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SF:第6戦SUGO決勝 関口、絶体絶命の逆境を跳ね返し2勝目! ポイントリーダーに返り咲く!

 全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝が、9月25日、快晴の宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールシッターの#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)が、不運なセーフティカーランで背負ったハンディを跳ね返し今季2勝目を飾った。シリーズポイントでもリーダーに返り咲き、ルーキーが混戦のシーズンを一歩リードすることになった。

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 年一度の菅生戦。サーキット上空には青空が広がり、9月に入って愚図ついていた天候が嘘のように晴れ渡った。ただ、スタート時刻が近づいても秋とは思えないほど日差しが強く、路面温度の高さがレースにどう影響するのか……各チーム、ドライバーはそんな思いを抱えたままスタートを迎えた。

 抜きづらいサーキットだけにスタートの重要性はどのドライバーも口にしていたが、ポールシッターの#20関口は落ち着いていた。好スタートで背後に迫った#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)を抑え込んでトップで1コーナーに飛び込むと、他を圧倒する速さを見せた。そのペースは2位#37中嶋に対して1周1秒マイナス。#20関口はレースの2割を経過した14周終了時点で12秒という大きなマージンを築くことに成功した。

 しかし、独走態勢は揺るぎないと思われた18周目、#20関口に不運が訪れる。何とチームメイトの#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)がSPコーナーでコースオフ。アウト側に止まってしまい、ここでセーフティカー(SC)が導入される。これだけなら良かったのだが、#20関口が大きなリードを築いていたために、この時点で2位を走っていた#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)以下のマシンは、ストレートを通過する#20関口の後方で続々とピットインしてしまったのだ。

 「あの処理は納得がいかない」とレース後に語った#20関口だが、他のマシンがコースに戻ったときには、ピット作業を済ませていないのは何とトップの#20関口のみ。#20関口は築いたリードを失っただけでなく、ピットストップのハンディも背負うことになってしまった。

 「優勝は半ば諦めたが、イケるところまで行こうと思った」という#20関口は、22周目にSCランが解除になると鬼神の走りを見せ、この時点で2位に浮上していた#64中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)との差を広げ始める。その差は、30周目9秒、40周目18秒、50周目30秒と、SCラン前と同様に毎周1秒ずつ引き離し、54周目にはついにピットインで失う目安である34秒のマージンを築いてしまった。

 こうなると、サーキット全体が#20関口の味方だ。55周目にピットに滑り込んだ#20関口の作業を観客も関係者も固唾を飲んで見守った。給油に要した時間は8秒。ピットイン全体のロスタイムは31秒と、スムーズな作業でチームも#20関口の走りに応え、トップのままコースに送り出した。

 その後も攻めの姿勢を崩さなかった#20関口は、2位#64中嶋大祐との差を再び大きく開き、拳を突き上げてフィニッシュ。今季2勝目を飾るとともに、ポイントリーダーに返り咲いた。これで参戦1年目のルーキーがチャンピオンに輝くという前代未聞の事態が現実になる可能性が高くなった。

 3位には#37中嶋一貴、#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM’S SF14)との争いを制した#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)が入った。

 なお、今回のレースで台風の目になり損ねたのが#8小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS SF14)。14番グリッドから好スタートを決めて1周目を10位で終えると、早々にピットインしたマシンがあったこともあり、10周目7位、17周目には4位まで浮上。上位入賞のチャンスが大きく広がったが、SCラン解除の際に1コーナーでコースオフ。これでタイヤを痛めたのかピットに入ることになり、大きく順位を落としてしまった。ベストタイムでは#20関口に次ぐ2位で表彰台の可能性もあっただけに、#8可夢偉にとっては非常に惜しいレースだった。

 また、心配されたタイヤの寿命は思ったよりも長く、序盤でピットに入ったマシンも含め、ルーティンのピット作業でタイヤ交換をしたチームは無かった。タイヤに決して優しいとは言えない菅生のコースでも性能を損なうことなく、68周のレ-スを走り切ってしまうことを考えると、来季はできるならもう少しライフを短くしてレースに不確定な要素を増やしても良いように感じた。

 最終戦は、10月29~30日の鈴鹿。#20関口の優位は揺るがないが、2レース制でボーナスポイントもあるだけに、予想外の展開もあるかもしれない。

Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum

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