2015年FIA世界耐久選手権(WEC)第6戦「富士6時間」の決勝レースが10月11日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、ポールポジションからスタートした#17Porsche Team/ポルシェ919ハイブリッド(ティモ・ベルンハルト/マーク・ウェバー/ブレンダン・ハートレイ組)が優勝、#18(ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リーブ組)が2位につけ、ポルシェが圧倒的な速さを見せつけた。
(天候:雨 コース:ウェット 観客動員数:9日6,000人/10日14,000人/11日32,000人/大会総入場者数52,000人)
公式予選日までの好天とは打って変わり、決勝日の富士は朝から小雨の降り続くあいにくのコンディション。
このため午前11時からの決勝レースはセーフティーカースタートされ、開始から約30分間は隊列を組んでの走行となった。
SCは17周めにピットイン、18周めからシグナルグリーンとなったが、この周のコカコーラコーナーでなんとポールシッターの#17ウェバーがコースアウト、大きく順位を落とすことに。続いて18デュマもセクター3で失速、相次いでアウディ勢、トヨタ勢の先行を許すことになった。
しかしストレートスピードに勝る2台のポルシェは周回を重ねるにつれて次第にペースを取り戻し、20周めには相次いでアレキサンダー・ブルツの駆る#2トヨタTS-040を抜き去ると、懸命に抵抗する中嶋一貴のトヨタ1号車も最初のピットストップを利用してかわし、一気にアウディの背後に迫って行った。
そして先行する18号車は71周終わりのストレートでついにトップを走行する#7アウディR18 e-tronクワトロを捉えてトップに浮上、そのまま後続を突き放しにかかる。
2度のコースアウトにより出遅れた17号車も75周めまで激しいドッグファイトを展開、7号車の2度めのピットインに乗じて2位に浮上した。
この辺りから雨は降ったり止んだりを繰り返しながら次第に路面コンディションは向上し、各車とも次第にペースを上げていく。
圧倒的なストレートスピードを武器に1位2位を奪い返したポルシェ勢は次々にファステストラップを塗り替えるハイペースで後続との差を広げていき、3位以下を全て周回遅れに追いやると、レース終盤にはチームオーダーを発令して17号車に先行させる余裕すら見せて6時間で216周を走破、17号車は第4戦ニュルブルクリンクから続く3連勝を1-2フィニッシュで達成した。
アウディ勢もレース終盤には日本のサーキットを知り尽くしたブノワ・トレルイエやロイック・デュバルが昨年の予選タイムをも上回るハイペースで追い上げたが、一歩及ばなかった。
また昨年の覇者トヨタ勢も序盤こそ中嶋一貴の1号車がウェバーやデュマを相手に一歩もひかないドッグファイトを展開したが、ストレートスピードの差は如何ともしがたく、トップから2周遅れの5位に終わった。
また2号車は20周めのコカコーラコーナーで18号車と接触、スピンを喫したばかりかラジエターを破損してしまい、交換作業に時間を取られて大きく後退、最後まで懸命の追い上げを見せたが6位に終わっている。
このほか、LMP2クラスは#47KCMG/オレカ05日産と残り1時間まで激しい肉弾戦を繰り広げた#26G-Driveレーシング/リジェJSP2日産(ロマン・ルシノフ/ジュリアン・キャナル/サム・バード組)が競り勝ってクラス優勝。
LMGTEプロクラスはAFコルセの#51フェラーリ458イタリア(ジャンマリア・ブルーニ/とに・ヴィランダー組)が、LMGTEアマクラスは俳優のパトリック・デンプシーがドライブする#77デンプシー・プロトンレーシングのポルシェ911RSR(パトリック・デンプシー/パトリック・ロング/マルコ・ゼーフリート組)が優勝した。
WECはこのあと戦いの舞台を中国の上海サーキットに移して第7戦を開催する。
11月1日決勝だ。
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI