7月8日、全日本スーパーフォーミュラ選手権第3戦の公式予選が、静岡県の富士スピードウェイで行われ、チャンピオンナンバーを背負う#1国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が、自身初のポールポジションを獲得。#2石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)が僅差で続き、決勝はチームメイトの2人がフロントローに並ぶことになった。
快晴のもと、午後2時30分から行われたノックアウト方式の予選は、Q1では19台が14台に、Q2では14台が8台に、そしてQ3では残った8台がグリッドを争う。各チームは、ニュータイヤを投入するタイミングを計りながらアタックを行った。
Q1
午前中よりやや風は出てきたものの、気温32度、路面温度49度という厳しいコンディションのなか、各マシンはウォームアップとなる1回目のアタックの後、一旦ピット入りマシンの微調整とタイヤ交換をして、2回目のアタックに入った。
ここで1分23秒台を叩き出したのは、朝のフリー走行でも好調だったセルモ・インギングの2台。ゼッケン順に#1国本、#2石浦がワンツー。#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)、#20ヤン・マーデンボロー(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)がこれに続いた。
ここで涙を飲んだのは、ナカジマレーシングの#64中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)と#65ナレイン・カーティケヤン(NAKAJIMA RACING SF14)、#10塚越広大(REAL SF14)、#50小暮卓史(B-Max Racing team SF14)。すべてホンダエンジンユーザーだった。
Q2
やや路面温度が下がったQ2は、残り2分を切ったところでアクシデント。#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF14)がアタック中のシリウスコーナーでスピンをし、ライン上に止まってしまった。これで赤旗中断となり、アタック中だったドライバーはタイムを出せずに再開を待つことになった。
予選は残り3分で再開されることになったが、アクシデントの煽りを食ってしまったのがポイントリーダーの#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)。タイヤを温めることが難しい再開後はタイムアップを果たせず、ここで姿を消してしまった。
一方、アクシデント前にトップタイムをマークしていた#1国本は、再開後の走行はせずにニュータイヤを履いてQ3を待つ余裕を見せた。以下、#19関口 雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)、#15ピエール・ガスリー(TEAM無限SF14)、#2石浦、#37中嶋一貴、#16山本尚貴(TEAM無限SF14)、#3ニック・キャシディ(フジ・コーポレーションKONDO SF14)、#4山下健太(フジ・コーポレーションKONDO SF14)の8台がQ3に進んだ。
Q3
各ドライバーは集中力を高めて最後のアタックに入るが、ここで#37中嶋が1分23秒265という好タイムをマーク。これがターゲットタイムとなり、ここから23秒前半、僅差の争いが始まる。まず#37中嶋のタイムを上回ったのは#1国本。1分23秒044をマークしトップへ踊り出る。続いて、#2石浦が1分23秒107を、#19関口1分23秒193をマークして2位、3位へ食い込んだ。他の4人は#37中嶋のタイムを上回ることができず、「ルマンを経験して強くなった自分を見せたかった」というディフェンディングチャンピオン#1国本が、意外にも初めてのポールポジションを獲得した。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum

7月8日、予選日の富士スピードウェイは快晴。朝から夏の日差しが照りつけた。
朝9時10分から行われたフリー走行は、序盤、トムスの2人、#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)と#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)がリードした。
特に、開始から10分間はピットで待機していた#37中嶋は、走り出してすぐに1分24秒478という、この時点で他を圧倒するタイムをマーク。#36ロッテラーも開始29分過ぎに#37中嶋のタイムを僅かに上回る1分24秒427を叩き出し、両者のマシンが順調に仕上がっていることを窺わせた。
終盤、残り10分を切った頃から、ほぼ全車がニュータイヤを履いてアタック。ここで上位に食い込んできたのがセルモ・インギングの2人、#1国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)と#2石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)。ニュータイヤでのアタックでトムスの2人と互角に渡り合い、最終的に、#36ロッテラー(1分23秒727)、#2石浦宏明(1分23秒924)、#37中嶋(1分24秒006)、#1国本雄資(1分24秒010)と、両チームが交互に並んでセッションを終えた。
午後2時30分から始まる予選もこの4人を中心に展開しそうな気配だ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
決勝日朝、恒例のGTアソシエイション坂東正明代表による定例会見が行われた。
■今回のレース展望について
開幕戦では、ホンダNSXにトラブルが相次いだ。長くモータースポーツに関わっているが、こんなことが起きるんだなぁと思った。
レクサスLC500は、乗用車としても久々に格好いいと思えるクルマが出てきた。ドライバーにも普段の足としてLC500を与えるなど、メーカーも気合いを入れ、プライドを持ってレースに臨んでいるという印象を受ける。そういう姿勢も影響して、現時点では一歩抜き出ているのだろう。GT-Rは予選でロニー選手が何とか威信を保ったが、ちょっと噛み合っていないのかなと思う。
GT300は、谷口選手が速いとはいえ、ウェイトを積んでいる初音ミクAMGがポールポジションというのは、ちょっと気に入らない(笑)。ただ、過去の戦績を見るとかなり苦労して現在の速さを手にしているのが窺える。JAF-GTマシンは、コースによっても速さにバラつきがあるように感じる。
色々な要素があり、500kmという長丁場でもあるので、面白いレースになると思う。
もし、今回もレクサスの圧勝となるようなら、そこは日産、ホンダの開発陣にさらに頑張っていただくしかない。
■決勝日のプロモーション増について
朝のフリー走行を止めて、トークショーやピットウォークなどファンと触れ合う時間を増やした。チーム側からすれば、特に前日クラッシュした時はなど朝走りたいと思うだろう。このため、決勝前の走行後にマシンチェックの時間を設けるなどした。
この変更には賛否や改善点もいろいろあると思うが、基本的にはこの方向でファンサービスを充実していきたいと考えている。サーキットごとに条件も異なるので、工夫しながら進めたい。
■来年の鈴鹿10時間レース(GT3の世界統一戦のようになる予定)について
今の状況下でGT300クラスのマシンがすべて参加することは難しいので、SGTシリーズのポイントを与えることはできない。また、タイヤはワンメイクになると思うので、レース終了後にSGTのタイ戦に向けて、マシンの仕様を変更したり搬送準備をしたり、チームが時間的にきつくならないように考えなければならない。
GTAとしても(鈴鹿サーキットを運営する)モビリティランドと前向きに話し合いを進めていきたい。
■2年ぶりのオートポリス開催について
サーキットにもまだ震災の爪痕が残っている。観客が立ち入れない危険な個所や、アクセス道路も寸断しているところなどがある。
それでも、九州でイベントをやることによって、少しでも復興を後押ししたい、九州の人達に元気になってもらいたいと考えている。ぜひ、当日は多くの人にサーキットに足を運んでいただきたい。
まとめ&Photo: Shigeru KITAMICHI
5月3日、2017オートバックス スーパーGT第2戦「富士GT500kmレース」の公式予選が富士スピードウェイで行われ、#38ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組)がポールポジションを獲得した。立川はGT500クラスにおける自身の最多PP記録を更新。通算22回目のポールポジション奪取となった。
GT300クラスは、#4グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝/片岡龍也組)が、メルセデスとポルシェによる争いを制し、6年ぶりにクラスポールを手にした。
ゴールデンウィーク後半初日の富士スピードウェイ。雲はやや多いものの風は涼しく、予選には絶好のコンディションとなった。
早朝から詰めかけた多くの観客が見守るなか、午後2時40分から始まった予選は開幕戦で圧勝したレクサス勢が主導権を握ることになったが、最後の最後にGT-Rがフロントローを奪い取り、決勝の好バトルに期待を抱かせる結果となった。
予選Q1
両クラスのターゲットタイムは、昨年この大会でマークされたレコードタイム、1分27秒366(GT500クラス)と1分35秒707(GT300クラス)だ。
GT500クラスは、残り2分を切ってから熾烈なタイムアタックが始まった。ここでリードしたのはやはりレクサス勢。#6WAKO'S 4CR LC500(アンドレ・カルダレッリ)、#36au TOM'S LC500(ジェームス・ロシター)、#38ZENT CERUMO LC500(石浦宏明)の3台がタイムを削り合ったが、最後に#36が逆転でトップタイム。レクサス以外で気を吐いたのは#8ARTA NSX-GT(野尻智紀)。それでも5位に食い込むのがやっと。一方、開幕戦はQ1で全滅したGT-Rは、#23MOTUL AUTECH GT-R(松田次生)がかろうじてQ1を通過した。
GT300クラスは、#4グッドスマイル初音ミクAMG(片岡龍也)と#11GAINER TANAX AMG GT3(平中克幸)のメルセデス2台を中心にタイムアタックが繰り広げられたが、残り5分でレコードタイムに迫る1分35秒864をマークした#11がトップとなった。3位は#9GULF NAC PORSCHE 911(峰尾恭輔)。メルセデス好調のなか、開幕戦で2位表彰台に上った#65LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹)はQ2進出ならず。同じメルセデスでも明暗を分けることになった。
予選Q2
GT500クラスは、Q1でも争った2台、#38ZENT CERUMO LC500(立川祐路)と#36au TOM'S LC500(伊藤大輔)がトップ争奪戦を演じた。伊藤は今季チーム監督を務めているが、今回は中嶋一貴の代役としてドライブ。衰えのないところを見せた。ところが、終了間際この2台の争いに割って入ったのが、日産のエースナンバーを背負う#23MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)。鬼神の走りを見せて予想を大きく上回る2位、フロントローを手に入れた。開幕戦に続きレクサス勢の優位は揺るがないが、決勝でレース巧者のニスモチームが一矢報いる可能性もありそうだ。
GT300クラスは、#4グッドスマイル初音ミクAMG(谷口信輝)がこのセッションをコントロールし続けた。途中#9GULF NAC PORSCHE 911(ジョノ・レスター)が一瞬トップに立ったが、#4が即座に逆転。最後は時間を残してピットインする余裕を見せた。3位は#33D'station Porsche(スヴェン・ミューラー)、4位は#11GAINER TANAX AMG GT3(ビヨン・ビルドハイム)が入り、メルセデスとポルシェが上位を占めることとなった。
なお、#33ポルシェはコース外走行(4輪脱輪)を繰り返したとのことで、当該周のタイムが抹消された結果14位に降格となった。
スーパーGT第2戦決勝は、明日4日午後2時10分から110周で行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Keiichiro TAKESHITA
全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝が、9月25日、快晴の宮城県・スポーツランドSUGOで行われ、ポールシッターの#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)が、不運なセーフティカーランで背負ったハンディを跳ね返し今季2勝目を飾った。シリーズポイントでもリーダーに返り咲き、ルーキーが混戦のシーズンを一歩リードすることになった。
年一度の菅生戦。サーキット上空には青空が広がり、9月に入って愚図ついていた天候が嘘のように晴れ渡った。ただ、スタート時刻が近づいても秋とは思えないほど日差しが強く、路面温度の高さがレースにどう影響するのか……各チーム、ドライバーはそんな思いを抱えたままスタートを迎えた。
抜きづらいサーキットだけにスタートの重要性はどのドライバーも口にしていたが、ポールシッターの#20関口は落ち着いていた。好スタートで背後に迫った#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)を抑え込んでトップで1コーナーに飛び込むと、他を圧倒する速さを見せた。そのペースは2位#37中嶋に対して1周1秒マイナス。#20関口はレースの2割を経過した14周終了時点で12秒という大きなマージンを築くことに成功した。
しかし、独走態勢は揺るぎないと思われた18周目、#20関口に不運が訪れる。何とチームメイトの#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)がSPコーナーでコースオフ。アウト側に止まってしまい、ここでセーフティカー(SC)が導入される。これだけなら良かったのだが、#20関口が大きなリードを築いていたために、この時点で2位を走っていた#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)以下のマシンは、ストレートを通過する#20関口の後方で続々とピットインしてしまったのだ。
「あの処理は納得がいかない」とレース後に語った#20関口だが、他のマシンがコースに戻ったときには、ピット作業を済ませていないのは何とトップの#20関口のみ。#20関口は築いたリードを失っただけでなく、ピットストップのハンディも背負うことになってしまった。
「優勝は半ば諦めたが、イケるところまで行こうと思った」という#20関口は、22周目にSCランが解除になると鬼神の走りを見せ、この時点で2位に浮上していた#64中嶋大祐(NAKAJIMA RACING SF14)との差を広げ始める。その差は、30周目9秒、40周目18秒、50周目30秒と、SCラン前と同様に毎周1秒ずつ引き離し、54周目にはついにピットインで失う目安である34秒のマージンを築いてしまった。
こうなると、サーキット全体が#20関口の味方だ。55周目にピットに滑り込んだ#20関口の作業を観客も関係者も固唾を飲んで見守った。給油に要した時間は8秒。ピットイン全体のロスタイムは31秒と、スムーズな作業でチームも#20関口の走りに応え、トップのままコースに送り出した。
その後も攻めの姿勢を崩さなかった#20関口は、2位#64中嶋大祐との差を再び大きく開き、拳を突き上げてフィニッシュ。今季2勝目を飾るとともに、ポイントリーダーに返り咲いた。これで参戦1年目のルーキーがチャンピオンに輝くという前代未聞の事態が現実になる可能性が高くなった。
3位には#37中嶋一貴、#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM’S SF14)との争いを制した#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)が入った。
なお、今回のレースで台風の目になり損ねたのが#8小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS SF14)。14番グリッドから好スタートを決めて1周目を10位で終えると、早々にピットインしたマシンがあったこともあり、10周目7位、17周目には4位まで浮上。上位入賞のチャンスが大きく広がったが、SCラン解除の際に1コーナーでコースオフ。これでタイヤを痛めたのかピットに入ることになり、大きく順位を落としてしまった。ベストタイムでは#20関口に次ぐ2位で表彰台の可能性もあっただけに、#8可夢偉にとっては非常に惜しいレースだった。
また、心配されたタイヤの寿命は思ったよりも長く、序盤でピットに入ったマシンも含め、ルーティンのピット作業でタイヤ交換をしたチームは無かった。タイヤに決して優しいとは言えない菅生のコースでも性能を損なうことなく、68周のレ-スを走り切ってしまうことを考えると、来季はできるならもう少しライフを短くしてレースに不確定な要素を増やしても良いように感じた。
最終戦は、10月29~30日の鈴鹿。#20関口の優位は揺るがないが、2レース制でボーナスポイントもあるだけに、予想外の展開もあるかもしれない。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
9月25日決勝日、やや雲は多いもののサーキットには陽が差している。仙台地方の天気予報は晴れのち曇り。雨の心配はなく絶好のレース日和になりそうだ。
午前9時30分から行われた30分間のフリー走行は、ポールシッター#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)をはじめとする予選上位陣の仕上がりに加え、昨日の予選Q1で接触され後方グリッドに埋もれることになった#8小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS SF14)、好調さを窺わせながらもアタック中のコースアウトでQ1進出を逃してしまった#34小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)などの走りにも注目された。
ここで他を圧倒する速さを見せたのが予選6位の#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)。走り出してまもなく1分7秒360をマークしてトップに立つと、さらにタイムを縮め最終的に1分6秒690というフリー走行にしては速すぎるタイムを叩き出した。
予選トップ3は、#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)が1分7秒681で3位、#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)が1分7秒944で4位と2人は上々の仕上がりを見せたが、#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)は1分8秒259で14位と決勝に向けやや不安を残した。
決勝での巻き返しを期す#8可夢偉と#34小暮は8位と9位。スタート次第では上位進出の可能性を感じさせた。
なお、走行終了4分前、ハイポイントコーナーでで#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM’S SF14)がスピンアウト。これにより赤旗が提示され走行終了となったが、名手#36ロッテラーは昨日の予選からいまひとつ歯車がかみ合っていないようだ。
決勝は、午後3時15分から68周(約250km)で行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
- PP #20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)
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「今日の結果は狙いどおりです。うちのチームはエンジニア同士がデータを出し合っていますし、ドライバーもお互いのデータロガーを見て勉強しています。昨日も自分が良かったので、そのデータをJPが見て速くなりましたし、僕もJPのデータ見て参考にさせてもらっています。そういうことが結果に出ていると思います(会見途中に星野監督が乱入して関口選手を祝福。笑いを誘った)」
- 2位 #37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)
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「調子は悪くありませんでしたが、Q1はいまひとつ上手にまとめ切れなかったという感じです。Q2は非常にうまくいって、Q3は自信を持って臨みました。あと一歩届きませんでしたが、フロントローなので良しとします。(関口)雄飛は昨日から少し抜き出ていて、他をコンマ5秒くらい引き離していました。予選は2番狙いかな、なんて言っていたんですが、本当にそうなってしまいましたね」
- 3位 #40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)
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「レースウィークに入ったときは自分たちがどの位置にいるのか、セットアップをどの方向に持っていったらいいのかわからないような状態だったのですが、少しずつアジャストしていってようやくここまで来ました。今のスーパーフォーミュラはすべて揃わないと勝てないので厳しいとは思いますが、とりあえず、明日はスタートを決めて、あとは運まかせです(笑)」
※中嶋一貴選手は、ピットアウト時に安全確認を怠り他車と接触したとして、決勝は1グリッド降格のペナルティが課されることになった。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の公式予選が9月24日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、ルーキーらしからぬ速さを見せる#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)が自身2度目ポールポジションを獲得した。
公式予選は午後1時よりノックアウト方式で行われた。朝のフリー走行では一部ウェットだったコースも完全ドライ。秋の気配が漂う中でのアタックとなった。
Q1
午前中より路面温度が下がったことで、各マシンはウェービングでタイヤを温めつつアタックに入っていく。1回目のアタックでトップタイムをマークしたのは、朝のフリー走行で好調だった#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM’S SF14)。1分6秒366をマークするが、これではQ1クリアは難しい。10分を経過して全車一旦ピットイン。タイヤを交換して2回目のアタックに備える。
残り7分となったところで各マシンが次々にコースインするが、ここで予想外のアクシンデントが発生。ピットロードを走ってきた#8小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS SF14)に、ピットアウトした#16山本尚貴(TEAM無限 SF14)が接触。マシン同士が絡んで動けなくなってしまう。何とか引き離されたマシンで両者はコースインするが、マシンにダメージを抱えて満足にアタックできずにQ1で消えることになった。
ここでのトップタイムは2回目のアタックで1分5秒586を叩き出した#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)。僅差で#41ストフェル・バンドーン(DOCOMO DANDELION M41S SF14)、#34小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)が続いた。#20関口は昨日の練習走行から好調を維持しており、ここ一発の速さが光っている。シリーズポイントリーダーの#2国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)は17位と低迷。ここで姿を消してしまった。
Q2
14台による7分間のQ2は、時間が短いだけにワンチャンスをいかに生かすかが鍵となる。ここで手痛いミスを犯してしまったのが、尻上がりに調子を上げていた#34小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)。アタック中にコースアウトを喫してしまい、自らチャンスを潰してしまった。
トップタイムは、#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)。底力を見せQ1の5位から一気にジャンプアップを果たした。2位は#20関口。ややマシンをスライドさせてしまいタイムロスをしたが、手応えは感じているようだ。シリーズポイント2位の#1石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)はここで脱落。シリーズをリードしているセルモ・インギングにとっては厳しい予選結果となった。
Q3
8台になったQ3。ここまでの流れでは#37中嶋対#20関口という構図だが、量らずもそのとおりとなった。まずは#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14) が1分5秒732をマークしてトップに立つが、ここから#41バンドーン1分5秒598、#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40Y SF14)1分5秒506と次々にトップが入れ替わる。
そして、最後に登場したのが#20関口。その姿はまるでSF界の侍。自らの前に立ちはだかる敵をバッサバッサと斬り倒すような鋭い走りで1分5秒398を叩き出す。#37中嶋も最後の力を振り絞るが1分5秒416と#20関口には僅かに届かず。#20関口がハイスピードコースのSUGOで2度目のポールポジションを決めることになった。
なお、#37中嶋は、ピットアウト時に安全確認を怠り他車(#8可夢偉)と接触したとして、予選終了後、決勝において1グリッド降格のペナルティが課されることになった。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
予選日の午前、日本レースプロモーション(JRP)による恒例のサタデーミーティング(定例会見)が行われた。
- JRP代表取締役社長 倉下 明
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今シーズンはご存じのように大混戦になっています。今回のサタデーミーティングはその要因となっているドライバー3人においでいただきました。
- #20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
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ルーキーですが、とにかく1勝できてほっとしています。開幕戦まではセッティングに苦しみました。第3戦富士まではクルマを仕上げることができなくて、第4戦からようやく速さを示すことができるようになったと思います。ドライビングは向上していないですが、クルマをつくる能力はついたと思います。ここまでの点数をつけると5点満点で4.5点です。-0.5点はポイントリーダーになっていないことですね。
- #2 国本雄資(P.MU/CERUMO · INGING)
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昨年は苦しいシーズンだったので勝てて気が楽になりました。おかげでレースに集中できているように思います。混戦になっている要因は、やはりタイヤだと思います。各チームともタイヤの特性を掴み切れていないからではないでしょうか。シリーズ2位につけている石浦選手とは今のところ良好な関係ですが、最終戦の鈴鹿ではピットに壁を造ってもらうようになるかもしれません(笑)。
- #41 ストフェル・バンドーン(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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いつも優勝は特別ですが、初のスーパーフォーミュラ、初の日本での勝利でしたので、印象深いですね。来季はマクラーレンホンダF1に乗るので、日本でのレースは残り僅かですが、ぜひ残るレースも良い結果を残したいと思います。サポートを受けているマクラーレンのスタッフも優勝を喜んでくれました。ここまでの結果はアップダウンがありましたが、日本の文化も学ぶことができましたし、とても良い経験を積むことができました。ヨコハマタイヤはグリップが良く耐久性もありますが、マシンのセッティングと合わせるのが難しいという側面があると思います。これが成績が安定していない理由ですね。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
9月24日予選日、朝9時から行われたフリー走行は、開始直後こそ路面に濡れた部分があったものの、マシンが走り出すと徐々にコンディションは回復。15分経過する頃にはほぼドライとなった。
このあたりから各チームは本格的にアタックを開始。ピットインを繰り返しながら予選に向けてセッティングを煮詰めていく。混戦模様の今シーズンを象徴するように、トップタイムが次々と塗り替えられるなか、好調さをアピールしたのはベテラン勢。特に、今季勝利のない#36アンドレ・ロッテラー(VANTELIN KOWA TOM’S SF14)は、開始20分時点で他車に先駆け1分6秒台をマークすると、その後もタイムを削り取り常に上位に名を連ね続けた。
終了間際には、#36ロッテラーのタイムを#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)、#37中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF14)が相次いで更新。さらに高速コーナーで速さを見せた#8小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS SF14)もこれに続いた。以下、#36ロッテラー、#18中山雄一(KCMG Elyse SF14)、#20関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF14)という結果となり、フリー走行ではあるものの、トヨタエンジンユーザーが上位を占めることとなった。
混戦必至の19台による予選は、午後1時から行われる。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
決勝日朝、GTアソシエイション坂東正明代表による定例の会見が行われた。
今回は周辺道路も若干空いている印象だ。リオ・オリンピックと重なっていることもあるのか、観客の入りが気になる。日本のモータースポーツの核となるスーパーGTシリーズの折り返しとなる1戦だが、イベントのあり方などを再考する必要もあるのかもしれない。ただ、レース内容は非常に面白くなることを確信している。期待してほしい。
■前回のSUGO戦での赤旗中断、レース終了の経緯は?
赤旗提示は競技長の専権事項で、基本的には規則に則って判断したということである。セーフティカーではなく赤旗にしたのは、タイヤバリア、クラッシュパッドの破損状況と思う。修復時間を考えると、審査委員会のレース終了の判断はやむを得ないと思う。
ただ、個人的に、プロモーターとしては、再スタートして残る6周をやりたかった。バトルを見たかったし、見せてあげたかったというのが正直な気持ちだ。
■今回からJAF-GT車両の規則を改定した狙いは?
改造ができないGT3車両と、進化を続けるJAF-GT車両とのバランスを取るためである。決してJAF-GTの進化を止めるということではない。
改定したのは、(1)スキッドブロックの厚さを5mmから10mmに変更(車高を上げてダウンフォースを減らす)、(2)燃料補給装置にリストリクターを装着して流量制限をかけた(JAF-GTは給油を早くする工夫が可能なのでこれを制限)という2点である。
■来シーズンのカレンダーと海外戦の可能性について
基本的に今シーズンと同様である。タイ戦の車両運搬を考えると前後1か月は空ける必要があり、これにニュルブルクリンク、ルマン24時間レースや、国内レースの日程との整合を考慮した結果である。プロモーター視点では、いろいろ考える余地はあるが、現段階では概ね良いと考えている。
海外戦は、タイのパタヤ、セパン、シンガポールなどで開催する話がきているが、どれも構想という段階だ。シンガポールはF1の後や公道レースという話も浮上している。
■GT300クラスの台数増に対応するため予備予選を行うという話があるが?
現状では、SUGO戦は43台、その他は45台が参加している。予備予選などの対応は45台を超えるときに考えなければならないが、台数が確定しないと判断できないので、次戦鈴鹿あたりまでに各チームに打診したいと考えている。
予備予選の方法は現在検討を進めているところだが、予備予選を木曜に開催するという方向になるのではないか?ただ、過去の実績をどう評価するか、実績を新規参入チームに譲渡できるようにするかなど、まだまだ検討が必要である。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
決勝日朝、GTアソシエイション坂東正明代表による定例の会見が行われた。
今回は天候が少し悪いけれど、お客さんも多く入っていただいている。非常に有難いことだと思っている。
また、今回はホンダの社長に来ていただいている。F1だけでなくスーパーGTにも注目をしていただき、トップが現場に足を運んでくれることは大変意味のあることだと感じている。GTAとしても日本を基盤にして世界に打って出たいと思っている。まずは国内を盛り上げなくてはいけないので、ぜひメーカーにも尽力いただきたい。
■オートポリス戦の中止ともてぎで代替レースを開催することになった経緯は?
まずは熊本地震でお亡くなりになった方に哀悼の意を捧げるとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
オートポリスは年内に営業を再開すると聞いているので、来年は多くの方に再びスーパーGTを楽しんでいただきたい。代替のレースについては、エントラントからも開催の要望が多くあった。やはりスポンサー対応などを考えると全8戦のシリーズを成立させることは重要だと認識している。
そのうえで、開催場所を考えると、タイ大会からの移動などもあり単独開催は難しいという判断になり、最終戦に2レース行うこととした。
■もてぎ戦の2レース開催のスケジュールは?
土曜日に予選、決勝。これはウェイトハンデあり(通常の2kg×ポイントの半分)の250kmレース。日曜日も予選、決勝。こちらはウェイトハンデなしの250kgレースとする。
これに伴い、金曜日にはウェイトハンデあり、なし用として2回の公式練習を設定する。
■オフィシャルから情報をチーム、ドライバーに伝える仕組みを導入するとのことだが?
WECなど海外のレースを参考に、SCカー導入やイエローフラッグ提示などの情報を、無線とGPSなどを使って、40台のマシンに伝えられるようにする予定だ。観客も多くいる中でシステムが正常に稼働するかをチェックしてうえで、来年から導入したいと考えている。
黄旗などは各セクターごとに、ポストのオフィシャルからの情報を伝えられるようにしたいと思っている。機器はGTAが用意するが、オーガナイザー、オフィシャルとの連携は欠かせないので、GTAから専門のスタッフも派遣したいと思っている。
■GT500のモノコック疲労が顕著という話があるが?
それは実際にある話で当初から想定されたものだ。日本とドイツで統一規格やるという話がまとまったときに、同じ材質、同じ接着剤で造られた共通のモノコックを使うというルールを作った。これは経費を抑えるという点からも重要なことだ。
確かに、タイヤ性能などで日本の方がモノコックにかかる負担は大きいが、これはドイツと一緒にレースをやる前提でルールとして決めたことであり、やむを得ない。チームは強度が不足してきた場合は修理するなどして対応しているし、どうしても新しいモノコックに交換するときは、ペナルティを課すことにしている。今回もモノコック交換をした#36号車がドライブスルーペナルティとなる。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
7月16日、スーパーフォーミュラ第3戦の行われている富士スピードウェイにおいて、10月14~16日に行われるFIA世界耐久選手権第7戦「富士6時間耐久レース」に向けての記者会見が行われた。

出席者:TOYOTA GAZOO Racing ドライバー:中嶋一貴、小林可夢偉
AUDI SPORT Team Joest ドライバー:アンドレ・ロッテラー
WEC富士6時間レースアンバサダー:寺田陽次郎
■寺田:今年のルマン24時間レースは、(中嶋)一貴が勝つと思っていました。不運な結果に終わりましたが、トヨタチームは勝つ力はつけてきたと思います。この流れで富士6時間にも臨んでほしいと思います。
■中嶋:選手権は3戦終えて、まともにフィニッシュできていない状況なので、後半戦に向けて仕切り直しというところです。徐々に流れは上向いていると感じているので、まずはニュルブルクリンクしっかり結果を残して、10月の富士につなげたいと思います。
■可夢偉:今年シリーズを戦ってきて、勝てるタイミングがルマン……のはずでした。ルマンの表彰台は、今までの人生で一番喜べない表彰台だったように思います。そもそもルマンは2位では喜べないレースのように思います。気持ちが盛り上がらないので横にいたブラッド・ピットを見てました(笑)。WECはチームがヒーローになるレースですので、良いクルマを仕上げてくれているチーム、スタッフに報いるためにも富士6時間レースではしっかり結果を残したいと思います。
■ロッテラー:ルマンはハリウッド映画にもないような結末でした。一貴とトヨタチームは、ルマンで勝てる力は備えていたと思う。スーパーフォーミュラでチームメイトの一貴が勝つのを見たかったというのが正直な気持ちです。アウディチームは今シーズン課題を抱えることが多いように思います。ルマンもテストは良かったのですが、レースではターボをはじめトラブルが出てしまった。マシンは根本的なところから見直す必要があるのかもしれません。次戦からハイダウンフォースのコースになるので、仕切り直しという感じです。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
予選日午前、日本レースプロモーション(JRP)による恒例のサタデーミーティング(定例会見)が行われた。

出席者:JRP 代表取締役社長 倉下 明/取締役業務部長 山口英樹
■オートポリス(AP)大会の代替について
○経過
APの代替大会はいろいろな可能性を探ってきた。できればAPで開催したいという気持ちはあったが、SGTやWECなど他のレースとのバッティングを考えると日程変更は難しかった。第2戦の岡山大会が中断という形で終わっていたことや、ファンから西で開催してほしいという声があったことを踏まえて、サーキットの協力を得て岡山で開催することとした。
○レースの方式
2レース制として、土曜日に予選(20分)・決勝(30周)、日曜日に予選(ノックアウト方式)・決勝(50周)を行うという、これまでにはない変則なスケジュールで開催することとした。
理由としては、1つはファンに両日とも楽しんでいただけるようにしたためであり、もう1つは9月のやや天候不順な時期なので、そのリスクを避けるためである。
○使用タイヤ
使用えるタイヤは6セット(新品4セット、前戦からの持越し2セット)で通常と変わらないが、前戦のもてぎ大会はソフトタイヤの使用を認める予定なので、ソフトを持ち越すことも可能とする。ただし、順位決定には使えないこととするので、予選、決勝はミディアムを使うことになる。
■ソフトタイヤの導入について
第4戦もてぎ大会(8月20-21日開催)は、ソフトタイヤを導入する。使用できるタイヤの内訳は、新品ミディアム×2セット、新品ソフト×2セット、持越しミディアム×2セットとなる。
狙いは、スーパーフォーミュラは実質ワンメイクなので、順位変動が起きにくい。これを喚起するためにタイヤのバリエーションを増やすものである。
週明け18日にソフトタイヤのテストをするが、この結果によって今後のタイヤの使用方法の方向性を決めたいと思っている。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
決勝日午前、新たにニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社(ニスモ)の新社長に就任した片桐隆夫氏による会見が行われた。
片桐氏は1960年生まれ。慶応義塾大学卒。1983年に日産自動車に入社後、欧州日産、ドイツ日産などを経て、2005年関連会社であるオーテックジャパンの代表取締役社長に就任。その後、主にマーケティングを担当し、本社執行役員、副社長を経て、2016年4月から現職。ニスモ社長とあわせ、オーテックジャパン社長、ニスモビジネスオフィス ヘッド等も兼ねることになる。プライベートでは、学生時代の自動車部、欧州赴任時代にラリーに参戦している。
- 片桐社長談
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「海外赴任が長かったので、欧州でモータースポーツが浸透していること、またビジネスに直結していることは実感している。目標としては、パフォーマンスブランドとしてニスモを育てたい。そのためには、今販売しているニスモブランドの市販車も大切にすること、また、ニスモは強くなければならないので、スーパーGTでは3連覇を目指す。今後は、日産自動車と連携してモータースポーツ計画を立て実践しようと考えている。計画では聖域を設けず、日産自動車にとってどのカテゴリーに力を注ぐのかを検討したい」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
決勝日午前、GTアソシエイション坂東正明代表による定例会見が行われた。
- 開幕戦(岡山)の評価は?
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イエローフラッグが一度も出ないという珍しいレースだった。バトルが繰り広げられるなかでイエローフラッグが出なかったのは望ましいことだと思う。天候にも恵まれたが、駐車スペースの確保に関しては課題が残った。エントラントの車両台数も抑えるなどの工夫も必要かもしれない。これは継続してサーキット側と協議していく。
- オートポリス大会の開催は?
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震災後、サーキット、アクセス道路、熊本市内の状況などについて情報収集した。サーキットに関しては、コースに亀裂ができ、コースと排水のU字溝との段差もできている。クリスタルルームのガラスも破損し、ピットの壁も落ちている。開催は難しいので一旦は延期を発表したが、その後の検討で今シーズンは中止という判断をした。代替レースについては、8月の富士大会または最終戦のもてぎ大会において、2レース制で行う方向で調整中である。
- 震災への対応は?
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御殿場市の協力を得て、地元の水(2リットル×1200本)を横浜タイヤのトランスポーターで運んだ。今後も要請があれば対応したい。義援金は日本赤十字を通じて行うこととし、専用の口座も開設した。今回も募金箱を設置し、マシンには被災地支援のくまもんステッカーを貼るなどしている。
- DTMとの規則共通化に向けた動きは?
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2019年からのエンジン仕様統一(2リットルターボ)やパーツ共用に向けて話し合いを続けている。SGTは複数メーカーのタイヤを使用していることもあり、サスペンションの共用化は課題だが、これも2019年には実現させたいと考えている。いずれにしてもコスト軽減という方向性は一致しているので今後も精力的に話し合いを進め、グローバルなレースシリーズを目指したい。次回会議は5月11日に東京で行われ、会議後に記者会見を予定している。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
9月20日、発表の待たれていたFIA-F4ドライバーへのスカラシップの概要が発表された。
GTアソシエインション(代表取締役:坂東正明)によると、「FIA-F4選手権GTAアワード」と名付けられた賞典は、ドライバーとチームの両方に与えられる。
注目のドライバーアワードは、今年のシリーズチャンピオンに対し、スカラシップとしてトヨタ自動車、ホンダ技研工業の協力を得て、全日本F3選手権、スーパーGT(GT300クラス)などへのステップアップを前提に、奨学金1000万円が与えられる。「奨学金」という名称からもわかるように、この賞金はドライバーがチームに持ち込む"持参金"となる模様。
なお、2016年のスカラシップについては決定次第発表されるとのことで、内容が充実される可能性もあるようだ。
チームに対しては、国土交通省による「国土交通大臣賞」と、日本自動車レース工業会による「JMIA賞」(賞金50万円)が授与される。
まとめ:Shigeru KITAMICHI
決勝日朝、恒例のGTアソシエイション主催による坂東正明代表の記者会見が行われた。
■はじめに
つい10日ほど前に鬼怒川の氾濫などの災害が起きているが、そのような中、無事にレースが開催できることは喜ばしいことと思っている。昨年に引き続き、東日本大震災で被害に遭われた石巻市、岩沼市の皆さんも招待することができ、県警によるパレードも実現することができた。今日も朝から多くのお客さんが詰めかけている。非常に有難く感じている。
■今シーズン、ここまでを振り返って
GT500クラスの性能調整(BOP)は昨シーズンと変わっていない。ここまで日産(GT-R)3勝、トヨタ(RC F)2勝、ホンダ(NSX CONCEPT GT)0勝という結果になっているが、これは各メーカー、チームの取り組みによる結果と思う。
ポイントを重ねたときに、ウェイトハンデと燃料流量リストリクターのバランスをどう取るか、これを踏まえて、今回と次のオートポリス戦をどう戦うかがシリーズを戦ううえでのポイントになるだろう。ようやくこのルールが理解されてきたと感じている。来年もこのまま変えずに行く予定なので、各チームにはこれを上手に使ってほしい。とにかく難しくしないで、観客にもわかりやすいルールにしたい。
GT300クラスは、ここまでGAINER TANAX GT-Rが抜き出る形になっているが、これはクルマのバランスが非常に良く、ドライバーもうまく乗りこなしているということだろう。JAF-GT車両については、なるべく個別対応はしないようにして、特認は無くす方向で行きたいと考えている。
■GT300のマザーシャーシ、FIA-GTについて
マザーシャーシを使用するクルマが増えるという話も出ているが、シャーシに関して課題もあるのでそれがクリアされれば販売する方向で考えている。希望としては、マザーシャーシを使う車種が増えてほしい。メーカーはFIA-GT3という選択があるので難しいと思うが、オートサロンに出展しているショップなどもボディを作ってくれるようになるといいと思っている。
メーカーがFIA-GT3に出てくるという話があるようだが歓迎したい。もっと早く出てくると予想をしていた。逆に遅いぐらいと感じている。ただ、GT3は車両を改造することが制限されているので、クルマを改造したいと考えるチームにとっては物足りないはずだ。こういうチームはJAF-GTを選択するだろうし、メカニック育成のためにもJAF-GTで出場するチームが増えてほしい。
まとめ: Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
決勝日朝、恒例のGTアソシエーション主催による坂東正明代表の記者会見が行われた。
■第3戦タイラウンドの評価は?
雨季だったが天候にも恵まれ、2年目ということでレース運営もスムーズだった。設備面についても、1チーム1ピットや暑さを凌ぐ小屋の設置も実現できたので、概ね良好だったのではないかと思っている。感じているのは、決して国内の運営をそのまま求めるのではなく、現地の能力に合わせた方法を考えるということだと思う。例えば、今回もヘリが用意できないとのことだったので、そこは代替の安全策を充実するという方向で対応した。プロモーションもおおむねうまくいったとは思うが、サーキットへの導線確保や、観客席に暑くて座っていられない部分があったり(これは富士でも同じだが)などの改善点はある。来年に向けては、まずサーキットの認知向上ということだと思う。2016年、2017年の開催についての契約は済ませたので、さらに良いイベントにするために取り組んでいきたい。
■2016年のカレンダーが発表になったが、特長は?
FIAへの提出期限が6月末なので、その前までにオーガナイザーやプロモーターとの契約を済ませなければならないのは毎年のことながら結構厳しい。カレンダーを決める際は、海外のカレンダーや転戦するチームの負担なども考慮しながら、SGT、SF……と決めていくが、完成してみるとなかなか皆が納得という形にはならないのが常だ。海外では特にWECとの関係を重視している。SGTだけでなくSFとの調整も出てくるので、本音としてはWECのスケジュールを早く決めてほしい。まだ、暫定だが今回発表されたカレンダーでも重なっている部分もある。また、アジアンルマンとSGTの関係も考えなければならない。WEC富士へのSGTマシンの参戦についても考えている。現段階でも参戦は可能だが、SGTにとってどんなメリットがあるのかなどを整理しなければならないので、もう少し時間が必要と思う。話は少しそれるが、2017年にはDTMの最終戦を富士に招聘したい。たぶん実現できると思う。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
決勝日朝、恒例のGTアソシエイション主催の定例会見が行われ、坂東正明代表が質疑応答を行った。

■開幕戦(岡山)の評価は?
サーキットには、駐車場などの施設整備を進めて頂いた。また、プログラムにはドライバーの普段着の姿を載せるという新しい試みを行った。これは新たな魅力を伝えることができて非常に良かったと思う。
観客数は、天候が悪かったにもかかわらずほぼ昨年並みを確保(昨年27,000人/今年26,700人)できたことは、評価できると思う。
(昨シーズン途中から導入した)白バイ、パトカーの先導も形になってきた。これは小さな子どもたちが最初に興味を持つクルマはパトカーや消防車であり、長い目でモータースポーツ振興を考えての試みである。富士も今回から導入する。
■タイラウンドが10月から6月になった理由は?
同じブリーラムのサーキットで11月にWTCCの開催が決定したことが要因。10月、11月と続くことは興行上好ましくないので、やむを得ず6月にずらしたというのが実情だ。
ルマン24時間レースやヨーロッパレース、また国内シリーズ戦などとの調整を経て日程を決めた。
気候は10月よりは安定しているはずだが、気温は高く暑いだろう。
■FIA-F4ドライバーのスカラシップを考えるとのことだったが?
ドライバーをF3、GT、SFへ上げるシステムは作る必要性を感じているので、各運営組織と協力して進めたいと思っている。ただ、問題はカテゴリーのピラミッド構造をどのようにするかだ。継続できるスカラシップにするための仕組みも考えたい。
また、F4に上がるためのシステムも作らなければいけないと思っている。
スカラシップの内容が、賞金なのか、賞金を持ち込んで乗れるチームの確保なのか、新規チームの創設なのか、その方法は今後考えていきたい。今年中には概要をアナウンスできるようにしたい。
■マザーシャーシの評価は?
思った以上に走るというのが率直な感想だ。GT3に対抗するJAF GTの基礎を作りあげる方法として、安全性の確保を考えると良い方法と思う。
ものづくりという観点から考えても、同じもの(マザーシャーシ)を与えてどのように料理していくか、各チーム、コンストラクターの特色が出るし、それがタイム差として出ることは非常に面白いと思う。
マザーシャーシを使うチームには、どのような試みをしているのか、そのノウハウをオープンにして、これから参入を考えているチームの参考になるようにしてほしい。それが、JAF GTを発展させることに繋がる。ヨーロッパのチームも興味を示しているので、今後が楽しみだ。
まとめ:Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
全日本選手権スーパーフォーミュラシリーズ第6戦は、28日、快晴の宮城県・スポーツランドSUGO(1周・3.704256km)で決勝(68周)を行い、予選2位スタートの#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)が、参戦初シーズンで見事な優勝を飾った。
注目のチャンピオン争いは上位陣の脱落で、2位フィニッシュの#37中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)がポイントリーダーになり、決着は最終戦鈴鹿に持ち越されることとなった。(入場者数 予選日:6,200人、決勝日:11,000人)
サーキット上空は抜けるような青空。気温は27度と9月末の東北地方としてはやや暑さを感じる天候となった決勝日。1周のフォーメイションラップの後、午後3時5分、20台のSFマシンが一斉にスタート。
アクシデント続きだったこの週末。例に漏れず決勝レースもオープニングラップから大波乱となった。2コーナー立ち上がりで、スタートを失敗した#36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)と#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)がもつれるようにクラッシュ。シリーズチャンピオンを争う2人が早々に消えてしまった。このアクシデントに#34伊沢拓也(DRAGO CORSE SF14)も巻き込まれ、ここで3台がリタイアしてしまう。
1周目からセーフティカー(SC)ランとなったレースをリードしたのは、最初のスタートで見事なダッシュを見せトップに立っていた#40野尻。これに#3ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーションKONDO SF14)、スタートを失敗した#1山本尚貴(TEAM無限SF14)が続く。
トップ#40野尻は周回を重ねる度に、#3ロシターとの差をジワリ、ジワリと開いていき、15周を費やして2秒のマージンを築いた。
しかし、この#40野尻の努力も、16周目に起きたアクシデントにより泡と消える。7位を走行していた#10塚越広大(HP SF14)が最終コーナーで姿勢を崩してアウト側のバリアにクラッシュしてしまったのだ。これにより2度目のSCランとなるが、このタイミングで上位陣は相次いでピットイン。ここでの作業時間が順位に大きく影響し、タイヤ4本を交換した#3ロシターと#1山本は順位を落とし、タイヤ無交換作戦を敢行した#37中嶋一貴(PETRONAS TOM'S SF14)と#8ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)は順位を上げた。#40野尻もリア1本の交換に留めたため順位をキープしてコースに復帰した。
この混乱のなかで漁夫の利を得てレースをリードすることになったのが、#39国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING SF14)と#18中山雄一(KCMG Elyse SF14)。ピットインをしていない2人は、給油を済ませた上位陣を尻目に、この後レースをリードし続ける。
折り返しの34周時点の順位は、#39国本、#18中山(雄)、#40野尻、#37中嶋(一)、#8デュバル、#3ロシター、#31中嶋(大)、#38石浦、#1山本、#2中山(友)の順。中盤から後半にかけては、前半の混乱に比べると至って静かな展開となった。
こう着状態の続くレースの焦点は、#39国本と#18中山の燃料が持つのかという点に絞られた。2人は終盤にベストラップを更新しながら快調に周回を続ける。我慢の燃費レースから最初に脱落したのがトップ#39国本。59周を終了したところで堪えきれずにピットイン。10位まで順位を落とす。これでトップとなった#18中山は3秒後方に#40野尻を従えて快走。昨年ともにF3を戦ったルーキーコンビがレースをリードするという異例の展開となった。
しかし、#18中山のトップは残り3周半で終わりを告げる。ぎりぎりまで粘ったものの65周目のバックストレートでついにガス欠でスローダウン。その座を#40野尻に明け渡す。
ルーキーらしからぬ走りを見せた#40野尻は、後方から迫る#37中嶋との差を冷静に計算し、最後はラップタイムを落として残り3周を走り切りチェッカー。自身の初優勝とともにホンダエンジンにも今季初勝利をもたらした。
僅か6戦目、トップフォーミュラにステップアップしたシーズンに初優勝を飾るという離れ業をやってのけた野尻は、ウィニングラップにヘルメットの中で涙を流し続け、マシンを止めてからも暫く降りることができなかった。表彰台でも一人緊張の面持ちで、初々しさを感じさせる爽やかな勝利となった。
注目のチャンピオン争いは、2位に入った#37中嶋が33ポイントでリーダーになった。最終戦は2レース制のため、#19オリベイラ(29p)、#36ロッテラー(26.5p)、#8デュバル(26.5p)、#38石浦(23p)、#3ロシター(20.5p)、#39国本(17p)まで、7人がチャンピオンの権利を持って最終戦に臨むことになった。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
決勝日朝、快晴の下行われたフリー走行は、予選上位陣が決勝に向け揃って好調な仕上がりを見せた。トップタイムをマークしたのは予選5位の#38石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)。セッション序盤から上位につけると、好調さをアピールするように終盤でさらにタイムを削ってきた。シリーズでも5位につける石浦。チャンピオン争いに残るためには今回の結果が重要だ。
昨日に続き好天のスポーツランドSUGO。この季節にしてはやや気温は高いが絶好のレース日和だ。午前9時15分から30分間の予定で始まったフリー走行では、各チーム決勝のセッティングの確認と調整を行った。
トップタイムを奪った#38石浦と並び、このセッションで良い仕上がりを見せたのが、予選では7位に沈んだ#8ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)。開始早々から1分07秒台の好タイムをマークすると、途中で走行を切り上げピットに入った。昨年の菅生戦を制している#8デュバルだけにスタートでジャンプアップすれば十分勝機はありそうだ。
ポールポジションの#1山本尚貴(TEAM無限SF14)は9番手、予選2位から初優勝を狙う#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)は7番手と、ともに無理せずセッティングの確認に留めたようだ。
現在ポイントリーダーながら予選では11番グリッドに沈んでしまった#19ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL SF14)は、予選と同じく11番手と苦しんでいる。今大会を終えた時点でリーダーの座にいるかはやや疑問符の付くところだ。
対してシリーズ2位の位置から逆転チャンプを狙う#36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)は4番手と好調。予選後も余裕を見せていただけに、フロントローに並ぶ#1山本と#40野尻にとっては不気味な存在だ。
新規参戦の#34伊沢拓也(DRAGO CORSE SF14)は12番手。道上監督が語るように、今大会はデータ収集に努めることになりそうだ。
なお、このセッションでも14分経過時にハイポイントコーナーで#2中山友貴(TEAM無限SF14)がクラッシュ。この週末続いている赤旗の連鎖はこのセッションでも続いてしまった。エスケープゾーンの狭いコース特性により、マシン回収のためにはセッションを中断せざるを得ない事情はあるが、赤旗の提示される回数が多いのは確かだ。
予報では午後に向け気温も上がり暑くなるようだ。午後3時にスタートする決勝ではアクシデントのない熱い展開を期待したい。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
全日本選手権スーパーフォーミュラシリーズ第6戦は、27日、快晴の宮城県・スポーツランドSUGO(1周・3.704256km)で公式予選を行い、シーズン終盤徐々に調子を上げつつある#1山本尚貴(TEAM無限SF14)が2戦連続となるポールポジションを獲得。今季から参戦の#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)が僅差で続き、ディフェンディングチャンピオンとルーキーがフロントローに並ぶこととなった。
生き残りを賭けて凌ぎを削ることになるノックアウト方式の予選。まずQ1では20台中6台が振り落とされる。
開始早々トップタイムをマークしたのは#1山本尚貴(TEAM無限SF14)。朝のクラッシュの影響を感じさせない走りで1分06秒418を叩き出す。一旦ピットに戻った各車はタイミングを計りながら残り5分から再度アタックに入る。
朝からの赤旗の連鎖なのか、ここで#32小暮卓史(NAKAJIMA RACING SF14)がSPコーナーで白煙を吹いてコース脇にマシンを止める。フリー走行で5位と好調だった小暮だがターボトラブルで万事休す。このアクシデントでコース上にオイルが出たため赤旗中断となる。
再開された残り4分のアタックで#1山本のタイムを上回る者は出ず、最後にタイムアップした#11ヴィタントニオ・リウッツィ(HP SF14)、#3ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーションKONDO SF14)が続いた。
ノックアウトされたのは、#2中山、#7平川、#20カーティケヤン、#34伊沢、#41武藤、#62嵯峨の6台。残念ながら、新チームDRAGO CORSEから参戦の#34伊沢もここで涙を飲むことになった。
続くQ2は僅か7分間。ここでも6台が落とされる。
最初のアタックで#36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)を筆頭に外国人勢が上位に名を連ねるなか、#1山本が気を吐いて2番手タイムをマーク。#38石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING SF14)も3番手につけ、両者は余裕を見せ早々にアタックを切り上げた。
残り1分を切ったところで、何とか8位以内に這い上がろうとした#18中山雄一(KCMG Elyse SF14)がレインボーコーナーでコースアウト。またも赤旗が提示された。しかし、再度アタックのチャンスを与えるため、残り2分20秒で再開することとなった。
この最後のアタックで大ジャンプを遂げたのは、#40野尻智紀(DOCOMO DANDELION M40T SF14)。下位から一気にトップに浮上し、周囲を驚かせた。
9~14位に確定したのは、#39国本、#31中嶋大、#19J.Pオリベイラ、#11リウッツィ、#18中山の6人。
8人による熾烈な争いとなったQ3は、腹の探り合いのような展開となった。最初にコースに出た#1山本はゆっくりと流すようにコースを回り、他のドライバーもフレッシュタイヤを温めつつ徐々にペースを上げていく。
ここでQ2に続いて素晴らしいアタックを見せた#40野尻が1分05秒986でトップに出る。#36ロッテラー、#3ロシターも果敢にアタックするが#40野尻のタイムには届かず。これで決まりと思ったが、最後の最後に#1山本がチャンピオンの貫録を見せ100分の9秒差でポールポジションを奪い取った。
決勝レースは明日28日、午後3時から68周で行われる。中高速ながらコース幅の狭いサーキット、そして何よりも赤旗の出番が多いこの週末。レース展開とともにチャンピオン争いの行方も気になるところだ。
Text: Shigeru KITAMICHI
Photo: Motorsports Forum
今大会からシリーズ残り2戦に参戦する新チーム「DRAGO CORSE(ドラゴコルセ)」。監督は昨年までドライバーとしてトップカテゴリーに参戦していた道上龍。ドライバーは今季GP2に参戦している伊沢拓也と豪華な布陣だ。
■監督:道上龍
「時間がない中での準備はかなり大変でした。フォーミュラ・ドリームの育成プログラムも並行してやっていたので、自宅に帰れない日が続きました。正直疲れてます(笑)。
チーム名は自分の名前「龍」から名付けました。イタリア語の「ドラゴ」です。実はこれ僕の会社名でもあるんです。これにイタリア語でレーシングの意味を持つ「コルセ」を組み合わせました。
監督業はカートチームなどでやってはいますが、規模が違いますので比較にはなりません。トップカテゴリーは大変だと改めて感じています。
レースはフリー走行からトラブって、いきなり洗礼を受けた感じですが、新チームの足りないところを経験のあるドライバー・拓也に補ってもらい、与えられた2戦をしっかり戦いたいと思います。
デビュー戦でいきなりうまくいくとは思っていませんが、今回データを収集して次の鈴鹿では結果を残したいと思っています。そして、来年に繋がればいいですね。」
■ドライバー:伊沢拓也
「参戦が決まってからレースウィークを楽しみにしていました。久々にワクワクして眠れない経験をしています(笑)。
今年のマシンはテストカーに乗っていますし、GP2と違って非常に走らせやすいマシンですので違和感なく乗れています。先週もてぎでシェイクダウンしたんですが、予想以上に好感触でした。去年のマシン(スィフト)と比べると、明らかにブレーキングポイントが奥になっていますね。僕は今回から表彰台を狙いたいと思っています」
まとめ:Shigeru KITAMICHI
Photo: Yoshinori OHNISHI
予選日朝、午前9時から60分間行われたフリー走行は、快晴の天候とは裏腹に荒れ模様となった。相次ぐアクシデントで走行時間が削られてしまい、各チーム、ドライバーはセッティングを十分煮詰められないまま午後の予選を迎えることになってしまった。
トップタイムをマークしたのは現在ランキング2位の#36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)。2番手をコンマ2秒引き離し一歩抜き出た感じだ。
上空に雲はあるものの秋晴れとなった予選日。午前9時からのフリー走行では各チーム予選仕様のセッティングを施したマシンをコースに送り出す。ここで微調整を繰り返して予選を迎える……はずだったが、トラブル、スピン、クラッシュなどによる赤旗中断が相次いでしまった。
開始早々、今回から参戦の#34伊沢拓也(DRAGO CORCE SF14)がピットロード出口でストップ。監督としてトップフォーミュラに戻ってきた道上龍にとってもほろ苦いスタートとなった。このマシン回収のため走行は一時中断。再開後、今度は#20ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL SF14)がS字コーナーでスピンしてストップ。再度走行が中断となってしまった。
各ドライバーは満足に走ることができないまま、時間だけが過ぎていく。コースがクリアになった時点で走行時間は残り約20分。この時点でのトップは1分06秒115をマークした#1山本尚貴(TEAM無限SF14)、以下、#36アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM'S SF14)、#8ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO SF14)と続く。
しかし、アクシデントの連鎖は止まらず、今度はなんとトップタイムをマークしていた#1山本が3コーナー立ち上がりでコントロールを失いクラッシュ。マシンのノーズ部分を壊すとともに、山本自身も少し足を痛めてしまったようだ。
山本のマシン回収が終わった時点で残り時間は13分。この残り少ない時間に各チームは慌しくニュータイヤを履かせてマシンをコースに送り出す。残り3分にも#3ジェームス・ロシター(フジ・コーポレーションKONDO SF14)がSPコーナーで派手にスピンする場面はあったが、中断はすることなく走行は終了。
この最後のアタックで唯一1分05秒台をマークしたのが#36ロッテラー。悪条件のなかで対応力のあるロッテラーとトムスチームの蓄積されたデータが物を言う結果となった。#8デュバルも#1山本のタイムを上回り、この2人が安定した力を見せた。
予選は午後1時10分から。お馴染みのノックアウト方式で行われる。
Text:Shigeru KITAMICHI
Phto: Motorsports Forum

- GT500クラス #18山本尚貴(ウィダーモデューロNSX CONCEPT-GT)
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「クルマが上手く仕上がっていたので良い結果が得られると期待していました。予選は少し歯車がかみ合わずに6位でしたが、ホンダもミシュランも最高のモノを用意してくれましたので、走りに集中することができました。特にホンダがレギュレーション変更に関して注いでくれた労力には感謝しています。パートナーのチェッカーを待つという経験はこれまでなかったので、信頼はしていましたが少しドキドキしました」
- GT500クラス #18フレデリック・マコヴィッキィ(ウィダーモデューロNSX CONCEPT-GT)
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「気分は最高です。ホンダ、チーム、ミシュラン、そしてナオキ(山本選手)に感謝しています。菅生では良い結果が得られませんでしたが、今回はナオキが十分なマージンを築いてくれたので、チェッカーまでスムーズに運びました。ドライブ中は再び雨が降る可能性があったので、タイヤに負担をかけないようマネージメントしながら走りました。最後はリスタートになったとしても、勝てる自信はありました」
- GT300クラス #61佐々木孝太(SUBARU BRZ R&D SPORT)
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「苦手な富士で勝つことができて嬉しいです。悪コンディションのなか最後まで応援してくれたスバルファンに感謝しています。途中SCカーは出るだろうと予想しながら走っていましたが、コンディションはBRZ向きでしたので速さはきっちりアピールしようと思っていました。天候が崩れる可能性もあったので、なるべく引っ張って井口選手に引き継ごうと思っていました。交替する時点では路面は回復傾向でしたので、ハードタイヤへの交換を指示しました。これも結果的には良かったと思っています。ミシュランタイヤによるマ-ジンは正直大きかったですね」
- GT300クラス #61井口卓人(SUBARU BRZ R&D SPORT)
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「孝太さんから引き継いでからは路面の状態が良くなっていったので、タイヤのコントロールに気を配りました。でも今回の勝利は何と言っても予選から最高の走りをしてくれた孝太さんのおかげです。BRZは去年の鈴鹿1000kmでドライブして優勝していますが、今年はレギュラードライバーに選ばれプレッシャーを感じていました。今回の優勝で解き放たれた感じです。チームとしては前回のミスが良い糧になっていると思います。次の鈴鹿も優勝しか考えていません」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI

決勝日朝、恒例のGTアソシエイション主催の定例会見が行われ、坂東正明代表が質疑応答を行った。
坂東代表 生憎の天候となったが、サーキットで一晩過ごした車両も1,600台あった。今も続々と来場いただいている。この悪天候のなか集まってくれるファンこそ本当のファンと言えると思う。この状況下ではあるが、精一杯良いレースを見せるため努力をしたい。
■GT300クラスのBOP(性能調整)見直すとのことだが、この経緯、見通しは?
世界的にGT3レースを浸透させるため、ヨーロッパで「ブランパンGTレース」を運営しているSRO(ステファン・ラテル・オーガニゼーション)にGTAから申し入れをして話し合いを進めている。ブランパンではサーキット特性に合わせ異なるABCランクのBOPを採用しているので、こちらのサーキットデータやレギュレーションを示して、BOPに関して統一した考えの下、運営をしたいと考えている。ただ、スーパーGTはタイヤがワンメイクでないことなど特殊性があるので、双方で不具合がないような規定にはなると思う。今年中には話をまとめたいと思っている。
■国際化に向け、タイ大会以外の海外での開催予定は?
マレーシアのジョホールに2017年の完成を目指して新たにサーキット建設(準備)が進んでいる。このプロジェクトはマレーシアとシンガポールから資本が投入されていて、このエリアのハブ(中心的な)サーキットになる予定である。ここでの開催について話を進めている。 もう一つは、フィリピン・マニラのカジノやショッピングモールのある海岸沿いで市街地レースを開催する話がある。市街地レースに関して経験のあるプロモーターが関わっていて、2016年の2~3月の開催を目指している。日本でもいずれ公道レースを開催したいと思っているので、それを見据えた上で、話し合いを進めている。
■来季カレンダーのオートポリス戦がルマン24時間レースのテストデーとバッティングしている。テストデー参加が本戦出場の条件となっているが、日程変更の可能性は?
オートポリスサーキットと話をしているが、現在のところ日程変更はしないつもりである。逆に、ルマン主催者であるACOとはスーパーGTなどの実績により、ドライバーのテストデー参加を免除できないかという方向で交渉を進めている。この交渉にはマシンを走らせる(ドライバーを乗せる)マニュファクチャー(メーカーやチーム)も関わってくるので、多方面と調整を進めている状況である。
■今回GTRの空力パーツが変更されたようだが?
今年から共通のモノコックを採用したことにより、空力パーツもローダウンフォース、ハイダウンフォース仕様の2種類を用意して、サーキットにより使い分けるようにしている。ただ、初年度ということで、シーズン中に一度だけ変更を認めている。今シーズン中には仕様を決めて、来シーズンは固定した形とする。
■FIA-F4の開催について
来季のスーパーGTシリーズのサポートレースとして、FIA-F4を組み込む予定である。これは若手育成が大きな目的であり、サポートレースを含めてイベントを充実させていきたい。今月末第6戦が行われる鈴鹿で、展示とデモ走行を行う予定である。あわせてGT300に導入予定の共通モノコックを使用したマシンの展示も行う。
まとめ & Photo:Shigeru KITAMICHI

- GT500クラス #1立川 祐路(ZENT CERUMO RC F)
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「ライトウェットでのマシンバランスが悪くて、予選は後方に沈んでしまいました。決勝はドライでのマシンバランスとチームの判断が良かった結果だと思います。序盤、平手選手が十分なマージンを築いてくれたので、僕は再度降ってきた雨とGT300クラスのマシンを抜くときに注意をするだけでした。次戦の富士は、前回GTRにやられているので、シリーズ後半に向け盛り返すためにもぜひ獲りたいですね」
- GT500クラス #1平手 晃平(ZENT CERUMO RC F)
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「スタートを担当しましたが、フォーメーション中に雨が降ってきたのには戸惑いました。即座にピットインした車もいましたが、後方ポジションでタイミングを逃したという感じです。結果としてはこれが良かったと思います。思いどおりの走りができ、立川選手には十分といえる20秒のマージンを築くことができましたので、交替してからは安心して見ていました。シリーズ後半に向けて、前半をいい形で締めくくれました。また産まれた子どもにいいプレゼントができました」
- GT300クラス #88織戸 学(マネパ ランボルギーニ GT3)
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「久々の優勝で本当に嬉しいです。チーム、スポンサー、特にヨコハマタイヤには感謝したいと思います。青木選手とランボルギーニで勝つことを目標にしてきましたが、ようやく実現できました。チームの天候の読みと、タイヤ無交換作戦が功を奏した形ですが、悪天候の中、勝利の天使(女神?)が降りてきたんだと思います。終盤のコースアウトは無線で皆が喋るので、それが気になってブレーキングポイント逃しました(笑)。富士はこの勢いで表彰台に乗っちゃうかもしれないですね」
- GT300クラス #88青木 孝行(マネパ ランボルギーニ GT3)
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「予選は交互に担当しているんですが、今回は僕の番でした。インターミディエイトタイヤを使い切ってしまって9番手スタートでしたが、結果的にはこれが良かったと思います。周りを見て落ち着いてレースができました。ミスなく走って織戸選手に渡すことができれば、いい位置にいくとは思っていましたが、まさか優勝するとは思いませんでした。タイヤ無交換作戦が当たったと思います。織戸選手は速すぎるくらいのペースでした。コンビ組んで3年目ですが、やっと勝てました。荒れたレースで勝つのはチームの総合力と思います。次戦富士はストレートが長いので苦戦しそうですが、この流れで乗り切りたいと思います」
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI
決勝日朝、恒例のGTアソシエイション主催の定例会見が行われ、坂東正明代表が質疑応答を行った。
■10月開催のタイ大会の見通しについて
タイは新サーキットの整備もさることながら、政情不安が続いていることもあって、チームは不安を抱いているようだ。サーキットは8月を目途にコースの舗装やメディアセンターなどの整備が完了する予定である。先日視察してきたが、かなり立派な施設である。コースに対するFIAの査察も終了し、問題はなかったと聞いている。9月にはコースのライセンスも下りるはずだ。ただ、パドックの整備に不安が残る。気温が高いなかでのレースとなるが、ピットにエアコンの入った休憩場所もなく、ここはメーカーやチームの対応に頼らざるを得ないと思う。食事の提供やトイレなどにも課題が残っている。
■ホンダNSXに対するBOP(性能調整)について
GTAとしては、エンジンや駆動方式などについてベースとなる生産車を尊重するよう考えている。ホンダのNSX CONCEPTはミッドシップレイアウト+ハイブリッドを採用しているので、これをJAF GTとして認め出走できるようにしている。ただし、今季から採用した共通モノコックやカウルが、特に熱対策という面でNSXにとって厳しい結果になってしまっている。そこで、今回からエンジンルームや室内に風を抜けやすくするように若干カウルに関する規定を緩和した。また、ハイブリッド車に課せられる70kgのウェイトハンデについても、搭載した場合の慣性モーメントについて他メーカー立会いのもとテストを行った。その結果マイナス13kgという結論を出した。今回は天候が雨で涼しいので、この変更の効果がどうなのか判断しにくい面もあるが、展開を見守ってほしい。
■GT300のマザーシャーシ(共通モノコック)について
8月にシェイクダウンをして8月の鈴鹿でお披露目をしたいと思っている。できればシェイクダウンの後、タイに持ち込んで(向こうのチームに)乗ってもらいたいと思っている。テスト車両はすでにエンジンも載っているので、予定どおりに進むと思う。
■DTMとのレギュレーションの共通化について
先日、ドイツを訪問して話し合いをしてきた。どうやって両シリーズを近づけるかということだが、GTAとしては、タイヤ・エンジンのワンメイクは採用できないこと、ハイブリッド車の参戦を認めることなど、譲れない部分があり、その前提でどこまで共有できるかという点が課題である。お互いのレギュレーションが異なり速さも違うので、現時点でレースで一緒に走らせることは難しい。そこで、とりあえずテストで一緒に走らせることができるかを検討している。今回もアウディスポーツのメンバーが来日しており、日本のレースがなぜこのような形になっているのかを丁寧に説明している。
まとめ & Photo: Shigeru KITAMICHI