全日本スーパーフォーミュラ・ライツ(SFL)第13戦~15戦が14日、15日に岡山国際サーキットで行われた。初参戦を果たした伊東黎明(LMcorsa OTG 320)は、8位、6位、7位という結果で、初レースを終えた。
伊東は、今シーズン全11戦で行われるポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)で開幕から9連勝と圧倒。すでに最終大会を待たずにチャンピオンを決めている。この成績をひっさげて、SFLに乗り込んできた。
伊東のチームLMcorsaは、FIA-F4、スーパーGT300クラスにも参加し、好成績を上げているトップチームだが、今回のSFL参戦はチームとして初めてとなる。
「LMcorsaは、FIA-F4とスーパーGTの主に二つに参戦しているんですが、母体の大阪トヨペットの社長さんが、その間のステップアップカテゴリーを作ろうというので、ライツをやる計画が始まりました。そこでドライバーとしてぼくを選んでいただきました。5月くらいに連絡をいただいたので、ポルシェのチャンピオンのご褒美ではありません」
さすがにポルシェマイスターの伊東にとってもSFLのマシンは、まだまだ習熟が必要なようだ。
「体にかかるGもすごいですし、今年はパワステもなくなったので、ステアリングも重くて、まだ体力的に余裕がありません。こんなにもダウンフォースのあるクルマは初めてで、GT300も去年乗りました、コーナリングスピードは桁違いに速いので、いままでの乗り方ではうまく走れなかったです」
木曜、金曜日と2日間行われた公式練習は、伊東は9位につけたが、タイム的には、レギュラードライバーに大きく水をあけられた。
14日午前に行われた、公式予選は、第13戦はトップから1秒583差、第14戦は2秒151差と、ともに9番グリッドからのスタートとなった。
「昨日の練習ではトップからも、8位からもタイム差があって、そこを縮めて一つでも上に行くというのを意識しました。全体的に路面コンディションがよくなってタイムも上がり、少しは前進できたかなと思います」
14日午後に行われた第13戦決勝は、明日が雨予報のため多くのドライバーがニュータイヤを履くなか、伊東はユーズドタイヤを選択し、9位のポジションからスタート。途中、6位を走るドライバーがコースアウトしたためセーフティーカー(SC)が導入され、ポジションが一つ繰り上がって7位と2秒001差の8位でゴールした。
「決勝は初めてで、スタートのコツがつかみ切れてないので、そこをしっかり合わせていきたいと思っていました。なんとか前に食らいつけば前に出られることもあると思うので、しっかり勉強をしてあしたの2戦につなげたいと思います」
翌15日午前に行われた第14戦決勝は、直前まで降っていた雨のためダンプコンディション。全車ドライタイヤを選択し、徐々に路面が乾いていくなかでのレースは荒れた。
伊東は好スタートを決め、9位から7位にポジションアップを果たす。SCは2回導入されたが、2度目のSCは伊東の上位を走る2台が絡むアクシデントだったため、さらに5位までポジションアップ。しかし、後続の選手にパスされ6位でレースを終えた。伊東は6位の選手権ポイントを1を獲得することとなった。
「午前中のレースはダンプコンディションで、ドライアップしていくなかで、スタートをしっかり決めることができ、そこで2台抜けました。途中クラッシュで2台止まり、5位をキープしたかったんですが、自分の失敗で6位に下がりました。それでもなんとかポイントをゲットできました」
午後に行われた最終第15戦は、第13戦の成績順のため伊東は8番グリッドからスタート。唯一ニュータイヤを履いてレースに臨んだ。
伊東は一つ順位を上げ、7位でレースを始める。ニュータイヤの利点を生かし、前を走るドライバーよりペースは良さそうだったが、抜きにくい岡山では頭を押さえられ前に出ることはできず、そのままの順位でゴールを迎えた。
「クリーンエアで走れていたら、もっとタイムが出たと思います。レギュラーと同じタイムで走れたのと、ちゃんと新品タイヤのいいところを生せたので、内容的にはいいレースで締めくくれました。このレースでレベルアップできたと思います」
伊東は練習時は、レギュラードラバーたちより、大きくタイムが開いていたが、予選、決勝とセッションが進むにつれ徐々にレベルアップ。最後のレースではレギュラードライバーを上回るタイムで周回できるようになった。
「前半セクターのストレートエンドまでの高速域では、いままでハイダウンフォースのクルマは乗ったことがなかったので、自分の中のセオリーで走っていて、そこを生かした乗り方ができませんでした。アドバイスをいただいたおかげで、少し使えるようになりました。進歩できたので、収穫は大きかったと思います」
伊東は次戦の大会、鈴鹿サーキットはPCCJに出場するため欠席。最終戦のモビリティーリゾートもてぎで再び参戦する予定だ。進化した伊東がどこまでレギュラードライバーたちに食い込むか注目だ。
Text: Yoshinori OHNISHIPhoto: Atsushi BESSHO
Yoshinori OHNISHI