
コンストラクターの(株)イケヤフォーミュラ、およびZAP SPEEDは新たなフォーミュラマシン「IFZ-02」を開発。モビリティリゾートもてぎで開催のもてぎチャンピオンカップレース第5戦において純白のマシンがデモ走行を行った。
「IFZ-02」は入門フォーミュラカテゴリーとして4年をかけて企画、設計、開発された純国産マシンで、オリジナルのアルミ製ツインチューブモノコックにオリジナルカウルを装着。
- 全長4410ミリ
- 全幅1685ミリ
- 全高990ミリ
- ホイールベース2695ミリ
- 車両重量500~515㎏
と、現行のスーパーFJよりやや長く、車重は50キロほど重い。ホンダのバイク「ホーネット」用をベースとした「SC89」リッターエンジンを搭載、現在の出力は112KW(152PS)/11,000rpm、トルク104Nm(10.8kg)/9,000rpm 程度ということで、P/Wレシオ的には0.32kg/PSと現行S-FJをわずかに上回る。最大の特徴は4気筒エンジンを横置きにして、チェーンで駆動力をデフに伝達している点だ。タイヤは市販のラジアルタイヤを装着している。
純国産のものづくり、そして廃棄が難しいカーボン素材を使わないことで環境負荷を減らすといった点にも配慮されている。
車両を製作した(株)イケヤフォーミュラの池谷代表に、開発の経緯等を伺った。
――どのような経緯で開発されたマシンなのか?
「もてぎさんと、ZAP SPEEDの笹川さんと3者で入門用のクルマを立ち上げようということで、できるだけ低価格でフォーミュラカーを、と。上に乗せるための手段というのもあるのですが、それだけではない、ホビーで楽しめるというところも視野にいれて、ある程度体の大きい人が乗車したりとか、チャンスを与えられないかな、ということでもてぎさんと一緒に動いたものです。いろいろなテストをして、当初パイプフレームとかも検討したのですが、やはり安全性ということになると、モノコックという方向になりました。これはツインチューブのモノコックで作ってあります」
――すべて独自開発で?
「独自でやりました。FIA-F4と同等のクラッシュテストも行って、十分な強度と持っていることを確認してあります。まず安全というところを最初に考えて、ちょっと時間はかかったのですが、何とか完成できたというところです」
――レースのグレードでいうと、FIA-F4相当を想定している?
「もっと下のクラスですね。当初はS-FJよりちょっと下を狙っていたので、このタイヤもラジアルです」
――テストでえらく速かったという噂もあるが?
「ちょっとそこは性能調整しないとならないかもしれません。ラジアルタイヤで「そこそこ」のタイムが今出ているので、そこはちょっと調整します」
「ラジアルタイヤはライフも長いですし、こういうタイヤでコストもあまりかからないように、車両もできるだけ安くできるように。ホンダさんのエンジンをつかわせてもらったりしています」
――バイクのエンジンと聞いているが?
「音はすばらしい、いい音で回ります。デザインも何種類も作って、ある程度形になったので、見てくれもかなりいいと思います。ラジアルタイヤということで細いタイヤを履くと、どうしても(バランスが)おかしくなってしまったので、それを車体のカーブのラインを変えることによって、けっこう見た目もいいと思います(笑)」 「当初は来年の頭からという計画だったのですが、最初エンジンがCBRというのを選んで、それで一度クルマを立ち上げてみたのですが、ものすごく速くて(苦笑)。これだと危険が伴い入門用ではなくなってしまうので、今はホーネットというバイクの、割と低価格で買えるエンジンを選択して、それで作り直しました。だから3種類作りましたね。モノコックもこれが3機種目で、完成形です。超高張力鋼板を使っていて、1ミリの鉄板なのですが、すごい強い素材です。こういう新しい素材が生まれてきたので、このぐらいの形状であればカーボン同等の強度を持つというところまでいきました」
――レースの開催については?
「来シーズン半ばくらいからは順次始めたいと思っています」
――ちなみに価格はどのくらい?
「今は500万円という数字を目標にしています。S-FJの方がもうちょっと高いですね。バイクのエンジンにしたので、その分がコストを下げることができたと思うので」
「乗っていただくと分かるのですが、すごくコントロールしやすいです」
――エンジンさえ替えれば上のカテゴリーも行ける?
「(笑)CBRを一度やったので、どのぐらいの速さまでいけるかはだいたい見えたのですが、とてつもなく速くて、FIA-F4よりも速かったです」
本日のデモランのドライバーは伊藤駿。昨年のS-FJ筑波・富士シリーズチャンピオンであり、先日来、次期F-FJと言われる「FJ1500」のテストも経験している(https://www.fmotor.jp/2025-new-super-fj-myst-kk-f-shake-down)。前日にもスポーツ走行で「IFZ-02」を走らせていたとのことで、走行後のインプレッションを聞いた。
――ドライブしての感想を
「とてもできがよくて、エントリーカテゴリーにありがちな安っぽい感じとか、どこかシャキっとしていない感じとかが一切なくて、ひとつふたつ上のカテゴリーのクルマぐらいの質感があっていいですね。あと車高(地上高)とかエントリーカテゴリーのクルマだと車高がけっこう高かったりして、そのせいで動きがぎこちなかったりするのですが、これはそういうことがなくて、ブレーキングの時も、コーナリングの時も、ピタっとしていて、ピュアなレーシングカーです。乗っていても楽しくて」
――現行のS-FJとFJ1500と比較しては?
「比べ物にならないですね。MEFの方が上級カテゴリーのクルマと言われても違和感ないくらいで。FJ1500もS-FJよりも車高の制限がなくなって、だいぶよくなりましたが、それよりもさらに純粋なレーシングカーという感じで、FJ1500よりも、どういう運転が速いのかというのがわかりやすく教えてくれるクルマだと感じました」
――タイム的にはどの程度?
「この前のテストでは2分4秒フラットくらいまで行けたので、今日は時間が足りないのでともかくですが、3秒台は入れるかなと思います(今回のS-FJ予選ポールタイムは4秒697)」
――エンジン横置きでチェーン駆動というのは違いを感じる?
「特に違和感もないですし、言われなければ気が付かない程度の差しかありませんね」
当日のデモ走行では時間の都合もありアウトラップ~計測1周後にコントロールライン上で停止、と本格的な走行ではなかったが、10,000回転越えという最近のフォーミュラカーでは聞けないレーシングサウンドをアピールしていた。来年からのレース開催に期待したい。





Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Junichi SEKINE
Asako SHIMA

9月21日にスポーツランドSUGOで行われたGTアソシエイションの定例会見でも言及があったが、日本自動車連盟は同日付で、11月13日から16日にかけてマカオで開催される「第72回マカオグランプリ FIA フォーミュラ4(F4)ワールドカップ」に、現在、国内で開催されているFIA-F4選手権に参加している佐藤樹(さとう・いつき)選手の出場を決定したと発表した。
FIA-F4ワールドカップはFIAが今年から開催を始めるFIA-F4の世界統一戦とも呼べるもので、FIAによる厳格な選考により、世界中のF4選手権のトップドライバー20名が参加。アイルトン・セナやミハエル・シューマッハも走った伝統のマカオ市街地特設コースであるギアサーキットでレースが行われる。
車両はF4中国選手権で使用されているMygale M21-F4が採用される予定。エンジンはアルピーヌだ。 第8、9、10戦が開催されたスポーツランドSUGOで佐藤選手本人に話を聞いた。
- 佐藤樹(HYDRANGEA Kageyama Racing)
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「(出場の話は)2回目の富士の時に聞きました。8月の富士の結果次第で、その時点でポイントリーダーの人が選ばれるよ、みたいな。気合いも入りましたけど、逆にそれで余計にちょっと緊張した感じでしたが、なんとか勝ち切れました」
「楽しみにしています。フォーミュラでの海外レースも初めてですし、今年最後のレースなんで、チャンピオン取って、集大成として今まで出し切りたいなと思ってます」
「ストリートコースは本当に全く初めてなんで、どうなるか全くわかんないんですけど、すごく楽しみです。多分今の若い世代の速い子が集まってくるんで、それも含めてすごい楽しみですね」
「クルマも、メカニックも、エンジニアもFIAが用意するって聞いています。英語も勉強しないといけないなと思ってます」
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Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI
今シーズンから新たに本格的なフォーミュラカーを用いることになった女性のためのシリーズ、KYOJO CUP(語源は「競争女子」)が、5月10日、富士スピードウェイで開幕し、海外ドライバーも含め、緒戦から20台のエントリーを集めた。
2017年にスタートしたKYOJO CUPは、これまでの入門用レーシングカーのVITA-01車両を使用していたが、今シーズンから、本格的なフォーミュラカーKC-MG01の採用に踏み切った。KYOJO CUPを統括する関谷正徳プロデューサー(以下、関谷P)にその目的や狙いを聞いた。

「多様性が求められる時代へと変化するなかで、自動車レースをどうしていくのか?という問いに対する答えは出ていないように思います。自分としては“スポーツ”としてとらえたい。これまでは自動車の競争という考えがベースにあり、スポーツの視点が欠けていたように感じます」と関谷Pは切り出した。
「スポーツとして考えると、他のスポーツ同様に女性の参加が必要で、今はその環境が整っていないと感じています。そこで、女性が参加できる環境を整え、スポーツとして見せることで、レースを子どもたちの憧れとなるスポーツにしたい」と、モータースポーツ全体の発展を考えて、KYOJO CUPを立ち上げたと語った。

これまで8年間、VITA車両でその土台づくりをしてきたが、今シーズンはいよいと次のステップに進むことになった。その狙いについては、「今は変革期ととらえ、ここがチャンスだと思いました。使用できる車両が身近にあったことも大きいです。世界の女性ドライバーが憧れる環境を日本で作りたいと思っています」と、新生KYOJO CUPを世界的に認められるシリーズに育てたいとの構想を披露してくれた。
つまり、レーシングカートやVITAによる女性によるレースの頂点として新生KYOJO CUPを位置づけ、ここで世界中から選ばれた女性ドライバーがしのぎを削るというわけだ。

もちろん、課題がないわけではない。現状はイコールコンディションを確保するため、保有する27台のマシンを運営側が一括管理をし、レンタルするという形をとっている。過去にもこのようなスタイルで開催されたシリーズはあったが、車両を維持できずに頓挫したという歴史もある。
また、現在は富士スピードウェイのみの開催だが、世界的に注目を集めるには、国内の他のサーキットや、アジアへの進出も視野に入れる必要がある。
その点を尋ねると「他のサーキットがウチでもぜひ開催したいといわれるように、まずは現状でシリーズをきちんと発展させることです」と、まずはスタートした新生KYOJO CUPを軌道に乗せることを考えているようだった。
それでも、関谷Pの新たな挑戦には、レース界がこれまで見落としていた視点に着目した新鮮さ、発展の可能性を感じる。新たなファンの獲得にも一役買ってくれることは間違いなさそうだ。
参加車両もKYOJO CUPらしく、カラフルで見た目も楽しい、ピットに掲げられるドライバーズボードも写真入りのおしゃれなものだ。
レースでも、上位陣はFIA-F4と同等のラップタイムで見ごたえのあるバトルを展開していた。まだ、ドライバーのレベルも揃っているとは言い難いが、KYOJO CUPのこれからに大いに期待をしたい。
Text: Shigeru KITAMICHI

4月18日、スーパーフォーミュラ第3、4戦が開催されている栃木県のモビリティリゾートもてぎにおいて、栃木県と日本レースプロモーション(JRP)の地域連携パートナーシップの締結式が行われた。
これは、昨年からJRPが進めている取り組みで、現在までにサーキットが所在するを自治体やチームが拠点を置く⾃治体の5市3町(三重県鈴⿅市、⼤分県⽇⽥市、宮城県村⽥町、静岡県⼩⼭町・御殿場市・裾野市、栃⽊県茂⽊町、神奈川県綾瀬市)と締結をしている。
今回の栃木県との締結は、都道府県単位としては初となり、JRPが進める「面としての地域との繋がりを広げる」という試みを、一段階進める形になる。
締結式に出席した栃木県の福田富一(とみかず)知事は、「地域連携協定が締結できることを嬉しく思います。国内最高峰のフォーミュラカーレースがモビリティリゾートもてぎで開催され、全国各地から多くのファンが来県され、栃木県の地域活性化に貢献をしていただいていることに、深く感謝申し上げます。本県の観光資源のPRに協力いただけることは誠に心強いことと思っています。今後もモータースポーツファンの皆さまに愛される栃木県とするよう努めてまいります」とコメントした。
サッカー、バスケットボールなどと異なり、モータースポーツは地域に根ざした我がまちのチームが競うスポーツではないが、多くの人に認知され、振興を図るには自治体との連携は欠かせない。今後のJRPの取り組みに期待したい。
Text & Photo: Shigeru KITAMICHI
Formula Beat 地方選手権シリーズ(F-Be)及びスーパー耐久シリーズST-2クラスの有力コンテンダーである日本自動車大学校(略称:NATS)は千葉県成田市にある自動車関連の私立専門学校である。
同校は1989年に開校し、翌90年には国内初の4年制・自動車経営科(現 自動車研究科)をスタートさせ整備だけでなく経営や販売のノウハウも習得できる学校となった。さらに1998年には「カスタマイズ科」、2005年には「モータースポーツ科」を開設。同科は今年20周年を迎える。学生は1年、2年を自動車整備科で過ごしクルマの構造や整備の基礎を学び2級自動車整備士となる。そこから希望によって1年過程のカスタマイズ科、モータースポーツ科、2年過程の自動車研究科へと進むことができる。この3年次以降の授業がNATSの特色だそうで、そこを目標に入学してくる学生が多いという。
東関東自動車道大栄インターチェンジから1分の好立地にあるキャンパスは15万平米の広さを誇り、学科別に整備用のガレージが建てられていて、ショールームには過去に製作されオートサロンで披露されたカスタムカーや学生フォーミュラの車両が展示されている。さらに授業で使うためのR34スカイラインやロードスターなどのスポーツカーを始めかなりの台数の実習用車両が並べられている。敷地内にはミニサーキットやジムカーナ場、ダートコースまで設置され、開発、メンテナンスされたレース車両のシェイクダウンやテストも行われる。敷地内にこの規模のコースを有する自動車専門学校はほぼないそうだ。
今回訪問のモータースポーツ科はモータースポーツビジネスやレギュレーション、チーム運営や空力、サスペンションの理論や、パーツ製作の為の金属、非金属の加工、チューニングなどモータースポーツ固有の技術を学ぶ。そしてもっとも比重が大きいのがガレージでのマシンメンテナンスと、実際にレースに参戦して現場でのサーキット・サービスの実習である。そのため、モータースポーツ科ではプロのチームに混じってF-BeとS耐に参戦するほか、JAF-N1規格で製作されたロードスターで耐久レースに参戦している。F-BeとS耐では金井亮忠モータースポーツ科長がドライバーを勤め、学生はメカニックやエンジニアとして活動する。ロードスターでのレースにおいてはドライバーも学生が担当している。
モータースポーツ科のレース参戦は開設直後から富士のFJ1600、Vitzレースなどで行われ、F-Be(当時はJAF-F4選手権)は、まずWEST056を導入して2008年西日本選手権第5戦鈴鹿に出場後東日本シリーズに転じて菅生ともてぎで入賞、ランキング7位となった。翌2009年は東日本シリーズに4戦出場し3回の表彰台でランキング4位。そして2010年、東日本シリーズ6戦全戦に出場、2勝、2位3回、3位1回という戦績で3シーズン目にしてシリーズチャンピオンを獲得、合わせて東西シリーズを通じて争われるグランドチャンピオンシップにも輝いた。2011年、12年もシリーズ上位で戦うと、2013年からはオリジナルマシン「NATS001」を投入した。投入直後から戦闘力を発揮したNATS001は2戦目の富士で早くも優勝、その後も上位を争い東日本シリーズ4位、以降も毎年上位を争っており、2018年にはオリジナルマシンでシリーズチャンピオンも獲得している。
一方2020年からロードスターでS耐ST-5クラスにも参戦を開始。2021年にランキング3位、2023年にはシリーズチャンピオンに輝いている。
今シーズンのF-Beは2月22~23日の鈴鹿チャンピオンカップレース(旧クラブマンレース)で開幕する。初戦に向けて準備が進む中、ドライバーの金井亮忠モータースポーツ科長にインタビューを行った。
●金井亮忠モータースポーツ科長(以下敬称略)インタビュー
――モータースポーツ科では3つのレースカテゴリーに参戦していると理解したが、それぞれに担当の先生がつくのか?
「その通りで自分がS耐シビック、菊地先生がF-Be、板垣先生がロードスターの開発やメンテナンスを指導しています。S耐とF-Beのドライバーは自分が担当しています」
――F-Beは今回の鈴鹿までが今の3年生によるレースか?
「その通りで、昨年のシリーズ最終戦後にマシンはいったんバラバラにしてメンテナンスを行い、学生は1年間学んだ技術やノウハウをつぎ込んでマシンを組み立ててレースに出て卒業、ということになります。そして、次の参戦は5月24-25日のもてぎでこれが新3年生での初レースになります。
一方S耐は3月22-23日の開幕戦は卒業式後になりますが、現3年生(卒業生)が担当してくれる予定になっています。本当の卒業レースですね。
――モータースポーツ科に進む学生は、2年生の終了時に進学を希望するのか?
「1年、2年の自動車整備科もクラス編成の際にモータースポーツ科やカスタマイズ科、自動車研究科など将来の志望先で分けているので、ほぼ1年生からモータースポーツ科志望がはっきりしています。もちろん在学中に進路を変更することも、2つ以上の科で学ぶことも可能です。2023年度のモータースポーツ科の学生数は27人、今年は少なくて19人ですが、だいたい毎年20人から30人の間です」
――モータースポーツ科ができるまでもモータースポーツ関連の授業は行われていたのか?
「それまでモータースポーツの授業はなくて、部活として取り組まれていました。私が学生としてNATSに入った時(2002年)にはまだモータースポーツ科がなくて、放課後の部活でスズキのワンメイクレース(フォーミュラ隼など)をやっていました。たぶんその活動が、NATSが自前のチームとしてモータースポーツに関わった最初だと思います」
――モータースポーツ科の1年の流れは?
「4月に進級してくるまでは一切レースには関わっていないので、そこからになるわけですが、レースシーズンの方はすでに始まっているので、一番初めに基礎的な勉強はしますが、ほぼいきなりレースが始まる感じですね(苦笑)。そこからレースの合間をぬいながら、学科の授業を行ったり、公認審判員の資格を取ったり、といったようなことで進んでいきます。ですので、4月5月の頃のレースはかなりバタバタですね。毎年レーススケジュールにもよりますが、F-Beは最近2月に鈴鹿で開幕というのが定例なので、そこが1年の集大成のレースになっています」
――NATS001はすでに何シーズンも戦って、セッティングなどデータも揃っていると思うが、学生はまずそれを引き継いで、それから自分たちのアイデアとか技術を投入することになるのか?
「毎年そんな感じなので、マシンはどんどんアップデートされていきますね。そういう意味ではF-Beはマルチメイクで教材として非常にいいカテゴリーです。規則の中でいろいろ自由にパーツを作ったりとかクルマを改良したりとかできるので、モノづくりの勉強に適していると思います」
――NATS001は2013年から投入されたと思うが、マシンについて教えてほしい
「2010年にアルミモノコックのWEST056でチャンピンを取りましたが、この年にレギュレーションが変わってカーボンモノコックの使用が認められ、エンジンもそれまで1850ccが上限だったものが2000ccまで可になった。何とかチャンピンは取れましたがやはり2000ccの方が速いし、シーケンシャルミッションだし、ということで、2011年にマシンの後ろ半分を新しくしました。WEST056のモノコックに2000ccのエンジンとシーケンシャルミッションを積みました。その後2012年にUOVAの共通カーボンモノコックを買って、前年に新しくした後ろ半分をくっつけてNATS001を作りました」
――NATS001の設計は誰が?
「基本僕がやりました(笑)。で、学生と一緒に作っていったという感じですね。一番初めに作ったNATS001はフロント半分がRD-10W(東京R&D製)で、後ろ半分がWEST056の2000cc仕様をくっつけて1台にしたという感じでした。そこからモノコックはずっと使い続けていますが、それ以外の部分は面影がないくらい進化しています」
――ボディデザインや空力とかはどうやって?
「一番初めはムーンクラフトのカウル(MC090)を中古で入手してつけていました。UOVAのモノコック使っているのは東京R&DとB-MaxとムーンクラフトとZAP SPEEDで、エンジンマウントとかサブフレームには違いがありますが、ほぼ全車同じアームを使っていたり、中身は同じでカウルが違うという感じですが、ウチの場合はシャーシが違う形をしています。カウルをイチから作るのは大変ですし、みんな風洞にかけたりして作られているので、それを活用したということです」
――シーズンが進む中で学生のアイデアで作られたパーツを投入するということもある?
「けっこうありますね、テストしてみて良ければ採用されます。そういう改良を行っていくことで学生のモノづくりの技術も養っていきます。ほぼ毎レース、マシンのどこかは変わっているので、写真を見るだけでいつのレースかわかるときもあります(笑)」
――今JAF戦ではF-BeとS耐(ST2クラス)に参戦しているが、体制や活動に違いはあるのか?
「厳密には異なる部分もありますが、活動しているのはいずれもNATSです。F-Beは完全に自前のチームとしてやっていて、S耐は今のチームオーナーは山野(哲也)さんで、僕らはクルマのメンテナンスやレース運営を任されている形です。去年からクラスをST-5からST-2にステップアップしたのも山野さんがきっかけです」
――教材としてシビック(FL5型)はどうなのか?
「正直大変ですね(苦笑)。クルマ自体のノウハウもないし、いろいろ探って新しく色んなモノを作ったりして改良したりとか毎回やっているので、大変ですけれど新鮮さがあって楽しいです」
――F-BeとS耐で学生は両方関わったりするのか?
「基本的には別です。ですが今年F-Beの班の人数が少ないので、2台体制で出るときは他のグループから応援で来てもらうことはあります」
――モータースポーツ科を卒業した学生はモータースポーツ業界に進む率が高い?
「業界からの求人はものすごく多いのですが、レース業界に行きたい学生というのがそれほど多くないです。年によってバラつきはありますが、今年今いる3年生はあまり業界への志向が強くないので、ある意味企業さんは学生の取り合いみたいになっています。モータースポーツ科を卒業してメーカーに行くとか、ディーラーに進むとか、後は開発系の企業に進んだり、けっこういろいろですね。
レース業界からの求人については業界内に卒業生がかなり増えて、そこから横のつながりができたりとか、S耐に行ったときに他のチームの卒業生から話を貰ったりとか、もちろんチームから直接電話かかってきたりすることもあります。ここまで本格的にモータースポーツやっている学校があまりないので」
――モータースポーツ科が開設されて20年、その間に学生の気質とか目標意識に変化はあるか?
「モータースポーツ科の学生の気質が変わったというより、この学校に入ってくる学生、今の18~20歳の子たちの志向が違うので。始まった当初、僕も2006年に卒業しましたが、その頃はもう『くるまバカ』みたいな感じで、いつでもクルマのことしか考えてなかった。今の子たちは、クルマが好きだとしても、ずっとクルマじゃなくて、他にもいろいろなモノがあるので。あと今の子はあまり競争をしてきていない。昔は何かにつけて勝負したりとかありましたけれど、今はみんなで仲良く、みたいな雰囲気が強いかな(笑)、そういった意味ではだいぶ変わってきましたね。ただ経験してみたいとかやってみたいという気持ちは強く持っているので、そういう経験をさせることを大事にしています」
――昨年の最終戦の表彰式で、先生が表彰台の一番高い場所に立っているのを見た学生はとても弾けていた。ああした経験ができると、変わってくる?
「そうでしょうね。一所懸命やってそれが結果として出るとうれしいとか悔しいとか、そういうことをあまり経験してこなかった子が、この1年レースをやってきて、やりがいとか、自分がやったことに対して報われることとかを経験して、いろんな感情がでてきたり、そういった部分で成長が感じられるかなと思います。1年たつとけっこう変わります」
――金井先生のモータースポーツ歴は?
「小学校6年生でカートレースを始めて、最初は地元の榛名でやっていました。高校1年生の時に、地方選手権でチャンピオン取って、高校2年の時には学校の部活(エコ マイレッジ チャレンジ)を一生懸命やっていました。モノづくりが大好きなので、部品つくってクルマを組み立てるとかが好きで、その間カートレースは地元だけにとどめていました。そのエコレースで全国優勝したので、高校3年生はレースに戻って全日本選手権に初めて出て、東地域のトップ、東西合わせてシリーズランキング2位になりました。その頃一緒に走っていた選手だと、東西合わせたトップは小林可夢偉選手です。あとは東地域のライバルだと山本尚貴選手とか、関口雄飛選手ですかね。大嶋和也選手や小暮卓史選手は同じ地元で良く一緒に走っていました。
高校卒業のタイミングでカートはやめて、NATSに入学してから当初は学校とは関係なく地元群馬の方の支援でVitzレースに出場しました。翌年もチームを移籍してVitzレースにシリーズ参戦、その頃にNATSにモータースポーツ科ができることになり、翌年から学校でVitzレースをやるようになりました。専属ドライバーをやらせてもらえるようになったのはこの頃からです。その後NATSを卒業して教師になり、レースもアルテッツァレースへとハコでステップアップしました。アルテッツァは大変なクルマでしたね(苦笑)。
で、そこから2007年にはフォーミュラトヨタに出場、FT30の最後の年でした。井口卓人選手とか、国本京佑選手、ケイ・コッツォリーノ選手なんかと戦っていました。カートからいきなりフォーミュラではなく、ツーリングカーをやってからのフォーミュラですね。そして2008年と2009年にはFCJにFTRS・チームNATSで出場しました。2008年には学校でJAF-F4を始めていて、FCJは半分プライベートな体制でした。フォーミュラトヨタのオーデションを受けたこともあって、FCJはFTRSの一員として乗せてもらっていた感じですね」
――F-Beより上のカテゴリーというのは考えてない?
「教材としての魅力の有無と、費用的な部分も桁違いに変わってきてしまうので、現実的じゃないかなと思います。一方スーパーFJだとパイプフレームですがF-Beは上位カテゴリーと基本的なマシンのつくり同じなのでそこから先のカテゴリーで必要な基礎を学ぶという意味でも、卒業後にいろんなカテゴリーで通用する技術を身につける意味でもちょうどいいと思います。
最近は整備とか修理と言ったら部品交換がほとんどですが、モノづくりとかちょっとした加工ができるとかいうのが普通のディーラーさんの整備士とは違うところなので、そうしたモノづくりを重視してできるカテゴリーがF-Beかなと思います。NATSのスタンスとしてはドライバーではなくメカニックの教育のために(レースを)やっているので、このカテゴリーをずっと続けているということですね」
――4月に初めてマシンに触りだして先生を乗せて走るということで、学生はプレッシャーを感じている?
「プレッシャーはあるでしょうね、でもちゃんとマシンが走ればそれが自信になって、一つ一つ技術を身につけていけばいいのかなと思っています」
インタビュー後にテストコースとモータースポーツ科の建屋を見学。テストコースは1.2キロのミニサーキットだが比較的高速な設定で、学生が走ることもあってかコーナーは広めにとられている。ダートコースでは毎年クラス対抗の耐久レースなども行われるという。コース脇には学生の親睦の為にバーベキュー場なども設置されている。
モータースポーツ科棟内では、初戦を翌週に控えたNATS001が鈴鹿へ向けて組み立て中、さらに翌週にはS耐のテストがあるが、シビックはエンジンが降ろされている状態。そしてロードスター班はフロントカウルの製作に余念がなかった。建物の中には過去にレースで出たEP82やVitzなどもきれいな状態で保存され、隣の部屋にはシミュレーターが2台、授業で使うほか希望する学生には自由に(ただし時間制限付き)使わせている。
学生たちは皆明るく作業をしており、充実した環境で学んでいることがうかがえた。
今シーズンもNATSの戦いぶりに注目だ。
Text: Junichi SEKINE
Photo: Junichi SEKINE
Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE

里見乃亜代表率いるRiNoA Racing project「群馬トヨペットTeam RiNoA」が今シーズンの参戦体制を発表した。
これまでスーパーFJもてぎ・菅生シリーズと日本一決定戦を主戦場として活動してきた同チームは 今年も同シリーズと日本一決定戦に出場するほか、昨年にスタートしたFIA-F4第一世代のマシンによる「F110 CUP」戦にも新規参戦、さらにチームとして初のツーリングカーレースとして「ヤリスカップ関東シリーズ」にも参戦することを発表した。
スーパーFJについてはドライバーを一新、ともにレーシングカート出身のルーキー小野大地、三ツ井光輝を起用。2シーズンぶりのチャンピオン奪回を目指す。新規参戦のF110CUPについては昨年同チームでスーパーFJをドライブした大川烈弥がステップアップ。またチーム初の体制として、チーム出身者をテクニカルアドバイザーに起用、2022年S-FJもてぎ・菅生シリーズチャンピオンの佐藤樹がもてぎ、同2021年2位の伊藤愼之典がSUGOの大会で大川を支える。
さらにチーム初のハコ車でのレースとして、ヤリスカップ関東シリーズに参戦。こちらはスポンサーでもある群馬トヨペットとタッグを組んでの参戦となり、ドライバーには2023年に同チームでS-FJもてぎ・菅生シリーズチャンピオンとなった内田涼風がステアリングを握る。
昨年の苦戦からの復活を目指すスーパーFJに加えてF110CUP、ヤリスカップと活動を拡大するRiNoA Racing projectに今シーズンも注目だ。
Text: Junichi SEKINE

12月1日、鈴鹿サーキットで行われたスーパーFJ表彰式の席上、ジャパンスカラシップシステム(畑川治代表)より、2025年からルーニースポーツ(植田正幸代表)が、スカラシッププログラムを行うことが発表された。
対象となるレースはフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ(FRJ)で、スーパーFJ日本一決定戦で2位に入った小田優、同3位の加納康雅がスカラシップ対象に選出されたことも併せて発表された。
この件に関して12月8日、鈴鹿サーキットで行われたFIA-F4第8戦に出場し、インデペンデントクラスで5位に入ったばかりの植田に話しを聞いた。
「僕からJSSさんにスカラシップの企画を考えていますが、どうでしょうかと聞いたら『是非やって欲しい』とのことでした」
JSSはその名の通り、スーパーFJで優秀な成績を収めたドライバーにJAF-F4(現フォーミュラ・ビート)への年間参戦サポート、FIA-F4参戦の資金援助を行ってきた。過去には牧野任祐、大湯都史樹、角田裕毅、三宅淳詞などがスカラシップを獲得し、上位クラスへのステップアップを果たしたが、諸般の事情で2019年を最後にこのプログラムは終了していた。
「メーカー落ちした子とか、他にも速い子はたくさんいるのでその子らにチャンスを与えようと思っています。今回、小田選手と加納選手を選出しましたが、あと2人くらい加えて4人程度でFRJのテストを行い、1人にスカラシップを与える予定です」
「FRJのマシンは2台持っているので、どうしても乗せたいドライバーがいれば、2台体制にするかも知れません。もしくは、4大会開催されるF110カップとか、地方サーキットを回ってコースを覚えることができるフォーミュラ・ビートに乗せることも考えています」
スカラシップを獲得したドライバーは、2025年度のFRJ年間参戦権を得る。フォーミュラリージョナルは、昨年から若いドライバーがしのぎを削るマカオのワールドカップに採用され、トヨタも今シーズンからFRJに本格参戦を発表。将来的には全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権との統合もうわさされ注目度も高まっている。ここで優秀な成績を収めれば大きなチャンスをつかめそうだ。
「いままでレースに使ってきた予算ですが、ぼくの分を減らして、その分を若い子のために使おうと思っています。レースがあるから仕事も頑張れてこれたので、恩返しの意味でも若い子にチャンスを与えようと思っています」

Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Kazuhiro NOINE
Yoshinori OHNISHI

モビリティランド株式会社・鈴鹿サーキットモータースポーツ課は12月1日、今シーズンまで「鈴鹿クラブマンレース」として行われてきたシリーズ名称が、来シーズンから「SUZUKA CHAMPION CUP RACE」に変更されると発表した。併せて、シリーズロゴと来シーズンの日程も発表された。
鈴鹿サーキットで行われている入門・参加型レースは、鈴鹿サーキットが開業した1962年から6年後の1968年に「鈴鹿シルバーカップレース」として誕生、今年で56年目を迎えていた。
1988年には、世相的に「シルバー」が老人を連想されるようになったためシリーズ名を「鈴鹿フレッシュマントロフィーレース」に変更。1996年には「鈴鹿クラブマンレース」と名称変更し、今シーズンまで開催されてきた。
シリーズ運営は今シーズンまで鈴鹿モータースポーツクラブ(SMSC)と各JAF加盟クラブの併催という形で行われてきたが、来シーズンからは、SMSC、名古屋レーシングクラブ(NRC)、グループ.オブ.スピードスポーツ(GSS)、関西スポーツカークラブ(KSCC)の4クラブ合同での運営となる。
新名称の「鈴鹿チャンピオンカップレース」は、同社が運営するモビリティリゾートもてぎで行われている同クラスの名称「もてぎチャンピオンカップレース」に合わせたものと思われる。
来シーズンの「鈴鹿チャンピオンカップレース」の暫定日程は次のとおりで、開催レースは今シーズンと変わりない。

Text: Yoshinori OHNISHI

2022年に富士スピードウェイで行われた日本一決定戦のスタートシーン
12月1日、鈴鹿サーキットで行われたスーパーFJ日本一決定戦の表彰式で、2025年の日本一決定戦は12月20~21日に富士スピードウェイで開催されることが発表された。
スーパーFJの今シーズンの日本一決定戦・シリーズ表彰が行われた鈴鹿サーキットで、ジャパンスカラシップシステム(JSS)畑川治代表より、来年のS-FJ日本一決定戦が12月20~21日に富士スピードウエイで開催されることがアナウンスされた。
富士スピードウェイでは、2022年にもスーパーFJ日本一が開催され、そのときは現在FIA-F4に参戦している清水啓伸が日本一の称号を手にしている。
来年は、富士スピードウェイでの高速バトルに期待したい。
Text: Junichi SEKINE
Yoshinori OHNISHI
Photo: Hirokazu NOINE

2024年スーパーFJ日本一決定戦が鈴鹿サーキットで開催され、正式結果発表後に各賞の表彰式がパドック内の「ホスタビリティラウンジ」にて行われた。

まずは各地域のJAF地方選手権のチャンピオン達が表彰された。
- もてぎ・SUGOシリーズ 小田優
- 筑波・富士シリーズ 伊藤駿
- 鈴鹿・岡山シリーズ 迫隆眞
- オートポリスシリーズ 吉元陵(今回は欠席)
各選手にはトロフィーが授与された。

続いて「スーパーFJジャパンリーグ」の表彰。
- シリーズチャンピオン 小田優
- シリーズ2位 松井啓人
- シリーズ3位 酒井翔太
それぞれトロフィーと賞金が授与された。
ここから日本一決定戦関連の表彰。まずはA/B各組のセミファイナルレース上位3名の表彰。
- A組1位 岡本大地
- A組2位 迫隆眞
- A組3位 加納康雅
- B組1位 小田優
- B組2位 YUTA SUZUKI
- B組3位 伊藤駿
それぞれ賞金が授与された。

ファイナルレースにおいて、グリッドから最も順位を上げた選手に対するジャンプアップ賞。

ジェントルマンクラス表彰
- クラス優勝 山根一人
- クラス2位 上吹越哲也
- クラス3位 中嶋匠
それぞれトロフィーと賞金が授与された。

今回新設された「KEDドライバー・オブ・ザ・ディ」には、今回鈴鹿ではレース2戦目で4位に入ったことでYUTA SUZUKIが選出され、トロフィーと賞金が授与された。

そしてファイナルレース上位入賞者の表彰、まずは7位から10位まで
- 7位 酒井翔太
- 8位 津田充輝
- 9位 宮園拓真
- 10位 八巻渉
それぞれトロフィーと賞金が授与された。

続いて1位から6位まで
- 1位 岡本大地
- 2位 小田優
- 3位 加納康雅
- 4位 YUTA SUZUKI
- 5位 落合蓮音
- 6位 伊藤駿
1位から3位までにはJAFのメダル、全員にトロフィーと賞金が授与された。

そして最後に優勝の岡本大地に対しダンロップ賞としてチャンピオンキャップと賞金。続いて歴代チャンピオンの名が刻まれた大トロフィーが授与され、表彰式は終了。その後は歓談の場に。
これでにて2024年のスーパーFJレースは全て終了。短いシーズンオフの後に新たなシーズンが始まる。
Text: Junichi SEKINE
Photo: Yoshiori OHNISHI

スーパーFJもてぎ・菅生シリーズに参戦する、里見乃亜代表率いるRiNoA Racing project「群馬トヨペットTeam RiNoA」が今シーズン残り2レースの参戦体制変更を発表した。
今シーズンが81号車に丸山陽平、82号車に大川烈弥を起用しシリーズを戦ってきたが、81号車のドライバーを変更してもてぎ・菅生シリーズ最終戦に伊藤愼之典、日本一決定戦に角間光起をそれぞれ起用する。なお82号車は引き続き大川がドライブする。
伊藤は2021年のもてぎ・菅生シリーズランキング2位、くしくもこの時の王者は群馬トヨペットTeam RiNoAの佐藤樹だった。現在はスーパー耐久のST4クラスに参戦している。角間は去年、今年と筑波・富士シリーズに参戦、昨年2勝を挙げてランキング4位、今年も2勝で3位とデビュー以来コンスタントに結果を出している。
スーパーFJもてぎ・菅生シリーズ最終戦は11月23日に開催、日本一決定戦は11月30日~12月1日に鈴鹿サーキットを舞台に行われる。
ドライバーコメント
- 81号車Driver最終戦茂木参戦 伊藤慎之典(いとうしんのすけ)
-
「この度RiNoAからもてぎチャンピオンカップレースの最終戦にスポット参戦させて頂く事になりました。このようなチャンスを頂きRiNoAの関係各所の皆様にはとても感謝しています。S-FJのレースは3年振りですが監督の期待に応えられるよう予選ポール&優勝目指し全力で挑みます。応援宜しくお願いします」
- 81号車Driver日本一決定戦参戦 角間光起(かくまこうき)
-
「この度RiNoA Racing projectよりスーパーFJ日本一決定戦に参戦致します。ドライバー人生を賭けた一戦、優勝に向けて最大限の走りをします。応援よろしくお願いします」
- Director 里見乃亜(さとみのあ)
-
「急遽81号車のドライバーがシーズン途中でチームを離れる結果となり、11月のSUGO大会は1台体制だったものの、最終戦と日本一決定戦は2名ものドライバーが自チームで乗りたいと志願してくれて今回の体制になりました。応援して頂いてる皆様には多大なるご迷惑、ご心配をお掛けして申し訳ありません。しかし今回のトラブルを2024年シーズンの分岐点と捉え、今季初の優勝を新たに加わった伊藤、角間。そして82号車の大川と目指して戦って参ります」
Text: Junichi SEKINE
Photo: RiNoA Racing project

F110 CUP東日本王者決定戦もてぎ大会において、コンストラクター側でこの大会を支える「童夢」の想いについて、株式会社童夢有松義紀氏に話を伺った。
--改めてになるが、F110CUPのねらいについて
「一番はですね、今回のエントリーリストを見ていただければ分かると思いますが、16、17歳という若い選手が来てくれたということで、まさに願っていた層の選手が出てくれたと思います。台数は、今回は日程がFIA-F4と被ったこともあって多くは集まらなかったですけれど」
--車両は去年までFIA-F4で走っていた時のままの仕様なのか?
「仕様は去年の車両そのままです。(使命が)終わったから自由にしていいよ、ではなくFIA規格に準拠したままです。基本的に第1世代(F110)も第2世代(今年のFIA-F4マシン)もパワー/ウェイトレシオは同じで、タイヤも一緒です。極端に言えばHALOがついているかいないかの違いだけですね。今の日本のモータースポーツというのはオペレーションコスト高騰の問題があって、第2世代の車両は去年までと比べて初年度は昨年度の倍近く(費用が)かかるのですよ。だからどうしても、メーカー育成系はかかるならかかるだけの予算を確保できるけれども、ドライバー自身や家族がスポンサー取って参戦する方々には大きすぎる額だということがあります」
「正直レースはきれい事だけでできている訳ではなくて、現実の前には夢もないんです。現実を追いかけていってF1までたどり着ける人もいますけれど。夢物語ではない、という現実を踏まえて行く必要があると思います。夢は現実の先にある。そういう現実に向かってほしいことがあって、童夢はそういうクルマ作りを進めてきています。向こう(F1)に行く夢を追う人のためになる質のクルマを作っていく必要があるのです」
--現在のステップアップルートだとスーパーFJの上がFIA-F4で、上がり幅が大きすぎる?
「階段というより今の現実はスーパーFJの方が資金的にはレースに参戦しやすいです。もちろんFormula-Beat(JAF-F4)でもいいですよ、レースをすることだけであれば。ただ後に待ち受けているラダー(ステップアップ)が、FIAが作ろうとしているラダーに乗ろうと思うのであれば、こっち(F110/FIA-F4)の方がいいし、ヨーロッパを目指すためにも合理的だと思います」
--今年は2大会4レースだったが来年はもっと拡大する?
「それは国内のマーケットの話で、オーガナイザーが利益を出そうと思えばお金を出してくれるカテゴリーをやらなければならない訳で、例えばメーカーのワンメイクとかの方が、こういうの(フォーミュラ)より優先されるのが現実です。もっと(開催を)増やしてとか、誰が責任もってとか、そういうところが残念ながらこれからの課題です。元々レースはビジネスなので、誰かサポートしてくださる方が現れれば、そういう新しい見通しも出てくると思いますし、実際、検討してくださるところがあるので願いが叶えばいいと思うのですが」
「童夢はコンストラクター(車づくり)なので、地道に、このクルマがあと10年は走れるくらい作り込んでありますけど、図面やパーツの精度をあげるとか、まだまだ作り込めると思いますし、実際その最中です。コンストラクターとしてはこのクルマを止めるつもりはないですし、10年を見据えたリファインをちゃんと準備しています。戦闘機でいったらF4ファントムみたいな(笑)、つい最近まで飛んでいた。日本のレース文化というのはスーパーFJもFormula-Beatも、マシンを長く使い続ける文化なので、そのような文化によりよく応えようというのは我が社が初めてのコンストラクターだと思います。ずっと同じパーツを作ってストックして、でもデバイス供給者の問題でもう(供給)できないものがありますので、互換品を探して、できるだけ安くするためにいろんなOEMパーツを探していきます。生産中止になるパーツがあるなら代替品を探す、作る、それで今の現行部品と互換で使えるように、という作業を続けています。F110のリファイン車両は、より『良くしていく、長らえる』方向での取り組みです」
「今はエントリークラスとしてはウエストさんのクルマ作りが一つの潮流ですが、僕らは、その中にあってあくまでFIA準拠のマシンで取り組む。そうだなF110は『近代化改装』という言葉が適していますね。『近代化改装をうけたF110』というのは、今の第2世代よりも部分的にはいいもの(パーツ)もついているので、HALOがないのと、前後のクラッシャブルストラクチャーが旧基準である、以外は一緒です。可能な限り手段を見つけて、これ(F110)をこれから10年間走らせる意気込みでクルマ作りというか、ブラッシュアップをしていますし、いわゆる『持続可能』な、レーシングカーとして存在させつづけるよう心がけています」
--今後エントラントが増えることも期待できるか?
「マシン(F110)は100台近くあります。でもやっぱり目の前のFIAの大会を追いかける、(ライセンス)ポイントを追いかける。そっちの方の夢を追いかけることもいいですけれど、現実のお金の問題からは誰もが逃げられないので、だからなかなか難しい。でも自分の子供の可能性を信じたいという親御さんが高いレベルでレースができるんだぞ、という状況を提供できるようになればいいかな、と思います。その意味で今回参加の若手のドライバーが、カートから上がってきてすぐの子ばかりというのが、本当にうれしいですね」
「今はマーケットの変遷のまっただ中にいるかなと思って、その中で童夢はブレずにクルマをよりよくしていく。『近代化改装』でよりよくして行く、というところで、変遷の入り口に立ったので、状況の変化に応じて頑張ればいいと思います。この値段、当時の規定販売価格532万円で、ドライバーの身の回りに入ってくる情報として98年のF1よりこっちの方がデータ量は多いですからね、532万で買えて、ある程度パーツも継続使用が可能。ヨーロッパの技術と、日本の技術を僕らは融合させたのですが、残念ながら日本のレース業界は既存技術の延長を続けてきていて、欧米の技術に追従できていない。そこはちょっと忸怩たるものがあります、でもそれは環境なのでしょうがない」
「マーケットというか消費者の皆さんは現金ですから、今目の前にあるものを安くと思う。それは仕方ないです。それに対し、マーケットの変容に我々はついて行かなければならない。これはレースでビジネスですから、そこに夢はないです。ただ、我々が作ったプラットフォームを活かして、うまく使っていただく。その先には、マカオ、ヨーロッパがある。その過程で我々はビジネスをしますので、選ぶのはお客さんです」
--今後F110から上のカテゴリーに上がっていく子供が増えてくるといいですね
「増えていただけるといいなと思います。与えられた環境で最大限チャレンジして行くのは、いいことだと思います。そして、均質な性能を持つF110だからこそ、そのチャレンジの内容が第三者に類推できる。そこがF110CUPの最大のメリットです。『え、F110で鈴鹿でいきなり2分8秒台?速いじゃん!』とか」
--今後が楽しみ?
「そうであってほしいですね、だけど我々の努力だけでは足りないので、やっぱりオーガナイザーさんであったり、プロモーターさんであったり、できる限りのことをしていただいて、現状、これが今我々のできるベストだと思います。それを理解していただいた上で、これは有意義だと思った皆さんに参加してほしいです。今、カートレースをやられている人たちに声が届けばいいかなと思います」

Text: Junichi SEKINE
Photo: Junichi SEKINE
Asako SHIMA

8月24日、スーパーフォーミュラ(SF)第5戦が開催されているモビリティリゾートもてぎにおいて、シリーズを運営する日本レースプロモーション(JRP)から来シーズンのレースカレンダーの詳細が発表された。
これまで、日本自動車連盟が発表した国際格式のカレンダーの登録申請では、8大会、うち海外戦(韓国)1大会となっていたが、今回発表されたのはその内訳や詳細。
まず、8大会のうち、2レース制を導入するのは5大会。鈴鹿2大会、富士2大会、もてぎ1大会はすべて2レース制となる。逆に1レース制として残るのは、九州大会(オートポリス)と東北大会(スポーツランドSUGO)。
これにより、韓国大会を含めて、シリーズのレース数は現行の9から13へと大きく増えることになった。レース数の増加が課題となっていたシリーズにとって、2レース制の大会を増やすという現実的な方法で応えた形だ。
また、韓国大会が開催されるサーキットは、「インジェ(麟蹄)スピーディウム」であることも発表された。
インジェスピーディウムは、2013年に開設された1周3.9kmのコース。こけら落としではスーパー耐久が開催されたこともある。
JRPの上野社長によると、複数のプロモーターから海外大会開催のアプローチがあったが、韓国大会を提案したプロモーターが、最もSFの価値を理解し考え方も合致したとのこと。すでに周辺の宿泊施設も含めて視察を終え、具体的な打ち合わせに入っているという。
2025年スーパーフォーミュラカレンダー(仮)
3月8-9日 第1,2戦 鈴鹿大会(2レース制)
4月19-20日 第3,4戦 もてぎ大会(2レース制)
5月17-18日 第5戦 九州大会
6月7-8日 第6戦 韓国大会
7月19-20日 第7,8戦 富士大会(2レース制)
8月9-10日 第9戦 東北大会
10月11-12日 第10,11戦 富士大会(2レース制)
11月22-23日 第12,13戦 鈴鹿大会(2レース制)
Text: Shigeru KITAMICHI
HFDP WITH B-Max Racing Team(チーム代表 宮田雅史)は、2024シーズンのFIA-F4選手権の参戦体制を、下記のとおり決定いたしました。
既報のとおり、ドライバーは、50号車に選手権参戦2年目となる野村勇斗選手、51号車にはHRS-Suzuka(ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿)においてスカラシップを獲得した洞地遼大選手を起用します。洞地選手も選手権フル参戦は2年目となります。
監督(兼アドバイザー)には、HFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)において広くドライバー育成に尽力している武藤英紀氏が就任いたします。
今シーズンのFIA-F4選手権は、新型車両の導入によって、より安全でコンペティティブなシリーズとなることが予想されます。チームとして、若き才能を育てることはもちろんですが、彼らの夢を実現するためにも、チャンピオン獲得を至上命題にして1レース毎に結果を追い求めてまいります。応援よろしくお願いいたします。
Car No.
50
|
車両名 |
HFDP RACING TEAM |
|
| Driver |
野村 勇斗 Yuto Nomura(18歳) |
| 2023戦績 |
FIA-F4選手権4位(1勝) |
| エンジニア:今関 佳斗 |
Car No.
51
|
車両名 |
HFDP RACING TEAM |
|
| Driver |
洞地 遼大 Ryota Horachi(17歳) |
| 2023戦績 |
HRS Formulaスカラシップ獲得(次席)
FIA-F4選手権10位 |
| エンジニア:村井 寛太 |
- チーム代表 宮田雅史コメント
-
「新たにHondaとのジョイントで参戦できることを光栄に思います。プロジェクトの目的である育成に主眼を置いて、武藤監督のもと、ドライバーが着実にトップカテゴリーへの道を歩むことができるよう、チームとして全力でサポートしていきます。結果を求めながら、1戦1戦を大切に戦っていきたいと思います」
- チーム監督 武藤英紀コメント
-
「このような⽴場でレースに関われる環境を⽤意してくださったHonda、B-Max Racing Team をはじめとする関係者の皆様に感謝申し上げます。今シーズンはマシンが⼀新され、チーム体制も⼤きく変わりました。ドライバーは昨年に続き野村勇⽃と、新たに洞地遼⼤が加⼊し戦います。⽬標はシリーズタイトル獲得ですが、何より⼤事なのはそこに⾄るまでのプロセスです。チーム全体が集中し、実⼒を発揮できる環境づくりに努めます。今シーズンの応援、よろしくお願いします」
- 50号車ドライバー 野村勇斗選手コメント
-
「今シーズンは、チームがHFDP WITH B-Max Racing Team に変わり、マシンも新型になったので、新たな気持ちでシーズンに挑みます。⽬標はもちろんチャンピオンですが、皆様の⽬に留まるようなレースをして、開幕戦から圧倒的な強さでシリーズをリードしたいと思っています」
- 51号車ドライバー 洞池遼大選手コメント
-
「今シーズンは、環境が変わりHFDP WITH B-Max Racing Team からFIA-F4に参戦することになり⼤変嬉しく思います。最終⽬標はシリーズチャンピオンを獲ることですが、その過程も⼤事にして、セッティングの勉強や⾛りの幅を増やすなど、ステップアップに必要なことをたくさん学んでいきたいと思います」
B-Max Racing Team Release

B-Max Racing Team(チーム総代表 組⽥⿓司)は9日、2024年全⽇本スーパーフォーミュラ選⼿権(SF)に新スポンサーを獲得して臨むことを発表した。
新スポンサーは⾷品添加物の総合メーカーの「三栄源エフ・エフ・アイ株式会社」(英語表記:San-Ei Gen F.F.I., Inc.)で、チーム名も「San-Ei Gen with B-Max」と変更される。
カラーリングもこれまでの黄色基調から、三栄源エフ・エフ・アイ社のコーポレートカラーであるブルーを基調にしたものに⼀新される。
ドライバーは、すでに発表されているルーキーの⽊村偉織で、昨年に引き続きチーム監督が本山哲、チーフエンジニアが宮田雅史の布陣となる。
■San-Ei Gen with B-Max 参戦体制
- カーナンバー 50
- ⾞名 San-Ei Gen with B-Max SF23
- 監督 本⼭哲
- チーフエンジニア 宮⽥雅史
- ドライバー ⽊村偉織(2023年SFライツチャンピオン)

■コメント
- 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 代表取締役社⻑清⽔康弘
-
「この度はB-Max Racing Teamへの協賛が実現し嬉しく思います。 ⽇本最⾼峰のSFのフィールドで、夢に対する情熱を忘れず、仲間やファンの皆様と共に戦ってまいります」
- 総代表 組⽥⿓司
-
「SF参戦8 年⽬を迎える今シーズンは、⼼強いパートナーを得て選⼿権に臨めることを光栄に思います。⾞両のイメージを⼀新し、ルーキー⽊村選⼿を起⽤してのシーズンになりますので、⼼機⼀転、初⼼に帰って選⼿権に臨みたいと思います」
- 監督 本⼭哲
-
「⼤きな節⽬となる年ですので、チームとしてのポテンシャルを⼀段引き上げられるようにしたいと思います。⽬標は、すべてのレースにおいてシングルフィニッシュすることです。⽊村選⼿のポテンシャルは未知ですが、可能性は⼗分あると感じています」
- ドライバー ⽊村偉織
-
「慣れ親しんだチームでのSFデビューですが、チームが変化を迎えることで新鮮な気持ちでテスト、開幕に臨めると感じています。今シーズンは常にチャレンジャーとして、毎戦着実にステップアップしていきたいと思います。多くの⽅に応援してもらえるよう頑張ります」
B-Max Racing Team

2022年よりHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)から育成事業を受託し、スーパーフォーミュラ・ライツ選⼿権(SFL)に参戦してきたB-Max Racing Team(総代表、組⽥⿓司)は19日、今季はF4全日本選手権(FIA-F4)にもこの事業を拡大すると発表した。
SFLでは、昨季戸田レーシングから同シリーズに参戦し最終大会までチャンピオンを争った⼩出峻が移籍。強力な布陣で2年連続チャンピオンを狙う。
FIA-F4では、昨季HFDPから参戦しシリーズランキング4位だった野村勇⽃と、アキランドレーシングから参戦し同10位でHRS-F(ホンダのドライバー育成プログラム)次席だった洞地遼⼤の2人が移籍。この2人でチャンピオン獲得を目指す。
代表の組田龍司氏は「B-Maxレーシングチームの⽬標として、参戦カテゴリーにおけるチャンピオン獲得はもちろんですが、もうひとつの柱として、将来のモータースポーツ界を担うドライバーや⼈材の育成を掲げています。SFライツに続いて、FIA-F4 においてもHRCと協⼒関係を築けることは、⼤きな責任を感じつつも⾮常にやりがいを感じています。彼らの夢の実現のために、また当チームを巣⽴ったドライバーが世界で活躍することを期待し、使命感を持って全⼒でサポートしたいと思います」と語った。
B-Maxは昨年同チームでSFLのチャンピオンを獲得した木村偉織を今季スーパーフォーミュラ(SF)で起用。これで、B-Max内でFIA-F4、SFL、SFのステップアップルートが確立された形となった。B-Maxの今後の活躍に期待したい。
Text: Yoshinori OHNISHI
Phoro: B-Max Racing Team

2023年スーパーFJ日本一決定戦がモビリティリゾートもてぎで開催され、正式結果発表後に各賞の表彰式がパドック内の「グランツーリスモ・カフェ」にて行われた。
高秀組織委員長とジャパンスカラシップシステム(JSS)畑川代表が挨拶。畑川会長の挨拶の中で、全国各サーキットを回って行われる「スーパーFJジャパンリーグ」に関して、今年の6大会(モビリティリゾートもてぎ、オートポリス、筑波サーキット、スポーツランドSUGO、岡山国際サーキット、富士スピードウェイ)に加えて鈴鹿サーキットが追加され7大会になる旨発表があった。

そして特別賞として、長年のS-FJ参戦による貢献に対し、吉田宣弘選手に記念のトロフィーが授与された。

その後、畑川代表の発声で乾杯が行われ、用意された飲み物や食べ物を片手にしばし歓談の後に表彰式がスタート。

まずは各地域のJAF地方選手権のチャンピオン達が表彰された。
- もてぎ/SUGOシリーズ 内田涼風
- 筑波/富士シリーズ 小村明生
- 鈴鹿/岡山シリーズ 白崎稜
- オートポリスシリーズ 宇高希
各選手にはトロフィーが授与された。

続いて「スーパーFJジャパンリーグ」の表彰。
- シリーズチャンピオン 白崎稜
- シリーズ2位 池田拓馬
- シリーズ3位 渡会太一(渡会選手は同時刻に開催中のMEC120分耐久に出場中のため代理が登壇)
それぞれトロフィーと賞金が授与された。


ここから日本一決定戦関連の表彰。まずはA/B各組のセミファイナルレース上位3名の表彰。
- A組1位 白崎稜
- A組2位 村田悠磨
- A組3位 渡会太一(同じく代理)
- B組1位 小田優
- B組2位 田中風輝
- B組3位 内田涼風
それぞれ賞金が授与された。
続いてジェントルマンクラスの表彰
- クラス優勝 吉田宣弘(代理)
- クラス2位 太田浩(代理)
- クラス3位 柴田泰知
それぞれトロフィーと賞金が授与された。

ファイナルレースにおいて、グリッドから最も順位を上げた選手に対するジャンプアップ賞

そしてファイナルレース上位入賞者の表彰、まずは6位から10位まで
- 6位 池内比悠
- 7位 内田涼風
- 8位 村田悠磨
- 9位 池田拓馬
- 10位 豊島里空斗
それぞれトロフィーと賞金が授与された。

続いて1位から5位まで
- 1位 小田優
- 2位 白崎稜
- 3位 田中風輝
- 4位 堂園鷲
- 5位 渡会太一(代理)
1位から3位までにはJAFの金銀銅メダル、全員にトロフィーと賞金が授与された。

さらにファイナルレースをスタートした全選手に対する「ファイナルスタート賞」を全選手を代表して小田優が受け取る。
そして最後に優勝の小田優に対し賞典の授与。まずはダンロップ賞としてチャンピオンキャップと賞金。
続いて歴代チャンピオンの名が刻まれた大トロフィーが授与され、表彰式は終了。その後は再び歓談の場に。
- ジャパンスカラシップシステム 畑川治代表にインタビュー
-

「(今日のレースの感想は?)予想通り素晴らしいレースしてくれましたね。今の若手、まぁおじさんもいる訳ですけれど(笑)、全体のレベルが非常に上がってきているので。16歳がいっぱいいるんですよ、16歳あたりがこのところどんどん出てきて、今年も15歳が優勝(SUGOの豊島選手)したりとか、スーパーFJ自体が再認識されているのかなという感じはしているのですよ。我々思っているのはカートからとか初めてとか本物のフォーミュラカーのレースになるのはこのカテゴリーだという意識はあるので、それがこうして認識され、ここから上がっていってくれたドライバーが角田(裕毅)はじめ、何人もいますからね、そういうのが再認識されてもっと広まって、来年、再来年と続いていけばいいな、というのがありますね」
Text: Junichi SEKINE
Photo: Mizue NOINE
Asako SHIMA
日本自動車連盟(JAF鈴鹿グランプリ)は24日、来シーズンの全日本レース選手権カレンダーを発表した。
スーパーフォーミュラでは、各大会の開催日・開催地は発表されていたが、ラウンド数は未発表だった。今回、明らかになったところによると、最終の2大会、富士と鈴鹿が2ラウンド制で行われる。
カレンダーは以下の通りだ。
| Rd. | 開催日 | サーキット | 備考 |
| 1 |
3/8~10 |
鈴鹿サーキット |
鈴鹿2&4レース |
| 2 |
5/17~19 |
オートポリス |
|
| 3 |
6/21~23 |
スポーツランドSUGO |
|
| 4 |
7/19~21 |
富士スピードウェイ |
|
| 5 |
8/23~25 |
モビリティーリゾートもてぎ |
|
| 6 |
10/11~13 |
富士スピードウェイ |
|
| 7 |
| 8 |
11/22~24 |
鈴鹿サーキット |
鈴鹿JAFグランプリ |
| 9 |

スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)は、FIA-F4選手権へのステップアップをサポートする育成プログラム「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」の6代目チャレンジドライバーの募集を開始した。
FIA-F4選手権シリーズは2015年の発足から多くのエントリーを集め、現在F1に参戦している角田祐毅選手や、今年のスーパーGTにおいてドライバーズチャンピオンを獲得した坪井翔選手、宮田莉朋選手(GT500クラス)、川合孝汰選手(GT300クラス)など、数多くのトップドライバーを輩出してきた。今年10月からは同シリーズを題材にしたアニメ「オーバーテイク!」の放送/配信も始まり、更なる注目を集めている。
2023年シーズンも常時40台を超える過去最大のエントリーを集めたが、来季からは第2世代の新型車両「MCS4-24」の導入が決まっており、これまで以上の盛り上がりが期待できそうだ。
そのFIA-F4選手権において、GTAは若手ドライバーの参戦をサポートするべく「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」を2017年からスタート。これまでに菅波冬悟、環優光、大竹将光、伊東黎明、そして野澤勇翔といったドライバーたちが「チャレンジドライバー」としてチャンスを掴んでFIA-F4選手権で腕を磨いてきた。

そしてこのほど、GTAは来たる2024年シーズンに向けて「〝6代目〟チャレンジドライバー」を以下の内容で募集することを決定した。
昨年までは全日本カート選手権や各地で開催されているスーパーFJで活躍する若手ドライバーたちを対象としてきたが、今回から応募資格を「全日本カート同等の選手権/シリーズ」とし、より門戸を拡げることとなった。
これにより今年発足したAUTOBACS GPR KARTING SERIESや鈴鹿選手権など、あらゆるカートシリーズが対象となる。GPRは毎回多くのエントリーを集め、全日本選手権に勝るとも劣らないハイレベルの戦いが展開されてきた。
FIA-F4選手権参戦を目指す若手ドライバーにとっては、大きなステップアップ支援を得られる願ってもないチャンスとなるはず。自らの未来を切り拓くためにも、このプログラムへ応募してみてはどうだろうか。
「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」募集要項2024
- サポート内容
-
2024年FIA-F4選手権へのGTAが指定するチームからのフル参戦サポート(GTAが設定する「OTG F4トレーニング」、「DUNLOP F4 トレーニング」等、レースウィーク付帯走行を含む)
FIA-F4車両レンタル費用(エンジンレンタル費用含む)
工場およびレースウィークにおける車両メンテナンス費用
サーキットへの車両機材の運搬費用
レースウィークに使用する指定ダンロップタイヤ(3セット/1大会)
ガソリン・オイル・ブレーキパッド等の消耗品
レースへのエントリー費用
レース参戦用レーシングスーツ費用半額サポート(スーツメーカー自由。指定デザインあり、パーソナルスポンサーロゴ掲示応相談)
- ドライバー本人の負担内容
-
ドライバー個人の競技ライセンスおよびサーキットライセンス取得費用、保険費用
レース参戦に必要なエクイップメント費用(ヘルメット、シューズ、グローブ、HANSデバイス、アンダーウェア等一式、レーシングスーツ費用半額)
ドライバー個人経費(交通費、宿泊費等)
レースウィーク(GTAが設定するトレーニング走行含む)以外の練習走行にかかる費用一式
車両破損時の修復費用(修復に要するパーツ代金を含む)
- 1)「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」選考対象者
-
2023年度に開催された「全日本カート選手権(OKまたはFS-125クラス)」出場経験者もしくは同等のカート選手権/シリーズの出場経験者、または2023年度に開催された「地方選手権S-FJシリーズ」出場経験者であること
2024年FIA-F4選手権へのフル参戦が可能な競技許可証(ライセンス)を取得可能なドライバー(※国内競技運転者許可証A以上。ただし限定国内競技許可証Aを含む)
過去にFIA-F4選手権、JAF-F4地方選手権、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパンを含む上級フォーミュラカーレースへの参戦経験がないドライバー
未成年者または学生の場合、本プログラムへの応募および2024年FIA-F4選手権シリーズへの参戦に際し、保護者等の同意が得られること。
- 2)応募手順
- 以下のリンク先にある「FIA-F4 JAPANESE CHALLENGE」応募用紙をプリントアウト、必要事項を記入の上、写真を貼付。また、応募用紙に「応募動機書/自己PR書(A4、書式自由)」を添付し、11月30日(水)必着にて、下記宛先の株式会社GTアソシエイションFIA-F4事務局まで郵送すること。
- ●応募申込書URL
- https://tinyurl.com/286vogyg
- ● 申込書宛先
-
株式会社GTアソシエイション FIA-F4事務局 担当/中野
〒142-0031 東京都品川区西五反田2-14-2 五反田YNビル3F TEL :03-6426-2501 FAX :03-6426-2504
- 応募後の流れ
-
応募された申込書にて1次書類選考審査を行い、12月初旬に下記2次選考進出者を決定し、各応募者への合否通知を行う。
12月中旬に2次選考進出者への面談およびサーキットでの実走テストを行なった上で、最終選考を行う。(12月末 決定予定)
以上
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI

2023年FIA-F4選手権シリーズに参戦している現役レーサーの田上蒼竜が、母校である土浦市立大岩田小学校(校長:永井厚)を訪問、児童の前で講演を行った。
これは同校が行っている、職業観を段階的に身につける総合的な学習の時間(キャリア教育)の一環で、土浦市では「未来プロジェクト」という名で、専門性のある職業につく社会人や、将来の夢に向かって頑張っている人を講師に招き、その職業への想いを語ってもらい、児童自身の生き方やキャリア形成を考える機会を持とうという取組を行っている。昨年もスーパーFJドライバーだった田上が講師に招かれ、児童の前で講演、スーパーFJマシンやレーシングカートの展示も行われた。(https://www.fmotor.jp/2022-super-fj-tagami-speaks-at-an-elementary-school)
田上は2002年生まれの21歳。大岩田小学校から地元の中学、高校と進学し現在は大学に通いながらレース活動を行っている。昨年はスーパーFJのもてぎ/SUGOと筑波/富士の両シリーズのダブルチャンピオンを獲得、年末の日本一決定戦では4位入賞した。今年はZAP SPEEDのサポートでFIA-F4選手権シリーズにステップアップ、ここまで予選ベスト18位、決勝ベスト12位とメーカー育成選手を相手にやや苦戦しているが、残る最終戦、ホームとも言えるモビリティリゾートもてぎでの大会でポイント獲得を目指している。
昨年の講演よりひと月遅れとなった10月16日(月)、前日の雨も上がり水たまりは残るものの好天に恵まれた中で、朝から大岩田小学校の玄関前に田上が今年ドライブしている14号車「ガレージENZO ZAP F110」が置かれ、登校する児童を迎える。昨年のスーパーFJマシンを覚えているのか「去年より大きい」とか「色が違う」といった感想を見せる児童も多かった。

まずは授業開始まで永井校長と対談。小学校から高校まで地元土浦で過ごした田上だけに地元の話題、そして自分のレース歴やレーシングドライブの大変さなど校長に問われるままに説明。レーシングドライバーと初めて会ったという校長は4歳からというレースキャリアの長さと苛烈さに驚く場面も。



1時限目は低学年の児童がマシンを見物。1年生にとってはほぼ初めて見る実車に興奮のおももちで、順番にコックピットに座らせてもらうと着座と言うより「潜り込む」という表現が合う状態でさすがにF4マシンでも広く大きく感じるようだ。それでもみんな笑顔で行儀よく順番を守って乗車。


そして午前9時半からの2時限目、「ふれあいルーム」と呼ばれる講義室に2クラス50人の6年生が集まり本日の本題である田上の講演が開始される。
昨年は「将来の職業としてレーシングドライバーを目指す自分のこれまでのキャリアや活動。そこでの挫折や喜び」といった内容を語った田上だが、今年は内容を変え「モータースポーツって何?」という切り口からトークを始めた。
さすがに2回目となるとトークも滑らかになり、小学6年生の目線にあわせるべく「マリオカート」を引き合いに出したりしながら、どんなカテゴリーのモータースポーツがあるか、ひとくちにレースと言っても多岐にわたる種類があることや競技の方法をわかりやすく説明する。さすがに6年生ともなると、F1を知っているとか近所のショッピングモールで車両展示を見たことがあるといった児童がちらほら現れるが、それでもカートから始まってフォーミュラやGTカー、果てはトレーラヘッドのレースまであると聞いて目を丸くしていた。
そこから話を発展させて田上がドライブする「フォーミュラカー」とはどんなものか、なぜ自分はフォーミュラというカテゴリーを選んだかについて「軽さ」「パワー」「形」というキーワードを挙げて市販車とのスペックの比較やウイングの効能などを説明。クイズ形式で児童に参加させることで講義室内は活気を帯び、一段と盛り上がりを見せた。
授業の最後は田上が自身がまだ発展途上であり、プロドライバーとなるべく今後も努力を続けること。小学6年生には無限の可能性があり、モータースポーツに限らず自分のやりたい事、進みたい進路を見つけてそれを実現する努力をしてほしい、と締めくくって講義を終えた。

講義が終わると即席のサイン会となり、児童が田上の前に並んでノートなどにサインを貰いながらひとことふたこと言葉をかわす。レーシングスーツが珍しいのかしげしげと眺める子もいた。

その後は玄関前のマシンまで移動して、低学年と同じく乗車体験。6年生の体格だとコックピットの狭さや足が持ち上がった独特の姿勢などを理解する児童も多く。またマシンの最高速や価格など直球の質問に田上が苦笑する場面もあった。
全員がマシンを前に並んで記念撮影で田上講師の授業は終了。その後も授業の合間に各学年の児童がマシンの前に来ての乗車体験が夕方まで続いた。
田上の次のレースは11月4-5日、FIA-F4の第13戦、14戦。シーズン最後の大会だ。
Text & Photo: Junichi SEKINE
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は3日、国際自動車連盟(FIA)に来年度2024年の国際スポーツカレンダーの登録申請を行った。
これによるとスーパーフォーミュラ(SF)の日程は以下となっている。
第1戦は鈴鹿サーキットで3月10日に開幕を迎える。F1、Formula-eが4月に組まれた関係だと思われるが、全日本F2、F3000選手権時代の中盤までは3月初旬での鈴鹿2&4開幕戦が定着していた。ひさびさにトップフォーミュラがこの時期に戻ってきた格好だ。
今シーズンと同様に5サーキット7大会が開催され、11月24日の鈴鹿JAFグランプリで幕を閉じる。遅い最終戦だが、年間10戦が行われていたF3000時代にもこの時期での閉幕はあった。
NEXT50プロジェクトでの2シーズン目を迎えるSF。来年の飛躍に期待したい。
※なお、この日程はFIAに申請されたものであり、他のレースとの調整で変更になる場合がある。
| 大会 | 開催日 | サーキット | 備考 |
| 1 |
3/8~10 |
鈴鹿サーキット |
鈴鹿2&4レース |
| 2 |
5/17~19 |
オートポリス |
|
| 3 |
6/21~23 |
スポーツランドSUGO |
|
| 4 |
7/19~21 |
富士スピードウェイ |
|
| 5 |
8/23~25 |
モビリティーリゾートもてぎ |
|
| 6 |
10/11~13 |
富士スピードウェイ |
|
| 7 |
11/22~24 |
鈴鹿サーキット |
鈴鹿JAFグランプリ |
Text: Yoshinori OHNISHI

スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)は8月3日付でプレスリリースを発行し、2024年のスーパーGTカレンダー(予定)を発表した。
来シーズンも今年同様に国内6サーキットを舞台に全8大会が予定されている。開幕戦は岡山国際サーキットで開催され、最終戦はモビリティリゾートもてぎとなっている。詳細は以下のとおり。
- 2024年スーパーGTカレンダー(JAF/FIA申請中)
- 第1戦 4月13-14日 岡山国際サーキット
- 第2戦 5月3-4日 富士スピードウェイ
- 第3戦 6月1-2日 鈴鹿サーキット
- 第4戦 8月3-4日 富士スピードウェイ
- 第5戦 8月31-9月1日 鈴鹿サーキット
- 第6戦 9月21-22日 スポーツランドSUGO
- 第7戦 10月5-6日 オートポリス
- 第8戦 11月2-3日 モビリティリゾートもてぎ
ただし今後世界選手権レースの開催予定が変更された場合、上記のスケジュールは変更の可能性があるとのこと。
Text: Kazuhisa SUEHIRO

今年からFIA-F4シリーズに参戦している田上蒼竜(ガレージENZO ZAP F110)が、スポンサーである「サーキットの狼MUSEUM(茨城県神栖市)」においてマシン展示およびシーズン前半の報告会を行った。
田上は昨年スーパーFJもてぎ/SUGOシリーズと同筑波/富士シリーズにおいてダブルタイトルを獲得、今シーズンからFIA-F4シリーズにステップアップ。ZAP SPEEDのサポートで富士の第1戦12位、第2戦15位、鈴鹿の第3戦18位、第4戦17位とここまでシリーズポイントは得ていないがコンスタントに結果を残している。
そんな田上がシーズンの合間を利用して、スポンサーである「サーキットの狼MUSEUM」にマシンを持ち込んでの報告会。「サーキットの狼MUSEUM」はかのスーパーカーブームの火をつけた池沢 早人師(とうじは「さとし」)のマンガ「サーキットの狼」40周年を記念して開設された博物館で、マンガに登場したランボルギーニカウンタックをはじめ多くのスーパーカーが展示されているが、その中に異彩を放つフォーミュラマシンが展示され、ミューコアムを訪れるゲストの目を引いた。マシンは田上と同じ牛久市内で電気工事会社を営む株式会社ビルド(https://build-inc.net/)がマシンにNEWラッピングを施した新カラーリングンのお披露目も兼ねている。
そして7月16日にはホールにて田上蒼竜が報告会を開催。レースレポートも配布され、質疑応答ではレースがチームスポーツであることやドライバーのアスリートぶりなどモータースポーツに興味がわいたような感想を聞くことができた。
8月5日からFIA-F4第5戦、6日には第6戦が富士スピードウェイで開催され、シリーズが中盤戦に突入する。プライベートチームからメーカーのスカラシップを受けるドライバーに一矢報いるべく田上蒼竜の戦いは今後も続く。
Text & Photo: Junichi SEKINE

ANEST IWATA Racing with Arnageは、SUPER GTシリーズ第1戦をAドライバーのイゴール・オオムラ・フラガ及びBドライバーの古谷悠河のコンビで闘い、予選7番手からスタートし決勝レースを12位で完走しました。ご声援ありがとうございました。
チームは長距離レースに備え3人目のドライバーとして小山美姫を起用する予定でいますが、このほど小山がルーキーテストに合格したことをお報せします。
ルーキーテストは、SUPER GTシリーズに初めて参戦するドライバーの技量を確認するためGTA(GTアソシエーション)が行う試験走行で、これに合格しなければ実戦に出走することができません。
イゴールと古谷は開幕前テストのセッションを使ってそれぞれルーキーテストに合格しシリーズ開幕戦に出走しました。しかし小山は、これまで悪天候に見舞われるなど環境が整わず、合格基準を満たせずにいました。
第1戦終了後の4月21日、晴天の富士スピードウェイで、スポーツ走行枠を使ってルーキーテストが行われ、小山は規定の10周を周回して基準タイムを上回るラップタイムを記録しテストに合格しました。これにより、5月3日~4日に同じ富士スピードウェイで開催されるシリーズ第2戦にCドライバーとして参加する正式資格を得ました。
- 小山美姫選手
-
「ルーキーテストであることを意識して身が引き締まる思いで走り始めたので、テストに合格できて、まずはホッとしました。でも結構良い感じで走れたので楽しくも感じました。これまで雨も多くまとめて周回することができなかったのですが、イゴールと古谷君とチームが、こんなに良い状態にクルマを仕上げていてくれたんだなと驚きました。これでみんなと同じレベルで会話ができるようになりますね」
- 武田克己総監督
-
「小山選手は、昨年FIA基準のフォーミュラカーシリーズで日本の女子選手として初めてシリーズチャンピオンとなった実力派です。今シーズンSUPER GTシリーズに本格参戦したANEST IWATA Racingは新たな可能性を追求して闘いますが、小山選手がそのパフォーマンスを通し、チームだけではなく女性の社会進出にも貢献することを期待します」
ANEST IWATA Racing with Arnage

昨年JAF地方選手権スーパーFJのもてぎ/SUGOシリーズと筑波/富士シリーズの両方でチャンピオンに輝いた田上蒼竜が今シーズンはFIA-F4選手権シリーズに参戦することとなった。
田上は2002年生まれの20歳、現在は大学に通いながらレーシングドライバーとしてキャリアを積んでいる。キッズカートから始めて2021年筑波シリーズ最終戦でスーパーFJデビューを3位表彰台で飾り、翌2022年にもてぎ/SUGOと筑波/富士の両シリーズにフル参戦。それぞれ勝利を重ねて初年度ながら両シリーズのチャンピオンを獲得し、満を持してのステップアップだ。
チームはデビュー以来彼を支えてきたZAP SPEED、スポンサーとして茨城県神栖市にある「サーキットの狼MUSEUM」はじめ地元茨城県の企業がつき、開幕戦に向けた準備が進められている。

- 車名:「ガレージENZO ZAP F110」(カラーリングは現状の「案」)
- ゼッケン:「14」
- エントラント:ZAP SPEED
- スポンサー:
3月27日には富士スピードウェイで合同テストが行われ、田上も愛機との顔合わせを行った。以下は合同デストを控えた3月26日のインタビュー。
――まずは去年の振り返りから、結果としてダブルタイトルを取れたが、どの辺りから勝てそうな感触があったか?
「わりと初期から手応えはあったので、最初からずっとトップしか狙っていなかったのですけれど、1勝(5月5日の筑波富士第2戦)してから、メンタル的にもだいぶ安定してきて、自信がついてきたかな、と思います」
――上位で戦い続けているなかで挫折はなかった?
「珍しく(笑)なにもなかったですね。富士で接触とかありましたけれど、ほぼ思ったようにシーズン進めて来られたなと思います。あんなに自信持って気持ちを楽にレースやって来られたシーズンは初めてかな、と思うので、けっこう自信になりました」
――FIA-F4の初ドライブはどうだった?
「今年の1月に乗せていただいきましたが、結構挙動が掴めなくて苦戦しました。(具体的には?)タイヤが太くなって、スーパーFJと違ってリヤの挙動が重いので、クルマを回すのがなかなかできなくて、クルマを曲げられないか、滑ってしまっておっとっと、となるかのどちらかなので、リヤのコントロールに苦しみました。(車体の大きさとか重さは?)高速コーナーでなんか(重さを)感じるなっていうのはありましたけれど、スピード感で言うと、スーパーFJとそんなに変わらない感じです。どちらかと言えばクルマを曲げる方が問題で、そこさえクリアできれば、戦えるかな、とは思います」
――今年はFIA-F4一本で行く?
「今の時点ではその予定ですが、他にもチャンスがあれば。その為にもいい成績を出して認められないと、とは思います」
――今シーズンの目標は?
「まだ(今年のマシンに)乗っていないので、乗ってみないと分からないよね、という部分はあるのですけれど、でも1年目からどんどん結果を出さないと。まずはちゃんと入賞できるような準備をして行って。今年はZAPに荒川麟選手(2022年度ランク3位)もいるので、大先輩にいろいろ教わりながら成長して行けたらなと思います」
――「サーキットの狼MUSEUM」とはどういうご縁?
「スポンサー様の横のつながりで知り合ったのですけれど、一度お話をしに伺ったらその方もロータスカップなどに出られていた。そこから支援を引き受けてくださって、去年も小さなステッカーを貼らせていただいて、去年の成績を見て今年も、という感じになりました。他のスポンサー様も地元というか近所の企業という感じです」
――自分が出ないレースを見に来るのはどんな気分?
「とっても気楽(笑)ですけれど、出るレースの数が少なくなって、ちょっと寂しいなって気分もありますね」
――将来については何かビジョンは?
「自分も決して若くはないと思うので、なるべく早くステップアップしていかないと、という思いはあります。当面はフォーミュラで上のカテゴリーに上がる事を目指して頑張ります」

東日本のスーパーFJを制した田上選手が全国区のFIA-F4をどう戦うか、注目だ。
Text: Junichi SEKINE
「SUPER GT GT500プレシーズンマッチ」と題したデモレースが3月4日、2023鈴鹿サーキット モータースポーツファン感謝デー内のイベントとして三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで行われた。
予定されていた午前11時10分よりやや遅れ、午前11時15分ごろから行われたトークショーに続き、デモレースは午前11時30分より行われた。
当初は13台の走行が予定されていたが、No. 64 Modulo NSX-GTが前日に行われたテストでクラッシュした影響で参加を見合わせたため、残る12台が前年のポイントランキング順にグリッドに整列。本番さながらのローリングスタートでバトルを繰り広げた。
スタートでは牧野任祐(STANLEY NSX-GT)がポールポジションのベルトラン・バゲット(MARELLI IMPUL Z)をかわしてトップに立つ。2位はバゲット、松下信治(Astemo NSX-GT)が3位だ。
バゲットはシケイン立ち上がりでトップ奪還を試みるが、ホームストレートではそのインに松下が飛び込んできて2位に浮上、牧野を追い上げにかかり、130Rでアウトからかわしてトップに躍り出た。
続いてバゲットもシケインで牧野のインをついて2位に。続いて2周目の1コーナーで松下をも抜き去ってトップを奪い返すが、松下はこの周のシケインでバゲットを抜き返して再びトップに。
その後も2台は抜きつ抜かれつを繰り返しながら4周を走行、最後はバゲットがトップでチェッカーを受けてレースは終了した。
「SUPER GT GT500プレシーズンマッチ」は明日5日も午後4時5分より行われる予定だ。











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Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
新体制となった、GT300クラスに参戦するANEST IWATA Racing with Arnageは3月2日、チームの世界観を発進するレースクイーンユニットとして「BLUE LINK Amb. S-GT RQ」を発表した。
「BULE」はアネスト岩田のコーポレートカラー、Amb.(アンバサダー)は、レースクイーンを意識させない名称だが、あえて性別を問わない誰でも所属しやすいユニット名にしたとのことだ。ただし、スーパーGT規定により、全員女性のユニットとなる。
2023シーズンのアンバサダーには4人の女性がレースクイーンとして採用されている。
- 沙倉しずか
-

「喜びも悔しさもずっと近くで感じてきたArnage RacingがANEST IWATA Racing with Arnageへと進化する転機の年に、レースクイーンとして応援できることを大変光栄に思います。『夢ある無謀を。』というテーマは心に深く刺さりました。より一層気を引き締めて頑張ります!」
- 鈴付みけ
-

「体制が発表された時から全てにワクワクしています。ANEST IWATA Racing with Arnage の一員として活動できるのが嬉しいです。モータースポーツを通して、新たな繋がりと挑戦を盛り上げていきます。応援よろしくお願いいたします!」
- 広瀬咲
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「この度、SUPER GT300クラス50号車 ANEST IWATA Racing with Arnageを応援する『BLUE LINK Amb. S-GT RQ』として活動させていただく事になりました! 今シーズンはアネスト岩田株式会社様を中心にSUPER GTへ参戦し、チーム名の変更や車種もLEXUS RC F GT3に変わりファンの皆様に注目される中、チームの一員として応援させていただくことが出来てとても嬉しく思います。RQ2年目もモータースポーツやチームの良さをより多くの方へ知っていただけるよう精進いたします!」
- 藤田香澄
-
-

「ANEST IWATA Racing with Arnageのレースクイーンとして活動させていただくことになりました、藤田香澄です。『No Theory. 夢ある無謀を。』を掲げる新チームと共に、私もSUPER GTレースクイーン歴7年目で新たな挑戦ができることを大変嬉しく思っています。皆様熱い応援をよろしくお願いいたします!」
Photo: ANEST IWATA Racing with Arnage

昨年の富士24時間レースでのDAISHIN GT3 GT-R
3月1日、TEAM DAISHINとMP Racingは共同でリリースを発表し、今シーズンのスーパー耐久シリーズに、2チームでのコラボレーションでST-Xクラスに臨むことを発表した。
従来からST-Xクラスでは、ジェントルマンドライバーが、Aドライバーとして搭乗が義務づけられていたが、その最低乗車時間が今シーズンから延長された。
これによりDAISHINでAドライバーを務めていた代表の大八木信行は、高齢で体力面の不安があり、参戦体制を見直せざるを得ない状況となっていた。
そこで、昨年途中まで同じGT-Rで参戦していた、MP RacingのJOE SHINDOとのコラボが実現した。SHINDOが体一つで、AドライバーとしてDAISHINに合流する形となるようだ。
車名はDAISHIN MP Racing GT-R GT3でゼッケンは従来の両チームの81と9を合わした819。AドライバーはSHINDOが務め、Bは藤波清斗、Cは青木孝行、大八木はDとして登録され500キロ以上レースでの出場の可能性を残した。Eは坂口夏月が務める。
| エントラント | GTNET MotorSports |
| チーム代表 | 大八木信行/JOE SHINDO |
| チーム監督 | 尾本直史 |
| Aドライバー | JOE SHINDO |
| Bドライバー | 藤波清斗 |
| Cドライバー | 青木孝行 |
| Dドライバー | 大八木信行 |
| Eドライバー | 坂口夏月 |
| 車名 | DAISHIN MP Racing GT-R GT3 |
| ゼッケン | 819 |
| 使用車両 | NISSAN GT-R NISMO GT3 |
| タイヤ | Hankook |
| 車両メンテナンス | GTNET MotorSports |
Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA

スーパーFJ茂木・菅生シリーズに参戦する、里見乃亜代表率いるRiNoA Racing project「群馬トヨペットTeam RiNoA」が今シーズンの参戦体制を発表した。
2020年に参戦を開始した同チームはこの年シリーズ3位、2021年にはチャンピオン、昨年2022年も2位と毎年トップを争えるルーキードライバーを輩出してきているが、今年は81号車に池内比悠選手、82号車に内田涼風選手と、経験者を起用し2台体制に拡大し、今シーズンもシリーズチャンピオン、そして年末の日本一決定戦での優勝を目指す。
池内選手は2020年にスーパーFJにデビュー。昨年は前半の4レースのみ出場だが全戦で入賞を果たしてシリーズ6位に食い込んだ。内田選手は2021年に同チームからレースデビュー、昨年フル参戦で優勝1回、第2戦以降全てのレースで表彰台に上がりシリーズ2位となっている。
すでにトップチームの風格が出てきた同チームに実績あるドライバーという体制で、今年も「群馬トヨペットTeam RiNoA」の戦いぶりに注目が集まる。
- 81号車ドライバー 池内比悠
-

「2023年はRiNoA Racing projectよりスーパーFJ茂木・菅生シリーズに参戦します。今回チャンスを与えてくださった里見監督には感謝しかないです。この機会を無駄にしないようチャンピオンを獲りにいきます」
- 82号車ドライバー 内田涼風
-

「昨年と同様RiNoA Racing projectよりS-FJ茂木・菅生シリーズに参戦いたします。2年目のスーパーFJとなりました。昨年取り損ねてしまったチャンピオンの奪還を目指して頑張ります」
- チーム監督 里見乃亜
-

「今年はチーム初の2台体制でシーズンを戦える事を嬉しく思います。昨年取りこぼしたチャンピオンを奪還すべく、本気でシリーズ制覇をする為にこの2名を起用しました。最低限でもチャンピオンを獲得し、日本一決定戦で優勝を取る事を目標に1年間戦って参ります」
Text: Junichi SEKINE
Photo: RiNoA Racing Project

今年から大会名称が「Formula Beat(F-Be)」と名称が変わった旧JAF地方選手権F4シリーズ(JAF-F4)の開幕戦が2月25日(土)~26日(日)鈴鹿クラブマンレース第1戦の中で開催される。 今シーズンは8イベント12レースが開催されるF-Be。鈴鹿を皮切りに富士、もてぎ、SUGO、岡山、十勝、オートポリスと全国を転戦する。そんなシリーズのトップチームのひとつがハンマー伊澤氏(以下伊澤、敬称略)率いるハンマーレーシングだ。フォーミュラ・ルノーで使われたタトゥース製の車体を自らの手で改造した「疾風」を駆って昨年は第2戦SUGOで優勝、その後4回表彰台に上り、シリーズ4位に入っている。年代的にはジェントルマンクラス(40歳以上)枠だが、毎年総合優勝争いに絡む強さで、昨年第4戦からめでたくジェントルマンクラス卒業という扱いになったほどの実力者だ。
今回は開幕準備に余念がないハンマーレーシングのファクトリーを訪問した。
ハンマーレーシングのファクトリーは千葉県の九十九里浜にほど近い山武市にある。昨年はじめにこの地にファクトリーを開設したとのことで。それまでは筑波サーキット前のガレージを借りていたが手狭になり、地元でもある千葉県に移転したとのこと。チームがスクールなどで使うことが多い袖ケ浦フォレストレースウェイや浅間台スポーツランドが近い上、F-Beが全国を転戦するシリーズのため千葉県でも地理的な不便さはないそうだ。

ファクトリーに入ると、フォーミュラカーが所狭しと置かれていて圧倒される。出場を控えた伊澤の19号車が前に出ているのは当然として、その背後にはF-Beの車両やスーパーFJ車両、FJ1600車両、さらにはフォーミュラ・リージョナル(FRJ)マシン、フォーミュラ隼などなど。これらのマシン群はハンマーレーシング主催の練習会(後述)で使用されたり希望者にレンタルされたりしている。また、オーナーから預かって伊澤の手でメンテナンスされ、レース参戦するマシンも多数ある。

開幕戦の鈴鹿には伊澤の19号車ともう一台、20号車の疾風が18歳の大宮賢人のドライブで参戦。今回は2台だけが出場するが、開催地域によってはマシンを預けているオーナーも参戦し、多い時には4~5台程度が出場予定だという。
元々は建築業を営み、仕事の合間にレース活動を行っていた伊澤だが、現在はレースが本業となり、レースイベント等では他に助っ人を雇ったりもしているが、普段はこれらのマシンのメンテナンスを伊澤と里美夫人、他のガレージから出向中の東浦メカニックの3名で面倒見ている。
筆者がレース中のパドックでしばしば目撃しているのは、自身の走行が終わり19号車を降りるや否やレーシングスーツからツナギに着替えて顧客のマシンの整備を始める伊澤と、同じくツナギでこちらもマシン整備をしている里美夫人(パドックでは「アマゾネス伊澤」の異名を持つ)の姿で、時には決勝のコースイン間際までユーザーのマシンの作業を行い、ギリギリで自分のマシンに乗り込むなんて事もある。
ハンマーレーシングとしては、オーナードライバーのレースサポートだけでなく若手の育成にも門戸をひらいており現在は10代の選手が6人ほどチームにいるという。さらには「HRDP(HAMMER RACING DREAM PROJECT)」として13歳以上の未成年者にフォーミュラでのトレーニング機会を与える取組を行っている(http://www.hammer-izawa.com/hrdp.html)。そこから将来フォーミュラカーのレースに参戦する子供が出てくれることを期待している。
最近はホンダやトヨタのスクールを受講する若手なども、これらのマシンでトレーニングを積んだりしているという。ハンマレーシングで働きながらドライビングとメカニズムの知見を深めたホンダのスカラシップ生の三井優介選手は昨年のFIA-F4でチャンピオンを争うまでに成長した。
そして定期的に開催されているのが「超々反復! フォーミュラ練習会」と称した講習。フォーミュラの基本操作をジムカーナ場などに設定した周回コースで10分×6回、繰り返し走行して学ぶ場だ。(http://www.hammer-izawa.com/formulapractice.html)こちらも好評だという。ここで練習を積んだドライバーにレース体験をしてもらうために、2021年、2022年には「HIX-Formula」という模擬レースのイベントも筑波サーキットで開催した。

オフィスにはシミュレーターも設置されている。ソフトは定番とも言える「iRACING」、ステアリングやペダルのコントローラーは市販品だが、ドライバーが着席する筐体は伊澤お得意の手作りだ。レクチャー付きでレンタルが可能で、マシンを預けているオーナーがレース参戦前に集中的にトレーニングに訪れるという。
昨シーズンの伊澤は新たに投入したHANASHIMA製のエンジンの効果もあって序盤から好調で、第2戦SUGOで優勝、その後も表彰台に何度も上がった。それまで中古のエンジンでパワーが足りず、それに合わせてウイングを小さくしたりしていたため、そこに新品エンジンが入って結果的に前半戦のコースではストレートスピードが向上していたという。しかし終盤にペースを崩し、エンジンブローも経験した。
伊澤の今年の目標は優勝とチャンピオン争いということで、F-Be全戦に出場の予定。まずは鈴鹿で勢いをつけてシーズンを乗り切りたいところだ。
また今回開幕戦鈴鹿に伊澤と共に参戦する大宮選手は18歳。これまで全日本カート選手権OKクラスなどで活躍し、2021年からフォーミュラカーでのトレーニングを始め昨年の最終戦鈴鹿でデビュー、7位でフィニッシュした。彼の活躍にも期待したい。
Text & Photo: Junichi SEKINE

2022年スーパーFJもてぎ/菅生シリーズと筑波/富士シリーズの両タイトルを獲得した田上蒼竜選手が、1月24日に地元である茨城県牛久市役所を訪問。根本洋治市長に面会し、レース活動について報告した。
田上蒼竜選手は2002年生まれの20歳、現在は大学に通いながらレーシングドライバーとしてキャリアを積んでいる。キッズカートから始めて2021年筑波シリーズ最終戦でスーパーFJデビューを3位表彰台で飾り、翌2022年にもてぎ/菅生と筑波/富士の両シリーズにフル参戦。それぞれ勝利を重ねて初年度ながら両シリーズのチャンピオンを獲得した。
根本市長は田上選手が着たレーシングスーツや持参のヘルメット、テーブルに並べられたトロフィーなどに興味津々の様子。自身もF1やインディカーなどのレースファンという事で、田上選手が参戦したスーパーFJのスペックや性能、レーシングタイヤの値段、はたまたシフト方法がF1のパドルシフトやWRCマシンのシーケンシャルシフトとは違ってHパターンであることなどマニアックな質問も飛び出した。
また、フィジカル面での苦労や恐怖心の有無、競争の熾烈さ楽しさ、そしてレース中は何を考えているのか、などドライバー心理に迫る問いかけ、ステップアップの大変さなど、短い時間であったが充実した会話となった。
同席した新聞記者からも質問があり、昨年のチャンピオン争いの振り返りではチームメイトが最大のライバルだったこと。苦労した点はマシンのメーカーによる特性の違いがレースで不利に作用したときにどう補うかだったこと。他の選手と比べてストロングポイントはスタート直後の混戦やバトルでの強さではないかと思う、と率直な思いを吐露した。
また、今シーズンの目標は? との問いにFIA-F4への出場を目指していること、そこでの勝利が当面の目標であると力強く答えて、市長との面会を終えた。

- 田上選手コメント
-
「根本市長がレースの事を知っていてくれてとても話しやすく、あっという間の30分でした。お忙しい中貴重なお時間を頂き感謝の気持ちでいっぱいです。お顔を知っていただけたので、今回の訪問が無駄にならないようにこれまで以上に気を引き締めてレースに取り組んでいこうと思います!」
Text & Photo: Junichi SEKINE
日本自動車連盟(JAF)は12日、2023年の地方レース選手権カレンダーを公示した。スーパーFJ地方選手権、来シーズンのスケジュールは以下の通りである。
今シーズンからシリーズの統合が進められており、もてぎとSUGO、筑波と富士が一つのシリーズとなったが、来シーズンからは鈴鹿と岡山のシリーズが統合される。岡山は今シーズン、選手権から外れていたので自然な流れといえるかも知れない。もてぎ・菅生、筑波・富士、鈴鹿・岡山、そして単独サーキットはオートポリスのみとなる4シリーズで開催される。
スーパーFJ部門
もてぎ・菅生S-FJ選手権
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 | 3/5 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第1戦 |
| 2 | 2 | 4/23 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第2戦 |
| 3 | 3 | 5/13-14 | スポーツランドSUGO | SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第1戦 |
| 4 | 4 | 7/22-23 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第3戦 |
| 5 | 5 6 | 8/5-6 | スポーツランドSUGO | SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第5戦 |
| 6 | 7 | 11/11-12 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第4戦 |
筑波・富士S-FJ選手権
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 | 3/25-26 | 筑波サーキット | 筑波チャレンジクラブマンレース第1戦 |
| 2 | 2 | 5/5 | 筑波サーキット | JAF筑波スーパーFJ選手権 |
| 3 | 3 | 5/28 | 筑波サーキット | SCCN MAY RACE MEETING in TSUKUBA |
| 4 | 4 | 7/29-30 | 筑波サーキット | 筑波チャレンジクラブマンレース第3戦 |
| 5 | 5 | 9/17 | 筑波サーキット | SCCN MAY RACE MEETING in TSUKUBA |
| 6 | 6 | 10/7-8 | 富士スピードウェイ | 富士チャンピオンレースシリーズ第5戦 |
| 7 | 7 | 10/28-29 | 筑波サーキット | 筑波チャレンジクラブマンレース第4戦 |
鈴鹿・岡山S-FJ選手権
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 | 2/25-26 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレース第1戦 |
| 2 | 2 | 4/2 | 岡山国際サーキット | OKAYAMAチャレンジカップレース第2戦 |
| 3 | 3 | 5/13-14 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレース第2戦 |
| 4 | 4 | 7/15-16 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレース第3戦 |
| 5 | 5 6 | 8/18-20 | 岡山国際サーキット | OKAYAMAチャレンジカップレース第5戦 |
| 6 | 7 8 | 11/25-26 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレースFinal Round |
オートポリスS-FJ選手権
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 | 3/25-26 | オートポリス | ゴールドカップレース第1戦 |
| 2 | 2 | 4/29-30 | オートポリス | ゴールドカップレース第2戦 |
| 3 | 3 | 6/10-11 | オートポリス | ゴールドカップレース第3戦 |
| 4 | 4 | 9/16-17 | オートポリス | ゴールドカップレース第4戦 |
| 5 | 5 | 11/11-12 | オートポリス | ゴールドカップレース第5戦 |
Text: Yoshinori OHNISHI
日本自動車連盟(JAF)は12日、2023年の地方レース選手権カレンダーを公示した。フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ、来シーズンのスケジュールは以下の通りである。
開幕は4月1日の富士チャンピオンレースシリーズ。来シーズンもWECのサポートレースに組み込まれた。6大会、5サーキットの全16戦で、WEC以外は各サーキット地方選手権での開催となった。
フォーミュラリージョナル部門(FORMULA REGIONAL選手権)
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 2 3
| 4/1-2 | 富士スピードウェイ | 富士チャンピオンレースシリーズ第1戦 |
| 2 | 4 5
| 5/13-14 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレース第2戦 |
| 3 | 6 7 8 | 6/10-11 | 岡山国際サーキット | OKAYAMAチャレンジカップレース第3戦 |
| 4 | 9 10 11 | 7/22-23 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第3戦 |
| 5 | 12 13 | 9/9-10 | 富士スピードウェイ | 2023 FIA World Endurance Championship 6 Hour of FUJI |
| 6 | 14 15 16 | 10/14-15 | スポーツランドSUGO | SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第6戦 |
Text: Yoshinori OHNISHI
日本自動車連盟(JAF)は12日、2023年の地方レース選手権カレンダーを公示した。来シーズンF4地方選手権から名称変更を行うFormula Beat選手権のスケジュールは以下の通りである。
これによると、開幕は2月25日の鈴鹿。今シーズンはオートポリスでの開催も加わり、北海道から九州まで7サーキットで12戦が開催される。JAFの地方選手権の規定により選手権ポイントは80%(四捨五入)で10戦の有効ポイントだが、交通費も嵩みエントラントの負担は増えそうだ。
Formula Beat部門(F―Be選手権)
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1 | 2/25-26 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿クラブマンレース第1戦 |
| 2 | 2 | 4/1-2 | 富士スピードウェイ | 富士チャンピオンレースシリーズ第1戦 |
| 3 | 3 | 4/23 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第2戦 |
| 4 | 4 5 | 6/24-25 | 岡山国際サーキット | OKAYAMAチャレンジカップレース第4戦 |
| 5 | 6 | 7/29-30 | スポーツランドSUGO | SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第4戦 |
| 6 | 7 8 | 8/20-21 | 十勝スピードウェイ | 北海道クラブマンカップレース第3戦 |
| 7 | 9 10 | 9/16-17 | オートポリス | ゴールドカップレース第4戦 |
| 8 | 11 12 | 10/13-15 | スポーツランドSUGO | SUGOチャンピオンカップレースシリーズ第6戦 |
Text: Yoshinori OHNISHI

スーパーGT300クラスで活躍する高木真一が監督を務めるBionic Jack Racingは、今シーズンからフォーミュラリージョナルジャパニーズ選手権(FRJ)に参戦を開始した。チームは、FIA-F4選手権、ポルシェカレラカップジャパン(PCCJ)での参戦経験もあるが、小川颯太を擁して臨んだFRJでの初年度は手探りで始まったようだ。最終戦終了後に高木真一監督に話しを聞いた。
「小川選手は去年もスポットで出てたので、最初はその情報も得ながら始めました。サーキットによって走り方を変えたり、ぼくたちのクルマのセットアップの構成とかで何度かずれたこともありました。そのなかで中盤戦から、だんだんお互いがどういうクルマ作りがいいのか、小川選手の好みのセットアップも理解し、コミュニケーションがうまく取れるようになりました」
「前半はぼくたちも分からない部分が多かったので、迷惑かけたんですが、小川選手の速さを見いだせて、うまくセットアップできれば、こういうふうにいい結果が出るんだというのがよく分かりました」
「小川選手のいいところを出せばトップレベルで走れるということがわかったので、彼に助けられた部分もあるかなと思います。後半に向けて尻上がりに良くなりました。いいクルマさえ与えられれば、必ずトップで戻って来てくれる、そういうドライバーだと思います」
最終大会はトラブルに悩まされていたが、それでも小川は優勝と2位という結果をチームにもたらした。トラブルがなければ、余裕で勝てるパフォーマンスまでチームとともに成長したように見える。年間では小川もドライバーズ選手権で、チームタイトルでもともに2位でシリーズを終え、初年度としたは満足の行く結果となった。しかし来年については未定だという。
「来年も出たいですが、予算的なものとかあるので、いま来年もやりますという感じではないです。これからこのクラスもFIA-F4もそうですが、ストーブリーグがあり、少しづつ決まっていくんじゃないかと思います。このクルマがスカラシップになっているのでそれをどうしようか、いまから頭がいたいです」
来シーズンのBionic Jack Racingの動向に注目だ。
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI

昨年まで欧州で行われていた女性限定のフォーミュラシリーズ「Wシリーズ」に出場してた小山美姫は、今シーズンは帰国してフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ選手権(FRJ)に出場した。スーパーライセンスから参戦し、第2戦レース5で初優勝を飾るとここから5連勝。最終大会の第6戦を待たずにチャンピオンを決めシリーズを圧倒した。FIAを冠する選手権でも初の女性チャンピオンとなり、モータースポーツの歴史にその名を刻んだ。最終戦終了後に話しを聞いた。
「スーパーフォーミュラライツに出たかったんですが、こちらに出ることになりました。このチームに来て、いいエンジニアさん、いい監督さん、いいアドバーザーといろんな人に恵まれて、主にドライビングがすごく成長できました。それ以外の勝つために必要なことも教えてもらったので、すごく勉強になりました。自分が思ってたよりも成長の幅が大きかったです」
また、最終大会となった第6戦鈴鹿では、すでにチャンピオンも決まっていたので、課題をもって臨んだという。
「今回は、チャンピオンも決まったので守りというより、何か意味のあることをためそうという課題を持って臨みました。今後に向けて、いい勉強になったのかなと思います」
FRJというカテゴリーについては女性でもじゅうぶん戦えるという。
「FRJは、ステアリングも軽いですし、ダウンフォース量もそこまで多くないので、Gも少ないですし、このカテゴリーだったら女性でも大丈夫だと思います。男性と比べても問題はありません」
小山は、2023年トヨタTGRドライバー・チャレンジ・プログラム(TGR-DC)の支援を受けている。11月25日に発表されたトヨタの2023年モータースポーツ体制では、参戦カテゴリーは未定となっている。どういうカテゴリーで出場するにせよ、来シーズンの彼女の活躍と成長に期待したい。
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI
株式会社インタープロトモータースポーツは9日、競争女子選手権(KYOJO CUP)に来シーズン参戦を希望する女性ドライバーのオーディションを2023年1月23日に開催すると発表した。詳細は以下。
KYOJO CUP新規参戦ドライバー対象の合同オーディションを開催
新規参戦を検討するチーム対象説明会も同日実施
女性ドライバーのみのプロレースシリーズ「KYOJO CUP」は、2023シーズンに新規参戦を希望するドライバーとチームを繋げる合同オーディションを、2023年1月23日(月)に開催いたします。
「KYOJO CUP」は、女性ドライバーのみで争われるプロレースシリーズです。2017年にスタートし、2020年からはスポーツ庁の後援もいただき、シリーズチャンピオンには文部科学大臣賞が贈呈されます。
このたび、2023シーズンのKYOJO CUPに参戦を検討している新規選手を対象としたオーディションを開催いたします。合わせて、参戦を検討しているチームを対象とした説明会も実施し、チームとドライバーをつなぐ機会を設けます。
「KYOJO CUPに興味はあるけれど、まだマシン(VITA)に乗ったことがない」、「KYOJO CUPに参戦したいけれど、乗れるチームが見つからない」といった女性ドライバー、また「KYOJO CUPへの参戦を検討しているが、ドライバーが見つからない」というチームの方は、ぜひこの機会にオーディションにご参加ください。
【開催概要】
| 参加条件 | 四輪普通自動車運転免許証を所持し、JAF国内A級ライセンスを所持または取得予定の女性(年齢不問) |
| 一次審査 | 書類選考 |
| 応募締切 | 2023年1月8日(日) |
| 二次審査 | 富士スピードウェイ(P7)にて実技審査 |
| 二次審査実施日 | 2023年1月23日(月) |
| 応募方法 | オーディションに参加ご希望の選手は、下記エントリーフォームより応募してください。新規参戦検討チームは、メールにてお問い合わせください。 |
| エントリーフォーム | https://forms.gle/BGpNZft4JQVenLjb6 |
【お問い合わせ先】
株式会社インタープロトモータースポーツ・KYOJO CUP 事務局 内山
(uchiyama@kyojocup.jp)
株式会社インタープロトモータースポーツ
日本自動車連盟は11月30日、2023年度の全日本レース選手権カレンダーを公示した。スーパーフォーミュラ選手権に関してはすでに発表済だったが、今回、スーパーフォーミュラ・ライツ選手権の日程が明らかとなった。
これによると6大会18戦は変わらないが、第1大会の開幕が5月19日と大幅に遅くなり、最終大会は11月11日まで開催されることとなった。スーパーフォーミュラ選手権のサポートが3大会、レースオブアジアのサポートが1大会、単独開催が1大会、地方戦との併催が1大会となる。なお、日程は変更となる場合がある。
■2023年スーパーフォーミュラ・ライツ選手権カレンダー
| 大会 | Rd. | 日程 | サーキット | 大会名 |
| 1 | 1-3 | 5/19-21 | オートポリス | 全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦 |
| 2 | 4-5 | 6/16-18 | スポーツラントSUGO | 全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦 |
| 3 | 7-9 | 6/30-7/2 | 鈴鹿サーキット | 鈴鹿レースオブアジア2023 |
| 4 | 10-12 | 7/14-16 | 富士スピードウェイ | 全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦 |
| 5 | 13-15 | 9/8-10 | 岡山国際サーキット | 全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第13,14,15戦 |
| 6 | 16-18 | 11/11-12 | モビリティーリゾートもてぎ | もてぎチャンピオンカップレース第4戦 |
Text: Yoshinori OHNISHI
株式会社日本F4協会は21日、2023年度からの現行JAF-F4に代わって始まる「Formula Beat」のロゴか決定したことを発表した。
現行JAF-F4の名称変更は、8月9日付けの日本自動車連盟(JAF)による「2023年日本レース選手権の制定」により「Formula Beat」となることがすでに公示されていたが、新しいロゴマークについては商標登録の申請中としていた。今回手続きが完了し、発表となった。
同社は「1993年にFJJとしてスタートしたF4は、2023年に30周年の節目を迎えます。この記念すべき年を新名称の『Formula Beat』として新たに力強い一歩を踏み出します。 新名称『Formula Beat』には、これからも日本のモノづくりを大切に継承する思いを込め、“Beat”が意味する『鼓動』自由なモノづくりとレースに参戦するワクワク感や、ここから新たに『羽ばたく』ことへの願いを込めています。略称は“F-Be”とし、Formulaに続く言葉へ、 皆さんで自由に意義を見出し、価値を繋げていただきたいと考えました。 ステッカーは開幕戦で参加車両に貼付いただけるようお配りします。ぜひ皆さんに可愛がっていただき、親しめる名称に育てていただきたく、どうぞよろしくお願い致します」としている。
今シーズンのJAF-F4は、北は北海道の十勝スピードウェイから南は岡山県の岡山国際サーキットまで6サーキットで12戦が開催され、最終戦の鈴鹿サーキットでは20台もの参加を集めた。来シーズンの日程はこの後、JAFの地方選手権の公示により行われる。ますます盛り上がりつつある新生「Formula Beat」に期待したい。
Text: Yoshinori OHNISHI

スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)は11月6日、栃木県茂木町のモビリティリゾートもてぎで定例会見を行い、スーパーGTシリーズにおける環境対応ロードマップを発表した。
"SUPER GT Green Project 2030"と名付けられたこのロードマップは、2030年までにシリーズ全体でのCO2排出量を半減させることを目標に様々な取り組みをこなうというものだ。
これを実現するために参戦自動車メーカー、タイヤメーカー、エントラントと日本自動車連盟(JAF)、各レースのオーガナイザーが歩調を合わせてシリーズ全体のカーボンニュートラル化を推進する。ここでの排出量の算出と効果の測定にあたっては、JAFカーボンニュートラル分科会と連携し、モータースポーツ界におけるCO2排出量の算定方法を確立する。
そのため、来シーズンからはカーボンニュートラルフューエル(CNF)を導入し、持ち込みタイヤのセット数を段階的に削減、タイヤをはじめとする部品のロングライフ化やさらなる燃費向上技術の開発促進に取り組む。
また来場するモータースポーツファンの協力も仰ぎ、サーキット内のゴミ削減やプラスチックごみの再利用促進などを目指すほか、サーキットの周辺自治体との環境対応連携などを通じて地域社会と共生可能なモータースポーツイベントを実現する。
こうした取り組みの進捗と結果を広く社会に周知し、モータースポーツファンのみならず幅広い層の理解を得ることにより、可能な限り長期間にわたり内燃機関車両やハイブリッド車による「音があるレース」を世界各国で開催するための環境づくりを推進していく。
2023年からは化石燃料の不使用を目的とし、非食品バイオマス由来のCNFをハルターマン・カーレス・ジャパンから購入し、参加全チームに供給する。
このため7日には最終戦を終えたばかりのもてぎで公式テストを実施し、そこで各チームがこの燃料を使用して現行車両を走らせ、従来のハイオクガソリンとの比較を行った。
GTAは最終的にはこれを水素から製造するe-fuelに切り替えていく方針で、このe-fuelの国産化を早期に実現するため、各種技術協力に取り組んでいき、2027年からはこの国産e-fuelでレースを行っていくという。
タイヤの持ち込みセット数については2023年シーズンは300kmレースにおいてドライ5セット、ウェット6セットまでとする。これは従来よりも1セットずつ少ない本数だ。さらに2024年からはドライ4セット、ウェット5セットとする。これにより、タイヤの製造段階と輸送時に排出されるCO2を削減していく。
GT500車両についても、2024年から導入される新型車両において各種燃費向上技術の開発を促進するほか、2027年から導入される新型車両においてはHEVなどの電動化技術の採用を検討する。採用する場合、ハイブリッドシステムは各メーカーの開発領域とせず、IMSAやWECに導入されるLMDh車両のように共通部品として供給される予定だ。
これらの取り組みを通じ、スーパーGTは2030年中にシリーズ全体のCO2排出量の半減を目指していく。「音があるレース」をこれからも続けていくために。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI

国内レースシーンで今や欠かせない存在となっているB-Maxレーシングチーム(組田龍司総代表)が、活動の本拠地である綾瀬市と「綾瀬市の活性化に向けた連携協力に関する覚書」を締結した。
10月25日に綾瀬市役所で行われた締結式には、古塩政由・綾瀬市長、組田総代表をはじめ、本山哲チーム監督、松下信治選手、またスーパーフォーミュラ選手権を運営する日本レースプロモーション(JRP)の上野禎久・代表取締役社長も立会人として同席。古塩市長と組田代表による覚書への署名を見守った。

自治体とスポーツチームがタッグを組んで地域を盛り上げる試みは、Jリーグのホームタウン制度などではあるが、モータースポーツ界では極めて珍しい。
5月に鈴鹿での優勝報告で市長を表敬訪問したことをきっかけに、両者の話し合いが続けられ、松下選手の高校での講義、オープンファクトリー(工場見学)などを経て、今回の締結に至った。
サーキットにまで足を運びレースに魅了されつつある古塩市長は、「レースを観戦し、工場も見学させていただき、速く走るということだけでなく、カーボンニュートラルにも取り組まれていることなど、行政としても大変参考になりました。締結を機に綾瀬市に素晴らしいレーシングチームがあることを市民に伝え、地域の活性化に繋げていきたいと思います」とコメント。
組田代表も市長のコメントを受け、「非常に光栄で身の引き締まる思いです。ぜひチームの活動を多くの方に知っていただき、応援をお願いしたいと思います。チームが悲願の日本一を達成した際には、綾瀬市民の皆さまと喜びを分かち合いたいと思っています」とコメントし、最後に「希望として、ぜひレーシングカーによる公道でのパレードランを実現したいと思っています」と付け加えた。

同席した本山監督は「今回の締結により、多くの方に“綾瀬市のレーシングチーム”として認知していただければと思います。チームの成績が地域の活性化にも繋がるよう綾瀬市と協力していければと思います」、松下選手は「良い成績を上げることが自分のキャリアアップに繋がり、自動車メーカー、チーム、スポンサーなどの喜びになるということを考えてきました。そこに地域の方々の喜びが加わることによって、大きなモチベーションになると感じています」とコメント。
立会人として列席した上野JRP代表取締役社長は「スーパーフォーミュラ選手権は来年50周年を迎えますが、このタイミングで行政とチームの連携が行われることは大変喜ばしいことと思います。レースは産業との結びつきが非常に強いスポーツです。スーパーフォーミュラにおけるカーボンニュートラルの取り組みが、地域の産業にも良い影響を与えられるものと思っています」と自動車レースと地域産業は密接なつながりがあることをアピールした。
なお、今回の連携協力の締結に伴い、今週末に開催されるJAF鈴鹿グランプリには「AYASE PRIDE」のロゴをマシンに貼って走り、小塩市長が応援に駆けつけることも明らかにされた。

Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: B-Max Racing Team

スーパーFJもてぎ/SUGOシリーズと筑波/富士シリーズに参戦し、現在両シリーズのポイントリーダーである田上蒼竜選手が、母校である土浦市立大岩田小学校(校長:川村勝司)を訪問、生徒の前で講演を行った。
これは同校が行っている、職業観を段階的に身につける総合的な学習(キャリア教育)の一環で、土浦市では「未来プロジェクト」という名で、専門性のある職業につく社会人や、将来の夢に向かって頑張っている人を講師に招き、その職業への想いを語ってもらい、生徒自身の生き方やキャリア形成を考える機会を持とうという取組によるものだ。
田上蒼竜選手は2002年生まれ、今月に20歳になる。大岩田小学校から地元の中学、高校と進学し現在は大学に通いながらF1ドライバーを目標にレース活動を行っている。
モーターレーシングとの関わりは4歳でキッズカートに乗ったのが始まりで、5歳からキッズカートレースにデビュー。8歳からコマー60クラスという子供向けの上位クラスにステップアップすると優勝やシリーズチャンピオン争いに絡む速さを見せる。
さらに14歳でJAFジュニアカート選手権に参戦し1勝を挙げると、16歳で中国、フィリピンなどで開催される「Asia Karting Open Championship」に出場、開幕戦北京で優勝するなど活躍しシリーズ2位を獲得した。
その後18歳で現在所属するZAP SPEEDのオーディションに合格すると昨年の筑波シリーズ最終戦でスーパーFJレースに初出場し3位表彰台。今年は前述の通りふたつのシリーズに参戦し、ここまでもてぎ/SUGOシリーズは4戦して1勝と2位2回、筑波/富士シリーズは6戦して2勝と2位2回、3位1回と結果を出している。
9月9日の土浦は生憎雨が降ったり止んだりのコンデションだったが、朝には大岩田小学校の玄関前に田上選手がドライブする13号車(A'sカンパニー ZAP ED)が置かれ、登校する生徒はいきなり出現したフォーミュラマシンを興味深々で覗き込み。スタッフの案内でコックピットに座らせて貰う子もいた。
やがて始業時間となり、6年生の80人が「ふれあいルーム」と呼ばれる講義室に集合。まずは田上選手による「スポーツドライバーにたずさわる仕事について」という題で講話を受けた。ここでは田上選手がレースに興味を持ったきっかけや、前述のレースキャリア、レーシングドライバーを目指して、小学校~中学校~高校と進学しながらどんな活動をしてきたかについて、時には停滞したり挫折したり思い悩んだ時期もあったが、諦めずに現在に至り、今後さらに上位のカテゴリーを目指していくために今も努力を続けている事を話した。
その中で田上選手が生徒に説いたのは「途中つらいことがあったり壁にぶつかることもあったが、あきらめなったから今がある」こと、そんな自分にも後悔している事は多々あり、それは「やらなかった後悔」であるということ。そして「夢を目標にすることは苦しいこともあるが、それを実際に行っている時はとても楽しい」ので、なにか熱中できること、今は夢がなくてもそれを見つけたら、あきらめずに取り組んでほしい、その時一番応援してくれて、困った時に手を差し伸べてくれるのは親であることを忘れないでいてほしい、という内容だった。




その後は生徒から田上選手へ一問一答。(抜粋)
- Q:レースをしている時はどんな気持ちですか?
- A:相手に負けないように、ミスをしないようにと思っています。
- Q:レースをしている時に思っている人は誰ですか?
- A:レース前には親や応援して下さっている方々の事を思ったりするが、レース中は(集中しているので)何も思い出さないです(笑)
- Q:レースでケガしたことはありますか?
- A:自分はケガをしたことはないですが、たまに仲間の中には骨を折ったりした人がいます。
- Q:レース中は冷静でいられるのですか?
- A:自分の中で課題でもあるのですが、冷静でいられないことも結構あります。どうしても相手と闘っているときとか、お互いに冷静になれなくて当たっちゃったりすることもあります。
- Q:何歳までレースを続けたいですか?
- A:できるかぎりつづけたい、できるものなら一生続けていきたいです。
- Q:あこがれのレーサーはいますか?
- A:F1ドライバー、アイルトン・セナとかミハエル・シューマッハとか(ここで生徒から「知ってる!」との声)、でも一番好きなのはキミ・ライコネンという選手です。
- Q:F1ドライバーになるためにいつも心がけていることはありますか?
- A:一番今自分でやっていることは、F1は時速300キロとかで走って身体にもとても負担がかかるので、それに耐えられるようにトレーニングを積んでいます。体重もタイムに影響するので、食事にも気をつかっています。
- Q:レースでイライラした時の対処法を教えてください
- A:それは自分も知りたいです(笑)、レースの前とかは音楽聴いて気持ちをリセットとかします。
- Q:マシンが壊れたことはありますか?
- A:壊さないように気をつけてはいるんですが、何回か、大きく壊してしまったことがあります。相手が予想しなかった動きをして当たったりとかした時もあります。
ここで講演は終了、その後は玄関に置かれたスーパーFJ車両の前に移動して、田上選手によるマシンの解説が行われ、その後は希望する生徒がマシンに座った。コックピットの狭さや着座位置の低さ、フルハーネスのシートベルトなどに驚きつつ、貴重な体験に笑顔があふれた。さらには田上選手のサインを求める子も多数並び、即席のサイン会となった。
6年生の授業が終わった後も、他の学年の生徒が入れ替わりに立ち替わりに先生の引率でマシンの見学に現れ、夕方の下校時刻まで盛り上がりを見せた。
田上選手は今月18日の筑波サーキットでのスーパーFJレースに参戦予定。ランキング2位の選手の結果次第ではこの大会でシリーズチャンピオン確定の目がある。

Text & Photo: Junichi SEKINE
日本自動車連盟(JAF)は8日、2023年の国際格式レースのカレンダーについてモータースポーツ審議会の審議を経て、国際自動車連盟(FIA)に申請した内容を公示した。
国内で開催されるスーパーフォーミュラ選手権とスーパーGTは以下のとおりだが、今シーズンと日程はほとんど変わっていない。この後FIAで審査されるが、他カテゴリーとの調整もあり、正式に決定するのは年明けになりそうだ。
■SUPER FORMULA
| Round | Date | Circuit |
| 1 | 4/7~9 | 富士スピードウェイ |
| 2 | 4/21~23 | 鈴鹿サーキット |
| 3 | 5/19~21 | オートポリス |
| 4 | 6/16~18 | スポーツランドSUGO |
| 5 | 7/14~16 | 富士スピードウェイ |
| 6 | 8/18~20 | モビリティリゾートもてぎ |
| 7 | 10/27~29 | 鈴鹿サーキット |
■SUPER GT
| Round | Date | Circuit |
| 1 | 4/14~16 | 岡山国際サーキット |
| 2 | 5/2~4 | 富士スピードウェイ |
| 3 | 6/2~4 | 鈴鹿サーキット |
| 4 | 8/4~6 | 富士スピードウェイ |
| 5 | 8/25~27 | 鈴鹿サーキット |
| 6 | 9/8~10 | スポーツランドSUGO |
| 7 | 9/29~10/1 | オートポリス |
| 8 | 11/3~5 | モビリティリゾートもてぎ |
Text: Yoshinori OHNISHI

株式会社日本レースプロモーションは7日、新開発デジタルプラットフォーム「SFgo」サポーターの2次募集を開始すると発表した。
「SFgo」は走行中のマシンのテレメトリーデータがリアルタイムで表示可能なスマホアプリ。これまで抽選で選ばれた300名から開発サポーターとして意見を募っていたが、今回の2次募集では上限無しでの希望者全員が参加できる。
期間は第6戦富士大会から今年終了までで、費用は5,000円。Android10以上、iPhone14以上のスマホが対象となる。
以下、プレスリリース。
SUPER FORMULAの新デジタルプラットフォーム
『SFgo』開発サポーターの二次募集を開始!
全日本スーパーフォーミュラ選手権(以下SUPER FORMULA)を開催する株式会社日本レースプロモーション(以下JRP)は、『SUPER FORMULA NEXT 50〈ゴー〉(以下SF NEXT 50)』を通じ、カーボンニュートラル社会の実現とモータースポーツエンターテイメントの発展に向けた様々な取り組みを進めておりますが、2023年の正式ローンチに向けて現在開発を進めている新デジタルプラットフォーム『SFgo〈エスエフゴー〉』の開発サポーターの二次募集を開始いたしました。
『SFgo』は「デジタルの力でドライバーの魅力を余すことなく伝える」というコンセプトの下、レースの公式映像に加え、お気に入りのドライバーのライブオンボード映像や、車両のテレメトリーデータ(ギア/車速/エンジン回転数/スロットル/ブレーキ/ステアリング舵角/燃料使用量/オーバーテイクシステム残量および使用状態/タイヤ温度)をリアルタイムに見ながら観戦することができるアプリケーションです。
今後、ライブタイミングや無線音声、車両の位置情報等、レースを楽しむための様々な機能の追加を検討しており、将来的には応援しているチームやドライバー、そしてファン同士の交流が図れるファンコミュニティの機能も備えた、今までにないスポーツエンターテインメントのデジタルプラットフォームを目指してまいります。

4月の開発スタートにあたり、300名の「開発サポーター」の募集を行ったところ、約600名の方から応募をいただきましたが、当選した方々には、これまでRd.4オートポリス大会まで、開発中のアプリケーションを通じてレースを楽しんでいただくと同時に、通信や操作性等に関する不具合の事象を報告いただいたり、今後のサービスに対してアンケートで様々なアイデアをいただいたりするなど、多くのご協力をいただいております。
そのようなサポートを通じて、アプリケーションの改修や機能追加を随時行っておりますが、前回残念ながら落選となってしまったファンの方々を中心に、更に多くの方のご意見をいただきながら、2023年の正式ローンチに向けてより良いサービスを構築すべく、この度開発サポーターの二次募集を実施することといたしました。
JRPといたしましては、一人でも多くのモータースポーツファンの方と共に、成功も失敗も一緒に経験して、未来のモータースポーツをつくる仲間を募集してまいりたいと考えておりますので、以下の応募要項をご参照の上、奮ってご参加いただきますよう、よろしくお願い申しあげます。
「SFgo開発サポーター」募集要項
| 対象 | 日本国内在住で、SF NEXT50 プロジェクトの主旨にご賛同いただける方 将来のモータースポーツの発展に向けて建設的なご意見をいただける方 |
| 人数 | 上限なし |
| 募集期間 | 2022 年6 月7 日(火)~6 月27 日(月) |
| 使用可能時期 | 7月中旬(Rd.6富士スピードウェイ大会前から使用可能) ※応募いただいた方に別途ご連絡いたします |
| 参加費 | 5,000 円(税込) ※2022 年12 月末までサービス利用可能です (23年1月以降については別途ご案内) |
| 必須機器 | 通信環境にあるiOS14以上搭載のiPhone またはAndroid OS10以上のAndroidスマートフォン |
| 応募用WEBページ | http://superformula.net/sf2/headline/39372 |
■注意事項
- 特典のイベントは開催を保証するものではありません。
- 『SFgo』は開発中のため、随時予告なく、機能が追加/削除されることがあります。
- 技術的にハードルの高いチャレンジです。例えば映像が映らないなど、不具合が起こり得ます。
- サーキットの環境やサーキットの観客数により通信環境に影響を受けることが予想されます。
- 通信費用はご自身での負担となります。
- 決済はクレジットカードに限ります(デビットカード決済はご利用いただけません)
- 2022 年シーズンを通しての開発であることをご理解いただき、SFgo 開発メンバーと共に前向きに乗り越えてくれる仲間を募集します。
Japan Race Promotion
スーパーGTシリーズを運営するGTアソシエイション(GTA)は3月5日、各大会のレース距離が決定したことを発表した。
それによると今シーズンは開幕戦岡山(4月17日決勝)を始め5大会はは通常通り300kmレースとなるが、第2戦富士(5月4日決勝)、第4戦富士(8月7日決勝)、そして第5戦鈴鹿(8月28日決勝)の3大会が450kmレースで開催されることになった。
レース距離の延長は昨年行われたGTAの定例会見でも坂東正明代表が言及しており、それが実際に導入されることになったわけだが、5月と8月の富士は従来も500km、800kmでの開催実績があり、8月の鈴鹿はかつて鈴鹿1000kmとして開催されてきた。それが今回450kmというレースフォーマットに統一された格好だ。
2022シーズンのスケジュールとレースフォーマットは下記の通り。
第1戦岡山国際サーキット 4月16-17日 300km
第2戦富士スピードウェイ 5月3-4日 450km
第3戦鈴鹿サーキット 5月27-28日 300km
第4戦富士スピードウェイ 8月6-7日 450km
第5戦鈴鹿サーキット 8月27-28日 450km
第6戦スポーツランドSUGO 9月7-18日 300km
第7戦オートポリス 10月1-2日 300km
第8戦モビリティリゾートもてぎ 11月5-6日 300km
Text:Kazuhisa SUEHIRO
全日本スーパーフォーミュラ選手権を開催するニホンレースプロモーション(JRP)は3月5日、三重県の鈴鹿サーキットにて会見を開き、2022年を通じたフォーミュラカーの開発計画と、そこで使用される2台のテストカーを発表した。
今回の開発のポイントは①カーボンニュートラルの実現に向けた「素材」「タイヤ」「燃料」の実験、②ドライバーの力が最大限引き出せるエアロダイナミクスの改善、③エンターテインメントの魅力向上につながる車両開発の三つをテーマとして掲げている。
素材については、現在多くの部分で使用されている炭素繊維(カーボンファイバー)を、麻などの天然素材を活用したバイオコンポジット材に置き換えていく。会場には実際にバイオコンポジット材によって製造されたエンジンカバーが展示されていた。これらの使用により、同等の剛性と重量を確保しながらCO2を75%削減しうるという。今回素材開発を担当するBcomp社はスイスに拠点を置くベンチャー企業で、彼らの技術はマクラーレンF1チームのレーシングシートにも採用されている。スーパーフォーミュラでは今後段階的に使用範囲を拡大していく。
2023年以降のレーシングタイヤについては、引き続き横浜ゴムとのパートナーシップを継続していくことを2月17日に発表済みだが、この分野においても籾殻やアブラヤシなどの天然由来の配合材やリサイクル素材、再生可能原料を活用したレーシングタイヤの開発を共に進めていく。
また燃料はホンダ、トヨタの両自動車メーカーと綿密に連携し、「e-fuel」や「バイオfuel」といった複数のカーボンニュートラル燃料をテストし、今後の導入に向けて実験を重ねていく。同様にカーボンニュートラル燃料の導入に向けて準備を進めているGTアソシエイション(GTA)とも連絡を密に取り合っているという。
こうした環境への取り組みと併せて、スーパーフォーミュラが世界最高峰のドライバーズレースであるために、ドライバーの魅力を最大限引き出せるクルマ作りを進めていく。具体的にはエアロダイナミクスを見直すことで前車からの影響をより少なくし、オーバーテイクの可能性を増やしていくことで、バトルのしやすいクルマ、ファンが応援したくなるクルマ作りを目指す。そのために、SF19を供給しているダラーラと連携して、ボディワークやアンダーパネルの形状に手を入れていくとのことだ。
エンターテインメントの面では、1月31日に発表したデジタルプラットフォーム「SFgo」の導入に向け、車両側でも様々なテストを実施していく。「SFgo」はレースのオンボード映像や車両データ、無線音声などのあらゆる情報をオープンにし、ファンに新たな視聴環境を提供することを目指している。こうした情報を参戦する21台から収集し、すべてのサーキットで支障なくリアルタイム発信していくため、公募した300名の開発サポーターの声を反映しながら開発を進めていくという。
こうした様々な項目の開発を、今回発表した2台のテストカーを用いて、年間7回のスーパーフォーミュラ各大会の前後で実施していく。このテストでは、石浦宏明と塚越広大の二人がテストドライバーとして年間を通じて参加していくことも明らかになった。
第1回のテストは4月6-7日の両日、シリーズ第1-2戦が行われる富士スピードウェイで実施される。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum

株式会社日本レースプロモーション(JRP)と横浜ゴム株式会社は17日、来年2023年以降のスーパーフォーミュラ(SF)へのタイヤ供給について発表した。
横浜ゴムは2016年から日本国内のトップフォーミュラであるSFへのタイヤ供給に復帰。今年で7シーズン目を迎える。今回、さらに23年以降の供給継続を発表した。
また今シーズンからJRPが推し進める「SUPER FORMULA NEXT50」プロジェクトに呼応し、持続可能なモータースポーツ業界づくりに向けて、横浜ゴムがこれまで培ってきたノウハウを活かし、⾃然由来の配合剤や再利⽤サスティナブル素材を活⽤したレーシングタイヤの開発を共に進めることも併せて表明した。
今後、どのような素材、スペックのSF用レーシングタイヤが供給されるのか、JRPと横浜ゴムの挑戦に期待したい。
Text: Yoshinori OHNISHI
Image: The Yokohama Rubber Co., Ltd.
昨年チーム結成2年目にして、スーパーFJ茂木・菅生シリーズのチャンピオンドライバーを輩出した、里見乃亜代表率いるRiNoA Racing project「群馬トヨペットTeamRiNoA」が今シーズンの参戦体制を発表した。
同チームはカート出身の内田涼風(うちだすずかぜ)選手を起用し今年もスーパーFJ茂木・菅生シリーズに参戦、そして12月には富士スピードウェイで開催される「スーパーFJ日本一決定戦」出場も予定する。
昨年はシリーズ6戦中5戦に参戦して全てポールポジションを獲得、4勝と2位一回とほぼシリーズを制圧した感があり、ルーキーを起用しての戦いに注目が集まる。
以下、チームリリース。

RiNoA Racing project『群馬トヨペットTeamRiNoA』は2022年シーズンは昨年と同じくS-FJ茂木・菅生シリーズと日本一決定戦に出場致します。
昨シーズンは出場レース全戦ポールポジションの快挙を達成。そして5戦中4勝の強さでチーム発足2年の最短でシリーズチャンピオンを獲得する事が出来ました。
2022年度も新たにレーシングカートからのステップアップドライバーであるルーキーの内田涼風を起用し連続チャンピオン目指します。
本年度も皆様のご支援・ご声援宜しくお願い致します。
- ドライバー 内田 涼風
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今シーズンRiNoA Racing Project から茂木菅生シリーズに参戦します。まだまだ開幕までに課題が山積みですが1つずつクリアしていき、1シーズンを勝ち抜くつもりで走ります。応援よろしくお願いします!
- チーム監督 里見 乃亜
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2022年シーズンは昨年からの練習生でもあるドライバーを今シーズンの正ドライバーに昇格しての参戦となります。昨年のチャンピオンチームとしてより一層気を引き締めて連続チャンピオン目指して努めて参ります。2022年も応援宜しくお願い致します。
| 参戦クラス | Super FJ |
| エントラント名 | RiNoA Racing project |
| チーム代表 | 里見 乃亜 |
| 車両名称群馬トヨペット | Team RiNoA |
| カーナンバー | 81 |
| 車両メンテナンス | NRS |
| 使用オイル | Moty’s |
| ドライバー | 内田 涼風 |
| メインスポンサー | 群馬トヨペット株式会社 |
RiNoA Racing project

スーパーGT300クラスに参戦をしているアルナージュレーシングが11日、今シーズン2022年の参戦体制を発表した。
加納政樹は今シーズンも参戦を継続、チームを離れた柳田真孝に代わり昨年ムータレーシングインギングでエボーラMCをドライブした阪口良平が加入した。また、第3ドライバーには2020年に在籍していた山下亮生が復帰した。
また昨年までのマシンMercedes AMG GT3は、R'Qsモータースポーツが使用することになったため、マシンもMC86に変更して参戦する。
- 車両 MC 86
- チーム名:Arnage Racing(アルナージュレーシング)
- タイヤ:YOKOHAMA TYRE
- メインスポンサー:ハウスコンサルタント フィールド・セリオス
- ドライバー:加納政樹 阪口良平 山下亮生
- 監督:松浦佑亮
- エンジニア:松山靖
Arnage Racing
全日本スーパーフォーミュラ選手権は6日、ホンダレーシングサンクスデー2021-2022にて、ショーランを行った。
今シーズン同シリーズに参戦する各チームより、ドコモチームダンディライアンレーシングからは牧野任祐が、スリーボンドドラゴコルセからは福住仁嶺が、B-MAXレーシングチームからは松下信治が、TCSナカジマレーシングからは山本尚貴の4台が走行した。
走行後には、同シリーズに出走する全選手がスタンド前に並び、今シーズンの活躍を観客に約束した。
今シーズンは富士スピードウェイで開幕。4月9日に第1戦が、10日に第2戦が行われる。



Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Motorsports Forum