阪口晴南(SUTEKINA RACING TEAM)の3連勝で幕を開けたフォーミュラリージョナル選手権だが、晴南のライバルに成りうる期待の若手を紹介する。1人目はすでにフォーミュラの経験もある高橋知己(たかはしともき/22歳)(Super License)だ。
9歳でカートレースデビューを果たした高橋は、イタリア選手権、全日本選手権などに参戦した後、18歳で4輪レースに参戦。国内FIA-F4、F3アジアシリーズなどで経験を積んできた。
F3アジアに参戦した理由について「アジアシリーズにはヨーロッパのトップドライバーも参戦しているので経験を積むには国内よりも学べると思った」と言う高橋は、レースに関して常に上を見据えたビジョンを描いている。
そんな高橋だが今シーズンの参戦予定は現時点で白紙。「1週間前に話をもらって急きょ出場が決まった」と、今回はスーパーGTでRC Fを走らせるチーム・タイランドからリージョナルの開幕3戦で走るチャンスを与えられた。
テストも不十分なままレースに臨んだ高橋だが「思ったよりクルマの仕上がりも良く、タイム的には晴南選手に迫るところまできている」とかなり手応えを掴んでいる。
第1戦、第2戦は結果を残したいという思いが空回りしてしまいスタートでミス。阪口晴南の引き立て役になってしまった。意を決して臨んだ第3戦はスタートこそ食らいついたが、晴南の安定した速さに刃が立たず、2位は得たものの悔しさの残る内容となった。
それでも、準備不足のなかでマシンを仕上げる能力、未知のマシンに適応する能力は長けているように見える。次戦以降もリージョナルレースで晴南のライバルとして走る姿を見てみたい。高橋知己にはそう思わせる魅力、可能性があるように思う。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI
8月1日、フォーミュラ・リージョナル選手権第2戦の決勝(15周)が、静岡県・富士スピードウェイで行われ、第1戦に続き#3阪口晴南(Sutekina #3)がポール・トゥ・ウィンで開幕2連勝を飾った。2位には#8篠原拓朗(Sutekina #8)、3位には#6高橋知己(Super License)が入った。
第1戦と第2戦の予選、第1戦決勝のタイムだけを見ると、走り込むにつれ#3阪口と2位の選手の差が縮まっている。第1戦予選では0.841秒、第2戦予選では0.336秒、そして第1戦決勝のベストラップでは0.168秒と確実に近づいている。
しかもベストラップで一番近づいたのが第2戦でフロントローを分けた#6高橋知己(Super License)というのも競り合いを期待させる。
それだけにスタートでミスを繰り返すことは#3坂口選手とて命取りになりかねない。さらにスタート前に雨粒が落ちてきてウェット宣言がなされ、レースの行方を占うのが難しくなってきた。
しかし、少しは混戦になるだろうという期待はもろくも崩れ、蓋を開けてみればスタートで波乱は起きず、雨もコースを濡らすことはなかった。クリーンスタートで始まったレースは、好スタートを切った#3阪口の快走に次ぐ快走。#3阪口は2位以下をまったく寄せ付けず、終わってみれば2位#8篠原との差は16秒9と予想を上回る大差だった。
しかも速いだけではなく、前半は1分36秒9、中盤は37秒0、終盤は37秒1とラップタイムをきっちり揃えるあたりは、敵は自分とでも言いたげな憎らしさも感じる。
#3阪口を追う筆頭と思われた#6高橋は、スタートで大きくジャンプアップした予選5位の#5金丸に先行され、これを抜きあぐねている間に#8篠原にも抜かれるなど、経験不足を露呈してしまい、結果#3阪口の独走を助ける形になってしまった。
マスターズクラスは、クラスPPの#11植田正幸(RnーsportsF111/3)が開幕戦同様スタートから逃げたが、第1戦はトラブルで出走できなかった#30DRAGON(B-MAX エンジニアリング)がジワジワと追い上げ、10周目についに#11植田を捕らえてクラストップに立つとそのまま差を開いてフィニッシュ。
明日は午後2時10分から第3戦の決勝が行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
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阪口晴南選手をエースドライバーに起用し、新たに始まったフォーミュラ・リージョナルに参戦を果たした「SUTEKINA RACING TEAM」。耳慣れない変わったネーミングだが、語源は「素敵な」で純和製チーム。「自分が好きな言葉をチーム名にした」(代表の池田氏)とのこと。
今回は阪口選手に加え、金丸ユウ選手、篠原拓朗選手も走らせているが、この2台はあくまでもスポット参戦。チームとしては「阪口選手をチャンピオンに」を目標に今シーズンを戦う。
「晴南選手は今でこそいろいろなカテゴリーで走っていますが、一時は乗るマシンがなくなる危機に陥ったこともありました。今後のこと考えると彼には(チャンピオンの)実績が必要と思い、リージョナル参戦を決めました」(池田氏)
チームのモットーは「FUN FUN FUN」。これは「思い切り楽しめ」という意味。そしてマシンがアクセルを煽ったときの音も意識している。もちろんリージョナルのマシンにもそのモットーは描かれている。
今シーズンのフォーミュラ・リージョナルは「素敵な」思いを抱いたSUTEKINA RACING TEAM、そして阪口晴南選手に注目だ。
Text: Shigeru KITAMICHI
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8月1日、フォーミュラ・リージョナル選手権の開幕戦決勝(15周)が、静岡県・富士スピードウェイで行われ、ポールシッターの#3阪口晴南(Sutekina #3)がスタートでやや出遅れる場面はあったものの、3周目にトップを奪い返すと残る周回を危なげなく走りきり、独走でフォーミュラ・リージョナルの初ウィナーに輝いた。
予選のタイムを見る限りスタートさえ失敗しなければ#3阪口の独走が確実視されたが、あろうことか#3阪口は出遅れ、代わって3番手スタートの#5金丸ユウ(Sutekina #5)がトップに躍り出る。
#3阪口より手痛い失敗を犯したのが#6高橋知己(Super License)。エンジンをストールさせグリッドから動けず。大きく順位を落とすことになってしまった。
1周目、#5金丸の先行を許した#3阪口はやや焦ったのかテクニカルセクションでもミスを犯し、一時#8篠原拓朗(Sutekina #8)にもかわされてしまう。しかし、そこで我に返った#3阪口は冷静に#8篠原をかわすとトップ#5金丸を追う。
明らかにペースの速い#3阪口は、ベストラップを更新しながら猛追し、3周目の1~2コーナーで#5金丸に並ぶと難なく前に出てトップ奪還に成功。
トップに立ってからの#3阪口の走りは見事だった。1分37秒2から37秒5のタイムを正確に刻み続け、2位#5金丸との差を確実に開いていき独走状態に持ち込むと、最後は10秒近い差をつけフィニッシュ。記念すべきフォーミュラ・リージョナルの初ウィナーになった。
スタートで最後尾まで落ちた#6高橋は、マスターズドライバーを掻き分けて、時折トップ#3阪口に匹敵するタイムを刻みながら順位を回復。14周目に6位まで順位を上げフィニッシュを迎えた。ベストタイムでは#3阪口に続く2番目。しかもほとんど差がないだけに返す返すもスタートミスが悔やまれるレースとなった。
マスターズクラスは、クラスPPの#11植田正幸(RnーsportsF111/3)が逃げ、#4今田信宏(J-MS-RACING-SAR)が追うという展開が続いたが、10周目の1コーナーでトップ#11植田がスピン。労せずして首位の座を手に入れた#4今田がクラス優勝(総合7位)。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
Shigeru KITAMICHI
8月1日、新カテゴリー、フォーミュラ・リージョナル選手権(FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP)が富士スピードウェイで開幕を迎えた。
空には雲はあるものの時折日が射し梅雨明けを感じさせる天候となった。新型コロナの影響でスケジュールの組み直しを余儀なくされ、この週末は3レースが行われる。このため、それぞれのグリッドは第1戦が予選Q1のタイム、第2戦が予選Q2のベストタイム、第3戦が予選Q2のセカンドタイムで決まる。
この変則的な予選で圧巻の速さを見せたのが今シーズンはスーパーGT、フォーミュラ・ライツなど多くのカテゴリーにエントリーしている#3阪口晴南(Sutekina #3)。#3阪口はQ1で2位に0.8秒、Q2でも0.3秒引き離す速さを見せ、3レースすべてでポールポジションを奪った。
予選Q1
ドライバーの経験や実績からポールポジション争いは、同じチームで走る#3阪口晴南(Sutekina #3)、#5金丸ユウ(Sutekina #5)、#8篠原拓朗(Sutekina #8)の3人、#6高橋知己(Super License)、#28古谷悠河(TOM'S YOUTH)により行われるものと見られていた。
開始早々トップタイムをマークしたのは#5金丸(1分37秒745)。昨年このマシンのシェイクダウンを担当し一日の長があるように見える。9分が経過しスポット参戦で気合の入る#8篠原がこれを逆転(1分37秒156)するが、本命#3阪口が即座にトップに躍り出る(1分36秒408)。#3阪口は次の周にさらにタイムを縮め(1分36秒315)その座を不動のものとした。
2位#8篠原、3位#5金丸、以下#6高橋、#28古谷、#78阪口良平(Field Racing)と続き、この後方に#11植田正幸(RnーsportsF111/3)を筆頭にマスタークラスのドライバーが続いた。
予選Q2
Q1から10分のインターバルを経て始まったQ2ではコースコンディションも良くなったせいか全体的にタイムアップが見られた。Q2ではセカンドタイムが第3戦のグリッドを決めるため、最低でも2周タイムを記録しなければならない。
最初に1分37秒台に乗せたのは#78阪口(1分37秒904)。ベテランらしい走りで次の周には更にタイムを削ってきた(1分37秒442)。15分の予選が半分を過ぎたあたりから順位変動が激しくなり、#8篠原(1分36秒927)、#6高橋(1分36秒608)が相次いでトップに立つ。しかし、Q1と同様にここから#3阪口が1分36秒080、1分36秒237を立て続けに叩き出し、あっさりとポールポジションを決めてしまった。
2位はQ1から1秒もタイムアップした大健闘の#6高橋、3位#8篠原、4位#28古谷、5位#5金丸、6位#78阪口と続き、7位マスターズトップはQ1に続いて#11植田が獲得した。
第3戦のグリッドとなるセカンドタイムでは、#3阪口、#6高橋に続いて#28古谷が入った。#28古谷は第1戦から尻上がりにグリッド順位を上げている。
決勝は、第1戦が11時40分から、第2戦が午後2時10分から15週で行われる。第3戦は明日の午後2時10分から。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
11月23日、スーパーGT×DTM交流戦のサポートレース「auto sport Web スプリントカップ」レース1の決勝が、静岡県・富士スピードウェイ(1周4.563km)で行われ、ポールポジションからスタートした#60吉本大樹/宮田莉朋(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)が、苦しみながらも最終ラップで逆転し優勝を飾った。
スプリントカップは、レース時間50分、スタートから20分~30分の間にドライバー交代、ピットイン~アウトまで70秒、タイヤ交換は30秒かけなければならないという独自ルールのセミ耐久レースだ。
スタート時、コースはセミウェット。細かい雨粒は落ちているもののコースを濡らすほどではなく、タイヤ選択に悩むところ。この微妙なコンディションで、2列目4番グリッドの#48田中勝輝(植毛GO&FUN GT-R)はコースコンディションが回復することに賭け、スリックを選択した。
レースはスタートから予選トップ3の#60吉本大樹(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)、#52脇阪薫一(埼玉トヨペットGBマークX MC)、#25佐藤公哉(HOPPY 86 MC)が、徐々に4位の#360青木孝行(RUNUP RIVAUX GT-R)以下を引き離す展開で始まった。
しかし、路面が乾くのは予想より早く、3周目からレインタイヤを履くトップ3台は、コースの濡れた部分を選んで走るようになる。この頃から一時は10位まで順を下げていた唯一のスリックタイヤユーザー#48田中の猛追が始まる。3周目には50秒あったトップとの差を5周目には16秒と一気に詰め、7周目にトップグループの背後に迫ると、9周目にはあっさりとトップに立ってしまった。
完全にスリック有利となった状況では、他車に打つ手はなかった。唯一できることはピットインができる規定の20分が経過するまで、グリップを失いつつあるレインタイヤで走り続けることだけだった。
スタートから20分が経過する11~12周目には、2位グループになってしまった3台をはじめ、レインを履くマシンが待ってましたとばかりにピットに滑り込み、タイヤ交換、ドライバーチェンジを済ませてコースに復帰する。
15周目、レースが半分を経過したところで、トップを快走する#48田中も飯田太陽へバトンタッチ。#48飯田がピットアウトしたときには、2位#60宮田との差は37秒。完全に安全圏と思われたが、予選で逆転ポールを演じた#60宮田は、決勝でも諦めることなく追い続けた。
逃げる#48飯田、追う#60宮田。その差は18周目29秒、20周目21秒、22周目14秒、24周目7秒と見る見るうちに縮まっていき、ファイナルラップに入る28周目のストレートでついに両者は並走。1コーナーで#60宮田が念願のトップ奪還を果たすと、そのままチェッカーを受け見事な逆転劇を演じた。
最後の最後で逆転を許してしまった#48飯田だが、スタート時のスリック選択、そして並み居るスーパーGTシリーズランキング上位者を尻目のトップ争い、表彰台獲得は大健闘といえるだろう。
3位は、こちらも最終ラップの1コーナーで#30織戸学(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)を捕らえた#52吉田広樹が入った。
決勝レース2は、明日の午前11時35分から50分レースで行われる
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
11月23日、スーパーGT×DTM交流戦のサポートレースとして組まれたGT3とJAF GT(GT300)マシンによる「auto sport Web スプリントカップ」の公式予選が、静岡県・富士スピードウェイ(1周4.563km)で行われ、#60吉本大樹/宮田莉朋(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)が、雨の残るコースコンシションのなかポールポジションを獲得した。
シリーズ戦とは異なるスプリントレースはシステムも独特だ。A,Bドライバーが10分ずつ予選アタックを行い、その合計タイムでレース1のグリットが決定する。明日のレース2はレース1の決勝結果でグリッドが決まる。その決勝は50分のレースを2人が交代で走り切るというものだ。
ドライバーA予選
セミウェットコンディションのなか、開始から5分経過したところで#360青木孝行(RUNUP RIVAUX GT-R)がトップタイム(1分47秒826)をマークするが、路面コンディションの良くなる後半にタイムを伸ばすことができす、#60吉本(1分47秒604)、#25松井孝允(HOPPY 86 MC)(1分47秒376)がタイムを塗り替える。#25松井は最後まで積極的に攻め、最終的に1分47秒088までタイムを削り、2位#60吉本に0.516秒という大きなマージンを築いた。
ドライバーB予選
路面が乾きつつあるなか、4分経過したところで#25佐藤公哉が1分46秒047をマークし、これでポールは決まりかと思われたが、その直後に#60宮田が#25佐藤のタイムを何と1秒も上回る1分45秒029をタイム叩き出す。この直後に雨足がやや強くなり、以降のタイムアップは難しくなってしまった。#60は宮田の頑張りに加え、天候も味方につけ逆転のポールポジションを獲得。
2位は逆転を許した#25、3位には#52脇阪薫一/吉田広樹(埼玉トヨペットGBマークX MC)が入った。
逆転の立役者、宮田は「雨は苦手と思われていたので、これでアピールできました」と喜び、吉本は「難しいコンディションのなか、ダンロップタイヤが力を発揮してくれました。レースでは勝ちにこだわりたい」と力強く語った。
決勝レース1は、本日午前11時50分から、レース2は明日の午前11時35分から、ともに50分レースで行われる
Text:Shigeru KITAMICHI
決勝日午前、スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)坂東正明代表による定例会見が行われた。
- オートポリス戦ではピット作業が集中し混乱が見られた。今回のSUGOも作業エリアが狭い。ピット作業の安全性を向上するためのルール変更等についての考えは?
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今の車両に合わせたピットづくりはサーキットにお願いをしている。チームには我慢を強いてきた部分はある。速度が増しているなかで、安全は最優先しなければならないと思っている。今後も環境づくりは進めていきたい。
ただ、確かにピットは混乱したが、NASCARではあの状況下で上手くやっている。この点はチームにより高いクオリティを求めたい。いかなる環境下においても日本の代表として対応できるように、GTAとしても一緒に歩んでいきたい。
- オートポリス戦では、レインとドライタイヤの選択がレース展開に大きく影響した。観客やTV視聴者から識別しやすいサイドウォールへの表示についての考えは?
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ワンメイクタイヤではないので、一律に表示をすることは難しい面もある。何であのクルマは速いのか? 何でこのタイムが出るのか? と見る側が驚くことが面白いと思っている。
お客さんに情報を伝える重要性、チームの戦略面、タイヤメーカーの意向などを考えて、検討していくが、現時点では今の形が面白いのではないかと思う。
- DTM交流戦に関する新たな情報について
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10月のDTMに参戦する3台については、車両に貼るステッカーの位置などを調整した。向こうは、事前に専有走行をした後にBOP(性能調整)を決めたいと言っている。シリーズ戦への参戦なのでそこは従うしかないと思っている。まずは参戦することの意義を尊重したい。
11月の交流戦(富士スピードウェイ)には、アウディ4台、BMW3台が来ることになった。アストンマーチンは残念ながら今回は来ない。オートバックス45周年を記念する大会となるので、各マシンに「45」という数字を貼るような方向で考えている。その他、BHオークション、ハンコック、DEKRAなどを表示することになる。
GT300スプリントカップには現時点で10台弱が手を挙げている。目標は15台なので、今後声かけをしていく。GT300も含めて全体で盛り上げるよう粛々と準備を進めていく。
- 来年の海外戦(タイ、マレーシア)について、日程やロジスティクスなどの新たな情報について
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特に目新しい情報はない。マレージア戦が7月17~18日、タイ戦がその2週間前、7月3~4日に開催する。タイからはまだ(調整事項について)回答がないが、今月末を期限としている。
- 先日お披露目された新GT500マシンに対する感想は? NSXが車両コンセプトであるミッドシップをFRにした経緯は?
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日産(GT-R)はフロントフェンダー周りに関して、ラインで製造する登録パーツとするような動きがあり、やる気を感じた。トヨタ(スープラ)は、オートサロンのときと違っていて、シェイクダウンが楽しみである。ホンダ(NSX)は、クラス1への統合の思いが伝わった。GTAを応援、協力しようという思いで造っていただいたと思っている。感謝している。3メーカーがガチンコ勝負できる状況になったことの意味は大きいと思っている。
- セーフティカー(SC)導入によりレースが寸断されている。フルコースイエロー(FCY)や複数SCなど新たな方法で対応できないか?
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FCYの導入は考えている。各マシンの位置把握にはGPSの活用もあるが、各サーキットの設備の違いもあるので、今後環境を整えたい。ただ、スーパーGTレースだけの施設となるとサーキットも常設にするのは難しいだろう。複数SCの導入はロングコースではメリットがあるが、国内のサーキットではどうかと感じている。
現在の1回止めて並び換えは安全性を考慮したものだが、あまり回数が多いと考えなければならない。今後の課題と思っている。
- F3がスーパーフォーミュラライツとなる。FIA-F4との関係をどう考えるか?
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フォーミュラのことはその道の人に聞いてほしいが(笑)、カートから上がるドライバーの受け皿としてFIA-F4をやることにした経緯がある。その上のフォーミュラカテゴリーは、日本やアジアの環境を考えて、スーパーフォミュラに繋げるようFIAと話し合いを進めるべきと思っている。営利だけではなくドライバーの育成を考えるべきである。GTAとしては、F4からGT300への道は用意している。
まとめ&Photo: Shigeru KITAMICHI
- GT500クラス 塚越広大(#17KEIHIN NSX-GT)
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8月に行われた(SUGOでの)公開練習、オートポリスでも調子は良かったので、良い雰囲気を保ったまま走行することができました。いくつかのセットアップを試しながら、Q2に向けどうするかをバゲット選手のアドバイスを聞きながら決めました。
明日は天気が悪いようですので、ポールポジションからのスタートは良いと思います。前回勝ちたかったレースでもう少しだったので、今回の菅生でその分を取り返したいと思います。
(レコードタイムの要因は)来年から新しいマシンになりますが、クルマのセットアップはかなり煮詰まっていますし、Q1より気温も下がって条件も揃ったと思います。GT300クラスの山内選手がめっちゃ速いタイムを出してたので、軽く1秒くらいは上げてきてね、というような雰囲気を感じながらアタックしました(笑)。
- GT500クラス ベルトラン・バゲット(#17KEIHIN NSX-GT)
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素晴らしい一日になりました。朝のフリープラクティスではアンダーステア気味でしたが、セッティングを変えてベストタイムを出すことができました。予選Q1でも少しセッティングを変えて良いタイムを出すことができました。Q2はチームメイトがクレイジーなタイムを刻んでくれました。明日も結果を出すために頑張りたいと思います。
(路面温度が低かった影響は)少しエンジンパワーやグリップが上がったかなとは思いましたが、正直、クルマの中にいる限りは大きな変化を感じることはありませんでした。
- GT300クラス 井口卓人(#61SUBARU BRZ R&D SPORT)
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前戦オートポリスの結果がショックすぎて(7周リタイア)、今回はポールになってどういう感情でここに居たらいいんだろうと思っています(笑)。山内選手の頑張りしかないな、と思っていますし、Q1からQ2に向けてのチームの判断と山内選手の走りが素晴らしかったです。良いドライバーと組めて幸せだと思っています。
持ち込んだタイヤはコンディションに凄く合っていたと思います。ただ、その割に練習走行のタイムが悪かったので、十分暖まっていなかったのかなと思い、(その結果を)Q2に繋ぐことができました。
- GT300クラス 山内英輝(#61SUBARU BRZ R&D SPORT)
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(井口選手に)幸せだと言ってもらって世界一幸せな山内です(笑)。オートポリスでは井口選手の地元なのに、残念な結果で終わってしまいましたが、そのとき来てくれた皆さんの後押しもあったのかなと思うくらい良いアタックができました。Q1からQ2に向けて井口選手のコメントが効いたと思っています。この流れで良いレースができるよう、皆で話し合って頑張りたいと思います。
(路面温度の低さは)井口選手から引き継いで、暖まりにくい方のタイヤを先に着けていたので、影響はありませんでした。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
いよいよシリーズも残り2戦。今シーズンは天候に翻弄されるレースが多いが、そのなかでGT500クラスはレクサス勢が5勝と圧倒的な強さを見せている。チャンピオン争いでもレクサスが勢が上位を占め、その優位は揺るぎないが、ウェイトハンデが半減される今回、GT-R、NSX勢が巻き返しを図ることができるのか注目される。
一方、混戦のGT300クラスは、#55NSX、#88ランボルギーニ、#96レクサス、#56GT-Rがチャンピオンの座を争っており、今回の結果次第ではこのなかから誰かが抜け出すことになるかもしれない。
予選日の午前9時から1時間45分間行われた練習走行では、ウエイトハンデの軽減と涼しいコンディションも手伝って、GT500クラスではコースレコード(1分10秒248)に迫る好タイムラッシュとなり、予選ではレコード更新に期待がかかる。
気になる天候は、予選日は曇りだが、決勝日は雨の予報が出ている。
■GT500クラス
レスサス勢に一泡吹かせたいGT-R、NSXが終始気を吐いた。
開始30分に#1山本尚貴/ジェンソン・バトン組(RAYBRIG NSX-GT)が1分11秒458のトップタイムをマークすると、今季NSX勢で抜き出た速さを持つ#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)が1分11秒221で更新。
さらに、開始から50分を過ぎたところで、#12佐々木大樹/ジェームス・ロシター組(カルソニックIMPUL GT-R)が、1分11秒181をマークしてトップに立った。
最後に設定された10分間のクラス別専有走行では、予選さながらのアタックが繰り広げられ、それまでのタイムを大きく更新する1分10秒台が続出。
#19坪井翔(WedsSport ADVAN LC500)1分10秒802、#8伊沢拓也(ARTA NSX-GT)1分10秒698、#23松田次生(MOTUL AUTECH GT-R)1分10秒675、#17バゲット1分10秒281と、次々にトップタイムを更新。
#64牧野任祐(Modulo Epson NSX-GT)も最後に1分10秒697を叩き出して3番手に食い込む健闘を見せ、NSX勢の好調を印象づけた。
■GT300クラス
走行開始時は、冷えた路面に足元をすくわれるマシンが目立った。#52脇阪薫一/吉田広樹組(埼玉トヨペットGBマークX MC)は、2コーナー立ち上がりでスピンし、リアをタイヤバリアにヒット。リアウイングを失ってしまう。また、#25松井孝允/佐藤公哉組(HOPPY 86 MC)は馬の背コーナーでスピンアウト。赤旗の原因を作ってしまった。
走行再開後は各マシン順調に周回を重ね、#96新田守男/阪口晴南組(K-tunes RC F GT3)が早々に1分18秒178のトップタイムをマーク。このタイムを破るものはなかなか現れなかったが、#61井口卓人/山内英輝組(SUBARU BRZ R&D SPORT)が1000分の1秒まで同一の1分18秒178タイムを叩き出して並び、#25HOPPY 86(1分18秒194)が僅差でこれに続いた。
最後の10分間の専有走行も大きな順位変動はなく、上位では唯一#720荒聖治/アレックス・パロウ組(McLaren 720S)が、4番手となる1分18秒455をマークして走行は終了。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
8月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦「ツインリンクもてぎ2&4レース」の決勝が、栃木県・ツインリンクもてぎ(1周4.801379km×51周)で行われ、予選2位スタートの#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)が、先行するポールスタートの#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)を22周目に逆転。嬉しい初優勝を飾るとともに、今季5人目のウィナーとして名乗りを上げた。
2位には#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)、3位には#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)が入った。
注目のシリーズ争いは、ポイントリーダーだった#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)が前戦に続いてノーポイントに終わったため、その行方は混とんとしてきた。(観客:8月17日(土)17,500人/18日(日)19,500人)
台風一過の好天となった決勝日。朝から日差しが照り付け、スタート時刻の午後2時15分には気温は33度まで上昇した。この暑さのいたずらか、スタート前のフォーメーションラップで予選8位の#1山本が、さらに、スタートでも#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)、#15パトリシオ・オワード(TEAM MUGEN SF19)が、エンジンストールして動けず、スタートがやり直しとなってしまった。
1周減算され51周となったレースは、好スタートを決めた#64パロウが逃げ、#20平川と#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)が追う形で始まった。ここまでは予選順だが、これに続いたのが、7位スタートの#18可夢偉。1周目にジャンプアップすると、さらに上位を窺う。
序盤、厳しい戦いを強いられたのは、ミディアムタイヤでのスタートを選択したドライバー達。予選5位#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)、同6位の#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)をはじめ、軒並み順位を落としてしまう。
しかし、この中で唯一例外だったのが#37キャシディだ。傷口が広がらないうちにと、4周目に早々にピットインすると、残り周回をソフトタイヤで走り切る作戦に出る。これが功を奏することになる。
6周目からは、2ピット作戦を選んだ下位ドライバーが続々とピットイン。エンジンストールで出遅れた#1山本も15周目にピットに滑り込むが、今回この奇襲作戦は結果に結びつくことはなかった。
20周までトップ4台の順位は変わらず、#64パロウに#20平川が迫り、少し離れて#5福住を#18可夢偉が攻め立てるという状態が続いた。この均衡が崩れたのが22周目。それまで冷静に背後から様子を見ていた#20平川が、90度コーナーで一気に#64パロウの前に出る。
レース折り返しを過ぎた30周目になってもトップ#20平川のペースは衰えることなく、他を上回る1分36秒台を連発し、2位以下との差を開いていく。33周目には#18可夢偉が#5福住を抜いて3位に浮上。
37周目、#64パロウとの差を11秒まで広げたところで、トップ#20平川が上位グループで最初にピットイン。タイヤをミディアムに交換してピットアウト。これを皮切りに、38周目には2位#64パロウ、4位#5福住もピットイン。
すると、暫定トップに立った#18可夢偉は猛プッシュ。40周を走ったソフトタイヤで1分36秒フラットという他を圧倒するタイムで、見えない#20平川との差を削り取っていく。
42周目、#18可夢偉の勢いはピット作業を終えても止まらず、トップ#20平川を必死に追い、その差を46周目7.0秒、48周目6.0秒と1周あたり0.5秒ずつ詰めていく。しかし、無情にも残り周回が足りず、最後は2.9秒まで削ったところでチェッカー。
#20平川はほぼ完璧ともいえるレース運びで嬉しい初優勝。#18可夢偉はあと少しのところで初優勝に届かなかった。
3位は、4周目のピットインから着実に追い上げ、終盤45周目に#64パロウを抜き去った#37キャシディが入った。予選12位から、チームの見事な作戦とドライバーのタイヤコントロールで表彰台に上り、シリーズポイントでも#1山本を逆転しトップに浮上した。
次戦第6戦は9月28~29日に岡山国際サーキットで開催される。まだ多くのドライバーがチャンピオンの可能性を残しているだけに、次戦でシリーズチャンピオンの行方が見えるのか、それとも最終戦までもつれるのか、レースの行方に注目だ。
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
8月18日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦「ツインリンクもてぎ2&4レース」決勝日。朝から強い日差しが注いでおり、決勝も厳しいコンディションでのレースになりそうだ。
午前10時から30分間行われたフリー走行では、各チーム、決勝を想定したマシンセッティングやタイヤの摩耗状況などのチェックを行った。
トップタイムは#36中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)。これにチームメイトの#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)が続いた。トムスコンビは後方グリッドスタートだが、決勝での追い上げが期待される。
ポールシッターの#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)は、最下位タイムながら、ソフトとミディアムタイヤをきっちり試し余裕を感じさせた。
序盤から、好タイムをマークしたのが、#36中嶋、#37キャシディのトムスコンビ。最後に#37キャシディがミディアムタイヤに交換したが、走行の殆どをソフトタイヤで走り、予定していたプログラムをきっちり消化したようだ。2台は後方16、12番グリッドからのスタートだけに、奇策を打つのか注目される。
同様に、序盤タイムを出しソフトタイヤのまま走り切った#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)、#39坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)のセルモ・インギングチームも5、10番グリッドスタートながら不気味な存在だ。底力のある両チームがどのような作戦で来るのか注目だ。
予選上位陣は、#64パロウが20位、#20平川 亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)12位、#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)7位、#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)15位と、タイム的には見るべきものはなかったが、予定どおりタイヤの確認に時間を費やしたようだ。
涼しかった昨年とは打って変わって、決勝は猛暑のレースとなりそうなだけに、ソフトタイヤの寿命が大きな鍵になりそうだ。スタート時のタイヤ選択、そしてタイヤ交換のタイミングが注目される。後方グリッドからスタートするドライバーの動きからも目が離せない。
決勝は、午後2時15分スタート、52周、250kmで争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
8月17日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦「ツインリンクもてぎ2&4レース」の公式予選が、栃木県・ツインリンクもてぎ・ロードコース(1周4.801379km)で行われた。
台風一過の猛暑のなか行われた予選は、前戦富士でポール・トゥ・ウィンを遂げている#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)が、コースレコードを叩き出し、連続ポールポジションを決めた。
2位は#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)、3位、4位には#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)、#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)が入り、決勝グリッド2列目までは20代の若武者が占めることになった。
シリーズリーダーの#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)はQ3進出を果たしたものの、8位と苦しい位置からのスタートとなった。
Q1
強い日差しが時折雲に遮られることはあったが、照り返しの強いサーキットでは気温上昇が激しく38度、路面温度も49度と厳しいコンディションでの予選となった。
Q1では、使用が義務付けられたミディアムタイヤをいかに使いこなすかがポイントとなるが、ソフトではタイムが出るものの、ミディアムでは伸び悩んでいるドライバーも多く、Q1を鬼門と考えているチームも多いようだ。
残り3分から本格的なアタックが始まるが、意外にもQ1クリアを果たせなかったのが、予選で速さを見せることの多い#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING SF19)。1セット目のアタックでは3位につけていたものの、2セット目でタイムが伸びず無念のQ1落ち。
逆に、朝のフリー走行14位から盛り返してきたのが#20平川。2セット目のアタックで早々に1分33秒217をマークすると、そのまま逃げ切る形でトップ通過。これに#50アウアー、#64パロウ、#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)、#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)、#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)、#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)と続き、シリーズを争うドライバーは順当にQ1通過を果たした。
Q2
ソフトタイヤを使用するQ2は、Q1とは異なる展開を見せた。
ここで主役になったのは、Q1のアタックで他車に引っ掛かり11位で通過した#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)。残り2分となって全ドライバーがアタックに入ると、最後に1分31秒869を叩き出し、それまでトップだった#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)を、僅か100分の5秒差で逆転。
以下、好調を維持している#64パロウ、#50アウアー、#1山本、#20平川、#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)、#38石浦がQ2を通過。
シリーズ2位の#37キャシディ、前回2位の#39坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)はここで涙を呑んだ。
Q3
全車が1ラップアタックとなるなか、見事な集中力を見せたのが、前回富士のポールシッターであり勝者である#64パロウ。8台の先頭を切ってアタックに入ると、1分31秒442というコースレコードをマーク。他の追随を許さず連続ポールポジションを決めた。
#20平川もパロウの後方で渾身のアタックを見せるが、コンマ2秒という大差をつけられる結果となってしまった。これに、#5福住、#50アウアーが続き、決勝は若手をベテラン勢が追うという展開になりそうだ。
決勝は、明日午後2時15分から52周、250kmで行われる
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
予選日、日本レースプロモーション(JRP)による恒例のサタデーミーティング(定例会見)が行われた。今回は倉下明JRP社長に加え、日本F3協会の水野雅男会長も同席し、来シーズンから始まる「全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権(略称SFL)」の概要が発表された。
その内容は、現在の全日本F3選手権を、スーパーフォーミュラへのステップアップカテゴリーであることを明確にするために名称を改め、使用車両はより安全性を高めたダラーラ320のワンメイクとするもの。
新車両には現行F3マシンのエンジン、ギヤボックス、サスペンション、ウィングなどのパーツを流用することができ、ステップアップカテゴリーという位置づけから、参戦コストを抑えることとしている。
参戦コストの抑制策としては、もうひとつ、大会数を絞り、1大会3レース制とする方向で、現在、主催者と調整が進んでいるとのこと。
なお、現在は検討中だが、SFLチャンピオンがSFにステップアップできるシステムについても確立させたいとのことであった。
- 水野雅男(日本フォーミュラスリー協会会長)
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FIAにおいては、F1からF4までのピラミッドが形成されようとしている。F3は2段階となり、インターナショナルとリージョナルに分かれることになった。F3協会として、これからのF3をどのようにしたら良いかと検討した結果、トップドライバーへの登竜門であるF3を、「スーパーフォミュラ・ライツ」という名前で継続することにして、JAFに申請し認可をいただいた。スーパーフォーミュラでもF3の卒業生が活躍している。この役割を今後もライツとして担っていきたい。
- 倉下 明(株式会社日本レースプロモーション代表取締役社長)
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おかげさまでSFは世界から注目されている。日本のフォーミュラはドライバーズレースとして非常にし烈な競争となっている。そこで、SFとSFLという2つのカテゴリーがパッケージとして、マーケットの価値も向上していくことが期待されている。すでにF3とのジョイントは進んでいるが、一層F3協会と力を携えてSFを盛り上げていきたいと思っている。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
台風一過となったツインリンクもてぎは、早朝から強い日差しが照り付けている。
全7戦のシリーズは、今大会「ツインリンクもてぎ2&4レース」からいよいよ終盤に入る。ここまで4戦を戦い、すべて異なるウィナーという混戦模様だ。
現在のシリーズ争いは、ディフェンディング・チャンピオンの#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)【27ポイント】がリーダー。これを#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)【22ポイント】が追い、前戦でワンツーを飾ったルーキーコンビ#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)【14ポイント】、#39坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)【12ポイント】が続くという構図になっている。
予選日の午前中10時10分から1時間に渡って行われたフリー走行では、前日に行われた専有走行で、#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)がマークしたトップタイム1分31秒925をターゲットタイムとして、各チーム、予選、決勝を想定したセッティングを煮詰めていった。
開始7分を経過したところで、#39坪井がビクトリーコーナーでスピン、コースにフロントノーズを残してストップしてしまったため走行中断。ここまでのトップタイムは#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)の1分34秒077。まだコースインしていないマシンも見られ、足慣らしの状況だ。#39号車の回収後すぐに走行が再開された。
開始から20分経過した時点の順位は、#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)1分33秒805、#51ニューウェイ、#20平川、#64パロウ、#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING SF19)、#1山本と続いている。上位陣はソフトタイヤを履いているが、まだ本格的なアタックには入っていないようだ。
40分を経過して、各ドライバーも徐々にタイムアップしてきた。前戦から好調を維持している#39坪井が1分33秒287でトップ。#5福住、#20平川、#19関口、#37キャシディ、#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)が1分33秒台で続いている。
残り10分を切ってから、一旦ピットに入っていた各マシンが予選を想定したアタックに入った。
ここからトップタイムも次々に塗り替えられ、残り5分で#36中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF19)が1分33秒254、残り2分で#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)が1分33秒229、そして、走行時間終了となったところで、前回のウィナー#64パロウが1分32秒793を叩き出してフリー走行を締めくくり、これに第2戦優勝の#19関口が1分32秒937で続いた。
最終的に1分32秒台後半と、タイムは伸びなかったが、これは急激に上がりつつある路面温度が影響しているようだ。いずれにしても、トップから1秒以内に10台がひしめき合う結果となり、午後2時半から始まる予選が楽しみになってきた。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
決勝日朝、スーパーGTを運営するGTアソシエイション(GTA)坂東正明代表による定例会見が行われた。
- 2020年の暫定カレンダーが発表され、マレーシア戦の復活、タイ戦との連戦が組まれた。その経緯について
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マレーシアで久々の開催となるが、マレーシアは国を挙げて自動車産業の振興に取り組んでいる。F1、モトGPで実績を上げてきた。国内のアンケートでスーパーGTを観たいという声が大きくなり、プロモーターが動いて開催に至った。
このような声があるのは嬉しいこと。10年前とは違ったレースをお見せできると思うし、アジアにスーパーGTありということを示したい。
日程に関してはタイ戦の翌週、または翌々週にマレーシア戦を考えているが、車両の運搬の課題(陸送or船便、コスト)もあるので、話し合いをしていかなければいけない。
東京オリンピックの関係で来年の富士500マイルはなくなるので、海外戦はその代替と考えている。ただ、2021年は元のカレンダー(富士での2戦開催)に戻す予定なので、そうなると海外戦を含め全9戦+交流戦となる可能性もある。
また、(GTAとして)東京オリンピックの盛り上げ方、応援の仕方についても考えていきたい。例えば、フロントのハチマキ(ガラス上部のステッカー)をオリンピック仕様に変えてもいいのかなと思っている。
- 2020年は鈴鹿戦がルマン24時間レースのテストデーと重なる可能性がある。WECなど他シリーズとのバッティングについて
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WEC(世界耐久選手権)とは、その日程以外にもぶつかっているところがある。今後マニュファク(自動車メーカー)とも話し合いをしなければならないが、(方向としては)WECとスーパーGTに参戦するドライバーは別々にするということになるのではないか。現時点で他のカテゴリーとの重複で日程を変更することは考えていない。
- 来シーズンのDTMとの交流戦の開催について
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開催時期をどうするか、また、開催地を日本、ドイツ、または中間地点の国とするかなど、検討することは多い。まずは、今年の交流戦を成功裏に終え、クラス1というカテゴリーをどうやって注目して貰うかを考えるなかで、来季のカレンダーづくりをしたい。
タイヤについては、今季DTMがハンコックタイヤと契約をしているのでハンコックになるが、来季については違う形になると思う。ワンメイクタイヤは変わらないが、手を挙げてくれるタイヤメーカーがあれば話を進めていきたい。
- 2020年のGT500マシンについて
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部品の生産が遅れ発表が遅れているが、9月の鈴鹿のテストでお披露目することを目標としている。環境問題からハイブリッド化は考えていかなければならないと思っている。ITR(ヨーロッパのプロモーター)はハイブリッド化を以前から言っており、2021年からの導入を検討している。しかし、クラス1のレギュレーションを統一するのに5年かかっていることを考えると、我々としては2022年または23年からの導入を今後検討していく。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
今年11月に行われるスーパーGT×DTM交流戦と合わせ、GT300マシンによるスプリントレース「auto sport Web Sprint Cup」が開催されることが、スーパーGT第5戦の行われている富士スピードウェイで発表された。
発表会には、GTアソシエイション坂東代表と、当レースに協賛するオートスポーツWebの鈴木氏が同席。坂東代表からはレース概要が、鈴木氏からは「日本のモータースポーツ界で画期的なイベントとなる交流戦を盛り上げたい」と、協賛に至った思いが語られた。
「auto sport Web Sprint Cup」概要
■参加車両・ドライバー
2019年スーパーGTシリーズGT300クラス参戦車両&ドライバー
■レース日程
11月22日(金)公式練習 45分×2回
11月23日(土)予選および決勝レース1(50分)
11月24日(日)決勝レース2(50分)
■レースフォーマット
50分間(予定)の決勝レースを2レース行い、決勝レース2の順位で成績を決定。
ドライバーは2名。レース中のドライバー交代あり(給油はなし)。
ドライバー交代時のピットオープンの時間、ピットへの最低滞在時間を規定。ジャッキを使用する場合は、プラスαのストップ時間を加算。
■予選
11月23日(土)に各ドライバーが10分間の予選を行い、両ドライバーの合算タイムで決勝レース1のスターティンググリッドを決定。
決勝レース2のスターティンググリッドは、決勝レース1の順位で決定するが、詳細は検討中(一部リバースグリッド等なども含め検討中)。
■賞典
詳細は未定だが、賞金を授与する予定。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
シリーズの分岐点となる第5戦の富士500マイルレース。今シーズンは雨に祟られることが多かったが、今回は長梅雨が明けた猛暑のレースが予想される。過酷なコンディションをどのマシンが制するのか注目される。
予選日の午前中に行われた練習走行では、ここまでレクサス勢の後塵を拝することが多かったGT-R勢が好調。何とトップ5に4台が入り、並々ならぬ意気込みを感じさせた。
■GT500クラス
最後のGT500クラスの専有走行時間で順位が大きく変動し、ここまで思うようにポイントを重ねられていない#3CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手/マコヴィッキイ)が1分29秒673でトップタイム。#12カルソニックIMPUL GT-R(佐々木/ロシター)、#23MOTUL AUTECH GT-R(松田/クインタレッリ)、#24リアライズコーポレーションADVAN GT-R(高星/マーデンボロー)が3、4、5番手タイムとGT-Rが順調な仕上がりを見せた。
そのGT-R勢に食い込んだのが、#17KEIHIN NSX-GT(塚越/バゲット)。最後の最後に1分29秒783を叩き出し、大きくジャンプアップ。他のNSXがタイムが伸びないなか、一人気を吐いた。ウエイトハンデが12キロと他のマシンより軽いことも幸いしたようだ。
レクサス勢は、#39DENSO KOBELCO SARD LC500(コバライネン/中山)、#38ZENT CERUMO LC500(立川/石浦)、#37KeePer TOM'S LC500(平川/キャシディ)が、6~8番手につけたが、ホームコースで厳しい戦いを強いられそうだ。
■GT300クラス
開始早々、#25HOPPY 86 MC(松井/佐藤/土屋)が1分38秒640という好タイムをマーク。その後、#4グッドスマイル初音ミクAMG(谷口/片岡)が1分38秒591、#7D'station Vantage GT3(藤井/オリベイラ/ターナー)が1分38秒539と、少しずつタイムを削り取っていった。
最後の専有走行時間帯に入ると、#52埼玉トヨペットGBマークX MC(脇阪/吉田)が1分38秒141をマークしてトップに。#33エヴァRT初号機X Works GT-R(トン/リー/道見)も大きくタイムを更新して2番手に浮上した。
この大会で驚異の4連勝を飾っているARTAチームの#55ARTA NSX GT3(高木/福住)は、マシンを昨年までのBMW M3からNSXにチェンジ。第4戦までコンスタントにポイントを重ね現在リーダーの座を守っているが、練習走行では12位と厳しいスタートとなった。
text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA

- 優勝(Overall) 金丸ユウ(#5Honda CIVIC TCR)
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昨日のレースを見ても雨のペースは良かったので、今日も雨量が増えなければいいなぁとは思っていましたが、雨量も減ってきたのでいけると思っていました。ワーゲンは序盤のペースが良かったので、とりあえず序盤さえ逃げきれば、後半は楽になると考えていたら、その通りになりました。プラン通りでした。
シリーズは5戦しかなく1戦1戦が大事になりますが、菅生を取りこぼしてしまったので、今回は表彰台に上がっておかなければいけないという思いでいました。この優勝でシリーズも上の方にこれたので、この感じでコンスタントに表彰台に乗って、最終的にシリーズタイトルを取れればと思っています。
これまで乗ってきたフォーミュラカーはダウンフォースがあるので、後ろに付いてもなかなか抜くのが難しいのですが、TCRはダウンフォースが抜けることもないので、いろいろな所でオーバーテイクのチャンスがあって面白いと感じています。
- 優勝(Gentleman) 前嶋秀司(#33ALFA ROMEO GIULIETTA TCR)
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昨日のレースがあったので、すべてのコーナーで他とはちょっと違うラインを通って、自分のクルマの良いところを生かすように走れば、トップに追いつくんじゃないかと甘い考えでいましたが、あんなに離れるとは(笑)。次はこんなに離されないように、チームとも話し合いながらセットをちょっと変えて、今度は自分がぶっちぎりのレースをしたいと思います。BOPの関係で若干アルファが有利というのがあるので、残り2戦もこのままいけるんじゃないかなと思っています。
TCRレースは、FFのターボ車としては日本で初めてのレースだと思いますが、レーシングカーとして造り上げているので、皆が思っているよりも凄く乗りやすいクルマです。想像以上に面白くて、自分としてはハマったクルマです。今まで色々なカテゴリーやワンメイクレースをやってきましたが、一番面白いです。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI

- 優勝(Overall) 金丸ユウ(#5Honda CIVIC TCR)
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(予選後のエンジン交換により最後尾スタートから優勝)
正直優勝できるとは(笑)。でも練習のときからウェットの調子が良かったので、スタートして1周していけるのではないかと感じました。いくつかセッティングを試して、最終的にウェットセッティングは決まっていたので、雨は望むところでした。
- 優勝(Gentleman) 前嶋秀司(#33ALFA ROMEO GIULIETTA TCR)
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サタディレースはあまりポイントを取っていないので、正直言って明日の練習になれば良いかなという気持ちでした。でも、スタートで前に出てしまったので、ちょっと張り切りすぎました(笑)。金丸選手に抜かれた後も、すごく上手なのでラインなどを参考にさせてもらいました。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
- 優勝 エナム・アーメド(#65B-Max Racing with motopark F3)
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シーズン前半と比べると、菅生のときから速くなってきたという実感があります。昨日も雨のときは良かったのですが、ドライになると特にセクター3でうまくタイム出すことができませんでした。今朝の予選も失敗してしまいました。レースのスタート前に雨が降ってきて、雨なら他のドライバーより速く走る自信はありましたし、実際終盤には宮田選手に追いつくことができました。予選は残念でしたが、決勝は思った以上の結果が出せたと思っています。
シーズン前半調子が上がらなかったのは、サッシャ選手は10月、僕は3月から走り出しているので、経験の差、特にタイヤの使い方が分かっていなかったと思います。一生懸命走りすぎていたのを、一歩下がって全体を見ることによって良い方向にいっているように思います。今回もドライでもう少し走りこめたら予選でもっと上位にいけたように思います。
- 2位 大津弘樹(#12ThreeBond F318)
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スタートで1台抜いて3位に上がることができました。セーフティカー後のリスタートでは、前に出てやるという気持ちが強すぎて、かなりオーバーランしてしまいました。その後のペースは一時悪かったのですが、路面状況の回復にあわせて徐々に上げていくことができ、大湯選手に抜かれた順位を取り返すことができました。3位表彰台はペナルティがあったからですが、もう少し勝負になったときの自分自身(の気持ち)を改めていかないといけないなぁと思っています。
(今回の結果は)自分自身富士は得意というのもありますし、不安定なコンディションに助けられた感じです。雨の改善点も見つかっていますので、明日は前に出て抑えきれるレースをしたいと思います。
※レース後、トップでチェッカーを受けた宮田莉朋は車両規則違反により、失格となった。これにより、繰り上がって優勝はエナム・アーメド、2位は大津弘樹となっている。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinoi OHNISHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権を運営する日本レースプロモーション(JRP)から、2020年のレースカレンダーが発表された。
2020年はオリンピックイヤーであるため、開幕が例年の鈴鹿ではなく富士になり、開催日程も4月初旬と早まることになる。これは富士スピードウェイがオリンピックの自転車競技会場となっていることによる影響が大きいと思われる。
また、第4戦と第5戦の間隔が2か月と開いているなど、例年とは異なるスケジュールになっているが、JRPとしてはこのカレンダーは2020年限定のものであり、2021年以降はまた通常の形に戻す予定とのこと。
なお、このカレンダーは現在申請中のもので、今後日本自動車連盟(JAF)から正式なものが発表される。
2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズスケジュール(暫定)
第1戦 4月 4~ 5日 富士スピードウェイ
第2戦 4月25~26日 鈴鹿サーキット
第3戦 5月16~17日 オートポリス
第4戦 6月20~21日 スポーツランドSUGO
第5戦 8月29~30日 ツインリンクもてぎ
第6戦 9月26~27日 岡山国際サーキット
第7戦 10月31日~11月1日 鈴鹿サーキット
まとめShigeru KITAMICHI
予選日、日本レースプロモーション(JRP)による恒例のサタデーミーティング(定例会見)が行われ、今回初参戦するパトリシオ・オワード選手、解説を務める土屋武士氏がそれぞれの思いを語った。
- パトリシオ・オワード(#15TEAM MUGEN SF19)
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ミナサン、コンニチハ。パトリシオ・オワードデス。ヨロシクオネガイシマス(日本語)。
スーパーフォーミュラ(SF)の第一印象は、非常に速いクルマだということです。ダウンフォースも効いているし、ドライバーとして早く慣れないと自信をもって走ることはできないと感じています。ここまでのプラクティスセッションは楽しんで走っていますし、レースも楽しみです。
今回の参戦のオファーは非常に突然でした。オーストリアでF2に出場しているときに「次は日本に行ってほしい」と言われ「はい、わかりました」という感じでした。一度日本には行ってみたいと思っていましたし、このようなチャンスを貰えることはすごく光栄なことです。F1などの上のカテゴリーに備えるためには最適なシリーズだと思います。どのドライバーも最終的にはF1を目指していると思いますし、僕もその過程の中にいます。ここで結果を残さないと次はないと思っていますので、今はそのことを最も重要視しています。
SFは、F1に行くために最適なカテゴリーだと思っています。クルマもF1に近いですし、競争力ということも含め、F1に備えるためにこれ以上のカテゴリーはないと感じています。
インディカーシリーズではカーリンレーシングがサポートしてくれていますが、僕がF1に乗りたいということは理解してくれていますので、今回のレッドブルからの話も非常に喜んでくれました。インディカーシリーズへの参戦は確定したものではありませんので、SFに集中したいと思います。
ただ、まったく知らないクルマ、タイヤ、コースで、シーズン途中から参戦するのはかなり大変です。他のドライバーはすでに多くの経験を積んでいますので、僕は少しでもそれに追いつかなければなりません。まだまだやることがたくさんあります。
- 土屋武士氏(TV解説者)
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SFは昔から見続けていますが、日本一速い男を決める本当の戦いが見れるカテゴリーだと思っています。その解説として携われることを光栄に思っています。できるだけその魅力をたくさんの皆さんに伝えたいと思っています。
僕は長年レースを見て、携わっている時間も長いですので、かなりのエキスパートであると自負しています。また、メカニック、エンジニアもやっていますし、チームも持っていますので、色々な角度から、選手の心境なども含め、視聴者の皆さんが感情移入できるようにしたいと思います。
注目する選手は、アレックス・パロウ選手です。コースサイドで見ていると、今までに見たことのないセンスを持っていて、すごくインパクトある選手だと思っています。
もう一人は、山本尚貴選手です。今年の成熟度というか、ほんとに一皮剥けたというイメージを持っています。スポーツで心技体という言葉がありますが、非常にバランスのとれた選手として、SFをはじめとした全日本のトップカテゴリーのなかで、ここまで成熟したチャンピオンというのはなかなか印象にありません。
今後日本のレース界を引っ張っていく存在として、例えば、星野一義さん、本山哲さん、そして山本尚貴選手となっていくのかなぁという印象を持っています。この先、強い選手がたくさんいる中で、山本選手はどういう戦いをして、どういう振る舞いをするのかというのを、人として興味を持っています。
他にも面白い選手はたくさんいますが、山本選手に今年のルーキーをはじめとする勢いのある選手が、どうぶつかっていくのかは非常に面白いと思います。できればドライでその戦いを見たいと思います。
(解説者としては)あまり細かい事を言ってもというのはあるんですが、マニアックになりすぎないように、視聴者の皆さんが「あ、そうなんだ」と腑に落ちるようなポイントをついていきたいと思います。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
午後6時30分を過ぎて、ゴールブリッジに「LIGHTS ON」の表示が出された。空は急速に暗くなり、サーキットは闇に包まれた。各マシンのヘッドライトが輝き、コースに反射している。
スタートから6時間が経過し、各クラス上位の順位は落ち着き始めている。一方で、ナイトランに入ってマシントラブルやアクシデントも発生。午後8時40分過ぎにはコース上でストップしたマシンを回収するため、フルコースイエロー(FCY)となった。
ST-Xクラス
#1GTNET GT3 GT-Rがトップを守っているものの、一旦遅れてしまった#300TAIROKU RACING GT-R GT3が15秒差まで追い上げており、虎視眈々と逆転のチャンスを窺っている。
3位#9 MP Racing GT-Rはすでに5周遅れとなっており、この先も#1対#300の一騎打ちが続きそうだ。
ST-Zクラス/ST-1クラス
トップ#3ENDLESS AMG GT4を追って、少しずつ差を詰めていた#2ケーズフロンティア SYNTIUM KTM(飯田)だったが、やや焦りもあったのか、1コーナーでスピンを犯してしまい、逆に差が開いてしまった。その後、#2はエース加藤にドライバーチェンジ。#2加藤は夜間走行ながら、自車のベストタイム(1分49秒台)をマークしながら#3を追っている
ST-1クラス#47 D'station Porscheは、安定したペースを維持している。
ST-2クラス
#59DAMD MOTUL ED WRX STIと#6新菱オート☆DIXELエボⅩの攻防は続いており、ピットインのタイミングで順位を入れ替えている。6時間終了時では#6が10秒先行。この戦いはこのまま続きそうだ。
ST-TCRクラス
トップ#501KCMG Annika CIVIC TCRは、相変わらず快調なペース。2位#10IDI GOLF GTI TCRに約1周の差を築いている。この2台を追うはずのライバル勢にトラブルが相次いだ。
午後7時35分過ぎには、3位まで順位を回復していた#97Modulo CIVICが修理に時間を費やし、大きく順位を落としてしまった。午後8時23分には、4位を走行していた#19BRP Audi Mie RS3 LMSが、ST-3クラスの#38ADVICS muta racing RC350TWSと接触。駆動系を痛めたのか、コースサイドにストップしてしまった。
ST-3クラス
午後8時過ぎ、上位を走っていた#68埼玉トヨペット Green Brave GR SPORT マークXがピットイン。ミッション系のトラブルか、排気管を外して作業を始める。#38ADVICS muta racing RC350TWSも、TCRクラスのマシンとの接触で後退してしまった。
トップ#34TECHNO FIRST RC350は、後続のトラブルを尻目に快走。2位には#15岡部自動車Z34が上がってきている。
ST-4クラス
第1戦、第2戦とトラブルに泣いた#86TOM'S SPIRIT 86が、その鬱憤を晴らす走りでトップの座を守っている。2位#13ENDLESS・86、3位#884林テレンプ SHADE RACING 86も何とか追いすがろうとするが、#86のペースが良く、ジワジワ差が開きつつある。
ST-5クラス
スタートから変わらずに#69 J'S RACING☆FITを#101 ヒロマツ デミオが追う展開となっているが、その差は約1分と徐々に開きつつある。
Text:Shigeru KITAMICHI
レースはスケジュールどおり午後3時にスタート。フォーメイションラップスタートの合図は、1967年の富士24時間レースのウィナー、細谷四方洋氏が務めた。
スタートから3時間が経過。午後6時を過ぎ夕闇が迫りつつある。
午前中からどんよりした天候が続いていたが、スタート前には日が差し、現在も時折夕日がサーキットを照らしている。雨の心配はなさそうだ。
ST-Xクラス
ポールシッター#300TAIROKU RACING GT-R GT3(本山)を#1GTNET GT3 GT-R(星野)が追う展開が続いたが、1時間19分、46周を消化したところで#300、#1が相次いでピットイン。給油、タイヤ交換、ドライバー交替を行い、コース復帰。
しかし、#300(山口)は48周目の1コーナーで単独スピン。それまで築いてきた16秒の貯金を吐き出し、さらにピット作業違反のペナルティピットインで後退。労せずしてトップに躍り出た#1(藤波)に大きく水を開けられてしまった。
2時間35分過ぎ、トップ2車は2度目のルーティンピットをこなし、#300はCostaに、#1は浜野にドライバーチェンジしている。
なお、3番手スタートの#83X WORKS R8はスタート前にクラッチトラブルが発生し、約20分遅れてピットからスタート。序盤から大きなハンデを背負ってしまった。
ST-Zクラス/ST-1クラス
ストレートスピードに勝る#3ENDLESS AMG GT4(山内)と、コーナリングスピードが高い#2ケーズフロンティア SYNTIUM KTM(濱口)が、序盤抜きつ抜かれつの攻防を見せたが、途中から#2濱口が抜け出した。
ピットイン後、バトンを受けた#3(内田)が#2(高橋)を逆転するも、その差は広がらず、3時間経過時で両者の差は約10秒。
1台のみの参加となったST-1クラスは、#47 D'station Porscheが順調に周回を重ね、ST-Xクラスに次ぐ総合4位をキープしている。
ST-2クラス
スタートから#6新菱オート☆DIXELエボⅩ(大橋→藤井→大橋)がハイペースで逃げ、2位#59DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤→後藤)を少しずつ引き離していたが、2度のピットインを経て#59が逆転。3時間経過時点では28秒のリードを築いている。
ST-TCRクラス
#501KCMG Annika CIVIC TCR(バードン)が時折1分51秒台を叩き出すなど圧倒的な速さで2位以下を引き離していったが、#10IDI GOLF GTI TCR(脇阪→密山)も必死に食い下がり、一時15秒あった差を少しずつ削り取って、3時間経過時には7秒後方にまで迫っている。
3位#45BRIN・NAUB RS3 LMSは、上位2台から大きく遅れている。
ST-3クラス
スタートから#62 DENSO Le Beausset RC350(山下)が逃げ、2位#14 HIRIX☆YAIMA☆Z34(伊橋)が食い下がる展開が続いたが、スタートから53分経過、29周を消化したところで、#62山下が1コーナーを真っ直ぐ行ってしまい、タイヤバリアに激しくクラッシュ。ブレーキ関連のトラブルのようだ。山下に怪我はない模様だが、本命視されていた#62は早々に姿を消すことになってしまった。
これでトップに立った#14もトラブルで後退し、その後は#68埼玉トヨペット Green Brave GR SPORT マークX(服部→番場)、#34TECHNO FIRST RC350(大草→前嶋)と#38ADVICS muta racing RC350TWS(阪口→堤)の3台が競り合うが、勢いに勝る#38が、#34、#68を相次いでパス。待望のトップに立っている。
ST-4クラス
#884 林テレンプ SHADE RACING 86(平中)、#86 TOM'S SPIRIT 86(坪井)、#310 GR Garage 水戸インター GR86(久保)とレース巧者の3人が序盤から三つ巴の戦いを展開。徐々にそれぞれの差は開いていくが、この3台は他のクラスがピット作業をこなしても、ぎりぎりまで引っ張り、2時間を経過した頃ようやくピットイン。
このピットインで#86(中山)が#884(HAYASHI)の前に出ることに成功。トップに立つと今度はお返しとばかりに差を開きはじめている。
ST-5クラス
序盤は、#69 J'S RACING☆FIT(窪田)、#70 J'S RACING☆FIT(久保田)のチームメイト同士がラワンツー態勢を築き、これを#4 THE BRIDE FIT(黒須)、#78 LOVE DRIVE RACING ロードスター(田中)、#101 ヒロマツ デミオ(佐々木)が追い、5台が大きな差もなく争っていたが、徐々に#69と#101が抜け出している。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
6月1日、「富士SUPER TEC 24時間レース」の決勝を6時間後に控え、朝9時からウォームアップ走行が行われた。
サーキット上空に雲は多いものの日が差している。予報は晴れのち曇り。明日も曇りと、決勝では天候が大きく崩れることはなさそうだ。
ST-Xクラスは、予選上位の2台#300TAIROKU RACING GT-R GT3と#1GTNET GT3 GT-Rが1分41秒台と3位以下を2秒以上引き離した。決勝もこの2台が序盤から逃げる展開になりそうだ。
ST-TCRクラスは、予選では6位に沈んだ唯一のゴルフ#10IDI GOLF GTI TCRがトップタイム。決勝での追い上げが期待される。ポールシッター#501KCMG Annika CIVIC TCRはトップから4秒遅れの8位とやや心配な結果だ。また、#19BRP Audi Mie RS3 LMSはトラブルが発生した模様で早々にピットインしてしまった。
ST-3クラスは、予選は3位だった#62 DENSO Le Beausset RC350がライバルのマークXやフェアレディZ勢を僅差で抑えてトップタイムをマークした。しかし、トップ5車のタイム差は僅か0.3秒と殆ど差がない状態だ。
ST-4クラスは、連勝中の#884 林テレンプ SHADE RACING 86がトップタイム。大嶋和也、石浦宏明という強力な助っ人を擁する#104 ROOKIE RACING 86が僅差でこれに続いた。このクラスでは1、2戦と不運に泣いている#86 TOM'S SPIRIT 86もおり決勝は混戦必至だ。
長い長い24時間の戦いは午後3時にスタートを迎える。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
決勝日朝、スーパーGTシリーズを運営するGTアソシエイション(GTA)坂東正明代表による定例会見が行われた。
- プロモーターとして悪天候に左右された開幕戦岡山大会について
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赤旗やペナルティに関しては、競技運営の専権事項なのでプロモーターとして何か言うつもりはない。雨が酷い状況の中でレインタイヤのパターンを増やすということも考えられるが、コストの問題やメーカーの技術競争が激しくなることを考えると、今のレインタイヤの規制で良いと思う。あの状況のなかでレースを止めることは、苦渋の決断であったとは思うが、安全面等を考えるとやむを得なかったと思う。
- 元号が令和となって初のビッグレースとなる富士戦について
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令和の緒戦、10連休のなかでのイベントはどのようになるのか、モータースポーツに対する関心度はどうなのか、往年のファンが足を運んでくれるのかと気にしていたが、お陰様で過去最高、クルマが場内に入り切れないほどになっている。潜在的なファンを10連休が刺激してくれたと感じている。10年間続けてきたキッズウォークなどの取り組みも実ってきていると思う。平成という時代にスーパーGTレースの基盤ができ、令和になってより向上、発展を図りたい。そういった意味でも今回は大事なレースであると思う。
- 11月のDTMとの交流戦についての新たな情報は
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DTMレースはからは12~14台が来る予定である。これはジャンボ1機で運べる台数が2台7列までとなっているからである。レギュレーションに関しては、土・日曜日に1時間レースを行う。(DTM独自の)DRS(ドラッグリダクションシステム/Rウィングの角度をレース中に調整できるシステム)は使わず、プッシュtoパスシステム(燃料流量を一時的に変えるシステム)は公正となるようにする。タイヤはハンコックのワンメイクになる。ITRとGTAというプロモーターがクラス1というカテゴリーを作りあげ、ヨーロッパと日本のマニュファクチャラ(自動車メーカー)が一緒にやるというのは画期的なこと。勝ち負けよりもここから発展させていくことが重要。冠スポンサーもほぼ決まっていて、今月末の鈴鹿大会では発表できると思う。
まとめ&Photo: Shigeru KITAMICHI
4月28日、ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」(グループ1)の決勝が快晴のスポーツランドSUGOで行われ、最速のST-Xクラスは#1GTNET GT3 GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗組)が、激戦となったST-3クラスは#38 ADVICS muta racing RC350TWS(堀田誠/阪口良平/堤優威組)が優勝を飾った。(観客:27日(土)2,600人、28日(日)4,800人)
昨日とは打って変わり絶好のレース日和となった日曜日。
しかし、6クラス混走となるレースは晴れ渡った空のようにクリアとはならなかった。レース前半にFCY(フルコースイエロー)が2回、レース折り返しを過ぎてからSC(セーフティカー)ランが2回と、各チームはこれらに翻弄されながらチェッカーを目指すことになった。
ST-Xクラスは、ポールポジション(PP)スタートの#1GTNETが、「FCYやSCでは僅かでも給油をする」という作戦を敢行。一時は3位に後退する場面もあったが、慌てることなく3人のドライバーがきっちり仕事をこなした。
序盤、トップを快走した#83 X WORKS R8(ツェ・カ・ヒン/シンヤ・ショーン・ミチミ/タン・フィリップ組)は、2人目のドライバーが大荒れ。ペースは遅いうえに、最終コーナーでTCRクラスのマシンと接触しリタイア。レース後半最初のSCランの原因を作ってしまった。
これでトップに返り咲いた#1GTNETは、出場車中最多の4回のピットストップをしたものの、終盤#244LEXUS RC-F GT3(田中徹/田中哲也/佐藤公哉)の追走をかわして今季初優勝のチェッカーを受けた。
ST-Zクラスは、レース開始から#3ENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼組)を#2ケーズフロンティア SYNTIUM KTM(飯田太陽/加藤寛規/高橋一穂組)が僅差で追走。1時間を経過したところで#2ケーズフロンティアが先にピットに滑り込むが、運が悪いことにこの直後に故障車がコース脇にストップ。2度目のFCYとなってしまい、このチャンスをものにした#3ENDLESSが後半は独走で開幕戦に続く2連勝を飾った。
ST-TCRクラスは、連続クラスPPからスタートした#19BRP Audi Mie RS3 LMS(太田佑弥/松本武士/篠原拓朗組)が盤石のレースを見せた。今回アウディ勢にはタイヤトラブルが出ていたため、「タイヤのライフと燃費が心配だった」(松本)とはいうものの、2位の#45BRIN・NAUB RS3 LMS(竹田直人/白坂卓也/田ヶ原章蔵組)に付け入る隙を見せずに逃げ切った。
ST-1クラスは、#47D'station Porsche(星野辰也/織戸学/濱賢二組)がライバル不在のなか、自らのペースを守って走り抜き総合6位でフィニッシュ。予選時からトラブルを抱えていた#998Z-REX ADVICS R8 TRACY(ジェフリー・ゼイ/レオン・イエー/ハンス・ワン組)はスタートすることなく姿を消してしまった。
ST-2クラスは、「FCYとSCのタイミングが我々に味方した気がする」(菊地)というように、#6新菱オート☆DIXELエボⅩ(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組)が、レース前半をリードした#59 DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基組)を終盤は大きく引き離してクラスポール・トゥ・ウィン。
ST-3クラスは、レース折り返しまでは#14HIRIX☆YAIMA☆Z34(山崎学/安宅光徳/伊橋勲組)が先行したが、SCを境に#38ADVICS muta racing RC350TWS(堀田誠/阪口良平/堤優威組)がトップに浮上。しかし独走は許されず、#15岡部自動車Z34(長島正明/小松一臣/古谷直広/たしろじゅん組)、#68埼玉トヨペット Green Brave GR SPORT マークX(服部尚貴/脇阪薫一/吉田広樹組)が次々に#38に襲い掛かった。
「セッティングはイマイチ決まっていなかった」(阪口)という#38ADVICSだが、#15岡部自動車がピット作業時のペナルティで後退するなどツキも味方した。残り10分を切ってからは#68埼玉トヨペットの猛チャージを受けるが、僅か0.069秒速くゴールラインを横切って優勝を飾った。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
4月27日、ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」(グループ2)の決勝がスポーツランドSUGOで行われ、ST4クラスは#884 林テレンプ SHADE RACING 86(平中克幸/国本雄資/ヒロ・ハヤシ組)が、ST5クラスは#70 J'S RACING☆FIT(藺牟田政治/久保田英夫/植田正幸組)が優勝を飾った。
年一度の菅生決戦。ST-4クラスの勝負は終盤#86TOM'S SPIRIT 86(坪井翔/松井孝允/大嶋和也組)を襲った燃料系のトラブルで決着してしまったが、それまでに繰り広げられた#884林テレンプとの戦いは非常に見応えのあるものだった。
序盤、レースを演出したのはFCY(フルコース・イエロー)だった。
まず、開始から10分を経過した時点で、コース上に落下物があり最初のFCYが導入された。このタイミングでトップを快走していた#86TOM'S(松井)と2位#310GR Garage 水戸インター GR86(細川)がピットに滑り込んだ。ここで#86は松井から大嶋にドライバーチェンジ。
さらに、開始20分。コースアウトした車両の回収で2度目のFCYとなると、ここでトップに立っていた#884林テレンプ(国本)がピットに滑り込み、平中にバトンタッチ。
このFCYが解除されレースが落ち着いた40分経過時、再びトップに立った#86TOM'S(大嶋)と#884林テレンプ(平中)との差は11秒。しばらくはこのまま推移したが、1時間を経過した頃から燃料が減り軽くなった#884平中の猛追が始まる。
#884平中は確実にギャップを削り、45周目7.3秒、50周目4.4秒、そして60周目には#86大嶋の背後にピタリとつける。#86大嶋も意地を見せ#884平中を抑え続け、このバトルは64周目に#86がピットインするまで続いた。
そして、独走する#884が89周目に2度目のピットインをしてコースに戻ると、その4秒背後には#86(坪井)の姿が。再び両者のバトルが始まる……はずだった。しかし、ここで#86に燃料系トラブルが発生し無念のスローダウン。トラブルで後退した開幕戦の再現となってしまった。
これで背後を脅かすもののいなくなった#884国本はハイペースを保ったままチェッカーを受け、開幕戦鈴鹿に続く連勝を飾った。2位は上位2台のペースについていくのは厳しかったが、コンスタントに走った#310GR Garage 水戸インター GR86(久保凜太郎/細川慎弥/山口礼)が入った。
ST-5クラスは、序盤、予選5位#168冴えカノレーシングwith RFC(霜野)が快走を見せたが、ピットインで後退。代わって#69 J'S RACING☆FIT(梅本淳一/窪田俊浩/梅田真祐組)がトップに立ち、2時間が経過する頃には、チームメイトの#70 J'S RACING☆FIT(藺牟田政治/久保田英夫/植田正幸組)とワンツー態勢を敷いた。
終盤は#70が前に出てワンツー態勢は続いたが、残り15分を切ってから#101ヒロマツ デミオ(佐々木)が猛追。残り7分で2位#69を捕らえると、最終ラップには#70にも迫ったが、気合いが空回りしてしまいヘアピンコーナーでコースオフ。大逆転優勝とはならず、#70 J'S RACINGが今季初優勝を飾った。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
サーキット上空がかなり明るくなるなかで行われたグループ1の予選は、コースコンディションが徐々に回復するものと思われた。しかし、Bドライバーの時間帯には雨粒が落ちてくるという難しいコンディションとなった。このため、各クラス、Bドライバーのタイムがグリッドに大きく影響することとなった。
ST-X(GT3)クラスのポールポジション(総合トップ)は、Aドライバー浜野がトップ、Bドライバー星野も2位とまとめた#1GTNET GT3 GT-R(浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗組)が獲得。開幕戦は不運なアクシデントで下位に沈んだだけに必勝態勢だ。
2番グリッドは、Bドラ田中のタイムがやや伸び悩んだものの#244 LEXUS RC-F GT3(田中徹/田中哲也/佐藤公哉組)。ニューウェイがBドラトップと気を吐いた#300 TAIROKU RACING GT-R GT3(山口大陸/ハリソン・ニューウェイ/ニコラス・コスタ/高木真一組)は総合4番手。
ST-Z(GT4)クラスは、まだ出走3台と台数的にはやや寂しいが、Bドライバー山内英輝が、難しいコンディションのなかニューコースレコード(1分28秒983)を叩き出した#3ENDLESS AMG GT4(内田優大/山内英輝/高橋翼組)がクラスポールを獲得。
ST-TCRクラスは大混戦。Aドライバーでは、トップの#65Phenomen Mars Audi RS3 LMS(岡島)に#10 IDI GOLF GTI TCR(デヴェサ)、#19太田が僅差で続き、アウディにゴルフが割って入る三つ巴の争いとなったが、Bドライバーの松本も2番手タイムをマークした#19 BRP Audi Mie RS3 LMS(太田佑弥/松本武士/篠原拓朗組)が合計タイムでクラスポールを得た。
ST-1クラスは、出走2台だが、Bドラ織戸が、難しいコンディションのなかSTXクラスに次ぐ好タイムを叩き出し、#47D'station Porsche(星野辰也/織戸学/濱賢二組)を指定席に導いた。
ST-2クラスは、A,Bドライバーともにトップタイムをマークした#6新菱オート☆DIXELエボⅩ(冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組)がクラスポールを獲得。開幕戦の鈴鹿では2位に甘んじただけに今回はポールtoウィンを果たしたいところだ。
ST-3クラスは、開幕戦を制した#62 DENSO Le Beausset RC350(嵯峨宏紀/山下健太/小河諒組)がクラスポール。安定した速さを発揮できるドライバーを揃えるだけに、連勝の可能性は高そうだ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
今回のレースは、グループ1(ST-X,ST-Z,ST-TCR,ST-1,ST-2,ST-3)とグループ2(ST-4,ST-5)に分けられ、グループ別に3時間レースを行う変則的なイベントとなっている。通常は総合トップ争いの叶わないST-4クラスのチームにとっては、またとないチャンスとなっている。
このため、午後に決勝が行われるグループ2の予選は、コースはウェットながら熱い戦いが繰り広げられた。
ST-4クラスは、Aドライバーのタイムアタックで、終了間際までトップを守っていた#86TOM'S SPIRIT 86(坪井翔)を、#310GR Garage 水戸インター GR86(久保凜太郎)が最後に1分45秒092をマークして逆転。しかも#86にコンマ6秒という大きな差をつけた。これはA,Bドライバーの合計タイムで決まる予選では大きなマージンと思われた。
しかし、Bドライバーの予選で、#86松井孝允は再逆転を期して果敢にアタック。他のドライバーに先んじて1分45秒台の好タイムをマークする。途中#88村上モータースMAZDAロードスター(中島保典)のエンジンブローにより、コース上にオイルが撒かれ赤旗中断になるというアクシデントはあったものの、再開後にも他を引き離す1分45秒078を叩き出し、見事逆転でポールポジションを決めた。
なお、#104ROOKIE RACING 86(飯田章)は、赤旗中断となる前の最終コーナーでクラッシュ。マシンはフロント部に大きなダメージを負ってしまい、午後の決勝には車両を変更して臨む予定だ。
ST-5クラスは、A,Bドライバーのタイムにバラつきがあるチームが多く、Aドライバーでは、#78LOVE DRIVE RACING ロードスター(田中良平)、#4THE BRIDE FIT(見並秀文)が、Bドライバーでは、#101ヒロマツ デミオ(佐々木孝太)、#168冴えカノレーシングwith RFC(霜野誠友)がそれぞれ1,2位と混戦模様だったが、Aドライバーの吉田綜一郎も3位と安定した力を見せた#101がポールポジションを獲得した。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
平成時代最後のレースイベントとなるピレリ スーパー耐久シリーズ2019 第2戦「SUGOスーパー耐久3時間レース」。予選日朝のフリー走行は前日からの雨が残るなか行われた。
雨はかなり弱くはなってきたもののコースは完全ウェット。フリー走行は参加全クラス50台を超えるマシンの混走となるため、開始から20分間は安全確保を目的としたセーフティカーランとなった。
残り10分は、予選に向けたマシンチェックとタイムアタックが行われ、ST-Xクラスの#83 X WORKS R8(ツェ・カ・ヒン/シンヤ・ショーン・ミチミ/タン・フィリップ組)が1分41秒052でトップタイム。ST-TCRクラスの#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS(堀主知ロバート/千代勝正/KIZUNA組)が僅差でこれに続き、クラスの違いはあるがアウディ勢がウェットのなか速さを見せた。
Text:Shigeru KITAMICHI
8月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦ツインリンクもてぎ2&4レースの決勝が、栃木県・ツインリンクもてぎで行われ、ポールポジション(PP)スタートの#1石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO INGING SF14)が、序盤トップを明け渡すものの完全にレースをコントロールして優勝。2位には2ピット作戦を完璧に遂行した#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)が入った。この結果、シリーズチャンピオンは、キャシディ、山本、石浦の3人に実質絞られる形になった。(観客:8月18日(土)16,500人/19日(日)20,500人)
例年の猛暑は影をひそめ、過ごしやすい天候となった決勝日。スタート時刻を迎えると、上空には雲も出て気温、路面温度の上昇も抑えられた。このため、上位陣は殆どがソフトタイヤをチョイス。序盤からソフトで逃げる作戦を取ったが、シリーズをリードする予選5位#3ニック・キャシディ(ORIENTALBIO KONDO SF14)と予選7位#16山本尚貴(TEAM MUGEN SF14)はミディアムタイヤを選択した。
また、後方グリッドから逆転を狙うドライバー達の多くはミディアムタイヤを選択するなど、各チーム、各ドライバーがそれぞれの思惑を持ってスタートを迎えた。
PPの#1石浦がスタートダッシュを決めて幕を開けた決勝だったが、「スタートから逃げる」という狙い通りにはいかず、予選3位の#6松下信治(DOCOMO DANDELION M6Y SF14)が、オープニングラップでチームメイトの予選2位#5野尻智紀(DOCOMO DANDELION M5S SF14)と#1石浦を次々にパス。一気にトップに躍り出た。予想外の展開ではあったが、#1石浦は冷静だった。「何度か前に出ようとしたが、タイヤを温存する作戦に徹した」と#6松下の1秒背後につけたまま2位をキープ。この2人が後続を引き離しながらレースは展開する。
10周目に#3ニック・キャシディ(ORIENTALBIO KONDO SF14)が、13周目に#16山本尚貴(TEAM MUGEN SF14)が相次いでピットイン。シリーズをリードする2人は残る約40周をソフトタイヤで走り切るという同じ作戦でレースを進めることになる。
15周目、驚異的なハイペースで3位まで順位を上げてきた#20平川がピットに滑り込んでくると、タイヤをソフトからソフトに交換。この時点で#20平川は2ピット作戦であることが明らかになる。#20平川はこの後も軽いマシンとソフトタイヤの組み合わせでハイペースを維持し、今回のレースで#1石浦と主役を分け合う活躍を見せることになる。
27周目、タイヤを痛めてややペースが落ちてきたトップ#6松下がピットイン。7位でコースに復帰するが、戻ったタイミングが悪く、5位争いを繰り広げる#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)と#8大嶋和也(UOMO SUNOCO SF14)の後方に入ってしまう。#19関口はすでにタイヤが寿命を迎えペースを上げられずにいたが、#6松下はこの壁をなかなかクリアすることができずにペースを乱してしまう。#19関口は巧みなブロックでチームメイトの#20平川を逃がすことに成功。チームのために仕事を果たした。
レース終盤の39周目に2位#20平川が2度目のピットイン。40周目にはトップ#1石浦がピットイン。両者ともポジションをキープしたままコースに戻るが、ピットインするまで、トップに立ってからの#1石浦のペースは、40周近く走ったソフトタイヤによるものとは思えないほど速く、タイヤを持たせる#1石浦の技術が#20平川の追走を退けた形となった。
余裕すら感じるレース運びを見せる#1石浦は、最後の数周、後方の#20平川との差を見ながらペースを落としてチェッカーを受け今季初優勝を飾った。傍目には完璧な勝利に見えたが、「途中シフトチェンジがうまくいかず、これで終わりかと思った」と意外にもトラブルを抱えながらの勝利だったことを明かした。
#3キャシディと同じ作戦を取ったシリーズリーダーの#16山本は、終盤5位を走行していたもののペースが上がらず、51周目に#8大嶋に、最終ラップに#4山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF14)に相次いでかわされ7位フィニッシュ。最後に貴重な2ポイントを失ってしまった。
この結果、シリーズポイントは#3キャシディが27ポイントでトップに。#16山本と#1石浦が24ポイントで並び、実質この3人が残り2戦でチャンピオンを争うことになった。
次戦第6戦は、9月8~9日岡山国際サーキットで開催される。今回優勝した#1石浦を始め、岡山のコースを得意としているドライバーは多いだけに、混戦が予想される。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
8月19日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦ツインリンクもてぎ2&4レース決勝日。午前10時から30分間行われたフリー走行では、予選で最下位に沈んだ#18中山雄一(KCMG Elyse SF14)がトップタイムをマーク。予選上位陣は順調に走行を重ねた。
決勝日、サーキット上空は快晴。昨日同様秋を感じさせる過ごしやすい天候となった。決勝もドライコンディションで行われることは間違いなさそうだ。
フリー走行開始時は殆どのマシンがソフトタイヤを選択。夏としては涼しい天候に、決勝もソフトで行けるところまでいく作戦を取るチームが多くなりそうだ。
開始早々トップに立ったのは、予選で精彩を欠き最下位に沈んだ#18中山。予選はQ1のみでソフトタイヤでのアタックができなかったため、セッティングを確認しつつ、予選を上回る1分33秒618をマークした。
同様に、後方グリッドからの追い上げを強いられることになった#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)も6番手タイムとなる1分34秒946をマークした後、決勝を想定し早々にミディアムに履き替え36秒台で周回を重ねた。順位を上げるためには何らかの奇策が必要なだけに、決勝での動きに注目だ。
予選上位陣は、ポールシッターの#1石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO INGING SF14)をはじめとして、順調に走行を続けたものの、気になるのは、ドコモダンディライアンチームの#5野尻智紀(DOCOMO DANDELION M5S SF14)と#6松下信治(DOCOMO DANDELION M6Y SF14)。フリー走行のタイム、順位はあくまでも参考にすぎないとはいえ、2人揃って最下位とブービーの18,19番手で走行を終えた。やや不気味な存在ではある。
抜きどころの少ないコースだけに、コース上で大きく順位を上げることは難しい。スタートでのジャンプアップ以外には、ピットインのタイミングと作業時間を短縮するしかない。決勝では後方グリッドのチームが序盤にどのような動きをするのかに注目したい。
決勝は、午後2時15分スタート、52周、250kmで争われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
8月18日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第5戦の公式予選が、栃木県・ツインリンクもてぎ・ロードコースで行われた。お盆休みの週末ながら風が心地よい天候のなか行われた予選は、逆転チャンピオンを狙う#1石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO INGING SF14)が鮮やかな逆転劇でポールポジションを奪取。シリーズで優位に立っている#16山本尚貴(TEAM MUGEN SF14)は7位、#3ニック・キャシディ(ORIENTALBIO KONDO SF14)も5位と上位につけるものの、抜きどころの少ないコースでは#1石浦がかなり有利な状況だ。
Q1
気温32度、路面温度42度と、ともに朝のフリー走行より5~6度高くなり、これが各マシンにどのような影響を及ぼすのかが注目された。各ドライバーは装着が許されたミディアムタイヤで1度目のアタックを終え、タイヤを交換して2度目のアタックに入る。
ここで見事なアタックを見せたのが#6松下信治(DOCOMO DANDELION M6Y SF14)。朝のフリー走行では10番手と振るわなかったが、気温の上昇が上手くマッチしたのか、2位の#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)をコンマ4秒以上引き離す1分32秒298をマークして首位でQ1を通過した。
悪い意味での番狂わせとなってしまったのが、今回優勝してチャンピオンを狙うと言っていた#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)。2度目のアタックで伸び悩んで16位に沈み、Q1でノックアウトされてしまった。
#19関口以外のチャンピオン候補は、#16山本4位、#1石浦6位、#3キャシディはやや危なかったものの12位で順当にQ1をクリアした。
Q2
ソフトタイヤの使用が許されるQ2は、Q1とは違った展開を見せた。#64ナレイン・カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING SF14)が1分31秒959で口火を切ると、好調#6松下がコースレコードを塗り替える1分31秒799をマークしてトップに躍り出る。
こうなると黙っていられないのが、レコードを破られた#5野尻智紀(DOCOMO DANDELION M5S SF14)。即座に1分31秒677を叩き出し、ほんの数十秒でレコードホルダーに返り咲いた。#1石浦もこれに続き、以下#6松下、#4山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF14)、#3キャシディ、#64カーティケヤン、#16山本、#17塚越広大(REAL SF14)の8人がQ3に駒を進めた。
Q3
ここでも#64カーティケヤンが最初に31秒台に入れトップに立つが、これを#6松下が自身がQ2で記録したタイムを僅かに更新する1分31秒761でトップに立つ。そして、これを#5野尻が1分31秒642のレコードタイムで逆転する……とここまではQ2と同じ展開。
しかし、最後の最後、狙い澄ましたように#1石浦が#5野尻を上回る1分31秒591を叩き出してドコモダンディライアンチームのワンツーを阻止。絵に描いたような逆転劇で予選を締めくくった。
「目標は逆転チャンピオン。ポールポジションではしゃぐわけにはいきません。第一段階クリアという感じです」と静かに喜びを噛みしめる#1石浦だが、まずはポールポジションポイントの1点を獲得。ポールシッターの勝率が他に比べ格段に高いコースでその座を手に入れ、ディフェンディングチャンプの逆襲が始まったことを感じさせた。
決勝は、明日午後2時15分から52周、250kmで行われる
Text:Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum