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2026年6月

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アライヘルメット、4輪ヘルメット新製品発表・展示会開催

GPV-R RO 8859(4輪ツーリングカー用) SKV-R RO 8878(カート専用)

 5月30日、31日にGPR全日本カート選手権が鈴鹿サーキット南コースで開催され、その初日ブリーフィングルームで、まさに満を持してGP-6S、SK-6シリーズの後継モデルGPV-R RO 8859(4輪ツーリングカー用、以下GPV-R)とSKV-R RO 8878(カート専用、以下、SKV-R)が公式の場に姿を現した。

 GP-6シリーズが2011年1月に発売され、2016年にスネルSA2015とFIA8859規格に対応したモデルとして8859にアップデートされて、実に15年もの長きにわたってこのシリーズは販売され続けてきた。それは同時に信頼の証でもあったわけだ。

 その後継GPV-RとSKV-Rの特長は端的に言えば安全性と快適性のさらなる向上である。写真を見ればすぐ気づくが、厳しい規格の用件を満たしながら衝撃を「かわす性能」の卵型の帽体をさらに進化させ、シールドの左右端がこれまでのものとは逆向きのアールとなっていて、下方にシールド取り付け用ネジ穴部分を設定した、アライの特許であるVASシールドシステムを四輪でも採用し、これまでよりも最上部が25㎜も下がり、帽体とシールドのフラッシュサーフェス化による衝撃を「かわす性能」も大きく向上している。そして、開口部は8mm下方にまで拡張され、視界領域が広がるとともにコクピットでの計器類の視認性も向上している。

 さらに顕著な変更点はシールドのロック方式である。万一の救護の際に左右どちらからでもアクセスできるように開発されたセンターロック方式はGPV-Rロックシステムといい、強い衝撃を受けてもロック状態は維持されつつ、解除は片手で簡単に行えるようになっている。

 また、内装が抗菌消臭効果のある生地で微調整可能なシステムパッドになり、調整の他洗濯、交換が容易で通気性も向上している。これは思った以上に大切で、会場に同席したアライのアンバサダー山本尚貴選手や、松田次生選手、佐藤蓮選手も口を揃えて高評価を述べていた。

 もうひとつ、シールドを上げると両方の頬部分に新たに「Arai」のロゴが追加されるようになった。小さな部分で性能とは関係ないが、アライの新たな主張として大きな注目点だ。後継モデルというもののほぼオールニューモデルと言っていいだろう。

 最後に価格はGPV-Rが¥98,000(税込¥107,800)、SKV-Rは¥67,000(税込¥73,700)」となっている。

 余談であるが、本当に久しぶりにアライのサービスバスを見てバイクレース撮影が出発点であった者として懐かしさより安心感が戻ってきたことを付け加えておく。

西コースパドックの展示・サービステント

発表会場の様子

発表会で説明する執行役員の阿部氏

両頬端のパッドに追加されたAraiロゴ

ロックシステムの開発を担当した開発部の魚谷氏

新型ヘルメットを手にする、松田次生、山本尚貴、佐藤蓮選手

翌日のレースで新型を着用する松田選手

翌日のレースで新型を着用する佐藤選手

Text: Atsushi BESSHO
Photo: Atsushi BESSHO
Arai Helmet, Ltd.

Forumula Beat

第5戦筑波決勝ドライバーコメント 優勝・酒井翔太「思い通りのレース展開で進んでくれた」

優勝 酒井翔太(ファーストガレージ FG108)

優勝した酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 「スタートは難なくクリアして、ちょっと危なかったのですが、でもしっかり1周目から守り切ることができました。その後も自分のペースちゃんと走れていたので、金井選手を離せたかな、という印象です。(描いた通りのレース?)そうですね、思い通りのレース展開で進んでくれたので、よかったなと思います」

2位 金井亮忠(チームNATS 正義 001)

決勝2位の金井亮忠(チームNATS正義001)

 「順位としては2位だったのですが、クルマも大幅な変更をして『こちらの方がいいかな』というデータ取りはできたので、次につながるような、いいレースにはなったと思います」

3位 KAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)

決勝3位のKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

 「村上君とバトルできるぞと楽しみにしていたのですが。後ろ見たらいなくなっていたので(苦笑)。体力と相談しながらペースを落として、恥ずかしながら3位狙いで走りました。(体力は持った?)ラップタイムを1秒落とすと身体が楽ですね」

4位 村上太晟(ファーストガレージ FG108)

決勝4位の村上太晟(ファーストガレージ FG108)

 「スタートはエンストしてしまいました。前回のスタートでタイヤひっかき過ぎたので、それを修正しようとして、今度は(回転を)落としすぎてしまって。結局スタートと同じ順位に戻ってこられました。今まで以上にプッシュして走れたので、よかったです。(先輩のKAMIKAZEがバトルしたかったようだが?)そこまでは届かなくて、最近ミスが多いので、そこは直したいです」」

5位 長嶋重登(ミスト☆T.U.CGROUP)ジェントルマンクラス優勝

決勝5位、ジェントルマンクラス優勝の長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

 「クラス1位なので、よかったです。村上君がエンストしてしまって、後ろから来たのですが、トップ(酒井)が来たのかと思って譲ったら村上君で(苦笑)失敗しました。同じようなカラーリングなので判らなかったです。でも楽しめました」

6位 富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)

決勝6位、ジェントルマンクラス2位の富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)

 「今日は2回ともスタートを失敗してしまいました。伊澤さんが奥様と田村さんとクルマを仕上げてくれて、決勝のグリッドに立てて、2回とも完走できたので、よかったなと思います。僕はお金がないドライバーなのですが、幸いなことによい影響を与えてくれているのではないかと思います。今日は(仲間が)いっぱい見に来てくれたので、完走できてよかったです」

7位 大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

決勝7位の大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

 「(第2コーナーでのスピンは?)アウトから長嶋さんに被せていって、芝に入ってしまって、そのまま回りました(苦笑)。そこからエンジンかかって再スタートできたのでよかったです」
Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA

Forumula Beat

第5戦筑波決勝 酒井翔太に敵なし、ポール・ツー・ウインの完勝

優勝した酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 2026年Formula Beat(F-Beat)地方選手権シリーズ第5戦決勝が5月31日(日)に筑波サーキットで開催され、ポールポジションの酒井翔太(ファーストガレージ FG108)がスタートでトップに立つとそのまま2位以下を引き離して序盤から快走、18周で2位の金井亮忠(チームNATS 正義 001)に4.316秒の差をつけて優勝した。

 第5戦決勝は予定より20分遅れて午後2時17分フォーメーションラップ開始。すっかり初夏の気候の筑波サーキットは気温31.6度、路面温度54.1度となっている。パドックで聞いたところではタイヤに高負荷がかかる高速コーナーが少ない筑波ではタイヤの負担はそれほどではなく、むしろドライバーにとって厳しいだろうとのこと。

 今回の大会は2レースなので、タイヤが1台あたり2セット使用可能となっている。第4戦では全車が予選で使用したタイヤを使っていたが、第5戦では選択が分かれた。新品タイヤを投入したのが、酒井、大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)、富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)の3台。第4戦を走ったユーズドタイヤを継続利用するのが中村祥貴(ファーストガレージ FG108)、KAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)、村上太晟(ファーストガレージ FG108)、長嶋重登(ミスト☆T.U.CGROUP)の4台。そして金井は事前に皮むきしておいた新品タイヤを履いている。タイヤの持ちを考えれば継続使用でもライフの問題はなく、スタート直後はウォームアップが早いので有利。しかし後半になってもタレが少ないのは新品タイヤの方。そうした意味ではスクラブ済みの金井の新品タイヤが一番有利そうだというパドックの声。一方新品タイヤでも酒井はインラップやフォーメーションラップで十分ウォームアップできるだろうとの意見も。

 なお第4戦7位フィニッシュだった松本隆行(SHOUEI☆ミスト)は第5戦欠場とのことで8台がグリッドに並んでレーススタート。

オープニングラップの先頭集団

 第4戦ではスタートに失敗して金井の後塵を拝した酒井だが、今回はきれいにスタート。イン側からホールショットを奪う。2位金井、3位KAMIKIAZEと続くが4番グリッドの村上はエンジンストールして大きく出遅れる。全車が出た後に押し掛けで村上は動き出し当然ながら最後尾からレーススタート。第1コーナーでは6番手スタートの大蔦がアウトから5番手長嶋に襲い掛かるがここは長嶋がポジションを守る。

 オープニングラップを終えてトップ酒井は2位金井に0.987秒の差。3位KAMIKAZEはそこから2.877秒差と早くも酒井と金井の一騎打ちの状態に。4位長嶋、5位大蔦と、6位富澤。最下位に落ちた村上はトップから27秒のビハインド。

 3周目に酒井は早くも金井に2.275秒の差。第4戦と同じくこの2台のペースが飛びぬけており、3位KAMIKAZEはそこから7秒以上遅れている。見どころはスタートを大失敗した村上のリカバリで、3周目に早くも中村を捉えて7位に挽回。ラップタイムも56秒台とトップ2台に続くペース。

 酒井は5周目に53秒817と今回のファステストラップを出すとややペースを抑えるが、それでも金井との差はじわじわひろがり6周目に3.691秒まで拡大。

長嶋重登と大蔦健太の争い

 後方では順位が動かない中で、長嶋と大蔦の4位争いが勃発。6周目に0.278秒差となると勢いは明らかに大蔦が上で7周目に突入。第1コーナーで大蔦がオーバーテイクを仕掛けて前に出るがスピン。大蔦によるとアウト側の芝に乗ってグリップを失ったとのこと。第2コーナーの真ん中で止まってしまうが、幸いすぐに再スタートを切ってレースに復帰する。後続の富澤、村上がその脇を通過していき、大蔦7位にドロップ。村上はこの周に富澤を仕留めて5位まで進出。

 後方の混乱をよそに酒井は4.872秒までリードを拡大して独走状態。トップスピードも時速201キロと群を抜いている。第4戦では酒井と同様時速200キロが出ていた金井は時速197キロ台、セッティングを変えてきたか?

 レースは後半戦に入り、酒井はややペースを抑えたか10周目に5.156秒差まで金井を離すと、11周目、12周目と5秒台で間合いをキープ。後続も動きがない膠着状態の中、台風の目はやはり村上で、5位に上がると10秒以上あった4位長嶋とのギャップを12周目に4.007秒まで削り取る。ラップタイムも55秒台で長嶋より1.8秒速く14周目には1.412秒差まで迫る。

 15周目、トップ酒井と2位金井は5.576秒の差。3位KAMIKAZEはそこから30秒以上離されている。そしてこの周に村上は長嶋も捉えて4位までポジションをを戻す。

 酒井は僅かにペースを落としてファイナルラップに入る。もはや彼を脅かす者はなくそのままフィニッシュラインを通過。ポール・ツー・ウインの完勝を飾った。2位4.316秒差で金井、3位KAMIKAZEは44秒差、4位村上57秒差とここまでが同一周回で、5位長嶋、6位富澤、7位大蔦が1周遅れ、8位中村2周遅れで完走した。

 ポディウムに戻ってヘルメットを脱いだ酒井はレースを走り切ったとは思えないような落ち着いた表情で表彰台に上がる。最近のサーキットでは珍しくスパークリングファイトがアルコール飲料で行われるため、未成年の彼は勝利の美酒を味わうことはできず苦笑いで振りまいた。

 F-Beat第6戦/第7戦は7月18日/19日にスポーツランドSUGOで行われる。全15戦で行われる2026年シースンはまだ序盤戦ともいえる。

優勝は酒井翔太(ファーストガレージFG108)

決勝2位は金井亮忠(チームNATS正義001)

決勝3位はKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

決勝4位は村上太晟(ファーストガレージ FG108)

決勝5位、ジェントルマンクラス優勝はは長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

決勝6位は富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)

表彰式

ジェントルマンクラスの表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA

Forumula Beat

第5戦筑波決勝結果

筑波チャレンジクラブマンレース第2戦 -RIJ- (2026/05/31) Final Race Weather:Cloudy Course:Dry
2026 Formula Beat Round 5 筑波サーキット 2.045km

PosNoClsCls
Pos
DriverCar
Maker Model
LapTimeBehindGap
16酒井 翔太ファーストガレージFG108
FG108
1816'23.780--
272金井 亮忠チームNATS正義001
NATS 001
1816'28.096 4.316 4.316
39KAMIKAZEファーストガレージRD04W
SYNERGY RD04W
1817'08.56944.78940.473
448村上 太晟ファーストガレージ FG108
FG108
1817'21.27557.49512.706
563G1長嶋 重登ミスト☆T.U.C.GROUP
Dallara F301
1716'27.6811Lap 1Lap
636G2富澤 もぐら柏南同窓会公認車ハンマーR疾風
疾風
1716'48.6781Lap 20.997
731大蔦 健太MYST☆ダイヤ設備
MYST KK-ZS
1717'00.3181Lap 11.640
83G3中村 祥貴ファーストガレージFG108
FG108
1616'44.9462Laps1Lap
---- 以上規定周回数(90% - 16 Laps)完走 ----
-76GG-松本 隆行SHOUEI☆ミスト
Dallara F307
-d.n.s--
  • Fastest Lap: CarNo. 6 酒井翔太(ファーストガレージFG108) 53.817 (5/18) 136.515 km/h

Forumula Beat

第4戦筑波決勝ドライバーコメント 3位・KAMIKAZE「次は体力との勝負だと思います」

優勝 酒井翔太(ファーストガレージ FG108)

優勝した酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 「スタートで2速がはじかれてしまって、立ち上がれなかったのですが。でも金井さんはスタートの出足早かったので(2速に)入っていても抜かれていたかもという印象でした。筑波は前に出られたら抜けるところが少ないので、なんとか一発で抜けるところを探して、第2コーナーでうまく合わせられたので。そこはよかったと思います。前に出てからはペースがあったですし、次のレースも同じような展開になる感じなので、しっかりスタート決めて押さえて、自分のペースで走れればと思っています」

2位 金井亮忠(チームNATS 正義 001)

決勝2位の金井亮忠(チームNATS正義001)

 「スタートはうまく決まって前に出られたのですが、なかなかペースも上がらず、でした。このタイム差で18周ブロックし続けるのはきついかな、というところですかね。いろいろセット変更したのがあまりいい方向に行かなかったので、それも踏まえて、もう1レースあるので、アジャストしたいと思っています」

3位 KAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)

決勝3位のKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

 「(村上が迫っていたが?)岡山もあんな感じで、もっと後ろに(迫って)来ていたのですが、ここは僕のホームコースでもあって、昨日も一昨日も練習していて。村上君は今日ぶっつけ本番できているので、その差の分だと思います。体力的には不安でしたよ。10周目まではよかったのですが『残りL8』と(サインが)出ているのを見て『まだ8周もあるのか』と(笑)。次のレースもあるので体力を温存していました。次は体力との勝負だと思います(苦笑)」

4位 村上太晟(ファーストガレージ FG108)

決勝4位の村上太晟(ファーストガレージ FG108)

 「温度が高ったのかリヤが流れている感じで、タイムが出しづらい状況でした。リヤが暴れているので最終コーナーとかカウンター当てながら曲がっている感じでした。リヤをうまくコントロールできずに、滑らすとタイヤがいたむので、それを抑えられなくて(前と)差が開いていった感じです」

5位 長嶋重登(ミスト☆T.U.CGROUP)ジェントルマンクラストップ

決勝5位の長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

 「順当に行きまししたね、前は見えなかったです(苦笑)。31号車若い子なので、抑えられてよかったです。ずっと(後ろに)見えていました。いつ来るかなと思って、楽しかったです。次も行けそうな気がします」」

6位 大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

決勝6位の大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

 「スタートを完全にミスしました。その後はがんばったのですが、長嶋さんに追いつけそうで追いつけなかったので、次はがんばって抜きます」

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA
Junichi SEKINE

Forumula Beat

第4戦筑波決勝 酒井翔太がスタートミスから挽回で優勝

優勝は酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 2026年Formula Beat(F-Beat)地方選手権シリーズ第4戦決勝が5月31日(日)に筑波サーキットで開催され、ポールポジションの酒井翔太(ファーストガレージ FG108)がスタートで金井亮忠(チームNATS 正義 001)の先行を許すも3周目にトップを奪い返すと、そこから一気に引き離して4.521秒の差で優勝した。

 筑波サーキットで6年ぶり開催の決勝は午前10時55分にフォーメーションラップ開始。晴天に恵まれたコースは温度がぐんぐん上がり、既に気温28.9度、路面温度45.8度と厳しいコンデション。2レース行われる本大会では2セットのタイヤが使えるが、全車予選で使ったユーズドタイヤを投入している。予選でクラッシュした富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)はノーズとフロントイウングを交換しただけで修復が完了、7番グリッドにつけると18周の決勝がスタートした。

決勝がスタートした

 ポールシッター酒井の蹴り出しがやや弱く、ホールショットを決めたのはフロントロウ2番手スタートの金井で、第1コーナーへの加速で酒井の前に出るとトップでターンイン。3番グリッドKAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)、4番手村上太晟(ファーストガレージ FG108)とグリッド順にレース開始。後方では8番手スタートの松本隆行(SHOUEI☆ミスト)が加速で富澤の前に出ると、第1コーナーアウト側から6番手大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)に仕掛けて前に出る。しかし大蔦は最終コーナーでアウトから松本に並びかけてサイド・バイ・サイドでコーナリング、コントロールライン上では0.000秒差、そこから前に出て6位のポジションを奪い返す。

 トップに立った金井に対して酒井はプレッシャーをかけるが金井も動じず、オープニングラップで0.307秒の差。2周目も酒井は金井のテールに張り付いてチャンスを伺うが、金井もスキを見せない。3位KAMIKAZEはこの2台からすでに3秒以上離されて、後方0.363秒差に村上が迫っている。

 0.296秒差で入った3周目、酒井は満を侍したかのようにテール・ツー・ノーズで金井を追うと、第1ヘアピンのブレーキングでアウトから仕掛けて大外刈りでオーバーテイク。トップの座を奪い返すと一気に差をひろげていく。3周目を終えると早くも0.747秒の差。

 4周目に酒井はセクター1で全体ベストを出すと2位金井との差を拡大。金井もセクター2で全体ベストを粘っているが、その差は0.869秒にひろがる。酒井は5周目もセクター1、2、3と全体ベストを刻むと54秒000とここまでの最速ラップで金井との差は1.198秒。後方で接戦なのはKAMIKAZEと村上の3位争いが0.594秒差、GGクラス松本とGクラス富澤の7位争いが0.461秒差だ。

 酒井は7周目に53秒889、8周目に53秒861と最速ラップを更新し続けて金井を2.310秒差に突き放す。この2台のペースが群を抜いており、3位KAMIKAZEは金井から9.308秒の差、以下村上~長嶋~大蔦~松本~富澤~中村祥貴(ファーストガレージ FG108)と続く。

 レースは折り返しの9周目。酒井は早くもバックマーカーに追いつき中村をラップ遅れにする。そのため僅かにタイムをロスして金井が1.927秒差とマージンを削り取るが、続く10周目に酒井は53秒792とこの日のファステストラップをマークして、再び金井を2.537秒後方へと追いやる。

 ここからは酒井が金井との差をじわじわと拡大。12周目3.842秒、14周目4.905秒と危なげないレース運びを見せる。3位以下ははるか後方、3位KAMIKAZEでも酒井からは21秒以上離されていて、レースは淡々と進んでいく。

 酒井は13周目以降53秒台のペースを維持して金井に6.442秒の差をつけてファイナルラップへ。最後はさすがに3秒ちかくペースを落として余裕のチェカードフラッグ、優勝した。

 2位金井、スタートで魅せたが最速ラップ54秒台で酒井に差をつけられた。以下3位KAMIKAZE、4位村上、5位長嶋はGクラスのトップ。6位大蔦、7位唯一のGGクラス松本、8位富澤はGクラス2番手、最後尾9位の中村がGクラス3番手という結果に。

 F-Beat第5戦決勝はこの後午後1時55分開始予定。トップに立ってからは他を圧倒した酒井が連勝するか、短いインターバルの間に金井が学生たちと共に逆転の目を見つけるかどうか。

決勝2位は金井亮忠(チームNATS正義001)

決勝3位はKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

決勝4位は村上太晟(ファーストガレージ FG108)

決勝5位、ジェントルマンクラス優勝は長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

決勝6位は大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA

Forumula Beat

第4戦筑波決勝結果

筑波チャレンジクラブマンレース第2戦 -RIJ- (2026/05/31) Final Race Weather:Sunny Course:Dry
2026 Formula Beat Round 4 筑波サーキット 2.045km

PosNoClsCls
Pos
DriverCar
Maker Model
LapTimeBehindGap
16酒井 翔太ファーストガレージFG108
FG108
1816'22.279--
272金井 亮忠チームNATS正義001
NATS 001
1816'26.800 4.521 4.521
39KAMIKAZEファーストガレージRD04W
SYNERGY RD04W
1816'50.81828.53924.018
448村上 太晟ファーストガレージ FG108
FG108
1816'52.34630.067 1.528
563G1長嶋 重登ミスト☆T.U.C.GROUP
Dallara F301
1817'17.76155.48225.415
631大蔦 健太MYST☆ダイヤ設備
MYST KK-ZS
1716'23.3621Lap 1Lap
776GG1松本 隆行SHOUEI☆ミスト
Dallara F307
1717'05.8001Lap 42.438
836G2富澤 もぐら柏南同窓会公認車ハンマーR疾風
疾風
1717'05.9591Lap 0.159
93G3中村 祥貴ファーストガレージFG108
FG108
1717'17.2201Lap 11.261
---- 以上規定周回数(90% - 16 Laps)完走 ----
  • Fastest Lap: CarNo. 6 酒井翔太(ファーストガレージFG108) 53.792 (10/18) 136.860 km/h

Forumula Beat

第4戦、第5戦筑波公式予選ドライバーコメント 第4戦、第5戦5位・長嶋重登「あと数周ほしかったですね」

第4戦/第5戦ポールポジション 酒井翔太(ファーストガレージ FG108)

第4戦、第5戦ともポールポジションの酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 「もうちょっと行ける感じはあったのですが、シフトがたまに落ちなことがあったので、そこは決勝までに原因見つけられればなと思っています。金井さんは序盤アタックしていなかったのかもしれないですが、そんなにペースが上がっていなかったので。でも決勝では近いだろうなと思うので、しっかりミスなく走れたらなと思います」

第4戦/第5戦2位 金井亮忠(チームNATS 正義 001)

第4戦、第5戦とも予選2位の金井亮忠(チームNATS正義001)

 「タイムを見られなかったので、どのくらい酒井君と差があるかはわかっていなかったです。順位だけは見られて、ずっと2番だったので、とにかく頑張りました(笑)。ちょっと届かなかったですね。昨日(トラブルで)走れなかったのが大きくて、セットアップを詰め切れていないので、レースではセットの変更もして、もって(前に)迫れるようにしたいと思います」

第4戦/第5戦3位 KAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)

第4戦、第5戦とも予選3位のKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

 「昨年までジェントルマンクラスにいて、今年はチャンピオンクラスなので、若手と一緒に戦わなくてはいけないので。筑波サーキットで1秒以上の差がついているので、もう少し練習を重ねてついて行けるように。F-Beatでは54秒台で走れたのが今回初めてなので、もう少し上があるなと感じです。ドライバーとクルマを鍛えていけば、53秒台に入るのではないかな、と思っています」

第4戦/第5戦4位 村上太晟(ファーストガレージ FG108)

第4戦、第5戦とも予選4位の村上太晟(ファーストガレージ FG108)

 「クルマが第1コーナーでものすごくアンダー(ステア)で、それにアジャストしようと作業したりしたのですが、そこに時間を費やしてしまって、タイムが上がらなかったです。セッティングは理想に近づいてきているのですが、まだ1コーナーが気になります」

第4戦/第5戦5位 長嶋重登(ミスト☆T.U.CGROUP)ジェントルマンクラストップ

第4戦、第5戦とも予選5位の長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

 「あと数周ほしかったですね。昨日の練習ではもうちょっと速かったから。筑波をフォーミュラで走るのは初めてで、ポルシェとかで走っていますが、全然違うので。でも筑波は走り慣れているので、面白いです。レースでは1台くらいは上を喰いたいですね」

第4戦/第5戦6位 大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

第4戦、第5戦とも予選6位の大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

 「上とは僅差ですね。長嶋さんとコンマ2、3くらいなので。決勝ではスタートでがんばります。ふだんハコでは筑波を走っていますが、フォーミュラだと初めてなので、この金土日と調整している感じです。(筑波を)走り慣れているので、うまくやれたかなと思います」

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA

Forumula Beat

第4戦、第5戦筑波公式予選 酒井翔太が2戦ともにポールポジションを獲得

第4戦、第5戦ともポールポジションは酒井翔太(ファーストガレージFG108)

 2026年Formula Beat(F-Beat)地方選手権シリーズ第4戦/第5戦公式予選が5月31日(日)に筑波サーキットで開催され、ベストタイムによる第4戦、セカンドベストによる第5戦それぞれのポールポジションを酒井翔太(ファーストガレージ FG108)が獲得した。

 前回筑波でこのクラスのレースがあったのは2020年、まだJAF-F4と呼ばれていた時代で実に6年ぶり。F-Beatとしては初開催ということになる。今回のエントリーは9台、その中で4人が筑波の経験者で、KAMIKAZE(ファーストガレージ Rd04W)、富澤もぐら(柏南同窓会公認車ハンマーR疾風)、松本隆行(SHOUEI☆ミスト)が2020年。金井亮忠(チームNATS 正義 001)が2019年に出場していた。一方2009年生まれの村上太晟(ファーストガレージ FG108)は当時小学生だ。

 予選は午前8時20分コースオープン。気温24.7度、路面温度32.1度のドライコンディションだ。金井を先頭に20分間の予選がスタート。

 まずは計測3周目に酒井が54秒350のトップタイム。2番手金井56秒981、3番手村上太晟(ファーストガレージ FG108)57秒295と酒井が一人突出したタイムを出すと、続く周回では53秒866とトップタイムを削り取る。ちなみに2019年の予選では55秒がポールポジション争いのタイム。そしてこのカテゴリーが「F4」と呼ばれていた頃のコースレコードが2006年の54秒397秒だ。今回は前日の練習走行でトップグループが54秒台で周回しており、ニュータイヤを投入する予選でトップは53秒台に入るだろうという声が聞かれていた。2番手金井55秒870、3番手にはKAMIKAZEの56秒331、4番手57秒295の村上太晟(ファーストガレージ FG108)、5番手は富澤57秒495、6番手長嶋重登(ミスト☆T.U.CGROUP)57秒703。長嶋のマシンはメタリックの車体に「快獣ブースカ」の絵柄が名物だ。

 6分経過、金井は自己ベストを55秒212まで短縮するが酒井とは1.346秒の大差がある。その酒井はここでピットイン、タイヤの内圧調整だったとのこと。3番手KAMIKAZEが55秒460をマークした直後に赤旗が提示。富澤が第1ヘアピンで単独クラッシュ。モニターを見ると1ヘアに向かってブレーキングを行うところでタイヤがロックアップ、ターンインできずにアウト側のスポンジバリアにまっすぐ刺さってしまった。富澤のマシンはフロントウイングが大きく曲がってしまっているが、スポンジバリアから引き出されると自走でパドックに戻った。チームによると減速時のシフトロックによるもので、ドライバーはいたって元気だそうだ。

 残り時間10分から予選再開。この時点でトップ酒井、2番手金井、3番手KAMIKAZE、4番手村上、5番手富澤はクラッシュしたものの、ジェントルマンクラス(Gクラス)のトップ、6番手Gクラス2位の長嶋、7番手グランドジェントルマンクラス(GGクラス)トップの松本隆行(SHOUEI☆ミスト)、8番手大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)、9番手Gクラス3位の中村祥貴(ファーストガレージ FG108)の順。

 まずは残り時間8分に金井が54秒636と自己ベスト更新、酒井とは0.770秒差とするが、酒井はセクター1、3と全体ベストを出して53秒663とトップタイムを押し上げると、残り時間7分に金井が54秒404と再び酒井と0.741秒の差。後続でポジションを上げたのが大蔦で58秒771の7番手、さらに長嶋が57秒096とクラッシュ前の富澤を上回り5番手へ。

 残り6分、酒井はセクター1、2と再び全体ベストを出して53秒518。金井も53秒台に入れて53秒999、酒井と0.481秒差。KAMIKAZEに続く村上も56秒093まで自己ベストを短縮するが4番手変わらず。大蔦57秒264で6番手へ進出すると続く周回で56秒823と長嶋を上回り5番手へ。

 残り4分20秒、金井は53秒998と0.001秒を削り取ると、続いてセクター1、2、3で自己ベストを出して53秒758。酒井と0.240秒差。いつも予選では後半にペースが上がってくる金井なので、どこまで酒井に迫れるか。KAMIKAZEは55秒123、村上55秒709とそれぞれ自己ベストを更新するが3~4番手変わらず。

 残り2分40秒、金井はふたたびセクター1で自己ベストを出すと53秒616、ついに酒井と0.098秒差まで接近。金井のマシンは前日のフリー走行でミッショントラブルに見舞われて、学生たちと深夜までミッション交換作業を行ったそうだが、その甲斐あって調子よく走っている。短い筑波で酒井と金井だけがトップスピード時速200キロに達している。後方では長嶋が56秒342と大蔦を逆転、5番手を奪い返す。

 ここでチェッカードフラッグが振られて予選終了。金井は終盤酒井に肉薄するも2番手で酒井の第4戦ポールポジションが確定、金井2番手。3番手KAMIKAZE、4番手村上とファーストガレージの先輩後輩がセカンドロウに並び、3列目にGクラストップの長嶋と大蔦、エントラントこそ違うが同じMYSTのメンテナンスで実質的にチームメイトの二人が並ぶ。クラッシュした富澤が7番手。約2時間後のレースに間に合うか? 8番手唯一のGGクラス松本、9番手中村というスターティンググリッドとなった。

 各自のセカンドベストタイムで決定する第5戦のグリッドは53秒620の酒井がポールポジション。0.138秒差の53秒758で金井がフロントロウに並ぶ、以下KAMIKAZE~村上~長嶋~大蔦~富澤~松本~中村、と第4戦とまったく同じグリッド順となった。

 F-Beat第4戦決勝は午前10時55分、同じく第5戦決勝は午後1時55分にそれぞれ開始予定。予選タイムで3番手以下を大きく引き離した酒井と金井の一騎打ちが予想される。

第4戦、第5戦とも予選2位は金井亮忠(チームNATS正義001)

第4戦、第5戦とも予選3位はKAMIKAZE(ファーストガレージRD04W)

第4戦、第5戦とも予選4位は村上太晟(ファーストガレージ FG108)

第4戦、第5戦とも予選5位は長嶋重登(ミスト☆T.U.C.GROUP)

第4戦、第5戦とも予選6位は大蔦健太(MYST☆ダイヤ設備)

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA

Forumula Beat

第5戦筑波公式予選結果

筑波チャレンジクラブマンレース第2戦 -RIJ- (2026/05/31) Qualifying Weather:Cloudy Course:Dry
2026 Formula Beat Round 5 筑波サーキット 2.045km

PosClsCls
Pos
DriverCar
Maker Model
TimeBehindGapkm/h
16酒井 翔太ファーストガレージFG108
FG108
53.620--137.300
272金井 亮忠チームNATS正義001
NATS 001
53.758 0.138 0.138136.947
39KAMIKAZEファーストガレージRD04W
SYNERGY RD04W
55.123 1.503 1.365133.556
448村上 太晟ファーストガレージ FG108
FG108
55.307 1.687 0.184133.112
563G1長嶋 重登ミスト☆T.U.C.GROUP
Dallara F301
56.415 2.795 1.108130.497
631大蔦 健太MYST☆ダイヤ設備
MYST KK-ZS
56.551 2.931 0.136130.183
736G2富澤 もぐら柏南同窓会公認車ハンマーR疾風
疾風
57.960 4.340 1.409127.019
876GG1松本 隆行SHOUEI☆ミスト
Dallara F307
58.218 4.598 0.258126.456
93G3中村 祥貴ファーストガレージFG108
FG108
58.731 5.111 0.513125.351
---- 以上基準タイム(130% - 1'10.417)予選通過 ----

Forumula Beat

第4戦筑波公式予選結果

筑波チャレンジクラブマンレース第2戦 -RIJ- (2026/05/31) Qualifying Weather:Cloudy Course:Dry
2026 Formula Beat Round 4 筑波サーキット 2.045km

PosClsCls
Pos
DriverCar
Maker Model
TimeBehindGapkm/h
16酒井 翔太ファーストガレージFG108
FG108
53.518--137.561
272金井 亮忠チームNATS正義001
NATS 001
53.616 0.098 0.098137.310
39KAMIKAZEファーストガレージRD04W
SYNERGY RD04W
54.845 1.327 1.229134.233
448村上 太晟ファーストガレージ FG108
FG108
55.268 1.750 0.423133.205
563G1長嶋 重登ミスト☆T.U.C.GROUP
Dallara F301
56.342 2.824 1.074130.666
631大蔦 健太MYST☆ダイヤ設備
MYST KK-ZS
56.526 3.008 0.184130.241
736G2富澤 もぐら柏南同窓会公認車ハンマーR疾風
疾風
57.495 3.977 0.969128.046
876GG1松本 隆行SHOUEI☆ミスト
Dallara F307
58.149 4.631 0.654126.606
93G3中村 祥貴ファーストガレージFG108
FG108
58.627 5.109 0.478125.574
---- 以上基準タイム(130% - 1'10.190)予選通過 ----

コラム

ハンマー伊澤のフロム・ザ・コックピットLAP5「遠い昔に聞いた、スピードの声」

LAP5 「遠い昔に聞いた、スピードの声」

ハンマー伊澤

今でも覚えている。

35年ほど前だっただろうか、筑波サーキットで行われていたプロダクションカーの耐久レース。そのデモランで走ったF3000マシンが、目の前をものすごいスピードと音で駆け抜けていった。
ドライブしていたのは、確かロス・チーバーだったと記憶している。

ただ速かった、というだけではない。 あれは、何か別のものだった。
姿も、音も、空気の震え方も、全部ひっくるめて一気に来た。

目の前を通り過ぎた、その瞬間である。 なぜか涙が出た。
自分でも、何に打たれたのか、うまく説明できない。
感動という言葉でも少し違う気がする。
もっと剥き出しで、もっと直に来るものだった。
あのとき確かに、ただの「車」ではない何かが、目の前を通り過ぎていったのである。

最近のモータースポーツの流れを見ていると、思うことがある。
環境問題。 カーボンニュートラル。 エコ。
時代は確かに、そちらへ向かっている。 それは否定できない。
モータースポーツも、その流れの外にはいない。
そこに背を向けて済む話ではないし、環境への配慮を笑うつもりもない。
現代を生きている以上、その課題とは向き合うしかない。

だが、それでも思うのである。
耳を劈くようなエンジン&エキゾーストサウンドは、決して懐古主義ではない。
昔は良かった、というだけの話ではない。
ただ騒がしいものをありがたがっているのでもない。
そこを雑に片づけられると、違うだろう、と言いたくなる。

速さと音がひとつになったとき、人は理屈を越えた何かを感じる。
スピードと音の組み合わせに、魂が騒ぐ。

それは、気分の問題だけではない。
機械が限界へ向かっていること。
回転が上がっていくこと。
いまこの瞬間にエネルギーが解き放たれていること。
そういうものを、人は音で受け取っている。
目だけでは足りない。 耳で浴びて、身体で受けて、はじめて速さが実体を持つ。
私はそう思っている。

2014年、F1が自然吸気V8からV6ターボハイブリッドに変わったとき、セバスチャン・ベッテルは「パドックが社交ダンスの場になってしまった」と嘆いた。
あの言葉は、今も印象に残っている。
単に音量の話ではなかったのだと思う。
現場から、大事なものが抜け落ちた。
そういう感覚だったのではないか。

マシンが全身で吠えている感じ。
サーキット全体が緊張を帯びる感じ。
音が空気を支配していた、あの時代。
あれは数字の説明だけでは埋まらない種類のものだったはずである。

モータースポーツにおける音は、単なる付随物ではない。
それは速度の気配であり、回転の昂ぶりであり、人&マシンが限界へ向かっていることを耳で知るための現実でもある。
視覚だけでは足りない。 あの音があるからこそ、人は速さを身体で理解できる。
音は演出ではないく、速さの一部なのである。

私は、静かであることが、正義だとは思わない。
もちろん、環境への配慮は必要である。
そこから目を背けるつもりはない。
だが一方で、人の感性を震わせるものまで、あっさり切り捨ててよいとは、まったくもって思わない。

モータースポーツは、単に速さを競うだけの装置ではない。 人&マシンの限界と、人の感情の震えとを、同時に見つめる文化でもある。
その中で音が果たしてきた役割は、小さいどころか、かなり大きいはずだ。
音には、数字では置き換えられない説得力がある。

ストレートを通過するマシンを目で追っている時の、音圧レベルの変化。
コーナー進入時のダウンシフトの弾けるような音。
立ち上がりでまた重厚な音に変化していく時の、張り詰めるようなあの変化。
ただ聞いているだけなのに、こちらの内臓までつかまれるような感じになることがある。
観客席にいても、ピットにいても、音は身体に直接届く。

だから音が薄くなるというのは、ただ静かになるというだけではない。
モータースポーツが持っていた生々しさが、少し薄くなるということでもあるのだと思う。

疾風改に積んでいる2ZZエンジンは、排気量こそライバルより小さいが、高回転型のエンジンである。
このエンジンの価値は、数字だけでは語り切れない。
上まで回したときに現れる、あの抜けのいい音。
あれは、ただ回っているというだけではない。
マシンが自らの資質を露わにしていく瞬間の声のようなものである。

回転上昇とともに音が変わり、鋭さを増し、機械の内側にある性格そのものが剥き出しになっていく。
高回転型のエンジンには、高回転型のエンジンにしかない鳴き方がある。
その魅力は、排気量の数字だけでは決まらない。

だから、ただ走ればいいとは思っていない。
速ければそれでいい、という話でもない。
エキゾーストも工夫し、観る者の感性を刺激するようなサウンドに仕上げたいと思う。

1800ccの4気筒エンジンでは、たかが知れていると思われるかもしれない。
それはそうかもしれない。
昔の大排気量多気筒エンジンの、シンフォニーのような重厚な音は望めない。
だが、無いなら無いなりにに、出せる世界がある。

切れ味のある音。
上で抜けるような甲高い音。
ただ耳に届くだけではなく、胸に刺さる音。
そういうものは、まだ作れると思っている。

こういった部分にも創意工夫ができるのが、フォーミュラビートの美点の一つだ。

見た者、聞いた者の心に、何かを残すマシンにしたい。
ただ速かった、で終わるのではなく、 「あの音は忘れられない」 そう思ってもらえるようにしたい。

速さだけでなく、音でもまた、人の心を震わせるマシンでありたいのである。
あの日、筑波でF3000を見て、なぜ涙が出たのか。
いま振り返れば、それはスピードそのものに打たれたのではない。
速さと音がひとつになって、感性に触れ、魂に訴えかけてきたからだと思う。
目の前を通り過ぎたのはF3000マシンだったが、自分の中に残ったのは、それ以上の何かだった。

速さへの憧れ。
フォーミュラカーへの畏れ。
人の感情を揺さぶるものとしてのモータースポーツの力。
そういうものを、一度に浴びたのだと思う。

だからこそ、音は懐古ではない。
ただ昔を恋しがるための記憶ではない。

今なおモータースポーツが人の魂を揺さぶりうる、その理由のひとつなのである。

2026/05/23

HAMMER RACING HP:https://www.hammer-izawa.com/

VITA筑波

第2戦筑波決勝ドライバーコメント 優勝・川福健太「あの(2台の)間に行けるというイメージは思い描いていた」

優勝 川福健太(東京IRC従業員募集中vivoVITA)

 「スタート決めて前が少しでもミスしたらあの(2台の)間に行けるというイメージは、ずっと思い描いていました。ただイン側がちょっと寄ってきて、アウト側も寄ってきたので、その間が1台通れるかどうかで、僕も怖くて。でも空いているうちにいけ、と何とかそこを抜けてトップの後ろまで行けたので予定通りでしたね。後はトップの人も焦っている感じがあったので、1周目でまだ向こうがふらついているところで。第2ヘアピンで行くふりをして向こうにブロックさせて、僕は逆に立ち上がり重視で、バックストレートでイン側にねじ込んで。向こうも僕の1台分ぎりぎりしか残してくれなくて最終コーナーをインベタで飛び込む感じになってしまって、向こうもアウトから被せるように粘ってきて並走で立ち上がって。でもそこをうまく立ち上がれたらあとは外側の方が不利なので、その時点で『これはいける』と思いました。筑波でこんなにうまく行くとは思っていなかったので、自分でもびっくりでした。オープニングラップは自分も緊張しましたし、サイド・バイ・サイドでコツコツ当たりながら、なかなかしびれる走りで、お互い楽しかったと思います」

2位 西濱康行(ETA白波ワークスVITA)

 「スタートがあまりよくなかったというか、まわりがよかったみたいで。川福さんに前に行かれて、後は順番通り並んで、前がけっこうバトルしていたのでちょっと下がったところで様子を見ていたら(前の)二人がちょっと当たってしまっていなくなったので、結果的に2位になりました。僕はまっすぐ走っていただけかもしれません。自分が想定していたよりも上のポジションで維持できたので、よかったと思います」

3位 藤原晃輝(エースラインズVita)

 「前のクルマに第1コーナーで抑えられたので、そのまま後ろについて行こうと思っていたら、ラッキーで順位上がったのですが。後ろから佐藤さんが追い上げてきていたのは分かっていたので、ペースを落とさず頑張っていました。プレッシャーは感じましたね(笑)。前をずっと追いかけていたのですが、西濱さんには追いつけなかったです。今までのレース歴で表彰台は初めてです」

4位 佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)

 「たなぼたで4番手につけて、そこからもっと行けるかなと思ったのですが。その後は防戦一方で、厳しかったです。クルマにあまりスピードがないので、厳しい部分がありました。あとは守り切るしかないな、と思っていました。1コーナーでちょっと接触もありましたが何とか守り切れてゴールできたので、よかったと思います」

5位 中島正之(ビーンズスポーツVITA 2号車)

 「前の方が何台かつぶれた結果なので、たなぼたではありましたが。自分としてはなかなか仕事の都合で練習に来られなくて、3月の耐久に出て次にこのクルマ乗ったのが今日、ということで練習もしていない中ではベストな感じで走れたと思います。クルマは最初ちょっとアンダー気味だったので、メカニックに人にちょっと調整をしてもらったら、決勝はすごく乗りやすくなって、前のクルマについていけました。次はできれば表彰台に乗りたいと思います」

6位 四條健(Raise UP VITA01)

 「夢中で走っていて何位かわからなかったです。1周目で2台抜けて前に出られたので、絶対負けないぞと思ったのですが、やはりベテランの方に差されてしまって。あとは後半後ろに抜かれないように気を付けながら走っていました。バトルはとても楽しかったです。次の機会があれば頑張りたいと思います」

Text: Junichi SEKINE

VITA筑波

第2戦筑波決勝 川福健太が注文通りの立ち合いでトップ奪回、2周目からは一人旅で優勝を飾る

優勝して手を振る佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)

 VITA筑波シリーズ第2戦決勝は5月24日(日)に行われ、ペナルティで4番手スタートとなった川福健太(東京IRC従業員募集中vivoVITA)がオープニングラップで一気にトップに立つと後続を突き放し大差で優勝した。

 決勝は12時38分スタート。予選が終わるころから晴れ間がのぞき始め、コースイン時にはすっきりと晴れ上がり、気温も22.9度、路面温度40.6度まで上昇したドライコンディションでレーススタート。

決勝がスタートした

 川福が公約通りロケットスタートを決めると第1コーナーへの加速で2番手オオサワヨシアキ(ビーンズスポーツVITA)3番手西濱康行(ETA白波ワークスVITA)の間にノーズをねじ込む。インに西濱、中央に川福、アウトにオオサワという3ワイドで第1コーナーに向けて加速すると、勢いに勝る川福が抜け出してターンイン、2位に上がる。第1コーナーでは西濱とオオサワによるサイド・バイ・サイドの3位争いが展開し、アウトからかぶせたオオサワが前に出る。5位藤原晃輝(エースラインズVita)に続いて中島正之(ビーンズスポーツVITA 2号車)が佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)のインを差して僅かに先行するが、S字で佐藤が逆に差し返して6位のポジションを守る。さらに後方では、8番手スタートの土屋伊津季(ディープレーシングVITA)に対して今回VITAレースデビューの四條健(Raise UP VITA01)が第1コーナーで見事なオーバーテイク。8位へと順位を上げる。

 2位に上がった川福はトップ柿沼一峰(pt恵比寿 制動屋 NUTEC vita)のテールに張り付いてダンロップコーナーを通過。第2ヘアピンをタイトに旋回すると柿沼の右サイドに並びかけてバックストレートを加速。そのままイン側を抑えて最終コーナーへ。両車譲らずサイド・バイ・サイドでターンすると川福が前で立ち上がりメインストレートへ。オープニングラップで早くもトップの座を奪い取る。2位柿沼。3位7オオサワ、4位西濱、5位藤原、6位佐藤に続いて四條が中島も仕留めて7位で続いてオープニングラップを終了した。

 2周目の第1コーナーでは柿沼がアウトから川福に仕掛ける。このバトルの間にオオサワが接近。第2コーナーで柿沼のインを突くとS字でオーバーテイク、2位に上がる。しかし続く3周目、今度は柿沼が逆襲。第1コーナーでインからオオサワに並びかけるが両者接触。柿沼はダメージがあった模様で第2コーナー出口のグリーンにストップしてしまう。オオサワは5位まで順位を落としたものの走り続けている。2位に西濱、3位藤原、4位佐藤とそれぞれ順位を上げる。6位には4四條。

 これでトップ川福のポジションは安泰になり3周目を終えて2位西濱に2.724秒の差をつけると、毎ラップ0.5~0.8秒程度ずつ間合いをひろげていく。後方で緊張が増しているのが5位オオサワと6位中島の間で、5周目に1.284秒あった差が6周目には0.547秒差、7周目0.387秒差とじわじわ接近。しかしオオサワもペースを上げて8周目、9周目とギャップをひろげなおす。

 トップ川福はペースを緩めることなく11周目に1分3秒149とこの日のファステストラップを叩き出して2位西濱との差を8.681秒までひろげて一人旅状態。西濱と藤原は単独走行だが、佐藤を先頭とする4位グループは、オオサワが0.192秒差、中島が0.530秒差と依然として接近戦だ。しかし続く12周目にオオサワがスローダウン、ゆっくりとピットに戻る。確認したところ佐藤とのバトルでスピンした模様だ。これで中島5位、四條6位。

 ファイナルラップ、川福は勝利を確信したか僅かにペースダウン。それでも2位西濱に10.408秒の大差をつけてフィニッシュラインを通過。予選でコースレコードのトップタイムを出しながら走路外走行で降格したものの、圧倒的ともいえる速さで優勝を飾った。

 これで川福は昨年の筑波最終戦に続いてスプリントレースは連勝。さらに今シーズンここまでもてぎSUGOシリーズ3連勝、5月9日に行われた富士のFCR-VITAでも優勝しており、これで今年出場したレースで5連勝ということになった。

 筑波VITAシリーズ第3戦は3カ月のインターバルを置いて8月30日(日)開催予定。今回圧倒的に速かった川福が昨年の兒島弘訓と同様にシリーズを席巻するか。新たなライバルが現れるか注目だ。

佐藤孝洋と柿沼一峰の争い

佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)とオオサワヨシアキ(ビーンズスポーツVITA)の争い

スピンするオオサワヨシアキ(ビーンズスポーツVITA)

優勝は佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)

決勝2位は西濱康行(ETA白波ワークスVITA)

決勝3位は藤原晃輝(エースラインズVita)

決勝4位は佐藤孝洋(Tipo ETA VITA01)

決勝5位は中島正之(ビーンズスポーツVITA 2号車)

決勝6位は四條健(Raise UP VITA01)

ゴールシーン

優勝した川福健太

表彰式

Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA
Junichi SEKINE

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