2024オートバックス スーパーGT第1戦「岡山GT300kmレース」の決勝が4月14日、岡山県美作市の岡山国際サーキットで行われ、ポールポジションからスタートした36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太)が他を寄せ付けない速さでスタートから逃げ切り、見事ポール・トゥ・フィニッシュを達成した。
(観客動員数:予選日8,500人/決勝日15,500人/大会総入場者数24,000人)
第1戦決勝は午後1時30分より82周で行われた。スタート時点の気温は26℃、路面温度は39℃だ。
なお前日の予選Q1でタイム抹消となり、Q2への出走を見合わせた8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8は規定によりピットスタートとなったため、岡山県警の先導によるパレードランを終えるとそのままピットイン、若干量の給油をおこなって最後尾で戦列に加わった。
スタートでトップに立ったのはポールシッターの坪井翔(au TOM'S GR Supra)。予選2番手の関口雄飛(DENSO KOBELCO SARD GR Supra)が2位、3番手の牧野任祐(STANLEY CIVIC TYPE R-GT)が3位、大湯都史樹(KeePer CERUMO GR Supra)が4位とここまでは予選順位通りだ。
しかしその後方では予選6番手のロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH Z)が大嶋和也(ENEOS X PRIME GR Supra)に押し出される形で1コーナー立ち上がりで膨らみ、9位まで順位を落とす。
14号車の大嶋はベルトラン・バゲット(MARELLI IMPUL Z)とのバトルの末、12号車に押し出される格好でリボルバーの立ち上がりでスピン、これを避けきれなかった太田格之進(Astemo CIVIC TYPE R-GT)が14号車に追突してしまい、コース外でストップしてしまった。
またGT300クラスでも2台がアトウッドカーブで接触して1台がコースを飛び出すアクシデントが発生したため、早くも2周目からセーフティーカーが入った。
14号車はリヤフェンダーとカウルにダメージを負っており、12号車も右フロントにダメージ。このためSC中に2台はピットに戻ってきたが、12号車がガムテープでの補修でコースに復帰したのに対し、14号車はガレージで大掛かりな修復作業をすることになり、コースに戻った時には39周遅れとなっていた。なおこの接触により12号車にはドライビングスルーペナルティが課せられることになった。
7周終わりでSCはピットイン。8周目からレースは再開となる。すかさず逃げを打つ36号車の坪井の後方では39号車の関口、100号車の牧野、38号車の大湯が接近戦を展開。高星明誠(Niterra MOTUL Z)が5番手で続く。
トップの坪井は12周を終えたところで3秒628のリード。その後ろで展開されている2位争いには3号車の高星も加わってきた。
14周目のヘアピンで38号車の大湯がアウトから100号車の牧野に並びかける。押さえる牧野。すかさずリボルバーでインを狙って行く大湯。ここでも押さえる牧野。しかし18周目のアトウッドカーブで大湯は牧野にアウトから被せ、3位に浮上する。
後方ではピットスタートを選択した野尻智紀(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8)がSC導入にも助けられて着実に順位を上げていき、20周目の1コーナーで伊沢拓也(Modulo CIVIC TYPE R-GT)のインに飛び込んで10位に浮上。21周目には名取鉄平(リアライズコーポレーションADVAN Z)をも捉えて9位に浮上すると、後半を担当した松下信治も46周目に12号車を攻略して8位に浮上、見事ポイント圏内でフィニッシュしてみせた。
一方、トップの36坪井は20周終わりで9秒667。規定周回の3/1を超える28周終わりには12秒071と着実にリードを広げていった。
29周目には38号車と100号車が同時にピットに飛び込むが、ここで38号車は右フロントの交換に手間取ってしまい、100号車の先行を許してしまった。
2位の39号車は31周終わりで23号車、64号車と共にピットイン。
トップの36は32周終わりでピットイン。山下に交代する。これで暫定トップは笹原右京(Deloitte TOM'S GR Supra)に。笹原はトップの山下と比較しても遜色のないペースで53周目まで引っ張り、ようやくジュリアーノ・アレジに交代。この作戦が功を奏して37号車は予選11番手から7位でフィニッシュすることに成功している。
これでトップに返り咲いた36号車au TOM'S GR Supra(坪井翔/山下健太)は55周目に8秒213。70周目には7秒418、75周目には10秒421と着実にリードを広げていき、最後は2位以下に11秒011の大差をつけてチェッカーを受けた。これによりTGR TEAM au TOM'Sは昨年の第7戦オートポリスから負け無しの三連勝を達成。39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)が100号車の追撃を退けて2位でフィニッシュしたことにより、トヨタGRスープラは開幕戦を1-2フィニッシュで飾ることとなった。
また惜しくも3位に終わった100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GT(山本尚貴/牧野任祐)だが、シビックType Rのデビュー戦での表彰台獲得は必要最低限の結果だったとも言えるだろう。
次戦の舞台はシリーズ最大の観客動員数を誇る富士スピードウェイ。5月4日に今季初の3時間レースが行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIROPhoto: Katsuhiko KOBAYASHI