全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.4/4

                    AUTOBACS CUP ALL JAPAN GT CAR CHAMPIONSHIP
                       1998  GT INSIDE REPORT
   Round 4 JAPAN SPECIAL GT-CUP                                9 Aug. '98
   Inside Report                インサイドレポート1              FMOTOR4版
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'98AUTOBACS CUP GTC第4戦富士 JAPAN SPECIAL GT-CUP(8/8,9)

◎カーナンバー前の記号"#"はGT500、"*"はGT300を現します

☆予選1回目(8日)のトピック
#55 STPタイサン バイパー
松田秀士「昨日は少し固めのタイヤで走って、ソフトは最後に少し使っただけなん
ですが、ソフトのほうが良かった。そこで今日はソフトでアタックしたんですが、
まだセッティングが十分ではないんです。この後もう少し煮詰めて、28秒台前半ま
ではいければいいなと思います。タイヤは、ドライはすごく良くなりましたよ」

#38 FK/マッシモセルモスープラ
野田英樹「(昨日のクラッシュは)1コーナーの手前でブレーキを踏んだらいきな
りクルマが横を向いて、右の前からコンクリートウォールにクラッシュしてしまい
ました。脳震盪で、昨日は少し頭が痛かったんですが、もう大丈夫です」
佐藤正幸監督「クルマは予備のシャシーを持ってきました。98年仕様です。クラッ
シュの原因はくわしくはわかりません」

*25 つちやMR2
舘信吾「ラストは(前のクルマに)詰まってしまった。スリップもなにも使えなかっ
たんですが、ガムシャラにいきました。クルマはすごくいいし、ポールを獲りたかっ
たんです。午後のアタックは(天候的に)ちょっとムリでしょう。(暫定のポールが)
獲れたんで、3連勝ねらいたいですね」

*61 テイボン・トランピオ・FTO
中谷明彦「タイヤはもうないんですが、午後もやります。ただ、お天気もわかんな
いでしょう。自分たちのパターンを守っているんで、(ラストに逆転された)相手
のことはわからない。MR2は60Kg積んでてあれじゃ速すぎる。明日は、自分たちの
レースをやるつもり。もちろんドライを望みたい」

*44 アペックスDLモモコルセMR2
新田守男「3番手なら上等じゃない? 35秒348はピーターのタイム。ダンパーに
問題があったのを直したけれど、完璧じゃない。ずいぶん良くなったけど、しっく
りはきてない。足回りのことがあったんで、予選タイムはさほど意識しては走らな
かった。午後はひっちゃきにポールポジションのタイムはねらわない。天気がわか
んないけど、同じタイヤで本番のセットアップします」

*7 RE雨宮マツモトキヨシRX7
山路慎一「好調を維持してます。細かいところをセットアップしたらタイムも良
かった。クルマ的にはまだタイムが縮まると思います。ニュータイヤを履いて出た
ら、赤旗出ちゃったんで、もう1回やりたいですね。0.3秒はアップしたいです。
2回目も頑張ります。決勝ラップも調子を崩さずにいきたいですね」

#100 RAYBRIG NSX
飯田章「昨日、エンジンのコンピュータに問題があって、あまりセッティングが進
まなかったんです。今日もまだ完璧という感じではなくて、パワーを綺麗に使い切
れていないですね。まだ他の3台のNSXよりもストレートでは少し遅いと思います。
ベストタイムのときは本山選手のスリップに入れたので、うまくタイムが出まし
た。マシンはちょっとアンダー気味です。まだ満足できるレベルまではいっていま
せん。これで足が決まれば、だれかのスリップに入らなくても、午後は単独であと
コンマ2~3秒は縮められるんじゃないでしょうか? 条件にもよりますけどね」

#16 Castrol 無限 NSX
道上龍「今回は全然マシンが壊れるような気がしませんね。今までは予選中でも
ミッションが渋くなったりクラッチがおかしくなったりしていたんですが、昨日の
練習からまったくそういう問題はありませんね。午後は、気温が上がらなかったら
もう少しダウンフォースをつけていこうと思っています。目標は1分27秒フラット
ですね」

#18 TAKATA童夢無限 NSX
金石勝智「ベストタイムを出した周にヘアピンでブレーキをロックさせてしまい、
コンマ7秒ぐらいロスしてしまっているんです。100Rをすごくいい感じで回れたの
で、そのままブンッて入っていったら、ロックしてしまいました。クルマのバラン
ス自体はいいですよ。午後は条件さえ良ければ27秒フラットを目標にしたいですね」

#39  デンソーサードスープラGT
谷川達也「最後、もうちょっといけるかと思ったんですけどガス欠になっちゃった。
 4番手のタイムには届く要素はありました。でも27秒前半というのはちょっと...。
前回の富士のテストから空力等の調整をやって来て調子は良かったんで、富士はい
けるかな、と思っていました。去年も勝っているのでゲンが良いサーキットなんで
す。今回はアタックは自分がやるというカタチをとっています。午後もそうです。
予選はNSXの1台でも喰えればいいかな、と思っています。NSXはコーナー真ん中、
つまり入ってから立ち上がるまでが速いですね。決勝は、もちろん優勝はねらって
いるんですけど、あまりムリをせず、上位でフィニッシュして選手権ポイントの差
を詰めたいと思っています」

#12  カルソニックスカイライン
星野一義「クルマ? もう必死でやっている。ちょっとでも可能性があればチャレ
ンジしている。それが実を結んできたということ。午後もアタックします。当然タ
イムの向上を目指してチャレンジしていく」
黒澤琢弥「スカイラインのなかでは一番煮詰まっているみたいなんで、なんとかコ
ンスタントにいって表彰台を目指したいです。今年はいまのところ星野さんの足を
引っ張っちゃっているので、今回はいい仕事をしたいな、と思っています」


■太田哲也選手 その後
 太田哲也選手は、この3ヶ月の間に救命のための6回にわたる手術を終え、現在
は一時的に自宅に戻り、身体機能を初歩から取り戻すためのリハビリテーションに
励む日々を送っている。熱傷による痛みや痒み、ストレスなどによって極度の睡眠
不足に陥り、また身体にとっては良くないことなのだが、救命のためにやむなく全
身麻酔を繰り返したこともあり、そのままでは今後の手術に耐えられる体力を確保
できなくなる可能性があったため、少しでも心が安らぐ自宅に一度帰って体力を回
復させようという医師の判断による一時帰宅。その甲斐あってか、ようやく睡眠を
ちゃんと摂ることができるようになり、体力も少しずつ取り戻し始めたようである。
また今後は、損傷のひどい右手、右腕、右足、顔などの機能を回復させるための手
術を行うために、8月の末頃から再び入院する予定となっている。
 太田選手は、ほとんど連日のように通院を重ねてリハビリと治療を繰り返し、ま
た自宅用に医師が作ったリハビリ・メニューをこなすほか、運動不足だからと階段
の上り下り往復10回を何セットというように自分自身で決めたメニューを加え、そ
れらを黙々と繰り返す日々を送っている。近頃では杖を使わずにある程度は歩ける
ようになり、左手で箸を使って食事ができるようにもなっている。だが、依然とし
て右腕と右足を自由に動かすことができないなど大きなダメージが残っており、日
常の生活をおくることすら困難な状態である。
太田哲也「意識が戻って自分の姿を初めて見た頃は、なんで生き残っちゃったんだ
ろうなどとかなり深く落ち込んでいましたが、近頃では自分の置かれた状況を現実
として冷静に受け止めることができるようになりました。まだ身体の機能には不完
全なところが多いのですが、必死でリハビリに励んでいます。
 今はまだそんな状態ですけど、どこまで身体が戻るのかという問題はありますが、
意地でも自分でステアリングを握ってレースに復帰する、ということを目標にして
頑張っていこうと思っています。あの信じられないような状況から生還できたのは
奇跡だといわれますが、奇跡が存在するのだから、今は満足に動かない身体がちゃ
んと動くようになる可能性もゼロではないと信じて、自分にできることをすべて
やっていこうと考えています」  (この項はTipo誌、嶋田副編集長の協力による)


☆予選2回目のトピック
#64 Mobil 1 NSX
山西康司「アタックしたのはトムです。午前中、ボクが出ていってすぐにクラッチ
にトラブルが出てしまって、午後も十分に走れていません。予選3番手ですが、勝
つチャンスは十分あると思います。NSXどうしで潰し合いをしないように、どれか
が勝つようにしたいです。それが自分のところなら一番いいですね」

#36 カストロール・トムス・スープラ
関谷正徳「クルマは現状としてはベスト。できるかぎりのことはやっている。それ
はいつもやっているんだけどね。ただ、タイムが上がらないだけ。あと、できるこ
とと言っても大がかりなことばかりになっちゃうね。決勝のスタートはフォンタナ
で、半分ずつ乗ることになると思います。タイヤが保つかどうかはやってみないと
わかんないね」

*81 ダイシン ダンロップ シルビア
福山英朗「35秒台前半までいきたかったけどね…。現状としては目いっぱいですね。
ミスもなかったしスリップも使えたし。(MR2との差は)あっちはテストで得たも
のをうまく使っているし、こっちは生かせていないということだと思います。決勝
のスタートを二人のどっちでいくかは、今夜じっくり決めます。雨? ウーン、クル
マとしてはドライがあんまり速くないからね。雨のほうがいいかな…。いや、なに
かあるといけないからドライでいきましょう。お客さんのためにもね」

*19  ウエッズスポーツセリカ
マッシミリアーノ・アンジェレッリ「午後は新しいタイヤ・セットで走ってタイム
を向上させることができた。とてもハッピーだよ。明日はもっと速くなるよ。フロ
ント・ドライブのクルマを走らせるのは初めてなんだ。でもF3の経験が役に立って
いる。パワーが低くて、タイヤに負担をかけないように充分注意して走らせなけれ
ばならない。明日? 明日はまず完走。それから表彰台をねらいたい。ミスをしな
ければ表彰台は可能だと思う」
織戸 学「走るたびにタイムは上がっているので、明日は壊さないようにとにかく
完走。そうすればおのずと順位はついてくるから。次回からがほんとうの勝負です。
まだまだ速く走れますよ。持っているポテンシャルをまだまだ引き出せてない部分
があるので、それが出てくればGT300 のトップと対等なレースはできると思います。
ただ、FFというのは長距離を走ったときのタイヤの消耗というものがまだわからな
いですけど、意外とおもしろいかもわからないですよ」

*9 スペックス大黒屋ぽるしぇ
羽根幸浩「これまで使ってきたクルマは金曜にエンジントラブルに見舞われてしま
いました。そのため今回は急遽新車を使うことになりました。本来はもてぎから投
入する予定だったものです。エンジンを積み替えることも考えたんですが、配管の
取り回しなんかが違っていると、かなり大がかりな作業になってしまうので。これ
までのクルマもエンジンを直して、もてぎから2台体制を考えています」

#39 デンソーサードスープラGT
谷川 達也「土屋さんもボクも同じぐらいのタイムだったんですが、今回はエンジ
ニアの宮坂さんからの指示でボクがアタックしました。午前中はアタックの周のB
コーナーでガス欠してしまったんで、午後は条件しだいでもうちょっとタイムを上
げられるかなとは思っていました。それでNSXを1台ぐらいは食えればいいなって。
午後はもちろんクリアラップをとれていますが、終わってみればもう少し伸ばせた
かもしれないなと思いました。ブレーキであと2~3メートル我慢できたかなぁと
か、細かいところで。明日は、スターターをボクがやるんじゃないかと思うんです
が、周りの邪魔にならないように、無事に完走したいですね。このポジションで完
走して、NSXが1台ぐらいいなくなってくれたら、表彰台に上れるんじゃないかと
思うんですけどね。だけど、雨になるとムリかもしれません。雨だと、ほかのサー
キットでもほかのスープラやスカイラインに1周3秒ぐらい離されてしまうんです」

*19  ウエッズスポーツセリカ
マッシミリアーノ・アンジェレッリ「去年のマカオGP以来、バンドウ(RACING 
PROJECT BANDOH)と今シーズン乗れるようにコンタクトをとってきた。今年GT300
でクルマとサーキットの経験を積んで、来年はできればGT500 に乗りたい。
 ボク自身は1995末までシングルシーターしか乗ったことなかった。1990年にイタ
リアF3選手権で3位、1992年にイタリアF3選手権チャンピオン、1993年にドイツF3
選手権2位、1995年にドイツF3選手権3位。1996年はBPRシリーズにミケロット・
エンネア・チームのフェラーリF40で出て4位。
 なぜ日本のレースかって? それは日本のレースのほうがプロフェッショナルだ
と思ったからだ。日本はプロフェッショナルなドライバーが求められているけど、
ヨーロッパではリッチなドライバーが求められている。お金だけなんだ。フォーミュ
ラ・ニッポンにステラから出る予定でテストもしたんだけど、チームの事情で出ら
れなくなってしまった。でも日本で仕事がしたい。来年もね。フォーミュラ・ニッ
ポン、GTCに出たいと思っているんだ。
 クルマはまだ小さいホイールしかないんだけれど、チームのメカニックの仕事ぶ
りは印象的だった。すごく少ない時間のあいだにニューカーを作り上げたのに、ク
ルマの信頼性はすばらしいんだ。なんの問題も起きない。驚くほどだよ。すごくい
い仕事をした。だから来年もバンドウからGT500に出たいね」

*70  外車の外国屋ダンロップポルシェ
パトリック・ヴァン・スクート「今、仕事で日本に住んでいるんですが、以前フェ
ラーリ・チャレンジに出ていたんです。それでGTCのほうがおもしろそうなんで、出
たいと思っていたところ、友だちの紹介でこのチームで走ることになったんです。
友だちというのはエリック・コマス選手です。
 初めてレースに出たのはアメリカで、フォーミュラ・フォード等をやっていまし
た。今はいっぱい乗れるし、走るのは楽しいですよ。仕事はヴィンテージカー等の
輸入なんですが、うまくいってます。だからこうしてレースにも出られるんですけ
どね。仕事を持っていてレースに出ているんですけど、できればセミ・プロという
ような、『どうぞ乗ってください』って言われるようなドライバーになりたいです。
GTCでね」


*2に続く
                       GTアソシエイション事務局
                       GTインサイドレポート班
                       古屋 知幸 = QYB04322 =


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