優勝 吉田馨(TAKE FIRST kks2)

「スタートはぼくもミスりましたが、PPの箕浦選手はもっとミスったのでトップに立てましたが、そこから箕浦選手が速かったのできつかったです。デグナー2個目の接触でフロントウイングが曲がって順位を落としましたが、シケイン立ち上がりのクラッシュはうまくよけることができ、ポジションアップしました。残りも全部出てチャンピオンを目指します」
2位 酒井翔太(ファーストガレージKK-SⅡ)

「決勝は200kmを走ったタイヤで、周りは50~60kmのタイヤだったので厳しいと思っていました。やはりペースもぜんぜんなくて、序盤からずるずる離されて、セーフティーカー(SC)に助けられたレースでした。SCが出なければ表彰台には乗れてないと思います。まだチャンピン争いはできるので今後も頑張ります」
3位 元山泰成(株式会社エコテク)

「予選は必死に出したタイムだったので、決勝は後ろの選手に追いつかれないように頑張ろうと思っていました。クルマは前を目指せる感じじゃなかったんですが、いざレースになればなんか抜けました。あと1周あれば酒井君がふらふらだったので、追いつけたと思います。チームメート板倉さんとのバトルはやりにくかったですが、裏ストレートで譲ってもらえました。楽しかったです」
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI
スーパーFJ地方選手権鈴鹿・岡山シリーズ第1戦は23日、鈴鹿サーキットで行われた「SUZUKA CHAMPION CUP RACE第1戦」で決勝を行い、予選2位からスタートした吉田馨(TAKE FIRST kks2)が、2度のセーフティーカーが出る荒れたレースを制して、初優勝を飾った。
決勝は午後2時30分に2周のフォーメーションラップが始まった。昼頃、鈴鹿の上空を覆っていた雲も去り、天候は快晴だが肌寒い。20台(うち3台がジェントルマンクラス)がグリッドに着き、9周となった決勝のスタートが切られた。
ポールポジションの箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SⅡ)はスタートをミス。予選2位の吉田馨(TAKE FIRST kks2)が先頭で1コーナーへ向かう。箕浦は、予選4位から3位に上がった杉田悠真(LAPS with REV RACING)にも迫られるが、ここは1コーナーでインを絞め2位は死守。杉田が3位で、後ろには予選3位の酒井翔太(ファーストガレージKK-SⅡ)が続く。
その後方では、イン側から予選8位の元山泰成(株式会社エコテク)、予選4位の鈴木七瀬(ネッツトヨタ三重with FORM)、予選7位の永原蒼翔(ピットワークながはら/MYST)、予選6位の五十嵐文太郎(Drago CORSE)が4ワイド。このバトルで、中央の2人、鈴木と永原が接触。2台はもつれるようにコースアウトしてグラベルでストップした。自己最高位のポジションからスタートした鈴木と永原のレースは、数百メートルで幕を閉じた。ここで早くもセーフティーカーが導入されることとなった。
SC中、1周目の順位は、トップ吉田、2位箕浦、3位杉田、4位酒井、5位ルーキーの五十嵐、6位元山、7位ジェントルマンの山根一人(光精工TK-Sport MYST)、8位大ベテランの板倉慎哉(AMORE TOKYO☆表参道☆KKSⅡ)、9位藤井翔太(Drago CORSE)、10位中川賢太(イーグルスポーツ)だ。
SCは2周で退き、レースは3周目から再開された。ここから2位箕浦のペースが速い。箕浦はNIPPOコーナー立ち上がりからデグナー1個目で吉田に急接近すると、デグナー2個目でインにねじ込む。立ち上がりでは、吉田は箕浦に押し出される形で、グラベルにタイヤを落とし失速。これで吉田は箕浦、杉田にの2台にパスされ3位に落ちた。この混乱で接触があり、吉田はフロントウイングを曲げてしまう。
トップに立った箕浦には2位の杉田が迫る。杉田は130Rで箕浦の背後につけると、シケイン侵入でアウトから並びかけるも、ここは箕浦が杉田を押さえ込む。この2台はテールトゥノーズでシケインを立ち上がるも、箕浦はシフトアップをミスして失速。直後につけていた杉田にプッシュされスピンし、後方集団に飲み込まれてしまった。
続くストレートでは、箕浦と絡んだ杉田のストレートスピードが伸びず、吉田が急接近。4周目に入った1コーナーで吉田がインから杉田をパスしてトップを奪い返した。3位には酒井が、4位には五十嵐が、5位には元山を1コーナーで捉えた板倉が続く。
デグナー1個目では、3位酒井のインをうかがっていた五十嵐が、立ち上がりでコースアウト。戻ってきたところを他車と接触してスピンしコース中央に止まった。これを避けようとした中川賢太(イーグルスポーツ)と宮本颯斗(J-LOC)が接触してコースアウト。この場でリタイアとなった。五十嵐は再び動き出したが大きく順位を落とした。この混乱で2度目のSCが導入された。
SC中の順位は、トップ吉田、2位杉田、3位酒井、4位坂倉、5位元山、6位には予選16位から東慎之介(サンセルモMYST/ORM)、7位には予選14位からルーキーの土橋皇太(Rn-sports制動屋KK-S2)、8位KODAI YOSHIDA(T's TECHNO)、9位藤井、10位山根だ。
SCは6周終わりで退き、レースは7周目から残り3周で再開された。1コーナーでは、土橋が東を攻略して6位に上がる。ウイングを曲げながらトップを走行する吉田に、杉田が徐々に接近し始める。
8周目、バックストレートでは5位を走る元山が前を走る板倉をパスして4位に浮上。チームメート同士の抜きつ抜かれつのバトルは元山に軍配が上がった。
9周目、トップ吉田と2位杉田は1秒を切る0秒9差でファイナルラップに突入。ここでも吉田は杉田を押さえながら各コーナーを通過。5位を走るペースの上がらない板倉は130Rで土橋にもパスされ6位に落ちた。
このままレースは終了。ウイングを曲げながらも2位の杉田を押さえきった吉田が参戦2戦目で初優勝。2位には杉田が入ったが、箕浦との接触で30秒加算のペナルティーを科され14位に後退。繰り上がって3位には元山が入った。
初レースの土橋は4位と大健闘。5位板倉、6位藤井、7位YOSHIDA、8位にはジェントルマンクラス優勝の山根が続く。
序盤でスピンした箕浦は最終ラップにファステストラップをたたき出す意地を見せ、9位でフィニッシュ。10位には東が入った。
次大会は岡山国際サーキットに舞台を移し、4月29日、30日に第2戦、第3戦が開催される。









Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Atsushi BESSHO
Yoshinori OHNISHI
- 優勝 金井亮忠(チームNATS正義001)
-

「スタートは決まって、翔太君が出遅れ、1周目にマージンを築けたのが大きかったと思います。スタート直後の2、3周は向こうの方が秒単位で速いのであっという間に追いつかれてしまいました。その間、ぼくのタイヤも暖まってきて同じようなペースで走れるようになりました。セーフティーカー開けは、トラクションをしっかりかけて加速が鈍らないように意識して走りました。学生も卒業なので、1年の最後のレースを一番いい形で終えられてよかったです」
- 2位 酒井翔太(ファーストガレージFG108)
-

「スタートはほぼストールして、クラッチを切ったらエンジンがかかっていたので、よかったです。その後のペースはありましたが、バトルになったときに抜けなくて、そこは自分のだめなところです。人が前にいてダウンフォースが抜けると自分の走りができませんでした。セーフティーカー開けは、リスタートは決まりましたが、確実に行けるチャンスはなかったです」
- 3位 ハンマー伊澤(アルカディア☆ハンマーR疾風)
-

「1週間前の鈴鹿の練習で他のカテゴリーのクルマとクラッシュして、そのダメージが治らなくて、極端に操縦安定性が悪くなりました。練習でも調子悪いなかで3秒台に入りそうだったので、本調子なら上の2台とバトルできていました。次回までに直したいと思います」
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI

フォーミュラ・ビート地方選手権シリーズ第1戦は23日、鈴鹿サーキットチャンピオンカップレース第1戦で決勝を行い、ポールポジションからスタートした金井亮忠(チームNATS正義001)が、ポールトゥウインを飾った。
フォーメーションラップは午前11時15分より始まる。快晴だが風が強く肌寒い。予選3位から装備品不備(アンダーウエア未着用)でペナルティーを受けた梅本幸汰(ファーストガレージ FG01)は最後尾に回り、ピットレーン速度違反の杉山寛(ミスト☆菱洋商事株式会社)はピットスタートとなった。
フォーメーションラップ1周目には、舩井俊仁(ファーストガレージFG108)が2コーナー立ち上がりでストップ、赤旗が提示された。このため周回数は1周減算され8周のレースとなる。エクストラフォーメーションラップ2周が行われ、各車グリッドに着きスタートが切られた。
ポールポジションの金井亮忠(チームNATS正義001)が好スタートを切る一方、予選2位の酒井翔太(ファーストガレージFG108)はストール気味で3位に後退。2位には予選3位から加藤智(FEEL・TAKEFIRST)が浮上するも、酒井はすかさずスプーンコーナーでインから加藤を攻略し、2位を奪い返す。
オープニングラップの1周終わりには、金井が2位の酒井を2秒4離し戻ってきた。加藤は3位に落ち、4位に予選5位からハンマー伊澤(アルカディア☆ハンマーR疾風)が上がり、5位に鈴木智之(テイクファースト★C72制動屋)が、6位に予選4位から後退した植田正幸(Rnsports制動屋KKZS)が、7位には早くも最後尾から梅本が上がってきた。
ここから2位の酒井がファステストラップを出しながら、トップ金井に急接近。酒井は、2周目にその差を1秒5とすると、3周目には予選を上回り、フォーミュラビートのコースレコードを更新する2分2秒585をたたき出し、その差を0秒6とした。3位の加藤は2位酒井から8秒8離れ、優勝争いは上位2台の一騎打ちとなった。
4周目には金井と酒井はテールトゥノーズになる。しかし、この頃から金井のタイヤも暖まり、巧みに金井が酒井を押さえ、先行を許さない。
5周目、1コーナーで4位伊澤が加藤をパスして3位に上がる。ヘアピンでは、6位植田と7位梅本が接触。植田はコースアウトし、梅本はフロントウイングを壊した。このため、ここでセーフティーカー(SC)が導入された。
SCは7周を回ってピットイン。レースは残り1周での争いとなった。リスタートを決めた酒井は金井の背後につけ、隙をうかがう。しかし、ここでも金井は冷静に酒井を押さえきり、最終ラップを走行。金井がトップでゴールし、ポールトゥウィンを飾った。酒井は2位、3位には伊澤が入った。
4位には加藤が、5位には鈴木、6位には梅本が入ったがペナルティーで後退。代わって、6位はジェントルマンクラストップの田中諭(ミスト・制動屋)が入った。
次大会は富士スピードウェイに舞台を移し、3月15、16日に第2戦、第3戦が開催される。







Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Atsushi BESSHO
Yoshinori OHNISHI
SUZUKA CHAMPION CUP RACE第1戦 -RIJ- (2025/02/23) Final Race Weather:Sunny Course:Dry
2025 S-FJ鈴鹿・岡山シリーズ Round 1 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | No | Cls | Cls Pos | Driver | Car Maker Model | Lap | Time | Behind | Gap |
| 1 | 6 | | | 吉田 馨 | TAKE FIRST kks2 MYST KK-S2 | 9 | 26'44.351 | - | - |
| 2 | 22 | | | 酒井 翔太 | ファーストガレージKK-SⅡ MYST KK-S2 | 9 | 26'47.499 | 3.148 | 3.148 |
| 3 | 1 | | | 元山 泰成 | 株式会社エコテク MYST KK-S2 | 9 | 26'47.906 | 3.555 | 0.407 |
| 4 | 11 | | | 土橋 皇太 | Rn-sports制動屋KK-S2 MYST KK-S2 | 9 | 26'49.929 | 5.578 | 2.023 |
| 5 | 55 | | | 板倉 慎哉 | AMORE TOKYO☆表参道☆KKSⅡ MYST KK-S2 | 9 | 26'50.526 | 6.175 | 0.597 |
| 6 | 34 | | | 藤井 翔太 | Drago CORSE MYST KK-S2 | 9 | 26'54.230 | 9.879 | 3.704 |
| 7 | 33 | | | 吉田 紘大 | T's TECHNO MYST KK-S2 | 9 | 26'54.794 | 10.443 | 0.564 |
| 8 | 47 | G | 1 | 山根 一人 | 光精工TK-Sport MYST MYST KK-S2 | 9 | 26'55.098 | 10.747 | 0.304 |
| 9 | 56 | | | 箕浦 稜己 | MYST SEIDOYA KK-SⅡ MYST KK-S2 | 9 | 26'56.144 | 11.793 | 1.046 |
| 10 | 57 | | | 東 慎之介 | サンセルモMYST/ORM MYST KK-S2 | 9 | 26'57.418 | 13.067 | 1.274 |
| 11 | 37 | | | 阪本 一世 | 免許取るなら大阪サヤマ☆EAGLE MYST KK-S2 | 9 | 27'02.493 | 18.142 | 5.075 |
| 12 | 4 | G | 2 | 古里 拓 | FLEET REV KK-SII MYST KK-S2 | 9 | 27'02.900 | 18.549 | 0.407 |
| 13 | 72 | | | 久保 直也 | AQUAだーはまレーシングNUTEC WEST 07J | 9 | 27'11.083 | 26.732 | 8.183 |
| 14 | *10 | | | 杉田 悠真 | LAPS with REV RACING MYST KK-S2 | 9 | 27'14.828 | 30.477 | 3.745 |
| 15 | 5 | G | 3 | 高橋 浩史 | BBK☆レヴレーシング MYST KK-S2 | 9 | 27'15.467 | 31.116 | 0.639 |
| 16 | *43 | | | 五十嵐 文太郎 | Drago CORSE MYST KK-S2 | 9 | 27'28.722 | 44.371 | 13.255 |
| ---- 以上規定周回数(90%- 9Laps)完走 ---- |
| - | 52 | | | 中川 賢太 | イーグルスポーツ MYST KK-S2 | 3 | 9'16.514 | 6Laps | 6Laps |
| - | 12 | | | 宮本 颯斗 | J-LOC MYST KK-S2 | 3 | 9'17.327 | 6Laps | 0.813 |
| - | 18 | | | 鈴木 七瀬 | ネッツトヨタ三重with FORM MYST KK-S2 | 0 | - | 9Laps | 3Laps |
| - | 15 | | | 永原 蒼翔 | ピットワークながはら/MYST MYST KK-S2 | 0 | - | 9Laps | - |
- Fastest Lap: CarNo. 56 箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SⅡ) 2'15.502 (9/9) 2'14.502 155.427 km/h
- CarNo. 10は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第59条1.1(危険なドライブ行為)により、競技結果に対して30秒加算のペナルティーを科した。
- CarNo. 43は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第59条1.6(危険なドライブ行為)により、競技結果に対して30秒加算のペナルティーを科した。
鈴鹿クラブマンレース第1戦 -RIJ- (2025/02/23) Final Race Weather:Sunny Course:Dry
2025 Formula Beat Round 1 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | No | Cls | Cls Pos | Driver | Car Maker Model | Lap | Time | Behind | Gap |
| 1 | 72 | | | 金井 亮忠 | チームNATS正義001 NATS 001 | 8 | 20'31.641 | - | - |
| 2 | 6 | | | 酒井 翔太 | ファーストガレージFG108 FG108 | 8 | 20'32.084 | 0.443 | 0.443 |
| 3 | 1 | | | ハンマー 伊澤 | アルカディア☆ハンマーR疾風 疾風 | 8 | 20'34.774 | 3.133 | 2.690 |
| 4 | 10 | | | 加藤 智 | FEEL・TAKEFIRST B-MAX RK01 | 8 | 20'36.673 | 5.032 | 1.899 |
| 5 | 43 | | | 鈴木 智之 | テイクファースト★C72制動屋 ZAP F108 | 8 | 20'37.542 | 5.901 | 0.869 |
| 6 | 17 | G | 1 | 田中 諭 | ミスト・制動屋 Dallara F307 | 8 | 20'49.241 | 17.600 | 11.699 |
| 7 | 76 | G | 2 | 松本 隆行 | SHOUEI☆ミスト Dallara F307 | 8 | 20'49.460 | 17.819 | 0.219 |
| 8 | 21 | G | 3 | 村瀬 和也 | ミスト関口:制動屋:勝男武士 MYST KK-ZS | 8 | 20'51.307 | 19.666 | 1.847 |
| 9 | 33 | G | 4 | 杉山 寛 | ミスト☆菱洋商事株式会社 MYST KK-ZS | 8 | 20'51.934 | 20.293 | 0.627 |
| 10 | *35 | G | 5 | 髙橋 忠克 | 髙宮商事ミストKK-ZS MYST KK-ZS | 8 | 20'54.685 | 23.044 | 2.751 |
| 11 | *92 | | | 梅本 幸汰 | ファーストガレージ FG01 FG101 | 8 | 21'18.068 | 46.427 | 23.383 |
| ---- 以上規定周回数(90% - 7 Laps)完走 ---- |
| - | 11 | G | - | 植田 正幸 | Rnsports制動屋KKZS MYST KK-ZS | 4 | 8'31.476 | 4Laps | 4Laps |
| - | 3 | G | - | 舩井 俊仁 | ファーストガレージFG108 FG108 | - | d.n.s | - | - |
- Fastest Lap: CarNo. 6 酒井翔太(ファーストガレージFG108) 2.02.585 (3/8) 170.536 km/h
- CarNo. 35は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第54条5(反則スタート)により、競技結果に対して5秒加算のペナルティーを科した。
- CarNo. 92は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第59条1.1(危険なドライブ行為)により、競技結果に対して40秒加算のペナルティーを科した。
- ポールポジション 箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SⅡ)
-

「位置取りは悪かったんですが、調整してトップを取れたのでよかったです。想定していたタイムが出たので、多分ポールはいけると思いました。ぶっちぎれたのは、周りよりぎりぎりでマシンを使いこなしているのかなと思います。決勝はスタートが苦手なので、そこを決めて優勝したいと思います」
- 2位 吉田馨(TAKE FIRST kks2)
-

「うまくまとめてた周にシケインでロックしてしまいました。それがなければ箕浦選手には近づけたと思います。決勝は、古いタイヤでもいいタイムが出てるので、そこは自信を持って行こうと思います。スタートは微妙ですが、前に出られればなんとかなるので、頑張りたいと思います」
- 3位 酒井翔太(ファーストガレージKK-SⅡ)
-

「新品タイヤを履いたらよくなくて、朝の練習で走り続け80kmくらい使ったタイヤで予選に臨みました。前半はタイムがポンポン上がったんですが、後半はリアタイヤが無くなってきて、一発を出そうとしてもタイムがぜんぜん上がりませんでした。新品タイヤをうまく使えないというのが課題だったので、それをどうにかできれば新品の方がよかったかもしれません。1秒以上タイム差があるので、決勝は前に食いついていければと思います」」
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI

スーパーFJ地方選手権鈴鹿・岡山シリーズ第1戦は22日、鈴鹿サーキットで公式予選を行い箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SⅡ)がポールポジションを獲得した。
公式予選は、前プログラムで赤旗が出たため定刻より5分遅れの午後3時45分より行われた。通常予選は20分間だが、路面張替を行ったことと低気温を考慮して5分延長され25分間となった。参加は20台でうち3台がジェントルマンクラスで、初出場は、五十嵐文太郎(Drago CORSE)と土橋皇太(Rn-sports制動屋KK-S2)の2人だ。正午過ぎまで降り続いていた雪もやみ、雲がはけるとほぼ快晴となった。WET宣言が出されているが、全車ドライタイヤを履いてコースインした。
序盤、予選をリードしたのは吉田馨(TAKE FIRST kks2)。計測1周目に2分17秒719を出すと、同2周目には15秒018まで縮める。
しかし計測4周目には箕浦稜己(MYST SEIDOYA KK-SⅡ)が2分14秒とトップに立つ。吉田も14秒566までタイムを縮めるも2位に落ちた。3位には酒井翔太(ファーストガレージKK-SⅡ)が14秒814でつける。
計測6周目にはトップ箕浦が2分14秒028と若干タイムアップ。同7周目には酒井が14秒282で2位に浮上した。吉田は14秒366までタイムを削るも3位に後退。
計測8周目、トップ箕浦が2分13秒577とタイムを大幅に短縮。2位には13秒941で吉田が再浮上。酒井はタイムアップならず、14秒282のままで3位に落ちた。
計測10周目には箕浦が2分13秒155とさらにタイムを縮め、2位以下を突き放す。2位の吉田、3位の酒井ともタイム更新はならず、このまま25分間の予選は終了した。
計測6周目に2分14秒920で4位に浮上した鈴木七瀬(ネッツトヨタ三重with FORM)は、その後徐々にタイムを縮め同9周目に14秒308まで縮めるも順位は変わらず、4位で予選を終えた。
計測8周目には10位まで順位を落としていた杉田悠真(LAPS with REV RACING)は、最終となった同10周目に2分14秒733までタイムを縮め5位に浮上した。
ルーキーの五十嵐は、常にトップ6内の順位につける健闘で、最終的にタイムを2分14秒875まで縮め6位に滑り込んだ。
ジェントルマンクラスは、山根一人(光精工TK-Sport MYST)が一時は総合6位につけ大健闘。最終的には総合9位で予選を終えたが、文句なしで同クラスのポールポジションを獲得した。
ポールポジションの箕浦と予選2位の吉田は、ともに昨年末の日本一決定戦がスーパーFJのデビュー戦で、いきなり1-2につけ大躍進を果たした。
箕浦は岐阜市在住の16歳で、鈴鹿のカートX30でチャンピオンを獲得。ミストのエースカー56号車のパフォーマンスを引き出し、ぶっちぎりでのポールとなった。
決勝は明日23日、午後2時30分からだが、天候状態を考慮しフォーメーションラップが2周となったため当初予定の10周から1周減算され9周で行われる。





Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Atsushi BESSHO
- ポールポジション 金井亮忠(チームNATS正義001)
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「酒井君がむちゃくちゃ速くてぼくが6秒台のときに3秒台が出ていたので、これはかなわないと思いました。でも僕もだんだんタイムを上げることができたので抜けた感じですね。決勝は、前半のタイムの上がり方が課題で、そこをもう少し見直して、序盤からタイムが出るように改善していきたいと思います」
- 2位 酒井翔太(ファーストガレージFG108)
-

「ぽっと3秒台のタイムが出て、練習のときから誰もこのタイムが出てなかったので、これはいけるだろうと、チームからも帰って来いという指示があったのでピットに戻りました。金井さんやハンマーさんのタイムを見て、行くかどうか考えていましたが、金井さんに終了ぎりぎりにタイムを出されたので行けませんでした。ベストが出た次の周もマイナス表示だったので、もう1周走れば2秒台が出たと思います。悔しいですが、決勝にタイヤを温存でき、フロントローなので優勝は狙えると思います」
Text & Photo: Yoshinori OHNISHI

フォーミュラ・ビート地方選手権シリーズ第1戦は22日、鈴鹿サーキットで公式予選を行い金井亮忠(チームNATS正義001)が逆転でポールポジションを獲得した。
公式予選は午後2時20分より行われた。通常予選は20分間だが、路面張替を行ったことと低気温を考慮して5分延長され25分間となった。参加は13台、うち7台がジェントルマンクラスだ。直前まで降り続いていた雪もやみ、雲間からは青空も広がりつつある。WET宣言が出されているが、全車ドライタイヤを履いてコースインした。
計測2周目には、酒井翔太(ファーストガレージFG108)がいきなり2分3秒431という素晴らしいタイムでトップに立つ。2位の金井亮忠(チームNATS正義001)はまだ7秒台だ。これを見て、酒井はほぼポールポジションを確信したのかピットイン。他車の動向を見つつ決勝に向けてタイヤを温存し、ピットで待機する作戦に出た。
計測3周目、2位金井はタイムを2分6秒427まで縮めるもトップ酒井との差はまだまだ大きい。3位加藤智(FEEL・TAKEFIRST)は7秒630、4位梅本幸汰(ファーストガレージ FG01)は7秒984、5位植田正幸(Rnsports制動屋KKZS)は8秒233、6位鈴木智之(テイクファースト★C72制動屋)は13秒792だ。
計測4周目、梅本が2分6秒011で2位に浮上した。同6周目には金井が4秒567で2位を奪い返し、徐々にトップ酒井との差を削り始める。
その後、金井は計測8周目に2分3秒545とトップ酒井との差を僅差に持ち込むと、同9周目には3秒313まで縮めついに酒井を逆転してトップに立った。予選も終了直前で酒井は再アタックするチャンスを失い、2位に後退することとなった。
3位には梅本が入ったが、ドライバーの装備品違反でタイムを抹消され後退、3位には繰り上がって加藤が入った。
4位にはジェントルマンクラストップの植田が、遅れてピットアウトしたディフェンディングチャンピオンのハンマー伊澤(アルカディア☆ハンマーR疾風)は徐々にタイムを縮め5位まで浮上、6位には鈴木が入った。
決勝は明日23日、午前11時15分からだが、天候状態を考慮しフォーメーションラップが2周となったため当初予定の10周から1周減算され9周で行われる。





Text: Yoshinori OHNISHI
Photo: Atsushi BESSHO
鈴鹿クラブマンレース第1戦 -RIJ- (2025/02/22) Qualifying Weather:Sunny Course:Dry
2025 S-FJ鈴鹿・岡山シリーズ Round 1 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | № | Cls | Cls Pos | Driver | Car Maker Model | Time | Behind | Gap | km/h |
| 1 | 56 | | | 箕浦 稜己 | MYST SEIDOYA KK-SⅡ MYST KK-S2 | 2'13.155 | - | - | 156.999 |
| 2 | 6 | | | 吉田 馨 | TAKE FIRST kks2 MYST KK-S2 | 2'13.941 | 0.786 | 0.786 | 156.078 |
| 3 | 22 | | | 酒井 翔太 | ファーストガレージKK-SⅡ MYST KK-S2 | 2'14.282 | 1.127 | 0.341 | 155.681 |
| 4 | 18 | | | 鈴木 七瀬 | ネッツトヨタ三重with FORM MYST KK-S2 | 2'14.308 | 1.153 | 0.026 | 155.651 |
| 5 | 10 | | | 杉田 悠真 | LAPS with REV RACING MYST KK-S2 | 2'14.733 | 1.578 | 0.425 | 155.160 |
| 6 | 43 | | | 五十嵐 文太郎 | Drago CORSE MYST KK-S2 | 2'14.875 | 1.720 | 0.142 | 154.997 |
| 7 | 15 | | | 永原 蒼翔 | ピットワークながはら/MYST MYST KK-S2 | 2'14.969 | 1.814 | 0.094 | 154.889 |
| 8 | 1 | | | 元山 泰成 | 株式会社エコテク MYST KK-S2 | 2'15.070 | 1.915 | 0.101 | 154.773 |
| 9 | 47 | G | 1 | 山根 一人 | 光精工TK-Sport MYST MYST KK-S2 | 2'15.078 | 1.923 | 0.008 | 154.764 |
| 10 | 33 | | | 吉田 紘大 | T's TECHNO MYST KK-S2 | 2'15.190 | 2.035 | 0.112 | 154.636 |
| 11 | 34 | | | 藤井 翔太 | Drago CORSE MYST KK-S2 | 2'15.291 | 2.136 | 0.101 | 154.520 |
| 12 | 55 | | | 板倉 慎哉 | AMORE TOKYO☆表参道☆KKSⅡ MYST KK-S2 | 2'15.402 | 2.247 | 0.111 | 154.394 |
| 13 | 52 | | | 中川 賢太 | イーグルスポーツ MYST KK-S2 | 2'15.461 | 2.306 | 0.059 | 154.326 |
| 14 | 11 | | | 土橋 皇太 | Rn-sports制動屋KK-S2 MYST KK-S2 | 2'15.564 | 2.409 | 0.103 | 154.209 |
| 15 | 12 | | | 宮本 颯斗 | J-LOC MYST KK-S2 | 2'15.597 | 2.442 | 0.033 | 154.172 |
| 16 | 57 | | | 東 慎之介 | サンセルモMYST/ORM MYST KK-S2 | 2'16.046 | 2.891 | 0.449 | 153.663 |
| 17 | 4 | G | 2 | 古里 拓 | FLEET REV KK-SII MYST KK-S2 | 2'16.995 | 3.840 | 0.949 | 152.598 |
| 18 | 37 | | | 阪本 一世 | 免許取るなら大阪サヤマ☆EAGLE MYST KK-S2 | 2'17.311 | 4.156 | 0.316 | 152.247 |
| 19 | 72 | | | 久保 直也 | AQUAだーはまレーシングNUTEC WEST 07J | 2'19.020 | 5.865 | 1.709 | 150.375 |
| 20 | 5 | G | 3 | 高橋 浩史 | BBK☆レヴレーシング MYST KK-S2 | 2'19.960 | 6.805 | 0.940 | 149.366 |
| ---- 以上基準タイム(130% - 2'53.930)予選通過 ---- |
鈴鹿クラブマンレース第1戦 -RIJ- (2025/02/22) Qualifying Weather:Cloudy Course:Dry
2025 Formula Beat Round 1 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | № | Cls | Cls Pos | Driver | Car Maker Model | Time | Behind | Gap | km/h |
| 1 | 72 | | | 金井 亮忠 | チームNATS正義001 NATS 001 | 2'03.314 | - | - | 169.528 |
| 2 | 6 | | | 酒井 翔太 | ファーストガレージFG108 FG108 | 2'03.431 | 0.117 | 0.117 | 169.368 |
| 3 | 10 | | | 加藤 智 | FEEL・TAKEFIRST B-MAX RK01 | 2'04.891 | 1.577 | 1.460 | 167.388 |
| 4 | 11 | G | 1 | 植田 正幸 | Rnsports制動屋KKZS MYST KK-ZS | 2'05.134 | 1.820 | 0.243 | 167.063 |
| 5 | 1 | | | ハンマー 伊澤 | アルカディア☆ハンマーR疾風 疾風 | 2'05.146 | 1.832 | 0.012 | 167.046 |
| 6 | 43 | | | 鈴木 智之 | テイクファースト★C72制動屋 ZAP F108 | 2'05.843 | 2.529 | 0.697 | 166.121 |
| 7 | 35 | G | 2 | 髙橋 忠克 | 髙宮商事ミストKK-ZS MYST KK-ZS | 2'10.167 | 6.853 | 4.324 | 160.603 |
| 8 | 17 | G | 3 | 田中 諭 | ミスト・制動屋 Dallara F307 | 2'10.879 | 7.565 | 0.712 | 159.730 |
| 9 | 76 | G | 4 | 松本 隆行 | SHOUEI☆ミスト Dallara F307 | 2'11.060 | 7.746 | 0.181 | 159.509 |
| 10 | 21 | G | 5 | 村瀬 和也 | ミスト関口:制動屋:勝男武士 MYST KK-ZS | 2'12.285 | 8.971 | 1.225 | 158.032 |
| 11 | 3 | G | 6 | 舩井 俊仁 | ファーストガレージFG108 FG108 | 2'12.490 | 9.176 | 0.205 | 157.787 |
| 12 | *33 | G | 7 | 杉山 寛 | ミスト☆菱洋商事株式会社 MYST KK-ZS | 2'13.229 | 9.915 | 0.739 | 156.912 |
| ---- 以上基準タイム(130% - 2'41.042)予選通過 ---- |
| - | *92 | | | 梅本 幸汰 | ファーストガレージ FG01 FG101 | タイム抹消 | - | - | - |
- CarNo. 33は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第62条1.2(ピットレーン速度違反により、決勝時ピットスタートとする。
- CarNo. 92は、SUZUKA CHAMPION CUP RACEシリーズ規則第14条3(ドライバーの装備品)違反により、失格とする。

2024年12月1日に三重県の鈴鹿サーキットで決勝が行われたスーパーFJ日本一決定戦は、岡本大地が優勝して幕を閉じた。岡本は2016年に同レースに初参加、その後2018、2023年は欠場したが今回、出場7度目にして初の日本一称号を手に入れた。岡本の日本一決定戦の軌跡を振り返る。
岡本は1998年6月22日、高知県でサラリーマンの家庭に生まれる。父親がシステムエンジニアだっため、家にはパソコンが余っていた。中学なると、木材をネジで組んだコクピットを自作し、レースのシミュレーターゲームを始める。
まだeスポーツと呼ばれてない時代だが、シミュレータでグローバルMX5のレースがあり、岡本も参加。タイムアタックで上位40名に入り、ファイナルへの出場を果たした。そのファイナルレースから成績優秀者が翌2015年のアメリカで行われる実車のMX5に出場するスカラシップを得るが、10位入ったドライバーが出場権を得、9位に入った岡本は残念ながらその権利を手中にすることはできなかった。これが悔しくて、岡本は実車レースに出場したいと思うようになる。
■2016年
自動車免許を取った岡本は、父親のつてで高下レーシングを紹介され、マシンを借りてスーパFJレースに参戦を始める。最初に出場したのは韓国で行われたスーパーFJ交流戦、続く岡山FJシリーズにもスポット参戦した。そしてツインリンクもてぎで行われたスーパーFJ日本一決定戦にも初出場。しかしこの年は、旧式やプロトタイプのマシンだったためめだった成績は残していない。
■2017年
この年から岡本の快進撃が始まる。岡山シリーズは開幕から第5戦までポールトゥウインで、最終戦を待たずにチャンピオンを獲得。スポット参戦した鈴鹿でもポールトゥウイン。F1のサポートレースとなったドリームカップレースでもポールトゥウインと、まさに向かうところ敵無しの成績を収める。
そして迎えた日本一決定戦鈴鹿。岡本は予選Bグループ2位につけ、セミファイナルレースに臨む。ここでも素晴らしいスタートを決め、トップで1コーナーに向かうも、ミッショントラブルでリタイア。残念ながら決勝進出はならず、最後の最後につまずいた形となった。

■2018年
スーパーFJはWEST 17Jの開発ドライバーを務める。鈴鹿のスクール(SRS-F)にも入校する。
FIA-F4にもスポット参戦。しかし、鈴鹿では、岩佐歩夢、菅波冬悟とのバトル中に1コーナーで大クラッシュする不運に見舞われた。
スーパーFJでは、開発中のマシンで奮闘するも1勝をあげるのがやっとだった。この年、もてぎで行われた日本一決定戦は出場していない。
スクールは、三宅淳詞がスカラシップを獲得。ここでも岡本は涙を飲んだ。

■2019年
この年はFIA-F4にフル参戦するも苦戦。現在に至るまでメーカー育成ドライバー以外がチャンピオンを獲得した年はなく、岡本をもってしてもプライベートチームでは厳しかった。それでも第3戦富士では3位表彰台を獲得してみせた。
この年、スーパーFJのシリーズ戦は不出場。鈴鹿で行われた日本一決定戦では、予選A組2位、第1レグ2位で、決勝は3番グリッドから。スタートでトップに立つも、セーフーティーカー中に燃料トラブルに見舞われリタイアとなった。日本一は岩佐歩夢が手にした。
この年、ネクソンタイヤの開発ドライバーとして86/BRZレースにも参戦を始める。

■2020年
スーパーFJは鈴鹿シリーズに参戦。4戦全勝でチャンピンに輝いた。
もてぎで行われた日本一決定戦では、予選B組2位、第1レグ2位で決勝を迎える。しかし、ファイナルラップのトップ争いで、宮下源都と接触して周回遅れに。日本一は元嶋成弥が手にした。

■2021年
引き続きスーパーFJ鈴鹿シリーズに参戦。5戦中3勝で2年連続チャンピオンを獲得した。
86/BRZレースでは十勝で3位に入り、NEXENタイヤでの初表彰台となった。
鈴鹿で行われた日本一決定戦では、予選A組PP、第1レグ優勝で決勝に臨む。上野大哲との激しいトップ争いを展開するも一歩及ばず、2位となった。

■2022年
スーパーFJ鈴鹿シリーズにスポット参戦。6戦中4戦出場し優勝1回、ランキングを3位で終えた。またこの年の途中からスーパー耐久ST-5クラスへの参戦を始める。
この年の日本一決定戦は冨士。予選A組PP、第1レグ優勝。決勝は、ファイナルラップまで、岡本、清水啓伸、森山冬星との三つ巴の激しい争いとなるが、ファイナルラップで接触して3位。優勝は清水だった。

■2023年
この年もスーパーFJ鈴鹿シリーズにスポット参戦。8戦中3戦に出場し、1勝を挙げる。
スーパー耐久にはST-5クラス・村上モータースのエースドライバーとしてフル参戦。年間2勝を挙げランキング3位を獲得した。
86/BRZレースでは、この年からNEXENの開発から外れたものの、BSタイヤでスポット参戦した第1戦SUGOでポールトゥウインを飾り周囲を驚かせる。この活躍が認められ、現在も86/BRZに参戦中だ。
もてぎで行われた日本一決定戦は不出場。

■2024年
引き続きスーパーFJ鈴鹿シリーズにスポット参戦。1戦のみ出場し1勝を挙げた。
スーパー耐久レースも引き続き村上モータースからST-5クラスに参戦。3勝を挙げるもののトラブルに泣かされランキング2位で終えた。
そして鈴鹿で行われた日本一決定戦に出場。勝てるときはこういうものだろう。いままでの不運や接触が嘘のように、予選A組PP、第1レグ優勝、そしてファイナルも2位以下を圧倒して優勝した。
初出場した2016年から足かけ9年、7回目のチャレンジで、ついに岡本は日本一の栄冠を手にした。

岡本は「スーパーFJはまだまだ新しい発見があるので機会があれば出場したい」という。他カテゴリーも含めて、2025年シーズンの岡本の活躍に期待したい。
スーパーFJは明日22日に4シリーズの先陣を切って鈴鹿・岡山シリーズが鈴鹿サーキットで開幕する。他3シリーズも順次開幕を迎え、日本一決定戦は12月21日に富士スピードウェイで決勝が行われる。
Text:Yoshinori OHNISHI
Photo: Atsushi BESSHO
Keiichiro TAKESHITA
Kazuhiro NOINE
Yoshinori OHNISHI
1月19日、スーパーフォーミュラの公式テスト2日目は、一時天候回復の兆しも見られたが、再び雪が降り出し、午後のセッション4もキャンセルとなった。
Text: Shigeru KITAMICHI
1月19日、スーパーフォーミュラの公式テスト2日目は、夜半からの降雪で鈴鹿サーキットのコースサイドには雪が積もり、午前11時から予定されていたセッション3はキャンセルとなった。
天気予報では午後から晴れとなっているものの、雪は午前10時半現在も降り続いており、午後のセッション4(14:00〜16:00)についても、開催ができるのか微妙な状況だ。
Text: Shigeru KITAMICHI
1月18日、今シーズン初走行となるスーパーフォーミュラの公式テスト1日目が、鈴鹿サーキットで行われ、午前はサッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TOM'S SF23)、午後のセッションは牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がトップタイムをマークした。

今シーズンに臨む13チーム、22名のドライバーが鈴鹿に集結し、いくつかのチームが新たな体制、新たなカラーリングでテストに臨んだ。
昨年の上位チーム、DOCOMOチームダンディライアン、チーム無限、VANTELINチームトムス、Kids comチームKCMG、PONOSナカジマレーシングの5チームは、トムス(笹原→フェネストラズ)とナカジマ(山本→フラガ)のドライバーに変更はあったものの、昨年も安定した力を見せている。
今シーズン、この牙城を崩すことのできるチーム、ドライバーが現れ、勢力図に変化はあるのか。それを占う貴重な開幕前のテストとして注目された。
また、リサイクル原料比率を上げたニュータイヤの導入、東コースの舗装張替えなど、レースに影響を及ぼす要素も変更になっており、各チーム、ドライバーはその確認作業も進めながらのテストとなった。
■セッション1
セッション開始の午前10時には、夜半から朝方にかけて降った雪がコースサイドに残っており、各チームレインタイヤを装着してコースイン。
徐々に路面も乾き、1時間を経過した頃からスリックタイヤに交換するチームが出始めた。ここを境に、タイムは一気に1分38秒台に上がったが、このセッションで注目されたのは、監督、エンジニアも一新された体制で今季に臨む三宅淳詞(ThreeBond SF23)。
残り30分時点で、1分38秒318をマークした三宅は、大湯都史樹(SANKI VERTEX CERUMOINGING SF23)、サッシャ・フェネストラズ(VANTELIN TOM'S SF23)らと最後までトップタイム争いを繰り広げた。
最終的には、僅差で2位になったものの、今年の三宅は違うと思わせるに十分なセッションだった。

■セッション2
2日目の天候が崩れることが濃厚で、ドライコンディションで存分に走れるのはこのセッションのみとなる可能性が高いため、各チームは開始から攻めた走りを見せた。
このセッションは、今シーズンをリードするであろう本命たちが速さを見せた。
岩佐歩夢(AUTOBACS MUGEN SF23)、野尻智紀(AUTOBACS MUGEN SF23)、牧野任祐(DOCOMO DANDELION M5S SF23)、小林可夢偉(Kids com KCMG Cayman SF23)らに、ルーキーのイゴール・オオムラ・フラガ(PONOS NAKAJIMA RACING SF23)も加わり、激しい トップタイム争奪戦が繰り広げられた。
終盤、イゴールや可夢偉がコースオフやスピンを喫するなど、ギリギリの争いを見せたが、このセッションでも、三宅が最後に、牧野、福住仁嶺(Kids com KCMG Elyse SF23)に次ぐ3番手に食い込む速さを見せた。

公式テスト2日目は、特に午前中は雪予報が出ているため、午前11時から12時の1時間に短縮され、午後は2時から4時の走行が予定されている。
Text: Shigeru KITAMICHI
公式合同テスト -RIJ- (2025/02/18) Official Testing 2 Weather:Sunny Course:Dry
2025 SUPER FORMULA Official Testing 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | № | Driver | Team Engine | Time | Behind | Gap | km/h |
| 1 | 5 | 牧野 任祐 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'36.116 | - | - | 217.500 |
| 2 | 8 | 福住 仁嶺 | Kids com Team KCMG TOYOTA TRD 01F | 1'36.143 | 0.027 | 0.027 | 217.439 |
| 3 | 12 | 三宅 淳詞 | ThreeBond Racing Honda M-TEC HR-417E | 1'36.396 | 0.280 | 0.253 | 216.868 |
| 4 | 6 | 太田 格之進 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'36.494 | 0.378 | 0.098 | 216.648 |
| 5 | 7 | 小林 可夢偉 | Kids com Team KCMG TOYOTA TRD 01F | 1'36.566 | 0.450 | 0.072 | 216.486 |
| 6 | 64 | 佐藤 蓮 | PONOS NAKAJIMA RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'36.566 | 0.450 | 0.000 | 216.486 |
| 7 | 1 | 坪井 翔 | VANTELIN TEAM TOMʼS TOYOTA TRD 01F | 1'36.601 | 0.485 | 0.035 | 216.408 |
| 8 | 16 | 野尻 智紀 | TEAM MUGEN Honda M-TEC HR-417E | 1'36.606 | 0.490 | 0.005 | 216.396 |
| 9 | 15 | 岩佐 歩夢 | TEAM MUGEN Honda M-TEC HR-417E | 1'36.612 | 0.496 | 0.006 | 216.383 |
| 10 | 4 | ザック・オサリバン | KONDO RACING TOYOTA TRD 01F | 1'36.825 | 0.709 | 0.213 | 215.907 |
| 11 | 3 | 山下 健太 | KONDO RACING TOYOTA TRD 01F | 1'36.826 | 0.710 | 0.001 | 215.905 |
| 12 | 37 | サッシャ・フェネストラズ | VANTELIN TEAM TOM’S TOYOTA TRD 01F | 1'36.909 | 0.793 | 0.083 | 215.720 |
| 13 | 65 | イゴール・オオムラ・フラガ | PONOS NAKAJIMA RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'36.910 | 0.794 | 0.001 | 215.718 |
| 14 | 50 | 小出 峻 | San-Ei Gen with B-Max Honda M-TEC HR-417E | 1'36.931 | 0.815 | 0.021 | 215.671 |
| 15 | 39 | 大湯 都史樹 | SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING TOYOTA TRD 01F | 1'37.179 | 1.063 | 0.248 | 215.121 |
| 16 | 28 | 小高 一斗 | KDDI TGMGP TGR-DC TOYOTA TRD 01F | 1'37.401 | 1.285 | 0.222 | 214.630 |
| 17 | 38 | 阪口 晴南 | SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING TOYOTA TRD 01F | 1'37.676 | 1.560 | 0.275 | 214.026 |
| 18 | 29 | 平良 響 | KDDI TGMGP TGR-DC TOYOTA TRD 01F | 1'37.682 | 1.566 | 0.006 | 214.013 |
| 19 | 14 | 大嶋 和也 | docomo business ROOKIE TOYOTA TRD 01F | 1'37.729 | 1.613 | 0.047 | 213.910 |
| 20 | 19 | オリバー・ラスムッセン | ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL TOYOTA TRD 01F | 1'37.997 | 1.881 | 0.268 | 213.325 |
| 21 | 20 | 高星 明誠 | ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL TOYOTA TRD01F | 1'38.363 | 2.247 | 0.366 | 212.531 |
| 22 | 10 | ジュジュ | HAZAMA ANDOTriple Tree Racing HONDA M-TEC HR-417E | 1'39.272 | 3.156 | 0.909 | 210.585 |
公式合同テスト -RIJ- (2025/02/18) Official Testing 1 Weather:Sunny Course:Dry
2025 SUPER FORMULA Official Testing 鈴鹿サーキット 5.807km
| Pos | № | Driver | Team Engine | Time | Behind | Gap | km/h |
| 1 | 37 | サッシャ・フェネストラズ | VANTELIN TEAM TOM’S TOYOTA TRD 01F | 1'38.040 | - | - | 213.231 |
| 2 | 12 | 三宅 淳詞 | ThreeBond Racing Honda M-TEC HR-417E | 1'38.060 | 0.020 | 0.020 | 213.188 |
| 3 | 39 | 大湯 都史樹 | SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING TOYOTA TRD 01F | 1'38.219 | 0.179 | 0.159 | 212.843 |
| 4 | 38 | 阪口 晴南 | SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING TOYOTA TRD 01F | 1'38.255 | 0.215 | 0.036 | 212.765 |
| 5 | 6 | 太田 格之進 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'38.256 | 0.216 | 0.001 | 212.763 |
| 6 | 3 | 山下 健太 | KONDO RACING TOYOTA TRD 01F | 1'38.430 | 0.390 | 0.174 | 212.386 |
| 7 | 4 | ザック・オサリバン | KONDO RACING TOYOTA TRD 01F | 1'38.477 | 0.437 | 0.047 | 212.285 |
| 8 | 50 | 小出 峻 | San-Ei Gen with B-Max Honda M-TEC HR-417E | 1'38.485 | 0.445 | 0.008 | 212.268 |
| 9 | 65 | イゴール・オオムラ・フラガ | PONOS NAKAJIMA RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'38.615 | 0.575 | 0.130 | 211.988 |
| 10 | 19 | オリバー・ラスムッセン | ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL TOYOTA TRD 01F | 1'38.647 | 0.607 | 0.032 | 211.919 |
| 11 | 7 | 小林 可夢偉 | Kids com Team KCMG TOYOTA TRD 01F | 1'38.654 | 0.614 | 0.007 | 211.904 |
| 12 | 14 | 大嶋 和也 | docomo business ROOKIE TOYOTA TRD 01F | 1'38.895 | 0.855 | 0.241 | 211.388 |
| 13 | 64 | 佐藤 蓮 | PONOS NAKAJIMA RACING Honda M-TEC HR-417E | 1'39.323 | 1.283 | 0.428 | 210.477 |
| 14 | 29 | 平良 響 | KDDI TGMGP TGR-DC TOYOTA TRD 01F | 1'39.554 | 1.514 | 0.231 | 209.989 |
| 15 | 20 | 高星 明誠 | ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL TOYOTA TRD01F | 1'39.982 | 1.942 | 0.428 | 209.090 |
| 16 | 28 | 小高 一斗 | KDDI TGMGP TGR-DC TOYOTA TRD 01F | 1'40.240 | 2.200 | 0.258 | 208.551 |
| 17 | 10 | ジュジュ | HAZAMA ANDOTriple Tree Racing HONDA M-TEC HR-417E | 1'41.594 | 3.554 | 1.354 | 205.772 |
| 18 | 1 | 坪井 翔 | VANTELIN TEAM TOMʼS TOYOTA TRD 01F | 1'48.204 | 10.164 | 6.610 | 193.202 |
| 19 | 15 | 岩佐 歩夢 | TEAM MUGEN Honda M-TEC HR-417E | 1'49.564 | 11.524 | 1.360 | 190.804 |
| 20 | 8 | 福住 仁嶺 | Kids com Team KCMG TOYOTA TRD 01F | 1'50.025 | 11.985 | 0.461 | 190.004 |
| 21 | 16 | 野尻 智紀 | TEAM MUGEN Honda M-TEC HR-417E | 1'50.103 | 12.063 | 0.078 | 189.869 |
| 22 | 5 | 牧野 任祐 | DOCOMO TEAM DANDELION RACING Honda M-TEC HR-417E | 2'09.142 | 31.102 | 19.039 | 161.878 |
Formula Beat 地方選手権シリーズ(F-Be)及びスーパー耐久シリーズST-2クラスの有力コンテンダーである日本自動車大学校(略称:NATS)は千葉県成田市にある自動車関連の私立専門学校である。
同校は1989年に開校し、翌90年には国内初の4年制・自動車経営科(現 自動車研究科)をスタートさせ整備だけでなく経営や販売のノウハウも習得できる学校となった。さらに1998年には「カスタマイズ科」、2005年には「モータースポーツ科」を開設。同科は今年20周年を迎える。学生は1年、2年を自動車整備科で過ごしクルマの構造や整備の基礎を学び2級自動車整備士となる。そこから希望によって1年過程のカスタマイズ科、モータースポーツ科、2年過程の自動車研究科へと進むことができる。この3年次以降の授業がNATSの特色だそうで、そこを目標に入学してくる学生が多いという。
東関東自動車道大栄インターチェンジから1分の好立地にあるキャンパスは15万平米の広さを誇り、学科別に整備用のガレージが建てられていて、ショールームには過去に製作されオートサロンで披露されたカスタムカーや学生フォーミュラの車両が展示されている。さらに授業で使うためのR34スカイラインやロードスターなどのスポーツカーを始めかなりの台数の実習用車両が並べられている。敷地内にはミニサーキットやジムカーナ場、ダートコースまで設置され、開発、メンテナンスされたレース車両のシェイクダウンやテストも行われる。敷地内にこの規模のコースを有する自動車専門学校はほぼないそうだ。
今回訪問のモータースポーツ科はモータースポーツビジネスやレギュレーション、チーム運営や空力、サスペンションの理論や、パーツ製作の為の金属、非金属の加工、チューニングなどモータースポーツ固有の技術を学ぶ。そしてもっとも比重が大きいのがガレージでのマシンメンテナンスと、実際にレースに参戦して現場でのサーキット・サービスの実習である。そのため、モータースポーツ科ではプロのチームに混じってF-BeとS耐に参戦するほか、JAF-N1規格で製作されたロードスターで耐久レースに参戦している。F-BeとS耐では金井亮忠モータースポーツ科長がドライバーを勤め、学生はメカニックやエンジニアとして活動する。ロードスターでのレースにおいてはドライバーも学生が担当している。
モータースポーツ科のレース参戦は開設直後から富士のFJ1600、Vitzレースなどで行われ、F-Be(当時はJAF-F4選手権)は、まずWEST056を導入して2008年西日本選手権第5戦鈴鹿に出場後東日本シリーズに転じて菅生ともてぎで入賞、ランキング7位となった。翌2009年は東日本シリーズに4戦出場し3回の表彰台でランキング4位。そして2010年、東日本シリーズ6戦全戦に出場、2勝、2位3回、3位1回という戦績で3シーズン目にしてシリーズチャンピオンを獲得、合わせて東西シリーズを通じて争われるグランドチャンピオンシップにも輝いた。2011年、12年もシリーズ上位で戦うと、2013年からはオリジナルマシン「NATS001」を投入した。投入直後から戦闘力を発揮したNATS001は2戦目の富士で早くも優勝、その後も上位を争い東日本シリーズ4位、以降も毎年上位を争っており、2018年にはオリジナルマシンでシリーズチャンピオンも獲得している。
一方2020年からロードスターでS耐ST-5クラスにも参戦を開始。2021年にランキング3位、2023年にはシリーズチャンピオンに輝いている。
今シーズンのF-Beは2月22~23日の鈴鹿チャンピオンカップレース(旧クラブマンレース)で開幕する。初戦に向けて準備が進む中、ドライバーの金井亮忠モータースポーツ科長にインタビューを行った。
●金井亮忠モータースポーツ科長(以下敬称略)インタビュー
――モータースポーツ科では3つのレースカテゴリーに参戦していると理解したが、それぞれに担当の先生がつくのか?
「その通りで自分がS耐シビック、菊地先生がF-Be、板垣先生がロードスターの開発やメンテナンスを指導しています。S耐とF-Beのドライバーは自分が担当しています」
――F-Beは今回の鈴鹿までが今の3年生によるレースか?
「その通りで、昨年のシリーズ最終戦後にマシンはいったんバラバラにしてメンテナンスを行い、学生は1年間学んだ技術やノウハウをつぎ込んでマシンを組み立ててレースに出て卒業、ということになります。そして、次の参戦は5月24-25日のもてぎでこれが新3年生での初レースになります。
一方S耐は3月22-23日の開幕戦は卒業式後になりますが、現3年生(卒業生)が担当してくれる予定になっています。本当の卒業レースですね。
――モータースポーツ科に進む学生は、2年生の終了時に進学を希望するのか?
「1年、2年の自動車整備科もクラス編成の際にモータースポーツ科やカスタマイズ科、自動車研究科など将来の志望先で分けているので、ほぼ1年生からモータースポーツ科志望がはっきりしています。もちろん在学中に進路を変更することも、2つ以上の科で学ぶことも可能です。2023年度のモータースポーツ科の学生数は27人、今年は少なくて19人ですが、だいたい毎年20人から30人の間です」
――モータースポーツ科ができるまでもモータースポーツ関連の授業は行われていたのか?
「それまでモータースポーツの授業はなくて、部活として取り組まれていました。私が学生としてNATSに入った時(2002年)にはまだモータースポーツ科がなくて、放課後の部活でスズキのワンメイクレース(フォーミュラ隼など)をやっていました。たぶんその活動が、NATSが自前のチームとしてモータースポーツに関わった最初だと思います」
――モータースポーツ科の1年の流れは?
「4月に進級してくるまでは一切レースには関わっていないので、そこからになるわけですが、レースシーズンの方はすでに始まっているので、一番初めに基礎的な勉強はしますが、ほぼいきなりレースが始まる感じですね(苦笑)。そこからレースの合間をぬいながら、学科の授業を行ったり、公認審判員の資格を取ったり、といったようなことで進んでいきます。ですので、4月5月の頃のレースはかなりバタバタですね。毎年レーススケジュールにもよりますが、F-Beは最近2月に鈴鹿で開幕というのが定例なので、そこが1年の集大成のレースになっています」
――NATS001はすでに何シーズンも戦って、セッティングなどデータも揃っていると思うが、学生はまずそれを引き継いで、それから自分たちのアイデアとか技術を投入することになるのか?
「毎年そんな感じなので、マシンはどんどんアップデートされていきますね。そういう意味ではF-Beはマルチメイクで教材として非常にいいカテゴリーです。規則の中でいろいろ自由にパーツを作ったりとかクルマを改良したりとかできるので、モノづくりの勉強に適していると思います」
――NATS001は2013年から投入されたと思うが、マシンについて教えてほしい
「2010年にアルミモノコックのWEST056でチャンピンを取りましたが、この年にレギュレーションが変わってカーボンモノコックの使用が認められ、エンジンもそれまで1850ccが上限だったものが2000ccまで可になった。何とかチャンピンは取れましたがやはり2000ccの方が速いし、シーケンシャルミッションだし、ということで、2011年にマシンの後ろ半分を新しくしました。WEST056のモノコックに2000ccのエンジンとシーケンシャルミッションを積みました。その後2012年にUOVAの共通カーボンモノコックを買って、前年に新しくした後ろ半分をくっつけてNATS001を作りました」
――NATS001の設計は誰が?
「基本僕がやりました(笑)。で、学生と一緒に作っていったという感じですね。一番初めに作ったNATS001はフロント半分がRD-10W(東京R&D製)で、後ろ半分がWEST056の2000cc仕様をくっつけて1台にしたという感じでした。そこからモノコックはずっと使い続けていますが、それ以外の部分は面影がないくらい進化しています」
――ボディデザインや空力とかはどうやって?
「一番初めはムーンクラフトのカウル(MC090)を中古で入手してつけていました。UOVAのモノコック使っているのは東京R&DとB-MaxとムーンクラフトとZAP SPEEDで、エンジンマウントとかサブフレームには違いがありますが、ほぼ全車同じアームを使っていたり、中身は同じでカウルが違うという感じですが、ウチの場合はシャーシが違う形をしています。カウルをイチから作るのは大変ですし、みんな風洞にかけたりして作られているので、それを活用したということです」
――シーズンが進む中で学生のアイデアで作られたパーツを投入するということもある?
「けっこうありますね、テストしてみて良ければ採用されます。そういう改良を行っていくことで学生のモノづくりの技術も養っていきます。ほぼ毎レース、マシンのどこかは変わっているので、写真を見るだけでいつのレースかわかるときもあります(笑)」
――今JAF戦ではF-BeとS耐(ST2クラス)に参戦しているが、体制や活動に違いはあるのか?
「厳密には異なる部分もありますが、活動しているのはいずれもNATSです。F-Beは完全に自前のチームとしてやっていて、S耐は今のチームオーナーは山野(哲也)さんで、僕らはクルマのメンテナンスやレース運営を任されている形です。去年からクラスをST-5からST-2にステップアップしたのも山野さんがきっかけです」
――教材としてシビック(FL5型)はどうなのか?
「正直大変ですね(苦笑)。クルマ自体のノウハウもないし、いろいろ探って新しく色んなモノを作ったりして改良したりとか毎回やっているので、大変ですけれど新鮮さがあって楽しいです」
――F-BeとS耐で学生は両方関わったりするのか?
「基本的には別です。ですが今年F-Beの班の人数が少ないので、2台体制で出るときは他のグループから応援で来てもらうことはあります」
――モータースポーツ科を卒業した学生はモータースポーツ業界に進む率が高い?
「業界からの求人はものすごく多いのですが、レース業界に行きたい学生というのがそれほど多くないです。年によってバラつきはありますが、今年今いる3年生はあまり業界への志向が強くないので、ある意味企業さんは学生の取り合いみたいになっています。モータースポーツ科を卒業してメーカーに行くとか、ディーラーに進むとか、後は開発系の企業に進んだり、けっこういろいろですね。
レース業界からの求人については業界内に卒業生がかなり増えて、そこから横のつながりができたりとか、S耐に行ったときに他のチームの卒業生から話を貰ったりとか、もちろんチームから直接電話かかってきたりすることもあります。ここまで本格的にモータースポーツやっている学校があまりないので」
――モータースポーツ科が開設されて20年、その間に学生の気質とか目標意識に変化はあるか?
「モータースポーツ科の学生の気質が変わったというより、この学校に入ってくる学生、今の18~20歳の子たちの志向が違うので。始まった当初、僕も2006年に卒業しましたが、その頃はもう『くるまバカ』みたいな感じで、いつでもクルマのことしか考えてなかった。今の子たちは、クルマが好きだとしても、ずっとクルマじゃなくて、他にもいろいろなモノがあるので。あと今の子はあまり競争をしてきていない。昔は何かにつけて勝負したりとかありましたけれど、今はみんなで仲良く、みたいな雰囲気が強いかな(笑)、そういった意味ではだいぶ変わってきましたね。ただ経験してみたいとかやってみたいという気持ちは強く持っているので、そういう経験をさせることを大事にしています」
――昨年の最終戦の表彰式で、先生が表彰台の一番高い場所に立っているのを見た学生はとても弾けていた。ああした経験ができると、変わってくる?
「そうでしょうね。一所懸命やってそれが結果として出るとうれしいとか悔しいとか、そういうことをあまり経験してこなかった子が、この1年レースをやってきて、やりがいとか、自分がやったことに対して報われることとかを経験して、いろんな感情がでてきたり、そういった部分で成長が感じられるかなと思います。1年たつとけっこう変わります」
――金井先生のモータースポーツ歴は?
「小学校6年生でカートレースを始めて、最初は地元の榛名でやっていました。高校1年生の時に、地方選手権でチャンピオン取って、高校2年の時には学校の部活(エコ マイレッジ チャレンジ)を一生懸命やっていました。モノづくりが大好きなので、部品つくってクルマを組み立てるとかが好きで、その間カートレースは地元だけにとどめていました。そのエコレースで全国優勝したので、高校3年生はレースに戻って全日本選手権に初めて出て、東地域のトップ、東西合わせてシリーズランキング2位になりました。その頃一緒に走っていた選手だと、東西合わせたトップは小林可夢偉選手です。あとは東地域のライバルだと山本尚貴選手とか、関口雄飛選手ですかね。大嶋和也選手や小暮卓史選手は同じ地元で良く一緒に走っていました。
高校卒業のタイミングでカートはやめて、NATSに入学してから当初は学校とは関係なく地元群馬の方の支援でVitzレースに出場しました。翌年もチームを移籍してVitzレースにシリーズ参戦、その頃にNATSにモータースポーツ科ができることになり、翌年から学校でVitzレースをやるようになりました。専属ドライバーをやらせてもらえるようになったのはこの頃からです。その後NATSを卒業して教師になり、レースもアルテッツァレースへとハコでステップアップしました。アルテッツァは大変なクルマでしたね(苦笑)。
で、そこから2007年にはフォーミュラトヨタに出場、FT30の最後の年でした。井口卓人選手とか、国本京佑選手、ケイ・コッツォリーノ選手なんかと戦っていました。カートからいきなりフォーミュラではなく、ツーリングカーをやってからのフォーミュラですね。そして2008年と2009年にはFCJにFTRS・チームNATSで出場しました。2008年には学校でJAF-F4を始めていて、FCJは半分プライベートな体制でした。フォーミュラトヨタのオーデションを受けたこともあって、FCJはFTRSの一員として乗せてもらっていた感じですね」
――F-Beより上のカテゴリーというのは考えてない?
「教材としての魅力の有無と、費用的な部分も桁違いに変わってきてしまうので、現実的じゃないかなと思います。一方スーパーFJだとパイプフレームですがF-Beは上位カテゴリーと基本的なマシンのつくり同じなのでそこから先のカテゴリーで必要な基礎を学ぶという意味でも、卒業後にいろんなカテゴリーで通用する技術を身につける意味でもちょうどいいと思います。
最近は整備とか修理と言ったら部品交換がほとんどですが、モノづくりとかちょっとした加工ができるとかいうのが普通のディーラーさんの整備士とは違うところなので、そうしたモノづくりを重視してできるカテゴリーがF-Beかなと思います。NATSのスタンスとしてはドライバーではなくメカニックの教育のために(レースを)やっているので、このカテゴリーをずっと続けているということですね」
――4月に初めてマシンに触りだして先生を乗せて走るということで、学生はプレッシャーを感じている?
「プレッシャーはあるでしょうね、でもちゃんとマシンが走ればそれが自信になって、一つ一つ技術を身につけていけばいいのかなと思っています」
インタビュー後にテストコースとモータースポーツ科の建屋を見学。テストコースは1.2キロのミニサーキットだが比較的高速な設定で、学生が走ることもあってかコーナーは広めにとられている。ダートコースでは毎年クラス対抗の耐久レースなども行われるという。コース脇には学生の親睦の為にバーベキュー場なども設置されている。
モータースポーツ科棟内では、初戦を翌週に控えたNATS001が鈴鹿へ向けて組み立て中、さらに翌週にはS耐のテストがあるが、シビックはエンジンが降ろされている状態。そしてロードスター班はフロントカウルの製作に余念がなかった。建物の中には過去にレースで出たEP82やVitzなどもきれいな状態で保存され、隣の部屋にはシミュレーターが2台、授業で使うほか希望する学生には自由に(ただし時間制限付き)使わせている。
学生たちは皆明るく作業をしており、充実した環境で学んでいることがうかがえた。
今シーズンもNATSの戦いぶりに注目だ。
Text: Junichi SEKINE
Photo: Junichi SEKINE
Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE

里見乃亜代表率いるRiNoA Racing project「群馬トヨペットTeam RiNoA」が今シーズンの参戦体制を発表した。
これまでスーパーFJもてぎ・菅生シリーズと日本一決定戦を主戦場として活動してきた同チームは 今年も同シリーズと日本一決定戦に出場するほか、昨年にスタートしたFIA-F4第一世代のマシンによる「F110 CUP」戦にも新規参戦、さらにチームとして初のツーリングカーレースとして「ヤリスカップ関東シリーズ」にも参戦することを発表した。
スーパーFJについてはドライバーを一新、ともにレーシングカート出身のルーキー小野大地、三ツ井光輝を起用。2シーズンぶりのチャンピオン奪回を目指す。新規参戦のF110CUPについては昨年同チームでスーパーFJをドライブした大川烈弥がステップアップ。またチーム初の体制として、チーム出身者をテクニカルアドバイザーに起用、2022年S-FJもてぎ・菅生シリーズチャンピオンの佐藤樹がもてぎ、同2021年2位の伊藤愼之典がSUGOの大会で大川を支える。
さらにチーム初のハコ車でのレースとして、ヤリスカップ関東シリーズに参戦。こちらはスポンサーでもある群馬トヨペットとタッグを組んでの参戦となり、ドライバーには2023年に同チームでS-FJもてぎ・菅生シリーズチャンピオンとなった内田涼風がステアリングを握る。
昨年の苦戦からの復活を目指すスーパーFJに加えてF110CUP、ヤリスカップと活動を拡大するRiNoA Racing projectに今シーズンも注目だ。
Text: Junichi SEKINE