ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP 1997 GT INSIDE REPORT Round 3 Hi-land GT Championship 29 June '97 Inside Report インサイドレポート 2 FMOTOR4版 ------------------------------------------------------------------------- '97GTC第3戦 ハイランドGT選手権レース ◎カーナンバー前の"#"はGT500クラス、"*"はGT300クラスを表します ☆決勝日のトピックス *27 TEAM FCJフェラーリ 今回、クルマを大幅にモディファイしてきた。兼子監督によれば「ボディは屋根 以外はほとんど全部カーボン。フロントバンパーの形状を変えてダウンフォースを アップしている。リアのサブフレームも切り取ってパイプで造り直している。プラ イベートとしてできることは、ほとんどやってきました」とのこと。前回センター ロックに変更したにもかかわらず破損してしまって5穴に戻さざるをえなかったホ イールは、今回ハブをチタンで新造してきたが、またしても金曜日に破損。結局5 穴ホイールを急遽調達して予選、決勝に臨むことになった。 ◎サードMC8R、GTC参戦へ! これまで、国内では鈴鹿1000kmにしか出場していなかったサードMC8Rが、GTCに も参戦することになった。以下は同チームの山本 泰マネージャーの話。 「サードMC8Rでル・マンを戦っているのですが、ひと月前に行ってテストしてもど うしても熟成不足になるので、国内のGTCでも走らせようということになった。ル・ マンとGTCではパワーも違うし、別なクルマのようになってしまいますが、それで も走らせて熟成していくほうがいい、と。スポンサーが決まって、クルマの参加に 問題が出るようなことのないように、先にJAFに必要な手続きをしたんです。ただ、 次の富士についてはスポンサーが未だ決まっていないので参加しません」 *7 山路慎一(RE雨宮SuperG RX7) 「今回は下回りの剛性アップをしてきました。フレーム剛性は上げられるんですが、 メンバーにアームが出ていて足回りもメンバーはノーマルを使ってるんですが、そ れがもたないんで。車重は7~8kgは重くなったみたいですが、ウイングをカーボン 製にしたりマフラーの中間部分を薄くしたりしてるんで、トータルでは変わらない といっています」 #5 田嶋栄一(5ZIGEN SUPRA) 「予選は一番いいラップにシケインでスピンしているクルマに引っかかって、タイ ミングが取れず失敗でした。決勝はミズモノなので、石橋を叩いて渡るように走り ます。スタートはボクの予定です。コースはボクにとっては相性のいいコースなの で、同じポテンシャルがあれば前に行けると思う。金曜のテストはメニューがすべ てはこなせなかったから、課題はありますが、決勝に向けては『これかな』という ところまではいけてる。目標は、表彰台の一角でも占めたいですね」 *26 鈴木恵一(タイサンスターカードRSR) 「(フリー走行の)感触はよかったよ。決勝グリッドは9番手だけど、スリックだっ たらボクらのほうが速い。おもしろいレースになるんじゃないかな。武士のところ (つちやMR2)が絡んできて、*19のシルビアとの戦いになると思う。前でゴチャゴ チャやってくれればラッキーだね。後ろから淡々と追い上げるよ」 *19 福山英朗(RS☆Rシルビア) 「ポジション悪いんで…。決勝は、タイサンとウチになると思う。ドライのほうが 正直いっていいんでね」 *21 山本健司(ダンロップ-BP-BMW) 「フリー走行ではドライのテストができていないんで、決勝に向けてギア比を変え たりしています。コースはほとんど乾いていました。ここのコースは抜きにくいん で、ボクがまずはスタートを決めて頑張りたいと思います」 #18 avex童夢無限NSX 朝のフリー走行はまったく走らなかった。佐々木マネジャーによれば「まあ、路 面もよくないんでムリをしたくないんで温存したんですよ」とのことだが、事情通 のあいだでは「某ドライバーが寝坊をしたらしい」というウワサが流れている。 「金曜日と予選1回目は、エンジン自体ではなく電装系のトラブルで、ハーネスを 取り替えるので手間がかかりました。予選2回目で起きたオイル漏れも解決しまし た。予選の最後にコースアウトしましたが、まったく損傷はありませんでした。も う問題はありませんよ。決勝は...。とにかくウチはロングディスタンスを走って ないから、どうなるかわからないんですよ。できれば、雨のがよかったかなぁ」と は佐々木マネジャー。 *910 ナインテンポルシェ 雨の予選で最後に逆転され2位になったものの、ずっとトップタイムをキープして いたナインテンポルシェ。決勝に向け自信満々かと思いきや、そうでもないようす。 袖山誠一によれば「予選はずっとトップだったんで、もう大丈夫かと思ったんです が、逆転されちゃいました。決勝もガンガンいきたいところなんですが、実は今回 富士用のギアのままなんですよ。だからほとんど2速と3速しか使ってないんです。 同じポルシェでも、タイサンさんとかは当然ギアを換えているでしょうから、ちょっ とつらいですね。でもまぁ、なんとか生き残れば上位に入れると思うので、がまん のレースをしますよ」とのことだった。 #88 JLOCディアブロGTR 朝のフリー走行には出走しなかった。「いや、ミッションにちょっとトラブルを抱 えているので、壊さないように走らなかったんです。決勝前のウォームアップも、 1周したらすぐグリッドにつきます。できるだけ余分な周回はしない、ということ です。でも、せっかく出る以上は1周でも長く走りたいですね」と和田孝夫。 #34 千葉泰常監督(STPタイサン アドバンGT-2) 「次はクルマを代えようと考えています。ただ、購入を予定していたバイパーはル・ マンで燃えてしまうし、ホントに欲しかったクルマは契約上の問題があって購入不 可能になるしで、どんなクルマになるかはまったく未定です」 #39 谷川達也(デンソーサードスープラGT) 「50kgのハンデは、朝走った感じでは思ったより影響はありませんね。ただ、周回 を重ねるとブレーキなんかがきつくなりそうです。タイヤはこの暑さで走ってない んでなんとも言えませんが、後半はきついかもしれませんね。ただ、それはよその メーカーのタイヤでも同じだと思います。朝のタイムは、まだ路面に濡れたところ がある状態でのものですが、決勝では温度が上がりそうなのでやはり48秒後半から 49秒ってところじゃないでしょうか。スタートは影山さんで、ピットインはちょう ど真ん中くらいでする予定です。なんとか上位に入って、100kgハンデを積んでみ たいですね」 ◎各タイヤメーカーに戦略を訊く 昨夜の嵐がうそのように、夏の陽射しが照りつけている今日の仙台ハイランドレー スウェイ。当然、決勝レースはドライコンディションで行われることになる。となれ ば気になるのは各チームのタイヤ選択。ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ3社 のエンジニアに話を訊いた。 ブリヂストン 「今回からGT300クラスの供給はなくなりまして、すべてGT500クラ スへの装着となっています。基本的にソフト系とミディアム系の2種類を用意して いまして、今回ほとんどのチームがミディアム系のものを選んでいます。ソフト系 を選んでいるチームがあるかどうかについては……、チームの事情もありますので、 秘密ということにさせてください」 ヨコハマ 「GT500のほうは、今回コンパウンドとしては全部で4種類を用意しま した。使用する3チームそれぞれマシンが違いますので、フロント・タイヤはみな サイズが異なります。STPタイサン アドバンGT-2とデンソーサードスープラGTは、 今回ミディアム系を選択しています。またエンドレスアドバンGTRは、木下みつひ ろ選手の好みで、ハード系を選んでいます。一方GT300クラス用には3種類を用意 しましたが、今回は全チームともミディアム系を選んでいます。ただ決勝中に交換 するタイヤは、ソフト系を検討しているチームもあるようです。ミディアム系の場 合、タイヤ交換なしでもなんとかいけるとは思いますが、1分52秒台ていどのハイ ペースでずっと周回してしまうと、ちょっときびしいかもしれません」 ダンロップ 「今回GT500用には3種類のゴムを用意しています。使用するマシン が違いますので、それぞれサイズと構造は若干の違いがありますが、コンパウンド としては全車ミディアム系を選択しています。一応レース中の交換は必要だと考え ています。GT300クラスのほうは、昨日雨の予選で素晴らしいパフォーマンスでし たので、とてもよろこんでいます。ドライ用は2種類のゴムを用意してきたんです が、今回は全チームがソフト側のものを選んでいます。実は選択するときの天気予 報では、予選が晴れで決勝が雨だったものですから、みんなソフトを選んだんです。 でも逆になっちゃいましたので、ちょっと困っています。もちろんレース中に交換 する必要があると思います」 ☆決勝後のトピックス ○決勝スタート直前 14時20分現在 天気:晴れ 気温:28度 湿度:56% 路面温度:32度 入場者数:6/29 37,200人(6/28 3,300人) ○ ピットスタートはなし *リタイヤ(GTインサイドレポート班調べ) No. 原因 周回数 --------------------------------------------- *70 ミッション 9L #18 オイル漏れ 12L #88 ミッション 24L *55 ミッション 34L *6 ターボ 39L #2 ZEXELスカイライン(総合2位) 鈴木亜久里「どっちにしても最後までがまんできるとは思わなかった。タイヤはコ マスはソフトだったんだけど、オレはハードでいったんだ。それが失敗だったね。 最後、あれ以上がんばるとぶつかっちゃうからしょうがないよ。でも納得いかない なあ。すげえくやしいよ。次、またがんばるけど」 #100 RAYBRIG NSX 高橋国光「ギアがなくなっちゃったんだ。1,2,3速がね。だから、ストレート はちゃんと走るからコーナーではジャマにならないように走ってましたよ(笑)。 で、コースサイドに寄るからタイヤがゴミを拾っちゃって、振動が出て冷や冷やで した。でも、僕らはデータが足りないから、次のためにとにかく最後まで走ったん だ。でも、序盤は良かったでしょ(笑)。NSXのポテンシャルがあるのは分かって いただけたと思います」 *19 RS☆Rシルビア(GT300クラス2位) 福山英朗「今回はオレが失敗した。コーナーの突っ込みはこっちが速いんだけど、 ピックアップでは負けているから、ヘアピンでなんとか前に出ようとムリに突っ込 んだら前を閉められてダートに出ちゃった。ダートが濡れてるもんだから、滑っち ゃってなかなか戻れなくて・・・。もちろんこれからもランキングトップをキープし ていきますよ。つちやMR2が撤退することを祈りながら(笑)」 織戸学「クルマもタイヤも全然問題なかったんだけど、序盤で離されちゃったの で、前のクルマは、もう全然見えませんでした」 *26タイサンスターカードRSR(GT300クラス3位) 新田守男「最後、バイブレーションがひどくてペースが上げられなかった。まるで タイヤが終わっちゃったみたいな感じだった。でも、終わってはいないんだよ。原 因はまだわからない」 #38 カストロール・セルモ・スープラ(総合4位) 竹内浩典「ボクのセッティングミスで最後の10周で追いつかれた。序盤はタイヤの グリップがあるんだけど、グリップが落ちてくるとオーバーステアがひどくなる。 他のクルマはアンダーステア気味なのに、ボクだけが不安定でした」 金石勝智「ボクのパートは、ガソリンも周回数も少なかったんでクルマの感じはよ かった。ペースが特別遅いということもなかったし。次の富士はバチッと決めたい です」 #39 デンソーサードスープラGT(総合5位) 影山正美「今回はウエイトハンデを痩せさせようと4位ねらいでいきました。結果 は5位でしたけど・・・。周回遅れを抜こうとしたらスピンしてしまった。残りのレー スは、確実にポイントを稼いで、チャンプを意識せず1レース1レースがんばります」 #5 5ZIGEN SUPRA (総合6位) 田嶋栄一「今日は淡たんと、敵はいようがいまいが走りました。もうちょっとプッ シュしたかったけど…。タイヤとのマッチングが課題ですかね。スープラでは唯一 のダンロップで、BS勢を追いかけてる立場ですから」 *インサイドレポート3に続く 以上 GTアソシエイション事務局 GTインサイドレポート班 古屋 知幸 = QYB04322 =