F110 CUP東日本王者決定戦レース1決勝予選が10月19日(土)、モビリティリゾートもてぎにて行われ、ポールポジションからスタートの小松響(Rn-sports F110)が、一度もトップを譲らぬ走りで完勝した。
午前中の予選に続いて行われた決勝は午後2時50分にフォーメーションラップ開始。曇り空からは時折小雨がパラつくが路面を濡らすほどではない。6台の旧FIA-F4マシンがグリッドに整列。10周のレースがスタートした。
ポールポジションの小松がスムーズに加速したのに対して、2番グリッドの落合蓮音(ファーストガレージF110)は蹴りだしが弱く3番手スタートの酒井翔太(ファーストガレージF110)にポジションを奪われる。出足がよかったのは5番手の岸風児(HELM MOTORSPORTS F110)で、第1コーナーに向けて前を行く小野陽平(REVERSAL STIRIT)のインから飛び込むが、こちらは小野が第2コーナーからの立ち上がりで岸を抑える。酒井に2位を奪われた落合は第3コーナーでチャンスを伺うが、酒井がポジションを守る。後方のポジション争いも激しく、小野に抑え込まれた岸にチームメイトの鈴木悠太(HELM MOTORSPORTS F110)が襲い掛かる。鈴木はトラブルで予選を中断したためグリッドこそ最下位だが、トラブルが出るまでは4番手につけて、地力があることはわかっている。S字からヘアピンにかけて岸に迫りダウンヒルストレートでテール・ツー・ノーズになると続く90度コーナー出口で岸がプレッシャーに負けたかアウト側の縁石まで大きくはみ出し、鈴木が前に出て5位に上がる。
オープニングラップを終えてトップ小松は2位酒井に0.361秒の差、酒井と3位落合も0.429秒差とほぼ等間隔。この3台がワンパックで、そこから1.237秒差で4位小野~5位鈴木~6位岸も1.3秒以内に等間隔の集団を形成している。
2周目に入り勢いがあるのが鈴木で、5コーナーへのブレーキングで前を行く小野に接近すると、こちらも小野がアウト側の縁石にはみ出して失速。ファーストアンダーブリッジ内でサイド・バイ・サイドになると130Rへの進入でインから小野を仕留めて4位まで浮上する。
小松は2周目、3周目と最速ラップを刻みながら2位の酒井に0.869秒の差をつける。一方酒井には落合が0.378秒差でプレッシャーをかけ続けている。4位以下はやや離される中、岸が5位に落ちた小野に対してヘアピンからの立ち上がりでテール・ツー・ノーズ状態になるとそのままダウンヒルストレートで右サイドに出てオーバーテイク、90度コーナーまでに前に出て5位を奪う。
小松が4周目もファステストラップを更新し酒井を1.127秒差まで引き離すと、5周目に入り2位を争う16歳同士の対決がいよいよ火花を散らし始める。落合は酒井にプレッシャーかけ続けると、ビクトリーコーナー出口で酒井はラインを乱してアウト側の縁石ぎりぎりまではらんで失速。すかさず落合が並びかけて一気に前に出てコントロールラインを通過、2位の座を奪回する。酒井もすぐに立て直して落合を追い、落合のテールに食らいつくが、落合はスキを見せない。
ファーストガレージの2台がポジションを争う間に小松はギャップをひろげ6周目も2.52秒差。さらに7周目には2分0秒983と今回のファステストラップを叩き出して3.054秒までリードを広げる。その後も小松は手綱をゆるめることなく走り抜け、最終的に2位落合に4.776秒の大差をつけて10周のレースをポール・ツー・ウインで飾った。落合と酒井の2位争いは終盤まで続いたが、落合は冷静に酒井の攻勢をしのぎ、2位のポジションを守った。酒井3位、4位鈴木は中盤からは単独走行となり、酒井にじわじわと1.044秒差まで近づいてフィニッシュ。岸対小野の5位争いは0.680秒差で岸が逃げ切った。
ポディウムに戻ってきた小松は歓喜というよりはFIA-F4経験者としての役割を果たしたような落ち着いた様子で、それでもチーム関係者と握手を交わす頃には笑顔を見せた。
F110 CUP東日本王者決定戦レース2は明日10月20日に予選/決勝が行われる。安定の小松かファーストガレージの16歳か はたまた新たな名が表彰台に刻まれるか、期待は尽きない。
Text: Junichi SEKINEPhoto: Asako SHIMA
Junichi SEKINE