップを叩き出しリードは4秒まで拡がる。もはや独走と言ってよい状態だ。小村と中澤の間合いは僅か0.232秒、さらに4位内藤と5位武者も0.271秒差と一触即発の状況が随所で展開し、まず火花が散ったのは4位を争う内藤と武者。 迎えた16周目の第1ヘアピン、テール・ツー・ノーズ状態から車速を乗せた武者が内藤のインを突くが接触。武者が追突する形になり内藤のリヤに乗り上げてしまう。内藤はリヤウイングを失い一度は再スタートを切るがダンロップコーナーでコースサイドに出て停止。武者もダメージがあったかダンロップ手前で停止。両車リタイヤとなってしまった。これで4位小田部、5位村田、6位秋山、7位松原とそれぞれポジションを上げる。

 小村対中澤の2位争いは17周目の第1ヘアピンで中澤が小村をオーバーテイク、ついに決着がついたかに見えたが、これはイエローフラッグ下での追い越しということで、続く18周目に中澤がポジションを譲り、ファイナルラップの後半に再度勝負を挑んだがここは小村が守り切りってフィニッシュした。

 優勝の角間はトップに立って以来一度もミスする事なく最終的に2位に6.824秒という大差をつけてチェッカードフラッグの下をガッツポーズで通過。今年5月5日の第2戦にデビューして6位、続く5月28日の第3戦で5位、第4戦、第5戦は欠場して挑んだ3レース目で優勝を勝ち取った。ちょうど映画「グランツーリスモ」が公開中だが、実際にSIMレースの世界でe国体に出場した実力の持ち主が、リアルのレースでも通用する事を証明した1戦となった。

 2位は小村、終盤は防戦一方となる苦しい展開だったがポジションを守り切り、これで筑波S-FJシリーズについては1戦を残してチャンピオオンを確定させた。以下3位中澤、4位小田部、5位村田とZAP SPEED勢が続き、ただ1台マスターズクラスで出場の秋山が6位に入った。

 2023年JAF筑波/富士スーパーFJ選手権シリーズ地方選手権第7戦は10月7日(土)に富士スピードウェイで開催される。全国を転戦するスーパーFJジャパンリーグの最終戦でもある本大会はおそらく各地の有力選手も出場すると予想され注目だ。

優勝した角間光起(ELEVレーシング10V ED)

決勝2位の小村明生(FガレージGyrotech KTR)

決勝3位の中澤凌(ZAP FOCS 10V ED)

決勝4位の小田部憲幸(いえらいふZAP 10V ED)

決勝5位の村田将輝(湘工冷熱ZAP SPEED ED)

決勝6位でマスタークラス優勝の秋山健也(スーパーウィンズKKS・ED)

優勝した角間光起(ELEVレーシング10V ED)と前田大道監督

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE


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