菅生の魔物が今年も牙を剥いた!!
2017オートバックス スーパーGT第4戦「SUGO GT 300kmレース」の決勝が7月23日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われた。序盤からアクシデントが相次ぎ、3度もセーフティーカーが入る荒れたレースを制したのは#1ヘイッキ・コバライネン/平手晃平組(DENSO KOBELCO SARD LC500)。ピットインのタイミングがドンピシャにハマり、終盤#46本山哲/千代勝正組(S Road CRAFTSPORTS GT-R)の猛追を見事に押さえ切った。GT300クラスは#11平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組(GAINER TANAX AMG GT3)が3年ぶりの勝利を挙げている。
(天候:雨 コース:ウェット 観客動員数:予選日9,600人/決勝日26,200人/大会総入場者数35,800人)
決勝レースは午後2時30分より81周で行われた。
決勝日を迎えた菅生は朝からあいにくの雨模様。それでもウォームアップ走行、スタート進行とスケジュールが進むにつれて天候は回復傾向にあったため、GT500クラスでは浜島裕英監督率いる#38ZENT CERUMO LC500をはじめとする4台、GT300クラスではJLOCの2台と#26TAISAN SARD R8 FUKUSHIMAがグリッド上でスリックタイヤを選択した。ところが宮城県警のパトカー先導によるパレードランが始まると再び雨が路面を叩き始め、スリックタイヤ組はスタートから大苦戦を強いられることになった。
序盤からレースをリードしたのはホンダNSX勢。
ポールシッターの#8野尻智紀(ARTA NSX-GT)をはじめ、#100山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)、#16武藤英紀(MOTUL MUGEN NSX-GT)らが1周めからテール・トゥ・ノーズのトップ争いを演じ、2周めのレインボーコーナーで山本が野尻をかわしてトップに立ち、武藤もそれに続いたが、その一方で#17小暮卓史(KEIHIN NSX-GT)はエンジンカバー脱落というアクシデントに見舞われてオレンジディスクの提示を受け、大きく後退、代わって#64ベルトラン・バゲット(Epson Modulo NSX-GT)が4位に浮上してきた。
ところがこの山本の快進撃に待ったをかけたのが相次ぐアクシデントによるセーフティーカーランだった。5周め、41周めそして48周めと、3度のセーフティーカー導入は山本に充分なリードを築き上げることを許さなかったばかりか、天候の回復を待ってピットインを引き延ばしたことが仇になり、100号車は53周めにドライバー交代を終えてコースに復帰した時点で6位まで後退、その後もじりじりと順位を落とす結果となった。
野尻も武藤を激しく追い上げている最中の16周め、馬の背コーナーで痛恨のスピンを喫して一時10位まで後退、武藤は21周めにバゲット、29周めに#1ヘイッキ・コバライネン(DENSO KOBELCO SARD LC500)にかわされた挙句、30周めの1コーナーでオーバーラン、8位に後退。バゲットも山本と同じ周にピット作業を行い、順位を落とすことになった。
代わって上位に浮上したのが2度めと3度めのセーフティーカーランの合間にピット作業を行なったチーム達だ。
まず46周めのピットオープンと同時に作業を行なったのが#6大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ組(WAKO'S 4CR LC500)、#8野尻智紀/小林崇志組(ARTA NSX-GT)、#12安田裕信/ヤン・マーデンボロー組(カルソニックIMPUL GT-R)、#37平川亮/ニック・キャシディ組(KeePer TOM'S LC500)。その次の47周めには1 号車と46号車がピットイン、46周組が冷えたスリックで苦しい走りを強いられている間に熱の入ったウェットでリードを築いた47周組が先行することになる。そして52周めのピットオープンと同時に残りの車両がピットに飛び込み、ついに1号車がトップ、46号車が2位に浮上。レース終盤はこの2台の一騎打ちとなった。
トップを走行する#1平手を激しく追い上げる#46本山。
一時5秒以上あった平手のリードは74周めには3.1秒、75周めには2.1秒となり、76周めにはついにその差は1秒を切った。
そして迎えたファイナルラップ。
1コーナーでクロスラインをとって2コーナーのインに本山が飛び込む。押さえ込む平手。
コースには再び雨が落ちはじめ、馬の背からSPにかけては再びウェット路面に変貌していた。
これに足を取られて平手がSPインで四輪はみ出す。
本山も続いて二輪はみ出す。
両者SPアウトで交錯。意地と意地のぶつかり合いを制したのは平手。本山は失速するもなんとかポジションをキープしてフィニッシュラインへ。
#1コバライネン/平手組は今季初勝利。#46本山/千代組は今季初の表彰台。3位には#6大嶋/カルダレッリ組が入って今季3度めの表彰台を獲得した。
GT300クラスもまたタイヤチョイスとピット戦略が明暗を分ける結果に。
ポールポジションの#25松井孝允/山下健太組(VivaC 86 MC)がソフトコンパウンドのウェットタイヤを選択したことで前半苦しい走りをしいられる一方で、このコンディションにマッチしたダンロップタイヤで序盤から着実に順位を上げ、3度めのSC前にピット作業を済ませた#11平中/ビルドハイム組が52周めにトップに立ち、そのまま逃げ切って2014年11月の最終戦もてぎ以来、2年8ヶ月ぶりの勝利を手にした。
2位には今季初表彰台となる#50都筑晶裕/新田守男組(Ferrari 488 GT3)がつけ、#25松井/山下組も後半の追い上げで3位表彰台をもぎとってみせた。
次戦は2週間後の富士スピードウェイ。8月6日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIROPhoto: Katsuhiko KOBAYASHI