スーパーGTxDTM特別交流戦「SUPER GT x DTM Dream Race」レース2の決勝が11月24日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、2番グリッドからスタートした#64ナレイン・カーティケヤン(Modulo Epson NSX-GT)が接戦を制して待望の勝利を挙げた。
(天候:曇り コース:ドライ 観客動員数:11月22日5,100人/11月23日22,600人/11月24日24,100人/大会総入場者数51,800人)
レース2決勝は午後2時26分より55分+1周で行われた。天候は曇りで路面はドライ。全車スリックタイヤを装着。1周目からファイナルラップまで、コースの至る所で熾烈なドッグファイトやアクシデントの相次ぐ激しい戦いとなった。
スタートでトップに立ったのはポールシッターの#28ロイック・デュバル(BMC Airfilter Audi RS 5 DTM)だったが、2番手スタートのカーティケヤンが2周目の1コーナーでアウトからデュバルを抜き去り、そのままトップを快走する。
3番手スタートの#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)、朝の予選でトップタイムを叩き出しながら、車両交換により5グリッド降格となった#16中嶋大祐(MOTUL MUGEN NSX-GT)らも3周目にはデュバルを捉え、レース序盤にホンダ勢が1-2-3体制を築き上げる。
さらにデュバルは7周目に左後輪のパンクチャーに見舞われてスローダウンを余儀なくされ、予定外のピットインを強いられることに。これで一旦は上位争いから脱落したかに見えたデュバルだったが、このタイヤトラブルにより損傷を受けたリヤフェンダーの一部がピットアウト後に脱落したため、これを除去するためにセーフティーカーが導入されたため、彼のタイムロスは最小限に留められることとなった。
さらにこの機に乗じて#4アレッサンドロ・ザナルディ(BMW M4 DTM)、#21ノワ・トレルイエ(Audi Sport Japan RS5 DTM)らが10周目に早めのタイヤ交換を行ったため、レース中盤に他のドライバーがルーティンのタイヤ交換を行った時点でこの3名は上位進出のチャンスを得ることとなった。
レースは12周目にリスタート。#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)、#16中嶋大祐らが1コーナーで相次いで#1山本に並びかけ、それぞれ2位、3位に浮上するが、山本もこの周のダンロップコーナーで中嶋大祐のインをつき、3位を奪い返す。
その後3位の山本は15周目、トップのカーティケヤンと塚越は16周目、中嶋大祐は17周目にタイヤ交換に入ったため、早めのタイヤ交換を行ったトレルイエが18周目に一時的にトップに立つことになった。デュバルも4位まで順位を挽回、5位にはザナルディが続く状況に。
しかし20周目に2019DTMチャンピオンの#33レネ・ラスト(Audi Sport RS 5 DTM)の左後輪がデュバルと全く同じ状況でパンクチャーを起こし、コース上にボディパーツの破片をばら撒いたため、この日2度目のセーフティーカーが導入される。
ここで#19国本雄資(WedsSport ADVAN LC500)、#00小林可夢偉(BMW M4 DTM)らがピットイン。#1山本、#28デュバルらは2度目のタイヤ交換を敢行、フレッシュタイヤで2度目のリスタートからジャンプアップを図る作戦に出る。
2度目のリスタートは27周目。この時点でのトップはトレルイエ、2位はザナルディだったが、彼らはすぐに2度目のタイヤ交換を行ったため、27周目には再びカーティケヤンがトップに浮上することになった。
その後方では序盤から好走を続けていた塚越が100Rで#8野尻智紀(ARTA NSX-GT)と接触、惜しくもここでレースを終えることに。さらにその後方でも#3平手晃平(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)、#6大嶋和也(WAKO'S 4CR LC500)、#36中嶋一貴(au TOM'S LC500)、#39中山雄一(DENSO KOBELCO SARD LC500)、#12ジェームス・ロシター(カルソニックIMPUL GT-R)らがセクター3で相次いで多重クラッシュに巻き込まれて脱落したため、直ちにこの日3度目のセーフティーカーが導入された。
これにより2位には予選7位スタートの#11マルコ・ヴィットマン(BMW M4 DTM)が浮上、序盤に後退したデュバルが3位まで挽回してきた。
レースは30周目に入ったところで規定の55分に達したため、31周目がラストラップ。ここでセーフティーカーがピットに戻り、たった1周だけの超スプリントバトルが行われることになる。
懸命に逃げるカーティケヤンの後方では、ヴィットマンとデュバルの激しい2位争いが繰り広げられ、両者はぶつかり合いながら最終コーナーを立ち上がり、デュバルが僅かに先行してチェッカー受けたが、デュバルはこの時コースを大きくはみ出していたために終了直後に1秒加算のペナルティが下り、3位。ヴィットマンが2位を獲得することになった。
優勝はカーティケヤン。フォーミュラニッポン、スーパーフォーミュラなどでも活躍しながら、これまでただの一度も勝利に恵まれていなかったが、この特別戦でついに念願の勝利をモノにした。
2019年のスーパーGTはこれで全ての日程を終了。2020シーズンは4月11-12日に岡山国際サーキットで開幕。GT500クラスは新たなクラス1規定の車両に生まれ変わることが決まっている。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
スーパーGT×DTM交流戦のサポートレース「auto sport Web スプリントカップ」レース1の決勝が11月24日、静岡県・富士スピードウェイで行われ、6番手からからスタートした#60吉本大樹/宮田莉朋(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)が中盤にトップに立ち、昨日のレース1に続いて連勝を飾った。
レース2決勝は午前11時35分より50分間で行われた。天候は晴れ。コースは所々濡れた箇所が残っているものの、ほぼドライで、全車スリックタイヤでの走行となった。
またレース1の終了後に吉本が担当したくじ引きの結果により、今回はレース1の上位6台がリバースグリッドでスタートすることになった。ポールポジションは今回スポット参戦の#37武井真司/笹原右京組(BH AUCTION CORVETTE GT3)。スタートは笹原が担当した。
2位以下が序盤から激しい順位争いを見せるなか、ポールの笹原は1周目から一気に後続を突き放しにかかり、3周終了時点で13秒、5周終了時点では14秒以上もの大量リードを築き上げると、その後はタイヤを労わりつつペースを維持するという難しいミッションをこなしていった。
一方、レース1で優勝しながらも6番手スタートとなった#60吉本は1周めに他車に押し出されてタイムをロスする不運に見舞われつつも、2周目には2位まで順位を上げ、笹原の追撃にかかるが、なかなかタイム差を縮められないでいた。
しかし14周目に60号車がピットインし、吉本から宮田に交代すると形勢は逆転する。
今回の特別規則ではピット入り口からピット出口までの滞在時間が最低70秒と定められている上、ジャッキアップを行うとさらに30秒が加算される。それでもウェットからドライにコンディションが変わったレース1では100秒ストップを選択するチームがあったが、今回は最初からドライということで上位陣はいずれもタイヤ無交換作戦を敢行することになった。
宮田は昨シーズンからこのチームに参戦して経験を積み重ねており、タイヤを労りながらもかなりのハイペースで周回を重ねることができる。
一方、18周目にトップでコースインした武井はコルベットでの富士の走行もヨコハマのスリックタイヤも今週末初めて経験するという状況。特に木曜から土曜まで完全なドライコンディションの走行がなかったため、ぶっつけ本番の状態だ。ポルシェカレラカップジャパンなどで豊富な経験を持つ武井にとってもこの状況は厳しい。
実際、冷えたタイヤに苦戦する武井を尻目に宮田は一気に差を縮め、18周終了時点で0.7秒差にまで急接近。19周めの100Rで武井のインに飛び込むと、そのまま一気にヘアピン進入でトップに立ち、リードを広げにかかった。
武井はその後、24周目の1コーナーで#52脇阪薫一(埼玉トヨペットGBマークX MC)にも抜かれて3位に後退するが、なんとか踏みとどまって31周を走り切り、表彰台の一角を得る大健闘を見せた。
一方、トップの宮田は2位に15.559秒もの大量リードを築いて50分で31周を走り、昨日に続いて連勝を飾った。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
スーパーGTを運営するGTAとDTMを運営するITRは11月24日、特別交流戦「SUPER GT x DTM Dream Race」の行われている静岡県の富士スピードウェイで共同会見を行った。
会見には坂東正明GTA代表取締役とゲルハルト・ベルガーITRチェアマンが出席。今回の交流戦開催についての感想と将来のビジョンなどについて語った。
- ゲルハルト・ベルガーITRチェアマンのコメント
- 坂東さんに感謝します。今週末のイベントを作り上げるにあたり、彼の協力は素晴らしかったし、この2年間のGTAとITRの関係者みんなの努力で5つのマニファクチャラーがグリッドに集まることができたことが素晴らしいと思います。昨日のレース1のグリッドを歩いていて大変感動しました。本当に素晴らしいクルマたちが並んでいて、我々の歩んできた方向が正しかったことを確信しました。クラス1規定について話し合いを重ねてきた結果の第一歩がこの大会です。これからのスーパーGTやDTMの将来が楽しみになりました。
まだまだ解決すべきことはたくさんありますが、今回の結果をもとに、互いに素晴らしい将来を築き上げていきたいと思います。その思いは坂東さんも同じだと思います。
- 坂東正明GTA代表のコメント
- 我々は10月にホッケンハイムで行われたDTMの最終戦に3メーカーのGT500車両3台で参加しました。今回のような特別戦でなく、通常のシリーズ戦に出させていただく格好になりました。チャンピオンは既に決まっていたとはいえ、シリーズ最終戦にITRの皆さんが暖かく迎えてくださったことに感謝しています。
それから短い期間の中で、ITRとGTA、そして富士スピードウェイの皆さんの協力で準備を進めてまいりました。開催が実現したことを嬉しく思いますし、日独の関係者の努力が実りました。日本のファンの皆さんに見ていただくこの大会が、日本の、世界のモータースポーツが変わる第一歩だと思っています。ファンの皆さんにもその気持ちを伝えたいです。
このように全く別のカテゴリーが統一の技術規則を作って一緒に走れるようにするという例は過去にありません。我々の夢であったし、ここからマニファクチャラーのマーケティングや営業戦略、そしてレース界が変わっていくはずです。
クラス1の規則の違いはまだまだありますが、そこもきちんと作り上げていかないといけないと思います。
まとめ & Photo: Kazuhisa SUEHIRO
スーパーGTxDTM特別交流戦「SUPER GT x DTM Dream Race」レース2の公式予選が11月24日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、#16中嶋大祐(MOTUL MUGEN NSX-GT)がトップタイムを記録。しかし金曜のクラッシュの影響でTEAM MUGENはレース1。2ともに5グリッド降格となることが既に決まっており、予選2番手の#28ロイック・デュバル(BMC Airfilter Audi RS 5 DTM)がポールポジションからスタートすることになった。
大会最終日の富士スピードウェイは朝から小雨の降ったり止んだりを繰り返す状況で路面はウェット。このため午前9時から20分間で行われたレース2の公式予選は全車ウェットタイヤでの走行となった。
序盤トップに立ったのは4周目に1分47秒118を記録した#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)。これを残り時間1分で中嶋大祐が上回り、1分47秒003でトップに立つ。
チェッカーフラッグが提示された直後にデュバルが1分46秒940で一時トップに立つが、中嶋は最後の最後に1分46秒696を叩き出して再びトップを奪い返した。
#64ナレイン・カーティケヤン(Modulo Epson NSX-GT)も終盤1分47秒034までタイムを縮めて3位に食い込み、山本は結局4位。ホンダNSX-GTが予選1位、3位、4位を獲得した。
しかしTEAM MUGENは金曜日の公式練習で、武藤英紀のドライブ中に起きたクラッシュの影響で車両交換を余儀なくされており、競技会審査委員会から5グリッド降格を条件にレース1、2の出走を許可されている。
このため残念ながら中嶋は6番手から午後のレースをスタートすることになる。
また中嶋は予選後のインタビューで「最後のレース」と引退をほのめかす発言をしており、今後の動向が気になるところだ。
レース2決勝はこの後午後2時26分より55分+1周で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
スーパーGTxDTM特別交流戦「SUPER GT x DTM Dream Race」レース1の決勝が11月23日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)が見事ポール・トゥ・ウィンを飾った。
記念すべき交流戦のレース1決勝は、スタート前からいきなりの波乱に見舞われた。
フロントローを確保していた#28ロイック・デュバル(BMC Airfilter Audi RS 5 DTM)がレコノサンスラップのダンロップコーナーでまさかのコースアウト、アウト側のタイヤバリアに前から突っ込んでしまったのだ。28号車はマーシャルカーでピットに戻ってきたものの、スタートまでに修復が間に合わないとチームは判断。惜しくもリタイヤとなってしまった。また#4アレッサンドロ・ザナルディ(BMW M4 DTM)もトランスミッショントラブルに見舞われてグリッドにつくことができず、ピットスタートに。結局午後2時26分から行われた決勝レースは参加22台中20台が隊列を組んでスタートに臨むことになった。
さらにスタート進行の時点で雨は上がっていたものの、路面は完全には乾いていなかったため、スタート前のタイヤ選択に各チーム頭を悩ませる状況。結局#24ヤン・マーデンボロー(リアライズコーポレーションADVAN GT-R)、#64牧野任祐(Modulo Epson NSX-GT)、#11マルコ・ヴィットマン(BMW M4 DTM)らがウェットタイヤ を選択、他のドライバーはスリックタイヤを装着して55分+1周の戦いは始まった。
ポールポジションのキャシディはそのままトップで1コーナーに飛び込むと、その後は順調に後続との差を広げながら周回を重ねていく。
その後方では#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)が2周目の1コーナーで#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)、#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)を次々に抜き去って2位に浮上、さらに予選9位からスタートした#19坪井翔(WedsSport ADVAN LC500)がみるみる順位を上げ、7周目には#36関口雄飛(au TOM'S LC500)を抜き去って4位に浮上してきた。今シーズンのドライバーズタイトルを手にした#6山下健太(WAKO'S 4CR LC500)も関口の背後から何度もアタックを仕掛けるが、関口はこれをことごとく退ける。シリーズ戦とは全く異なる激しいバトルがコースの至る所で展開された。
トップのキャシディは19周目にピットイン。タイヤ交換を行ってそのまま実質トップでコースに復帰、その後も順調に周回を重ねて2位以下を引き離し、29周を終えた時点で8.099秒ものリードを築き上げた。
ところがその直後、#12佐々木大樹(カルソニックIMPUL GT-R)がマシントラブルに見舞われてホームストレート上にストップしたため、セーフティーカーが導入されることになり、キャシディのリードは失われてしまった。
レースは33周目に2列縦隊のインディカー方式でリスタート。残り時間は3分あまりだったが、ここでもキャシディはトップを守り、塚越に全く付け入る隙を与えずに35周を走り切り、見事レース1を制してみせ、10月にホッケンハイムで行われ、予選16位、決勝リタイヤに終わったDTM最終戦の雪辱を果たした。
2位に塚越、3位には山本がつけ、終わってみれば上位5台がスーパーGT勢という結果に。しかしDTM勢の最上位は予選16位の#21ブノワ・トレルイエ(Audi Sport Japan RS5 DTM)だったことを考えれば、スタート前にリタイヤを喫したデュバルがあのままスタートしていれば、また違った展開になったのかもしれない。
注目の第2レースは明日午前9時より公式予選が、午後2時26分より決勝が、同じく55分+1周で行われる。DTM勢の巻き返しにも期待したい。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
スーパーGTxDTM特別交流戦「SUPER GT x DTM Dream Race」レース1の公式予選が11月23日、静岡県の富士スピードウェイで行われ、#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)がポールポジションを獲得した。
レース1の公式予選は午前9時25分より20分間で行われた。前日の公式練習では激しい雨に見舞われた富士スピードウェイだが、この日は時折弱い霧雨が落ちてくる程度。路面はハーフウェットと言った状況で、スリックタイヤを履くほどのグリップはまだない様子だった。
今回は全車がDTM指定のハンコックタイヤを使用するということで、こうした難しいコンディションではスーパーGT勢に不利に働くものと思われたが、キャシディは計測3周目に1分41秒827を叩き出してセッション開始早々にトップに浮上。その後もこのタイムが更新されることはなく、キャシディがそのままレース1のポールポジションを獲得することになった。
DTM勢では#28ロイック・デュバル(BMC Airfilter Audi RS 5 DTM)がキャシディと同じく3周目に1分42秒158を記録、0.331秒差で2位につけた。日本のトップカテゴリーで長年活躍した経験が生かされた結果というべきか。
3番手にはセッション終盤に1分42秒215を記録した#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)が続き、#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)がGT-R勢最上位の4番手。9番手の#19坪井翔(WedsSport ADVAN LC500)までがトップから1秒以内といういつもながらの接戦となった。
レース1決勝は午後2時26分より、55分+1周で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO

K2 R&D UCHIDA RACINGが使用するオレカ 07 LMP2の車両イメージ
スーパーGTにK2 R&D LEON RACINGとして参戦している有限会社K2R&Dは11月7日、レース用の歯車製造などで知られる株式会社内野製作所とタッグを組み、「K2 UCHINO RACING」として2019/2020アジアンルマンシリーズに参戦することを発表した。
カーナンバーは96、マシンはオレカ07LMP2。内野製作所の代表取締役である内野徳昭氏がチーム代表を務め、日本レース界の草創期にトップドライバーとして活躍した黒澤元治氏が監督として指揮を執る。LPM2クラスに日本チームが参戦するのはこれが初めてのことだ。
第1ドライバーはスーパーGT第5戦まで#65LEON PYRAMID AMGをドライブした黒澤治樹が担当、第2ドライバーにはショウン・トン(香港)を起用した。トンは黒澤と同じく今シーズンGT300クラスに参戦、#33エヴァRT初号機X Works GT-Rをドライブしている。

富士スピードウェイでのシェイクダウンの様子
アジアンルマンシリーズは今月22-24日に上海国際サーキットで開幕。2020年1月10-12日にザ・ベンドサーキット(オーストラリア)、2020年2月14-15日 セパン国際サーキット(マレーシア)、 2020年2月21-23日 ブリーラム国際サーキット(タイ)の全4戦で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
2019オートバックス スーパーGT第8戦「もてぎGT250kmレース」の決勝が11月3日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、予選4位からスタートした#37平川亮/ニック・キャシディ組(KeePer TOM'S LC500)が32周目にトップに立ち、今季初勝利を挙げた。
しかしドライバーズチャンピオンは2位入賞の#6大嶋和也/山下健太組(WAKO'S 4CR LC500)が獲得。チームルマンにとっては2002年のJGTC以来、じつに17年ぶりの栄冠となった。
GT300クラスは予選4位の#11平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)が終了間際に逆転、第2戦富士以来の今季2勝目を獲得。シリーズチャンピオンは4位でフィニッシュした#55高木真一/福住仁嶺組(ARTA NSX GT3)が獲得している。
(天候:曇り コース:ドライ 観客動員数:予選日20,500人/決勝日35,500人/大会総入場者数56,000人)
第8戦決勝は午後1時30分より53周で行われたが、スタート前に行われたウォームアップ走行で#3平手晃平/フレデリック・マコヴィッキィ組(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)にエンジントラブルが発生。スタート前にリタイヤ届が提出されるという事態に。ニッサン勢では前日の公式練習でも#12佐々木大樹/ジェームス・ロシター組(カルソニックIMPUL GT-R)にもエンジントラブルが発生しており、12号車は予選出走が叶わず、出走嘆願によりこのレースは最後尾からスタートすることになっていた。
スタートでトップに立ったのはポールシッターの#36中嶋一貴(au TOM'S LC500)。ポイントリーダーの#6大嶋和也(WAKO'S 4CR LC500)はタイヤの熱入れが充分でなく、1周目に#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)、#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)、#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)らに相次いで抜かれ、5位まで順位を落としてしまった。
しかし大嶋はタイヤが作動領域に入るとともに息を吹き返し、7周目にクインタレッリ、17周目には塚越をも抜き返して3位に浮上、20周目にトップの中嶋とともにピットインし、山下にバトンタッチした。
大嶋らとタイトルを争うキャシディは6周目の3コーナーでクインタレッリを抜いて2位に浮上すると、19周目にピット作業を行い、平川に交代した。
#6大嶋/山下組との7ポイント差を逆転しなければならない平川は懸命に追い上げ、#36関口雄飛(au TOM'S LC500)に何度もオーバーテイクを試みる。関口も当初押さえ込む動きを見せていたが、32周目の3コーナーで周回遅れに詰まったところで平川にインを明け渡し、その後は後方から迫ってくる山下と熾烈な2位争いを展開することになった。多分にチームオーダーの疑われるシーンではあるが、もちろんチームがそのことを公式に認めることなどない。
このままの順位で終われば平川/キャシディ組が83ポイント、大嶋/山下組は81ポイントとなり、平川/キャシディ組が逆転でチャンピオンを獲得する。山下には到底受け入れられない状況だ。後続との差を広げながらトップを快走する平川の後方で、関口の執拗なブロックに行手を阻まれる山下。
しかし転機は38周目にやってきた。
ヘアピン進入で関口が周回遅れのGT300車両に詰まったところを山下は見逃さず、続くダウンヒルストレートでフェイントを入れながら関口のインに車体をねじ込んだ。90度コーナーへの進入ではブレーキを遅らせすぎてアウトに膨らみ、コーナー出口で失速、すかさず関口がクロスラインをとってアウトから並び返してきたが、山下もここは絶対に引くことはできない。両者は激しくぶつかりながら最終コーナーをショートカット、そのまま山下が前に出てホームストレートに戻ってきた。関口にはもう山下を追う余力は残っていなかった。
これによりGT500クラスは37号車が優勝、6号車が2位、36号車が3位で決着。ポイントランキングは平川/キャシディ組が83ポイント、大嶋/山下組が85ポイントとなり、大嶋/山下組がドライバーズチャンピオンを獲得。チームタイトルはLEXUS TEAM KeePer TOM'Sが107ポイント、LEXUS TEAM LEMANS WAKO'Sが106ポイントで、こちらはトムスが獲得することになった。
今季初勝利を挙げたとはいえ、2年連続でドライバーズタイトルを取り逃した平川とキャシディはレース後の記者会見でも悔しさを隠せない様子だった。
チームルマンがドライバーズチャンピオンを獲得するのは、2002年の全日本GT選手権で#6脇阪寿一/飯田章組(エッソウロトラフロースープラ)が獲得して以来、じつに17年ぶりのことだ。
GT300クラスは、ポールシッターの#720アレックス・パロウ(McLaren 720S)のペースが上がらず、6周目の90度コーナーで#56平峰一貴(リアライズ日産自動車大学校GT-R)にインから抜き去られ、その後もずるずると順位を落として7位でフィニッシュ。ここでトップに浮上した56号車もレース終盤に電気系トラブルに見舞われて一時コース上にストップする不運もあって最終的には6位でレースを終えた。
一方、予選3位からスタートした#65蒲生尚弥/菅波冬悟組(LEON PYRAMID AMG)はタイヤ無交換作戦をとり、ピット作業時間を短縮してトップに立ったが、攻めた燃費計算が仇になり、ファイナルラップの最終コーナーを立ち上がったところでガス欠症状に見舞われてスローダウンを余儀なくされる。その隙をついて#11平中克幸/安田裕信組(GAINER TANAX GT-R)がトップでチェッカーを受け、第2戦富士以来の今季2勝目を獲得。
ドライバーズランキング2位の#96新田守男/阪口晴南組(K-tunes RC F GT3)は予選17位から激しい追い上げをみせて3位でフィニッシュしたが、ポイントリーダーの高木/福住組が4位に入ったため、ドライバーズ部門、チーム部門の両方で#55高木真一/福住仁嶺組(ARTA)がチャンピオンを獲得することになった。これは高木とARTAにとっても17年ぶりのタイトル獲得だ。
これで2019年のスーパーGTのシリーズ戦は終了だが、今年はこのあと富士スピードウェイにてドイツツーリングカー選手権(DTM)との特別交流戦が予定されている。11月23-24日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
スーパーGT第8戦「もてぎGT250kmレース」が開催されている栃木県のツインリンクもてぎで11月2日、今シーズンでスーパーGTを離脱するジェンソン・バトン(#1RAYBRIG NSX-GT)が会見を行い、日本で活動した二年間の感想と離脱の理由、そして今後の展望を語った。
ジェンソン・バトンのコメント
人生というのは色んなチャレンジがあってこそ楽しいものだと思っています。僕はF1のあとでスーパーGTにチャレンジしました。本当にエキサイティングなレースだと思います。レースの進め方やGT300の処理、チームメイトとの付き合い方など、新たに学ばなければならないことが沢山ありました。味わいながら、楽しみながら、レースに取り組みました。
チーム国光は素晴らしいチームで、一緒に仕事をしていて本当に楽しかったです。歴史の長いチームですが、スタッフはみんな若くて、彼らと頑張れたこと、チャンピオンシップを獲得できたことが本当に嬉しかったし、感動しました。
クニサンは二輪も四輪も本当に長い経験を持っていますが、チャンピオンシップを獲得した時の嬉しそうな表情が忘れられません。
山本尚貴選手は、初めて「速く走って欲しい」「頑張って欲しい」と思えたチームメイトでした。彼とは本当に良い関係でした。耐久レースは初めてだったので、チームメイトとコミニュケーションをとりながら進めること、お互いに応援することなど、彼から非常に多くのことを学びました。彼にはこれからも頑張って欲しいと思っているし、応援したいです。
(今後の予定を教えてください)僕は長年ホンダのアンバサダーとして活動してきたし、ホンダは僕のホームだと思っているので、トヨタやニッサンをドライブするということは絶対にありません。ネットではNASCARに参戦するなんて話もあるようですが、あれはホンダUSAが「将来的にNASCARに参戦したい」と発言したことに対して「僕ならいつでも準備できてるよ」と答えただけです。大きなチャレンジは好きだし、これからやってみたいと思っています。何人ものF1ドライバーが苦戦しているカテゴリーなので、まずはトラックシリーズなどの下位カテゴリーで楽しめたら良いな、位に思っていますが、来年の前半に関しては何も予定していないし、家でゆっくりしたいと思っています。ですから何も決まっていません。
(日本のレースから離脱する理由は)本当に最高な二年間を過ごさせていただきました。特に昨年はチャンピオンシップも獲得できましたし。F1を引退してから、次にどんなチャレンジをしようかと考えてスーパーGTを選びましたが、すごく良いチャレンジになりました。僕の人生にとって大きな意味のあるものになりました。僕は今39歳です。まだ次のチャレンジに間に合う年齢ですが、あと二、三年いると手遅れになるかもしれないと思ったんです。別に日本で何か気に入らないことがあったわけじゃありません。次に行けるうちに行きたいと思っただけです。
(次にチャレンジしたいカテゴリーはどんなものか)いくつか候補はあります。僕はすごくオフロードが好きで、今年の終わりにはバハ1000kmに挑戦します。それがたまたまDTM交流戦と日程が重なってしまいました。将来的にはまたル・マン24時間にも出たいと思っています。WECの新しいレギュレーションを楽しみにしています。NASCARとかバサーストとか、いろいろ考えています。体力的にもまだまだチャレンジできると思っています。それが例えばカートの世界選手権でも良いじゃないか、とね。とにかくエキサイティングなことを沢山していきたい。F1やスーパーGTで素晴らしいキャリアを積んだので、これからも頑張ります。
最後にこの場を借りて皆さんに感謝したいと思います。日本のファンの皆さんにも。僕は日本の文化や人々が大好きです。1997年に日本でカートレースに参加したときに本当にコンペティティブで素晴らしい場所だと思い、ずっと日本で走ることが夢でした。機会を与えてくださったホンダにも感謝しています。
まとめ & Photo: Kazuhisa SUEHIRO
2019FIA-F4選手権第14戦の決勝が11月3日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)が通算最多の11勝を達成した。

第14戦決勝は午前8時15分より13周で行われた。
ポールポジションの佐藤は今回もクリーンなスタートを決めてトップで1コーナーへ。その後方では予選3位の#63川合孝汰(DENSOルボ一セIPG F4)が1周目のヘアピンで#5三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)のインをついて2位に浮上した。
オープニングラップだけで2秒312の大量リードを築いた佐藤だったが、2周目の4コーナー立ち上がりで#37平良響(FTRSスカラシップF4)、#77小川颯太(WARMTECH Skill Speed)、そして#60菅波冬悟(OTG DL F110)の3台が絡む多重クラッシュが発生、直ちにセーフティーカーが導入されることになってしまった。
レースは6周目に再開されたが、今度は2位の川合が佐藤と遜色ないハイペースで追い上げてきた。川合は前日の第13戦で序盤にリタイヤしていたこともあり、タイヤの消耗が少なかったことも功を奏したようだ。それでも佐藤は最後までノーミスで川合のプレッシャーを跳ね除け、第7戦富士以来の7連勝を達成。通算勝利数も歴代最多の11勝としてFIA-F4の2019シーズンを締めくくった。
2位は川合。このレースを以って活動を終了するチーム・ル・ボーセに勝利を持ち帰りたい、との願いはあと一歩のところで叶わなかった。3位には#24平木玲次(Media DoADVICS影山F110)の猛追に最後まで耐え切った三宅が入った。
またインディペンデントカップは#30DRAGON(TEAM DRAGON F4)が今季4勝目を獲得。前日の第13戦では後続に追突されてサスペンションにダメージを負い、リタイヤを余儀なくされたが、今回は慎重な走りで後続に付け入る隙を与えなかった。
FIA-F4の2020シーズンは来年4月11日に岡山国際サーキットで開幕する。
- 第14戦優勝 #7佐藤蓮(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
スタートが完璧に決まって、後ろをかなり離してたんで、そこでSCが入ったのはちょっと嫌でしたね。再スタート後川合選手のペースが速くて、お互いプッシュしてプッシュして、ミスをするかしないかギリギリのところで、最後の方に向こうがミスをしてくれたんでちょっと楽になりました。マシンバランスはかなり良くて。ただSC解除後の数周はバランスが悪かったです。まだ来年のlことは決まってませんけど、どのカテゴリーに乗るにしても自分のできることを今まで通りやっていきたいと思います。できれば海外に行きたいと思っています。
- 第14戦決勝2位 #63川合孝汰(Le Beausset Motorsports)
ちょっと昨日よりスタートが決まらなくて。序盤で早めに前に立ちたかったんですがちょっとてこずっちゃったかなと。SCが入ったのは「ついてるな」と思ったんですけど、SC明けで飛び出しちゃって。そこがもったいなかったです。後半はペースが良くなってたんですけど、最後の方にミスが出てしまったのがもったいなかったかなと。昨日の影響は感じませんでした。自分もリセットできてたし、今日は前の佐藤選手を追うだけだと思っていたんで。昨日タイヤを使ってないんでもうちょっとペースいけるかと思ってたんですけど、思った以上に上げられなかったのは今後の課題かなと思います。結構フロントを酷使しちゃった感じですね。今日でチームが最後だったんで、優勝を届けたかったんですけど、それができなくて残念です。来年については、いろいろお話しさせていただいてるんですけど、まだ何も決まっていません。このレースを終えてからいろいろ整理して来年に向けて動きたいです。もちろんフォーミュラをやりたいんですけど、来年に関してはフォーミュラに限らず、色んなカテゴリーに挑戦できたらと思います。
- 第14戦決勝3位 #5三宅淳詞(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
昨日はスタートでミスして、集団に飲み込まれて押し出されて順位を落として、という勿体ないレースだったので、メカニックさんには迷惑をかけたんですが昨夜クラッチを交換していただきました。そしたらスタートが良かったんで、このままいけるかな?と思ったんですが、佐藤選手とのタイム差が大きくて、川合選手もタイヤがフレッシュな分前に行かれてしまって防戦一方の厳しいレースになりました。木曜金曜と平木選手が速かったんで、厳しいかなと思いましたが、ここは抜きにくいコースですし、後半は落ち着いて自分のレースをしました。今シーズンは優勝といっても運がいいだけの1勝だけですが、富士以外は表彰台に乗れてるので、そう考えたら安定はしてたのかなと思います。来年どうするかは話をしていませんけど、もし出れるのなら苦手な富士でもしっかり結果を出して、もっと優勝もしていきたいです。
- 第14戦インディペンデントカップ優勝 #30DRAGON(B-MAX ENGINEERING)
昨日は最初のS字のクラッシュの後にヘアピンで黄旗が出ていたんで、減速をしたところ後ろの選手に追突されてしまったんです。SCラン中は大丈夫かなと思っていたんですが、解除になってペースを上げたらアームが折れちゃいました。昨日は残念なレースだったんですが、ペース的には混乱に巻き込まれなければ追いつかれないと思ったんで、今日は慎重にいって別クラスの若い子に絡まないように、無理に押さえずにスマートに前に行かせるようにしました。その後はまあイージーに。このクラスも本当に盛り上がっていますし、おじさんの熱き闘いに来年もまた参加したいなと思っています。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI
2019オートバックススーパーGT第8戦「もてぎGT250kmレース」の公式予選が11月2日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、GT500クラスは#36中嶋一貴/関口雄飛組(au TOM'S LC500)が今季2度目のポールポジションを獲得。GT300クラスは#720荒聖治/アレックス・パロウ組(McLaren 720S)が初のポールポジションを獲得した。
公式予選は午後2時よりノックアウト方式で行われた。天候は晴れ。気温は20℃、路面温度は25℃という絶好のコンディションとなり、GT500、GT300共に激しいタイムアタック合戦が繰り広げられた。
予選Q1
GT500クラスは第7戦終了時点で上位3チームにドライバーズタイトル獲得の可能性が残されていた。しかしランキング3位の#23松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)に求められる最低条件はポール・トゥ・ウィン。絶対に負けられない状況の下、Q1を担当した松田は計測3周目に1分36秒353をたたき出し、トップでQ2に駒を進めた。
ドライバーズランキング2位の#37平川亮(KeePer TOM'S LC500)も松田からコンマ2秒差の1分36秒565で続き、ポイントリーダーの#6大嶋和也(WAKO'S 4CR LC500)も6位ながらQ2進出を果たす。
一方、前回のSUGOで優勝し、23号車と同じミシュランタイヤを履く#3フレデリック・マコヴィッキィ(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)はトップから0.996秒落ちの10位で惜しくもQ1落ち。#19坪井翔(WedsSport ADVAN LC500)は8位に僅か0.014秒及ばず、ここで予選を終えている。
GT300クラスは#11安田裕信(GAINER TANAX GT-R)が1分46秒601でトップ通過。#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)が2位でつづき、ルーキーの#65菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)が3位。ポイントリーダーの#55高木真一(ARTA NSX GT3)も14位ながらQ2進出を果たしている。
予選Q2
GT500は絶対に負けられない#23ロニー・クインタレッリ(MOTUL AUTECH GT-R)がコースインして3周目に1分36秒128を記録して一旦はトップに立ったが、その直後に#36関口雄飛(au TOM'S LC500)が1分35秒964を叩き出してトップを奪ったため、この時点でニスモのタイトル獲得の望みは絶たれてしまった。
続いて#6山下健太(WAKO'S 4CR LC500)もチェッカー提示直後に1分35秒999で2位に割って入り、ランキング2位の#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)も1分36秒228で予選2列目を確保。逆転チャンピオンに向けてまずまずの手応えを得た。
GT300クラスは先週のスーパーフォーミュラ最終戦で驚異的な速さを見せつけた#720アレックス・パロウ(McLaren 720S)が1分45秒907のコースレコードを叩き出して一気にトップに躍り出た。今シーズンから参戦を開始したMcLaren Customer Racing Japanは開幕戦で予選最下位に終わるなど苦戦続きだったが、ここ数戦はヨコハマタイヤに合わせた車体開発が進み、BOPに合わせたセットアップも機能し始めており、今回ついにその成果が実った格好だ。
一方、こちらもポール・トゥ・ウィンがチャンピオン獲得への最低条件だった#56平峰一貴(リアライズ日産自動車大学校GT-R)はパロウに僅かコンマ126秒及ばずに2位。ここでチャンピオン争いから脱諾することになった。3位には#65蒲生尚弥(LEON PYRAMID AMG)がつけ、ポイントリーダーの#55福住仁嶺(ARTA NSX GT3)は予選5位につけている。
第8戦決勝は明日の午後1時30分より53周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
2019FIA-F4選手権第13戦の決勝が11月2日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、ポールポジションからスタートした#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)が今季10勝目をものにした。
第13戦決勝は午後1時5分より13周で行われた。天候は晴れ。コースはドライだ。
すでに今年度のシリーズチャンピオンを決めている佐藤は今回もミスなくスタートを決め、トップで1コーナーへ。その後方では予選3位の#37平良響(FTRSスカラシップF4)が1コーナーで2位に浮上したが、予選2位の#24平木玲次(Media DoADVICS影山F110)はその周の5コーナーで平良のインを差してポジションを奪い返した。
ところが隊列がS字コーナーに差し掛かったところで#63川合孝汰(DENSOルボ一セIPG F4)、#97 石坂瑞基(BJ Racing F110)、そして#77小川颯太(WARMTECH Skill Speed)が絡む多重クラッシュが発生、川合のクルマがグラベル上で横転してしまったため、これらの車両を回収するために直ちにセーフティーカー(SC)が導入されることになった。
SCは4周目にピットイン、5周目からレースは再開となったが、ここからトップの佐藤はペースが上がらなくなり、平木の追撃を受けることに。佐藤を上回るペースで追い上げを図った平木だったが、10周目の90度コーナーでわずかにダートにはみ出してしまい、佐藤の逃げ切りを許すこととなった。
3位には予選9位から着実に順位を上げ、#6太田格之進(SRS/コチラレーシング)とのバトルを制した#20木村偉織(Silver Star Racing)が入り、自身初の表彰台を獲得した。
また、インディペンデントカップは序盤トップを快走していた#30DRAGON(TEAM DRAGON F4)がアクシデントにより予定外のピットインを強いられ、代わってトップに立った#3佐藤セルゲイビッチ(結婚の学校フィールドモータースポーツ)が今季5勝目を挙げている。
第14戦決勝は明日午前8時15分より13周で行われる。
- 第13戦優勝 #7佐藤蓮(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
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後半のペースがキツかったです。リヤが不安定な感じで、ブレーキングでちゃんと止まらない状態でした。それが気温によるものなのか、セットアップに起因するものなのか、帰って分析して、明日は最適なコンディション、最適なセットアップに合わせられるよう、エンジニアやメカニックと相談して、最終戦も勝って決めたいです。連勝記録を伸ばせるよう頑張ります。
- 第13戦決勝2位 #24平木玲次(Media Do Kageyama Racing)
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相当悔しいですね。ペース的にはちょっと僕の方が良かったんですが、(10周目の)90度コーナーの立ち上がりでミスっちゃったのが痛かったですね。後半はペースが良かったので、あれがなければチャンスがあったかなあ、と思いますが、攻めた結果なのでしょうがないと思います。明日は2列目からのスタートですが、スタートは無難に決めて、後半のペースがいいことが分かってるので、前半のうちにトップに追いついて、後半勝負かなと。
- 第13戦決勝3位 #20木村偉織(Silver Star Racing)
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スタートはちょっと失敗して順位を落としましたが、そこから諦めずに最後までチャンスを待ちつつ、自分もミスをせずに走り続けた甲斐があって表彰台に上がれました。練習走行は17番手と調子が悪かったんですが、エンジニアさんやメカニックさんが頑張っていいクルマを作ってくださったのでこの順位に行けたと思います。チームの皆さんや僕を応援してくださっている方々に感謝したいです。明日はスタートポジションが一つ上なので、一つ一つの抜けるチャンスを無駄にしないように順位を上げて、今日よりも一つ上の順位でフィニッシュできるよう努力したいです。
- 第13戦インディペンデントカップ優勝 #3佐藤セルゲイビッチ(FIELD MOTORSPORTS)/dt>
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スタートは無難に決まって。ただ1周目コースの各所でクラッシュがあり、セーフィティーカーが入った時点で二人に抜かれていました。再スタート後もアクシデントが色々あって、DRAGONさんや仲尾(恵史)さんが後退していました。僕の前にはKARIさんがいて、かなり抜きあぐねましたがなんとかダウンヒルストレートで抜くことができました。そこからは後続を引き離すことができて優勝することができました。いい流れが来ているので、明日もスムーズなスタートをして着実に前に進めていって、勝って締めくくれれば最高ですね。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI
2019オートバックス スーパーGT第8戦「もてぎGT250km」の公式練習が11月2日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、#23松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)がトップタイム。GT300クラスはドライバーズランキングトップの#55高木真一/福住仁嶺組(ARTA NSX GT3)がトップだった。
公式練習は午前8時50分より105分間で行われた。公式予選日のもてぎは快晴だが、走行開始時点の気温、路面温度はともに14℃と肌寒さを感じさせるコンディションとなった。
GT500クラスは第7戦終了時点で#6大嶋和也/山下健太組(WAKO'S 4CR LC500)が70ポイントでドライバーズランキングトップ。2位には#37平川亮/ニック・キャシディ組(KeePer TOM'S LC500)が63ポイントで続き、#23松田次生/ロニー・クインタレッリ組(MOTUL AUTECH GT-R)が49.5ポイントで3位と、この3チームにシリーズチャンピオンの可能性がある。しかし松田/クインタレッリ組はポール・トゥ・ウィンが必須という厳しい状況だ。
ポイントリーダーの#6WAKO'S 4CR LC500は走行開始早々に1分37秒048を記録し、専有走行が始まるまではこれがトップタイムだったが、終盤の専有走行で松田が1分36秒296を叩き出し、一気にトップに躍り出ると、その直後にキャシディが1分36秒770を出して2位に。結局ドライバーズランキングのトップ3がこのセッションの上位に連なる結果となった。ホンダ勢最上位は#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)の4位だった。
GT300クラスはランキングトップの#55ARTA NSX GT3が10周目に1分46秒362を記録してトップ。高木と福住はトータル32周を走り込み、上々の滑り出しを見せている。2位には#88小暮卓史/元嶋佑弥組(マネパ ランボルギーニ GT3)が続き、第6戦オートポリスから菅波冬悟が加わった#65蒲生尚弥/菅波冬悟組(LEON PYRAMID AMG)が3位につけた。
スーパーGT第8戦の公式予選はこのあと午後2時よりノックアウト方式で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
2019FIA-F4選手権第13-14戦の公式予選が11月2日、栃木県のツインリンクもてぎで行われ、前回のSUGO大会でチャンピオンを獲得した#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)がここでも頭ひとつ抜け出た速さを見せて第13戦、第14戦ともにポールポジションを獲得した。
公式予選は午前8時より30分間で行われた。この日のもてぎは快晴。しかし気温、路面温度ともに低い中での走行となった。
また今回からダンロップのワンメイクタイヤは新しいロットが投入されることになった。これは本来であれば先月のF1日本グランプリのサポートレースから使用される予定だったが、このレースが台風19号の影響で中止になったため、今回が初めての実戦投入となる。グリップ性能に大きな差異はないとのことだが、それでも若干の運動特性の違いやウォームアップ特性の変化があったようで、各ドライバーとも昨日の専有走行からその対策に追われることになった。
そうした中、事前テストを実施してもてぎ入りしたHFDP勢は専有走行から好調で、2回目の走行で佐藤がトップタイムを記録したほか、総合でも#5三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)が2位、#6太田格之進(SRS/コチラレーシング)が3位につけた。
公式予選では佐藤がクリアラップの確保に苦労したと言いながらも中盤以降に立て続けの1分57秒台の好タイムを連発、ベストタイム1分57秒438、セカンドベストタイム1分57秒531でトップに。第10戦オートポリス以来のポールポジションを獲得した。
予選2位は専有走行で総合トップの#24平木玲次(Media DoADVICS影山F110)。しかし終盤トラフィックに捕まったため、さらなるタイムアップを果たすことができず、セカンドベストでは4位に留まった。
ベストタイム3位は#37平良響(FTRSスカラシップF4)。平良も先週テストを行なってセットアップを見直して今週末を迎えたが、セカンドタイムでは9位に終わった。
セカンドベストタイム2位は三宅。2016年にここで優勝している#63川合孝汰(DENSOルボ一セIPG F4)が3位につけたが、川合は予選終盤にシフトトラブルに見舞われており、決勝への影響が懸念される。
第13戦決勝はこのあと午後1時5分より13周で行われる。
- 第13戦、第14戦ポールポジション(#7佐藤蓮 SRS/コチラレーシング)
- 走り始めはクリアラップが取れなくて。前車との間合いを調整しているうちにタイヤ性能のピークが過ぎてたと思うんですよ。それがなければコースレコードも狙えたのかなあと。そんな失敗した中でもポールポジションで、後ろとのマージン結構あるんで、昨日メカさんと煮詰めたセットアップとか、今朝のコンディションに合わせたセッティングが決まったのかなと思うんで、そこはポジティブな結果だと思います。タイヤのロットが変わり、少し特性も変わってて。僕らのチームは比較的早い時点からテストをしてきたので、新しい特性も掴んで予選に臨んだので。最後は2連勝して堂々と卒業したいと思います。
- 第13戦予選2位(#24平木玲次 Media DoADVICS影山F110)
- 序盤からずっとベストが出てて。ベストタイムを出した次の周に前のクルマに引っかかってしまいました。あそこでタイムを更新できていたらまた変わってきたと思うんですけど、それはまあ仕方ないですね。でも昨日から調子がいいんで。コンスタントに良いタイムが出ているので、午後の決勝は早めに前に出て逃げ切るレースができれば、と思います。もてぎは地元ですし、走っている回数も多いので慣れてるサーキットではあります。
- 第13戦予選3位(#37平良響 FTRSスカラシップF4)
- 路面温度と気温が低くて、タイヤが暖まりにくかったので、最初からアタックし続けて最後にばちっと出す、というつもりでした。ですから周回数も多めにしていました。最後は自分のミスを連発して、なかなかセカンド行ききれませんでした。これからは自己ベストを出した後も集中を切らさずにタイムが出せるようにしたいです。タイヤのロットが変わり、マシンの動きも変わっているのを感じています。先週テストをやってセッティングや自分の走り方を見直してここにきました。決勝は「打倒佐藤蓮」「打倒ホンダ」ということで、優勝目指して頑張ります。
- 第14戦予選2位(#5三宅淳詞 SRS/コチラレーシング)
- 今までになく気温が低かったので、「どうなるかなあ」不安が大きくて。クルマのセッティングは決まっていましたが、ここはブレーキばっか踏んでるコースなので、ブレーキングがうまく決まった時に限って最後にミスをしてしまう、みたいなことがあり、セカンドベストは2位ですが、ベストタイムをうまくまとめることができませんでした。チームメイトがあんなに良いタイムが出ているので、自分もあのぐらいのタイムを出していなければいけなかったと思います。これから決勝まで時間がありますし、データロガーを見直して研究したいと思います。決勝では苦手なスタートをしっかり決めて、上位で戻ってこられるように頑張ります。
- 第14戦予選3位(#63川合孝汰 DENSOルボ一セIPG F4)
- 昨日の練習走行からかなり僅差の接戦になっています。今回から使っているロットのタイヤが、一旦冷やしちゃうとタイムが出ない印象があったので、今日の予選は最初からフロントタイヤにしっかりと熱を入れるイメージで、少しずつペースを上げていくやり方をしていました。それはうまくいっていたと思います。前方を37号車平良(響)君がずっと走っていて、スターティンググリッドも彼の方が前だったんですが、僕も燃料タンクが軽くなればタイムが出ると思っていました。ところが残り10分くらいのところでシフトチェンジの不具合が出てしまいました。セカンドタイムが3番手というのはラッキーだったと思いますが、その最後の一発のタイムがもっと出ていれば、と、そこは残念ですね。ここはホームコースなので、決勝では久々に勝ちたいですね。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
- 2019ドライバーズチャンピオン #37ニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)
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今の気持ちを表す言葉が見つかりません。レースをフィニッシュしてから1周の間ずっと泣いてました。この前いつ泣いたかわからないぐらい久々のことです。無線でも訳のわからないことを言っていたようです。レース中はチャンピオンシップのことを考えないようにして、目の前のことに集中していました。ノジリサンがいいペースで走っていて、僕は周回遅れのビップス選手に1周半の間引っかかってしまったので、少し焦りましたが、僕はずっとペースをキープすることにしました。
- 2019チームチャンピオン 村岡潔チーム代表(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
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一年間戦ってチームタイトルを取れるっていうことですから、これ以上のことはありませんし、本当に皆さん、応援してくださる皆さんや、ずっと変わらずに協賛してくださっている企業様のおかげです。自動車メーカーの直系のチームでないインディペンデントのチームでこれまでやってこれているということに意義とやりがいを感じています。最後のレースで(山本)尚貴がタイトルを取れなかったのもチームの責任ですが、やり切ったと思っています。今回は週末を通じてうちのクルマに速さがなかったなというのが感想です。その意味ではドライバーに申し訳なかったなと思います。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI
2019全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦「JAF鈴鹿グランプリ」の決勝が10月27日、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、予選2位からスタートした#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)が今季初勝利を挙げた。2位には#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)が入り、3位は#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)。第6戦終了時点でポイントリーダーだった#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)は5位に終わったため、2019年のドライバーズチャンピオンはキャシディが獲得することになった。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選日13,500人/決勝日22,500人/大会総入場者数36,000人)
第7戦決勝は午後2時より43周で行われた。天候は晴れ。コースはドライ。
スタート時のタイヤチョイスはポールポジションの#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)、予選4位の福住、予選5位の山本がミディアム。予選2位の野尻、予選3位の#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)、そして予選6位のキャシディはソフトと、上位陣でも大きく判断が分かれた。
そして予選16位からスタートした#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)はなんとウェットタイヤ を装着。これにより特別規則書の「決勝レース中にウェットタイヤを使用した場合は、これらのタイヤ交換義務規定は適用されない」という条文を逆手にとり、ミディアムタイヤの使用を回避して一気に挽回を図ろうという目論見だ。
スタートでトップに立ったのはポールのパロウ。2位に野尻が続いて山本が3位。予選3位のアウアーは痛恨のエンジンストールで一気に最後尾に後退してしまった。
序盤は順調に後続を引き離して8周目にピットに飛び込んだパロウだったが、ソフトタイヤに交換した途端にペースが上がらなくなり、代わってトップに立った野尻との差は広がる一方に。さらに17周目には福住、19周目には山本の先行を許し、その後もずるずると順位を落として28周目に再びピットへ。ここで完全にレースから脱落してしまった。
野尻は2位以下との差を広げながら周回を重ね、33周目にミディアムタイヤに交換、その後も2位のキャシディに全く付け入る隙を与えずに43周を走り切り、スーパーフォーミュラにデビューした2014年の第6戦SUGO以来、じつに5年ぶりの勝利をものにした。
3位はスーパーフォーミュラ 2年目の福住。チームメイトの山本はソフトタイヤでスタートして28周目にピットインした#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)の後塵を拝して5位に終わったため、シリーズポイントはキャシディ36ポイント、山本は33ポイントに留まり、キャシディが山本を逆転して2019年のドライバーズタイトルを獲得した。
レース後は悔し涙を隠さない山本だったが、チームタイトルはDOCOMO TEAM DANDELION RACINGが50ポイント、VANTELIN TEAM TOM’Sが48ポイントとなり、こちらはダンデライアンが獲得することになった。
2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は4月4-5日に同じく鈴鹿サーキットで開幕する。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦「JAF鈴鹿グランプリ」の2回目のフリー走行が10月27日朝、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、昨日の予選でポールポジションを獲得した#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)がトップタイムを記録した。
決勝日を迎えた鈴鹿サーキットの天候は曇り。気温、路面温度ともに19℃というやや肌寒さの感じられるなか、フリー走行は午前8時10分より30分間で行われた。
ポールシッターのパロウはミディアムタイヤで走り始めて9周を消化してソフトタイヤに交換してトータル17周を走行、13周目に1分39秒602を記録。これがこのセッションでのベストタイムとなった。
予選2番手の#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)もミディアムで走り始めて7周したのち、ソフトタイヤに履き替えて10周目に1分39秒799の2番手タイムを記録。トータルで16周を消化している。
このフロントローの二人とは対照的に、ポイントリーダーの#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)はソフトタイヤで走り始めて10周目にミディアムに交換、トータル18周を消化して4周目に自己ベストである1分40秒511を記録した。
前戦岡山の結果を受けて、今大会の特別規則では「決勝レース中に先頭車両が7周回目を完了した時点から先頭車両が最終周回に入る前までに異なる種別のドライタイヤを使用しなければならない」とされている。
このことから、序盤にミディアムタイヤを使ってしまう作戦であればパロウや野尻がここで見せたような走り方になる可能性は大いにあるが、グリップの低いミディアムで序盤を凌ぎ切るのはかなり難しいと思われる。パロウのミディアムタイヤでのベストタイムは1分40秒956。野尻は1分41秒455がベストだった。両チームがこの結果をどう評価したかが大いに気になるところだ。
また今回スポット参戦することになった#15ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN SF19)はこのセッションの序盤に1分40秒150を記録して4番手につけ、その後も安定したペースで17周を消化とまずまずの結果を残している。
果たしてタイトルを獲得するのは山本かパロウか。あるいはキャシディなのか。注目の第7戦決勝は午後2時より43周で行われる。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
2019TCRジャパンサンデーシリーズの決勝が10月26日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。レースは序盤からアクシデントが相次ぎ、2度のセーフティーカーが入る荒れた展開となり、予選5位からスタートした#33前嶋秀司(ALFA ROMEO GIULIETTA TCR)がトップでフィニッシュしたものの、危険なドライブ行為により40秒加算のペナルティを受けることに。これにより#18マシュー・ホーソン(Honda CIVIC TCR)が繰り上げで今季初勝利を達成。シリーズチャンピオンはこのレースで2位に入った#25松本武士(Volkswagen Golf GTI TCR)のものとなった。
第5戦決勝は当初予定より5分遅れの午後4時20分より23分+1周で行われた。
予選3位の#5金丸悠(Honda CIVIC TCR)が見事なスタートでトップに立ち、ホーソンが2位につけ、ポールの松本は3位に後退したが、1周目のスプーンカーブで#52密山祥吾(Volkswagen Golf GTI TCR)のスピンに#72ユーク・タニグチ(Honda CIVIC TCR)、#23YOSHIKI(Audi RS 3 LMS)が巻き込まれるアクシデントが発生、すぐさまセーフティーカー(SC)が導入されることに。
SCは4周終わりでピットインし、5周目から追い越し可能となったが、リスタート直前の130Rで#10佐藤潤(Volkswagen Golf GTI TCR)がコースオフし、グラベルに捕まって出られなくなったため、再びSCが導入されることになった。
2度目のSCは6周を終えたところでピットイン。最初のSC明けに3位に浮上していた前嶋が7周目の1コーナーでホーソンをアウトから抜き去り、一気にトップの金丸に迫った。
しかし前嶋はS字で金丸を押し出してしまい、金丸はバリアに接触して大きく順位を落とすことになる。そのままトップでチェッカーを受けた前嶋だったが、この行為に対して競技団は直ちに40秒加算の裁定を下した。これにより2位でフィニッシュしたホーソンが今季初勝利を達成。2位でフィニッシュした松本がサンデーシリーズのチャンピオンを獲得することになった。
ジェントルマンクラスは総合でも3位に入った#19ヒロボン(Volkswagen Golf GTI TCR)が優勝している。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
Yoshinori OHNISHI
2019全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦の公式予選が10月26日、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)が予Q3で1分35秒972を記録して今季3度目のポールポジションを獲得した。
公式予選は午後0時25分よりノックアウト方式で行われた。天候は晴れ。路面コンディションはドライだった。
予選Q1
今大会も第6戦岡山に続いてQ1はA、B二つのグループに分かれ、各組10分間で実施されることになった。
Aグループは#64パロウが1分37秒871を記録してトップに。フリー走行1位の#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)が2位で続いた。またフリー走行でクラッシュし、リヤ周りに大きなダメージを負った#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)も何とか修復を間に合わせ、終了間際に6位に滑り込んでQ2進出を果たしている。一方、#4国本雄資(ORIENTALBIO KONDO SF19)、#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)らの有力ドライバーがこのセッションで脱落。#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)もデグナーで痛恨のコースオフを喫してここで予選を終えた。
Bグループは#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)が1分37秒296でトップ通過を果たし、第1戦鈴鹿でポールポジションを獲得した#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING SF19)が2位。ドライバーズランキング2位の#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)も3位でQ2進出を果たした。その一方で19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)、#39坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)らがここで脱落。今回初参戦の#15ユーリ・ビップス(TEAM MUGEN SF19)もトップから1秒落ちの10位に終わっている。
予選Q3
12台で争われたQ2は7分間のQ2は、Bグループトップの福住が1'36.124と2位以下をコンマ2秒以上引き離してトップに。終了間際に1分36秒392を出した#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)が2位、山本が1分36byou486で3位につけ、上位8台中7台がホンダエンジンユーザーという結果になった。またソフトタイヤでの走行が許されるこのセッションではトップ3がいずれもウォームアップを1周行ったのみでアタックに入っており、2周を費やしたパロウは5位に終わっている。
予選Q3
ポールポジションを決める最後の7分間で速さを見せつけたのはQ2で5位に終わったパロウだった。Q2でのライバルたちがとった作戦に合わせてセッティングを変更し、2周目にアタックを行って1分35秒124とこの日唯一の1分35秒台のタイムを記録。第5戦もてぎに続いて今季3度目のポールポジションを獲得して1ポイントを加算、ランキングトップの山本との差を3ポイントに縮めた。
2位には終了間際に1分36秒084を叩き出した#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)が続きアウアーが1分36秒236で3位。ポイントリーダーの山本は5位に終わり、山本を1ポイント差で追うキャシディは6位だった。
第7戦決勝は明日午後2時より43周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
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TCRジャパンサタデーシリーズ第5戦の決勝が10月26日、三重県の鈴鹿サーキットで行われ、ポールポジションからスタートした#5金丸悠(Honda CIVIC TCR)が今季2勝目を挙げ、2位に入った#18マシュー・ホーソン(Honda CIVIC TCR)がシリーズチャンピオンを獲得した。

第5戦決勝は午前11時30分より23分+1周で行われた。天候は晴れ。ドライコンディションでの戦いとなった。
スタートでは予選2位のホーソーンが1コーナー手前で金丸のインを差し、二人は並走状態のまま2コーナーを立ち上がったが、3コーナーで金丸がねじ伏せてトップを死守した。
その後レースは3周目の130Rで#190植田正幸(Audi RS 3 LMS)がコースアウトしたことによりセーフティーカーが入り、5周目から追い越し可能となった。
無難にリスタートを決めて後続を引き離しにかかる金丸の背後では、2位のホーソーンに#25松本武士(Volkswagen Golf GTI TCR)、#52密山祥吾(Volkswagen Golf GTI TCR)、#33前嶋秀司(ALFA ROMEO GIULIETTA TCR)、#19ヒロボン(Volkswagen Golf GTI TCR)らが急接近し、激しいバトルを展開したが、デグナーカーブでホーソーン、松本、蜜山の3台が接触してしまった。
これにより松本と蜜山は上位争いから脱落することになり、1位金丸、2位ホーソーン、3位前嶋の順でチェッカー。金丸が第3戦
富士に続いて今季2勝目を獲得した。
また、第4戦終了時点で82ポイントを獲得してランキングトップだった#21篠原拓朗(Audi RS 3 LMS)はチームの事情により今大会を欠場したため、2位に入ったホーソーンが通算獲得ポイントを88として篠原を上回り、サタデーシリーズのチャンピオンを獲得している。
TCRジャパンシリーズはこのあと午後4時15分よりサンデーシリーズの最終戦決勝を23分+1周で行って2019シーズンを締めくくる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
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2019全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦「JAF鈴鹿グランプリ」のフリー走行1回目が10月26日、三重県の鈴鹿サーキットで行われた。トップタイムを記録したのは#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)で1分36秒907だった。
昨日の専有走行が雨に見舞われたこともあり、1回目のフリー走行は開始時刻を当初予定より20分前倒しし、午前9時より80分間で行われた。天候は晴れだが、路面にはまだ昨日の雨によるウェットパッチが各所に見られる難しいコンディションでの走り出しとなり、途中にどの赤旗中断が入る荒れた展開となった。
最初の赤旗は開始25分で#7中山雄一(UOMO SUNOCO SF19)の空力パーツ脱落によるもの。二度目の赤旗は走行再開直後に#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)が右リヤタイヤのパンクのため130Rでスピン状態に陥り、激しくクラッシュバリアに突っ込んだことによるものだ。ニューウェイは自力でクルマを降り、大きなダメージはない模様だが、クルマの損傷は激しく、午後の予選への出走が危ぶまれる状況だ。
そうしたなか、ドライバーズランキングトップで鈴鹿入りした山本はソフトタイヤで走り始め、3周目に1分38秒758でトップに立つと、その後も順調にタイムを縮めて13周目に1分36秒907を記録、15周目以降はミディアムタイヤに履き替え、18周目に1分37秒734を叩き出すなど、終始順調にメニューをこなして行ったようだ。
2番手につけたのは#50ルーカス・アウアー(Red Bull SF19)で1分37秒215、チェッカー提示後に1分37秒319を記録した#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)が3位につけ、序盤から好タイムを連発していた#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)が4位とホンダエンジンユーザーが上位を独占。トヨタ勢の最上位は#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)の5位だった。
なお今回からパトリシオ・オワードに代わってユーリ・ビップスが無限の15号車をドライブしている。ビップスは今季FIA-F3に参戦して3勝を挙げ、ドライバーズランキングでも4位に入った新進気鋭のドライバーだ。このセッションでは27周を走行して1分39秒100を記録。17位につけた。
スーパーフォーミュラ最終戦の公式予選はこのあと12時25分よりノックアウト方式で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Motorpsorts Forum
F1世界選手権第16戦「F1日本グランプリ」が10月11〜13日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
台風19号の接近に伴い、サポートレースとして予定されていたFIA-F4特別戦「鈴鹿ラウンドスペシャルステージ」とポルシェカレラカップ第11戦は残念ながら中止となり、メインレースのF1も12日土曜日の全日程が中止となったが、11日のフリー走行と13日の決勝は予定通り実施され、公式予選も日曜朝10時に予定を変更して行われた。
11日のフリー走行1回目では、2018年にスーパーフォーミュラとスーパーGT500クラスのダブルチャンピオンを獲得した山本尚貴がトロロッソ・ホンダの一員として参加。カーナンバー38をつけてこのセッション最多の30周を走り、ベストタイム1分32秒018を記録。チームメイトのダニール・クビアトとはわずか0.098秒差の17位につけた。山本は事前にシミュレータには載っていたものの、実車で走行したのはこの日が初めて。それでもチームに多くの貴重なセッティングデータをもたらしたようで、同じクルマで予選、決勝を走ったピエール・ガスリーは予選9位、決勝は8位に入る健闘を見せた。
台風の去った13日の鈴鹿は好天に恵まれ、昨年より多い8万9千人が来場。朝の予選ではセバスチャン・ベッテル(Ferrari)がポールポジションを獲得、決勝ではバルテリ・ボッタス(Mercedes AMG)が優勝した。ホンダ勢最上位はアレックス・アルボン(Red Bull Racig Honda)の4位だった。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
2019全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の決勝が9月29日、岡山国際サーキットで行われ、予選2位からスタートした#3山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19)が参戦3年目にして念願の初優勝をものにした。2位には#36中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)がつけ、#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)が3位で嬉しい初表彰台を獲得している。
(天候:晴れ コース:ドライ 観客動員数:予選日6,700人/決勝日11,000人/大会総入場者数17,700人)
第6戦決勝は午後3時5分にスタート。心配された天候は最後まで崩れず、終始ドライコンディションでの戦いとなった。
今回は大会特別規則により、「先頭車両が10周目の第1セーフティーカーラインを超えてから、先頭車両が最終周回に入るまでにタイヤ交換をしなければならない」と定められており、これまでのように1周目にミディアムからソフトに履き替えて最後まで走り切るような作戦や、前戦もてぎで#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)が行ったような最終周でのピットインは封じられた。
これにより、各チームがどういう作戦で決勝に臨むか。スタートでどちらのタイヤを装着するかがこれまで以上に注目されたが、ポールポジションの#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)はソフトタイヤ。予選2位の山下はミディアムを選択。予選3位の#4国本雄資(ORIENTALBIO KONDO SF19)はソフト、予選4位の#36中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)はミディアムと、上位陣の判断は真っ二つに分かれた。
スタートでトップに立ったのは平川。ソフトタイヤの#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)は1周目のヘアピンで早くも山下を抜いて2位に浮上、4周目には予選6位の#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)も山下を捉えて3位に。ミディアムタイヤの山下と中嶋はどんどん順位を落としていく。
その後方ではミデイアムタイヤでスタートした#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)が1周目にソフトタイヤに交換。これで「2種別のドライタイヤを使用しなければならない」規則を満たし、あとは中盤以降にもう1セットのソフトに履き替えてタイヤ交換義務を果たすという変則的な作戦を採った。前の開けた状態で2セットのソフトタイヤを使って一気にペースを上げようという訳だ。
ところが8周目のアトウッドカーブで2位の福住が痛恨のコースオフ。グラベルに捕まってそのままレースを終えたため、車両回収のためにセーフティーカー(SC)が導入される。これがソフトタイヤで先行逃げ切りを図ったチームと競技規則の盲点を突いた小林の目論見を台無しにしてしまった。
SCの率いる隊列が10周を終えたところでミディアムタイヤ勢は相次いでピットに飛び込み、給油とソフトタイヤへの交換を済ませる。
ところが#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING SF19)はピットロードで#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)と接触。牧野はその影響でホイールにダメージを負って1コーナーでコースオフ。なんとかコースに復帰したもののもう一度ピットでタイヤを履き替えることに。さらにこの接触によりドライブスルーペナルティまで課せられ、完全にレースからは脱落。関口も11周目に2度目のピットインを強いられ、後方に沈むことになった。
またソフトタイヤでスタートした#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)も彼らに続いてピットに入り、一旦ミディアムタイヤに履き替えて1周を消化したのちにもう一度ピットインしてソフトに戻す作戦をとる。今回スポット参戦の#7中山雄一(UOMO SUNOCO SF19)もまた山本と同じ作戦で最後尾からの追い上げを図った。
SCは12周目にピットイン。13周目から追い越し可能になった。
懸命に飛ばして後続とのギャップを広げたい平川だったが、後続の石浦や#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)は平川を上回るペースで食らいつく。ピットインを済ませた山下とのギャップも思ったほどには広がらない。
しかし石浦は右フロントタイヤのトラブルにより33周目にスローダウン。これが原因で足回りにもダメージを負いレースを終えることに。
キャシディも57周目のヘアピンで平川を捉え、一旦はトップに浮上したが、60周目にタイヤ交換を終えてコースに戻った後、62周目のヘアピン立ち上がりで小林と接触してスピン。まさかのノーポイントに終わってしまう。
平川も58周目にピットインし、11位に後退。その後は60周目にコースアウトを喫したため、12位でレースを終えることになった。
こうして山下を筆頭にSC中にタイヤ交換を行なったドライバーが相次いで上位に繰り上がる。
レースは序盤のSCランの影響から66周目に入ったところで最大時間の1時間30分に達したため、ここでチェッカー。山下は参戦3年目にして待望の勝利をものにした。
この結果、ポイントランキングは7位入賞の山本が29ポイントでトップに。ノーポイントのキャシディが28ポイント、朝のフリー走行で好調ぶりをみせた#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)はスタートでの失敗も祟って4位に終わったが、25ポイントでランキング3位に。優勝した山下も21ポイントでチャンピオン獲得の可能性を残した。規則の穴を突いた小林はファイナルラップにコースアウトしてレースを終えたが、それでも19ポイントでチャンピオン争いに踏みとどまっている。
2019年最終戦の舞台は鈴鹿サーキット。10月26日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
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全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦が行われている岡山国際サーキットで9月29日、来年から新たに始まる二つのカテゴリーで使用されるフォーミュラカーのデモンストレーション走行が行われた。
最初に走行したのは全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権で使用されるダラーラF320。現在の全日本F3選手権で使用されている車両を発展させ、FIAの最新の安全規定に準拠させたものだ。ドライブを担当したのは千代勝正だ。まだシェイクダウンを済ませただけの状態ながら、非常の挙動が安定していてなおかつ速い、とドライブ後に感想を語った。
続いて、フォーミュラリージョナル選手権で使用される予定の童夢F111/3が片山善章のドライブで走行。今年FIAが制定したF3R規定に準じて作られた全く新しいフォーミュラカーであり、アルファロメオの1750cc直列4気筒ターボを搭載して280馬力のハイパワーを誇る。エンジン込みで1200万円という破格の値段も大きな特徴だ。
フォーミュラリージョナル選手権は来年6月27-28日に富士24時間耐久レースとの併催で開幕し、岡山、SUGO、オートポリスをはじめ全6大会が開催される見込み。スーパーフォーミュラ・ライツについては現在日程調整中だが、6大会16戦が予定されている。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
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Yoshinori OHNISHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦のフリー走行2回目は#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)で1分14秒389。2位は#64アレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING SF19)で1分15秒252だった。
フリー走行は当初予定より5分遅れの午前9時10分より30分間で行われた。これはこの前に行われたTCRJサンデーシリーズの予選で赤旗中断があった影響。スーパーフォーミュラの走行は大きなアクシデントもなく順調に進行した。決勝日の天候は晴れ。路面はドライだ。
トップタイムのキャシディは走り始めて4周目にベストタイムを記録。しかしその後は1分16秒台で周回を重ねており、これが決勝でのペースになると思われる。昨日の予選Q2で10位と不本意な結果に終わっただけに、燃料搭載量少なめで一発のタイムアタックを試みたのであろう。
これとは対照的だったのがパロウだ。ミディアムタイヤで走り始めたパロウは5周目にソフトに交換。その後は7周目から16周目までと20周目に1分15秒台のタイムを記録している。
ポールの#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)を始めとする上位陣は一発のタイムこそ1分15秒台を記録しているものの、殆どの周が1分16秒台にとどまっている。
勿論どのドライバーがどれだけの燃料を積んでいたかは不明だが、このタイム差だけをみれば予選8位のパロウがレースをリードする可能性は大いにあると考えられる。
果たして他のドライバーはどういう戦略でこれに対抗するのか。注目の決勝レースは午後3時5分より68周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
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2019全日本スーパーフォーミュラ 選手権第6戦の公式予選が9月28日、岡山国際サーキットで行われ、前戦もてぎで初優勝を達成した#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)が今季初、通算2度目のポールポジションを獲得した。
公式予選は午後2時25分よりノックアウト方式で行われた。今回は第3戦SUGOと同様にA、Bの2グループに分かれてQ1を実施することとなった。心配された天候は晴れ。路面は終始ドライ。開始時の気温は30℃、路面温度34℃という絶好のコンディションでの走行となった。
予選Q1
Aグループのトップタイムは#37ニック・キャシディ(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)で1分14秒972。#51ハリソン・ニューウェイ(GOLDEX TAIROKU RACING SF19)が2位で続き、今シーズンを通じてミディアムタイヤでの走行を苦手としていたKONDO RACINGの#3山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19)は今大会に向けたセッティング変更がうまく決まって3位でQ2進出。今季途中から参戦の#15パトリシオ・オワード(TEAM MUGEN SF19)もチェッカー直後に1分15秒722を記録して6位でQ2へ。
一方、昨年のチャンピオン#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)や第2戦優勝の#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)らのトップ常連組がここでまさかの脱落となった。
BグループもVANTELIN TEAM TOM’Sの#36中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19)が1分14秒540でトップ。#5福住仁嶺(DOCOMO DANDELION M5Y SF19)が2位、3位にはもてぎ大会優勝の#20平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)が続いた。
しかし#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)や#17塚越広大(REAL SF19)といったホンダ勢のトップドライバーがここで脱落。アーテム・マルケロフに代わって7号車をドライブした#7中山雄一(UOMO SUNOCO SF19)も10位で予選を終えた。
予選Q2
ソフトタイヤの使用が許されるQ2ではトップから12位までのタイム差がわずか0.606秒という大接戦が展開されたが、A組のQ1でトップタイムを記録していたキャシディがセクター3で痛恨のミスを犯し、1分13秒362でまさかの10位に終わることに。
一方、トップタイムを叩き出したのは平川で1分12秒951。#4国本雄資(ORIENTALBIO KONDO SF19)が1分12秒971の2位につけ、#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)が1分12秒977で3位だった。
予選Q3
上位8人によって争われる最後のセッションも残り1分を切ったところで激しいタイムアタック合戦が展開され、トップから8位が0.682秒差の接戦となった。そうした中、終了間際に1分12秒700を叩き出した平川が今季初のポールポジションを獲得してみせる。平川は昨年の第2戦オートポリスでも予選トップタイムを記録したが、前戦鈴鹿2&4での「危険なドライブ行為」により3グリッド降格が言い渡されていたため、ポールポジションから決勝を戦うのは今回が初めてとなる。2位には山下、3位には国本とKONDO RACING勢が続いた。ホンダ勢最上位は福住の5位だった。
第6戦決勝は明日午後3時5分より68周で行われる。タイヤ交換義務に周回数の制限が加わった今大会、各チームは一体どんな戦略で臨むのかにも注目だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
日本フォーミュラスリー(F3)協会は9月28日、岡山国際サーキットで会見を行い、来年より新たにスタートする全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権について、現時点の進捗状況を明らかにした。
来年度より使用されるシャシーはダラーラF320に更新される。ドライバーの技能向上に役立てるべく、スーパーフォーミュラと同じく「クイック・アンド・ライト」のコンセプトを掲げ、HALOや前後左右の衝撃吸収構造などF1の2018安全規定に準拠した最新のものを採用する。
またコスト削減の一環として、今季の8大会20レースから来季は6大会16レースに縮小。その代わり木曜日から専有走行を実施して、ドライバーの走行距離は充分に確保するとのこと。
その他、チームスタッフの人数制限やエンジン、パーツの価格抑制いやタイヤの使用セット数制限などを行い、大幅なコスト削減に取り組む。
F320のシェイクダウンは8月30日にイタリアのヴァラーノで実施しており、ダニエル・ティクトゥムのドライブで順調にメニューを消化している。日本でも今週の25-26日に岡山国際サーキットで現行のF3との混走でテスト走行を実施しており、すでに現段階でF3のトップと遜色のないタイムが出ている。セッティングを煮詰めていけばまだまだタイムの向上が見込めるという。
また会見では来季から使用されるスーパーフォーミュラ・ライツのロゴマークも発表された
F320は明日の決勝日、ピットウォークの行われる12時20分頃よりデモンストレーション走行が予定されている。なお、昨日開催が発表されたフォーミュラリージョナル選手権で使用される童夢F111/3の走行も、この時間に実施される予定だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI
全日本F3選手権第19戦の決勝が9月28日、岡山国際サーキットで行われ、ポールポジションからスタートした#36宮田莉朋(カローラ中京Kuo TOM'S F317)がそのまま逃げ切って今季7勝目を挙げた。
第19戦決勝は午後1時25分より18周で行われた。心配された天候は晴れ。終始ドライコンディションでの戦いとなった。
スタートでトップに立った宮田に対し、予選2位の#11サッシャ・フェネストラズ(B-Max Racing with motopark F3)はアトウッド、ヘアピンと立て続けに仕掛けていったが、宮田は冷静にこれを押さえ込み、そのままトップでコントロールラインに戻ってきた。
その後は2周目の1コーナーでハーフスピンを喫するミスはあったものの、宮田は終始快調なペースで後続との差を広げていき、最後は2位に7秒の大差をつけてフィニッシュ。今季7勝目を挙げてファステストラップも獲得している。
2位はフェネストラズ。6月の第6,7,8戦に続いてのスポット参戦となった#37阪口晴南(カローラ中京Kuo TOM'S F317)が3位につけた。
第20戦決勝は明日朝11時20分より25周で行われる。このレースが「全日本F3選手権」として開催される最後のレースだ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
9月28日に岡山国際サーキットで行われた日本レースプロモーション(JRP)主催のサタデーミーティングでは、第6戦の特別規則の概要と狙いについても発表された。
今大会では、第3戦SUGOに続いて公式予選Q1をA組、B組の2グループに分けて実施する。これはコース上の混雑を避けるための措置であり、組み分け抽選に際しては同じチームのドライバーが別々の組で走るように考慮したという。
またこの方式はコース全長の長い最終戦鈴鹿での実施も現在検討されているとのこと。これは日立オートモーティブシステムシケインでの渋滞を考慮してのものだが、現時点では実施するかどうかは未定とのことだ。
また、決勝レースにおいては今回も最低1回のタイヤ交換義務が課せられるが、これは「先頭車両が10周目の第1セーフティーカーラインを交差した時点から、最終周回に入る前までに完了すること」と新たに定められた。
言い換えると、スタートから10周以内のピット作業は禁止されないが、ここでタイヤ交換を行っても、これは交換義務を果たしたとは見なされない。また、前回のもてぎ大会で#19関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF19)が行ったようなファイナルラップでのピットインも無効ということになる。
今シーズン目立ってきた、ミデイアムタイヤでスタートし、1周目にソフトタイヤに履き替えて燃費走行で最後まで走りきる作戦に対し、プロモーターとしてレースの面白さを損なわない形に是正したいとの狙いがそこにはあるという。またチームからも何かしらの方法でこうした傾向に待ったをかけて欲しいとの要望があったという。
当初は燃料タンク容量の縮小やレース距離の延長なども検討されたようだが、短期間での導入が可能な方法ということで今回の特別規則が採用されたとのこと。ハード面の対応については来シーズンに向けて引き続き検討していくという。
また、この規定は最終戦での導入も検討されており、現在鈴鹿サーキットに対し申し入れをおこなっているとのこと。コース全長が異なるため、対象となる周回数は今回とは違うものになりそうだ。
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI
全日本スーパーフォーミュラ選手権を運営する日本レースプロモーション(JRP)は9月28日、シリーズ第6戦が行われている岡山国際サーキットで恒例のサタデーミーティングを行い、すでに発表されている2020シーズンの日程変更について、その経緯を説明した。
2020シーズンの日程については当初4月4〜5日に富士スピードウェイで開幕、第2戦を4月25〜26日に開催となっていたが、今回の発表では開幕戦は4月4〜5日に鈴鹿、第2戦を4月18〜19日に富士で開催することになっている。
これは世界耐久選手権(WEC)のベルギー大会が4月25日に開催されることが決まったため。また鈴鹿大会は2&4として例年開催されており、併催されるJSB1000クラスが鈴鹿8時間耐久ロードレースのトライアウトも兼ねていることから、4月19日に開催される二輪のルマン24時間耐久レースとのバッティングを回避するために開幕戦を鈴鹿に持ってくることにしたという。
ただしこのカレンダーはあくまでも暫定のものであり、年末に日本自動車連盟(JAF)が開催するカレンダー会議にて正式決定されるとのことだ。
9月28日現在のカレンダーは下記のとおり。
2020年全日本スーパーフォーミュラ選手権シリーズスケジュール(暫定)
第1戦 4月 4~ 5日 鈴鹿サーキット
第2戦 4月18~19日 富士スピードウェイ
第3戦 5月16~17日 オートポリス
第4戦 6月20~21日 スポーツランドSUGO
第5戦 8月29~30日 ツインリンクもてぎ
第6戦 9月26~27日 岡山国際サーキット
第7戦 10月31日~11月1日 鈴鹿サーキット
まとめ: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Yoshinori OHNISHI
2019全日本スーパーフォーミュラ選手権第6戦の1回目のフリー走行が9月28日、岡山国際サーキットで行われ、#65牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING SF19)がトップタイムを記録。2番手にはディフェンディングチャンピオンの#1山本尚貴(DOCOMO DANDELION M1S SF19)が続いた。
フリー走行1回目は午前9時20分より60分間で行われた。この日の岡山は曇り。午後には雨の予報も出ているが、朝の走行は終始ドライコンディションで行われた。
序盤トップに立ったのは、#7中山雄一(UOMO SUNOCO SF19)で1分13秒458。アーテム・マルケロフが今週末ソチで開催されるFIA-F2に出場するため、急遽参戦が決まった中山だが、2016年以来というブランクを感じさせない走りで最終的には5位で走行を終えた。
セッション中盤には#18小林可夢偉(KCMG Elyse SF19)が電気系トラブルによりコース上にストップしたために赤旗中断となったが、予選への影響は大きくなさそうだ。この時点で上位11人までがソフトタイヤでの走行。ミディアムタイヤでのトップは#38石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING SF19)で1分15秒370だった。
終盤に入り、各ドライバーが予選シミュレーションに入ると、残り2分で牧野が1分13秒185でトップに。終了間際には山本が1分13秒355を記録して2番手に続き、#16野尻智紀(TEAM MUGEN SF19)が1分13秒409で3番手につけた。
なおセッション終了後に小雨が降り始めており、午後の予選はウェットコンディションで行われる可能性が高くなってきた。
公式予選は午後2時25分よりノックアウト方式で行われる。
なお今回は第3戦SUGOと同様に、参加全20台をA組、B組の2グループに分けて予選Qを実施する。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Motorsports Forum
2019オートバックススーパーGT第7戦「SUGO GT 300kmレース」の決勝が9月22日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、GT500クラスは予選7位からスタートした#3平手晃平/フレデリック・マコヴィッキィ組(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)がレース後半にトップに浮上して今季初優勝を達成。GT300クラスは予選2位の#55高木真一/福住仁嶺組(ARTA NSX GT3)が序盤からトップを快走し、こちらも今季初優勝をものにした
(天候:雨 コース:ウェット 観客動員数:予選日12,000人/決勝日25,100人/大会総入場者数37,100人)

第7戦決勝は午後2時より81周で行われた。スタート直前に雨が降り始めたため、セーフティーカーの先導によるスタートとなったが、GT500、GT300の両クラスともここでのタイヤ選択が明暗を分けることになった。
GT500クラスは、降り出した雨が上がると読みスリックタイヤを選んだ、ポールポジションの#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)、5番手スタート#19国本雄資(WedsSport ADVAN LC500)、11番手#38立川祐路(ZENT CERUMO LC500)、12番手#24ヤン・マーデンボロー(リアライズコーポレーションADVAN GT-R)の4台は、すぐに後悔することになる。
SCランが4周目に解除されると、スリックを履く4台はまったくペースが上がらず、堪え切れずに8~9周目にピットに滑り込んだ。前回惜しくも勝ちを逃した#17KEIHINだったが、判断は完全に裏目となり、今回は早々に勝負の権利を失ってしまった。
悔しさを味わうマシンを尻目に快走を見せたのが、2番手スタートの#1ジェンソン・バトン(RAYBRIG NSX-GT)。20周を終え2位#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)に9秒のマージンを築き、その後も快走を続けた。前半の主役は間違いなく#1バトンだった。
2位#37キャシディは、このままでは逆転は厳しいと27周目に早めのピットイン。タイヤ交換をせずに作業タイムの短縮を図り、平川亮に逆転を託すことになる。
レースの潮目が変わったのは、#12佐々木大樹(カルソニックIMPUL GT-R)のコースアウトで40周目から始まったSCラン。これが解除されると、思惑どおり#37平川がトップに浮上。SCラン前にバトンからトップを引き継いだ#1山本はタイヤ選択を誤ったためペースダウン。徐々に順位を落としてしまった。
レース中盤の主役となった#37平川は53周までトップを守ったが、無交換のタイヤが徐々にグリップを失い、54周目にその座を#3フレデリック・マコヴィッキィ(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)に明け渡すことになる。上位の脱落はあったものの、コンディションにマッチしたミシュランタイヤで#3平手晃平が3位まで上げた順位を、#3マコヴィッキィはさらに押し上げ、ついにトップに立った。
これ以降のレースは#3マコヴィッキィが完全にコントロール。同じく快走を見せ終盤2位に上がった#64牧野任祐(Modulo Epson NSX-GT)、荒れたレースには定評のあるニスモチームの#23松田次生(MOTUL AUTECH GT-R)を従え、残る周回を危なげなく走り切り、GT-Rにとって今季初優勝、チームにとってスーパーGT初優勝のチェッカーをかいくぐった。
GT300クラスもポールポジションの#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)、予選3位の#25佐藤公哉(HOPPY 86 MC)らがスリックタイヤを選択。これが裏目に出て大きく順位を落とす一方で、ウェットタイヤを選択した予選2位の#55高木真一(ARTA NSX GT3)は序盤からトップを快走する。
その後方では、前戦オートポリス大会でスーパーGTデビューを果たした#65菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)が予選13位スタートながらトップの高木と遜色のないハイペースでの追い上げをみせ、14周目には#56平峰一貴(リアライズ日産自動車大学校 GT-R)を捉えて3位まで浮上すると、24周目には2位の#4片岡龍也(グッドスマイル 初音ミクAMG)まで0.4秒差にまで迫り、35周目に遂に片岡をも抜き去って2位に躍り出た。
上位3台は12号車のコースアウトによるセーフティーカー導入の直前に相次いでピットに飛び込む好判断をみせ、僅差を保ったまま42周目のリスタートを迎えると、すかさずこの周の最終コーナーで#4谷口信輝(グッドスマイル 初音ミクAMG)が大外から#65蒲生尚弥(LEON PYRAMID AMG)を抜き去って2位を奪い返し、トップの#55福住仁嶺(ARTA NSX GT3)に襲いかからんとする。
しかしタイヤに熱が入るまでの4周あまりを懸命に耐え忍んだ福住は、そこから次第にペースを上げ、谷口との差を広げていった。その後は燃費の心配を抱えながらの走行だったとレース後に福住は語ったが、それでも後続には全く付け入る隙を与えずに今季初優勝をものにした。
2位は谷口信輝/片岡龍也組(グッドスマイル 初音ミクAMG)。3位には69周目に阪口晴南が蒲生尚弥を抜き去って#96新田守男/阪口晴南組(K-tunes RC F GT3)が入った。
次戦の舞台は栃木県のツインリンクもてぎ。11月3日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
9月22日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われたFIA-F4第12戦の決勝は、予選2番手からスタートした#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)が昨日に続いて盤石の走りでトップを快走し、今季9勝目を挙げた。
第12戦決勝は午前8時55分より17周で行われた。心配された天気は曇りで、スタート前には薄日が射すこともあるほど。完全なドライ路面での戦いとなった。
昨日の第11戦ではスタートでホイールスピンをさせてしまい、佐藤の先行を許してしまったポールポジションの#5三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)だったが、今回は会心のスタートを切ることに成功した。しかしそれでも佐藤を押さえることはできず、2位に後退して1コーナーを立ち上がる。
トップに立った佐藤はその後も安定したペースで周回を重ね、6周目から入ったセーフィティーカーラン、12周目のリスタートも無難にこなして今季通算9勝目を獲得した。
2位は三宅。3位には#37平良響(FTRSスカラシップF4)が入った。チームメイトの#36野中誠太(FTRSスカラシップF4)とのバトルを制し、久々の表彰台となった平良だが、トップ2のペースに対抗できなかった悔しさの方が大きかったようだ。
インディペンデントカップは予選トップの#30DRAGON(TEAM DRAGON F4)が優勝。昨年の菅生で優勝した#4佐々木祐一(Sendai DayDream F110)に終盤迫られる場面もあったが、最後まで押さえきって今季3勝目を獲得した。
また前日の第11戦で優勝した#3佐藤セルゲイビッチ(結婚の学校フィールドモータースポーツ)がこのレースで3位に入ったため、2019年のインディペンデントカップは佐藤がタイトルを獲得することになった。
次戦の舞台は栃木県のツインリンクもてぎ。11月2-3日開催だ。
- 第12戦優勝 #7佐藤蓮(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
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いつも通りのレースをして。スタートも完璧に決まったんで。ペースが良いことも分かっていたので、いつも通り落ち着いて、1位でゴールすることができました。タイヤも全然大丈夫でした。もてぎでは11勝を目指して頑張ります。
- 第12戦決勝2位 #5三宅淳詞(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
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個人的にはスタートはすごく決まったなあと思ったんですけど、それ以上に佐藤選手が決まってたような感じで。レースペースも全然良くなかったので、もしスタートが決まっててもダメだったかもしれません。昨日の反省で、リヤが踏ん張る方向にセッティングを変えたんですけど、今日のコンディションが良かったので曲がらなくなっちゃって。乗り方もあるかもしれませんけど。今日は完敗ですね。最近表彰台にに乗れてるし、予選1位も取れてるので、もてぎでは決勝で1位を取りたいです。
- 第12戦決勝3位 #37平良響(TOM'S SPILIT)
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無理。(佐藤)蓮が速すぎて。僕が全然乗れてなくて、メンタル的に守りに入ったかな、という感じでちっちゃい走りをしてしまったのでこういう結果になってしまいました。(野中選手とのバトルは)ミラーで後ろをしっかり見ながら、向こうの速いところ、こっちの速いところを考えて、押さえるところは押さえて、行くところは行きました。そこら辺の駆け引きはうまくいきましたが、途中から前が逃げちゃったことで守りに入っちゃいました。自分の弱いところもあったと思います。今回の結果を踏まえて、次のもてぎでは大きく構えていけるようにしたいです。
- 第12戦インディペンデントカップ優勝 #30DRAGON(B-MAX ENGINEERING)
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昨日の予選でミスがありまして、それで沈んじゃいましたが、決勝のペースは自信があったので、前に出られれば勝てると思っていました。1周目は混乱するんで気をつけてたんですが、自分の不注意で接触してしまいました。セルゲイ選手はそのまま行けたんで幸いだったんですが、僕は最後尾まで落ちましたが、追い上げてポイント圏内まで行けたんでそれはそれで良かったかなと。今日の朝は気持ちを切り替えて。ポールスタートだったんで、第1戦と同じように1周目だけ気をつけてればいけると。ただSC以降はタイヤが消耗してペースが苦しく、佐々木選手に最終コーナーで詰められましたが、一生懸命押さえました。チャンピオンはセルゲイ選手に取られちゃったんで、残り2戦全部勝つつもりで頑張ります。
- 2019インディペンデントカップチャンピオン #3佐藤セルゲイビッチ(結婚の学校フィールドモータースポーツ)
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今日は5位以内に入ればチャンピオン決定だと分かっていましたが、やっぱり表彰台に上がってチャンピオンを祝いたいと思っていました。今シーズンは開幕前に岡山国際サーキットで特訓をやり、その成果もあって開幕戦から表彰台に上がることができました。そうやってスムーズにシーズンを始められたのがまずは良かったのだと思います。安定感とリタイヤしないこと、ぶつけないことが大事だとシーズンを通して考えてきましたが、第4戦の富士でペナルティを受けたのと、第7戦の富士で4位に終わったの以外は全て表彰台に上がっているので、それができて良かったです。チャンピオンは取りましたが次のもてぎでも気を緩めずにポールポジションをとって勝つことを目標に頑張ります。来シーズンもF4に出ようと思っています。2年目のインディペンデントカップがこうやって盛り上がっているのを全国のジェントルマンドライバーが見ていると思います。腕に覚えのある方は是非参戦して僕に挑戦していただきたいと思います。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI
FIA-F4選手権第11戦の決勝が9月21日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)が今季通算8勝目を挙げ、最終戦を待たずして早々とシリーズチャンピオンを決めてみせた。
第11戦決勝は12時50分より17周で行われた。スタート時の天候は曇り、路面はドライ。レース終盤にはコースの一部で小雨が降っていたと上位入賞したドライバーはコメントしているが、終始スリックタイヤでの戦いとなった。
予選2番手からスタートした佐藤はポールポジションの#5三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)との先陣争いに競り勝ち、トップで1コーナーへ。前回のオートポリスではスタート時にエンジン回転を落としすぎて失速したと語った三宅だったが、今回はホイールスピンをさせてしまって佐藤の先行を許してしまった。僅差で佐藤を追う三宅だったが、オーバーテイクのチャンスはなかなか巡ってこない。
その後方では3位を走行していた#6太田格之進(SRS/コチラレーシング)にジャンプスタートの裁定が下り、ドライビングスルーペナルティを課せられて大きく後退することに。
代わって3位に浮上した#20木村偉織(Silver Star Racing)の背後には#24平木玲次(Media DoADVICS影山F110)、#63川合孝汰(DENSOルボ一セIPG F4)が迫る。
そして9周目。
平木のスリップストリームにうまく潜り込んだ川合がホームストレートで平木に並びかけ、続く1コーナーでは一気に木村をも攻め落として3位に浮上するが、その直後に2コーナー立ち上がりでコントロールを乱した木村が平木に接触するアクシデントが発生。この影響で木村がコース脇にストップしてしまったためにセーフティーカーが導入されることになった。
レースは14周目に追い越し可能となったが、このリスタートでも佐藤は後続を引き離して1コーナーに飛び込み、後続に全く付け入る隙を与えずに17周を走りきって今季8勝目を挙げる。
同時に、第10戦終了時点でランキング2位にいた太田が結局18位に終わり、同3位の#60菅波冬悟(OTG DL F110)も6位に終わったため、佐藤は今季3レースを残して2019年のシリーズチャンピオンを獲得した。
またインディペンデントカップは予選トップからスタートした#3佐藤セルゲイビッチ(結婚の学校フィールドモータースポーツ)が今季4勝目を達成。前戦オートポリスで「上位の脱落の結果ではなく、予選から前にいて逃げ切りたい」と語った通りのレース展開を実現してみせた。
次戦第12戦決勝は明日午前8時55分より17周で行われる。
- 第11戦優勝 #7佐藤蓮(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
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スタート決まって、あとは自分のレースをするだけでした。完璧でした。ロングのペースが良いのはわかってたんで、あとは自分の走りをしてチャンピオンを決めようと思って。SCはちょっとやだなと思ったんですが、SC明けも落ち着いて走れたんで良かったです。チャンピオンは勝ってる結果でついてきたって感じで、あまり実感はないんですけど、ここで去年の雪辱を果たすことができて、チャンピオンもここで決めることができたんで、本当に嬉しいです。
- 第11戦決勝2位 #5三宅淳詞(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
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オートポリスと一緒のような感じですかね。スタートで抜かれて前に行けないような。今回はオートポリスと逆に後輪が空転してしまって、全く前に進まないような感じでしたね。スタートがうまくいかないですね最近は。SC明けはついていけてたんですけど、序盤のペースが良くなかったんで、そこは原因を追求しないとですね。やっぱりダウンフォースとかもあるんで、前にいないと思うように走れませんね。悔しいです。明日もポールですけど、もしかしたら雨でSCスタートになるかもしれないんで、ちゃんとスタートできるように頑張ります。
- 第11戦決勝3位 #63川合孝汰(Le Beausset Motorsports)
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スタートはまあ普通でした。周りもミスしてなかったんでそのまんま。そのあと1コーナーやヘアピンで絡んでるドライバーがいたんでそこで前に行けて。3番手の太田選手がいなくなってからは、前の平木選手のペースが良くてきつかったんですけど、木村選手に追いついてからはなんとかついていけました。SPコーナーで木村さんがミスしたところで「このチャンスしかない」と思って、で最終コーナーからうまく合わせて抜きに行きました。木村選手までは届かないかな、と思ったんですけど、僕の姿をミラーに映せていたこともあり、木村選手が少しミスをしたので、抜くことができました。そのあとクラッシュしたのはわかりませんでしたけど。SCが入ったのもオートポリスと同じ展開だったので、今度こそ抜きたかったんですけど、やはり前の二人のペースが安定して速かったのと、少し雨が降ってきたのとで、あまり無理はできなかった感じですね。でも予選順位を考えたら良い結果だったと思います。明日の予報が雨っぽいんですけど、雨はドライより自信があるんで。6番手からのスタートですけどスタートで抜かれないこと、無理しないことを心がけて、前のミスを誘っていけば前半のうちにチャンスがあるかなと思います。
- 第11戦インディペンデントカップ優勝 #3佐藤セルゲイビッチ(結婚の学校フィールドモータースポーツ)
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ここは予選ありきかなあと思ってましたんで、予選は結構頑張って、無理して、やってみたら、その無理が「壁を超えた」みたいな感じになって、レースペースも良くなりました。FIA-F4自体、今年ルーキーですから、クルマの動かし方もレースをするたびにだんだん分かってきました。それがこの菅生の中高速コースで結果に出てきたのかなと思います。まだまだ速くなれそうですね。明日は予選順位が良くないので、確実に表彰台を狙っていきます。
Text:Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI
2019オートバックススーパーGT第7戦「SUGO GT 300kmレース」の公式予選が9月21日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、GT500クラスは従来のコースレコード1分10秒248を大幅に上回る1分9秒676を叩き出した#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)が前戦オートポリスに続いて2戦連続のポールポジションを獲得。GT300クラスも#61井口卓人/山内英輝組(SUBARU BRZ R&D SPORT)が1分16秒834のコースレコードを樹立して今季初ポールを手にしている。
公式予選は午後2時よりノックアウト方式で行われた。天候は曇り。終始ドライコンディションでの走行となった。
■Q1
GT500クラスは、朝の公式練習で好調だったNSX勢に、レクサス勢が絡む形で進んだ。若干路面温度が低く、各マシン念入りにウォームアップ走行をした後アタックに入った。
最初に1分10秒台に入れたのは#8伊沢拓也(ARTA NSX-GT)(1分10秒845)。これを皮切りに、各車続々と10秒台を叩き出し#8伊沢のタイムを塗り替えていく。
そのなかで、他を引き離すタイムを記録したのは、レクサスのなかで比較的ウエイトハンデの軽い#36中嶋一貴(au TOM'S LC500)。2位をコンマ3秒離す1分10秒281でQ1トップタイムを確定した。これに、唯一ダンロップタイヤを履く#64牧野任祐(Modulo Epson NSX-GT)、#17ベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT)、#37平川亮(KeePer TOM'S LC500)が続いた。
今シーズン、ポールポジション獲得率5割を誇る#23MOTUL AUTECH GT-Rは名手、松田次生を持ってしても10位がやっと。GT-R勢でQ2進出を果たしたのは#3平手晃平(CRAFTSPORTS MOTUL GT-R)の1台のみ。Q2進出マシン8台の内訳は、レクサス4台、NSX3台、GT-R1台だった。
GT300クラスは今回、参加28台を二つのグループに分け、各組の上位8台ずつが次のQ2に駒を進めるという予選方式でQ1を行なった。これはコース全長の短いSUGOのレイアウトを考慮したもので、今季は第1戦岡山でも同様の予選方式がとられている。
A組の走行では#720アレックス・パロウ(McLaren 720S)がコースインから3周目に1分18秒124を記録してトップタイム。#55高木真一(ARTA NSX GT3)が1分18秒341で2番手に続き、#61井口卓人(SUBARU BRZ R&D SPORT)が1分18秒487で3番手。今季序盤から苦戦の続いていた#30織戸学(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)も1分19秒159の8番手で初めてQ2進出を果たした。
B組は4周目に1分18秒181を記録した#34大津弘樹(Modulo KENWOOD NSX GT3)がトップタイム。#4谷口信輝(グッドスマイル 初音ミクAMG)が1分18秒357で2番手につけ、#25佐藤公哉(HOPPY 86 MC)が1分18秒404で3番手。#31嵯峨宏紀(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)もB組8番手となる1分18秒788を記録して、30号車に続いてQ2進出を果たしている。
一方、今季2勝を挙げている#96新田守男(K-tunes RC F GT3)は終了間際まで懸命のアタックを続けたが、あと一歩及ばず9番手で予選を終えている。
■Q2
GT500クラスは、いきなりのレコードラッシュに沸いた。
最初のアタックで#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)がコースレコードを更新する1分10秒151を叩き出し観客の喝さいを浴びる。しかし、その直後に#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)が他を圧倒する1分9秒676をマーク。いきなりの9秒台にその後のアタックは霞んでしまうほどだった。
結局、この2台のNSXが最初のアタックでフロントローを決め、終盤タイムアップを果たしたトムスチームの2台、#36関口雄飛(au TOM'S LC500)、#37ニック・キャシディ(KeePer TOM'S LC500)がセカンドローに並ぶことになった。
GT300クラスも計測3周目で#61山内英輝(SUBARU BRZ R&D SPORT)が1分16秒834を叩き出し、Q1のベストタイムを1秒以上上回っただけでなく、従来のコースレコードをコンマ6秒以上更新し、周囲を驚かせた。前戦オートポリスではトラブルによりわずか8周でレースを終えたR&D SPORTだが、今回こそは雪辱を果たさんと、チーム、ドライバー、タイヤメーカーが一丸となって開発に取り組んだという。
#55福住仁嶺(ARTA NSX GT3)も1分17秒189と従来のレコードを上回ったが、山内にはコンマ3秒も水を開けられ、予選2番手に。今季3度のポール獲得を誇る#25松井孝允(HOPPY 86 MC)も1分17秒517と山内に大きく引き離されての3番手という結果に終わっている。
第7戦決勝は明日の午後2時より81周で行われる。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Shigeru KITAMICHI
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI
FIA-F4選手権第11、12戦の公式予選が9月21日、宮城県のスポーツランドSUGOで行われ、#5三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)がベストタイム、セカンドベストタイム共にトップとなり、2連連続でポールポジションを獲得した。

2019年のFIA-F4選手権もいよいよ終盤戦。ポイントランキングでは#7佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)が2位以下を大きく引き離しており、早ければ今大会中にもシリーズチャンピオンを決めそうな勢いだ。
21日朝8時10分から行われた公式予選は上空を厚い雲が覆い尽くす中、ドライコンディションで行われたが、全長約3.7kmのツイスティなレイアウトに35台ものエントリー台数ということもあり、序盤からコース上は大混雑となった。そうした中、どのタイミングでクリアラップを確保するかが大きなポイントとなったようだ。
序盤トップに立ったのは#37平良響(FTRSスカラシップF4)。赤旗中断を警戒して早めにアタックする作戦で好調な滑り出しを見せた平良だったが、同様の作戦を立てていた三宅が4周目にトップに浮上してきた。
それでも平良は開始10分で1'23.874といち早く1分23秒台に入ってトップを奪い返したが、三宅もすかさず1'23.861、1'23.560とタイムを刻んでトップの座を確保した。
さらに終盤に入ると、#7平良響(FTRSスカラシップF4)も1'23.822、1'23.783とタイムを縮めて2位に浮上。「8月の富士から流れが良くない」という#6平良響(FTRSスカラシップF4)も1'23.852を記録し、ベストタイム順でスタートする第11戦決勝はHFDPが1-2-3という結果になった。
平良はタイヤ性能がピークを迎えた肝心の周でトラフィックに引っかかったと語り、ベストタイムでは#60菅波冬悟(OTG DL F110)に次ぐ5番手に後退してしまったが、終始安定したペースで走っていたこともあり、明日の第12戦決勝では3番手からスタートすることとなった。
第11戦決勝はこのあと12時50分より17周で行われる。
- 第11戦、第12戦ポールポジション #5三宅淳詞(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト
- 昨日の練習も同じ方式でコースインするんですけど、コースが短いこともあって、すぐ前に詰まるので、タイヤ性能がピークの時にクリア取れた人がトップいく、みたいな感じでした。クルマやドライバーの差は大きくないので、今日の予選もどうやってクリア取るか、を考えて作戦を立て、それがうまく成功した感じでした。前回のオートポリスではスタートを失敗して抜かれたので、今回はスタートに集中して、そこで逃げれるようにしたいです。
- 第11戦、第12戦予選2位 #7佐藤蓮(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
- 最初にロックアップさせちゃって、タイヤが何周か機能しない状態になっちゃって、ピークも使えなくてこの予選は危ういかと思ったんですけど、両方2位ということでなんとか最低限の結果は出せました。あの状況から考えればすごくいい結果だったと思います。決勝に向けてもポジティブな週末になると思います。フランスはマシンもタイヤも違う中、公式練習でトラブルが出ちゃってそのまま予選、みたいな状況になり、後方に沈んでしまいました。その状況に合わせていくスキルをもっと高めていかないとな、と痛感しました。それでも混戦を抜ける力とか駆け引きでは海外の選手に負けてないなと思ったので、これからステップアップしていく中で、いい経験になったと思います。今週末はチャンピオンを決められるよう、優勝を目指して頑張ります。
- 第11戦予選3位 #6太田格之進(Hondaフォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)
- 全然クリアラップが取れませんでした。それが全てです。週末通してずっと調子が良くない中では決まったラップだったし、最善を尽くしたかなと思いますけど、全然アタックできていなかったので、スッキリしない予選でした。まだ時差ぼけはありますけど、今回の結果はそういうことよりも富士から良くない流れになってることが原因だと思うので、その究明に努めます。
- 第12戦予選3位 #37平良響(TOM'S SPILIT)
- 作戦としても序盤からアタックし続けようと。赤旗が怖かったので。最初は上の方にいるのを確認していて、そのままアタックを続けていこうと思っていたら、前に引っかかっちゃいました。そのタイミングでみんながいいアタックをできたので、抜かれちゃいましたと。それでも余裕を持って安定した走りができていたので、セカンドベストで3番手をゲットできたんだと思います。コースが混み合っていて大変でした。スタート以外では抜きにくいコースだと思うので、今日の決勝はスタートに集中して頑張ります。明日は雨かもしれませんが、前の方からスタートできるのは有利なので、それを活かして表彰台を目指します。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Hiroyuki MINAMI
2019オートバックススーパーGT第6戦「オートポリスGT300kmレース」の決勝が9月8日、大分県のオートポリスで行われた。レース中に降った雨により序盤からアクシデントが相次ぎ、3度もセーフティーカーが導入される大荒れの展開となったが、レース中盤のピット作業でウェットタイヤを選択した#39ヘイッキ・コバライネン/中山雄一組(DENSO KOBELCO SARD LC500)が41周目にトップに立ち、そのまま逃げ切って今季初勝利をものにした。これとは対照的にGT300クラスはレース後半をスリックタイヤで戦った#60吉本大樹/宮田莉朋組(SYNTIUM LMcorsa RC F GT3)が路面の乾き始めたレース終盤に第逆転劇を演じて今季初優勝を達成した。
第6戦決勝はスタート前から波乱が相次いだ。
まず7日の公式予選終了後に#12ジェームス・ロシター(カルソニックIMPUL GT-R)が急病を発症。ドクターストップがかかってしまったため、チームインパルは急遽テレビ番組の解説でオートポリスを訪れていた千代勝正を代役に起用した。この予定外のドライバー変更により、12号車には大会審査委員会から10秒ストップのペナルティが課せられることになる。
続いてウォームアップ走行で今度はポールシッターの#17塚越広大/ベルトラン・バゲット組(KEIHIN NSX-GT)がメカニカルトラブルに見舞われてコース上にストップするアクシデントが発生。一時はスタートも危ぶまれたが、チームスタッフの懸命の作業が実り、17号車は無事最前列からレースに臨むことができた。
この時点での天候は晴れ。路面はドライコンディションだったため、全車がスリックタイヤを装着して午後2時30分に65周の戦いがスタート。ポールポジションの#17塚越広大(KEIHIN NSX-GT)は最初の1コーナーで#8伊沢拓也(ARTA NSX-GT)に並びかけられたが、2コーナー立ち上がりでトップを奪い返した。
その後方では1周目の12コーナーで#1山本尚貴(RAYBRIG NSX-GT)と#16武藤英紀(MOTUL MUGEN NSX-GT)が接触、1号車がタイヤバリアに突っ込んでストップしたため、3周目に最初のセーフティーカーが導入されるが、塚越は無難にリスタートを決め、そのままレース前半をリードする
しかしレースが20周を迎える頃になると1コーナー方面から雨が降り始め、路面は次第にスリッピーになっていく。この影響で33周目には#87高橋翼(T-DASHランボルギーニ GT3)が12コーナーでスピンアウトしたため、35周目に2度目のセーフティーカー導入となる。
GT500クラスの上位陣はこれを見越して34周目に相次いでピットに飛び込んだため、ピットレーンの至る所で接触が相次ぐことに。
しかしこの時点では雨は一時的なものとみられていたため、後半のタイヤ選択はチームによってスリック、ウェットと判断の分かれることになり、これが結局この日の勝敗を左右することになった。
1周目からトップの#17KEIHIN NSX-GTはスリックを選択。30周目にピットストップを終えていた#37KeePer TOM'S LC500もスリック。しかし#39DENSO KOBELCO SARD LC500、#38ZENT CERUMO LC500、#19WedsSport ADVAN LC500はウェットタイヤを選択した。
その結果、雨の中でのリスタートとなった41周目に#17ベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT)は一気に4位にまで後退、42周目に2度目のピットインでウェットタイヤに履き替える事態に。代わって#39中山雄一(DENSO KOBELCO SARD LC500)がトップに浮上した。
その直後に2台の車両がコースアウトしたために3度目のセーフティーカーが入り、バゲットのタイムロスは最小限にとどまったが、50周目のリスタートでは周回遅れの#16中嶋大祐(MOTUL MUGEN NSX-GT)が2位の#38石浦宏明(ZENT CERUMO LC500)の前に立ち塞がる格好になり、中山が一気にリードを広げることになった。
トップ3を上回るハイペースで追い上げを図ったバゲットは51周目に#19国本雄資(WedsSport ADVAN LC500)を、53周目に#38石浦宏明(ZENT CERUMO LC500)を捉えて2位まで順位を挽回するが、レース終盤には雨が止んで路面が乾き始めたこともあり、最後まで中山を捉えることができず、2位でフィニッシュ。3位にはスリックタイヤで我慢の走りを強いられながらも終盤一気に順位を挽回した#37平川亮(KeePer TOM'S LC500)が入った。
今年GT500クラスに昇格した中山にとっては嬉しい初勝利だ。またこれによりコバライネン/中山組はドライバーズランキング3位に浮上、コバライネンはレース後の会見で2016年以来のタイトル獲得に意欲をみせた。
ウェットタイヤの選択が吉とでたGT500クラスとは対照的に、GT300クラスはスリックタイヤで後半に挑んだ#60SYNTIUM LMcorsa RC F GT3が見事な逆転劇を披露することになった。
雨雲の動きを見極めるためにスタートドライバーの宮田に40周目まで引っ張らせる作戦に出たLMcorsaは、監督の飯田章の判断でスリックタイヤをチョイス。後半を担当した吉本が路面の乾き始めた60周目に、ウェットタイヤを装着してトップに浮上していた#88小暮卓史(マネパ ランボルギーニ GT3)と2位の#720アレックス・パロウ(McLaren 720S)を一気に抜き去ってトップに立ち、念願の今期初勝利を達成した。
今は監督に転身した飯田とともに、GT300仕様のレクサスRC Fの開発に初期段階から関わってきた吉本は、長く苦しかったこれまでの戦いを振り返り、レース後のテレビインタビューでは感極まって涙ぐむ場面も。スーパーGT参戦2年目を迎えた宮田にとっても嬉しいスーパーGT初優勝となった。
2位は#720荒聖治/アレックス・パロウ組(McLaren 720S)、#88小暮卓史/元嶋佑弥組(マネパ ランボルギーニ GT3)は結局3位でレースを終えた。
次戦の舞台はスポーツランドSUGO。2週間後の9月22日決勝だ。
Text: Kazuhisa SUEHIRO
Photo: Katsuhiko KOBAYASHI