全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.6/5

                  ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP
                     1997  GT INSIDE REPORT
  Round 6 SUGO GT CHAMPIONSHIP                                 25 Oct.'97
   GT Inside Report           インサイドレポート1              FMOTOR4版
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'97GTC第6戦 SUGO GT選手権レース

☆練習日のトピックス
No.556 KURE R33
金曜日の3回目のフリー走行セッションが始まる前に影山正彦に話をきいた。「ス
カイラインとしてはよく仕上がってるんだけどね。2セッション走って、スカイラ
インではNo.2 ZEXELに続く2番でしょ。しかもさっきZEXELはソフトタイヤだった
のにウチはハードだったからね。まぁでも、スカイラインは97年モデルでは限界か
もしれない。98年モデルに期待したいですね。実際、もう先行パーツを試したりし
てますから、例年より早い時期に投入されることになると思います。それはそうと
ね、今回のレースは荒れるよ、きっと。だって今日のフリー走行も、首都高でレー
スしてるみたいだったもの。寂しい話だけど、レースは荒れてもらったほうがいい
ね。状況が悪くなれば、自分がトラブルに巻き込まれる可能性も高いけど、その分
チャンスが開けるからね」。ところがこのセッションの終了間際に最終コーナーで
激しくクラッシュし、マシン前部を大破させてしまった。『荒れる』という予感が
早くも最悪の形で現れてしまったわけだが、ドライブしていた影山は軽いむち打ち
症状程度で済んだ模様。しかしマシンは修復不可能と判断され、急遽東京から96年
モデル(開幕戦で優勝した元ZEXEL号)を取り寄せて予選と決勝に出走することに
なった。
「ちょっと大袈裟に首にガードをつけてますけど、身体は大丈夫です。マシンは…、
まぁガタガタになるまでテスト済みですから(笑)、大丈夫でしょう」(影山)

No.27 シェル・フェラーリF355
 美祢の第5戦をNo.28のみで戦ったチームFCJフェラーリ。今回は2台揃い、
No.27に太田哲也とハイランドで1回走ったスティーブン・アンドスカーのコンビ、
No.28には山崎正弘とフェラーリ・チャレンジ・ジャパンのトップランカー、パト
リック・バンスクートのコンビがそれぞれ乗ることになった。マシンにはとくに大
きな変更はない模様。太田によれば、「トルクが足りないので、ストレート後半は
まだいいのだけれど、前半の上り部分はとてもターボ付きのマシンについていけな
い。それでもここはコーナーでスピードを落とさずに行けるところが多いので、美
祢よりはだいぶいいと思う。予選でなるべく前に行って、決勝で早めに逃げないと
ポルシェに追いつかれると思うから、予選は5位以内を狙います」

No.57 SiFo Spider Ver.GT
 第2戦の富士に登場したものの、フリー走行でエンジンを壊し出場できなかった
ルノー・スポール・スピダーが、最終戦にようやく再登場した。SiFo代表の藤井氏
によれば、「今回はエンジンとミッションを3基ずつ用意しています」とのことで、
スピダーが初めて決勝レースに出場するのは間違いなさそうだ。今回ドライバーは、
N1耐久ラウンドで活躍、GTC第2戦ではナインテンポルシェをドライブした砂子智
彦と、ミラージュ・レースなどで実績のある吉富章の二人。砂子によれば、「今回
はとにかく80%の力で走って完走を狙うだけです。なにせパワーは250hpくらいです
し、ギアが全然あってないものですから。2速が全然あってないのと、ストレート
で4速までしか入らないのがきついですね。他のクルマに抜かれるのに神経を使う
ので、大変です」とのこと。


☆予選日のトピックス

No.100 RAYBRIG NSX
 1回目の公式予選で飯田章がトップタイム(1分21秒805)をマークした。昨年R.
シューマッハ(マクラーレンF1GTR)が記録したコースレコードを0.6 秒近く短縮す
るタイム。高橋国光によれば、「とにかくクルマが乗りやすいんです。童夢のほう
は満タンだとアンダーからオーバーに変わるなんて言ってるようですが、ウチのは
まったくクセがないんですよ。ガソリンの量もとくに関係ないみたいです。まぁこ
のコースは、美祢もそうでしたけど、NSXに向いているんでしょう。速いというより
ムダがないという感じです。それと6速ミッションが、すごくうまくパワーをのせ
られるようにセットされているのがタイムに結びついているんでしょうね。今回は
ソフトめのタイヤを選んでいます。40周程度のロングテストもOKでしたので、問題
ないと思います。午後の予選もこのままイケるでしょう」と、自信満々だった。

No.38 カストロール・セルモ・スープラ
金石勝智「昨日は(セッティングが)森のなかの迷路に迷い込んでました。昨日の
状況のままではスカイラインが前にいってたかもしれない」
竹内浩典「やればやるほど深みにはまってたが、9月のここのテストのときのセッ
トに戻したらうまくいった。20分のセッションで時間をうまく使って、タイヤを温
めてアタックしました。No.18のタイムは見えたし、No.100のタイムもいけると思
う。午後はいくだけいきます。コース状況は悪くないし、路面のグリップも高いと
思う。決勝の作戦は思案中。フェラーリに当たらないように(笑)頑張ります。う
まいところで抜けるかがポイントでしょう」

No.8 POWER CRAFT SUPRA
ワイン・ガードナー「マシンのセットアップは長坂さんが昨日やった。自分として
はほとんどそのまま乗ったが、ただ今朝スプリングをハードなものに変えた。これ
で乗りやすくなって速くなった。長坂さんはやわらかいスプリングのほうを好むよ
うだけど。セッテリングにはほぼ満足しているが、あとコンマ2から3秒速くなると
思う。午後トラフィックがなければもう一度アタックするつもりだ。タイヤも1セッ
トしか使っていないし。ライバル? 全車だよ。とくにトムスが速い。ホンダもね。
チームが一生懸命やっているので表彰台に立ちたい」

No.25 つちやMR2
土屋武士「やりようによっては他チームも26秒台は出ると思う。ストレートスピー
ドはポルシェも一緒。予選はMR2のコーナーの速さが生かせるけど、決勝はタイヤに
優しいポルシェが有利でしょう。シルビアも、コーナーもストレートも速いし、す
ごくいいと思う。MR2はドッカンターボだから、そこらへんがネック。MR2とポルシェ
とシルビアがいい勝負になるでしょう。RX7もからんでくるかもしれないし。決勝で
はヨコハマタイヤにGT300クラスの今シーズンのパーフェクトをプレゼントしたい。
速いクルマはウエイト積んでるから、逃げるのはボクしかいないと思いますが、総
合力を含めるとポルシェとの争いになるでしょう」

No.26 タイサンスターカードRSR
鈴木恵一「(予選1回目のタイムは)こんなもんでしょう。この重さであそこまで
来てるからいいんじゃない。大渋滞だったしね」

No.60 ワイズダンロップBPキャバリエ
予選1回目、田中実のドライブ中にドーン! という音とともにマフラーのタイコ
の部分が破裂した。佐藤久美は、「私が運転しているときに爆発するよう田中さん
が時限装置をセットしたのだけれど、ちょっと早すぎて自分のときに爆発しちゃっ
たみたい」と大笑い。一方の田中は、「急にドカーンとフロアの下で爆発したんで
ビックリしましたよ。タイコのところだけで済んだんですけど、交換パーツがない
のでどうしようかと思ってるんです」と、笑顔ながらもちょっと困ったようすだ。

No.510 RH CERUMO SUPRA
ポール・ベルモンド「富士の第4戦でクルマの調子はすごくよかったし、今回もス
トレートが長いコースなのでチャンスは十分あると思う。ボクらのクルマは、エン
ジンだけは97年仕様だけれど、基本は96年モデルなので苦しいことは確か。でも美
祢ではとてもきつかったHパターンシフトのハンデがここでは少なくなるので、ぜ
ひともいい結果を残したい。最後のチャンスだしね」

No.34 STPタイサンアドバンバイパー
千葉監督「前戦の美祢より、リアのホイールを1インチずつ外に出し、それに合わ
せてリアフェンダーを20mmずつ広げてあります。またリアウイングを2ピースタイ
プにし、ブレーキも強化しています。ブレーキについては、今後タイサンのポンプ
を使った水冷装置をつける予定です。昨日のフリー走行で不調になったエンジンは
ハーネスのトラブルだったようです。なにしろ10気筒だもので、多少おかしくても
走れてしまうんです」
松田秀士「さっきホンの少し走っただけなんだけれど、アンダーステアがまだ強い
ね。せっかくリアはトレッドがひろがって安定したんだけどね。だから本当はやり
たくないんだけれど、リアのグリップレベルを少し落としてバランスを取った方が
いいみたいだね。まぁそれでも、いろんな問題がクリアになれば、あと1.5秒は速
くなると思うよ」

No.77 クスコスバルインプレッサ
 シーズン当初から噂のあったインプレッサが最終戦でデビューを果たした。キャ
ロッセの加勢裕二代表によれば、「クルマを造るのに時間がかかって、最終戦になっ
てしまいました。図面を引き始めたときから勘定すると1年ぐらいかかっています」
とのこと。「出場のきっかけは、ただやってみたかったのと、インプレッサは速い
はずと思ったから。ウチはインプレッサでジムカーナ、ラリーのタイトルをとった
し、ダートラも他のチームのインプレッサがとってます。もし、このGTCでとれれば
全部でしょう(笑)」。
 ベースマシンは4WDだが、キャロッセが独自にFRに改造している。エンジンは水
平対向4気筒の2リッターで「パワーは340~360馬力ぐらい出るはずですが、リス
トリクターで絞ってますからもう少し低くなっているはず」という。搭載位置はバ
ルクヘッドぎりぎりまで下げ、低重心を心がけている。エンジン以外のボディと足
回りは内製。レギュレーション上サスペンション形式は変えられないため、4輪ス
トラットのままだ。足回りに関しては「ごく普通にセオリーどおりに造っている」
とのこと。「ダートラのDクラスの車両を造るよりはラクでした。シンプルなFRで
すからね。FRのクルマをつくるのはすごく久しぶりなんです」という。加勢本人は
ラリー歴が約25年。現在もインプレッサで走っているが、「もう15年ぐらい前に
AE86とかサニーで筑波や富士を走っていましたよ」と、レース歴もある。このクル
マのシェイクダウンも自分で乗ったという。しかし、チームは「ボク以外はサーキッ
トは初めての素人集団」。チーム内では『パドックってどこにあるの? どうやっ
て借りられるの?』とか『ピットの水って飲めるの?』といった珍問が飛び交って
いるらしい。今後については、「98年は未定ですが、全戦出たいですね」と、意欲
は満まんだ。ただし今回は金曜日にエンジンが壊れてしまい、「予備エンジンがな
いんで、予選と決勝はN1よりもおとなしいノーマルエンジンで走ります」と苦戦は
免れそうもない。
 一方、ドライバーの小林且雄は、昨年JUNオート・スカイラインで出場して以来の
GT参戦。「シェイクダウンは先週の15日。FRでよく曲がるし、パワーもそこそこ出
てるから、感触はいい。シェイクダウンでは1分32秒ぐらいのタイムが出た。クル
マの回頭性は結構いい。サスペンションセッティングをしていけばさらによくなる
でしょう。今は立ち上がりでオーバーが出やすいから踏めないけど。さすがダート
ラチャンプを生んだファクトリーのクルマだけにしっかりつくってあるし、ボディ
剛性はかなりある。シャープな動きですよ」と、かなりの好感触をつかんでいるよ
うすだった。

No.7 RE雨宮SuperG RX7
山路慎一「クルマはなにも変わっていないのにフィーリングがかなり変わってしまっ
た。原因は不明。初期アンダーがすごくて、最終コーナーの飛び込みの『チョンブ
レ』はアウトに飛んでいくような危ない感じ。クルマがいうことをきいてくれない」

No.39 デンソーサードスープラGT
谷川達也「クルマのセッティングは決まってきたんですけど、タイムが出ないです
ね。ハンデの重さはとくには感じないんですが…。とりあえずNo.36の前ですけど、
真後ろですからねェ。明日はスタートで正美さんにできるだけ引き離してもらわな
いと、ボクには少し荷が重いかな。でも、前回の悔しさをはらすためにも頑張りま
す。No.36もハンデが重いから、お互いに我慢のレースになりそうですね。ピット勝
負になったら、ウチはいつも速いんで、そこで勝ちたいです」

No.36 カストロール・トムス・スープラ
ミハエル・クルム「予選9位というのはあまりうれしくない。午前中はエンジンに少
し問題があって、午後はこれを替えてタイムを出した。あとコンマ1秒速ければ
No.39の前に出られたのに残念だ。90kgのハンデは上りとブレーキにきつい」
ペドロ・デ・ラ・ロサ「明日はいい結果が出ると信じている。クルマはコンスタン
トにタイムが出るので決勝は大丈夫。90kgのハンデはあるが、そんなに心配はして
いない」

No.38 カストロール・セルモ・スープラ
竹内浩典「午後はセッティングを変えたけど、タイムは変わらなかった。ただ、決
勝セットはいいバランスが出ている。NSXは決勝セットでコンマ5秒以上速いんで、
正直、関谷さんのところを含めたスープラ2台はつらいかな。でも、決勝はなにがあ
るかわからないから、くっついていく。後ろで熾烈なチャンプ争いをしてもらって、
関係なく前でトップ争いをしたい。チャンプは関係ないんで暴れようかな。去年の
ハイランド以来勝ちがないんで、あとは運。いつ勝ってもおかしくない状況にはあ
るんです」

No.37 カストロール・トムス・スープラ
鈴木利男「クルマはとくに問題はない。今回は関谷さんの番なので、アタックもセッ
ティングもおまかせしました。今回はセルモが勝つかなと思ったけど、上にいった
ね。でも、NSXは速いね」


◎ポールポジション記者会見

No.100 RAYBRIG NSX(予選総合1位)
高橋国光「おかげさまで最終戦でポールポジションがとれてうれしく思います。飯
田章選手がかなり頑張ってくれましたし、マシン的にも、シャシーやその他の部分
がすばらしくて、成果が出せたと思います。結果だけがすべてですから、前回の美
祢の2位以上の結果を出せればと思っています。どこのチームも最終戦はかなりエ
キサイトして激しい戦いになると思いますが、そのなかで我々もアンラッキーなこ
とにならないよう、頑張りたいと思います。最近どこのサーキットでも追い抜きが
難しいので、やはりフロントローというのは有利ですから、明日は逃げるレースが
できれば一番いいですね。僕の若干マイナスの分、章にドンドン逃げてもらってプ
ラスしてもらおうかなと思ってます(笑)。とにかく、このサーキットにNSXが合っ
ている気がするんです。乗りやすいですし…。それとエンジンのほうにすごく元気
が出てきて、他のクルマとの差があまり大きく出なくなったことも一因でしょうね」
飯田章「たまたまというか、ポールポジションがとれてすごくうれしいです。クル
マのほうもチームのほうもすごくいい雰囲気で、シーズンの後半どんどんいい方向
で来ていますので、最後に勝って気持ちよくオールスター戦に出場したいと思いま
す。で、クルムとペドロがチャンピオンとってウチが優勝なら一番いいですね。明
日はできたらオープニングラップから逃げて、国さんに渡して、若い走りで(笑)
頑張ってもらいたいです。国さん、金曜日からすごくコンスタント・タイムも速い
んで、ボクもレースがすごく楽しみです。このサーキットではNSX速いですね。ただ
真っ直ぐだけは、ターボ付きや大排気量のマシンのほうがやはり速いです。だから
とにかくスタートで前に出ることですね。前に行かれてしまったら抜けないでしょ
うし。そのへんを重じゅう心得て……、まぁでも楽しいレースができればいいと思っ
てます。童夢のNSXと2台で逃げて、いいレースがしたいですね」

No.25 つちやMR-2(GT300クラス予選1位)
土屋武士「今日の予選の結果にはすごく満足しています。1戦欠場してしまったた
めにチャンピオン争いからは脱落してしまったんですが、メカニックが忙しい間を
ぬってマシンを仕上げてくれたので、とにかくメカニックのために明日優勝という
かたちを残したいと思います。クルマの仕上がりはすばらしいんですが、富士の第
4戦の例もありますし、レースはなにが起こるかわからないですから、その場の状
況を判断してベストをつくすことだけをいつもどおり考えて、頑張ります。予定で
はボクが先に乗って、引っ張れるだけ引っ張るつもりなので、最初はガソリン満タ
ンでスタートします。今回はヨコハマタイヤのGT300クラスのパーフェクトがかかっ
ているので、それをとにかく達成したいですね。オールスター戦にも出る方向で話
は進んでいると聞いています」


*インサイドレポート2に続く

                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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