
VITA筑波シリーズ第3戦決勝は7月27日(日)に行われ、ポールポジションからスタートの兒島弘訓(ZR WINMAX VITA)がスタートで順位を落とすも2周目に挽回してトップに立ち、以後は危なげない走りで18周を走り切り優勝。開幕からのシリーズ連勝を3とした。
第3戦決勝は12時10分にコースイン開始。依然として夏の厳しい日差しが照り付けており気温35.9度、路面温度にいたっては57.6度という猛烈な暑さだ。12台のVITAが15周または30分のレースに向けてコースインしたが、その中で予選11番手、今回が初のVITAレースだったWATANABE HARUYA(ELEVレーシングVITA01)がグリッドに向かわずピットロードに入り、そのままパドックに戻ってきてしまった。WATANABEのマシンは予選終了直後からカウルが外されメカニックの作業が直前まで続けられていた。チームの前田代表の話によると、予選中からスロットルが熱で動作不良を起こしていたそうで、応急処置を行ってグリッドに送り出したがトラブルが解消していなかったとのこと。残念ながらDNS(Did Not Start)ということになった。

レッドライトが消灯して11台がレーススタート。出足がよかったのがフロントロウ2番手の西濱康行(ETA白波ワークスVITA)。スタートからの加速でポールシッターの兒島に先行すると第1コーナーへ向けてトップで飛び込んだ。7兒島は2位に落ち山本龍(お先にどうぞ☆VITA)が3位を守り、4番手スタートの大沢良明(ビーンズスポーツVITA)と5番手スタートの佐藤考洋(TIPO ETA VITA01)がサイド・バイ・サイドで第1コーナーへアプローチ、イン側佐藤に対して大沢がアウト側から被せてターンイン、そのまま並走でS字に入ると大沢が前に。後方では6番手スタートの中島正之(ビーンズスポーツ3年目VITA)が第1コーナー手前で7番手スタートの山口真(ユニバーサルツインVita)のオーバーテイクを許してポジションを入れ替える。
第1ヘアピンでは5位の佐藤がブレーキングで姿勢を乱してラインがワイドになり、そこへ山口がインから差しに行き並走。立ち上がりで山口が前に。佐藤は第1コーナーとこの第1ヘアピンでもバトル中に接触があった模様でマシンにダメージを負ったらしくこの周にピットイン、レースを終えてしまう。なおそれぞれの接触はレーシングアクシデントと判定された。
トップに立った西濱だが兒島がリヤに張り付いてプレッシャーをかけている。バックストレートではテール・ツー・ノーズ状態となり、最終コーナーをタイトに旋回した兒島は西濱に並びかけてコントロールライン上では両車全くの同タイムで2周目へ。兒島は満を持してという感じで第1コーナーで西濱をオーバーテイク、トップの座を奪い返す。3位山本もそこから0.690秒差とまだチャンスを伺える位置につけている。
トップに立った兒島は一気に西濱を突き放しにかかり、セクター1だけで0.4秒以上の差をつけると2周目を終えて0.640秒差。西濱の0.391秒後方には山本が迫り、以下4位大沢、5位山口、6位中島が続いている。3周目には兒島と西濱の差は0.656秒。一方3位山本は前を追うというより4位大沢から0.336秒差とプレッシャーがかかっている。
5周目、2位を走行している西濱にスタート時のグリッド停止位置違反によりタイムペナルティ5秒追加が通知される。スターティンググリッドで僅かに前にはみ出していたもようだ。この段階でトップ兒島と2位西濱の差は1.014秒、3位山本そこから1.32秒差、4位大沢2.179秒差、5位山口3.521秒差、6位中島7.539秒差ということで、この時点で西濱は山口と中島の間、実質6位ということになる。
兒島はその後も2位以下をじわじわと引き離し、7周目に2位の西濱に1.416秒差。8周目、9周目とその差は次第に広がり、10周目には西濱に2.606秒差、実質2位の山本に4.783秒差とする。5秒のペナルティを抱えた西濱は、現在は山口の前の5位ということになる。兒島は12周目には本日のファステストラップ、1分4秒304を叩き出して西濱に3.780秒の差、山本に7.113秒の大差をつけている。
ここからの注目は西濱のリカバリーで、12周目には大沢に対し5.037秒のマージンで実質3位、14周目には山本に4.492秒差とギャップを築いてファイナルラップへ突入。まず兒島が最後までペースを緩めることなく独走でチェッカードフラッグの下を通過、続いて西濱が5.174秒の差でフィニッシュ。注目の山本と西濱のギャップは5.179秒になり、ペナルティの5秒が加算されても0.179秒の差で西濱が2位の座を守り切った。山本は3位。以下4位大沢、5位山口と続き、6位中島というトップ6となった。
これで兒島はVITA筑波シリーズ3連勝、60ポイントを積み上げて2位39ポイントの山本に大差をつけて前半戦を終えた。第4戦は9月14日。兒島に死角はあるのか?






Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA
Mizue NOINE
ポールポジション 兒島弘訓(ZR WINMAX VITA)1分3秒561
「明らかに路面が熱いので、タイヤも序盤しかタイム出ないだろうなと思っていて、最初の5ラップでタイム出すことを目標に頑張りました。今回ZENKAIチームとしてダンパーを開発するようになりまして、それで新しいダンパーを入れたのですが、十分テストできていなくて。試作品ですが、まだ調整シロもうまくいっていなくて、クルマのバランスがかなりアンダーステアでまったく曲がらない状態になっていたので、僕としては不完全燃焼でしたね。それでもポールポジションを取れてよかったです」
2位 西濱康行(ETA白波ワークスVITA)1分3秒921(+0.360秒)
「皆が整列する前にピットレーンがグリーンになって、バラバラにコースに出たので、その後ピットアウトするクルマと位置が被ってしまったりして、なかなかポジション取りが難しかったです。そこからはいいポジションを取れたので、自分のアタックに集中できました。決勝は前回よりも前のポジションからスタートできるので、できるだけ前について行こうと思っています」
3位 山本龍(お先にどうぞ☆VITA)1分4秒124(+0.563秒)
「ちょっとエンジンが吹けないな、という感じで走っています。コンディションは普通に路面温度が高いなという感じです。エンジンの方はどうしようもないので、これで行くしかないかな(苦笑)、という事で」
4位 大沢良明(ビーンズスポーツVITA)1分4秒359(+0.798秒)
「自分がちょっと乗り切れていなかったですね。それでもいっぱいいっぱいだったかなと思います。やっぱり後半はタイヤがもたない感じでした。そのあたりを調整するといっても無理だから、行けるところまで行って、最後タレてきたらだましだましいくしかない、という感じでした」
5位 佐藤考洋(TIPO ETA VITA01)1分4秒555(+0.994秒)
「とにかく暑いので序盤しかタイム出ませんでした。トップからはやや離されていますが、前とは僅差なので、表彰台を目指したいです」
6位 中島正之(ビーンズスポーツ3年目VITA)1分4秒716(+1.155秒)
「前のクルマについて行く感じで。前に合わせて走って同じくらいで走れて、うまく引っ張ってもらっていいタイムが出たのかな、というところです。この前練習来たときは1分5秒2とかだったので、タイヤが新品ということもありますが、夏場で1分4秒台に入れられたのはよかったです。初めて6位以内で、最初の年とかビリ争いしかしていなかったのが、やっと中段を走れるようになってきたというところです」
Text: Junichi SEKINE

VITA筑波シリーズ第3戦予選は7月27日(日)に開催され、開幕2連勝の兒島弘訓(ZR WINMAX VITA)が2番手に0.360秒の差でポールポジションを獲得した。
15分間の予選は午前9時25分コースオープン。この時間ですでに気温32.2度、路面温度45.3度という厳しいコンディションだけにタイヤの内圧調整に各車余念がなかった。前戦優勝の兒島を先頭に12台がコースインして予選開始。ウオームアップ後の計測1周目から兒島が1分4秒404のタイムでトップに立つ。2番手山本龍(お先にどうぞ☆VITA)の5秒542、3番手西濱康行(ETA白波ワークスVITA)5秒942と続く。
残り時間12分、兒島が1分3秒617と1分3秒台に入れる。2番手山本は4秒238、3番手には5秒214で並木海和(ViVa ETA VITA)が上がってくる。4番手中島正之(ビーンズスポーツ3年目VITA)5秒312、5番手には今回がVITAレースデビューのWATANABE HARUYA(ELEVレーシングVITA01)の5秒321、6番手山口真(ユニバーサルツインVita)の5秒353。トップ兒島が抜きんでているが、2番手から6番手までは1.115秒の差と接戦だ。
残り時間10分、西濱が1分3秒921と1分3秒台に入れて2番手へ。山本も4秒124まで自己ベストを短縮するが3番手にドロップ。佐藤考洋(TIPO ETA VITA01)が4秒907、おぎねぇ(ORCワコーズVITA)が5秒250でそれぞれ5番手と6番手へとポジションアップ。佐藤はさらに4秒793までタイムを詰めて4番手へ。
残り9分、それまで1分22秒台とマイペースだった大沢良明(ビーンズスポーツVITA)がいきなり4秒669をマークして4番手へ上がる。この間にトップ兒島はベストタイムを3秒561まで短縮。2番手西濱とは0.360秒の差だ。
残り時間5分を切って中島が1分4秒716で8番手から6番手に浮上。トップ兒島はこれで限界と見たかピットイン。気温が高いため各車タイヤのピークが終わったか、ここからタイムを更新する車両は少ない。そんな中でタイムを上げてきたのが山口で4秒731、7番手にアップ。さらに残り時間3分、10番手土屋伊津季(ディープレーシングVITA)、11番手WATANABE、12番手内田美保乃(miiirukeVITA)がそれぞれ自己ベストを更新して15分間の予選は終了。
ポールポジションは1分3秒361の兒島、0.360秒差の2番手に西濱、以下3番手山本、4番手大沢、5番手佐藤、6番手中島というトップ6となった。
筑波VITAシリース第3戦決勝は12時20分スタート予定だ。





Text: Junichi SEKINE
Photo: Asako SHIMA
優勝 酒井翔太(ファーストガレージ制動屋)

「スタートは文句なしで、そのあと最初から飛ばすつもりだったのですが、路面温度が高くなってしまって。タイヤが後半きつくなるだろうなと思って、あまり飛ばさないでもいい具合で走れていたので、そこは良かったっです」
2位 津田充輝(ファーストガレージ制動屋S2)

「出だしがあまりよくなかったのが、自分としては反省だと思っています。でもこういう季節で去年だったらそのままペースが下がりまくりだったと思うのですが、走っている間にコツを掴んだ感じです。次も暑いレースになると思うので、その時に今日の修正点を活かして、もう一度チャレンジしたら行けるかな、って気がします」
3位 切替悠喜(ファーストガレージRSDS2)

「レースだけに限らず、練習の段階からロガーとか見ている気になっていただけでした。もっと突き詰めるところがあったので、そこが甘かったと思います。今回も週末通じてずっとシフトに悩んでいたのですが、それも解決しないままレースになってしまいました。そこは次までに直したいと思います」
4位 相田有羽音(ZAP SPEED 10VED)

「絶対前の内藤さんは抜くぞ、という気持ちで、スタートからサイド・バイ・サイドでしたが気合でぶち抜きました(笑)。そこは自分の思っていた通りにレースが決められたので、よかったです」
5位 畠山退三選手(Hobby base&zap)マスターズクラス優勝
「運がよかったです。でもぜんぜん駄目ですね。ベストは出せていないので、次がんばります。セッティングがぜんぜん合わなくて、残念です」
7位→6位 池田悠亮(TOPRANKスーパーウィンズ)

「予選をもっと上の順位からスタートしたかったのですが失敗してしまって。そこをもっと改善すれば決勝で上に行ける手ごたえはあったのですが。スタートしてみると全然いけなくて(苦笑)ちょっと耐えるレースになりました。それでも展開にも助けられての6位です。秋山選手をどうにかして抑えたかったのですが抑えきれなくて、そこが悔しいですね」
6位→10位 秋山健也(スーパーウィンズKKS2)※決勝終了直後のコメント

「(内藤との接触は?)完全に並びきれていなかったのですが、立ち上がりで急にインに入ってこられたので当たってしまいました。(終盤の池田とのバトルは?)ペースはこっちの方が速かったので、普通に抜ける状態でしたが、ブロックが厳しくて、なかなか前に出られなかったです」
Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE

2025年JAF筑波・富士スーパーFJ選手権シリーズ地方権第5戦公式予選が7月27日(日)に筑波サーキットで行われ、酒井翔太(ファーストガレージ制動屋)がポールポジションからホールショットを奪うと、チームメイトの津田充輝(ファーストガレージ制動屋S2)を終始寄せ付けず優勝を飾った。
午前8時40分に終わった予選から短いインターバルで迎えた決勝は午前11時3分にフォーメーションラップ開始。18周もしくは30分間で行われる。気温はさらに上昇して33.9度、路面温度51.7度という熱さで、パドックに並べられたマシンはコックピットを陽にあてないよう、傘を置いたりカバーをかけたり、中にはムシロで覆っているチームもいた。全車グリッドに並んでレーススタート。

ポールポジションの酒井の蹴り出しがよく先頭を奪うと、2番手スタートの津田がそれに続く。3番グリッドの切替悠喜(ファーストガレージRSDS2)に対して4番グリッドの内藤大輝(RCIT RaiseUP ED)が迫り、第1コーナーでアウトから狙う素振りを見せるが切替が守る。3列目の相田有羽音(ZAP SPEED 10VED)、畠山退三(Hobby base&zap)とグリッド順に続き、後方では9番グリッドからスタートの池田悠亮(TOPRANKスーパーウィンズ)の加速がよく、8番手スタートのMAKOTO MIZUTANI(HC桶川MRPYTTZAPED)にアウトから並びかけて第1コーナーへ。サイド・バイ・サイドで抜けるとがこちらもMIZUTANIが8位を守る。さらにバックストレートでは4位内藤と5位相田がテール・ツー・ノーズとなるが、ここも内藤が順位を守る。
各所でバトルが展開したオープニングラップを終えてトップ酒井と2位津田は0秒859の差。3位切替は津田と0秒573の差でコントロールラインを通過。0秒120差とテール・ツー・ノーズ状態で2周目に入った内藤対相田のバトルは相田がダンロップコーナー出口でオーバーテイクに成功、4位に浮上する。さらに畠山も3周目に内藤を仕留めて5位へ上がりマスターズクラスのトップをキープ、クラス2位の秋山は7位だ。
3周目を終えて酒井は津田に1秒287差と僅かずつギャップ拡げていく。3位切替はそこから1秒488差と2台のペースについて行けない。この周8位を走行のMIZUTANIがダンロップコーナー出口でコースオフ、池田と小笠原優人(ELEVレーシングS2制動屋)がそれそれ8位、9位へ順位を上げる。MIZUTANIはコースに戻るものの最下位にドロップ。
酒井は6周目に59秒204、8周目に59秒169とファステストラップを更新し続け津田との差を1秒739まで拡げる。3位切替、4位相田と3~4秒のギャップでトップ4台は膠着状態。その中で5位畠山と6位内藤が接近、一度は前に出た畠山だが内藤も逆転のチャンスを狙っており、6周目は0秒190の差まで接近。その後も0.3~0.4秒程度の差で内藤がプレッシャーをかけ続けている。
レースは10周目に入り後半戦へ。順位の変動はないものの、畠山を先頭にした5位争いには内藤に続いて秋山も接近。内藤をマスターズクラスの2台が挟んだ格好で、0秒456の差のワンパックで走行。この中でペースがいいのが秋山で、13周目の第1コーナーで内藤のインから仕掛けに行くが、コーナーのエイペックスで秋山のノーズと内藤の右リヤダイヤが接触、内藤が姿勢を乱してスピン。再スタートを切ったものの最下位まで順位を落としてしまう。秋山もポジションを落とし、池田が6位に順位を上げる。
12周目、13周目とトップ酒井と2位津田は1.7秒前後の間合いを保ったまま走行。津田は59秒2~3のラップタイムで追走を続けているが、酒井も同様のペースでギャップを守り続けている。3位以下は切替、相田、畠山と続き、13周目の接触で池田の先行を許した秋山が再びペースを上げて14周目に0.170秒差まで接近、16周目のコントロールラインではサイド・バイ・サイドとなり同タイムで通過すると第1コーナーまでにオーバーテイクを完了。6位に順位を戻す。
16周目、酒井はややペースを緩めたか、津田が1秒494と僅かにギャップを削り取る。17周目も1秒463の差としてファイナルラップへ。ここで津田は59秒164と酒井のタイムを上回る本日のファステストラップを出すが、時すでに遅く酒井が1秒412の差でチェカードフラッグを受けて優勝を決めた。2位津田に続いて3位切替は7秒以上の差、以下4位相田で5位畠山はマスターズクラスのトップとなった。6位フィニッシュの秋山だったが、13周目の内藤との接触でフィニッシュタイムに40秒加算というペナルティが課されて降着、10位というリザルトとなりマスタークラス2位は変わらず、これで7位フィニッシュの池田が6位に繰り上がった。
暫定表彰式はメインストレート上、グランドスタンド前で行われ、酒井、津田、切替とファーストガレージ勢の3名が表彰台に登壇。トロフィーと賞金ボードが贈られたのちにノンアルコールのスパークリングファイトが行われた。
今回の大会はJAF筑波・富士スーパーFJ選手権と共に、全国各地のサーキットで行われるスーパーFJジャパンリーグの第4戦にも位置付けられており、同シリーズ第1戦岡山、第2戦SUGO、第3戦オートポリスと酒井が3連勝しており今回の筑波で4連勝となった。今後もてぎ(2戦)」鈴鹿、富士と4レースが予定されているが、2位グループに19点の大差をつけており、次戦もてぎでの結果次第ではチャンピオン確定の目がある。
一方筑波・富士シリーズの方はポイントリーダー津田85点に対して酒井が優勝で62点と接近、残りは3戦で予断を許さない状況。次戦は約2カ月のインターバルを置いて9月14日に筑波で開催される。










Text: Junichi SEKINE
Photo: Kazuhiro NOINE
Mizue NOINE
Asako SHIMA