2009全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第1戦の決勝が4月5日、富士スピードウェイで行われ、#2ブノワ・
トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)が絶妙のピット作戦でトップにたち、2007年第1戦富士以来、
2年ぶりの勝利をものにした。
2位には予選2位の#41伊沢拓也(DOCOMO DANDELION RACING)が入り、自身初の表彰台を獲得。
ポールポジションの#20平手晃平(ahead TEAM
IMPUL)はスタートで大きく順位を落としたものの周囲のトラブルなどにも助けられて順位を挽回し、3位表彰台を得た。
スウィフトエンジニアリング製のニューシャシー、FN09を導入した最初のレースは、
午後2時30分にフォーメーションラップを開始した。一時は天候が危ぶまれたものの、F3同様、
このレースも最後まで雨に見舞われることはなかった。
スタートでは、
ハード方向に振られた09仕様のタイヤにクラッチ制御をあわせきれなかったポールシッターの平手晃平が大きく出遅れるのを尻目に、
昨年同じ2番グリッドから一時トップに躍り出てスタンドを沸かせた伊沢がここでもトップに立った。
前回は1コーナー手前で松田次生に抜き返されて2位に後退したが、今回は背後を脅かす相手はおらず、
伊沢はトップのまま序盤戦を快調に走り続ける。
2番手にはトレルイエがつけるが、その後方では#31ロイック・デュバル、#32小暮卓史、#1松田次生の3台が交錯、小暮が松田、
デュバルと立て続けに接触してコースを飛び出し、大きく順位を落としていった。
結局1周目を終わった時点での順位は、伊沢、トレルイエ、デュバル、松田、ロッテラーの順。平手はその後ろ、6位で戻ってきた。
また、予選7番手でフリー走行トップだった#8石浦宏明がエンジンストールにより1周遅れの最後尾に後退している。
今回新車導入に伴って設置されたオーバーテイクシステムを序盤から積極的に使ってきたのが3位のデュバル。
しかしどうしてもトレルイエの前に出ることが出来ない。
一方、デュバルのチームメイト、小暮は一時12位まで後退しながらも、
1コーナー手前から作動させるという方法でこのシステムを効果的に使い、8周目の1コーナーで#37大嶋和也、
20周目の1コーナーで立川祐路、22周目の1コーナーでリチャードライアンを次々に攻略して順位を挽回していった。
そんな中、4番手争いを展開していた松田とロッテラーが17周目の1コーナーで接触。
オーバーテイクシステムを使いながらインに飛び込んだロッテラーが立ち上がりで松田を横からすくい上げる格好でランオフエリアに弾き飛ばしてしまった。
松田はその場でリタイヤ。ロッテラーには24周目に15秒ストップのペナルティが下された。
これにより上位陣は、伊沢-トレルイエ-デュバル-平手の順となった。
このロッテラーのペナルティと前後して、ピットストップを行うドライバーが出始めた。
まず23周終わりでコースアウトして順位を落とした国本、ついで24周終わりで3番手を走行していたデュバルがピットイン。
デュバルは給油に30秒以上を要した。軽めのタンクで序盤に順位を稼ぐ作戦だったか。
その3周後にはチームメイトの小暮。小暮はここまで6位に浮上していたが、ピット作業の際に給油口がうまく入らず、大きくタイムロス。
結局ピットアウトまでに50秒を要して再び後方に沈むことになってしまった。
2位を走行していたトレルイエは32周終わりでピットイン。
その1周後にトップの伊沢がピットに向かう。
伊沢はトレルイエの前でコースインすることに成功したが、1周先にピットストップを済ませたトレルイエのタイヤには充分熱が入っており、
あっという間に間隔を詰められてしまう。
ストレートでオーバーテイクボタンを使い、必死に逃げにかかる伊沢だったが、35周目の1コーナーでトレルイエは悠々と伊沢のインを突き、
トップに躍り出た。
36周終わりには、暫定トップに繰り上がっていた平手がピットイン。
なんとかトップのままコースに戻ろうとするが、その鼻先を掠めてトレルイエが通過、
その周のダンロップでは伊沢にもインをつかれて結局3位に落ち着いた。
上位陣はこのままの状態で残り周回を走行、結局トレルイエは伊沢に5.980秒差をつけて55周を走り切り、
2007年開幕戦富士以来、丁度2年ぶりの勝利を手にした。
2位を獲得した伊沢はこれが初の表彰台。平手はスタートの失敗はあったがその後は着実に走ってなんとか表彰台の一角を占めた。
次戦は鈴鹿。5月17日決勝だ
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
Cクラス
優勝 #36井口 卓人(PETRONAS TEAM TOM'S)
去年も開幕3連勝しましたが、その後辛いシーズンになったので、手放しでは喜べません。今後も同じように頑張っていければと思います。
今日はずっとプッシュしてミスなく走れました。
気温が低かったせいか、公式練習で見られたようなタイヤのグリップダウンもなく、中盤以降もペースを上げて走ることが出来ました。
2位 #37国本 雄資(PETRONAS TEAM TOM'S)
3番手からでしたが、スタートがチャンスだと考えていたので1コーナーで前の2台よりブレーキを遅らせて入りました。
ホイールロックさせてしまいましたが2位に上がれました。
後半は井口選手のペースが速くて置いていかれましたが、自分のベストは尽くせたと思います。
3位 #1マーカス・エリクソン(PETRONAS TEAM TOM'S)
今日のレースはちょっとゴチャゴチャしてしまいましたね。1コーナーで井口選手を抜こうと思っていたら、
国本選手に飛び込まれてしまいました。その後100Rを3台併走で走っているときに安田選手に当たってしまいました。
1周目はアンラッキーでしたが、その後はクルマの状態もよく、いいペースで走れたので、結果には満足すべきでしょうね。
これからは気持ちを切り替えて岡山に臨みます。
Nクラス
優勝 #18関口 雄飛(AIM SPORTS)
昨日はピットスタートになって、沢山バトルをしたので面白かったですが、今日は簡単に勝てたかんじでつまんなかったです。
レースした実感がないっていうか。
リヤのグリップがなくなってきてたため中盤以降はペースが落ちてしまいました。公式練習でロングランをやってなかったので、
どこまでいけるかがわからなかったんです。
それで、後ろが追いついてきたらアタックして突き放すつもりで、終盤はずっと後ろをみて走っていました。
2位 #7山本 尚貴(HFDP RACING)
これが実力ということです。タイムが出ているのは、チームがいいクルマを用意してくれているからで、
乗りこなしてるというより乗せられているんです。今はそれを事実として受け止めて、どうすればいいか考えています。
これを受け止められるかどうかで今後のレースが違ってくると思うんです。気持ちを切り替えて次のレースで借りを返したいです。
3位 #23佐藤 公哉(NDDP EBBRO)
6番手スタートでしたし、昨日に続いて今日もスタートを失敗してしまいましたが、
小林選手とアレックス選手がストールしていたので順位を上げられました。途中、千代選手を抜くのに手間取ってしまい、
前の二人に逃げられてしまいました。
今はこれが自分の限界なんだと思います。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
全日本F3選手権第2戦の決勝レースは4月5日、曇天の富士スピードウェイで開催され、Cクラスは#36井口卓人(PETRONAS
TEAM TOM'S)が、Nクラスは#18関口雄飛(AIM SPORTS)がいずれも開幕戦に続いて2連勝を達成した。
昨日の第1戦は小雨に翻弄されて荒れたレースとなり、第2戦もまた分厚く垂れ込める雲の下でスタート進行が行われたが、
今回は最後までドライコンディションでの戦いとなった。
第2戦決勝は午後0時45分にフォーメーションラップが開始された。
スタートではポールの井口がアウトに並びかけてきた#37国本雄資を退け、そのままトップで1コーナーを立ち上がる。
国本に出し抜かれた格好の#36マーカス・エリクソンは、1コーナー立ち上がりで失速した国本に並びかけていき、
2台は併走状態でコカコーラコーナーに飛び込んでいく。
その結果、ここの立ち上がりで今度はエリクソンが失速、後方集団に飲み込まれてしまった。
これにより、3台併走で立ち上がった100Rでエリクソンは安田と接触してしまい、総合12位まで順位を落とす。
一方の安田はスピンアウトし、最後尾でコースに復帰した。
猛然と追い上げるエリクソンは只一人1分34秒台を連発し、3周目に8位、4周目には6位、
5周目の1コーナーではNクラストップの関口、ホームストレートに戻ったところで嵯峨を捕らえて6周終わりでは一気に4位まで挽回してきた。
そしてついに9周目のホームストレートで#2ケイ・コッツォリーノを攻略して3位表彰台圏内に復帰する。
一方、最後尾に後退した安田も後方から着実に順位を挽回していたが、
スピンの影響からか13周終わりでタイヤ交換のためにピットストップを余儀なくされ、再び最後尾に後退してレースを終えた。
こうした状況の中、トップ2台の間隔は国本の懸命の走りもあってしばらくは1秒半前後で推移する。
しかし井口は全周回数の半分を消化した頃から徐々にペースを上げていき、15周を終えた時点でついに両者の差は2秒を超えた。
結局井口は最終的に国本に3.287秒差をつけて開幕2連勝を達成、2位国本、
3位エリクソンとともに2戦連続でトムスが1-2-3フィニッシュを果たした。
Nクラスも関口が2戦連続のポール・トゥ・ウィンを達成、序盤のアクシデントで順位を落とし、
後方から追い上げてきたCクラスのクルマを巧みに利用して2位以下との間隔を広げると、最後までトップの座を明け渡さずに21周を走りきり、
国内復帰戦を開幕2連勝で終えた。
2番手を走行する#7山本尚貴も終盤懸命に追い上げたが、あと0.9秒及ばず、関口の後塵を拝する結果となった。
次戦は岡山国際サーキット、第3戦は4月25日、第4戦は4月26日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
全日本選手権フォーミュラニッポン第1戦富士のフリー走行2回目は、#8石浦宏明(Team
LeMans)が1分25秒930でトップタイム。2番手には#32小暮卓史(NAKAJIMA RACING)がつけ、
3番手4番手はそれぞれ#10塚越広大(HFDP RACING)、#37大嶋和也(PETRONAS TEAM
TOM'S)とユーロF3帰りのルーキーが占めた。
フリー走行2回目は4月5日午前9時50分より30分間で行われた。
昨日のF3決勝の開始直前から夜半まで降り続いた雨も上がり、
空には未だ雲がかかっているものの路面は完全にドライコンディションに回復した。
ここで好タイムを記録したのは、昨日の予選を7番手で終えた2年目の石浦だ。
最初の計測でこのセッションベストとなる1分25秒930を記録すると、その後も快調に周回を重ね、最多の18周を走行した。
チームメイトのルーキー、#7国本京佑も17周を走り、8周目に1分27秒303を出して9番手。
同じく17周を走ったルーキーの塚越は1分26秒856を13周目に記録して3番手タイムを記録。昨年ユーロF3で塚越と同じチームに所属、
1勝を挙げている大嶋は15周走って11周目に1分26秒874で4番手につけている。
一方、ポールシッターの#20平手晃平は14周を走行、最後にベストラップを記録したが、
1分27秒172とここでは8番手に終わった。
第1戦決勝は午後2時30分より、55周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
Cクラス
優勝 井口 卓人(PETRONAS TEAM TOM'S)
2番手スタートで、雨も降ってきて、今日は難しいレースになるなと思いましたが、マーカス選手についてって、動きをよくみて、
自分が勝ってるところ、負けてるところを考えながら走りました。その結果、ファイナルラップでうまくインに入ることが出来、
優勝することが出来たので嬉しいです。
途中雨が強くなり、怖くてアクセルが踏めない状況になりましたが、そこでマーカス選手がミスをして一気に差が詰まりました。
彼は外に膨れる傾向があったので、最終コーナーでインを差して、並んだまま踏んでいけば勝てるかな、と思いましたが、
そのとおりになりました。
これからも自分の走りをして、去年のカルロ選手みたいに安定した走りを続けたいですね。
2位 マーカス・エリクソン(PETRONAS TEAM TOM'S)
非常に難しいコンディションでした。雨がどんどん降ってきて、長く、タフなレースになりました。
スタートはうまくいったんですが、井口選手も離れずにずっとついてきました。そんな状況の中で僕はミスをしてしまい、
一気に差を詰められてしまいました。
最後までトップを守れなかったことは残念に思いますが、同じチームで1-2-3を達成できたことは良かったと思います。
井口選手はいつか仕掛けてくる、と思っていましたが、僕はタワーの表示を勘違いしていたので、
まさかあれがファイナルラップだとは思っていなかったんです。
3位 国本 雄資(PETRONAS TEAM TOM'S)
今日は初レースで、雨も降ってきて、不安でした。
スタートはうまくいったんですが、それ以上に安田選手が速かったのでびっくりしました。でもすぐにチームから無線で「彼はフライングだから」
と知らされたので、あとは無理しないで自分の走りをするように心がけました。かなり集中して走っていたのですが、それでも前の二人は速くて、
追いつけませんでした。

Nクラス
優勝 関口 雄飛(AIM SPORTS)
スタートでエンジンがかからなくて、ピットスタートになってしまいましたが、雨だったのでトップに立つことができました。
ドライだったらこうはいかないと思うので、今日は天候にも助けられてラッキーでした。
クルマの状態はNの中では悪くなかったです。
エンジンがかからなかったときは「マジで?!」と思いましたが、台数も少なかったし、必ずトップに立てると思って走りました。
でも途中で興奮しすぎて何度かミスをしてしまいました。
2位 小林 崇志(HFDP RACING)
関口選手がピットスタートになり、実質2番手スタートになって、スタートも決まり、1位にあがれました。
後方のドライバーがミスをして間隔も空いたので、勝てる状況でしたが、難しいコンディションの中、ペースを守れず、勝てませんでした。
3位 千代 勝正(TEAM NOVA)
今日は予選6番手という不本意な位置からのスタートになりましたが、雨という状況をポジティブに考えて、チャンスと受け止めました。
スタートが決まって、他のドライバーがミスしたこともあり、順位を上げることが出来ましたので、
あとは競り負けないでコースに留まっていればチャンスはあると思っていました。
F3はFCJと比べるとスリップの利きがいいので、駆け引きが難しいと思いました。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI

ポールポジション 平手 晃平(ahead TEAM IMPUL)
テストからずっとドライで走る機会がなかなかなくて、今日は富士のテストで良かったセットで走り出して、
そこから大きく違う方向にセットを変えたらうまくいきました。
予選では、Q1、Q2と少しづつセットを変えていって、Q3はQ2のままの状態でいきました。まだクルマはベストの状態ではありませんが、
そんな中で自分自身はベストを尽くして走れたと思います。
ポールポジションを獲るのは本当に久々なので、明日の決勝は大事に走ってポール・トゥ・ウィンで終わりたいですね。
予選2位 伊沢拓也(DOCOMO DANDELION RACING)
冬のテストから調子は良かったんですが、どうしてもインパル勢についていけませんでした。それでチームのほうも色々考えてくれて、
今日予選を走ったらQ1ですごくいいタイムが出てびっくりしました。
でもQ3ではあとほんのちょっとでポールを逃したのですごく悔しいですし、チームにも申し訳ないと思いました。
去年も2番グリッドで、スタートでトップに立ったんですが1コーナーで抜き返されてしまいましたので、
今年は抜き返されないようにしたいです。
オーバーテイクシステムは、まあ使い方がわからないので、レースで試行錯誤しながらちょっとずつなれていきたいです。
予選3位 ブノワ・トレルイエ(LAWSON TEAM IMPUL)
今日はまぁまぁいい一日でした。朝から色んなセッティングにトライしてきました。予選はQ1のセットは良かったんですが、
Q2はトラクションが不足していたので、Q1のセットに戻してQ3を走りました。まだクルマはパーフェクトな状態にはなっていませんが、
今日の結果は嬉しく思います。
こうして記者会見で若い選手が二人横に居ると、自分がすごく歳をとったような気がしますね。
明日の決勝は、まず第一にちゃんとフィニッシュすること、それから、スタートで誰も押し出さないことを心がけます。
新しいクルマになってからまだ誰もロングランをやってないので、レースでは何がおきるかわかりませんからね。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
2009全日本選手権フォーミュラニッポン第1戦富士の公式予選は昨年に続いてノックアウト方式で行われ、
#20平手晃平(ahead TEAM IMPUL)が見事参戦2年目にして初のポールポジションを獲得した。
2番手には#41伊沢拓也(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がつけ、
昨年の第1戦以来のフロントローから明日の決勝に臨む。
午後1時45分、公式予選Q1が開始された。
参加台数が13台に減少したことにより、Q2、に進出できる台数は11台とされた。Q3は昨年同様8台で行われる。
最初にコースインしたのは#8国本京佑、続いて#48立川祐路がコースイン。
午前中のフリー走行でタイムの出なかった立川と、少しでもクルマに慣れておきたいルーキー勢が開始早々から精力的に周回を重ねる一方で、
そのほかのドライバーは昨年同様ガレージでじっとタイミングをうかがい、
残り5分あまりとなったところで漸く本格的なタイムアタック合戦が開始された。
ここでトップタイムを記録したのは伊沢。1分24秒856といち早く1分24秒台にタイムを入れると、
そのまま24秒742までタイムを縮めて走行を終えた。結局Q1で24秒台を記録したのはこの伊沢のみ。
2番手には25秒022で平手がつけ、以下、トレルイエ、松田とインパル勢が2-3-4番手を占めて5番手にデュバルという結果になり、
朝からタイムの伸び悩んでいる立川と、ルーキーの大嶋和也がここで姿を消すことになった。
10分間のインターバルの後に行われたQ2も、残り6分からアタック合戦が繰り広げられ、
ここではディフェンディングチャンピオンの#1松田次生が1分24秒697でトップに。
2番手に平手、3番手にデュバルが続き、Q1トップの伊沢は7番手、Q1で3番手のトレルイエは8位とぎりぎりでQ3に生き残った。
ここで姿を消したのは国本、ライアン、塚越。これでルーキーは全員が予選を終えることとなった。
ところがそのトップの松田はブレーキに問題を抱えており、Q3までのインターバルで急遽調整作業に入ることになってしまった。
これに手間取った松田はQ3開始5分過ぎまでピットを出ることが出来ず、
結局アタックの機会を逸して明日の決勝を8番グリッドからスタートすることになってしまった。
一方、Q1、Q2と連続して2番手につけていた平手はQ3で更にタイムを伸ばし、チェッカー直前に1分24秒653を叩き出して、
見事フォーミュラニッポンで初のポールポジションを獲得した。2番手はQ1トップの伊沢。1分24秒692と、
平手に僅か100分の4秒差につけ、明日の決勝を昨年のデビュー戦同様フロントローからスタートする。
3番手にはQ2をぎりぎりで切り抜けたトレルイエがつけ、ベテランの面目を保った。
第1戦決勝は明日午後2時30分より、55周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
全日本F3選手権第2戦の公式予選は、#36井口卓人(PETRONAS TEAM TOM'S)がCクラスのポールを獲得、
Nクラスは#18関口雄飛(AIM SPORTS)が第1戦に続いてポールポジションを獲得した。
第1戦の公式予選から10分間のインターバルをおいて、午前11時05分より第2戦の公式予選が開始された。
マーカス・エリクソンも終盤に1分33秒台に入ってきたが、一歩及ばず。1分33秒880で2番手に終わった。
3番手国本雄資は1分34秒007。33秒台には届かなかったが、第1戦の予選タイムを大幅に更新した。
またしてもトップ争いはトムスの3台によって争われることとなったが、今回主導権を握ったのは井口だった。
井口は開始8分過ぎに1分33秒886といち早く33秒台に入り、その後も33秒639、
33秒451と着実にタイムを縮めて参戦2年目の面目を保った。
Nクラスはまず#20アレキサンドラ・インペラトーリがトップに立つ。2番手には山本尚貴がつけていたが、
残り時間2分を切ったところで再び関口がトップに立ち、2戦連続のポールポジションで明日の決勝に臨む。
第2戦決勝は明日午後0時45分より、21周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
全日本F3選手権第1戦富士の公式予選は、今年からチーム・トムスに加入した#1マーカス・エリクソン(PETRONAS TEAM
TOM'S)がCクラスのポールポジションを獲得。Nクラスは昨年ヨーロッパでインターナショナル・フォーミュラ・
マスターに参戦していた#18関口雄飛(AIM SPORTS)がポールとなった。
昨年のシャシー更新に伴い、旧型シャシーによるナショナルクラスが設けられたF3選手権。
今年からはこのナショナルクラスにも全日本タイトルが掛けられることになり、これに伴って昨年の全日本クラスはCクラス、
ナショナルクラスはNクラスと名称も変更された。
また、昨年まで無限エンジンで全日本クラスに参戦していたチーム・リアルがNクラスに活躍の場を移し、
HFDPレーシングとして山本尚貴、小林崇志の2台を走らせるほか、かつてナウ・モータースポーツから全日本F3に参戦し、
昨年はヨーロッパに活動の場を移していた関口もNクラスで全日本復帰を果たすなど、
今シーズンはチーム体制やドライバーラインナップにも大きな動きが見られた。
予選方式も、昨年の30分間のセッションのセカンドタイムが土曜の決勝、
ベストタイムが日曜の決勝という今ひとつわかりにくいやり方から、今年は従来の15分間×2回の方式の戻されることとなった。
こうして新たなスタートを切った全日本F3選手権最初の公式予選は、4月4日午前10時45分より15分間で行われた。
Cクラスはエリクソン、#36井口卓人、#37国本雄資のトムス勢が序盤から激しくトップを争い、
そこにスリーボンドエンジンの#12安田裕信が割ってはいる展開となり、上位5台が昨年までのコースレコードを更新した。
結局、チェッカー直前に1分34秒019を叩き出したエリクソンが第1戦のポールを獲得、2番手に井口、3番手国本と、
トムス勢が1-2-3を占めて午後の予選に臨むことになった。
Nクラスは序盤から#7山本が好タイムを連発してトップに立ったが、
開始13分過ぎに関口が1分36秒137を出してトップに躍り出た。2番手には山本、
3番手には今季よりFCJからステップアップしてきた#8小林がつけた。
第1戦決勝は今日の午後3時55分より15周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum
2009全日本選手権フォーミュラニッポン第1戦富士のフリー走行1回目は、チャンピオンの#1松田次生(LAWSON TEAM
IMPUL)が1分25秒611でトップ。2番手には#20平手晃平(ahead TEAM IMPUL)がつけ、
2009年最初のセッションはインパル勢の1-2となった。
シャシー、エンジンを一新して開幕したフォーミュラニッポンの2009シーズン。
今シーズンデビューするルーキーは、ユーロF3から大嶋和也、塚越広大の二名、
そして昨年のマカオGPを見事制した国本京佑も全日本F3からのステップアップを果たした。
その初戦、富士ラウンドのフリー走行1回目は、4月4日午前9時30分より、60分間で行われた。
先月の富士テストが雪によって消化不良に終わったうえ、今年からフォーミュラニッポンでもGT同様に金曜日の走行を取りやめ、
2デー開催となったため、各チームとも未だ充分なデータ収集が出来ていない状況だ。
それゆえこの最初のセッションでは1周でも多く走行を重ねるものと思われたが、
ルーキーの3人と今季から1台体勢となったセルモの立川以外は開始20分過ぎまでピットガレージで待機という、いつもどおりの展開となった。
そんな中、いちはやく1分25秒台を叩き出してトップに躍り出たのは昨年1勝を挙げてルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した平手だ。
タイムは1分25秒679。
開始30分を経過して漸くコースに出てきた同じインパルの松田、#20ブノワ・トレルイエらも最初のアタックでいきなり1分25秒台を出し、
1分25秒818の松田が2番手、トレルイエは25秒851で3番手につける。
そこに#36アンドレ・ロッテラーが1分25秒837、25秒809とタイムを刻んで2番手に割って入った。
松田は残り10分で1分25秒611までタイムを短縮。結局これがこのセッションのトップタイムとなり、
2番手の平手とともにチームインパルが1-2という結果に。
更に上位5台をトヨタエンジンユーザーが占め、ホンダ勢トップは#31ロイック・デュバルの6番手が最高と、
ここではハッキリと明暗が分かれた格好だ。
第1戦の公式予選はこのあと午後1時45分より、ノックアウト方式で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum

GT500クラス #24HIS ADVAN KONDO GT-R
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
難しいコンディションの開幕戦でしたが、僕らは気候にセッティングがばっちり合っていました。
タイヤチョイスも合っていたので走りやすく、5周目を過ぎてからは本当にハードにプッシュすることが出来ました。
途中18号車が迫ってきましたが、その頃から雨が強くなり、それ以降は出来るだけギャップを広げられるように考えて走りました。
今年はフォーミュラニッポンに出ないのでその分GTに集中して結果を出していきます。
荒聖治
終盤雨が少なくなってきたために、タイヤが路面に合わず、終盤差を詰められてしまいました。
それでも充分な差をオリベイラがつけてくれていたので逃げ切ることが出来ました。
今回からヨコハマさんが新しいパターンのレインタイヤを投入したので、その手ごたえを感じながらレースできたのが嬉しかったですね。
今年は1年を通じて安定したパフォーマンスを出していくのが目標です。
GT300クラス #19ウェッズスポーツADVAN IS350
片岡龍也
チームを移籍して初めての実戦でしたが、コースインした時点から難しいレースになるなと思いました。
レース中は雨の量が減ったり増えたりして、安定したペースで走るのが難しかったです。
トップに立った後、マージンを広げようとしたんですが、途中でスローダウンしてる車に引っかかってしまい、一気に差が詰まってしまいました。
それで、もう一度差を広げようと予選並みにプッシュしたら飛び出してしまいました。
それでもうちのチームはピット作業がすごく早いとわかっていたので、諦めずにプッシュしていきました。
今日の優勝は大きな自信になりました。
織戸学
スーパーラップは2位に終わってしまって、ヨコハマはGT300クラス用のレインも新しいパターンになったので、
朝のフリー走行で確認したかったのに、アクシデントの制で充分な確認が出来ず、マイナス思考に陥りそうになりました。
それでも片岡さんの明るいキャラのお陰でチーム全体のモチベーションが上がりました。
個人的には500クラスでヨコハマが優勝したことを嬉しく思っています。
今回はチーム一丸となって優勝できました。
今年はどうしてもチャンピオンを獲って坂東正敬監督にプレゼントしたいです。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
2009スーパーGT第1戦、岡山GT300kmレースの決勝は、終始ウェットコンディションの下で行われた。
見事優勝を飾ったのは、予選3番手からスタートした#24HIS ADVAN KONDO GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・
オリベイラ/荒聖治組)。
タイヤ選択を誤り序盤苦しい走りを強いられた#38ZENT CERUMO SC43を2周目に抜き去ってトップに立ち、
1度もトップを譲らずに82周を走り切り、昨年のセパン依頼の勝利をものにした。
GT300クラスは#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也組)が優勝。
序盤トップに立ちながらコースアウトを喫するなど危ない場面もあったが、巧みなピット戦略で再びトップを奪い返し、
昨年のもてぎ以来の勝利を挙げた。
(天候:雨時々曇り コース:ウェット 観客動員数:23,000人)
コースコンディションの悪化を考慮し、決勝レースは午後2時にセーフティーカーの先導でスタートした。
路面はウェットのままだったが、フリー走行後に降りだした雨はスタート進行が進むにつれて止んでいたため、
これに合わせてGT500クラスの数台がグリッド上で浅溝タイヤへの交換を決断した。
その中にはポールシッターの#38ZENT SCも含まれていた。
隊列を組んだまま2周を消化したところでSCカーはピットイン、3周目からコースはオールグリーンに。
ところがその直後の1コーナーで姿勢を乱した#1モチュールGT-Rと#36ペトロナスSCが接触。
1号車はすぐにコース復帰したものの左フロントフェンダーを大きく破損。その上この接触がもとで6周目にドライブスルーペナルティ、
18周目にフェンダーの破損の修理を求めるオレンジボールを受けてしまった。
一方の36号車はグラベルに飛び出してしまい、マーシャルの助けを借りてコースに復帰するも、浅溝タイヤがコースにマッチせず、
12周終わりでタイヤ交換を決断、これで大きく順位を落とすことになった。
ポールポジションの38号車もまた、路面コンディションとタイヤのマッチングに苦しみ、
3周目にあっさりと24号車にトップを明け渡すと、その後も4周目に#18ロックスター童夢NSX、7周目に#8ARTA
NSXに相次いで抜かれ、見る見る順位を落としていった。スタートドライバーのリチャード・
ライアンはその後も苦しい走りを強いられながらも29周を走りきり、トップから1周遅れの11位で立川にバトンタッチ。
立川はトップグループをも上回るハイペースで追い上げ、最後は6位まで順位を挽回してみせた。
トップに立った24号車は、一時#18ロックスター童無NSXを駆る小暮の猛追で1秒差にまで迫られるが、
その頃から強く降り始めた雨にも助けられ、またスタートドライバーのJ.P.オリベイラのハードプッシュが功を奏し、
徐々に18号車を引き離し始める。
そして52周終わりまで引っ張ったピットストップを追えた時点では、2位に1分近い大差をつけることに成功した。
レース終盤になって雨が止み、コース上が徐々に乾き始めたため、
ステアリングを引き継いだ荒聖治はタイヤとのマッチングに苦しめられながらの走行を強いられたが、
レース前半に築き上げたマージンが活きて終始トップのまま82周を走り切り、昨年の第4戦セパン以来の勝利をものにした。
2位には#18ロックスター童夢、3位には#8ARTAと2台のNSX勢が初戦の表彰台を手にした。
GT300クラスは序盤から激しいトップ争いが繰り広げられた。
ポールポジションからスタートした#11ジムゲイナーF430の田中哲也に何度もアタックを試みる#19ウェッズスポーツの片岡。
片岡は7周目のヘアピンで田中のインに飛び込むが、立ち上がりで出遅れて逆に#43ARTAガライヤの新田に2位の座を明け渡してしまう。
新田は9周目のダブルヘアピンで田中を攻略、クラストップに躍り出るが、
その次の周のダブルヘアピンであろうことかスピンを喫して周回遅れに接触、左リヤフェンダーを破損した上、
ドライブスルーペナルティを受けてしまう。
ガライヤの後退でトップ争いは再び11号車と19号車のものとなった。
#19片岡は11周目のダブルヘアピン立ち上がりでうまくラインをクロスさせ、
#11田中のインに並びかけるとそのまま最終コーナーでトップに立つ。
ところが片岡は2位とのマージンを広げようとハードプッシュしたのが祟ってか、28周目のヘアピンで飛び出してしまった。
代わってトップに立ったのは、23周目に#11田中を抜いて2位に浮上していた谷口信輝の駆る雨宮R-X7だった。
滑りやすい路面には絶対の自信を持つ谷口だったが、#19片岡もしぶとく食い下がり、7号車がピットインした45周目に再びトップに立つと、
そのまま3周余計に引っ張ってピットに飛び込んだ。この間の片岡の走りと、メカニックの迅速なピット作業が功を奏し、
19号車は7号車の前でピットアウトすることに成功、後半を担当する織戸学は20秒以上のマージンを得た。
織戸はその後も2位とのマージンをみながらペースをコントロールし、昨年の第7戦もてぎ以来の勝利を坂東正敬監督にプレゼントした。
2位はアクシデントやペナルティで一時後退しながらも、
新田守男と高木真一のアグレッシブな走りで順位を挽回した#43ARTAガライヤ、3位に#7雨宮RX-7が入った。
スーパーGT第2戦は鈴鹿サーキット。4月19日決勝だ
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
スーパーGT第1戦が開催されている岡山国際サーキットにおいて、GTアソシエイション(以下GTA)の定例記者会見が行われ、
1大会2日制や、第3戦、第6戦、第9戦のレース距離短縮など、今季の取り組みについて坂東正明代表が主旨を説明した。

1大会2日制について
既に公式サイトでスポーティングレギュレーションでの対応については発表しているが、
二日間のスケジュールについては今後も各チームに話を聞いて調整していく。
予選はまず最低40分以上のセッションを行い、その後にスーパーラップなりノックダウン方式なりを行う。
ドライバーを2名起用するわけだから、セカンドドライバーや若手に乗る機会が増えるように、予選方式については今後考えていきたい。
第2戦までには結論を出したい。
これまでタイヤを年間1000本以上使っていたが、金曜日の走行をなくすことで使用本数を減らし、コストダウンしていく。
スーパーラップ出走台数が今回8台になったのは、スケジュール上の問題で、岡山では8台ということだ。
シリーズを通して何台とは決めていないので、何台でやるのがいいかは今後各サーキットと相談していく。
2日制にすることで、メカニックの宿泊費用や走行で使用するガソリンの削減など、
1チームあたり1000万円くらいの経費と5万4000リットルのCO2が削減できる。
ピットの設営やクルマのセットアップなどが慌しくなり、体力的にもチームスタッフの負担は増えているが、このままの方向で進めていきたい。
特別性能調整について
ここまで3メーカーと侃々諤々やりながら決めてきた。
ここまでの熟成の進み具合(GT-R)やインダクションポッドの形状(NS-X)などを客観的に判断してウェイトとリストリクター径を決めた。
技術屋さん同士が話し合って決めたことなので、今年はこのままで進めていくつもりだ。
LMGT車両の参加について
今回の2台はあくまでプライベーターとしての参加。プライベーターの参加が増えればレースが盛り上がっていい、と考えた。
レース距離の短縮について
こういう経済状況なので、長距離レースをやることによるパーツの消耗やガソリンの消費を考え、
チームのコスト削減が必要だと考えた。チームの負担を軽減するかわりに、年9戦開催は維持するためだ。
レース距離はGT500クラスの燃費を考えて、スティントを均等割りできる距離ということで決めた。
もてぎは日没時刻を考慮し、またよりガチンコの勝負になるように考えて250kmとした。
ノーハンデでガチンコのチャンピオン争いをやってもらおうということだ。
第6戦鈴鹿については、終了時刻が同じになるよう、スタート時刻を調整していく。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
スーパーGT第1戦岡山の決勝前フリー走行はウェットコンディションで行われ、#6ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨルン・
ビルドハイム)がトップタイム。GT300クラストップは#43ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)だった。
フリー走行は午前9時20分より30分間で行われた。
当初予報では雨が心配されていた決勝日だが、夜半から降り続いていた雨はフリー走行が始まる前には一旦止んでしまった。
しかし路面は未だ濡れたままで、所々に川や水溜りも残った状態だったため、殆どのチームがウェットタイヤを選択して走行を開始した。

公式練習から快速ぶりを見せていたレクサスSC勢はここでも速さをみせ、エネオスがトップタイムをたたき出すが、
2番手には#18ロックスター童夢NSX、3番手には#1モチュールオーテックGT-Rが僅差で続く。
昨日の予選でポールポジションを獲得した#38ZENT SCは5番手、
4番手にはスーパーラップで惜しくもスローパンクチャーに見舞われてノータイムに終わった#36ペトロナスSCがつける。
GT300クラスはトップのガライヤに続いて#2紫電が2番手、#7雨宮RX-7が3番手で続く。
ポールシッターの#11ジムゲイナーフェラーリF430は4番手でこのセッションを終えた。
ところが予選2番手の#19ウェッズスポーツIS350は、セッション半ばに#100レイブリックNSXを1コーナーで接触、
タイヤバリアに突っ込むというアクシデントに見舞われ、コース脇にストップしており、結晶への影響が懸念される。
第1戦決勝は午後2時より82周で行われる。
現時点では雨は止んでいるが、上空には雲が暑く垂れ込めており、未だ予断を許さない状況だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
2009.3.22
株式会社GTアソシエイション
環境対策および参戦チームのコスト削減施策の一環として、長距離レースの距離短縮を検討して参りました結果、
今シリーズの第3戦及び第6戦のレース距離は下記のように確定いたしました。また、最終戦につきましても、
レース距離を短縮いたしましたので、ご案内申し上げます。
記
第3戦 富士大会 5月3日(予選)・5月4日(決勝) 400km
第6戦 鈴鹿大会 8月22日(予選)・8月23日(決勝) 700km
第9戦 もてぎ大会 11月7日(予選)・11月8日(決勝) 250km
※その他大会は従来どおり300kmと致します。
以上
GTアソシエイション(以下GTA)は3月22日付のリリースで、懸案となっていた第3戦富士、第6戦鈴鹿のレース距離をそれぞれ400km、700kmに短縮すると発表した。
また、今回初めて最終戦の舞台に選ばれた第9戦もてぎについても、250kmに短縮される。
第3戦富士はゴールデンウィークに開催されるビッグレースとしてシリーズでも最大規模の観客動員数を誇るイベントで、 2001年からレース距離を500kmに伸ばして開催されてきた。
また第6戦鈴鹿は、スーパーGTが始まる以前から開催されてきた伝統のイベントで、第一回開催は1966年にまで遡る。かつては全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)や、スポーツカー世界選手権(SWC)、BPR-GTシリーズ、 FIA-GT選手権などの国際レースの1戦に組み込まれたこともあった。
そして2006年から現在まではスーパーGTのシリーズ戦として開催されてきた。
Text:Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI

GT500クラス #38ZENTセルモSC430
立川祐路
去年1度もポールが獲れず、満足できなかったので、今年は開幕戦からポールを獲ってやろうと思っていて、今回は特に狙っていました。
クルマは合同テストから良かったし、京の走り出しも良かったです。
スーパーラップでは、アタックに入る直前に石浦選手がすばらしいタイムを出したのでプレッシャーが高まりましたが、
クルマの状態がすごく良かったのでポールをとることが出来ました。
明日は天候によって展開が変わってきますが、ポールを獲ったので、そのまま逃げ切るのが理想ですね。
リチャードがスタートを担当することになると思いますが、うまくやってくれると思います。
リチャード・ライアン
明日のことは、明日になってみないとわかりませんが、今日の予選に関しては、ポールを獲れたことはチームが待ち望んでいたことだったし、
レクサスにとってもフロントローを獲得することは大事なことだったので、この予選結果には満足しています。
明日はいいスタートを切って、そのままハードにプッシュして逃げ切りたいですね。
GT300クラス JIMGAINER ADVAN F430
田中哲也
久しぶりの新車ですし、今回はジムゲイナーが自社開発した初めてのクルマなので、早めにシェイクダウンを済ませ、
メカニックも本当に一生懸命取り組んできました。
このオフは色んな意味でお騒がせしましたが、チームの士気を高めるためにもいい結果が欲しいと思っていました。
今年の規則が決まるのが遅かったので、僕らのクルマがどこまでやれるのかはここに持ってくるまで予想もつきませんでしたが、
スーパーラップを走り終わったときには、まだ何台かアタックを済ませてませんでしたけど、『イケるんじゃないか』という感触を得られました。
平中克幸
去年の12月からテストに参加して、ずっと開発をやらせてもらってきましたが、GT500に近いくらいにしっかりしたクルマで、
走り出しから印象も良く、テストも順調に進みました。
今回はアタックはしなかったので、哲也さんを信じて待っていました。
GT500からGT300に移りましたが、以前にも竹内さんとセリカに乗っていたこともありますので、明日も問題ないと思います。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
2009スーパーGT第1戦、岡山GT300kmレースのスーパーラップは、#38ZENTセルモSC430(立川祐路/リチャード・
ライアン組)が1分24秒069を記録してポールポジションを獲得。2番手には#35KRAFT
SC430(石浦宏明/大嶋和也組)が入り、レクサス勢がフロントローを独占して明日の決勝に臨むこととなった。
GT300クラスは今年から自社開発の車両を投入した#11JIMGAINER ADVAN
F430(田中哲也/平中克幸)がポールを獲得。タイムは1分31秒860だった。
公式練習から好調ぶりを見せていたレクサス勢はスーパーラップでも快調だった。
38号車のアタックを担当した立川はセクター2こそ35号車に及ばなかったものの、セクター1、セクター3を最速で走りぬけ、
1分24秒069で自身通算14度目のポールを獲得した。
2番手には一昨年のGT300クラスを制した石浦/大嶋コンビの駆る#35KRAFTがつけた。
しかし予選1回目で2番手タイムを出した#36ペトロナストムスSCは、メカニカルトラブルに見舞われてアタック直前にピットイン、
ノータイムに終わっている。
3番手にはGT-R勢で唯一SL進出を果たした#24H.I.Sが入った。
NSX勢最上位はカラーリングを一新した#18ロックスター童夢NSXの4番手。以下5番手#8ARTA、
6番手#100レイブリックと続き、
初めてスーパーラップを任された塚越広大の駆る#17KEIHINが7番手で明日の決勝に臨むこととなった。
GT300クラスは、今季自社開発の新車を投入した#11ジムゲイナーのフェラーリF430がトップタイムをたたき出し、
久々のポールを獲得。公式練習から好調だった#19ウェッズスポーツIS350は2番手に終わり、
昨年この岡山ラウンドを制した#43ARTAガライヤが3番手につけた。
井口と国本の新人コンビで初めてのスーパーラップに望んだ#74カローラアクシオaprGTは1分33秒246で8番手に終わった。
第1戦決勝は明日午後2時より82周で戦われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
スーパーGT第1戦、岡山GT300kmレースの公式予選1回目は、#38ZENTセルモSC430(立川祐路/リチャード・
ライアン組)が1分24秒726でトップタイムを記録。2番手には#36PETRONAS TOM'S SC430(脇阪寿一/アンドレ・
ロッテラー組)が入り、公式練習に続いてレクサス勢が好調ぶりを見せた。
GT300クラスは#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/片岡龍也組)がトップ。
注目のカローラアクシオも74号車が8番手でスーパーラップ進出を果たした。
レースウィークの2デイ化に伴い、予選方式にも変更があり、公式予選1回目は午後1時15分より50分間で行われた。
今年は最初に30分間の混走。続いてGT300の専有走行、GT500の専有走行が各10分間で行われる。
また、スーパーラップへの出走台数も昨年の各10台から8台づつに減少。昨年以上に狭き門となった。
こうした変更に合わせて、第1戦では各ドライバーの出走順にも変化が見られた。
従来だと、先にアタックドライバーがタイムを出し、その後にもう一人が予選通過基準タイムを出しに行くパターンが多かったが、
今回は基準タイム、アタックの順で混走を走り、最後の専有でもう一度アタック、というチームが大半を占めた。
そうした状況で好タイムを連発してきたのがレクサス勢だ。
予選開始5分足らずで#6エネオスが1分26秒754でトップに立つと、
その7分後には#38ZENTを駆るライアンが1分25秒442でトップに。2番手には#8ARTA NSX、
3番手には#1モチュールオーテックGT-Rが入ったところで混走は終了。GT300クラスの専有走行が始まった。
GT300クラスは混走の走りはじめから#19ウェッズスポーツが好調だ。
結局織戸が専有終了間際に出した1分32秒517がクラストップタイムとなった。2番手には#7雨宮RX-7が1分32秒567で続き、
今季から投入されたカローラアクシオは#74(井口卓人/国本雄資組)がクラス8番手で、初戦にして見事スーパーラップ進出を果たした。
続いて行われたGT500の専有走行では、#38ZENT、#36ペトロナスの2台のレクサスSC430がタイムを更新、
#38立川が1分24秒726、#36ロッテラーが1分24秒795で2位に入り、
#35KRAFTも4番手とレクサス勢が上位を独占する結果となった。
NSX勢では#8ARTAが3番手に食い込んだほか、6番手に#100レイブリック、7番手に#18童夢、
8番手に#17KEIHINと4台がスーパーラップ進出を果たした。
一方GT-R勢は#24H.I.Sが5位に入ったのみで、ディフェンディングチャンピオンの#1モチュールは9位、
#12カルソニックは10位で惜しくもSL進出を逃した。
ただし、予選終了2分前に土屋武士の駆る#21アストンマーチンDBR9が1コーナーでコースオフし、
この区間では予選終了まで黄旗が提示されていたため、この時間帯にタイムを更新したチーム(トップの#38、2番手の#36も含まれる)
についてはペナルティが下る可能性も現時点では否定できない状況だ。
第1戦のスーパーラップは午後2時45分より行われる
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
2009スーパーGT第1戦、「岡山GT300km」の公式練習はトップ3をレクサスSC430勢が独占。
トップタイムは#6ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨン・ビルドハイム組)で1分24秒367だった。
昨年後半から続く世界同時不況により、この冬はホンダのF1撤退やスバルのWRC活動休止など、
モータースポーツファンによって残念なニュースが相次いだ。
その影響は国内カテゴリーにおいても例外ではなく、スポンサーの撤退や参加台数の減少が懸念される中、
殆どのカテゴリーがレースウィークを土曜日曜の二日間に短縮することで経費節減を図ることとなった。
そのため、スーパーGTでは従来金曜日に行われていた公式練習を土曜の公式予選日に移動。
第1戦岡山では3月20日の午前9時より混走1時間半、各クラス専有15分づつの計2時間で実施された。
ここでは唯一09規定に合致した車両を用意してきたレクサス勢が序盤から上位を独占、
トップの#6エネオスに続いて2位には#36ペトロナス、3位に#38ZENTがつける。
GT-R勢最上位は#12カルソニックの4番手。NSXは#8ARTAの7番手が最高だが、トップから7番手までのタイム差は0.932と、
ほぼ3車は拮抗した状態にあるといえそうだ。
また久々の外国車として今季から参戦する、アストンマーチンDBR9は1分29秒593とクラス最下位に終わったものの、
大きなトラブルもなく39周を消化した。
現在はほぼFIA-GT仕様そのものといった状態だが、今後熟成が進めば上位に浮上してくるかもしれない。
GT300クラスは昨年から速さをみせつけてきた#19ウェッズスポーツIS350が1分32秒526でトップ。
2番手には#7雨宮RX-7、3番手には今季からフェラーリF430にスイッチした#81ダイシンが入った。
注目のカローラアクシオは74号車がクラス10番手、31号車が17番手に終わった。
第1戦の公式予選1回目はこのあと午後1時15分より行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
11月9日、富士スピードウェイで行われたスーパーGT第9戦、「富士GT300kmレース」の決勝結果に対し、#43ARTA
Garaiyaを走らせるオートバックス・レーシング・チーム・アグリ(ARTA)より抗議が提出されたことがわかった。
これは決勝レース中の#81ダイシンADVAN Zの行為に対するものとされており、現時点で詳細は不明だが、
81号車はオープニングラップのダンロップコーナーにおいてコースアウトした際、
コース上をスロー走行する#95ライトニングマックイーンMR-Sを追い越す形でコースに復帰しており、
おそらくはこの件を指していると考えられる。
もしこの件に関し、81号車に対して25秒以上のタイム加算が課せられれば、43号車は8位に繰り上がり、46号車と同ポイント、
優勝回数の差でGT300チャンピオンを獲得する可能性が出てくる。
しかし審査委員会は17時49分にこの抗議を棄却する裁定を下し(18時17分発行の公式通知No24)、
これを不服としたARTAが控訴を提出したため、GT300クラスに関しては、正式結果はJAFの裁定待ちとなった。
(18時57分発行の公式通知No25)

ドライバーズチャンピオン
GT500クラス #23XANAVI NISMO GT-R
本山 哲
今日のレースを走り終わって、まずは思い描いた結末に終われたな、という印象を持ちました。
レースは思った以上に厳しい展開になりました。序盤ブノワが頑張ってくれて序盤に3位に上がることが出来て、
あとはその順位を守ってイージーなレースになると思っていました。タイヤの暖まりが悪いので、グレイニングにだけ気をつければいいと。
ところが雨がまた降ってきて状況が激変してしまい、またタイヤ交換することになって最後まで必死で追い上げる展開になりました。
今シーズンは、ニッサンの中心的なクルマに乗り、注目を集めるデビューイヤーで、開幕戦で勝利できて、
オートポリスにもまた勝つつもりでいきましたし、そこでタイトルも決めるつもりでした。
実際勝ったときはチャンピオンも決めたと勘違いしてたくらいで。
素晴らしいシーズンでした。責任を果たせたという感じで、僕も、ブノワも、
メカニックのみんなも各自がパフォーマンスを発揮すれば必ず結果が出るんだなと。
表彰式ではもう暗くなってしまっていたので、ファンの皆さんの顔は見れませんでしたが、雰囲気と、拍手と、声援は感じました。
今日はニッサンにとって最高の日になりました。
ブノワ・トレルイエ
実に難しいレースでしたが、全員がそう思ってることでしょう。
序盤から激しいバトルに巻き込まれましたが、タイヤをスリックに替えてからは140kgもウェイトを積んでるとは思えないぐらい良い状態で、
予選と同じぐらいにプッシュして走れました。ただ、グレイニングがでていて、速めにピットストップしなければなりませんでした。
そのためにサトシはスリックでスタートすることになってしまい、難しい状況になってしまいましたが、
今週末はずっとセットアップが良かったので、最後も順位を上げることが出来ました。
シリーズタイトルを獲れて嬉しいです。F3やフォーミュラニッポンでは獲っていますが、GTは初めてですから。
ニスモが今年僕を使ってくれて、日本で最高のドライバーと組ませてもらいました。彼とはフォーミュラニッポンで組んだことがあるので、
コミュニケーションもばっちりでしたし、チーム全体が最高のパッケージでしたが、それだけにすごいプレッシャーがありました。
正直、モチベーションが落ちかかったときもありましたが、ファンの声援が支えてくれました。感謝しています。
GT300クラス #46MOLAレオパレスZ
星野 一樹
素直に嬉しいです。1点を争う難しい展開だったので、レースが終わった直後は何がおきたか判らなくて、最初は実感が沸きませんでしたが、
今はすごく嬉しいです。
前のクルマに合わせてスリックでいったところ、1周目にアクシデントに巻き込まれて、それでも諦めずに頑張って順位を上げたら、
またアクシデントに。それでも最後まで諦めずに走りました。
スタート前は、スクリーンに雨粒が当たるたびに不安になりましたが、ドライだと信じて走りました。
交代してからも安田が毎周順位を上げてきてくれたので、信じて待っていました。
安田 裕信
スタートしてすぐに一樹さんがAコーナーで接触したときはもう駄目だと思いましたが、そこから猛プッシュでガライヤを抜いてきてくれました。
でもまたアクシデントにあってしまって。後半は雨が降ってきましたが、何も考えずにプッシュしていきました。
もう自分が何位を走っているかも考えていませんでしたので、チェッカーを受けたあとも、自分が6位だということも、
チャンピオンだということもわかりませんでした。
開幕前から一樹さんと全戦全力で行くと決めていて、そのとおりにやってチャンピオンを獲れたので、この作戦が良かったのだと思います。
チームタイトル
GT500クラス #36チームトムス
関谷 正徳監督
ドライバーズタイトルも獲りたかったんですが、それはプレゼントしてしまいました。それでもチームタイトルを獲り、
一矢報いることが出来てよかったです。
今日も良いレースだったと思います。通しでみると決して悪い内容のレースはありませんでした。
メカニックもドライバーも良い仕事をしてくれたからチームタイトルに結びついたのだと思います。
GT300クラス #46MOLA
芳賀 美里監督
素直に嬉しいという気持ちです。
今日は2回『もうだめだ』と思うシーンがありましたが、最後まで諦めずに頑張りました。第1戦でトラブルからリタイヤしてしまいましたが、
それ以外は確実にポイントを重ねることが出来、本来はウェイトを降ろしにいくはずだった鈴鹿1000kmでは優勝と、
予想外の多いレースになりました。一樹選手も安田選手もよくチームを引っ張ってくれました。4年間やってきて、
記者会見に呼ばれるのは初めてなので、緊張しています。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI

GT500クラス #12カルソニックIMPUL GT-R
松田 次生
今回のレースは2度目の優勝が狙えるウェイトでしたから、チームとも優勝を狙っていこう、と話し合ってここにきました。
フリー走行でも勝てるだけの感触がありましたが、予選で外してしまい、スーパーラップに残れませんでした。
チームには悪いことをしたと思います。
決勝では、12位スタートからトップを狙えるようにとスリックでいくことにしました。
ウォームアップランでは3速4速でもホイールスピンするような状況で不安はありましたが、空は明るかったし、
経験豊富な星野さんのアドバイスなどもあり、チームみんなでスリックでいこうと決めました。
最初の4周はコースに留まるだけでも大変でしたが、4周を過ぎると他のクルマのペースがガクっと落ちてきたので、
タイヤ選択が間違ってなかったと実感しました。同じスリックでスタートした39号車のペースが良かったのでついていこうと思いましたが、
こっちはハード目のタイヤでスタートしたために発熱に時間がかかり、おいていかれました。
それでも39号車のタイヤがたれてきてトップに立つことができ、その後は雨が強くなってきて迷いましたが、
チームと相談してできるだけコースに留まることにして、もう駄目だとなってからピットに入りました。
その後はフィリップが最後まで素晴らしい走りをしてくれました。
ホンダ時代に3勝したことはありますが、今回それに次ぐシーズン2勝を挙げられて、23号車もチャンピオンを獲得し、
今日は全てがうまくいったかなという感じですね。
セバスチャン・フィリップ
難しいレースでしたね。
気温が低かったせいでピットアウトしてからはタイヤのウォームアップに時間がかかってしまいましたが、
後続との差が大きかったので落ち着いて熱が入るのを待ちました。
今年はレースによってアップダウンが激しかったですが、ランキング4位になれたし、鈴鹿や岡山の結果も良かったので、
悪くないシーズンだったと思います。来年はきっともっといいシーズンになるでしょう。
GT300クラス #26ユンケルパワータイサンポルシェ
谷口 信輝
最初はスリックでスタートなんて無理だと思いましたが、今年は1勝もしていないし、チャンピオンの権利もないので、
ここで守りのレースをしてもしょうがないので、ドライタイヤを履いて博打のレースをしてみました。
走り出してみるとセクター1、セクター2は乾いていて、スリックで正解だと思いました。前の2台がインターミディエイトだと判っていたので、
待ってれば勝手に落ちてくるだろうと思っていました。あとは19号車とスリック同士の戦いになる。
ちょい濡れでスリックだったらドリフト出身として負けるわけにいかないですし(笑)、19はソフトを選んでいたので、
こっちのタイヤに熱が入るまでとにかくついてったら予想通りの展開になりました。
途中で雨が強くなってきたときは、手遅れにならないうちに指示をするようにチームに頼んで、もう無理だってタイミングでピットに入ったら、
他も一斉に入ってきました。
ドミニクに交代してからは祈るような気持ちで走りを見ていましたが、無事に戻ってきてくれました。
ればたらをいってもしょうがないですが、前回のオートポリスで4位以内に入っていて今日の成績だったら、チャンピオンもあり得たので、
そこが悔やまれます。
でもユンケルポルシェとしてはこれが最後のレースになるので、最後に千葉さんに優勝をプレゼントできて最高です。
ドミニク・ファーンバッハー
1年ぶりにこのチームに戻ってこれて光栄です。チームタイサンには感謝していますし、またこの最高のパートナーと組むことができて、
『戻ってきた』と実感しました。今日はクルマも完璧だったし、ヨコハマタイヤもすごくよかったので、レース自体はイージーでした。
優勝できてすごく嬉しいです。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
2008スーパーGT最終戦、「富士GT300㎞レース」の決勝は、終始天候に翻弄される難しい展開となった。そんな中、
スリックタイヤでスタートという作戦を見事的中させた#12カルソニックIMPUL GT-R(松田次生/セバスチャン・
フィリップ組)が今季2勝目をものにした。
これにより、10位フィニッシュを果たした#23XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・
トレルイエ組)が2008シリーズチャンピオンを獲得、GT-Rは参戦初年度で見事GT500の頂点に立った。
GT300クラスは序盤の混戦を制した#26ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/ドミニクファーンバッハー組)が後続を30秒近く突き放す大差で逃げ切り、
今季初勝利を上げた。
タイトルの行方は、ポイントリーダーの#43ARTA Garaiya(新田守男/高木真一組)が9位に終わったため、
ファイナルラップで6位に上がった#46MOLAレオパレスZ(星野一樹/安田裕信組)が逆転で王座を手にした。
(天候:小雨 コース:ドライ>ウェット 観客動員数:47,100人)
第9戦決勝は午後2時丁度にフォーメーション開始。天候を考慮してタイヤに充分な熱を入れるため、2周のローリングの後スタートした。
スタート進行が始まると同時に小雨が再び降り始め、路面を濡らしたため、上位陣は殆どが浅溝タイヤに履き替えてレースに臨むこととなったが、
#12カルソニックGT-Rと#39デンソーサードSC430の2台だけはスリックタイヤを選択。
結果的にこのときの判断がレース結果を左右することになった。
ホールショットを決めたのはポールポジションの#17リアルNSX。#1ARTA NSXが2番手に上がるが、
#24ウッドワンGT-Rがすかさず100Rでアウトから並びかけ、ヘアピン立ち上がりで2番手を奪い返した。
しかしこうしたバトルが繰り広げられる中、路面はどんどん乾いていく。
このため、2周終わりで#22モチュールGT-Rがピットに飛び込み、スリックタイヤに履き替えたのを皮切りに、
各車相次いで予定外のタイヤ交換をするためにピットに殺到していく。
結局6周終わりで#36ペトロナスSCと#100レイブリックNSXがタイヤ交換を済ませ、全車がスリックとなったときには、
39号車がトップ、12号車が2位に上り詰めていた。
12号車のスタートドライバーは松田次生。39号車はアンドレ・クートだ。
松田は11周過ぎからペースの上がらなくなったクートを次第に追い詰め、
一時は7秒以上有った差をわずか5周でコンマ4秒まで縮めてみせる。
そしてクートが1コーナーでオーバーランを喫した18周目、遂に松田がトップを奪い取った。
このトップ交代劇と相前後して、各車のラップタイムが一気に落ち始める。
雨の影響で再び路面がスリッピーになってきたようだ。
このコンディション変化に足元を掬われたのがニスモの2台だ。
23号車は22周終わり、22号車は23周終わりに相次いで早めのピットストップを済ませ、
スリックからスリックへのタイヤ交換を済ませていたのだが、
この直後から雨が強くなってきたために再びウェットタイヤへの交換を余儀なくされてしまう。
これでタイトル争いのかかった23号車は一気にポイント圏外へ後退してしまった。
トップの12号車はスリックタイヤのまま32周目まで引っ張ってピットイン。ウェットタイヤに交換してセバスチャン・
フィリップをコースに送り出した。
この時点で、2位を走行していた#35宝山SCとは実に45秒の大差がついていた。
フィリップはその後も路面変化に対応して安定したラップを刻み、
無事66周を走りきって第6戦鈴鹿1000kmに続く今季2勝目を挙げて有終の美を飾った。
2位には15番手スタートから着々と順位を上げてきた#38ZENTセルモSC(立川祐路/リチャード・ライアン組)が入った。
38号車は優勝すれば逆転タイトルの可能性があり、立川は懸命にフィリップを追い上げたが、結局12秒270及ばなかった。
これにより、一旦はポイント圏外に落ちながら、
本山がしぶとく順位を挽回して9位でこのレースを終えたザナヴィGT-Rが2008年のGT500クラスチャンピオンを獲得した。
GT300クラスは、序盤から#77クスコスパルインプレッサ、#33ハンコックポルシェ、#19ウェッズスポーツIS350、
#26ユンケルパワータイサンポルシェの4台が序盤から激しい鍔迫り合いを展開、インターミディエイトでスタートした77号車カルロ・
ヴァン・ダム、33号車影山正美の2台をスリックでスタートした19号車織戸学、26号車谷口が捉え、
3周を終えてウェッズスポーツISがトップに立った。
しかしソフトコンパウンドでスタートした織戸に対し、ミディアムの谷口はタイヤが温まるのを待って18周目に織戸を捉え、
トップに躍り出ると、そのまま一気に差を広げにかかり、22周終わりには早くもその差を7秒以上とした。
谷口はその後も2位との差を広げ続けて30周終わりでピットイン、久々のGTドライブとなるドミニク・
ファーンバッハーにステアリングを託すと、ファーンバッハーも後続にまったく付け入る隙を与えず、
最後は2位に29.871秒もの大差をつけて今季初勝利を挙げた。
一方、ファイナルラップまでもつれにもつれたのがGT300のタイトル争いだった。
#43ガライヤ75ポイント、#46モーラZ73ポイントで迎えた最終戦、何位でフィニッシュしようと逆転の可能性は常にある、
一時も目が離せない状況の中、スリックタイヤでスタートした46号車は接触から1周目のコカコーラコーナーで痛恨のコースオフ。
一気に下位に後退する。
それでもスタートドライバーの星野は諦めずに追い上げ、13周目のヘアピンでライバルの43号車を捕らえて11位に浮上、
更にポイント圏内を目指して攻めに攻める。
ところが17周目のダンロップコーナーで46号車は33号車と接触、そこへ43号車も突っ込み、3台はコース上にストップしてしまう。
いずれもレースには復帰したものの、43号車はフロントカウルを破損、33号車はトラブルから最終コーナーで再びクルマを止め、
46号車も大きく順位を落とした。
2台は雨脚の強まった29周終わりで同時にピットストップを済ませると、再びハイペースで周回を重ねて徐々に順位を上げていく。
星野からステアリングを託された安田は再び43号車の高木を捉え、その後も着実に順位を上げ、7位でファイナルラップを迎えた。
対する43号車はこの時点で9位。このままレースがフィニッシュすれば同じ77ポイントながら勝利回数の差でガライヤが王座につく。
ところが6位を走っていた#81ダイシンZがファイナルラップで大きくペースを落としたため、
最後の最後にこれを抜き去った46号車が6位でフィニッシュ。
これで獲得ポイントを78に伸ばすこととなり、2008年GT300チャンピオンは#46モーラZのものとなった。
スーパーGTの2009年開幕戦は3月22日決勝。
舞台は岡山国際サーキットだ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
富士スピードウェイではスーパーGT第9戦の決勝がいよいよ目前に迫っているが、
大会事務局は午前11時47分付けで決勝レースのフォーメーションラップを2周行う旨の公式通知を発行した。
今回の措置は「気象条件、路面温度を考慮」したものとされており、
今週末の寒さからタイヤに充分なウォームアップが必要と判断したようだ。
なお、これに伴い隊列形成のための「GRID」ボードはフォーメーション2周目に提示することとなるが、
この処置による周回数の減算は行わないとのこと(66周のまま)
また、特別規則に記載されたレース終了時刻についても変更(延長)は行われない。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
GTアソシエイション(GTA)は11月9日、スーパーGT最終戦決勝日を迎えた富士スピードウェイで定例記者会見を行った。
今回の会見では、今シーズンの総括や、来年に向けてのモバイルサイトの取り組みのほか、
GT300で導入が検討されている統一シャシーの概要ににも話が及ぶこととなった。
この統一シャシーは、現行車両とほぼ同等の性能を発揮するパイプフレームの車体で、ホイールベース、トレッド、
アップライトなどが共通とされ、そこに市販車に似せたボディカウルを被せる。そこに3リッター程度のエンジンがミッドシップマウントされ、
ほぼ現在のIS350に近いものであるという。
GTAでは現在、各チームにアンケートを行っており、そこでの要望が大きければメーカーに話をしていきたいとしており、
できれば今年中にはエンジン供給について目処をつけたいとしている。
ただしこれはGT300をワンメイク化しようというものではなく、現行車両と並行して導入されるとのこと。
車両の老朽化などで入れ替えを必要としたときに、より低コストな選択肢を用意したいとの思いからだ。
GTAではこれは2010年から導入していきたいという。

坂東正明代表のコメント
「(今年の総括)自分にとっては11月が来るのが早すぎる感じで、法人化して最初の一年は学ぶことの多すぎる一年でした。
評価としては50点くらいかな。性能調整のあり方に関して、タイトルが最終戦までもつれ込んだのは良かった点ですが、岡山までの展開とか、
お客さんにわかりにくくなってしまったことなどがありましたから。今後は多くの方からの意見を採りいれ、
より判りやすいルール作りをしていきます。異種格闘技戦という現在のGTの根底を覆すことなく調整していきます。
(統一シャシーの件)ワンメイクではありません。現行の車両が老朽化するなどで、入れ替えが必要になったときに、
コストの下がるやり方がないかということで考えました。パイプフレームにホイールベース、トレッドとアップライトを共通として、
ここにできれば2社のエンジンを載せたい。IS350のようなイメージですね。メーカーとはまだ話をしていませんが、
チームと話して声が大きくなれば、メーカーに離しにいこうと思っています。2010年から使用できればいいなと考えていますが、
現行車と並行で、一つのアイディアとして導入したいということです」
秋田史取締役のコメント
「これまでGTAで行ってきたプロモーションを法人化後も継続してきました。
この11月12月でそれを再評価して来年の予算配分をやっていきます。
今回から始めたモバイルサイトを来年は積極的にやっていこうと思っています。インターネットと合わせて力を入れていきます。
また、以前から申し上げています『拡大のスパイラル』を今後も続けていきます。
現在は認知度向上ということでテレビに力を入れていますが、
お客さんの来場の促進や満足度の向上にももっと何か出来ないか考えているところです」
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
スーパーGT第9戦「富士GT300kmレース」の決勝前フリー走行は、レクサスSC430勢が上位を独占。
これがGT復帰戦となる伊藤大輔が終了間際に1分35秒321を叩き出した#6ENEOS SC430(伊藤大輔/ビヨルン・
ビルドハイム)がトップタイムとなった。

フリー走行は午前8時35分より30分間で行われた。
既に昨日からの雨は止んだもののコース上にはまだ濡れた部分が残っており、開始直前にウェット宣言が出されたため、
チームによって走り始めのタイヤチョイスが分かれ、GT500クラスではNSXやザナヴィGT-Rらは浅溝でコースに出て行ったが、
すぐに全車スリックに履き替えていった。
既にレコードライン上は乾いており、昨日のポールタイムはあっという間に更新されてしまった。
セッション前半のトップは#39デンソーサードSCの1分36秒147。ドライバーはアンドレ・クートだ。
このサードを皮切りに、このセッションではレクサスSC430勢が相次いで好タイムを連発してきた。
残り10分をきったところでは片岡龍也の駆る#35宝山ダンロップが1分35秒702、その2分後には#36ペトロナスのアンドレ・
ロッテラーが1分35秒667、続いてリチャード・ライアンの駆る#38ZENTセルモが1分35秒526と相次いでトップに立つ。
更には、このレースがGT復帰戦となる#6エネオスの伊藤大輔がチェッカー直後に1分35秒321を叩きだし、
トップでこのセッションを締めくくった。
これで1位から4位までがレクサスSC430が占め、5位の#1ARTA NSXを挟んで6位にも#25エクリプス、
8位に#39デンソーサードと、レクサス勢の好調振りが目立ったセッションとなった。
GT300は開始早々に#88ガイヤルドの松田秀士が1分45秒128でトップに立ったが、
開始12分で#26谷口信輝が1分45秒058を出してトップにたつ。松田は13分すぎに1分44秒384で再びトップに立つが、
終盤#4EBBRO UEMATSU320Rの松下昌揮が1分44秒082、#62WILLCOM ADVAN408Rの柴原眞介が1分44秒202と、
ヴィーマック勢が立て続けに好タイムをマークして1-2位を占める結果となった。
2008シーズンの最終戦決勝は午後2時スタート。66周の戦いだ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA

GT500クラス #17REAL NSX
金石 年弘
1周目からプッシュするようにピットから言われていたのがああいうこと(アウトラップのスピンアウト)
になってしまって........
でも、あれで落ち着くことが出来たので、アタック中はずっとクルマをコントロールできてたし、
Aコーナーはちょっと遅くなっちゃいましたが(笑)それもある意味良かったのだと思います。
他のドライバーのアタックをずっと見ているのはハラハラドキドキしましたが、勝智さんと喜び合いながら見ていました。
今年は予選が良くても決勝で流れに乗れず、苦しいレースが続いていましたが、今日のクルマはすごく良くなってて、
いい流れが出来ているなと思います。明日もこの流れで、優勝を狙っていきたいですね。
金石 勝智
ポールを獲れたのも嬉しいですし、自分が立ち上げたチームで、しかも従兄弟がGTで初めてのポールと、初めてずくしで本当に良かったです。
今週末は、最初クルマの挙動にてこずりました。濡れた路面だとリヤが滑りやすかったので。でもチームスタッフ全員が知恵を出し合ってくれて、
ここまで押し上げてくれたのが今日の結果に結びついたのかなと思います。
このまま明日は優勝で締めくくりたいですね。
もういい加減、みんなを引っ張っていくのも疲れたんで、早く後のヒトに任せたいんですよ(笑)
GT300クラス #77クスコDUNLOPスバルインプレッサ
カルロ・ヴァン・ダム
嬉しいです。
GTに乗り始めてたった2回目のイベントなのに、チームが大きなチャンスをくれてポールポジションが獲れました。
結果を出せて大変嬉しいですし、チームにも感謝しています。
今日は滑りやすい路面でしたが、クルマは雨の中でもかなり速かったです。
クルマもタイヤも良かったですけど、ドライバーだって悪くなかったと思いますよ。
山野 哲也
年に3回のポールなんて中々獲れるもんじゃないですし、ドライ、ウェット両方でポールが獲れましたし、
3回のポールともアタックしたドライバーが違いますから、AWDの機能を最大限生かすことができたんだと思います。
今週末はカルロが走るたびにどんどんクルマに慣れてきていたので、彼の可能性に賭けてみようということになり、送り出しました。
クルマのアドバンテージはあるので、あとはタイヤの使い方次第でしたが、彼はちゃんと結果を出してくれましたから、もう言うことなしです。
明日の決勝はドライになれば他も速くなってくるでしょうけど、僕らもコンスタントラップではいい結果が出ていますので、
無用なバトルを避けて最後まで走りきれば上位でフィニッシュできると思います。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
2008スーパーGT第9戦「富士GT300kmレース」は11月8日午後1時45分より公式予選2回目、
午後2時20分よりスーパーラップを行った。
小雨の降り続く難しいコンディションの中でポールポジションを獲得したのは#17REAL NSX(金石勝智/金石年弘組)。
タイムは1分42秒661と、午前中のタイムを3秒以上短縮してチーム結成以来初のポールポジションをものにした。
GT300クラスはAWDの強みを最大限に生かした#77クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/カルロ・ヴァン・
ダム組)が今季3度目のポールポジションを獲得した。
午後2時45分、予選2回目が開始された。
雨は小降りになったものの、路面はまだ濡れており、各車レインタイヤでの走行となった。気温は12度、路面温度は14度だ。
この段階でまだ予選通過基準タイムをクリアしていないのは、#808、#666、#9の3台と#11植田正幸、#170高見沢一吉、
#118宮本隆士の3名。
結局このセッションのトップは#77インプレッサで1分52秒463、2番手#26ポルシェの1分53秒520、
3番手#66ムルシエラゴの1分53秒900だった。
この結果、基準タイムは2分01秒224となり、植田、宮本の両名と#808号車の菊池靖はこのタイムを見事クリアしたが、高見沢、
田ヶ原章蔵は僅かに届かず、666号車は周防彰悟、山下潤一郎両名とも届かず、9号車に関しては出走すら出来ない状態で、#170、
#808、#666、#9の4台の予選落ちが決まった。
GT500の専有は午後2時に開始。
路面コンディションは徐々に回復に向かい、途中から浅溝タイヤを投入するチームが相次いだ。
タイムも午前中から大幅に更新され、16台中13台が午前中の暫定ポールタイムを上回る状況に。
ここでのベストタイムは#35宝山SCの1分43秒269。
午前中トップの#24ウッドワンGT-Rが2番手につけてスーパーラップへの確かな手ごたえを得た。
予選2回目に続いて午後2時20分よりスーパーラップが開始された。
GT300クラスで最初に出走するのは#27井上貴志。初めて迎えたスーパーラップのタイムは1分54秒151。
午前中のベストタイムを丁度2秒更新し、順位を二つ上げることに成功した。
続いてアタックした#5玉中哲二は1分59秒593と大きく遅れたが、3番目に出走した第7戦優勝の#19織戸学はセクター2、
3と立て続けにタイムを縮めて1分53秒250と井上のタイムを大きく上回り、この時点でのトップに躍り出た。
続く#62柴原眞介、#2加藤寛規らは織戸に及ばず、それぞれ5位、7位に終わり、
カラーリングを一新して最終戦に臨んだ#46安田裕信もセクター1では織戸を上回ったが、
さすがにウェイトハンデ100kgの影響からかセクター2、3と伸び悩んで9位に終わった。
ポイントリーダーの#43高木真一は1分53秒557。
こちらも80kgのウェイトを積みながらうまくタイムをまとめて4番手に踏みとどまった。
#26谷口信輝が1分53秒664の6番手に終わったあと、アタックを開始したのはGT2戦目の#77カルロ・ヴァン・ダムだった。
ヴァン・ダムはセクター1、2、3を全てベストでまとめて1分51秒925と他を圧倒、堂々のトップに躍り出た。
最後のアタッカー、#33影山正美もぎりぎりの走りでタイムアップを果たしたが、
1分52秒129とインプレッサには今一歩及ばなかった。
GT500クラスは最初のアタッカー#17金石年弘がウォームアップラップのコカコーラコーナーでスピンアウトし、
周囲をひやりとさせたが、アタックラップは落ち着いてまとめ、1分42秒661と午前中のタイムを3秒以上縮めてみせた。
続いてアタックした#1ラルフ・ファーマンも自身の午前中のタイムを大幅に更新したが、1分42秒932と金石に今一歩及ばない。
ポイントリーダーの#23ブノワ・トレルイエは100Rで姿勢を乱したのが祟って1分44秒398、9位に終わった。
続く#18小暮卓史も1分43秒602とタイムが伸びず、#25石浦宏明はセクター1で金石を上回ったが、セクター2、
3が伸びずに1分43秒280。
#36アンドレ・ロッテラーは100R立ち上がりで姿勢を乱して1分44秒216と大きく遅れた。
#100井出有治は1分43秒563、#35ピーター・ダンブレックはセクター1で金石のタイムを上回ったが、
その後が伸びずに1分43秒585に終わった。
残る2台、午前午後の予選セッションで終始好タイムを連発していた#32エプソンNSX、
#24ウッドワンGT-Rの2台はあろうことか1コーナーで揃ってオーバーラン。
#32ロイック・デュバルはこれにより10位でスーパーラップを終えたが、#24J.P.オリベイラはセクター2、
3でベストタイムを更新して1分42秒883、2位に踏みとどまってみせた。
結局、終わってみれば最初にアタックした金石年弘のタイムを打ち破るものは誰一人現れず、
リアルNSXはチーム結成以来初めてのポールポジションを2シーズン目の最終戦で手にすることとなった。
スーパーGT最終戦の決勝は明日午後2時より66周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
2008スーパーGT第9戦、「富士GT300kmレース」の公式予選1回目は、#24WOODONE ADVAN Clarion
GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/荒聖治組)が暫定ポールを獲得。
オリベイラが混走セッション終了間際に1分45秒191を記録してトップに躍り出た。
GT300クラスも、オリベイラとほぼ同時にベストタイムを更新した影山正美の駆る#33HANKOOK
PORSCHE(木下みつひろ/影山正美組)が暫定ポールだった。

2008シーズンの最終戦を迎えた富士スピードウェイ。
公式予選日は朝からあいにくの雨模様、ウェット宣言が出される中で午前10時10分より公式予選1回目が開始された。
ホームストレート上では激しく水しぶきが上がる難しいコンディションの中、
最初に好タイムを連発してきたのはやはりAWDの#77クスコスバルインプレッサだった。
アタックを任されたカルロ・ヴァン・ダムはいち早く1分55秒384の好タイムを記録して一旦ピットへ。
その後1分54秒964を記録した#33ハンコックポルシェの影山に一旦はトップの座を奪われたものの、
専有走行終了間際に再びアタックを行い、1分53秒073までタイムを縮めて再びトップに躍り出た。
2番手には#33ハンコックポルシェの影山、#26ユンケルポルシェの谷口信輝が3番手と富士と相性のいいポルシェ勢が続く。
一方、タイトル争いのかかる#43ARTAガライヤは14番手、#46レオパレスZは11番手、#2紫電は20番手にとどまり、
混走での巻き返しに賭けることとなった。
続いて始まったGT500クラスの専有走行では、ポイントランキング3位の#36ペトロナスSCを駆るアンドレ・ロッテラー、昨年、
一昨年と最終戦を制している#32エプソンNSXのロイック・デュバル、
第4戦セパンを制した#24ウッドワンGT-RのJ.P.オリベイラらが相次いでトップに立つ展開となった。
その後方では#25エクリプスSCの石浦宏明、#100レイブリックNSXの井出有治らも好タイムを連発、2位、
3位辺りに頻繁に顔を出してくる。
専有走行終了時点でのトップタイムは#32エプソンNSXの1分45秒305だ。
一方、前戦オートポリスを制してランキングトップに返り咲いた#23ザナヴィGT-Rはブノワ・
トレルイエがコースアウトを喫して側面からバリアに接触するなど、中々タイムをあげることが出来ず、結局15位で専有を終えた。
ランキング2位の#18TAKATA童夢NSXは8番手だ。
最後の混走セッションを迎えても雨は一向に止む気配をみせず、全車激しい水しぶきを上げながら、
スーパーラップ進出を賭けて最後の20分間を戦うこととなった。
#23ザナヴィGT-Rは本山哲が基準タイムをクリアした後は再びトレルイエがステアリングを握り、
残り8分で1分46秒217を記録して10位につけると、その後もタイムを縮めて1分45秒964とし、
クラス8位で見事スーパーラップ進出を果たした。
ランキング2位の#18TAKATA童夢NSXも最後の最後に1分45秒958を記録して7位で走行を終えた。
一方、上位陣では残り1分をきったところでオリベイラが1分45秒191を叩きだして暫定ポールを獲得、
2番手には#32エプソンNSX、3番手には#35宝山KRAFTSC430が上がってきた。
GT300クラスのSL進出を賭けた争いは最後の最後まで熾烈を極めた。
まずは専有で下位に甘んじた#46レオパレスZを駆る安田裕信が混走開始早々に5位に躍り出ると、
#43ガライヤの高木真一も残り8分で8位、更には残り2分で3位に上がってきた。
安田も順位を一時4番手まで上げてきたが、今回久々に#26ユンケルポルシェを駆るドミニク・
ファーンバッハーが終了直前に高木のタイムを上回って3番手に上がってくる。
更にはGT500のトップが入れ替わるのと時を同じくして#33ハンコックポルシェの影山も残り1分をきったところで1分52秒747を叩きだし、
インプレッサからトップを奪ってこのセッションを終えることとなった。
ランキング3位の#2紫電も加藤寛規のアタックで終盤6番手タイムを記録して、見事スーパーラップ進出を果たすことに。
一方ランキング4位で前回優勝の#81ダイシンZは惜しくも14番手に終わり、スーパーラップ進出を逃している。
スーパーGT最終戦の公式予選2回目はこのあと午後1時45分より各クラス15分間で行われる。
スーパーラップ開始予定時刻はその5分後の午後2時20分からだ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA

GT500クラス #3YellowHat YMS TOMICA GT-R
ロニー・クインタレッリ
本当にすばらしかった。信じられない気持ち。優勝するなんて.....
パフォーマンスもバランスも最高でした。1号車は速かったですが、僕らにも余裕がありました。ペースをコントロールし、
300と絡んだときに差をつけることが出来ました。
ナオキも後半完璧な調子でしたが、最後の15周まで3秒いないでついてこられたのでドキドキしました。
長谷見さん、ニッサンの関係者、そしてお客さんにもありがとうといいたいです。
ナオキとはF3でチャンピオンを獲ったときにも同じチームでした。最高のチームメイトです。
スタートから15周すぎたあたりからグリップが落ちてきて1号車に迫られましたが、ベストのタイミングでナオキにクルマを渡せて、
ナオキもアウトラップを頑張ったのでトップを守れました。ただ、最後のラップだけ心臓が爆発しそうになりましたけどね(笑)
次のオートポリスはクルマが重くなるけど........がんばります。(全て日本語でコメント)
横溝直輝
本当に夢のようです。
GT300から今年GT500に戻ってから、長谷見さんの信頼を得たいと思っていたので、今日勝てて本当によかったです。
ロニーのスティントはすばらしく速かったし、メカニックの皆さんも最高のピットワークで僕を送り出してくれました。長谷見さんからは無線で
「周回遅れを抜くときはカリカリしないで落ち着いてやれ」とアドバイスをもらい、そのとおりにきっちりやりました。
優勝が決まったときは喜んでくださいました。
ロニーは最高のチームメイト。彼と一緒に勝てて嬉しいし、二人で組めばそれぞれが持ってる実力以上の力が出せると思います。
ウチのクルマはオートポリスでも富士でもポテンシャルがあります。重くなりますけど一つでも上の順位になってポイントを獲っていきます。
GT300クラス #19ウェッズスポーツIS350
織戸学
(カタコトで)今日のレースはハッピーだったね(笑)
クルマのパッケージはいいので、何度も勝つつもりで来ていたんですが、そのたびにトラブルやアクシデントが続いて、
もう勝てないのかとまで思ったときもありました。IS350は手作りみたいなクルマで、
今までメンテナンスをお願いしているクエストさんと色々考えて細かい改良を加えてきました。
ヨコハマタイヤも僕を育ててくださったメーカーで、このクルマに合わせていいタイヤを作ってくれました。
ぶっちゃけ、もてぎは(結果が出てないので)嫌いなんで(笑)、今も勝った実感がないんです。実質1年目の正敬が一生懸命やってくれるので、
彼のためにも何とか勝ちたいとは思っていたんですが。
阿部は以前からアグレッシブだと知っていたんですが、その分マイナスの評価もされていました。この一年一緒にやってきて、
辛い思いもしたと思いますが、今日の走りを見ていてびっくりしました。
今日勝てたのはツバちゃんのお陰です。
阿部翼
今は本当に実感がなくて。
クルマを渡してもらったときに(順位が)シングルだったので、自分たちのラップタイムと他との差を計算すると、「勝てるな」
とは思っていましたが、ただ僕はまだ周りのドライバーとの信頼を築けていないので、計算どおりに行くか心配でした。
実現できて本当によかったです。
まとめ:Kazuhisa SUEHIRO
9月14日ツインリンクもてぎで行われた2008スーパーGTシリーズ第7戦「もてぎGT300kmレース」決勝は、
#3YellowHat YMS TOMICA GT-R(ロニー・クインタレッリ/横溝直輝組)が終始安定した速さでポール・トゥ・
ウィンを達成。これでGT-Rは今季5勝目を挙げることとなった。
GT300クラスは#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/阿部翼組)が優勝。予選後の車検で不合格となり、
最後尾スタートを強いられたが、序盤から積極的なオーバーテイクを繰り返し、まさかの大逆転優勝を成し遂げた。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:39,000人)

2008年スーパーGTもいよいよ残り3戦。
第6戦までは有効ポイント制だったが、ここからの3戦は全ポイントが有効。
チャンピオンを狙うチームにとっては取りこぼしの許されない戦いが続く。
決勝レースは午後2時にフォーメーションラップが開始された。
ところがここでGT50012番手スタートの#100レイブリックNSX、
GT3006番手スタートの#33ハンコックポルシェの2台がエンジンストール。
ハンコックポルシェは何とか再始動に成功して隊列を追いかけるが、レイブリックNSXはそのままガレージに押し戻されてしまった。
結局100号車は2周遅れのクラス最後尾でレースに加わったが、ポジションアップは叶わなかった。
一方スタートではポールシッターのイエローハットGT-Rがそのままトップで1コーナーを通過、2位#1ARTA NSX、
3位#6エネオスSCとここまでは予選順位のままだ。
しかしその後方では#22モチュールGT-Rと#38ZENT SCが5コーナーで接触、38号車はスピンして大きく順位を落とし、
22号車には13周目に入ったところでドライブスルーペナルティーの裁定が下された。
序盤は上位3台が僅差でトップグループを形成しながら周回を重ねていたが、次第にエネオスSCは遅れ始め、
20周を過ぎる頃には7秒以上に間隔が開いてしまった。
2位を走るARTA NSXはイエローハットGT-Rが周回遅れに詰まるたびにテール・トゥ・ノーズ状態に持ち込み、
トップ浮上のチャンスをうかがったが、3号車をドライブするクインタレッリ、横溝両名とも最後まで付け入る隙を与えず、
ピットストップ以外では一度もトップの座を譲ることなく63周を走り切り、今季初勝利を挙げた。
2位にはARTA NSX、ファイナルラップで大きくペースを落としたエネオスSCを抜いた#36ペトロナスSCが3位に入った。
GT300クラスはポールの#26ユンケルポルシェの谷口信輝が序盤から逃げにかかり、一時は後続に4秒以上のリードを築き上げるが、
2位の#2紫電の加藤寛規が20周を過ぎた辺りから徐々に間隔を詰め始める。加藤は28周目には遂に0.420秒差まで詰め寄るが、
谷口も一歩も引かないまま、30周終わりでピットストップに入った。
そのすぐ後ろでは#62ウィルコムヴィーマックの黒澤治樹、#110クムホボクスターの光貞秀俊、
#77クスコインプレッサの佐々木孝太らによる熾烈な3位争いが展開されるが、4周目の4コーナーで黒澤と光貞が接触、
黒澤のヴィーマックはスピン状態に陥って一気に22位に後退、光貞のボクスターも佐々木に抜かれて4位となるが、
光貞は14周目の3コーナーで佐々木のインをついて再び3位を奪い返した。
しかし本当の見せ場はその後ろの集団だった。
予選後の車検で不合格となり、まさかの最後尾スタートとなった#19ウェッズスポーツISの織戸、
エンジンストールで6番手スタートをフイにした#33ハンコックポルシェの木下の2台がほぼ毎周オーバーテイクを繰り返し、
ぐんぐんと順位を上げてきていたのだ。
木下は10周目、織戸は13周目には早々とトップ10圏内に入り、更に前を行くクルマたちとのギャップを切り取っていく。
レース距離の3分の1を消化する21周目には、2台は立て続けに#52グリーンテックISを抜き去り、33号車は7位、
19号車は8位に浮上した。
33号車は上位陣のピットストップにも助けられ、5位に浮上して32周終わりでピットイン、
19号車は36周まで引っ張って3位でピットイン。阿部翼にステアリングを委ね、#66triple aムルシエRG-1の後ろ、
5位でコースに復帰した。
トップの紫電はいつものように規定ぎりぎりの41周終わりでピットイン。
迅速なピットワークで高橋一穂をトップのままコースに送り出した。この時点で2位ユンケルポルシェとの差は16秒。
その後方には#66ムルシエRG-1、#19ウェッズスポーツISが迫ってくる。
66号車の後半を担当した余郷敦は42周目の90度コーナーで26号車山路慎一のインに飛び込み、接触しながらも2位を奪い取る。
抜かれた#26山路は次の周でもGT500の6号車に進路を譲る際、姿勢を乱して#19阿部に追いつかれ、
44周目の1コーナーで同じように接触を伴いながら3位の座をも明け渡すことになってしまう。
最後尾から遂に表彰台圏内に上がってきた19号車は、その後も阿部の積極果敢な走りで66号車との差を削っていき、
46周目の5コーナーでGT500の集団に抜かれる際、見事なライン取りで#66余郷のインに飛び込んでこれを攻め落とした。
残るは1台。#2紫電との差はこの時点で6秒450まで縮まっていた。
阿部は高橋を1秒上回るハイペースで追い上げ、51周目には1秒065まで差を詰めた。
そして52周目。
ヘアピンで姿勢を乱した高橋のインに阿部が並びかけ、バックストレッチで待望のトップに躍り出た。
その後は56周目の最終コーナーをオーバーランするなど、危ない場面も見られたが、それでも最後までトップの座を守りきり、
第3戦から投入されたレクサスIS350に待望の優勝をもたらした。
2位には#2紫電、3位には#66ムルシエRG-1が入り、
19号車同様に目覚しい追い上げでレースを盛り上げた#33ハンコックポルシェは結局6位でレースを終えた。

次回第8戦はオートポリス。10月19日決勝だ
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA
スーパーGT第7戦の決勝前フリー走行終了後に今回もGTアソシエイション(以下GTA)の定例記者会見が行われた。
会見では坂東正明代表取締役がノックダウン方式で行われた公式予選についての感想や、
2人のドライバーにアタックを義務付けた経緯について触れたほか、セパンラウンドの2009、
2010年開催が合意に達したことなどが発表された。
そして会見の最後に、前回の鈴鹿1000kmで参戦100戦を達成した石橋義三選手を祝うセレモニーが行われた。
石橋選手はスーパーGTの前身である全日本GT選手権(JGTC)に初年度から参加しており、
1995年にGT2クラスでシリーズチャンピオンを獲得するなど、主にGT2/GT300クラスで活躍してきたプライベートドライバー。
先日の鈴鹿1000kmで通算100戦を達成した。
坂東代表取締役から表彰状と花束を贈られた石橋選手は「僕がGTを始めた当初は『抜かれ方のうまいドライバー』と言われていましたが、今は
『抜かせ方のうまいドライバー』に進化したと自分では思っています。大切なレースデーにこうした時間を割いていただいて感謝しています」
と述べ「これ引退会見じゃありませんから」とおどけながら、今後も継続してGTに参戦する意志を明らかにした。

Text:Kazuhisa SUEHIRO
スーパーGT第7戦「もてぎGT300kmレース」の決勝前フリー走行が9月14日朝に行われたが、ここでも#3YellowHat
YMS TOMICA GT-R(ロニー・クインタレッリ/横溝直輝組)がトップタイムを記録、決勝に向けて準備は万全のようだ。
タイムは1分46秒236と2番手の#1ARTA NSXにコンマ4秒の差をつけた。
GT300クラスは無念の車検落ちで最後尾グリッドとなった#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/阿部翼組)が1分56秒043と2番手をコンマ8秒引き離し、
決勝での巻き返しが大いに期待される。

決勝日を迎えたツインリンクもてぎは早朝から小雨が降り始めたが長くは続かず、
フリー走行の始まる午前9時45分には綺麗に晴れ上がった。午後の降水確率は50%と決勝への影響が心配されるが、
フリー走行は完全なドライコンディションの下、全車スリックでの走行となった。
最初にタイムを出してきたのは前回優勝の#12カルソニックGT-Rの松田次生。
しかしすぐに他のドライバーが相次いで松田のタイムを上回り、12号車はあっという間に8番手に。
トップに立ったのはポールシッターのイエローハットGT-R。
結局ここでクインタレッリの出した1分46秒236がこのセッションのトップタイムとなった。
2番手には最初#36ペトロナスSCがつけていたが、開始10分過ぎにラルフ・ファーマンが1分47秒177を記録、ARTA
NSXが2番手に浮上した。
予選ではセッション3に駒を進められなかった#100レイブリックNSXも開始15分で井出有治が1分47秒211を記録して4番手につけた。
レクサスSC430の最上位は#6エネオスの3番手だ。
GT300クラスはウェッズスポーツISがここでも奮闘。織戸が1分56秒043とダントツのタイムをセッション半ばに出してきた。
決勝は最後尾グリッドとなる19号車だが、ここからどこまで追い上げることが出来るか大いに注目だ。
予選トップの#26ユンケルポルシェは2番手。1分56秒871と19号車に大差をつけられてはいるが、
決勝で最後まで逃げ切ることができれば、昨年に続いてのもてぎ2連勝が待っている。
第7戦決勝は午後2時より、63周で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA

GT500クラス #3YellowHat YMS TOMICA GT-R
ロニー・クインタレッリ
本当に最高の気分。今週のクルマはフリー走行からすばらしくて、毎セッショントップタイムが出て、ポールも獲れました。
チームスタッフやニッサンの関係者が頑張ってすごいクルマを準備してました。本当にありがとうございます。
予選は、僕にとっては普通のやり方のほうが良かったです。
金曜日にユーズドタイヤでシミュレーションしたときは完璧なバランスじゃなかったですから。でも、昨夜調整を加えて、
今日走ってみたらバランスが良くなっててびっくりしました。すごいクルマだと思いました。
ここまでずっとトップタイムなので、明日のレースも自信あります。ナオキと二人で表彰台の一番高いところに上がりたいし、
その自身はイッパイあります。(以上日本語でコメント)
横溝直輝
走りはじめからクルマは調子が良くて、毎回トップタイムが出ていたので、いつもの予選方式ならもっと簡単にポールが獲れるな、と思いました。
予選ではなるべくタイヤを使わないようマネジメントできたと思いますし、いつもと違って僕も走ってポールを獲れたので本当にうれしいです。
セッティングに関しては金曜日の段階で気になってる部分があったんですが、夜の間に直してくれて良くなっているので、
今夜は安心して寝られます。
チームの雰囲気もとてもよく、モチベーションが下がることなくやれてて、もてぎには必勝体制でやってきました。
明日は簡単なレースじゃないと思いますけど、やるべきことをちゃんとやってミスをしなければ結果はついてくると思います。
(長谷見さんには)普段褒められたことがあまりなかったので「おめでとう!」と言われてドキっとしました。
やるべきことをちゃんとやれば認めていただけるんだな、と改めて思いました。
GT300クラス #26ユンケルパワータイサンポルシェ
谷口信輝
僕も日本語でいいですか?(笑)
今季初のポールポジションなのでうれしいです。もてぎはシリーズの中で僕らが一番有利なサーキットですが、
最近は救済措置が変わって他も速くなってきましたし、特に19号車はぶっちぎりの速さだったので、
トップは無理だろうなと思って予選に臨みましたが、19には不運なことが起きました。
セッション1で山路さんがタイヤを残してくれたので、セッション2、3は思い切っていけました。
セッション3ではいいタイムを出したつもりが2番手で、無線で「もう1周行け」と言われ、
もう突っ込んでもいいくらいの気持ちで思い切ってアタックしたんですが、ヨコハマタイヤが踏ん張ってくれて、
最後までグリップしてくれたのでいいタイムが出ました。でも他もアタックしていたせいか、中々トップだと教えてもらえなくて、
しばらくその辺を流していたらやっとトップだと教えてもらいました。
明日は5番手くらいから抜いていくつもりがトップになりましたので、とにかく全開で逃げ切るだけです。
山路慎一
客観的に見て今回は3番手くらいかなと思っていましたが、谷口君の走りは自分がイメージしているとおりのすばらしい走りでした。
このところ尻上がりにクルマのポテンシャルが上がっていますし、それにつれてチームの気持ちも上向いてきていますから、
明日は最高の結果を残さないといけません。
いい走りをして1秒でも長くテレビに映りたいので、是非よろしくお願いします。
まとめ:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA
2008スーパーGT第7戦、「もてぎGT300kmレース」の公式予選2回目は、昨年に続いてノックダウン方式で行われ、
#3YellowHat YMS TOMICA GT-R(ロニー・クインタレッリ/横溝直輝組)が今季初のポールポジションを獲得。
3号車は金曜のフリー走行から圧倒的な速さをみせ、ここまで全てのセッションでトップタイムを記録した。
GT300クラスは#26ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/山路慎一組)がチェッカー直前にトップに躍り出て、
こちらも今季初ポールを獲得した。

F1やフォーミュラニッポンではすっかりお馴染みになったノックアウト方式。スーパーGTでは昨年のもてぎラウンドで
「ノックダウン方式」として導入された。
予選を3つのセッションに分け、徐々に台数を絞っていくやり方は昨年と同じだが、
今年は二人のドライバーが3つのセッションのいずれかに必ず参加しなければならない。
どちらのドライバーにどのセッションのアタックを担当させるか、という新たな戦略面の面白さが加わった格好だ。
更にタイヤは3つのセッションを通して1セットのみしか使用が許されない。
注目の公式予選2回目は午後2時50分に開始された。
セッション1は各クラス15分間。
ここでGT300は上位20台、GT500は上位12台までがセッション2への出走権を得る。
しかし最初に走り始めたGT300では、
既にタイム抹消により予選不通過とされた#19ウェッズスポーツIS350の最後尾グリッドが決まっている。
それでもアタックを担当した織戸学は1分54秒634というダントツのタイムを記録して意地を見せた。
このセッションをトップで通過した#110クムホボクスターのタイムは1分56秒460だ。
セッション2進出のかかるボーダーライン、20番手争いは最後まで目まぐるしく順位が入れ替わり、
最後の最後に#81ダイシンZを駆る藤井誠暢、#27ハンコックGT3のファン・ジヌらが順位を上げ、
#2紫電の高橋一穂もぎりぎり21番手で踏みとどまった。
GT500クラスは、#24ウッドワンGT-R、#25エクリプスSCのヨコハマ勢がいち早くアタックを開始。
ダンロップユーザーの#32エプソンNSXがそれに続くが、
32号車はラジエターの配管にトラブルが出たためアウトラップを走ったのみでピットに戻り、そのままガレージへ。
平中克幸は一度もアタックすることなく予選を終えた。
その他のチームは残り時間8分過ぎから一斉にコースに飛び出してアタックにとりかかる。
この結果、金曜のフリー走行から圧倒的な速さを見せ付けている#3イエローハットGT-Rの横溝が1分45秒421でトップ。#1ARTA
NSXの伊沢拓也が1分45秒428と僅差で2位につける。
しかしNSX勢は#18TAKATA童夢、#100レイブリック、
#17リアルの3台が終盤までボーダーライン上での戦いを繰り広げることとなり、結局エプソンに続いてリアルがここで予選を終えることに。
早めにしかけたアドバン勢も終わってみれば2台とも下位に沈み、予選を終えた。
7分間のインターバルの後に行われたセッション2は各クラス10分間。
ここでGT300は上位10台、GT500は上位8台がセッション3へ進む権利を得る。
GT300は#26ユンケルポルシェの谷口が1分56秒203のトップタイム。残り4分で#2紫電の加藤寛規が2番手タイムを記録した。
ボーダーライン上の戦いでは、
#77クスコインプレッサの佐々木孝太が残り20秒で8番手タイムを叩き出す一方で前戦鈴鹿1000kmを制した#46モーラZはウェイトハンデに苦しんだか1コーナーでコースオフ、
最後のアタックチャンスを逃して16位に終わった。
GT500はセッション1とは対照的に、開始早々から全車一斉にアタックを開始。
最初にタイムを出したのは#39デンソーSCのアンドレ・クートだったが、すぐに他のドライバーたちがクートを凌ぐタイムを連発していく。
結局ここでもイエローハットZがトップタイム。今度はクインタレッリのドライブで1分44秒843のコースレコードを叩きだし、
2位の#23ザナヴィGT-Rにコンマ6秒以上の差をつけた。
ここでは前回優勝の#12カルソニックGT-Rのほか、#38ZENT SC、#18TAKATA童夢NSX、
#100レイブリックNSXの4台が脱落。
過去の戦績では圧倒的な相性の良さを見せるNSX勢だが、これでセッション3に挑むのはARTAの1台のみとなった。
再び7分間のインターバルをおいて最後のセッション3が開始された。
GT300は残り時間2分で#2紫電の加藤が1分55秒972で一気にトップに躍り出るが、
終了間際にまたしても#26ユンケルポルシェの谷口が1分55秒739と紫電を逆転してトップに。
加藤もアタックを続行して自己ベストを更新するが、結局1分55秒751に留まり、2番手となった。
#62ウィルコムヴィーマックの黒澤治樹もセクター1、2と谷口を上回る区間タイムを記録するが、後半伸び悩んで3番手に終わった。
GT500はまたしてもデンソーSCが最初にアタック。今度は高木虎之介がアタックを行うが、1分47秒台に留まり、
上位グリッドは難しい状況。
さすがにタイヤの消耗が効いてきたのか、#22モチュールGT-Rの柳田真孝も1分47秒059に終わる。
しかし#1ARTAのラルフ・ファーマンは1分45秒574とまずまずのタイム。
続く#23ザナヴィGT-Rのブノワ・トレルイエ、#35宝山SCのピーター・ダンブレックらも45秒代後半の好タイムを記録してきた。
ファーマンはさらにタイムを1分45秒036と自身のセッション2のタイムをも上回ってきた。
しかしここでも3号車は速かった。
クインタレッリは残り時間僅か5秒で1分44秒548とレコードタイムを更に更新してポールポジションをもぎ取った。
イエローハットGT-Rの今季初ポールは、金曜日のフリー走行から全てのセッションでトップタイムという圧倒的な速さで達成されたものだ。
第7戦決勝は明日午後2時より、63周で戦われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA
2008スーパーGT第7戦、「もてぎGT300kmレース」の公式予選1回目は#3YellowHat YMS TOMICA
GT-R(ロニー・クインタレッリ/横溝直輝組)がGT500のトップ。
GT300は#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/阿部翼組)がトップタイムを記録したが、予選後の車検で違反が見つかり、
タイム抹消となった。この結果、#110KUMHO BOXSTER-GT(光貞秀俊/池田大祐組)が繰上げでトップタイムとなった。

公式予選1回目は午前10時20分より各クラス専有20分、混走20分の計1時間で行われた。
今回は昨年のもてぎラウンド同様、ノックダウン方式の予選を午後に実施してグリッドを決定するため、
この午前のセッションでは各ドライバーの予選通過基準タイム通過が主な目標となる。
ここではGT500は1分52秒942、GT300は2分04秒291がそれぞれのクラスの基準タイムとなったが、
今回参加した全てのドライバーがこれをクリアし、GT500は#3イエローハットGT-R、
GT300はウェッズスポーツIS350がトップタイムを記録した。
ところが予選後に行われた車検において、ウェッズスポーツは吸気口を塞いでもエンジンが停止しなかったため、
JAF国内車両規則第7章、JAF-GT300第5条3.1.4(自然吸気エンジン)3)の違反とされ、予選タイムを抹消されることになった。
目下チームでは原因の究明と対策に追われているが、午前の予選タイムを抹消された19号車は規定により午後の予選において通過基準タイムを出すことが求められ、自動的に最後尾グリッドが決定してしまった。
ノックダウン方式による予選2回目は午後2時50分より行われる。
Text:Kazuhisa Suehiro Photo:Keiichiro
TAKESHITA
やはりここでもBMWは強かった。
スーパー耐久シリーズ2008第5戦、「スーパー耐久岡山500kmレース」は、予選3番手からスタートした#28PETRONAS
SYNTIUM BMW Z4M COUPE(谷口信輝/片岡龍也組)が優勝、#5028PETRONAS SYNTIUM BMW
Z4M COUPE(柳田真孝/吉田広樹組)が2位と、Z4Mクーペが今季4度目の1-2フィニッシュを達成することとなった。
ST2クラスは#20RS小川ADVANランサー(阪口良平/谷口行規/小川日出生組)が勝ち、
谷口は来る10月10月26日のWTCC岡山大会に向けて最高の結果を得た。
なお、ST3クラスはポイントリーダーの#333エクセディH.I.S.イングスZ(前嶋秀司/佐々木雅弘組)が、
ST4クラスは#51AGYingsインテグラ(井尻薫/黒木英春/黒木健次組)が今季3度目のポール・トゥ・フィニッシュを達成した。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:10,050人)
決勝レースは午後1時20分にスタート。
お昼のピットウォークが行われているときに小雨が降ったものの、スタート進行が始まるまでに天候は回復。
無事ドライコンディションの下でレースは行われた。
ポールシッターの#10Cenote Zがホールショットを決めてトップでオープニングラップを終えるが、
その後方では予選3位の28号車がアトウッドカーブで#1エンドレスZの青木孝行に並びかけ、ヘアピン手前で抜き去って2位に浮上してきた。
28号車を駆る谷口は2周目のアトウッドでも同じように#10田中哲也のインに飛び込み、ヘアピン手前でトップに躍り出た。
谷口は4周目にこのレースのファステストラップとなる1分36秒425を記録するなど序盤から一気に後続を突き放しにかかり、
30周を終える頃には2位との差を27秒まで広げてきた。
その後方では#5ポルシェの大井貴之、#50BMWの柳田真孝らが次々と#1青木を攻略、
#1エンドレスZは一時5位まで順位を落とすが、#1青木も次第にペースを上げ、
#50柳田と抜きつ抜かれつのバトルを繰り広げながら#5大井との差をも詰めていく。
ところが11周目、突然50号車がピットイン。
空気圧に以上があったか、前後タイヤ交換のみを行ってピットアウト。これで11位まで後退することとなった。
一方エンドレスZは5号車のポルシェを抜き返して3位に浮上すると、10号車のZとの差をも徐々に詰めていき、
25週を消化する頃には遂にテール・トゥ・ノーズ状態にまで持ち込んだ。
しかし#10CenoteZも一歩も引かず、
両者は1秒以内の間隔を保ったまま50周終わりで10号車が最初のピットストップを行うまで接近戦を繰り広げた。
トップの28号車は47周終わりでピットイン。片岡龍也に交代すると、その後も1分39秒台、40秒代前半のハイペースで周回を重ね、
1スティト目を59周まで引っ張った#1エンドレスZがピットストップを行うと再びトップに立ち、
最後は2位に1分12秒194もの大差をつけて135周を走り切り、今季3勝目を挙げた。
2位はチームメイトの50号車。予定外のピットストップで一時は11位まで後退しながらも、
その後は28号車とほぼ同タイムのハイペースで追い上げ、36周目の1コーナーで5号車のポルシェを抜いて4位、
Z勢が最初のルーティンストップを終える頃にはこの2台をも抜き去って今季4度目のペトロナスBMWの1-2フィニッシュを達成した。
3位には#1エンドレスZ。昨年の岡山戦を髣髴とさせる左前後タイヤ2本交換を2度目のピットストップで敢行したが、
速さと信頼性の増した今年のZ4Mクーペには通用しなかった。
ポールシッターの10号車は結局1周遅れの4位でレースを終えた。
ST2クラスは今回も荒れに荒れた。
予選トップの#37シーケンシャルランサーを2番手の#6新菱オートランサーが抜いてトップに立つが、
44周終わりで行った1回目のピットストップでエンジンがかからず、ガレージに戻されての修復作業により大きく遅れることとなった。
変わってトップに立ったのはシーケンシャルランサー。
オープニングラップでは6号車だけでなく#11オーリンズランサーにも抜かれて3位に後退したが、
5周目の1コーナーで11号車を抜き返して6号車を追走していた。
オーリンズランサーはその後29周目に#20RSオガワランサーにも抜かれ、
2度目のピットストップの際にはおびただしい燃料漏れに見舞われて82周でレースを終えることになった。
最初のピットストップまではクラストップで快調に周回を重ねていた37号車であったが、
51周終わりでドライバー交代を済ませた直後の1コーナーで痛恨のスピン!これで20号車にトップの座を明け渡すこととなってしまう。
しかし2番手を任されたHINOKIは67周目のアトウッドカーブで#20谷口行規のインに飛び込み、
そのまま併走状態でバックストレートを立ち上がってヘアピン手前で前に。クラストップを奪い返して自らのミスを帳消しにして見せた。
ところが37号車は90周終わりで20号車と同時に2度目のピットストップを行った際、
ピットレーン速度違反という痛恨のミスを犯してしまう。
これにより3番手を担当した和田久に対し、ドライブスルーを命ずるボードが提示される。
37号車は98周終わりでピットイン。これにより#20オガワランサーが再びトップに立つと、そのままチェッカーまで逃げ切り、
今季初のクラス優勝をものにした。
ST3クラスは、予選トップの#39トレーシースポーツNSXが序盤ペースが上がらず、
36周目にはスピンを喫するなどで下位に後退する中、
着実に順位を上げてきたポイントリーダーの#333エクセディZが今季4勝目を挙げる結果に。
39号車は2番手の井入宏之が連続2スティントを担当して懸命に追い上げ、
81周目のリボルバーコーナーで#777号車のZを抜いて2位に浮上すると、その後もトップとの差を着実に詰めていったが一歩及ばなかった。
ST4クラスは、予選トップの#51AGYインテグラが一度もトップを明け渡さない磐石の走りで2位以下をぶっちぎり、
今季3勝目を挙げた。つまり51号車はここまで参戦したレース全てで勝利を収めたことになる。
2番手には#73キャラコートDC5が入った。
次戦はスポーツランドSUGO。11月2日決勝だ。
なお、当初10月5日に予定されていた韓国テベックサーキットでのオールスター戦はサーキット側の都合によりシリーズ戦から除外されている。
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA
スーパー耐久第5戦岡山の決勝前フリー走行は#28PETRONAS SYNTIUM BMW Z4M
COUPE(谷口信輝/片岡龍也組)がトップタイム。
2番手にもチームメイトの#50(柳田真孝/吉田広樹組)がつけ、ポールシッターの#10Cenote ADVAN Z
(田中哲也/星野一樹/岡本武之組)は3番手でこのセッションを終えた。
決勝日を迎えた岡山国際サーキットの天候は昨日に続いて晴れ。今日も暑い一日になりそうだ。
フリー走行は午前8時5分より30分間で行われた。
昨日の予選では遂に連続ポール獲得を阻止され、フェアレディZにフロントローを明け渡したBMW Z4勢だったが、
このセッションではいつもの見慣れた1-2獲得で好調ぶりを見せ付けた。
トップの28号車は5周目に谷口1分36秒710、50号車は6周目に柳田が1分36秒864を記録、
これがそれぞれのベストタイムとなった。
ポールシッターの10号車は星野が12周目に1分37秒514を出したものの、Z4Mクーペにはコンマ6秒差をつけられている。
ST2クラスは#20RSオガワADVANランサー(阪口良平/谷口行規/小川日出生組)がトップ。総合でも6番手につけ、
7番手にはST3クラストップの#333エクセディH.I.SイングスZ(前嶋秀司/佐々木雅弘組)がつけている。
ST4クラスはここでも#51AGYingsインテグラ(井尻薫/黒木英春/黒木健次組)がトップタイムを記録して好調ぶりを見せつけた。
第5戦決勝はこのあと午後1時20分より135周で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA
#10田中哲也(Cenote ADVAN
Z)
ようやくレースらしくなってきましたね(笑)
夏休みのインターバルもあって、またモーラのおかげもありクルマも仕上がってきました。
路面温度とタイヤのマッチィングもあり、また他のコースよりBMWとのタイム差も少ないんで、
今回はチャンスがあればもちろん行きたいですが、明らかにBMWは速いんで自分たちのレースを完璧にやって、
その上で結果はついてくると思います。
自分自身で立ち上げた「チーム・テツヤ・タナカ」なのでようやくここまで来れた感じでポールは嬉しいです。
相方の(星野一樹選手)の頑張りもありましたしね
Text:Keiichiro TAKESHITA
Z4Mクーペの快進撃に遂に待ったがかかった!
9月6日岡山国際サーキットで行われた、スーパー耐久シリーズ2008第5戦「スーパー耐久岡山500kmレース」の公式予選は、
#10Cenote ADVAN Z(田中哲也/星野一樹/岡本武之組)が今季初のポールポジションを獲得、
予選2番手にも#1ENDRESS ADVAN Z(青木孝行/藤井誠暢/山田英二組)がつけ、開幕以来続いてきたBMW
Z4Mクーペの連続ポールを見事阻止した。
Aドライバー予選
Aドライバー予選は気温34度、
路面温度46度という厳しい残暑の下、午後1時20分よりグループ1(ST-1・2)、グループ2(ST3・4)各15分づつの、
計30分間で行われた。
グループ1開始早々に好タイムを記録したのは#28ペトロナスZ4Mクーペの谷口信輝。
最初のアタックで1分40秒165を記録してトップに立つと、その後も順調にタイムを縮め、5周目に1分35秒758を出してきた。
一方、ライバルたちは残り時間5分あたりから本格的なアタックを開始。
#10田中が3周目に1分35秒726でトップに立つと、その直後に#50柳田が1分35秒655を同じく3周目で記録してトップに。
#1エンドレスZの青木はクリアラップを求めてウォームアップに3周を費やし、4周目に漸くアタックを行ったが、
1分35秒792と4番手に留まった。しかしトップの柳田と4番手の青木のタイム差は僅か0.137秒。
Bドライバーの出来如何でどうとでもなりうる状況だ。
ST-2クラスは#37シーケンシャルランサーの和田久が1分38秒576でトップ。
#11オーリンズエボXの中谷明彦がセッション終盤に1分39秒926を出して2番手につけた。
続いて行われたグループ2の予選では、最初のアタックで1分40秒177を叩き出した#39トレーシースポーツ
NSXの井入宏之がST-3クラスのトップ。2番手にはランキングトップの#333エクセディZの前嶋秀司がつけた。
ST-4クラスは#51AGYインテグラの井尻薫がセッション終盤に#76レーシングモジューロタイプRを逆転してトップに立った。
Bドライバー予選
15分間のインターバルをおいて午後2時5分から始まったBドライバー予選では、Z4の50号車がまずアタックを開始、
ルーキーの吉田広樹が1分36秒326とまずまずのタイム。
しかし続いてアタックにとりかかった#1藤井、#10星野、#28片岡らはいずれも吉田のタイムを上回り、
1分35秒939を出した#1藤井がここでのトップ。2番手には#10星野がつけた。
ここでトップの藤井と4番手の吉田との差は0.387秒、2番手星野と吉田との差も0.369秒となったため、
AB両ドライバーのタイム合算では2台のZがZ4Mクーペの2台を上回り、田中/星野組がポールポジションを獲得、1号車が2番手と、
Z勢が今季初めてフロントローを独占することとなった。
ST2クラスは#6新菱オートエボIXの関豊が1分38秒186でトップに立ったが、
2番手につけた#37砂子塾長との差が0.506秒しかなかったため、Aドライバー分の差を打ち消すことが出来ず、
#37シーケンシャルエンドレスアドバンランサー(和田久/砂子塾長/HINOKI組)がポールポジションを獲得、
新菱オートは2番手に留まった。
ST3クラスは#39赤鮫オヤジが2度目のアタックで1分40秒474を出し、Aドライバー井入に続いてのトップタイムとなったため、
計算するまでもなく#39TRACY SPORTS eeiA NSX(井入宏之/赤鮫オヤジ組)
がポールポジションを獲得する結果となった。
Bドライバー2位の#78WW2 RX-7がタイム合算でも2番手、ポイントリーダーの333号車は3番手からスタートすることとなった。
ST4クラスも#51黒木英春がトップタイムを記録。AB両ドライバートップで文句なしのポール獲得となった。
#51AGYインテグラは第1戦鈴鹿、第3戦富士に続いて今季3度目のポールポジション。第2戦仙台、第4戦十勝を欠席した51号車だが、参加したレースでは全てポールを獲得している。
第5戦決勝は明日午後1時20分より、135周(500km)で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO Photo:Keiichiro
TAKESHITA

GT500クラス #12カルソニックIMPUL GT-R
松田 次生
(鈴鹿のGTでは)2002年以来の優勝です。
今シーズンカルソニックインパルで走ることになって、僕自身がまず1勝したかったので、セバスチャンやチームとここまで頑張ってきました。勝つならここかな?と思って来ましたが、走り出してみると思ったとおりにはならなくて、金曜日にはリヤのトラブルが出てしまいました。それでも予選が雨になったお陰でうまく順位を上げることができました。
決勝は序盤苦しい戦いになり、アンドレとの接触があって、あれはやむを得ない面があったと思いますけど、そのせいでリヤのナットが緩んでしまい、予定外のピットストップを強いられました。でも当初から4ストップの作戦も考えていたので、ここでタイヤ交換と給油を行って、ドライバー後退はせずに62周まで引っ張ることにしました。
次のセバスチャンのスティントでも頑張ってくれたので、最後ドライブではレイブリックとの戦いになりましたが、うまく燃費を持たせることができて1周後に入ることができたのが勝因になったと思います。セバスチャンも最後に頑張ってくれましたし。
今までは歯車が噛み合わなくて中々勝てませんでしたが、今回はチームの歯車がうまく噛み合ったので勝てたんだと思います。
ここでウェイトを積んでしまったので、次は苦しいレースになりますが、ウェイトを降ろしつつポイントを重ねていって、
最終戦ではチャンピオン争いに加われるようにしていきたいですね。
セバスチャン・フィリップ
最初のスティントではまさか勝てるとは思っていませんでしたが、ツギオがダブルスティントを走り、
ファンタスティックな仕事をしてくれました。
僕のファーストスティントはタイヤのマッチングに問題がありましたが、2度目のスティントは自信を持っていけました。
昨年は厳しいシーズンでしたが、今回勝つことができて良かったですし、チームにとってもこれは嬉しいことだと思います。
今までにも鈴鹿1000kmで優勝したことはありますが、今回はチャンピオンシップの1戦での優勝なので、一番難しかったし、最高です。
次のモテギはウェイトの問題もあるし、クルマとの相性も良くないので難しいと思いますが、
オートポリスでは20kgおろして走ることになると思いますし、その先のフジでもまた違ったストーリーが考えられると思います。
GT300クラス #46MOLAレオパレスZ
星野 一樹
ここに来る前にチームとミーティングをして、タイヤメーカーさんとも話し合いました。その結果、75kgのウェイトは厳しいはずなので、今回はウェイトを降ろしにいこうと思っていたんですが、雨が降ったことで「いけるだけいこう」ということになりました。
実際に決勝が始まってみると、やっぱり重さが厳しく、チームからは「完走狙いで行こう」と言われましたが、僕が無線で断って(笑)どうしても3ストップでいきたい、と主張しました。
前回(2006年のGT500優勝)は勝たせてもらった感じで、僕自身は1回しかドライブさせてもらえなくて、悔しい思いをしたんですが、今回は自分の思い通りに走らせてもらって勝てたので嬉しいです。最後のスティントまでは自分たちのことしか見えてなかったので、インパルがトップだとは気が付いてなかったんですが、残り30周というところでそれが判って、「このままいけま親子で優勝だな」と思いました。でもそこからの30周は5時間くらいに感じましたよ(笑)
ウェイトを降ろすはずが逆に125kgまで積むことになったので次からは厳しいレースになりますが、やれることをやって残り3戦を戦っていきます。
安田 裕信
昨年は表彰台に乗らせてもらいましたが、僕自身はドライブできなかったので、今回ドライブさせてもらった上で勝てたのは嬉しいです。
僕の担当した2スティント目はハード目のタイヤをチョイスしたんですが、これが裏目に出て後ろを抑えるだけで精一杯の状態でした。
でも次のスティトで星野さんが頑張ってくれてトップに立つことができ、僕も2度目のドライブではプッシュするとこはプッシュできたし、
抑えるとこは抑えることができました。
残り3戦もきっちり落とさずにポイントを取っていきたいです。
まとめ:Kazuhisa SUEHIRO
2008スーパーGT第6戦、ポッカ1000kmは、最後のピットストップでトップに躍り出た#12カルソニックIMPUL
GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ組)が優勝。チームインパルは2006年の鈴鹿1000km以来2年ぶりの勝利をものにした。
GT300クラスは#46MOLAレオパレスZ(星野一樹/安田裕信組)が勝利。星野一樹にとっても、
この勝利は2年前のGT500で成し遂げて以来のものとなった。
これまで同一周回で3度のピットストップを行ってきた#100レイブリックNSXと#12カルソニックGT-R。
しかし最後のピットストップとなった4度目のルーティンストップはそうではなかった。
まず136周終わりで#100細川慎弥がピットに飛び込む。100号車はタイヤ4本交換と給油に47.6秒を費やし、
井出有治が最後のスティントに出て行く。
一方、12号車を駆る松田がピットに入ったのはその次の137周終わり。こちらは43.2秒で全ての作業を終え、
フィリップは見事100号車の前でコースに復帰した。
アウトラップを走り終えての両者の差は5秒弱。
まさにピット作業時間の差が明暗を分けた格好だ。
猛然と追い上げる井出は、スティント前半で1分59秒台を連発、145周を終えてその差は2秒強。
それが146周終わりでは一気に1秒035まで迫ってくる。
トップが148周を終えたところで恒例の「ライトオン」のサインがメインポストから出されると、
その次の149周終わりでトップ2の差は一気に0秒420に縮まった。
しかし周回遅れに行く手を阻まれ、井出は中々フィリップを攻略できない。
そうこうしているうちにフィリップも次第にペースを上げ、井出と同じ1分59秒台を連発し始める。
反対に井出は150周を過ぎた辺りから徐々にフィリップに遅れをとり始めた。
152周を終えたところで両者の差は4秒586に開き、160周を終える頃には8秒480に。
その後も何度か2分00秒台を記録して懸命に追い上げる井出だったが、フィリップもタイム差を見ながらペースをコントロールし、
逆にじわじわと差を広げていく。
遂に161周終わりでその差は10秒を超えるまでになった。
井出は最後までフィリップを追いかけるが、結局173周を走りきった時点で7秒886届かず、
ピットスタートからの大逆転劇は成就しなかった。
3位には終盤ペースの上がらなくなった#23ザナヴィGT-Rを157周目に攻略した#36ペトロナスSC430。
ポールスタートながらカウル脱落という試練に見舞われた#22モチュールGT-Rは4位まで挽回してレースを終えた。
最後のピットストップが明暗を分けたのはGT300クラスも同じだった。
ピット作業の遅れを懸命に取り戻そうと追い上げていた#95ライトニング・マックイーンMR-Sの大嶋和也だったが、
123周目のスプーンで痛恨のコースオフを喫し、逆に差を広げてしまう結果となった。
46号車の最後のスティントを担当した安田はその後も安定したペースで逃げ切り、今季初勝利をものにした。
3位には#7ORC雨宮RX-7が入り、
ポールスタートながらトラブルで途中ガレージに引き込まれた#77クスコインプレッサも何とかコースに復帰し、
トップから33周遅れのクラス17位でフィニッシュした。
次戦はツインリンクもてぎ。9月14日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
スーパーGT第6戦、ポッカ1000kmは全行程の4分の3を消化。
トップは依然として#100RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥/松浦孝亮組)。2位には#12カルソニックIMPUL
GT-R(松田次生/セバスチャン・フィリップ組)、3位に#23XANAVI NISMO GT-R(本山哲/ブノワ・
トレルイエ/ファビオ・カルボーン組)がつけている。
5ストップペースの#22モチュールGT-Rに対して4ストップペースの#100レイブリック、#12カルソニック、#23ザナヴィ、
#36ペトロナスSCらの争いが拮抗してきた。
まずは#23トレルイエと#36ロッテラーが熾烈なドッグファイトを展開。
88周目の最終コーナーでトレルイエのインをこじ開けたロッテラーがこの時点での3位に浮上する。
トップの100号車は100周終わりで3度目のピットイン。リヤ2本交換で#22モチュールの前でコース復帰した細川は、
2分1秒から2分フラットのハイペースで飛ばしに飛ばす。
12号車も同じ周でピットへ。こちらは松田にスイッチしたが、作業に手間取って51秒を要してピットアウト。
これにより、見かけ上のトップ争いとなった#36と#23の2台は105周終わりでピットイン。
いつもながらの迅速なピット作業で本山を送り出したニスモのメカニックだったが、トムスも負けじと奮闘し、
脇阪がきわどいタイミングで鼻先を掠めていった。
この時点での順位は#100、#22、#12、#36、#23。
ところがここで#22モチュールのリヤカウルが浮き上がり始めた。
たまらず22号車は118周終わりで緊急ピットイン。ガムテープで応急措置を施してコースに飛び出していく。
これで順位は7番手に後退した22号車は、アウトラップの1コーナーで周回遅れの#66ガイヤルドと交錯。
堪らずスピン状態に陥った66号車に、後ろから来ていた17号車が突っ込んでしまい、左フロントを大破してしまう。
これでピットに戻った17号車だったが、既に午前中のフリー走行のクラッシュでスペアカウルを使い果たしてしまったため、
ガムテープでフェンダーを急造したうえ、ライトの修復に手間取って大きく遅れてしまった。
GT300クラスにも波乱が訪れた。
2番手吉本が78周目にトップを奪い返し、
81周終わりで高橋にスイッチした#2プリヴェKENZOアセット紫電があろうことか91周目のヘアピンで周回遅れの#66ガイヤルドと絡んでコースオフ。
ここでフロントの足回りにダメージを負った2号車はそのままピットに戻ってレースを終えることとなったのだ。
これでトップ争いは#46レオパレスZと#95ライトニング・マックイーンMR-Sに絞られた。
2台は120周終わりで同時ピットイン。
ここで給油が長引いた95が46に大きく遅れてピットアウト。しかしまだまだ残り周回数は多い。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Mami OKUDA
スーパーGT第6戦、ポッカ1000kmは全行程の丁度半分となる87周を消化した。
86周終わりで#22MOTUL AUTECH GT-Rが3度目のルーティンストップを行ったため、
87周終了時点では#100RAYBRIG NSX(井出有治/細川慎弥/松浦孝亮組)がトップに立った格好だ。
2位には#12カルソニックGT-R、3位には#23ザナヴィニスモGT-R、#22モチュールは4位につけ、
GT-Rが2-3-4位を走行している。
最初のスティントをトップで終えた#22モチュールは57周目に2度目の、86周終わりで3度目のピットストップを行った。
ほぼ均等割りで5回ストップの勘定だ。
これに対し#12カルソニックと#100レイブリック、#23ザナヴィらは長めスティントで4ストップ作戦を採る模様。
#22モチュールは49周目のシケインで周回遅れに引っかかった隙に一旦は#6エネオスSCの飯田章にトップの座を奪われるが、
6号車は22号車より更に短いスティントで走行しており、55周終わりで2度目のピットへ。これで再び22号車がトップに返り咲いた。
その後方からハイペースの追い上げを展開していたのが#100レイブリックだ。
2スティント目を担当した細川も井出に劣らないアグレッシブな走りで前を行くクルマに襲い掛かり、
52周目に#36ペトロナスSCを駆る脇阪寿一を、そして55周目には#17リアルNSXを駆る金石勝智をも抜き去った。
この間に#6エネオスSCがピットストップを行ったこともあり、100号車は一気に2位に躍り出た。
細川は62周終わりでピットイン。再び井出にステアリングを託すが、この時点で先行する22号車との差は約30秒。
これはスタート時点とほぼ同じ。まったくの同一ペースでここまで走ってきたことになる。
井出は2度目のスティントでもハイペースで飛ばしに飛ばし、徐々に#22モチュールとの差を詰めていく。
86周終わりで22号車が3度目のピットインを行ったときには、その差は26秒あまりにまで縮まっていた。
この先のピットタイミングいかんによっては充分逆転も可能なはずだ。
しかしピットスタートの100号車が快進撃を繰り広げている一方で、他のNSX勢には相次いで試練が襲い掛かった。
#1ARTAは53周目のシケインであろうことか同じNSXの#32エプソンと接触。
エプソンは左リヤ、ARTAは右フロントにダメージを負ってそのま予定外のピットストップを行うこととなった。
更に#18TAKATA童夢も同じ周回で左フロントのスローパンクチャーに見舞われてスロー走行を強いられて緊急ピットインとなった。
#17リアルも一時ペースを落とすが、こちらは徐々に挽回して7位まで盛り返してきた。
GT300はどこよりも長い40周スティントを敢行する紫電が500km終了時点でもトップ。
2番手には#26ユンケルポルシェ、3番手に#7ORC雨宮RX-7、#62ウィルコムヴィーマックがつけているが、
この3台が短めのスティントであるのに対して#46レオパレスZや#95ライトニング・
マックイーンMR-Sらも長めのスティントで走行しており、予断を許さない状況だ。
しかし40周終わりで最初のピットストップを完了した#43ARTAガライヤはアウトラップで突然のスローダウン。
そのままガレージに直行することとなった。
ポールシッターの#77クスコスバルインプレッサは78周目のヘアピン立ち上がりで何らかのトラブルによりスピン。
そのままガレージに戻って修復作業に入っている。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
スーパーGT第6戦、ポッカ1000kmの決勝レースは全行程の4分の1、43周を消化した。
依然としてGT500は#22MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム/柳田真孝/ドミニク・シュワガー組)がトップ。
2位には#6ENEOS SC430(飯田章/ビヨン・ビルドハイム/ロベルト・ストレイト組)が浮上、
序盤2位を走行していた#17REAL NSX(金石勝智/金石年弘/塚越広大組)は3位を走行している。
スタート直後は着実にリードを広げつつあった#22クルムだったが、
周回遅れが現れ始めた7周目辺りから徐々に#17金石年弘が差を詰めてきた。
11周目の1コーナーで周回遅れに詰まったクルムに並びかける年弘。
しかしクルムも一歩も引かずにトップを死守。
その後方では1周目を3位で戻ってきた#12カルソニックGT-Rが11周目に失速、#1ARTA、
#36ペトロナスSCに一気に抜かれるが、1号車は16周目の130R立ち上がりで突如スローダウン、
そのままピットに飛び込んで後ろ左右のホイールナットを締めなおし、そのままコース復帰。これで一気に14位まで後退した。
これで4位に繰り上がった#12松田は20周目のシケインで周回遅れに詰まった#36ロッテラーのインに飛び込んで3位を奪い返す。
しかしこの際、両者は接触、36号車はスピン、一気に9位に後退することに。
この接触について審議が行われたが、結局レースアクシデントということになった。
更にその後方では、エンジン交換により折角のポールポジションを不意にした挙句、
サスペンショントラブルにも見舞われてピットスタートを余儀なくされていた#100レイブリックNSXを駆る井出有治がトップグループを上回るハイペースで追い上げている。
トップの22号車は29周終わりで最初のルーティンストップを行い、2位の17号車は34周まで引っ張った。
このままいけば22号車は5回ストップ、17号車は4回ストップという計算になる。
しかし17号車はエンジン始動に手間取り、この間に28周終わりでピットストップを終えていた#6エネオスSCが2位に割って入った。
ドライバーはビルドハイムから飯田章に交代していた。
カルソニックGT-Rは25周終わりで最初のピットストップを行ったが、ここで右リヤタイヤの交換に手間取り、
またしても36ペトロナスの先行を許す。
#100レイブリックはトップの#22モチュールと同じ29周終わりで最初のピットストップを行い、
44周終了時点では5位まで順位を上げている。
GT300は序盤から激しいトップ争いが繰り広げられた。
ポールポジションからホールショットを奪った#77インプレッサだったが、
9周目にはストレートスピードに勝る#26ユンケルポルシェにトップを明け渡すこととなる。
続いて追い上げてきたのが#2紫電だ。
スタートドライバーの加藤寛規は7周目のシケインで#43ガライヤの高木真一を抜き去ると、
9周目のシケイン手前でインプレッサを攻略、一旦は抜かれたユンケルとの差を徐々に詰め、
遂に15周目のダンロップでアウトから#26谷口信輝を抜き去ってトップに浮上した。
加藤はそのまま41周終わりまでピットストップを引っ張って吉本に交代。
ところが40周終わりでピットストップを済ませていながらスローダウンを強いられ、
再びノピットインとなった#43ガライヤにピット入口で引っかかった挙句、エンジン再始動にも手間取り、大きくタイムロスを喫することに。
41周終了時点ではトップを堅持した格好だが、結局このロスが祟って5位まで後退する事となった。
また、ポールのインプレッサは#46レオパレスZ、#95ライトニング・マックイーンMR-S、
#19ウェッズスポーツIS350にも抜かれて一気に10位に後退している。
Text:Kazuhisa SUEHIRO

スーパーGT第6戦決勝は午後1時丁度にスタート。
ポールシッターの#22MOTUL AUTECH GT-R(ミハエル・クルム/柳田真孝/ドミニク・
シュワガー組)がホールショットを決め、そのまま順調にトップを快走している。
2位には#17REAL NSX(金石勝智/金石年弘/塚越広大組)。しかし3番手スタートの#1ARTA
NSXは1周目の130Rでオーバーランしてしまい、#12カルソニックGT-Rが3位に浮上している。
なお、既にピットスタートが決まっていた#38ZENTセルモSCに加え、#18TAKATA童夢NSXがウォームアップ中、
#100レイブリックNSXはグリッド上でサスペンショントラブルが発覚、修復作業のためガレージに戻され、ピットスタートとなっている。
GT300はポールの77クスコDUNLOPスバルインプレッサ(山野哲也/佐々木孝太組)がホールショット。
しかしクラス12番手スタートの#26ユンケルパワータイサンポルシェ(谷口信輝/山路慎一/澤圭太組)がストレートスピードを生かして次々とオーバーテイクを繰り返し、
9周目のホームストレートでトップに躍り出た。
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA
スーパーGT第6戦の決勝前フリー走行終了後、GTアソシエイション(以下GTA)による定例記者会見が行われた。
今回の会見では、今季開幕当初から物議を醸している性能調整、特別性能調整についての話が中心となったほか、
90年規定導入にむけての各メーカーの見通しや、マレーシア以外のアジア各国との開催交渉の状況なども明らかにされた。
併せて、今回決勝前に行われることとなったダウン症患者によるダンスイベントが紹介された。
坂東正明GTA代表取締役のコメント
性能調整、特別性能調整について
ファンの皆さんには難しく、理解できないことになっているのは承知している。
GT-Rに関しては、今季参戦に当たっては09規定の前倒しということで、ホイールベースやトレッドは09規定、
空力やエンジンは08規定という特認車両の扱いとなった。
このため、SCやNSXとの調整が難しく、開幕前の話し合いがうまくまとまらなかったため、
とにかく最初の2戦で走ってみてから判断しようということになった。
しかし有効ポイント制との兼ね合いで、このことが序盤の戦略になってしまった面がある。
今後は第6戦終了後に再度見直しを行い、一刻も早く均衡を図りたい。
09規定については、トヨタ、ニッサン、ホンダの3社が来年も参加することは決定しており、09の骨子に従って車両を製作するが、
メーカーによって(製作が)間に合う、間に合わないという事態が出てきている。
トヨタはSCの09規定で大丈夫と聞いているが、ニッサン、ホンダは間に合わないようだ。そのため、
来年も性能調整が必要となるところが出てきている。これに関してはメーカーには一歩引いてもらって、GTAで判断を下すことにしている。
実車が用意できれば誰かドライバーを乗せることも考えている。
また、こうした状況があるからこそ、今季の性能調整も少しでも早い時期に均衡を図りたい。
GT300(特にインプレッサの)性能調整について
スバルのエンジンは2リッターターボだが、かつては同じ2リッターターボのセリカがあり、
そのときの性能差を考慮してスバルは当初から4段階ぐらいの救済を行っていた。
しかし今シーズンに入ってから、チームの努力やメーカーのサポートなどがあり、
速くなってきたので本来のJAF-GT規定に則った重量とリストリクターに戻した、という解釈だ。
アジアシリーズ構想について
2011年にシンガポールに新しいサーキットができるということで、現地のJAFに相当する団体から開催の打診があった。
まだ詳細は何も決まっていないが、今度セパンとの来季以降の交渉を行うためにマレーシアに行く際、
シンガポールの関係者もやってきて交渉を行うことにしている。
コリアについても話はきているが、具体的なものは何も決まっていない。
中国に関しては、オリンピック後というよりも(上海)万博後に交渉する、という感じだ。
秋田史執行役員のコメント
ラブジャンクスのステージについて
今日の午前11時30分からイベントステージで「ラブジャンクス」のダンスイベントを行う。これはダウン症児者によるダンスチームで、
11号車の中村代表が関わっているNPO法人が運営している。
GTAとしては社会貢献のために何ができるか、ということを以前から考えており、今回はこうした団体に活動の場を提供することとした。
今後もこうした形で社会貢献活動を継続していきたい。
昨日の公式予選について
我々としてはスーパーラップをやりたかったが、天気の関係でできなかった。
また、前戦の菅生でのミラーの件で、お客さんに対して充分な説明ができなかったことへの反省もあった。
そこで、「走れないかもしれない」という可能性が見えてきた時点で鈴鹿サーキットとも話し合って、ああした挨拶の場をもち、
監督の握手会を実施した。
サーキットとの調整の中ではキッズウォークの前倒し、という案も出たが、終了時刻が決まっているものを繰り上げると、
またそこで問題が生じるということで、急遽各チーム監督に打診をしたところ、みな快く承諾してくれた。
迅速に対応してくれた鈴鹿サーキットさんと、嫌な顔一つせずイベントに参加してくれた各チーム監督には本当に感謝している。
本来なら走りたかったが、それができないケースでもお客さんに「来てよかった」と思っていただけるよう、今後もこうした対応をしていきたい。
これからのレースも長丁場になるが、無事終われたらいいと願っている。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Yoshinori OHNISHI
スーパーGT第6戦、ポッカ1000kmのフリー走行は当初予定より10分長い40分間で行われたが、
途中クラッシュによる赤旗などで進行がさらに遅れることとなった。
このセッションのトップタイムはGT500が#1ARTA NSX(ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組)、
GT300は#19ウェッズスポーツIS350(織戸学/阿部翼/関口雄飛組)だった。
昨日行われる予定だった予選2回目が雨のためキャンセルとなったことを受け、
当初午前8時30分から9時までの30分間で行われる予定だった決勝前フリー走行は10分延長され、9時10分終了の40分間となった。
昨日激しく降っていた雨は既に止んでいるが、開始時点の路面はハーフウェットの状態。しかしすぐ路面は乾いていき、
それにつれてタイムも徐々に上がっていった。
予選2回目がキャンセルとなったことで、このセッションで予選通過基準タイムをクリアしようと目論んでいたチーム、
ドライバーはこのフリー走行セッションでタイムを出さなければならなくなったが、その重要な時間は開始20分すぐに起きたクラッシュにより、
9分間の中断を余儀なくされることとなった。
クラッシュしたのは#17リアルNSX。ドライバーは第3ドライバーの塚越広大だった。
塚越は130Rでスピンし、そのまま後ろ向きにタイヤバリアに突っ込んだが、ドライバーに目立ったダメージはないように見受けられる。
塚越は昨日の予選1回目で既に基準タイムをクリアしており、このままクルマに大きなダメージがなければ決勝出走には問題はなさそうだ。
中断時点でのトップは#100レイブリックNSXで2分02秒828だ。
車両排除の後、フリー走行は午後9時丁度に再開された。残り時間は18分53秒だ。
中断の間にも路面はどんどん乾いていったため、再開してすぐに#38ZENTセルモSCのリチャード・
ライアンが2分00秒607でトップに躍り出ると、次の周では1分57秒796までタイムを縮め、最初に2分を切ってきた。
しかしすぐに#1ARTAのファーマンが57秒608、57秒575と立て続けにタイムを縮めてトップに。
2番手には#12カルソニックGT-Rが57秒777で上がってきた。ドライバーは松田次生だ。
この時点でGT500の通過基準タイムは2分5秒台となったが、#100の松浦、#23のカルボーン、
#22のシュワガーらは走り出してすぐにこれをクリア、決勝出走への権利を得た。
GT300は#19ウェッズスポーツIS350がトップタイムを記録。
ポールシッターの#77クスコDUNLOPスバルインプレッサは10番手につけた。
途中#26ユンケルパワータイサンポルシェと#87アクティオガイヤルドRG-3の接触などもあったが、26号車は11番手、
87号車は19番手でこのセッションを終えている。
注目の決勝スタートは午後1時丁度。173周の長丁場だ
Text: Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Keiichiro TAKESHITA

GT500クラス #100RAYBRIG NSX※
井出 有治
これまで中々結果が残せてなかったので、ウェイトを考えても、どうしても鈴鹿1000kmで結果を残さないといけないと思っていました。
それは高橋国光さんも、チームスタッフのみんなも同じで、どうしても結果を残そうと、それを意識してフリー走行から走り出しました。
今日の予選は路面を読むのが難しいコンディションだったので、エンジニアとも相談して、
とにかくコースに居てコンディションの変化に対応していくことにしました。
途中で路面が乾いてきたので浅溝に履き替えて、まずは細川に基準タイムをクリアしてもらって、それからアタックに入りました。
グリップするところをうまく見つけられたので、途中でGT300には引っかかったんですがトップタイムを出せました。
レースセットでロングランしても良い状態なので、明日は確実に順位を上げていこうと思います。レースが長いんで、
最後まで走りきって3人で表彰台に上がりたいですね。
自信は..................あります(笑)
細川 慎弥
前回ここへ来たときも、今回も僕はアタックを担当していないので、正直複雑な心境ですが、
チームにとっては良い結果が出てよかったと思います。
レースセットも悪くないので明日は最後までしっかり走ります。このところ僕はミスをしているので、その点でもしっかり気をつけていきます。
去年も23号車が後方からスタートして表彰台に上がっているので、僕らも無理せず、ミスをしなければ結果は出ると思います。
松浦 孝亮
今日は何もしていないので、この中で一番微妙な立場じゃないかと(笑)
明日も天候によって走るかどうか変わってきますし、出走できるかどうか自体明日朝の走行次第ですが、
クルマはガソリン積んだ状態でも良いですし、レギュラーの二人からも良いアドバイスを貰っていて、すぐに操れるようにしてくれているので、
もし走れればうまく役割を果たしてバトンを繋げたいです。
普段しゃべっているのと、実際走るのとでは大きく違います。GT300の処理とか、難しいことも色々あるレースですが、
僕も本職はレーサーですから、明日はバシっといいとこみせたいです。
GT300クラス #77クスコDUNLOPスバルインプレッサ
山野 哲也
まずは嬉しいです。
AWDは悪天候に強いということで、コンディションが悪いほど強みを発揮しますから、なんとしてもこのチャンスをものにしないと、
と思っていました。
完全なクリアラップではありませんでしたが、良いラップが取れました。そうなるようにコーナーに入るタイミングとか、
前を抜いていくタイミングとかを考えて走りました。実は一回スプーンで飛び出してるんですけど、それがよかったようです。
アレでどこまでいけるかがわかりましたから。
明日は相当辛いレースになると思います。マレーシアから比べて140kg重くなっていますから、まずは完走を目指して走り、
そこで順位をどこまで上げられるか、ですね。
佐々木 孝太
ウェイトを積まれたことでクルマは随分変化しました。
もてぎテストで方向性は見えてきましたが、まだ対応し切れていない状態です。
それでも山野さんがトップタイムを出してくださって、僕もチェッカーまでは待機して、トップを奪われたらアタックに行くつもりでした。
明日は厳しい戦いになりますから、チーム全員が全開で取り組み、最後まで走りきるのが大事だと思います。
沢山応援の方がきてくださってますので、応援の皆さんの力も借りて、最後は綺麗な花火が観れれば良いなと思います。
※ #100は、エンジン交換を行っているため、明日の決勝レースではグリッド10番降格が決定している。
まとめ:Kazuhisa SUEHIRO