9月4日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第4戦の予選が栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、大草りき(PONOS Racing)がウェットコンディションのなか、最後のアタックで古谷悠河(TOM'S YOUTH)を逆転。ポールポジションを決めた。マスタークラスは、#11植田正幸(Rn-sports)がクラスポールを獲得した。
この週末は雨に祟られ、水、木、金曜の専有走行から降り続いた雨は予選になっても止むことはなく、15分間の予選では早々にウェット宣言が出された。
ただ、それだけに各チームはウェットセッティングを煮詰めることができ、心の準備ができていたドライバーもスムーズにコースイン。ウォータースクリーンを跳ね上げでアタックに入る。
先制パンチを繰り出したのは参戦2年目となる#28古谷。2分03秒804、02秒511と10分経過時には追いすがる#8三浦愛(Super License)、#45大草を1秒以上突き放すタイムを叩き出し、経験の差を見せつける。
しかし、周回を重ねるに従ってコンディションは少しずつ回復し、終了間際に#45大草がタイムアップ。ラスト前のラップで02秒848をマークすると最後のチェッカーを受ける周では「狙っていました」と02秒238をマークし、ついに#28古谷を逆転。見事ポールポジションを獲得した。
#8三浦は、#45大草とともに毎周着実にタイムアップしていたものの、最後のアタックが実らず3位にとどまった。
マスタークラスは、序盤は#7畑亨志(Super License)が確実にタイムを詰めてクラストップを守っていたが、「内圧を上げて臨んだ」という#11植田が徐々に差を詰め100分の5秒という僅差で逆転。クラスポールを獲得した。
決勝は、本日午後3時15分から17周で行われる。
Text:Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第9戦の決勝が29日、栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、ポールポジションスタートの佐藤蓮(TODA FIGHTEX)が完璧なレース運びでこの週末3連勝、通算4勝目を飾った。
悪天候で延期となった5月の第9戦オートポリス戦の代替レースとして組まれた今回のレース。この週末、見違える速さを見せているポールシッター#2佐藤が勝ち星を重ねるのか、また予選2位の#50名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)が勝ってチャンピオンを決めるのか、両者の対決に注目が集まった。
好スタートを見せた#2佐藤に対し、2番グリッドの#50名取はスタートで#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)に並ばれ2コーナーまで並走すると、3コーナーでインを刺され3位に後退してしまう。
チャンピオン決定がかかったレースで#50名取の思い描いていたシナリオが崩れてしまったことで、やや焦りが出たのか、順位を挽回しようとした90度コーナーであろうことかコースアウト。#50名取はオープニングラップで最後尾まで順位を落としてしまった。
これで#50名取のチャンピオン決定は最終大会に持ち越し。#50名取にとっては悔いの残るレースとなってしまった。
#50名取の脱落で楽になったトップ#2佐藤だが、2位#36アレジもダブルエントリーのスーパーフォーミュラを走ったばかりとは思えぬエネルギッシュな走りで食らいつき、そう簡単には逃してくれない。
2、3周目に#2佐藤がファステストラップを連発すると、#36アレジもお返しとばかりに4周目にファステストを更新して食い下がる。その後も6、7周目は#2佐藤、9周目は#36アレジ、10周目は#2佐藤と、お互いにファステストを更新して2秒差を保ったままレース終盤へ突入。
必死に追い上げる#36アレジだったが、レース折返しを過ぎた11周目に#2佐藤がファステストラップ争いにとどめを刺す1分45秒608を叩き出したあたりから、両者の差が2.4秒、3.0秒と開き出す。
残る周回も#36アレジは諦めずに追ったが、トップ#2佐藤に死角は見つからず、#2佐藤はこの週末を、3レースすべてでポール・トゥ・フィニッシュ、ファステストラップも記録するという完全勝利で締めくくった。
3位は、#50名取が脱落後3位をキープし続けて終盤はトップ2車に劣らない速さを見せた#1野中誠太(TOM'S)、4位は#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)を抑えきった#35河野駿佑(RS FINE)が入った。
マスタークラスはすでにこの週末にチャンピオンを決めた#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)が総合9位でクラス10勝目。こちらもこの週末3連勝。
最終大会となる第15~17戦は10月16~17日、今回と同じツインリンクもてぎで行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第13戦の決勝が28日、栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、佐藤蓮(TODA FIGHTEX)がポール・トゥ・フィニッシュで今季2勝目を飾った。
今シーズン、スタートミスが多く、特に雨のレースでは後方に沈んでしまい期待どおりの結果を残せていない#2佐藤だが、この週末は不安定さが消え、シーズン当初の速さを取り戻している。
午前中に行われた予選でも常に先行し、第13、14戦のダブルポールを決めたが、勢いそのままに、決勝でも鬼門のスタートを無難にクリア。好スタートで2位に上がったポイントリーダー#50名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)を従え1コーナーに飛び込む。
3周目からは#2佐藤と#50名取のトップ2台が3位#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)以下を引き離しながら一騎討ちの展開になる。
両者の差は6周終了までは0.7秒を保ち#50名取が後方からチャンスを窺っているように見えたが、レース中盤を過ぎたあたりから#50名取はリアタイヤがきつくなったのか、最終ビクトリーコーナーでリアをスライドさせる場面が見られるようになってくる。
それをミラーで確認したトップ#2佐藤は一気に引き離しにかかり、9周目1分46秒115、10周目1分46秒090と立て続けにファステストラップを更新して差を開く。
これで勝負は決し、残り4周を安定したペースで走りきった#2佐藤が、第2戦富士大会以来となる2勝目のチェッカーを受けた。同時に#2佐藤はこの優勝で明日午後に行われる第9戦(オートポリス戦の延期レース)のポールポジションも決めた。
4位は単独走行となった#35河野駿佑(RS FINE)、5位には3台による争いを制した#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)が入った。
エンントリーが2台となったマスターズクラスは#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)が総合9位でフィニッシュ。クラス8勝目を飾った。
明日は午前10時15分から第14戦決勝(14周)が、午後4時15分から第9戦決勝(20周)が行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)
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「スタートは良かったのですが、タイヤがなかなか温まりませんでした。名取選手のペースが良かったのでミスをしないように気を付けました。途中まではきつかったのですが、段々楽になりました。でも簡単なレースではありませんでした」
「SFとのダブルエントリーは少し頭は疲れますが、体力的には大丈夫です。次のもてぎはまた初めてのサーキットですが、シュミレーターで経験を積んで集中して臨みます。温泉やサウナで湿気のある日本の夏に慣れたいと思います(笑)」
- 2位 名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)
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「スタートが決まったと思ったらイン側はダスティで平良選手に前に出られてしまいました。ペースは良かったのですが、序盤攻めすぎてフロントタイヤがオーバーヒートしてしまい、アレジ選手を抜くまでには至りませんでした。SFレースの後でマシンフィーリングがかなり変わっていたり、ペダルに貼っていた粘着テープが剥がれてシューズの裏にくっついたりというアクシデントもありました」
「早くチャンピオンを決めてSFに出たいとという気持ちが強いです。実は今回も出場する話があったのですが流れてしまいました。とにかく早くステップアップしたいと思っています」
- 3位 平良響(TOM'S)
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「3戦連続表彰台はこれまでのベストの成績ですが、まだトップには全然ついていけないので、まだやることが多いと感じています。スタートで名取選手を抜くことができましたが、1、2周目にペースを上げることができずにすぐに抜かれ、そのあと付いていけませんでした。逆に河野選手、三宅選手に追いつかれてしましました」
「今回の悔しさを次のもてぎに繋げたいと思います。表彰台は経験したので、ぜひ優勝がほしいです。もてぎは2大会あるので、どちらかでは優勝したいと思います」
まとめ: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第12戦の決勝が、6月20日、宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションスタートのジュリアーノ・アレジ(TOM'S)が好スタートから逃げ切って今季2勝目。ドライコンディションでも勝てることを証明した。2位には終始アレジを追った名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)が入った。
#36アレジの好スタートで幕を開けたレースは、レインとドライというコンディションの違いこそあれ、昨日の第10戦と同じような展開となった。
#36アレジに対し「コースイン側がややダスティだった」と出遅れてしまった#50名取は、2列目の#37平良響(TOM'S)に先行を許してしまった。しかしペースの勝る#50名取は2周目の1コーナーでアウト側から#37名取をパス。すぐさまトップを追う態勢に入る。
1分15秒前半のラップタイムで逃げる#36アレジに対し、#50名取は14秒台後半と明らかにペースが速く、#50名取がトップに立つのは時間の問題かと思われた。しかし「序盤のハイペースでフロントタイヤを痛めてしまった」と周回を重ねるたびにペースダウン。
5周目に0.3秒にまで迫っていた両者の差は、10周目0.7秒、15周目1.7秒と開いていき、最後は#36アレジが余裕を持って2勝目のチェッカーを受け、ドライコンディションでも速さを身に付けたことを証明した。
2人の後方では#37平良と#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)による3位争い、#35河野駿佑(RS FINE)と#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)による5位争いが繰り広げられたが、最後まで順位が入れ替わることなくフィニッシュを迎えた。#37平良はこの週末3度目の3位表彰台。
マスターズクラスは10周目に#11植田正幸(ルーニースポーツ)を抜いた#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)が午前中の第11戦に続き優勝。クラス7勝目を飾った。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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「今シーズンは初戦から調子は良かったのですが不運が続いていました。まぁそれも自分のせいかと思って、旅行に出掛けたりリフレッシュをして今回のレースに臨みました。予選はあまり良くありませんでしたが、今日は運が全部自分に向いていたように思います。応援してくれた方々、チームに対する感謝の気持ちでいっぱいです」
「阪口選手とのバトルは、阪口選手がリアを滑らせて少し当たりましたが、上手く前に出られました。関口選手がピットインしたときはクリーンエアを取り込んでプッシュできましたし、すべてが上手く噛み合ったという感じです。レース中は特に大湯選手とのギャップ、ラップタイムを気にしていました。トップに立ってから長かったのでトラブルが出ないことを祈っていました」
「ここまで流れが悪く、有効ポイントを考えたらもう落とせない状況で臨みましたが、次戦のもてぎでも結果を出してチャンピオンを目指したいと思います」
- 2位 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
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「福住選手はここまで長かったですが、今日は僕のペースを見てレース運びをしていたようで改めて上手いなと感じました。僕は前を追うというより、関口選手を抑えるのに必死でした。(20周目に)関口選手を捕らえたのはあのタイミングしかなかったと思っていきました。本当は(関口選手の)アウトラップで抜きたかったのですがそれはできませんでした」
「今回のSUGOは理由はありませんが、イケルという自信があったのですが、雨でうまくいきませんでした。でも、Q3まで進めて2位をもぎ取ることができましたので嬉しいです」
- 3位 関口雄飛(TEAM IMPUL)
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「レース序盤、タイヤが冷えているときはイケると思っていたのですが、温まってからが良くありませんでした。ピットで逆転され、大湯選手にも抜かれてしましましたが、大湯選手に抜かれたときは正直油断をしていました。あれは自分のミスです」
「朝のウォームアップでマシンを改善し、ドライのレースでもイケるところまで仕上がっていたと思います。一番速いマシンだったかと言われると分かりませんが、少なくとも前に出れば抑えられるクルマには仕上げたという自信はありました」
まとめ: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の決勝が、6月20日、宮城県・スポーツランドSUGOで行われた。好天の下行われたレースは、5番グリッドスタートの福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が念願の初優勝を飾った。2位は大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位はポールスタートの#19関口雄飛(TEAM IMPUL)が入った。
予選日と打って変わって天候に恵まれた決勝日。上空にやや厚い雲は浮かんでいるもののレース終了まで降雨の心配はなさそうだ。気温は高くなりつつあるが湿度は低く風が心地良い。
午前中に行われたフリー走行では全車のラップタイムが1秒以内と実力は拮抗している。些細なミスが命取りとなるだけに、グリッドで準備をするドライバー、そしてチームスタッフは緊張の面持ちだ。
午後1時30分、1周のフォーメイションラップからスタートが切られた。
好ダッシュを見せたのはポールスタートの#19関口。#39阪口晴南(INGING MOTORSPORT)と#5福住を従えて1コーナーに飛び込む。対照的に出遅れてしまったのが2番グリッドの#6牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。
1周目を終えた順位は、#19関口、#39阪口、#5福住、そして7番グリッドからジャンプアップした#64大湯、#6牧野と続く。
2周目、#5福住が1コーナーアウト側から#39阪口に仕掛け一気に前に出る。この攻防は福住自身もレース後にポイントだったと振り返った。イン側の#39阪口はリアをややスライドさせて両者は接触してしまい、これで若干バランスが狂ったのか、ペースの上がらない#39阪口は6位まで順位を落としてしまう。
トップ#19関口は快調なペースで飛ばすが#5福住も必死に食らいつき、両者の差は一旦は2.5秒まで開くものの10周を過ぎると1秒まで縮まり、その後は付かず離れずの状態が続く。
規定の10周目を過ぎたところで、最初にタイヤ交換を行ったのは3位を走っていた#64大湯。やや交換に手間取ったもののコースに復帰しフレッシュタイヤでプッシュし続ける。同じ周に9位#51松下信治(B-MAX RACING TEAM)も上位進出を狙って作業を行う。
レースが縦に長い展開となり、コース上での順位変動は難しいと思われた17周目、トップ#19関口がピットイン。これを見た#5福住は前の空いた状態で最大限プッシュし、次の周にピットに滑り込んだ。これが今回のレースのハイライトだった。好判断で作業を終えコースに戻った#5福住は#19関口の前に出ることに成功。ここで実質のトップに躍り出た。
上位陣とは逆の作戦をとったのがポイントリーダーの#16野尻智紀(MUGEN)。10番手スタートの#16野尻はトップを上回るペースで追い上げ6位までポジションアップすると、その後もハイペースで走行を続け、他車が次々とピットに入るのを尻目に、終盤までピットインを引っ張り続けた。
この結果、#16野尻は28周目に暫定のトップに立つと、実質トップ#5福住との差を22秒まで広げる。驚異的だったのはタイヤ交換をした#5福住のラップタイムより、スタートからタイヤを換えていない#16野尻のペースの方が若干速かったことだ。
この神がかり的な走りに#16野尻に優勝のチャンスがあるのではないかと思わせたが、コース改修によりピットロードの延長されたコースで22秒のマージンでは到底足りるはずもなく、41周目に#16野尻がピットインからコース復帰した場所は、#5福住、#64大湯、#19関口、#51松下、#6牧野に次ぐ6位のポジションだった。
この時点で2位に6秒のマージンを築いていた#5福住だが、トップ快走中にタイヤバーストで優勝を逃した鈴鹿の悪夢が頭をよぎったチームは「無理せずにクルージングで行け」との指示を出し、同じ不安を抱えていた福住自身も若干ペースを落として慎重な走りを心がけた。
そして、残る10周を走りきった#5福住に歓喜のときが訪れる。念願だった初優勝のチェッカーを受けると、感謝をするようにチームスタッフのいるピットウォール側にマシンを寄せ、コックピットで何度も何度もガッツポーズを繰り返した。
終盤、観客を沸かせたのは最後にピットインした#16野尻。先行する#6牧野を最後まで攻め続け、馬の背コーナーで2回、1コーナーで1回は横に並びかけるまで迫った。#6牧野も意地で抑え込み、結局順位は変わらなかったが、最後まで観客を沸かせ、魅せるレースをした#16野尻は今回のもう一人の主役だった。
次戦は少し間を置いて8月末、舞台は真夏のツインリンクもてぎだ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第11戦の決勝が、6月20日、宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションスタートの名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)が完璧なレース運びで今シーズン6勝目を飾った。2位は#2佐藤蓮(TODA RACING)、3位には昨日に続き#37平良響(TOM'S)が入った。
勝負のポイントであるスタートは、#50名取、#2佐藤が好スタートを決めたのに対し3番グリッドの#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)はやや出遅れる。イン側の#37平良を抑えようとマシンを寄せるが#37平良のダッシュが良く先行を許してしまう。
上位4台が1コーナーから2コーナーへ向かおうとしたとき、その後方で並走していた3台のうち、イン側の#1野中誠太(TOM'S)とセンターの#35河野駿佑(RS FINE)が接触。タイヤに乗り上げる形となった#35河野は横転。1回転して正常な姿勢で着地したが、足回りにダメージを負いリタイア。#1野中も同様にマシンにダメージがありその場でリタイアとなった。
(※#1野中には危険なドライブ行為があったとしてペナルティが課された)
並走した3台のなかで一番アウト側にいた#3ルッカ・アレン(ALBIREX RACING TEAM)は難を逃れてレースを続ける。
このアクシデントで即座にセーフティカー(SC)が導入され、以降5周が終了するまでは車両回収のためSCランが続いた。
SCラン解除後の再スタートでは、トップ#50名取がウェービングをして後方を牽制しながら最終コーナーを立ち上がり、#2佐藤を従えて1コーナーに飛び込む。
ここからトップを快走する#50名取は、周回を重ねるたびに#2佐藤との差を少しずつ開いていき、その差は12周終了時で1.5秒。しかし、13週目に#2佐藤がミスを犯したのかその差が一気に3秒に開くと、#50名取はストレートでバックミラーを見て#2佐藤との間隔を測りながらレースを進める作戦に切り替える。
トップ2台には離されてしまったが、#37平良、#36アレジ、そして再スタート後すぐに#3アレンを抜いた#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)による3位争いは白熱。9周目からそれぞれ1秒以内の差で隊列を組んで周回する。
ドライコンディションでポールからスタートを決めれば、今の#50名取を脅かすライバルはいない。残り周回も#2佐藤と3秒差を保ちながら、今シーズン6勝目のチェッカーを受けた。速さが結果に繋がっていない2位#2佐藤は第5戦鈴鹿以来の表彰台を射止めた。
3位争いは終盤#36アレジが#37平良に迫る場面はあったが、やはりSUGOのコースで前車を抜くのは容易ではなく、結局順位変動はないままフィニッシュを迎えた。
マスターズクラスは総合7位の#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)がクラスウィン。6勝目を飾り、こちらもドライコンディションでは敵なしといった感じだ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
決勝日のスポーツランドSUGOは好天とは言い難いが天候は曇り。午後からは晴れの予報が出ている。決勝はドライコンディションのレースが観られそうだ。
午前9時から行われた30分間のフリー走行では、各チームは決勝を想定したドライセッティングとマシンチェックを行う。昨年秋に行われた決勝レースのファステストラップが1分06秒350(ニック・キャシディ)。このあたりが目安になるだろう。
路面はやや濡れた部分はあるものの走行に支障はない。全車ドライタイヤでコースイン。
10分経過。順位は、#1山本1分08秒367-#51松下08秒801-#5福住09秒598-#12塚越09秒670-#15大津10秒468-#6牧野11秒390と上位はすべてホンダエンジン搭載車が占めた。
20分経過。順位は、#1山本1分07秒142-#38坪井07秒152-#3山下07秒238-#5福住07秒367-#16野尻07秒451-#39阪口07秒594-#64大湯07秒778-#6牧野07秒867-#36アレジ07秒867-#37宮田07秒913と10番手までが07秒台に揃った。1位から10位までの差は0.771秒という混戦だ。
残り4分から決勝セッティングでの最後のアタックが始まり、#20高星07秒093、#64大湯06秒749が次々にトップタイムを更新。
走行終了。#64大湯(06秒749)、#20高星に、決勝で逆襲を狙うベテラン2人、#1山本-#16野尻が続く結果となったが、何とトップから最下位19位の#14大嶋までのタイム差は0.992秒と全車のタイムが1秒以内に収まるという超接近状態となった。
こうなると、やはり抜きにくいSUGOのコースではグリッドとスタートが重要になってくる。これに使用時間が200秒に拡大されたオーバーテイクシステムがどう影響してくるのかが気になるところだ。
改めて決勝の見所を整理すると、ポールスタートの#19関口と包囲網を敷く若手#6牧野、#39阪口、#37宮田らの戦い。速さはあるが予選のミスで下位に沈んだ#51松下、#38坪井、そしてポイントリーダー#16野尻、チャンピオンナンバーを背負う#1山本の戦いぶりなどだろう。
決勝は午後1時30分スタート。53周で争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)
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「良いスタートが切れ、その後は後方とのギャップをマネージメントして走りました。セーフティカーの前に雨量が多くなってそれがちょっと怖かったり、解除後は名取選手のペースが良かったりしましたが、僕にとってもトムスにとっても良かったと思います。僕はルーキーイヤーですので、常に勉強は欠かせませんが、この良いリズムを続けていければと思います」
「SUGOのコースはエスケープゾーンが殆どないのでミスをしないように少し余裕を持って走ることを心がけました。でも楽しいコースです。明日のポイントはスタートです。このコースはオーバーテイクがあまりできませんから、とにかくスタートが大切です」
- 2位 名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)
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「予選はフィーリングが良くてポールポジションを狙っていましたが、赤旗の出るタイミングが悪くて2番手になってしまいました。決勝はアレジ選手の方がペースが良くて、濡れた路面でオーバーテイクのチャンスはありませんでした。ヨコハマのレインタイヤはライフが短いので、マネージメントしながら安定して走れたとは思いますが、まだ改善する余地があります」
「今回はこれまでと違って一発の速さがなくてレースペースは良いというパターンでした。明日はポールから逃げ切って早くチャンピオンを決めたいと思います」
- 3位 平良響(TOM'S)
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「久々の雨のスタートでしたが、4番手から落ち着いてできたと思います。佐藤選手がエンジンストールしましたが、それにも動じることなく、また河野選手に並ばれかけましたが、それも落ち着いて対処する事ができたと思います」
「レースはトップ2台が逃げてしまいましたが、焦ることなく冷静に走りました。途中雨が強くなったので、とにかくコースに留まることを心がけました」
まとめ: Shigeru KITAMICHI
- PP 関口雄飛(TEAM IMPUL)
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「久々のポールポジションですが、こんなに嬉しいのはレースやっていて初めてかもしれません。去年、今年と苦しんできましたが、チーム、スタッフが支えてくれました。結果が出せてほっとしています。応援してくれた人に感謝しています。ネガティブにならないようにしていましたが、自分でも気づかないうちにかなり追い込まれていたのかもしれません。辛かったです」
「Q2ではタイム出す直前で赤旗が出てしまったりしましたが、Q1,2,3と雨量が異なる中でエンジニアと相談してマシンを上手く合わせることができたと思います。まだシーズン中盤なのでチャンピオンを狙っていきます。まずは明日優勝して野尻選手に少しでも追いつきたいと思います」
- 2位 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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「完全にポールを獲れるクルマだったと思います。決めきれなかったのは自分のせいです。ダサい予選でした。オートポリスでは雨でかなり苦戦をしましたので、ウエットに関してチームでかなり話し合ってきました。できれば雨の予選はしたくありませんでしたが、いいクルマを用意してくれたチーム力のおかげだと思います。感謝しています」
「復帰して間もないので、まだ100パーセントというところまで戻っているとは言えませんが、特に自分は変わっていませんので普段どおりやるだけです。明日はドライのレースになりそうですが、まだ今年になってドライで走っていないので少し不安です(笑)」
- 3位 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)
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「Q1,2,3とセッティングを大きく変えなくてもいけたので、マシンを仕上げてくれたチームに感謝しています。7分間しかない中でタイヤを温めるのに時間がかかったりはしましたが、最後に帳尻を合わせることができたので良かったです」
「SUGOのドライコンディションは経験がないので、楽しみでもあり不安でもあります。でも勝つチャンスはあると思いますので頑張ります。予選は負けてしまいましたが、幼馴染の牧野選手の復活は嬉しいですね」
まとめ: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第10戦の決勝が、6月19日、宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションスタートのジュリアーノ・アレジ(TOM'S)が雨のレースで躍動。追いすがるポイントリーダーの名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)を抑え切って初優勝を飾った。この優勝で明日決勝の第12戦のポールポジションも獲得した。
フロントローの#36アレジ、#50名取が無難なスタートを決めたのに対して、グリッド2列目予選3位#2佐藤蓮(TODA RACING)はエンジンストール。最後尾にまでポジションを下げてしまった。#2佐藤はどうもスタートが鬼門だ。
トップ#36アレジ、2位#50名取の両者は、3位#37平良響(TOM'S)以下とは別格の速さを見せ、1周を終えてストレートに戻ってきたときは早くも一騎討ちの様相を見せていた。この展開は周回を重ねるたびに顕著になっていく。
一方トップを争う2人の差は1秒から2秒で推移していたが、8周を過ぎたあたりから#50名取のペースが上がらず1分32秒台をコンスタントに刻む#36アレジとの差が開き始める。
この頃から雨足が強くなり、10周目に#30DRAGON(B-MAX ENGINEERING)がコースアウト。コンディションの悪化を懸念した運営側はセーフティカー(SC)を導入。それにもかかわらず、12周目には#3ルッカ・アレン(ALBIREX RACING TEAM)がコースアウト。SCラン中のコースアウトにタイム加算のペナルティとなった。
SCランは15周終了まで続いたため、これで26周の周回をこなすことは難しくなり、規定の40分を過ぎた時点でチェッカーが出されるタイムレースとなることが確定した。
レースが再開されても#36アレジのペースが衰えることはなく、コンディションが回復したこともあって、ファステストラップをマークして2位#50名取を振り切りにかかる。#50名取も「抜くチャンスはなかった」とは言いながらも、最後には意地を見せ#36アレジとの差を詰めたところで40分が経過、24周終了時でチェッカーとなった。
アレジにとってはスーパーフォーミュラ・ライツ初優勝。しかもポール・トゥ・フィニッシュという完勝だった。すでにスーパーフォーミュラで勝利しているため、歓喜の初優勝という雰囲気ではなかったが、「雨のアレジ」を印象づけるには十分な内容だった。
3位はトップ2とは速さに差はあったが、「落ち着いてレースができた」という#37平良が入り、40歳以上のマスターズクラスは総合8位の#51畑亨志(B-MAX ENGINEERING)が安定した走りでクラス優勝を飾った。
なお、今回のレース結果が、明日の最終レースのグリッドとなるため、アレジは第12戦もポールポジションからのスタートとなる。ドライとなるレースでどんな勝ち方を見せるのか、ダブルエントリーのスーパーフォーミュラも含め、レース毎に速さに磨きがかかるアレジから目が離せなくなりそうだ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦の公式予選が、6月19日、雨の降る宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ベテラン関口雄飛(TEAM IMPUL)が得意のコースで復活を印象づけるポールポジションを獲得した。2位は復帰から2レース目の#6牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位は#39阪口晴南(INGING MOTORSPORT)が入った。
帰国後のコロナウイルス感染防止の隔離でFIA世界耐久選手権(WEC)レギュラードライバーの中嶋一貴、小林可夢偉、タチアナ・カルデロン、そしてWECのテストに参加したランキング2位の平川亮も欠場とやや役者を欠いた感のあるSUGO大会だが、若手と速さを取り戻したベテランがその穴を埋めて余りある活躍を見せた。
朝から降り続く冷たい雨は予選開始時刻になっても止む気配はなく、逆に降りが強くなってくる。気温は19度、路面温度は20度と低く、雨量もあってタイヤを温めるのは難しそうだ。
安全確保のため、通常とは異なりA組、B組のグループ分けのままQ2まで戦うこととなり、グループ分けによって若干の有利不利はありそうだが、狭いSOGOのコースでは賢明な判断だろう。
グループA:#1山本-#3山下-#6牧野-#7小高-#14大嶋-#15大津-#20高星-#37宮田-#39阪口
グループB:#4中山-#5福住-#12塚越-#16野尻-#18国本-#19関口-#36アレジ-#38坪井-#51松下-#64大湯
Q1
グループA
#37宮田が先行し、これを#39阪口、#6牧野、#15大津が追うという形で進んでいき、残り2分で#6牧野が1分20秒を切る19秒982でトップに躍り出る。#6牧野は更にタイムを削り取り19秒306で他を寄せ付けない速さを見せた。
#39阪口も最終周に19秒835にタイムアップ2位を確定させた。チャンピオンナンバーを背負う#1山本は最後の最後で20秒931で圏外から5位に滑り込んだ。スポットで代役参戦の#20高星、#14大嶋がノックアウト。
グループB
A組の結果から1分20秒をターゲットタイムに各ドライバーはアタックを開始。
最初に20秒台に乗せたのは#51松下の20秒383。これを皮切りに#5福住、#38坪井を加えた3人による熾烈なトップタイム争いが繰り広げられた。
残り3分からのトップ交代はまさに目まぐるしいものだった。坪井20秒240→福住20秒048→松下20秒023→坪井19秒758→福住19秒642→松下19秒623→福住19秒504と毎周のようにトップが変わり、最後に福住がとどめを刺して終了した。
この結果、ドコモチームがA,B両グループでトップを奪い、#12塚越、#18国本、#4中山がノックアウト。
Q2
グループA
7分間という短い時間の中でラスト2周の争いとなったが、#37宮田と#39阪口の一騎討ちの様相を呈したセッションとなった。
最初に1分20秒を切ったのは宮田。19秒606でトップに立つと阪口も19秒832で追いすがる。これを突き放すように宮田が19秒143を叩き出す。これで決まったかと思わせたが、最後に阪口が19秒046で逆転。Q2を締め括った。
#6牧野19秒732、#15大津20秒488までがQ3進出。#3山下、#7小高、#1山本がノックアウト。
グループB
走行開始から雨がかなり強くなってきた。このため各ドライバーはコンディションが悪化する前にタイムを出そうと早めのアタックを試みる。
ここで異次元の走りを見せたのが#38坪井。21秒210、20秒100と確実にタイムを短縮していくが、快調な故の落とし穴か、2コーナーでコースオフ。同じ周に松下もコースオフしてしまい、あろうことか、予選の主役となると思われた2人が赤旗中断の原因をつくりタイムは抹消。ここで2人の予選は終了してしまった。
これによりトップは福住、以下、アレジ、関口、大湯、野尻と続き、残る3分間の予選でQ3進出を賭けて臨んだが、シリーズリーダーの野尻が100分の1秒差で涙をのむことになった。
Q3
奇しくもトヨタエンジン4台、ホンダエンジン4台が揃うこととなったQ3だが、開始頃から雨量が多くなり各ドライバーは水しぶきを跳ね上げながらアタックを開始。
#37宮田の21秒723、#36アレジ21秒966と続いたあと、トップに躍り出たのは#19関口(20秒248)だった。その後、宮田が19秒799で再逆転を果たすが、関口は即座に19秒231をマークして再々逆転。トップに返り咲く。
最後に牧野(19秒274)、阪口(19秒445)も逆転を試みるが、関口のタイムには僅かに届かず。関口が昨年からの不調を吹き飛ばす、自身5回目のポールポジションを決めた。
Q2までは若手の争いと思われたが、最後の最後でベテランここにありを見せた関口。マシンから降りインタビューを受けた関口は「今まで涙ぐむドライバーの気持ちはわからなかったが今回よくわかった」と感極まる場面もあった。
決勝は、明日午後1時30分から53周で行われる。天気予報は曇のち晴れ。雨の心配はなさそうだ。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
ノックダウン方式で行われるスーパーフォーミュラの予選だが、第4戦スポーツランドSUGO大会の予選方式が若干変更されることになった。
通常A,Bグループに分けて予選Q1が行われ、それぞれ上位7台がQ2進出、Q2の上位8台がQ3進出となるが、今回はQ2もA,Bグループのまま行い、それぞれの上位4台がQ3に進出することになった。悪天候と狭いSUGOのコースで安全を確保をするためと思われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラライツ選手権第10、11戦の公式予選が、6月19日、スポーツランドSUGOで行われた。この週末練習走行から好調のジュリアーノ・アレジ(TOM'S)がトップタイムを叩き出し第10戦で初ポールを決め、セカンドタイムで決まる第11戦は名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)がポールポジションを獲得した。
この週末、木曜、金曜に行われた練習走行で好調を維持しているのが、フォーミュラ・ライツではまだ優勝はないものの、代走で参戦した雨のスーパーフォーミュラで初優勝を飾った#36アレジだ。3回の練習走行で1位、1位、2位と安定した速さを見せた。
#36アレジのライバルとなるのポイントリーダーの#50名取、そして今シーズン1勝を挙げている#2佐藤蓮(TODA RACING)。また雨のレースで2勝を飾りシリーズ2位につける#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)からも目が離せない。
予選開始前に雨も小降りになり、コース上でのスピン、コースアウトはほとんど見られないまま予選は進み、折返しの15分経過時点での順位は、#50名取1分30秒107、#2佐藤1分30秒483、#36アレジ1分30秒741、#37平良響(TOM'S)1分31秒152。
残り10分を切ってから各ドライバーは最後のアタックに入る。まず#2佐藤が1分30秒438をマーク。しかし順位は変わらず。#37平良も1分30秒491と大きくタイムアップするが4位のまま。
ここで順位を一気に上げてきたのが#36アレジ。まず1分30秒288で2位に浮上すると、その次の周には更に詰めて1分30秒045で名取を逆転しトップに浮上。見事なアタックを見せた。
残り5分、#2佐藤が30秒177を出すが順位は3位で変わらず。
残り4分、#30DRAGON(B-MAX ENGINEERING)が馬の背でコースアウト。グラベルにはまってしまいセッションは赤旗中断。
再開後、各ドライバーは残された4分でグリッドを上げようと渾身のアタックを行うが、走行が途切れて再び濡れてしまったラインではタイムアップをするのは難しく、上位では#2佐藤のみが1分30秒104と僅かにタイムアップしたのみ。佐藤はこれでセカンドタイムで#36アレジを上回るることになった。
見事なアタックを見せ自身初の、またトムスにとっても今季初のポールポジションを奪った#36アレジだが、第11戦のグリッドを決めるセカンドタイムでは#50名取、#2佐藤に先行されてしまい、完璧な予選とはいかなかった。
この結果、第10戦のグリッド2列目までは#36アレジ-#50名取-#2佐藤-#37平良、第11戦は#50名取-#2佐藤-#36アレジ-#37平良となった。
第10戦の決勝は本日午後4時15分から26周で、第11戦は明日午前10時20分から、第12戦は15時45分からそれぞれ19周で争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
2021全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦スポーツランドSUGO。予選日は朝から雨が降り続いている。明日は天候が回復しそうだが、今日は1日雨の予報のため予選もウエットコンディションになることは間違いなさそうだ。
スポーツランドSUGOはシーズンオフにコース改修が行われている。ピットロードが拡幅され、ストレートが若干スタンド寄りにオフセットされた。また、ピットロード出口が2コーナーから3コーナーに移されている。
午前9時10分から90分間の予定で始まったフリー走行1回目。開始前から若干雨が強くなってきた。雨のコース習熟、マシンセッティングにとって重要な走行になる。特に抜きにくく予選順位が重要になるSUGOのコースでは尚更だ
9時19分(開始9分)。#14大嶋和也(ROOKIE Racing)がレインボーコーナー立ち上がりでスピン。幸いコース上でストップしてマシンにダメージはなかったが赤旗中断。#14大嶋は自走してピットに戻った。
ここまでの順位は、#38坪井翔(INGING MOTORSPORT)1分19秒542、以下、#5福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)19秒834、#15大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)19秒931が僅差で続く。
8分の中断の後走行再開。雨は降り続き、特にバックストレートでは走行するマシンからはかなりのウォータースクリーンが上がる。
9時32分(開始22分)。#51松下信治(B-MAX RACING TEAM)がSPコーナーの進入でコースオフ。クラッシュパッドにフロントから刺さるが自走でピットに戻る。見たところ大きなダメージはない模様だ。
9時40分走行再開。雨の量が少なくなってきた。3コーナー~4コーナー~S字でトップタイムを更新し1分18秒683をマークしていた#38坪井、#4中山雄一(KONDO RACING)がコースオフするなど難しいコンディションが続いている。
9時55分(開始45分)。折返しを過ぎたトップ6は、#5福住仁嶺1分18秒525、#39阪口晴南1分18秒669、#38坪井翔1分18秒683、#37宮田莉朋1分18秒958、#6牧野任祐1分18秒969、#3山下健太1分19秒070。ライン上は水が掃けてきた。
10時2分(開始52分)。トップ#5福住が更にタイムを縮め1分18秒363をマーク。前回初優勝を飾った#36ジュリアーノ・アレジ(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)は初のコース、しかも雨のコンディションに苦戦し10番手1分19秒411。
10時17分(開始67分)。#4中山雄一(KONDO RACING)が1コーナーでコースオフ。自力でコース復帰できず赤旗中断。結局、牽引されてピットに戻る。#4中山は1分21秒126で18番手。なかなかタイムが出せずに苦労している。
10時28分(残り12分)走行再開。各ドライバーはニュータイヤを履いてコースインするが、多くのドライバーはアタックのためではなく予選用タイヤの皮むきのようだ。
そのなかで#19関口雄飛(TEAM IMPUL)、#36アレジの2台はタイムを僅かに短縮してきた。
最終的なトップ6は、#5福住仁嶺1分18秒363、#39阪口晴南1分18秒669、#38坪井翔1分18秒683、#6牧野任祐1分18秒722、#19関口雄飛1分18秒910、#37宮田莉朋1分18秒955。
終盤は雨は弱くなったもののコンディションは回復しないままフリー走行終了。このコンディションが続くとかなり難しい予選になりそうだ。
なお、予選の方式が若干修正され、Q1のA,Bグループ分けのままQ2(上位7台ずつ)まで行い、それぞれ上位4台がQ3に進出することが発表された。
予選はノックダウン方式で午後2時10分から行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 三宅淳詞(ルーニースポーツ)
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「レインコンディションになりましたが、僕自身ライツの経験も少なくもちろん雨の経験もなかったので不安でした。でも走り出して見るとセッティングが決まっていて追い上げることができました。後半は雨が強くなって裏目に出てしまった部分もありますが、今回は運も味方して勝てたと思います」
「2番手に上がった頃は雨が少なくセッティングも当たっていたので、トップに追いつきだした時点で行けると思いました。名取選手の走りを見れば雨の量とかが分かりますので、有利な立場だったということもあります」
「優勝できたことは本当に良かったと思いますが、ドライコンディションの1、2戦目は名取選手や佐藤選手に歯が立たなかったので、鈴鹿に行ってもこのままだと厳しい状況だと思います。しっかりチームと打ち合わせして、自分の悪い部分も改善できるように頑張っていきたいと思います」
- 2位 名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)
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「スタートからペースも良くレースを進めることができたのですが、早々にフロントタイヤが終わってしまいました。(後方の)トムス勢も同じような状態と思ってタイム差を気にしながら走っていましたが、そのなかで三宅選手が中盤すごいペースで追い上げてきて抑えきれませんでした。その後雨が強くなってからは追いつくことができましたが、もう1周あればという感じでしたので、悔いの残るレースでした」
「開幕戦は勝てましたがその後2位が続いたことは、ルーキーが多いシーズンであることを考えると、このままでは上に行っても通用しないと思います。開幕戦の優勝も内容は悔しさが残るものでしたし、宮田選手や坂口選手が走っていたらと思うと、まだまだ足りない部分があるので、もっとトレーニングする必要があると思います」
「シーズン前、差がつかないのはストレートの長い富士だけと思っていましたので、次の鈴鹿やオートポリスなどの複合コースでは(予選で)コンマ5秒くらい差をつけたいと思います」
- 3位 ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)
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「今日は本当にきついレースでした。初めてのフォーミュラ・ライツで雨の富士でしたから、(僕にとっては)全部サプライズでした。乾いていたときは段々ペースが落ちてきて、サバイバルのようで本当に難しかったです。チームメイトの前でフィニッシュでき表彰台に登れたことはラッキーでした。スタート前のグリッドでは暫く見ていなかったグリッドガールを見てエンジョイできましたしね(笑)」
「鈴鹿はテストしたときに割と良いペースで走れたので、フリープラクティスでさらに少しずつ良くなると思います」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
- 優勝 野尻智紀(MUGEN)
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「今週は走り出しから非常に調子が良くて、予選もポテンシャルを出し切れました。スタートは僕のミスもありましたが、少しクラッチに関して不安感を持っていたので、それが出てしまったように思います。ただその後5~6周してからは、こちらに分があると分かったので、(ピットインを)ミニマムで入るか引っ張るかと悩む中で、大湯選手をかわすチャンスが巡ってきたので、最後まで引っ張ることにしました」
「いつ雨が降り出すのか分からず難しい局面もありましたが、落ち着いて走っていられましたし、何よりもチームとホンダに素晴らしいパッケージを用意して頂いたので、僕は最後まで集中を切らさずやることをやったという感じです。少し置きにいった部分もあったので今後そこは改善したいと思います」
- 2位 #64大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
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「前回の富士も2位、今回も2位で表彰台を取ることができました。確実に表彰台を取ることが目標でしたから、すごく良かったと思っています。ただ、昨日から野尻選手は速くて常に強かったです。野尻選手とチームの頑張りにおめでとうと言いたいと思います」
「僕もシリーズを戦う上ではこのままではいけないと思っていますので、もっと頑張ってチーム一丸となって次のレースに向かいたいと思います。タイヤのマネージメントを含めて僕自身はベストを尽くしましたが、まだ足りない部分があるのだと思います」
- 3位 福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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「僕にとってダンディライアンで走るのは3年目ですが、エンジニアやクルマも5号車に変わり、昨シーズン(山本)尚貴選手がチャンピオンを取った体制になりました。それが自分の中では今週かなりプレッシャーになっていました」
「昨日の予選も不甲斐ない結果でしたが、あれも自分の実力でなかなか良いクルマに仕上げられなかった結果だと思います。予選の後は落ち込みましたが、チャンピオンシップのことを考えて、今日のレースに関してロングランは自信あったので切り替えて決勝に臨みました」
「昨シーズンは取りこぼしがありましたが、次の鈴鹿は良いレースをするということだけではなく成長を見せたいと思います」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第3戦の決勝が、4月4日、静岡県・富士スピードウェイで行われ、予選6位の#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)が濡れたコースコンディションのなか、先行する#50名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)を捕らえ優勝。今大会3人目のウィナーとなった。
スーパーフォーミュラレースの途中から降り出した雨は降ったり止んだりを繰り返し、コースを濡らし続けたため、全車レインタイヤを装着してのスタートとなった。
第1戦の決勝結果で決まったグリッド最前列には、すでにライバルとなった名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)と佐藤蓮(TODA RACING)が並び、誰もが決勝は2人による一騎打ちが繰り広げられるものと思っていた。
ところが、あろうことか#2佐藤はエンジンストールなのか、シグナルがブラックアウトしてもグリッド上で動けず。後続車は#2佐藤のマシンを右に左にかわしながらスタートしていく。#2佐藤は最後尾からレースに復帰するが、即座にピットイン。ここで天候回復に賭けスリックタイヤに交換するというリスキーな作戦に打って出る。
その間にもレースはトップ#50名取が#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)、#37平良響(TOM'S)のトムス勢を従える形で進んでいく。ドライでコンディションであれば#50名取に分があるはずだが、不安定なコンディションが#50名取のシナリオを狂わせていく。
7周を終え#36アレジに対し3.4秒のマージンを築いた#50名取だったが、ハーフウエットのコンディションにセッティングがハマった#10三宅が急接近。4位から一気に2位にジャンプアップすると、#50名取を1周1秒から3秒も上回るペースで走り、12周目のアドバンコーナーでついにトップに立つ。
抜かれた#50名取もやや雨の強くなった残り周回で再逆転を狙い、諦めずに差を詰めるが追いつくまでには至らず、伏兵ともいえる#10三宅が今大会3人目の勝者となった。3位は第1戦に続いて#36アレジが入った。
最後尾からスリックタイヤで追い上げを図った#2佐藤は、途中路面コンディションが回復したときはトップグループより6~9秒も速いラップタイムを刻み、大逆転の期待を抱かせたが、レース折返しから再び雨が強くなるとペースを上げることはできず、9位フィニッシュ。ファステストラップを記録したことで着実にポイントを稼いだ。
マスターズクラスは#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)の脱落もあり、#11M植田正幸(ルーニースポーツ)がクラス優勝。ルーニースポーツとしては嬉しいダブルウィンとなった。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦の決勝が、4月4日、静岡県・富士スピードウェイで行われた。途中雨が落ちてくる難しいコンディションのなか、ポールポジションスタートの野尻智紀(MUGEN)が優勝。2位はスタートで前に出たものの逆転を許した大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位には福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。
決勝スタート前、雲の切れ間から覗いていた青空が見えなくなり、雨が近づいていることを予感させた。各チームはレインタイヤをグリッド上に持ち込み、スタッフは空を見上げなが準備を進める。
午後2時10分、1周のフォーメイションラップからスタートが切られた。
2番グリッドの#64大湯が好ダッシュを決め#16野尻を抑えて前に出る。しかし「大湯選手が狙っているのは分かっていた」と#16野尻は焦ることなく背後からチャンスを窺う。その後方ではオープニングラップの混乱で予選8位の#15大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)と予選9位の#19関口雄飛(TEAM IMPUL)が接触。両者はピットインを余儀なくされ早くも上位進出の権利を失ってしまった。
「マシンは最高だった」という#16野尻は、周回を重ねるたびに#64大湯との差を詰めていくと、10周目のダンロップコーナーでオーバーテイクシステム(OTS)を使い、狙いすましたようにアウトから前に出る。その勢いは衰えることなく#64大湯を毎周0.2~0.3秒ずつ引き離していく。
雨の可能性があるため早めにタイヤ交換をするチームは少なかったが、そのなかで後方スタートながら8位まで順位を上げていた#1山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)が9周終了時にピットに滑り込む。しかしあろうことか左リアタイヤの交換に手間取り大きくタイムロス。ここまでの追い上げが無駄になってしまうが、王者は腐ることなく前を追う。
10周を過ぎてペースが良かったのが1周目に順位を落としていた#37宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)。14周目に#39阪口晴南(INGING MOTORSPORT)、18周目に#18国本雄資(KCMG)を抜き7位まで順位を回復してきた。
折返しを過ぎた21周目、上位の順位は、#16野尻、#64大湯、#5福住、#6笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)#20平川亮(TEAM IMPUL)#38坪井翔(INGING MOTORSPORT)、#37宮田と続く。
このなかで#64大湯は他のマシンよりタイヤがきつくなり24周目3位、25周目4位と順位を落とすと、たまらず25周を終えた時点でピットイン。ここから上位陣のピットインが始まり、28周を終え#5福住、29周#6笹原がピットに滑り込む。
この少し前から雨がポツリポツリと落ち出す。特に最終コーナー方向が濡れ、タワーに「WET」の表示が出される。しかし、この後も雨が強くなることはなく、全車ドライタイヤのまま走行を続ける。
その後も、31周目に#37宮田、32周目#38坪井がピットインしタイヤ交換を行うが、アウトラップに冷えたタイヤでマシンコントロールをするのは難しく、#38坪井は堪らず33周目にセクター3でコースアウト。ここでレースを終えてしまう。
終盤、残り5周となったところでピットインをしていないのは、トップ#16野尻、9秒遅れの2位#20平川、2人から大きく遅れてはいるが3位を走る#4中山雄一(KONDO RACING)の3人のみ。アウトラップのタイムロスを考えるとトップ2車も決して安泰ではなく、すでにタイヤ交換をしたマシンに一気に差を詰められる可能性もある。
38周を終え、#20平川、#4中山、39周を終え#16野尻がピットイン。#16野尻はトップをキープしたままコースに戻り、ウェービングしてタイヤを暖めるが、ここで早めにタイヤ交換をしていた#64大湯が急接近。何とファイナルラップに入る手前の直線でその差は3.8秒とトップ#16野尻を射程距離圏内に捕える。
最後はこの週末をリードしてきた2人による一騎打ちとなったが、#16野尻が1.5秒差でかろうじて逃げ切り開幕戦を制した。3位はやはり早めにタイヤ交換を行っていた#5福住が入った。
第2戦は3週間後の4月24~25日に鈴鹿サーキットで行われる。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 佐藤蓮(TODA RACING)
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「昨日の反省を生かしてプレッシャーをかけられるところではかけていくようにしました。単独で抜くのは難しいので、名取選手のミス待ちという状況でプレッシャーをかけ続け、後半で何とか隙きを突いて抜くという組み立てを考えていました。その展開どおりになり初優勝することができて嬉しいです」
「セットアップに関しては序盤から詰めて行けるようなものにして、それが上手くハマったと思います」
「セクター3は昨日からあまりペースが良くなかったのですが、ドライビングでも少しずつ改善して、それがレース後半に向けてどんどん成熟していったのかなと思います。(名取選手を)パスすることができファステストも記録してフルポイント獲得できました。(シリーズの)スタートダッシュとしてはいい感じです。第3戦も前を目指していきたいと思います」
- 2位 名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)
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「良いスタートが切れて、1周目、2周目はマージンを築くことができたのですが、その後は厳しい状況でした。追われる極限状態の中で自分がフロントをロックさせてしまうというミスがあり、そこで抜かれてしまいました。(ミスは)自分の弱さかなと思います」
「昨日より辛いところも良いところもあって、すべてが良くなったわけではありませんでしたが、自分としてはもっと(マシンに)合わせるべきだと思いますし、午後、路面が変わっても再び優勝できるように気を入れ直して頑張りたいです」
「去年は菅生の予選で雨が1回あったと思いますが、正直、(雨のレースを)確実に100パーセント分かっているわけではありません。雨は比較的得意な方なので、もし雨が降っても、どんなコンディションでも自分と戦いながら優勝を目指していきたいです」
- 3位 野中誠太(TOM'S)
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「まずはスタート、昨日はすごく失敗してしまったので、エンジニアさんともミーティングをして細かいところまで分析しました。今日は普通のスタートを切ることができ、ペース的にはあまり良くはなかったのですが、その中でもできる限りミスなくペースを保てるように頑張りました」
「展開にも恵まれて、表彰台に登ることができましたが、正直トップ2の選手に比べたらタイムも良くないですし、課題もたくさんあるので、そこはこの結果に満足せずにもっともっと上を目指していきたいと思います」
「今回スポット参戦という形でチャンスを頂いて、本当にに多くのことを学ぶことができました。3位は良い結果だと思いますので、自信を持ってFIA-F4もチャンピオンを確実に取るという気持ちで頑張りたいと思います」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
予選日から一夜明けた決勝日の富士スピードウェイは曇り空。予報では午後4時頃から雨が降り出すこととなっており、決勝がレインコンディションになるかは微妙なところだ。
各チームは午前9時25分からの30分間の走行で決勝を想定したセッティングを試みることになる。
10分経過。予選Q1で屈辱の敗退となったディフェンディングチャンピオン#1山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)、ベテラン#14大嶋和也(ROOKIE Racing)が積極的に走行を重ねる。タイムは1分22秒半ばと2人とも予選を上回るタイムを刻んでおり、燃料を少なくした状態でのセッティングを試した模様。いずれにしても決勝に向けては良い仕上がりを見せているようだ。
20分経過。ポールシッター#16野尻智紀(MUGEN)と2番グリッドスタートの#64大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)はともに1分23秒台。ピットインしながらじっくりとセッティングを確認している。雨のレースになるにしてもこの2人が中心となってレースは展開するはずだ。
この週末まったく歯車の噛み合っていない#3山下健太(KONDO RACING)がヘアピンでスピン。ここでのスピンはあまり見ないだけにブレーキやミッションのトラブルかもしれない。
30分経過。走行開始からコンスタントな走行を見せたのが予選5位の#39阪口晴南(INGING MOTORSPORT)。1分24秒台をコンスタントに刻み時折23秒台に入れ、実質のトップタイムをマークした。これに続いたのが予選3位#6笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、予選4位#5福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)のチームメイトの2人。
この若手3人が#16野尻と#64大湯を脅かす存在となれれば、開幕戦は面白いレースになることは請け合いだ。
決勝は午後2時10分スタート。41周で争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第2戦の決勝が、4月4日、静岡県・富士スピードウェイで行われ、予選2位の佐藤蓮(TODA RACING)がレース後半に先行する名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)を逆転し初優勝を飾った。
早朝8時25分、上空に雲は多いものの切れ間から日も差すコンディションのなかスタートを迎えた。シリーズは最終戦を除き1大会3レースとなっているので、チームやドライバーは日曜日は早起きを強いられることになる。
スタート前にトラブルが発覚した5番グリッドの#37平良響(TOM'S)はピットガレージで修復を試みるがスタートに間に合わず。11台でのスタートとなった。
スタートで飛び出しの良かったポールシッター#50名取は、トップは絶対に譲らないと、イン側#2佐藤に被せる進路を取りその座をキープ。レースはここから第1戦とまったく同じ展開になっていく。
逃げる#50名取、追う#2佐藤が後続を引き離しながら周回を重ねていく。第1戦の21周とは異なり15周レースのため、#2佐藤にとってはやや焦る気持ちもあったはずだが「後ろからプレッシャーをかけて相手のミスを待つ」という作戦どおり、ルーキーらしからぬ冷静な判断で、コーナー入口で背後に迫り相手のミラーに自分の姿を映し続ける。
#50名取も#2佐藤を意識して牽制していたためペースがやや落ち、9周あたりから3位単独走行の#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)がトップ2台との差を少しずつ詰め始める。
レースが大きく動いたのは10周目。後半になって明らかに動きの悪くなった#50名取に#2佐藤がストレートでそれまでにない間隔で迫ると、1コーナー進入で後方を意識した#50名取がたまらずブレーキロック。止まりきれずアウトに膨らみ、#2佐藤が念願のトップ奪還に成功した。
同じ周の最終コーナー。トップ2に迫っていた#36アレジは最終コーナーの立ち上がりで縁石に乗ってスピン。良いレースを見せていただけに残念なミスだった。これで#36アレジの連続表彰台はなくなり、代わって3位にはスポット参戦の#1野中誠太(TOM'S)が上がることになった。
トップに立った#2佐藤は追いすがる#50名取を振り切るようにハイペースで走り、12周目には1分33秒939のベストタイムを記録。最終的に約2秒の差を築いて初優勝のチェッカーを受けた。
ウィニングラップを終えパルクフェルメに戻ってきた#2佐藤は、マシンを降りると大きくガッツポーズ。全身で初優勝の喜びを表した。
40歳以上のマスターズクラスは第1戦に続き#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)がクラス優勝を遂げた。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
- 優勝 名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)
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「欲を言えばもう少し良いスタートが切れればと思いました。佐藤選手のスタートのほうが良かったですし、明日に向けては改善する余地があります。レースペースは序盤は同じようなペースで走れましたが、終盤きつくなりスライド量も増えて詰められてしまいました。でも自分の速いところ、佐藤選手の速いところも分かったので次に向けては良いレースだったと思います」
「テストの段階から2位以下にマージンがありましたし、レースペースも全く問題ないと思っていましたが、スーパーフォーミュラが走った関係で路面が昨日までとはまったく違ってしまいました。明日改善したいと思います」
「(第2戦はユーズドタイヤを使うことについて)そこは去年も自信がありましたし、自分がやるべきことをしっかりやれば勝てると思います。ただ第3戦は雨の予報ですので、勉強するべきことがありますし、唯一心配な点です。でも今年の目標は全勝ですので頑張ります」
- 2位 佐藤蓮(TODA RACING)
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「スタートは悪くなかったので、できれば1コーナーでパスしたかったのですが、それは叶いませんでした。21周の長いレースでしたので、最初はペースを抑え後半に向けて名取選手を追い詰めるよう組み立てていました。でも、経験が足りないところもあり、最後に追いついたところでブロックされて抜くことができませんでした。明日はそういうところを見直していきたいと思います」
「体力は全く問題ありませんでしたし、カート時代からタイヤのマネージメントには自信がありましたので、それらについては問題はありません。明日はスタートで前に出て優勝を目指します」
- 3位 ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)
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(日本語でのインタビューを希望し、日本語で受け答えをした)
「皆さん僕の日本語を笑わないでください(笑)。悪くないレースでした。バランスに関して少しフィーリングが良くありませんでしたが、ボクはこのクルマもタイヤもサーキットも初めてでしたので、ステップ・バイ・ステップで勉強していきます。チームはボクに強いサポートをしてくれますし、がんばります」
「今日はオーバープッシュしないよう走ることに気をつけました。できないときは無理せずポイントを上げて少しずつ前に進むことを心がけています。明日は良いスタートを切って、その後は自分のペースで走るようにします」
まとめ: Shigeru KITAMICHI
- PP 野尻智紀(MUGEN)
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「シーズンの間になぜ去年の自分は上手く行かなかったのかを深く考え準備をしてきました。担当エンジニアともたくさん会話をしながら一段高い状態のクルマを作れたと思います。チームは本当に完璧な仕事をしてくれましたし、自分の力を出し切るだけと思いました。今週は走り始めから調子が良かったのですが、頭一つ抜けてる状態で予選に臨むことができたのは初めてでしたので、その中でどうやって自分をコントロールしてまとめ上げるかということに難しさを感じました。その中でこの場(注:記者会見)に来られたことを自分の成長として自信を深めたいと思いますし、もっと強くなれるような気がします。決勝も強く賢く戦いたいと思います」
「(雨予報の決勝に向けては)雨は好きではありませんが、鈴鹿の雨のテストを走っておいて良かったと思っています(笑)。準備はできています」
- 2位 大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)
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「Q1からプッシュしていましたが、野尻選手が頭一つ抜けていて、Q2もいっぱいいっぱいでしたがそれでも届かなくて、最後のQ3はクルマは何も触らなくていい状態で、何とか自分の力で先輩の野尻選手を抜きたいという思いで色々やりましたが、やはり壁は厚かったと感じています」
「フリー走行ではカートが走った(コース)コンディションに合わせきれませんでしたが、予選に向け色々修正していったのが良かったと思います」
「2年前ナカジマレーシングは雨で優勝しています。月日は経っていますが、(チームとして)不得意なコンディションではないと思いますし、僕自身も雨の富士は好きなので(決勝は)自信を持っていきたいと思います」
- 3位 笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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「まずはポールポジションを獲得した野尻選手おめでとうございます。(野尻選手が)頭一つ抜けているという印象です。一方僕はフリー走行から正直調子が良くなかったのですが、Q1は無事に突破できました。正直Q2は突破できるか際どいところでしたが、何とか自身とチームともに上手くまとめ上げらることができました。Q3は大幅に変更した箇所もポジティブに見つけられて、上げ幅も大きかったので、レースに向けてはトップと戦えるという手応えを感じることができました。チームの手厚いサポートのおかげでここ(記者会見場)に立つことができたので、明日は牧野選手の分も含めて精一杯戦っていきたいと思います」
「雨のスーパーフォーミュラの経験がほとんどなく(決勝の)予想がつかないので、とりあえずスタートで前に出ていきたいという思いしかないです」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1戦の決勝が、4月3日、静岡県・富士スピードウェイで行われ、ポールポジションスタートの名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)が佐藤蓮(TODA RACING)の追撃をかわして嬉しい初優勝を飾り、同時に明日午後決勝の第3戦のポールポジションも獲得した。
荒れることなくスムーズなスタートで始まった開幕戦は、逃げる#50名取、追う#2佐藤という戦いに終始した。
無難なスタートを決めた参戦2年目の#50名取に対し、スタートで前に出てデビューウィンを目論む#2佐藤は、スタート後の1コーナーでアウトから並びかける。しかし、ここで前に出ることは叶わず#50名取、#2佐藤のオーダーで1周目を終える。
両者は3位以下を引き離しながら周回を重ねるが、その差は1周目0.9秒、5周目1.0秒、10周目0.7秒、15周目0.6秒と正に一進一退の攻防を見せる。一瞬のミスが命取りになることは明らかで、どちらにとってもミスは許されない心理戦のまま終盤に突入。
トップ2からやや遅れた#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)、#37平良響(TOM'S)、#35河野駿佑(RS FINE)がほぼ1秒間隔で安定して3~5位を走行する。しかし、終盤になると#35河野の後方からスタートで出遅れた#1野中誠太(TOM'S)と#5神晴也(ALBIREX RACING TEAM)が迫り三つ巴の5位争いを繰り広げる。
残り5周となったあたりから2位#2佐藤がジワジワとトップ#50名取との差を詰めだし、最終ラップに入る直線でスリップトリームを利用して1コーナーで背後に迫る。しかし、「今年の目標は全勝です」という#50名取はこの場面でも冷静さを失うことはなく、きっちり#2佐藤を抑えると、自身にとっての初優勝をポール・トゥ・ウィンで締めくくった。
3位は初参戦、初の富士という初めてづくしの#36アレジが初表彰台を射止めた。4位は#37平良響(TOM'S)、白熱した5位争いは18周目のダンロップコーナーで#1野中と#5神が接触して決着。参戦4年目の#35河野が制した。
40歳以上のマスターズクラスは総合8位の#4今田信宏(B-MAX ENGINEERING)がクラス優勝。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第1戦の公式予選が、4月3日、静岡県・富士スピードウェイで行われ、野尻智紀(MUGEN)がQ1、Q2、Q3とノックダウン方式の予選ですべてトップタイムを叩き出す完璧な形でポールポジションを獲得した。2位はテストから好調を維持している大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)、3位には笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入った。
今シーズンも熾烈なチャンピオン争いが繰り広げられるであろうスーパーフォーミュラだが、それ以外にも見所は多い。移籍したディフェンディングチャンピオン#1山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)がチームに12年ぶりのタイトルをもたらすのか、また、昨年スポット参戦はしているものの、#37宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)、#39阪口晴南(INGING MOTORSPORT)、#15大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)のルーキー3人がどこまで上位に食い込むことができるか、そして昨年フル参戦はならなかった2年目の#12タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)の順位にも注目だ。
Q1
(A組、B組に分けられそれぞれ上位7台がQ2に進出)
【A組】
(#1山本-#3山下-#5福住-#7小高-#12カルデロン-#15大津-#20平川-#37宮田-#39阪口)
奇しくも#1山本、ルーキー3人、#12カルデロンがこの組に入った。
勝負は最後の1周。ルーキーの#15大津が初めに1分22秒263を叩き出し、その後#37宮田、#20平川亮(TEAM IMPUL)、#39阪口がアタックするが路面温度の上昇からタイムは伸びず、#15大津のタイムを上回ることはできなかった。
そんな中、注目の#12カルデロンは大健闘。トップから0.557遅れの1分22秒820と9台中6位で初めてQ1を通過することに成功した。
逆に苦しいQ1となったのが王者#1山本。最後の最後に#7小高一斗(KCMG)が7位に滑り込んだことで8位にドロップ。Q1敗退を喫してしまった。#3山下は歯車が噛み合わないまま最下位。
【B組】
(#4中山-#6笹原-#18国本-#14大嶋-#16野尻-#19関口-#36中嶋-#38坪井-#64大湯)
最初に1分22秒台に入れたのが#19関口(1分22秒785)。これを即座に#16野尻が1分22秒337で逆転。タイム的にこれで決まりかと思った途端、#36中嶋一貴(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)が1分22秒333と#16野尻を1000分の4秒上回る。
ベテラン勢が気を吐くなか、好調を維持している若手の筆頭#64大湯が1分22秒140でトップに浮上。誰もがこれで決まりかと思ったが、何と最後に2度目のアタックでタイムを縮めてきた#16野尻が22秒の壁を破る1分21秒994を叩き出し、ベテランvs若手の争いを締めくくった。
#4中山雄一(KONDO RACING)は最後に#38坪井翔(INGING MOTORSPORT)に逆転され8位でQ1敗退。KONDO RACINGはA組の#3山下に続き2台ともQ1で姿を消すことになった。
Q2
(上位8台がQ3に進出)
気温が下がり路面コンディションが改善されるなか、ルーキーらしからぬ走りを見せる#39阪口が1分21秒956をマーク。これを#64大湯が1分21秒779で上回ると、#16野尻が貫禄の1分21秒595でトップに立つ。その後、#20平川、#37宮田も21秒台を叩き出して上位に入ってくる。
走行終了後、8位のタイムをマークしていた#36中嶋がコース外走行があったとしてベストタイム抹消。#15大津が繰り上がってQ3進出を果たした。
ここまでの結果を見ると、ポールポジション争いは#16野尻vs#64大湯の様相を呈してきた。
Q3
Q1、Q2と早い段階でタイムを出している#16野尻はここでも最初にアタック。1分21秒173をマークしてトップに立つ。この先制パンチは強烈で、その後#6笹原(21秒463)、#5福住(21秒604)、#39阪口(21秒714)、#37宮田(21秒793)、#20平川(21秒804)がアタックするも#16野尻のタイムには及ばない。
打倒野尻の最右翼である#64大湯が満を持して予選終了間際にアタックするがやはり野尻のタイムには届かず、1分21秒396。#16野尻の先行逃げ切りの作戦に他の選手がまんまとしてやられた形で予選は終了。
明日の決勝は雨の予報だが、もしドライコンディションなら野尻vs大湯の構図は崩れそうにない。
その決勝は、明日午後2時10分から41周で行われる
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第1、2戦の公式予選が、4月3日、富士スピードウェイで行われ、チームを移籍して今シーズンに賭ける名取鉄平(B-MAX RACING TEAM)が第1戦、第2戦のポールポジションを獲得した。
昨シーズンのチャンピオン宮田莉朋、シリーズ2位阪口晴南はスーパーフォーミュラ(SF)にステップアップ、3位小高一斗も代役ながら今回SFにエントリーすることになった。
これに代わって今シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツにはFIA-F4の2019チャンピオンの#2佐藤蓮(TODA RACING)、2020チャンピオンの#37平良響(TOM'S)がエントリー。これを昨年SFLランキング4位の#50名取、5位の#35河野駿佑(RS FINE)らが迎え撃つという構図だ。
この4人以外にもFIA-F4からのステップアップ組の#1野中誠太(TOM'S)と#10三宅淳詞(ルーニースポーツ)、FIA-F2経験者#36ジュリアーノ・アレジ(TOM'S)、女性ドライバー#51小山美姫(B-MAX ENGINEERING)など注目のドライバーが顔を揃えた。
予選は、雲は多いものの日の差すコンディションのなか、12時15分から30分間で行われた。この予選でのベストタイムが第1戦、セカンドタイムが第2戦のスターティンググリッドとなる。第3戦のグリッドは夕方行われる第1戦の決勝結果で決定する。
3月末に行われた合同テストの結果からポールタイムは1分32秒台と予想されたが、15分の折返し経過時点ではトップの#50名取も1分34秒台とまだ軽くアタックした程度。各車一旦ピットに入りタイヤを交換してアタックに備える。
本格的なアタックが始まったのは残り6分を経過してから。まず最初に#50名取が1分33秒517でトップに立ち、#36アレジが33秒737で続く。合同テストで唯一32秒台をマークした#2佐藤、#1野中も33秒台に入れるが思ったよりタイムは伸びず、#50名取のタイムを上回ることができない。
苦しむライバルたちを尻目に#50名取は予選終了間際に最後のアタックでセカンドタイムでトップとなる1分33秒654をマーク。ピットに入りチェッカーを待った。結局#50名取のタイムを上回る者が出ることはなく、背水の陣で今シーズンに臨む#50名取が第1戦、第2戦のポールポジションを獲得した。
第1戦の2番グリッド以下は#2佐藤、#1野中、#36アレジ、#37平良、#35河野。第2戦は#2佐藤、#36アレジ、#1野中、#37平良、#35河野と、両レースとも若干順位の違いはあるがグリッド3列目までの顔ぶれは同じになった。
第1戦の決勝は本日午後4時25分から21周で、第2戦は明日午前8時25分から、第3戦は16時20分からそれぞれ15周で争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
2021全日本スーパーフォーミュラ選手権が富士スピードウェイで開幕した。富士での開幕は2009年以来だ。天候は曇天、気温は13度とやや肌寒い。路面温度は16度。昨年同様コロナ禍での開幕となったが、スケジュールは昨年のワンデーレースから通常の土曜日予選、日曜日決勝に戻された。
午前9時から90分間の予定で始まったフリー走行1回目。開始から積極的にタイムアタックを行ったのは#36中嶋一貴(Kuo VANTELIN TEAM TOM'S)、#1山本尚貴(TCS NAKAJIMA RACING)のベテラン勢。先日行われた合同テストでは若手の後塵を拝したがその存在を見せつけたいところだ。
15分経過。#36中嶋が1分21秒936でトップ。これに#1山本が1分22秒249で続き、早々に先日の合同テストの自身のタイムを上回ってきた。3番手は#15大津弘樹(Red Bull MUGEN Team Goh)。
30分経過。日が差してきた。もう一人のベテラン#16野尻智紀(MUGEN)が1分21秒902でトップに躍り出て#36中嶋のタイムを上回るが、若手の#6笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、#20平川亮(TEAM IMPUL)、#5福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が徐々にタイムを詰め始めている。
45分経過。一度は#64大湯都史樹(TCS NAKAJIMA RACING)が#16野尻を上回るタイム(1分21秒880)をマークするが、即座に#16野尻が1分21秒537で逆転。予選さながらの激しい攻防を見せる。
60分経過。#5福住が1分21秒857で2番手に浮上するが、#16野尻のタイムには届かず、現時点では#16野尻のタイムが抜き出ている感じだ。ルーキーでは体調不良の牧野任祐に代わってドライブする#6笹原右京(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が好調。1分22秒098で6番手につけている。
75分経過。#64大湯がニュータイヤを履いて一番時計を狙うがコース終盤でミスを犯しタイム更新ならず。ここまでトップから1秒の間に13台がひしめく接戦になっている。参戦2年目の女性ドライバー#12タチアナ・カルデロン(ThreeBond Drago CORSE)は1分22秒549で14番目。
フリー走行終了。終盤は路面温度が20度に上がったが、そのなか各車アタックを行い続々タイムアップ。#37宮田が1分21秒467でトップへ出るが、#16野尻が21秒091でその座を奪い返す。#5福住も最後に1分21秒208で2番手に上がるが#16野尻には届かず。このトップ3に#20平川、#6笹原、#64大湯が続いた。フリー走行を見る限り予選でポールシッターの可能性があるのはこの6人になりそうだ。
予選はノックダウン方式で午後2時40分から行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
9月20日、ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパン(PCCJ)シリーズ第4戦代替レースの決勝が、栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、スタートでトップに出た#60小河諒(LM corsa)が後続の執拗な追撃を抑えきり優勝を飾った。プロアマクラスは#25内山清士(NIHON KIZAI PORSCHE)が競り合いを制して優勝。アマクラスは#15神取彦一郎(911 Service)が独走で優勝を飾った。
SUGOで行われるはずだった第4戦が悪天候で中止となったため、急きょ組まれた代替レースは、実質シリーズの最終レースとなる。時折降っていた雨も上がり、16時からの決勝はドライコンディションのなか行われた。
スタートでは2番グリッドの#60小河が好スタートを見せ、#31上村優太(Nine RACING)、#24近藤翼(NIHON KIZAI PORSCHE)を従えて1コーナーに飛び込む。この3車は一定の間隔を保ちながらトップグループを形成。コースレコードを上回る1分53秒台のハイペースで周回を重ねる。
5周を過ぎたあたりから、#24近藤が若干遅れはじめ、#60小河と背後に迫る#31上村の一騎討ちの様相を呈してくる。両者のハイレベルな戦いは最終12ラップまで続いたが、#60小河が抑えきってチェッカーを受けた。
見応えのある好バトルだったが、レース後2位フィニッシュの#31上村には複数回の走路外走行があったとされ、プラス30秒のペナルティが課されることに。やや残念な幕切れとなった。
プロアマクラスは、クラスPPスタートの#98IKARI(BJR PORSCHE)がオープニングラップの1コーナーでスピンを喫し脱落。以降は#25内山と#77浜崎大(GR-Racing VENTILER)が常にコンマ数秒差の接近戦を演じた。この状態はチェッカーまで続いたが、終始トップを守った#25内山が逃げ切りに成功した。
アマクラスは、午前中の雨のレースでタイヤ選択を失敗した#15神取が、その鬱憤を晴らすかのような走りを見せ他を圧倒。スタートから#36Sky Chen(SKY MOTORSPORTS)との差を着実に開き、最後は21秒の大差をつけ快勝。
このレースで今シーズンのPCCJは全日程を終了。総合は#24近藤翼(NIHON KIZAI PORSCHE)、プロアマクラスは#25内山清士(NIHON KIZAI PORSCHE)、アマクラスは#36Sky Chen(SKY MOTORSPORTS)がチャンピオンに輝いた。
第4戦(振替)レース結果
■総合
1位#60小河諒(LM corsa)
2位#24近藤翼(NIHON KIZAI PORSCHE)
3位#20石坂瑞基(Porsche Japan Junior Programme)
4位#31上村優太(Nine RACING)(※ペナルティ+30秒)
■プロアマクラス
1位#25内山清士(NIHON KIZAI PORSCHE)
2位#77浜崎大(GR-Racing VENTILER)
3位#3TAKASHI HATA(A-NeKT & TeamKRM)
4位#98IKARI(BJR PORSCHE)
■アマクラス
1位#15神取彦一郎(911 Service)
2位#36Sky Chen(SKY MOTORSPORTS)
3位#51春山次男(BINGO RACING)
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
- 優勝 #3阪口晴南(Sutekina #3)
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路面が濡れていたので難しいスタートになるだろうとは思っていました。三浦(愛)選手がスタートが良いのは今までのレースを見ていて分かっていました。逆に古谷選手は濡れたイン側スタートだったので厳しいだろうと思っていました。案の定スタートで三浦選手に抜かれましたが、明らかにオーバースピードだったので、無理せずうまく混乱を抜けることができました。
途中雨が降ってきてペースが落ちましたが、後ろが離れていましたし、自分がトップで最初に濡れた部分を走ることになるので、このときも無理せず走りました。それでも昨日のレースよりもペースは良かったですし、さらにペースを上げることも出来たと思います。
ライバルとの差は目に見えているより少ないと感じていますし、実際28号車は自分を上回るペースで走っているラップもありましたので、気を緩めずに次の岡山も良い週末にしたいと思います。結果という点では満足していますが、走りではまだまだ詰める部分があると感じています。
- マスターズクラス優勝 #11植田正幸(Rn-sports F111/3)
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最初の周のアクシデントの接触でアライメントが狂ってしまいましたので、ずっとハンドルのセンターが少しずれた状態で走っていました。それで特に右コーナーがうまく走れずペースが上がりませんでした。ただ完全なドライではなかったので、今田選手を抑えることはできるだろうと思っていました。
コース前半のセクター1は僕のほうが速くて、セクター4は今田選手が速いというように、それぞれ速い部分が違っていました。1コーナーはイン側が濡れていたので乾いているラインを抑えておけば入っては来れないだろうと思っていました。あの周は僕が最終を少しミスったので、今田選手もここしかないと思ったんでしょう。
接触の後はエンジンがなかなかかからずコース復帰が遅れましたが、当たったのがサイドポンツーンで、足回りへのダメージがなかったのは良かったです。
次に向けては、エンジニアがつくったクルマを乗りこなせてないところが課題です。そこを改善できれば、また良い戦いができると思います。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE
9月20日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第10戦の決勝が栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、ポールポジション(PP)スタートの#3阪口晴南(Sutekina #3)が昨日に続く独走で連勝記録を7に延ばした。2位には#3阪口を脅かす存在になりつつある#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)が入った。
マスターズクラスは、クラス3番手からスタートした#11植田正幸(Rn-sports F111/3)が荒れたれースを制して2勝目のチェッカーを受けた。
午前中に降り続いていた雨も上がり、曇天ながらサーキットはすっかり秋の気配に包まれている。第10戦決勝の見所は、#28古谷が常勝#3阪口にどこまで迫ることができるのか、またマスターズは予選で4位に沈んだ昨日第9戦の覇者#4今田信宏(JMS RACING)の追い上げも注目された。
路面は完全なドライではなく表面がうっすら濡れている。路面温度は26度。全車ドライタイヤを装着しているので走行ラインが乾くまでは注意が必要だ。
その懸念がスタート直後の1コーナーでいきなり現実のものとなってしまった。好スタートで#3阪口のインを刺し前に出た#6三浦愛(Super License)がオーバースピードでスピン。これにより後続は大混乱。クラス2番手スタートの#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)はマシンにダメージを負ってここでリタイア。#6三浦もリアウィングが曲がり、S字で再度スピン、ピットに戻り悔いの残る形で自身の2戦目を終えることになった。
この難を逃れたのが、スタートでエンジンストールしてしまい大きく出遅れた#28古谷。災いが転じて混乱する1~2コーナーをくぐり抜け、トップ#3阪口の7秒後方2位の位置で1周目を終えた。
6台となってしまったレースだが、#3阪口と#28古谷はお互いにファステストラップを更新しながら周回を重ねる。そのタイムは路面状況の回復とともに、1分49秒台から48秒台へと入り、7周目には#3阪口が1分47秒881という第9戦のベストを上回るコースレコードを記録。#28古谷も必死に追いすがるが、僅かずつ差が開いていく。
この2人の20秒後方ではマスターズのトップ争いが白熱。スタートから6周を費やして#11植田の背後まで迫った#4今田が前に出るチャンスを窺う。#11植田は1周目のアクシデントで接触しアライメントが狂っている手負いの状態ながら、1分50~51秒台のペースを維持。コース前半は#11植田、後半は#4今田が速く、#4今田もなかなかチャンスを見いだせない。
そして、レースも残り5周を切った13周目の1コーナーで、やや無理をしてインに飛び込んだ#4今田と#11植田が接触。スピンした#11植田はエンジンの再始動に手間取りコース復帰が遅れるが、#4今田も左フロントタイヤを痛めてピットイン。このアクシデントで#11植田が大きくリードを築くことになった。
#28古谷を8秒後方に従えてトップをひた走る#3阪口は途中雨粒が落ちてきてペースダウンするものの、不安定なコンディション、荒れたレースをものともせず、今回も独走で7勝目。シリーズでもトップの座を確固たるものにした。
2位#28古谷は今回もスタートが鬼門となってしまい悔しがることしきりだが、速さは確実に身に着けつつあり「ペースはレース毎に速くなっている」と本人も手応えを感じている。#3阪口の前を走る可能性があるのは現状では#28古谷しかいない。
マスターズクラスは#11植田が度重なるアクシデントを乗り越えて2勝目のチェッカー。マシンはフロントウィングとサイドポンツーンが傷つき痛々しい姿になったが、第5戦菅生戦以来の勝利に笑顔を見せた。レース終了後は反省しきりの#4今田と談笑し、この和気あいあいとした雰囲気はマスターズクラスならではだろう。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE
Shigeru KITAMICHI

9月20日、ポルシェ・カレラ・カップ・ジャパン(PCCJ)シリーズ第8戦の決勝が、栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、#24近藤翼(NIHON KIZAI PORSCHE)が独走でポール・トゥ・フィニッシュ。プロアマクラスは#77浜崎大(GR-Racing VENTILER)、アマクラスは#36Sky Chen(SKY MOTORSPORTS)がそれぞれクラス優勝を飾った。
曇天となった第8戦決勝日、何とか堪えていた空から決勝スタート前に雨粒が落ちてきてコースを濡らす。各チームは急いでスリックからレインタイヤへの交換を始める。
午前10時55分、1周のフォーメイションラップからスタートしたレースは、#24近藤が好スタート。これに#60小河諒(LM corsa)、#31上村優太(Nine RACING)が続き、スタートをミスした2番グリッドの#20石坂瑞基(Porsche Japan Junior Programme)は4位にドロップ。
トップ#24近藤は周回を重ねるたびに後続との差を広げ、折返しの6周終了時には4秒のマージンを築く。後方では2位#60小河にジワジワと#31上村が迫る。
レースに動きが出たのは8周目、満を持して1コーナーで#60小河のアウトに並んだ#31上村が3コーナーで逆転。しかし#60小河も粘り、次の周の1コーナーで#31上村のインを突き最逆転。両者の攻防はフィニッシュまで続いたが#60小河が守りきって2位を得た。
優勝の#24近藤は後続が競り合ったことで、無理をする必要もなく、終盤はペースを維持して独走優勝。
プロアマクラスは、クラスPPスタートの#77浜崎大(GR-Racing VENTILER)が序盤ハイペースで飛ばし、2位#98IKARI(BJR PORSCHE)と5秒の差を築くと、終盤はその差を保ったままフィニッシュ。
アマクラスは、クラスPP#15神取彦一郎(911 Service)がスリックタイヤでフォーメイションラップをスタートする賭けに出たが、雨の状態に走れないと判断。即座にピットインしタイヤに交換したことで大きくタイムロス。勝利の権限を失ってしまった。これで敵のいなくなった#36Sky Chenがスタートから独走で優勝。
第8戦レース結果(暫定)
■総合
1位#24近藤翼(NIHON KIZAI PORSCHE)
2位#60小河諒(LM corsa)
3位#31上村優太(Nine RACING)
4位#20石坂瑞基(Porsche Japan Junior Programme)
■プロアマクラス
1位#77浜崎大(GR-Racing VENTILER)
2位#98IKARI(BJR PORSCHE)
3位#25内山清士(NIHON KIZAI PORSCHE)
4位#3TAKASHI HATA(A-NeKT & TeamKRM)
■アマクラス
1位#36Sky Chen(SKY MOTORSPORTS)
2位#51春山次男(BINGO RACING)
3位#15神取彦一郎(911 Service)
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
今シーズンから始まったフォーミュラ・リージョナル選手権(全6大会14レース)も第4大会となるツインリンクもてぎ戦から後半に入った。すでにレース数としては14レースのうち8レースが終了している。
今大会で注目されたのは、ここまでシリーズリーダーだった高橋知己に代わってSuper Licenseチーム6号車のシートを得た三浦愛(みうらあい/30歳)だ。
小学生のときにカートでレースキャリアをスタートさせた三浦は、2011年の4輪レース転向後は、スーパーFJ、フォーミュラ・チャレンジ・ジャパン(FCJ)で経験を積んだ後、2014年に全日本F3にステップアップ。旧年式のNクラスで2年走り優勝も経験した後、メインシリーズで4シーズン戦った。しかし才能あふれるドライバーのなかで上位に食い込むことは難しく、悔しく苦しいシーズンを過ごした。
そして全日本F3選手権が終了し、フォーミュラピラミッドの再編が行われた今年、新たなチャレンジの場としてKYOJO CUPに参戦している。
そんなレーシングドライバーとしてのキャリアを積み上げてきた三浦もすでに30歳。レーシングドライバーとしても岐路に立っている三浦に話を聞いた。
- 今回の参戦経緯
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開幕戦からフォーミュラ・リージョナルのシートを得たいと思って現場に足を運び、メカさんやエンジニアさんとも話をするなかで可能性を探っていました。私は岡山を得意としているので、何とか岡山で1戦だけでも出たいと思っていました。
そんなときに国井さん(Super Licenseチーム国井正巳代表)から今回のお話をいただき、びっくりしました。国井さんとは殆ど面識がありませんでしたし、スーパーライセンスチームは高橋選手がフル参戦するものと思っていましたので、正直可能性はないと思っていました。
ここまでの実績が証明しているように強力なサポートをいただけるチームですので、すごく良いお話をいただき感謝しています。
(補足)国井代表によると、今回のドライバー変更は高橋選手の事情によるものだという。チームとしては次の岡山大会までは三浦選手で参戦するが、最終戦のオートポリスは欠場の可能性もあるという。また今シーズンの残るレースは三浦選手以外での参戦は考えていないとのこと。
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- Fリージョナル(マシン)の感触
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一昨日から走り始めました。最初は良い感じだったのですが、異なるクラスのクルマが走って路面状況が変化するなかで、その変化に対応できていないと感じました。クルマは仕上がっているので、自分がもっとクルマに慣れる必要があると思っています。
リージョナルはダラーラ(F3)と比べると機敏さはありませんが、パワーもあって正にF4とF3の中間という感じがします。
ポイントは車重とターボを如何に上手に扱うかということだと思います。車重があるのでブレーキング時の止め方、姿勢のつくり方、また加速時にターボラグがあるので、滑らせずに前に進めるためのコントロールは、これまでのF3とは随分違うと感じています。
またセッティングに関しては、触れられるところが少ないなかで上手くバランスを取るのが難しく、触る場所によって変化が出るところと出ないところもあるので、まだ掴みかねているというのが正直なところです。
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- 今後(レースキャリア)のこと
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正直、今シーズンF3に乗れなくなった時点で引退は近いなと思っていました。プロになれないなかでいつまでもレースを続けるのは金銭的にも厳しいですし、また続ける意味も自分のなかで見いだせなくなりかけています。
ただ、これまでフォーミュラしか知りませんでしたが、KYOJO CUPやツーリングカーにもチャレンジするなかで、やはりまだ上のカテゴリーで走りたい、上を目指したいという気持ちが自分のなかにあることに改めて気付きました。
でも、ドライバーとしての需要がないのに、自分の欲を満たすためだけに走るのでは意味がないとも思っています。走ることで誰かのためになるとかそういうことがあるのであれば、まだ上を目指してもいいのかなという気持ちもあって、正直かなり揺らいでいます。
今年与えてもらったシートで結果を残せないのであれば走る意味はないのかなと。ダラダラ続けるつもりはないので、そこは自分の実力を受け入れて判断しなければいけないと思っています。
その意味で、リージョナルで参戦する今回のもてぎと岡山は今後を決めるための非常に重要なレースだと思っています。
素直な人柄と笑顔が魅力的な三浦だが、言葉の端々からその表情の奥に隠された芯の強さを感じさせる。それは、今回のリージョナルにかなりの覚悟を持って参戦しているからでもあるのだろう。
「人生は選択の連続である」とは、かのシェイクスピアの名言であるが、三浦はリージョナルへの参戦を経てどのような選択をするのだろう。レース参戦に新たな意味を見出すのか、レース経験を生かした居場所を見つけるのか、レースから離れた人生を歩むのか、三浦の選択に興味津々である。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE
- 優勝 #3阪口晴南(Sutekina #3)
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路温がかなり低かったので、これまでの富士のレースとは違うスタートになるだろうなとは思っていました。僕もあまりスタートが良かったわけではなく、トップを守れて良かったです。序盤(後方)の競り合いで後ろとの間隔が開いたのですが、古谷選手が前に出てからは僕と近いペースで走っていましたので、ユーズドタイヤでのペースは自分としては課題かなと思っています。
ラップは古谷選手に対してコンマ2秒くらい速かったと思いますが、これをコンマ3秒、コンマ4秒へと広げるのが自分の役目だと思います。明日は古谷選手がスタートを決めれば、良い勝負になるかもしれないので気を引き締めて臨みたいと思います。
- マスターズクラス優勝 #4今田信宏(JMS RACING)
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初のポール・トゥ・ウィンです(満面の笑み)。最初からペースを上げて逃げたかったのですが、三浦選手がなかなか離れなくて。ただ、もてぎのコースは抜きづらいので要所さえ抑えておけば、そう簡単に抜かれることはないだろうと思っていました。三浦選手はブレーキングが上手いので、そこを意識して、とにかくミスをしないように気を付けました。途中タイヤがきつくなってタイムが落ちましたが、三浦選手も同じような状況だったようですので、差はあまり変わらなかったように思います
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE
9月19日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第9戦の決勝が栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、#3阪口晴南(Sutekina #3)が好スタートから独走で優勝。#3阪口はこれで6戦6勝、ポール・トゥ・ウィンを続けている。
マスターズクラスは、初のポールポジションからスタートした#4今田信宏(JMS RACING)が#34三浦勝(CMS F111/3)を抑えきって今季5勝目を飾った。
予選時に降っていた雨は上がったものの、スタート前のサーキット上空は今にも泣き出しそう雲行きで、各チームはグリッド上にレインタイヤを持ち込んで天候の急変に備えた。
結局雨が降ることはなくスタートを迎え、ポールスタートの#3阪口がトップで1コーナーに飛び込み、これに予選3位の#6三浦愛(Super License)が続く。「動き出しは良かったがホイールスピンをしてしまった」という#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)は#6三浦の先行を許すことになってしまった。
3周目までは#6三浦が#28古谷を上手く抑え、この間にトップ#3阪口はラップタイムを1分49秒台から48秒へと上げ、コースレコードを更新しながら一気に逃げる。その差は3周終了時で5.6秒と早くも独走態勢を築く。
4周目、それまで#6三浦に抑えられていた#28古谷は、1~2コーナーで横に並ぶと3コーナーでついに前に出ることに成功。トップ#3阪口に遜色ないタイムで追撃態勢に入る。
しかし、後方との差を無線で聞きながら冷静に走るトップ#3阪口は、#28古谷がタイムアップするとそれに合わせるようにペースを上げ、#28古谷より常に0.2~0.5秒速いラップを刻みながら周回を重ねて14周を走りきり、最終的に2位#28古谷に10秒近い差をつけて貫禄の勝利を飾った。
3位にポジションダウンした#6三浦も、1分50秒台から49秒台にペースを上げて2人を追ったが、48秒台で走るトップ2とは差が開いて単独走行となり、3位フィニッシュでリージョナル初レースを終えた。
優勝した#3阪口はこの勝利でシリーズポイントでもトップに立った。欠場した第2大会菅生戦の3レースはノーポイントだが、それ以外の6レースは満点の25点を取り続けている。
マスターズクラスは、逃げる#4今田の背後に予選2位の#34三浦勝(CMS F111/3)が迫るという展開がスタートからフィニッシュまで続いた。結局、「何度か仕掛けましたが、もてぎで前に出るのは難しい。明日もレースがあるので無理はしませんでした」という#34三浦を#4今田が抑えきって念願のポール・トゥ・ウィンを飾った。
クラス3位争いも、逃げる#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)、追う#11植田正幸(Rn-sports F111/3)が最後まで競り合ったが、こちらも#30DRAGONが抑えきって表彰台を得た。
第10戦の決勝は明日20日の午後1時20分から17周で争われる。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE
9月19日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第9,10戦の予選が栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、#3阪口晴南(Sutekina #3)がウェットコンディションのなか2レースともポールポジションを決めた。予選2位は#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)、3位には初エントリーの#6三浦愛(Super License)が入った。マスターズクラスは、第9戦は#4今田信宏(JMS RACING)、第10戦は#34三浦勝(CMS F111/3)がともに初ポールポジションを獲得した。
初開催となるツインリンクもてぎのレースはエントリーが8台とやや寂しいものとなってしまった。現在シリーズリーダーの高橋知己はエントリーせず、#6号車はF3経験も豊富な三浦愛がドライブすることになった。チームとしては次の岡山戦まではこの体制でいくとのこと。
予選1回目
開始直前に雨が降り出し各チームはタイヤ選択に悩むことになった。結果的に雨は降り続いたためレインタイヤの選択が正解だったのだが、#6三浦愛はドライを選択したため途中タイヤ交換をしなければならず5分をロス、やや慌ただしい予選となってしまった。
そんなコンディションでも#3阪口の速さは安定しており、他のドライバーが慎重に周回を重ねるなか、コンディションの悪化を見越して早々に2分00秒463をマーク。翌周には1分59秒692とタイムを削り取り、この時点でポールポジションを確実なものにした。
開始9分を経過したところで、マスターズのトップだった#4今田信宏(JMS RACING)が130R立ち上がりでコースオフ。グラベルにはまってしまい、この処理のため予選は中断となった。
中断の間も雨は降り続きコンディションは悪くなる一方。タイヤ交換のためこの時点で最下位だった#6三浦にとっては苦しい状況になるが、残る5分を冷静に走り、ラストアタックでタイムアップ。マスターズのドライバーを一気に抜いて#3阪口、#28古谷に続く予選3位を獲得した。
マスターズクラスは、赤旗の原因をつくってしまったものの#4今田が初クラスポール。第1大会富士以来の参戦となった#34三浦勝が続いた。
予選2回目
予選1回目から僅か10分のインターバルで始まるため、路面状況は相変わらずウェットのまま。各ドライバーは路面状況を探りながらアタックを続ける。
ここでも#3阪口の速さは抜き出ており、悪化したコンディションのなか、2分01秒287、2分00秒052、1分59秒952、1分59秒623と確実にタイムアップを果たしていく。
これに対し、#28古谷も2分03秒434、2分02秒360、2分01秒142、2分01秒066とタイムアップはするものの、各ラップ1~2秒の遅れをとってしまう。その焦りからか予選終盤には3コーナーでコースアウトしてしまった。
3位#6三浦は#28古谷に迫ったものの逆転には至らず、上位は予選1回目と同じ順位となった。
マスターズは、先行した#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)、#11植田正幸(Rn-sports F111/3)を終盤に#34三浦が逆転。通算5戦目にして初ポールポジションを獲得した。
決勝は、第9戦が本日午後3時30分から14周で、第10戦は明日の午後1時20分から17周で争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Kazuhiro NOINE

270馬力を発生するインタークーラーターボ付きアルファロメオ1750ccエンジン
写真提供:フォーミュラリージョナル事務局(FRJ)
新型コロナウイルスの影響で2か月遅れで開幕を迎え、2大会6戦を終えたフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ選手権。現在のところ台数的には活況を呈しているとは言い難いが、トップグループは毎戦かなり高次元なバトルを展開している。
このシリーズでは、新たに開発された童夢製マシンF111/3にインタークーラーターボ付アルファロメオ1750ccエンジンという国内レースでは珍しいエンジンを搭載している。
なぜ、トヨタ、ホンダではないのかという声がある。FIAの定めた世界標準のプライスキャップ(規定価格)の制約があったためとも言われているが、それだけではないドライバーに寄り添った思惑があったことはあまり知られていない。
リージョナルカテゴリーの立ち上げから関わり、世界のシリーズを統括する世界自動車連盟(FIA)との折衝からカスタマーサポートまで広く担当する株式会社童夢の有松義紀氏に聞いた。
- リージョナルレースの狙いは?
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国内レースにおいては、各メーカーのスクールなどで育った、いわゆる“メーカー系ドライバー”でないと、ステップアップしづらいというエントラントの声を聞いていました。フォーミュラ・リージョナルは、メーカー系もそうでないドライバーも道具としての平等なレーシングカーで戦い、ドライバーはもとよりエンジニアやチームも含めて、アピールの一助となるカテゴリーにしたいと思っていました。
直接的には開幕までの時間の制約が原因ですが、結果としてニュートラルなアルファロメオエンジンを採用することになりました。これによってメーカー系ドライバーに対する「あいつのエンジンは違う」などという根拠のない憶測も排除することができます。また、このカテゴリーからヨーロッパへ飛び立ってほしいという願いもあり、ハード面でそれがしやすい環境を整えました。
- ヨーロッパを目指しやすいハード面の環境とは?
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ヨーロッパでは、リージョナルの上位規格の車両、さらにはフェラーリ系エンジンを含むとF1まですべてマレリー社のデータロギングシステムを採用しています。
最初は簡単に移行できるのでFIA-F4規格の童夢F110と同じデータロギングシステムにしようとも思いましたが、リージョナルに乗るドライバーの可能性を広げたいと思い、アルファロメオ+マレリーという組み合わせにしました。制御とロギングシステムの習得にはそれなりに時間がかかりますので、ヨーロッパに行って一から勉強していたらそこでチャンスを逃してしまうこともあります。リージョナル・ヨーロッパ選手権に参戦するなら、シャシーは違っても(注:ヨーロッパはタトゥース製シャシーを使用)エンジンと制御系は同じパッケージであり、このシステムを使えるエンジニアと一緒に向こうへ行けば、その面ではハンデなしでパフォーマンスを発揮することができます。特にスタートや、スピンした時のとっさに対応において、身構える必要がありません。

走行後のデータ確認、分析にも同じデータロギングシステムを使うメリットは大きい
写真提供:フォーミュラリージョナル事務局(FRJ)
今シーズンは、コロナの影響で予定していたカレンダーの変更を余儀なくされ、SUGO大会は鈴鹿のスーパーGTと日程が重なってしまった。このため、一部のドライバーやメインテナンスガレージが日程的に難しく、参戦を断念せざるを得なかったチームもあった。また、参戦を予定していた外国人ドライバーが出入国制限で参戦できない不運もあり、現時点ではやや盛り上がりに欠けている感は否めない。
しかし、童夢では今シーズン予定していた16台のデリバリーは滞りなく終了し、20年後期デリバリー車両も若干数生産予定という。また富士大会とSUGO大会を見ての引き合い、海外からの問い合わせも多く、9月からは来シーズンの受注も開始する予定とのこと。
我慢のときを経て、フォーミュラ・リージョナルが盛り上がりを見せる日もそう遠くないはずだ。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo:フォーミュラリージョナル事務局(FRJ)
- 優勝 #6高橋知己(Super License)
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完璧なレース展開だったと思います。午前中に少しトラブルの出たクルマも問題ありませんでした。ただ、僕だけユーズドタイヤだったので、最初の数周は後ろに詰められることもあると思っていました。でもそれは想定内のことですので、焦りはまったくありませんでした。
今週末は何と言っても1戦落としてしまったのが痛かったですね。3連勝できれば100点満点だったのにと悔やまれます。でも、終わりよければすべて良しということで気持ちを切り替えていきたいと思います。失敗は次に生かします。次はまた晴南選手と走ることができるので、打倒、晴南選手で頑張ります。
- マスターズクラス優勝 #4今田信宏(JMS RACING)
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午前中のレースで悔しい思いをしたので、今回は気合を入れていきました。タイヤもちゃんと温めました(笑)。前半にマージンを築いて、後半はタイヤマネージメントをしながら走るという作戦どおりの展開でした。路面温度の上昇や暑さはさほど気にならなかったですね。体力はカートで走り込んでいる効果が出たと思います。
レースも楽しめましたし、本当に良い週末でした。目標はシリーズ優勝ですが、前を走る若いドライバーとの差も詰めたいですね。スタートは自信がつきましたから、課題は予選の一発の速さですね。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Shigeru KITAMICHI
8月23日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第6戦の決勝が宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールポジションからスタートした#6高橋知己(Super License)がスタートから逃げ切りに成功し2勝目を飾った。
マスターズクラスは、スタートを得意とする#4今田信宏(JMS RACING)がこちらも独走で今季4勝目のチェッカーを受けた。
午後になって時折日は射すものの、強烈な暑さを感じることはない。しかし路面温度は午前中の35度から40度に上昇。そのなかで行われる第6戦は周回数が第4,5戦より4周伸ばされ22周で争われた。
こうなると周回数がレース展開にどう影響するのか気になるところ。大きなファクターはもちろんタイヤだ。この週末もタイヤが勝負の分かれ目になっている。
ポールポジションの#6高橋を除く全車がニュータイヤを装着してグリッドにつき迎えたスタートは、#6高橋が好スタートを切り、これに予選2位の#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)をかわした#8根本悠生(ZAPSPEED F111/3)が続く形で幕を開けた。
「チャンスがあれば1,2周目にニュータイヤのアドバンテージを生かして前に出ようと思っていた」という#8根本だが、それを重々承知の#6高橋は最初の3周は#6根本をきっちり抑え、逆に徐々に差を開いていく。
4周目にファステストラップとなる1分18秒888をマークした#6高橋は、その後も18秒後半から19秒前半のタイムを刻み後続との差を開いていく。その後方では#6根本と#古谷が0.5秒前後の差で競り合うという展開は、レース中盤になっても変わらず続いた。
レース折返しを過ぎ、残り5周となる17周目にはトップ#6高橋と2位#8根本の差は4秒と、#8高橋は完全に安全圏に入った。しかし、#8根本と#28古谷の2位争いはヒートアップしたまま終盤に突入。
この決着がついたのが残り2周を切った21周目のレインボーコーナー。「抑えきれると思っていた」という#8根本の術中にハマるように、#28古谷が単独でコースアウト。大きく遅れてしまった。
前戦のマシントラブルも解消され「完璧なレースでした」という#6高橋は、最後は5秒の差をつけて2勝目のフィニッシュ。次戦は再び阪口晴南との直接対決が待っている。
マスターズクラスも同じようなレース展開となった。お馴染みのスタートダッシュを決めた#4今田が逃げ、これを#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)と#11植田正幸(Rn-sports F111/3)が追うという形だ。
「前半でマージンを築こうと思った」という#4今田は、その言葉どおり10周終了時には5秒の差をつけ完全に独り旅。残り周回もペースを落とすことなく、4勝目のチェッカーを受けた。
「タイヤの内圧セッティングに失敗した」というクラスPPの#11植田はスタート直後3位まで後退。序盤2位#30DRAGONに3秒以上離されてしまったが、9周目あたりからペースの落ちてきた#30DRAGONに一気に近づき、14周目にはついに背後に迫った。しかし、抜くことはできすに悔しい3位フィニッシュ。連勝はならなかった。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
- 優勝 #8根本悠生(ZAPSPEED F111/3)
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最高のスタートでした。スポット参戦ですから結果を残さないととは思っていましたが、それが実現できて良かったです。勝因はタイヤの使い方を考えたところです。チームと話し合ってタイヤの内圧など細かいところまで詰めて、自分も走りを少し変えるように心がけました。
一応フォーミュラは2013年から乗っていますので、負けられないという思いもありました。突然スタートが良かったりする意外性が僕の売りです(笑)。午後のレースも基本的な方向は変わらないと思いますが、これからチームと話し合っていきます。まずはスタートですね。
- マスターズクラス優勝 #11植田正幸(Rn-sports F111/3)
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勝ててホッとしています。6連続ポールで勝てないのはマズいですから(笑)。
自分のスタートは悪くなかったのですが、今田選手が良すぎました。でも後ろから見ていたらアンダー気味だったのでチャンスはあると思っていました。今田選手はフォーメイションラップでリアタイヤを温めていましたが、僕はフロントを温めていたのでその差がレース序盤で出たということだと思います。
前に出てからはタイヤを労りながら自分のペースを守りました。後ろも徐々に離れていったので終盤は余裕を持って走ることができました。午後のレースも連勝目指して頑張ります。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
8月23日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第5戦の決勝が宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、3番グリッドからロケットスタートでトップに立った#8根本悠生(ZAPSPEED F111/3)が優勝を飾った。
マスターズクラスは、ここまで6連続ポールを決めている#11植田正幸(Rn-sports F111/3)が念願の初優勝。
曇天のスポーツランドSUGO。決勝スタートの9時20分になっても暑さは厳しくなく、タイヤにとってもドライバーにとっても優しい天候となった。時折射す陽も東北らしく強烈な暑さは感じない。
ロケットスタートを決めたのは#8根本。予選3位の位置から一気にトップに躍り出る。「自分のスタートも悪くなかったが根本選手が速すぎた」という前戦の勝者#6高橋知己(Super License)を従えて1周目を終える。この状態を変えたい#6高橋は4周目の1コーナーでアウトから仕掛けるがここはきっちり#8根本が抑える。
予選2位の#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)は、悪いスタートではなかったが、昨日に引き続き好スタートを見せたマスターズクラスの#4今田信宏(JMS RACING)に先行される。2周目には#4今田をパスするが2台からは4秒のビハインドとなってしまった。
しかし、成長著しい#28古谷は諦めず、ここからファステストラップを更新しながらトップ2車を追い上げる。
そのトップ2台は0.3~0.5秒の差で周回を重ね、外から見た感じは膠着状態のように見えたが、実は#6高橋はターボがうまく効かずにパワーダウンしたマシンと格闘していた。「何とかついていきましたが上りでは離されてしまう」と、仕掛けるチャンスを得られないままレースは終盤に突入する。
トップに徐々に近づいていた#28古谷は4秒あった差を、4周目3.2秒、9周目1.9秒、そして12周目には0.9秒まで縮めるものの、13周目の1コーナーでブレーキをロックさせてしまい、せっかくの苦労が水の泡になってしまった。
最後は、マシンのパワーダウンに悩まされていた#6高橋がトップ#8根本に若干離され、そこに#28古谷が迫るという場面はあったが、結局そのままの順でフィニッシュ。スポット参戦の#8根本が嬉しい初優勝を飾った。
#4今田の好スタートで幕を開けたマスターズクラスは、冷静に後方から様子を見ていたクラスPPの#11植田が2周目の馬の背からレインボーコーナーで並んで逆転。「タイヤの温め方を間違えた」という#4今田はアンダー傾向のマシンを抑えることができず、あっさりトップを譲る。次の周には#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)にも先行を許し、連勝の夢はここでついえた。
クラストップに立った#11植田は「タイヤを温存しながら走った」というものの安定したペースで2位#30DRAGONとの差を確実に開き、最後は4秒余りの差をつけアクセルを緩めながら余裕のフィニッシュ。5度目の正直で念願の初優勝を遂げた。
第6戦の決勝は、午後1時40分から予定されている。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
スポーツランドSUGOで2大会目を迎えたフォーミュラ・リージョナル選手権。阪口晴南のライバルに成りうる期待の若手を紹介するシリーズの3人目は、今シーズン、イタリアGT選手権にフル参戦中の根本悠生(ねもとゆうき/23歳)(ZAPSPEED)だ。
他のドライバー同様に、小学生の頃からカートにはまり、大井松田のシリーズ戦、JAFジュニア東日本シリーズ、全日本カート選手権とステップアップを果たし、2013年の4輪転向後はスーパーFJ筑波シリーズ、FIA-F4、全日本F3に参戦し、2017年からはランボルギーニでGTレースにも参戦している。
海外のフォーミュラではなくツーリングカーレース、それもランボルギーニでの参戦にやや異色な印象を受けるが、本人は「他の日本人ドライバーがやらないことをやっている楽しさはあります。僕としてはランボで世界一を取ることを目指していますし、いずれ海外と日本を繋ぐような役割を果たしたい」と自分の可能性、さらには自分に続くドライバーの可能性を広げるためという目的意識をしっかり持っている。
もともと興味があったというリージョナルレースへのスポット参戦は、チームと童夢からの誘いで実現したというが、GTレースへ何か反映できるのではないかという思いも後押しした。あくまでも今季のメインはイタリアGT選手権だ。ただ、チャンスがあればスーパーフォーミュラ・ライツなど他のカテゴリーにも積極的に参戦したいという。
リージョナルマシンの印象を聞くと、パワーがあり、速いフォーミュラを操っているという楽しさを感じことができること。また、セットアップが素直に動きに反映されるので、フォーミュラカーを学ぶには適しているマシンであることを挙げてくれた。
とはいえ、今回はクルマを作り上げる時間が足りず、久しぶりのフォーミュラということもあって、トップとのコンマ5秒の差を埋めるのに苦労をしている。決勝では大胆なセッティングも試したいという。
若いにもかかわらず、根本の明確な目標と自分が果たせる役割を模索しながらレースにチャレンジする姿は非常に好感が持てる。話を聞いているとドライバーとしてだけでなく、チームをプロデュースする側でもその才能を発揮しそうだ。ひょっとすると将来日本のレース界を支える根本の姿を見ることになるかもしれない。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
- 優勝 #6高橋知己(Super License)
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優勝できてほっとしています。初優勝ですが、嬉しいというよりほっとしたというのが正直なところです。とにかく完全な形で勝って次に繋げる必要がありますから。まずは1勝できた、という感じです。
レース内容はほぼ思いどおりです。スタートさえ決まればあのような展開にできると思っていました。課題があるとすればペースが後半落ちてしまったことです。18秒台を最後までキープして、できればもう少し良いラップタイムを刻められばと思います。明日の2レースも同じような展開にするようがんばります。
- マスターズクラス優勝 #4今田信宏(JMS RACING)
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スタートが抜群に良かったです。自分でも信じられないくらいの出来でした。本当はスタートが苦手なんですが、たまたま上手くいった感じですね。上手く行き過ぎて予選3位の古谷選手まで抜きました。すぐに抜き返されましたけど。
植田選手にずっと追いかけられていましたからきつかったですね。まったく離れないのでレインボーコーナーとか要所をきっちり抑えるようにはしていました。終盤タイヤはズルズルで、アンダーとオーバーがかなり極端に出ていました。これで3勝ですが課題は予選ですね。ここまで6戦はすべて植田選手にポールを奪われていますから。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
8月22日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第4戦の決勝が宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールスタートの#6高橋知己(Super License)が独走で初優勝を飾った。
マスターズクラスは、好スタートでトップに躍り出た#4今田信宏(JMS RACING)が逃げ切って3勝目。
決勝スタート時刻には上空に雲が立ち込め、グリッド上もそれほど暑さを感じさせない天候となった。
レース前、スタートの重要性を語っていた#6高橋は無難なスタートでトップで1コーナーに飛び込む。これに続いたのは予選3位の#8根本悠生(ZAPSPEED F111/3)。フロントローイン側の#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)はスタートを失敗。後方から抜群のスタートを切ったマスターズクラスの#4今田信宏(JMS RACING)にもかわされてしまう。
ハイペースで序盤から引き離しにかかる#6高橋は、1分18秒台のタイムを刻みながら2位#8根本との差を5周目には2.6秒と開く。その#8根本は出遅れた#28古谷にジワジワと差を縮められることになる。
5周目には2.2秒あった#8根本と#28古谷の差は10周目には0.5秒、13周目には0.3秒となり、14周目に#28古谷がついに馬の背コーナーで#8根本を逆転。しかし、トップ#6高橋はこのときすでに10秒前方を走っており独走状態。後方の2人の争いを見ることもなく悠々と逃げ切って初優勝を飾った。
マスターズクラスは、好スタートの#4今田をクラスポールの#11植田正幸(Rn-sports F111/3)が1周目から攻め立て、その差は0.5秒以上離れることはなかった。終盤になってもその状態は変わらず、「タイヤがかなりきつかった」という#4今田の背後まで迫ったものの、16周目に#11植田が1コーナーで仕掛けるが抜くには至らず、その差が1秒に広がってしまう。
#11植田はそこから再度#4今田を攻め立てるものの、残り2周で前に出ることは叶わず、今回も優勝に手が届かず悔しいレースとなってしまった。優勝の#4今田は終盤ペースが落ちたものの、なんとか逃げ切って第1戦、第3戦に続く3勝目を飾った。
2人の攻防を後ろから見ていた#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)は、終盤2人を上回るペースで追い上げたものの、背後に迫るまでには至らず3位フィニッシュ。
第5戦、第6戦の決勝は明日23日の午前9時20分、午後1時40分から予定されている。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
- 総合PP #6高橋知己(Super License)
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予選は自分に勝つことをテーマにして周りは気にせず走りました。結果は良かったのですが、悔しかったのは昨日の練習走行でエンジンが息つきするトラブルが出て満足に走れなかったことです。あれがなければもっとセットアップを詰めることができたと思います。16秒台前半も出たんじゃないかと。
ただ、3年ぶりの菅生で1時間しか練習できなかったことを考えると、良い予選だったと言えると思います。
坂口(晴南)選手が出ていたら、どこまでタイムを削ったのか気にはなるところです。ただ、それはチャンスでもあると思っています。今回もスポット参戦で先のことはまったく決まっていません。結果を残して次に繋げるしかないので、3連勝目指してスタートに集中したいと思います。
- マスターズクラスPP #11植田正幸(Rn-sports F111/3)
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とりあえず3戦ともクラスポールが獲れて良かったです。前回も3戦ともクラスポールを獲りながら、決勝は伏兵ともいえる今田選手にやられてしまったので、まずはこの結果にほっとしています。
富士戦はセッティングが決まらず、一発のタイムは良いのですが、レース中盤からタイヤのタレが酷くてだめでした。今回はそこをアジャストして予選に臨みました。チームもクルマを理解できてきたのでそれも要因だと思います。
決勝はどのレースに新品タイヤを投入するかもポイントになると思いますが、そのあたりは決勝までによく考えて、とにかく勝ちたい。少し焦りが出ています(笑)。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Shigeru KITAMICHI
8月22日、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)第4~6戦の予選が宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、#6高橋知己(Super License)が3レースともポールポジションを決めた。
予選2位は#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)、3位は初参戦の#8根本悠生(ZAPSPEED F111/3)、マスターズクラスは、開幕の富士戦で悔しい思いをした#11植田正幸(Rn-sports F111/3)がクラスポールポジション。両クラスとも3戦すべて同じグリッドとなった。
同じ週末にスーパーGTが鈴鹿で開催されるため、エントリーは7台とやや寂しくなってしまった。開幕3戦で完勝した阪口晴南もスーパーGTを優先したため、その姿はない。
ただし、貪欲にチャンスを窺う若手にとってこの機会を逃す手はない。今回は新たに全日本F3経験もあり海外のGTで活躍している#8根本がエントリーしてきた。これを開幕大会で晴南に次ぐ2位を得た#6高橋、#28古谷が迎え撃つ形だ。
50歳以上のマスターズクラスは、第1戦、第3戦を制した#4今田信宏(JMS RACING)、第2戦優勝の#30DRAGON(B-MAXエンジニアリング)、#11植田、#27SYUJI(B-MAXエンジニアリング)とお馴染みの顔触れが揃った。
朝から曇っていたSUGO上空は、予選が始まる9時30分には日差しも出て夏らしい天候になった。前回同様グリッドは第4戦が予選1回目のタイム、第5戦が予選2回目のベストタイム、第6戦がセカンドタイムで決まる。
予選1回目
15分間の予選は6分を過ぎたあたりから本格的なアタックが始まり、まず#8根本が最初に1分18秒を切る1分17秒978をマーク。これを#6高橋が1分17秒520で逆転。#28古谷も1分17秒902で2人の間に割って入るという三つ巴の戦いを見せた。
この後、それぞれタイムを短縮するが、順位は変わらず、#6高橋1分17秒165、#28古谷1分17秒902、#8根本1分17秒904と、#6高橋が少し抜き出る形で予選1回目を終え、第4戦のポールポジションを決めた。
マスターズクラスは、開幕の富士戦で勝ちを逃した#11植田が予選開始から積極的に攻め、1分19秒833、19秒141、19秒012と確実にタイムを削り取って、前大会2勝の#4今田信宏(JMS RACING)を抑え切ってクラスポールを手に入れた。
予選2回目
予選1回目から10分のインターバルを経て始まった予選2回目。前半はマスターズクラスのドライバーがタイムアップをするなか、ヤングドライバーは様子見。7分を経過したあたりから本格的なアタックが始まった。
まず#8根本が1分17秒553と1回目を上回るトップタイムをマークするが、次の周には#28古谷が1分17秒450をマーク。さらにタイムを縮めるが、ここで#6高橋が1分16秒744と初の16秒台に乗せる。
セカンドタイムで第6戦のグリッドが決まるため、ドライバーは2周続けてアタックをするが、#6高橋は次の周にも1分16秒792をマーク。唯一人16秒台を連発し、第4戦に続いて第5、6戦のポールポジションも獲得した。
2位は#28古谷(1分17秒315/1分17秒339)、3位は僅かな差で#8根本(1分17秒553/1分17秒625)が続いた。
この結果、3レースともグリッドは#6高橋、#28古谷、#8根本の順となった。
マスターズクラスも「今回はセッティングを見直して臨んだ」という#11植田が本来の力を発揮し、こちらもクラス唯一となる1分18秒台を揃えてクラスポール。3レースともクラスポールからのスタートで念願の優勝を狙う。
#4今田は悔しいクラス2番手、以下、B-MAXコンビの#30DRAGON、#27SYUJIと続いた。
決勝は、第4戦が本日午後2時25分から、第5戦、第6戦は明日の午前9時20分、午後1時40分から予定されている。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
ようやく開幕を迎えたフォーミュラ・リージョナル(FR)選手権。この誕生により、国内におけるフォーミュラカーは、スーパーフォーミュラ~フォーミュラ・ライツ(FIA-F3)~FR~FIA-F4というピラミッドが構築されたわけだが、これで万々歳というわけではない。
特に今シーズンは新型コロナウイルスがレースに大きな影を落としている。そのあたりも含めて、F3経験が豊富でエントラント(B-MAX ENGINEERING)の代表としての顔もあわせ持つDRAGON選手にフォーミュラ・リージョナルの可能性などについて聞いた。
まずコロナの影響で大きかったのは、外国からの渡航制限だという。
「本来このカテゴリーは若手育成という位置づけで外国人選手を乗せるはずでした。自分も走る予定ではなかったのですが、急きょ多方面に声掛けをして、結果として自分も含めマスタークラスが揃ってしまいました(笑)」
これはスーパーフォーミュラ・ライツやスーパーフォーミュラでも同じだという。予定していた若手外国人を走らせることができず、とはいえスポンサーとの契約で走らせないわけにはいかず、チームとしては頭の痛い問題だという。
特にスーパーフォーミュラともなると技術的に走らせることができるドライバーも限られており、メーカーとの兼ね合いもあることから、今月末の開幕戦では台数の減少は避けられないのではとのこと。これに関しては「現時点ではノーアイデアです」。
話を戻してリージョナルの可能性だが、「カテゴリーとしての存在価値はあると思います。少し車重がありそれをパワーが補っている面はありますが、例えると“軽いGT3マシン”という感じでしょうか。でも、F3やF4とは性格の異なるマシンで経験を積むことは育成面を考えると意義はあると思います」。
リージョナルはマシン価格の上限が定められランニングコストも抑える工夫がされている点も評価できるという。
「ただ……」と前置きして、こんな心配があることも吐露してくれた。
「フォーミュラのピラミッドが出来たのはいいのですが、これだけカテゴリーが増えるとすべてのカテゴリーで台数が揃うのかという危惧はあります。カートからF4~FR~ライツとステップアップしていく過程を考えると、F4かFRのどちらかを選んでもいいように思います」
リージョナルに関して、B-MAXエンジニアリングとして今シーズンの参戦体制はまだ不確定とのこと。「若い人を育てるためのカテゴリーと考えていますから、もし我こそはと思う人は手を挙げてください。若い人ウェルカムです」。参戦を検討している方はぜひDRAGON選手に一報を。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI
フォーミュラリージョナル選手権期待の若手2人目は、今回が4輪レース初体験の古谷悠河(ふるたにゆうが/20歳)(TOM'S YOUTH)だ。
二十歳になったばかりの古谷だが、これまでSLナチュラシリーズ(2014年)、JAFジュニアカート選手権(2015年)、JAF地方カート選手権(2016年)、全日本カート選手権(2017年~)と順調にカートでの実績を積み重ねてきた。
満を持して4輪レースに臨む今年は、リージョナル、FIA-F4は同じトムスユースチームからフル参戦、加えてスーパー耐久(ST-5クラス)にも参戦が予定されており、かなり忙しいシーズンになりそうだ。
「走らせ方がまだ掴めない」というリージョナルでは、予選は第1戦5位、第2戦4位、第3戦3位と尻上がりに良くなっている感じだが、肝心の決勝は4位、5位、4位とほぼ同じリザルトに終わってしまった。しかも、すべて前車を追い上げながら抜きあぐねるというパターンに終止した。
まさに経験を積んでいる途上という感じだが、フォーミュラでステップアップを果たしたいという希望もあり、「まずは表彰台を目指す」と謙虚に語ってくれた。
まだあどけなさの残る古谷だが、リージョナルとF4という性格の異なるフォーミュラを経験することによって、必ずや光るものを見せてくれるはず。シーズン終盤にどのような成長を見せているのか、その変化が楽しみな存在だ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI