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全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.6/4

                     ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP
                       1997  GT INSIDE REPORT
  Round 6 SUGO GT CHAMPIONSHIP                                 26 Oct.'97
   Race Report                    決勝レース                   FMOTOR4版
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大混戦の最終戦
雨の狭間を突いたNo.5 5ZIGEN SUPRAが初優勝!
正美の健闘届かずチャンピオンはクルム/デ・ラ・ロサ組に


 10月26日、スポーツランドSUGOで全日本GT選手権第6戦(最終戦)の決勝レース
が行われた。レース直前から雨が降ったり止んだりと天候が目まぐるしく変わるな
か、接近戦が展開され、特に終盤は目まぐるしくトップを含め順位が変わる混戦と
なった。その中、終盤を堅実に走ったNo.5 5ZIGEN SUPRAがGTC初優勝を飾った。GT
300クラスもNo.71シグマテック911が今季初優勝となった。
 チャンピオン争いはランキングトップのNo.36カストロール・トムス・スープラと
2位のNo.39デンソーサードスープラGTが序盤で接触し、No.36は大きく遅れ入賞圏
外となったが、No.39が上位入賞できなかったため、No.36ミハエル・クルム/ペド
ロ・デ・ラ・ロサ組がチャンピオンとなった。

スタート前に突然の雨。
それが混乱の始まりだった。

 決勝レースのスタート2時間ほど前に急に雨が降り路面はウエット状態となって
しまった。雨自体は20分ほどで止んだのだが、気温の低さから決勝レーススタート
時になっても乾かなかった。このため、急遽レインコンディション下のフリー走行
を15分行った。
 そして、路面が乾かない状態でレースはスタートとなった。フロントローの2台
のNo.100 RAYBRIG NSX・飯田章とNo.18 avex無限童夢NSX・黒澤琢弥が1コーナーへ
ならんで進入し、なんとNo.100がスピン、リカバリーしたものの28番手近くまで落
ちてしまった。一方、この先陣争いを制したNo.18は、2番手のNo.37カストロール
・トムス・スープラ・関谷正徳を徐々に引き離し、単独走行となる。2番手争いは
No.37、No.38カストロール・セルモ・スープラ・金石勝智、No.8 POWERCRAFT 
SUPRA、W.ガードナー、No.5 5ZIGEN SUPRA・M.グーセンのスープラ勢が1秒間隔ほ
どで競り合う緊迫した争いとなる。そして単独6番手にNo556 KURE R33が。ランキ
ング1、2位でチャンピオンを争うNo.36カストロール・トムス・スープラのM.クル
ムとNo.39デンソーサードスープラGTの影山正美は7、8番手。その後ろにはNo.2 
ZEXELスカイライン、No.12カルソニックスカイラインがほとんど差がなく4台がテー
ル・トゥ・ノーズ状態となる。スピンで遅れたNo.100は凄まじい追い上げで中盤の混戦
を掻き分け、わずか12周で6番手に復帰した。
 そして、19周目のストレートでNo.39のテールとNo.36のノーズが接触。No.39はそ
のまま走り続けたが、No.36は左フロントフェンダーを大破してピットへ戻る。普段
ならリタイヤするほどの破損だったが、チャンピオン争いを少しでも有利にするた
め、トムスは修理を決断し長時間の作業に入った。
 この頃になると、雲が途切れて日差しが強くなる。路面はドンドンと乾いてい
き、20周を過ぎる頃には走行ラインはドライ状態となる。このころからトップNo.18
のペースが上がらなくなり2番手集団のNo.8、No.37、No.38がじわじわと近づき差
は5秒程度となる。レース中盤となり、各車ルーティン(予定)のピットインへ。
コースコンディションを見てすべてのチームがスリックタイヤへと交換した。10番
手を走行していたNo.39が37周目にピットイン。ここでNo.36との接触で壊した右リ
アフェンダーがジャマしてタイヤ交換が速やかに出来ずに1分40秒近い時間をロ
ス。順位こそ13位での復帰だったが、これでチャンピオンの可能性は絶たれたかに
見えた。

ウェットからドライ。そして...
サバイバルレースは意外な結果に

 各車のピットが終わった47周目には、No.100、高橋国光が4番手にまで復帰、
トップNo.18山本勝巳の後方のNo.8長坂尚樹、No.37鈴木利男、No.38竹内浩典からな
る2番手集団の後ろにぴったりとくっつき4台でのサイド・バイ・サイドを展開す
る。その後ろにはNo.5田嶋栄一、No.2鈴木亜久里、No.556近藤真彦の順番に。だが
No.556はエンジントラブルで脱落する。
 そして、No.37は60周目の1コーナーでパスして、2位となる。これでこの時点
で10番手のNo.39が6位以上にならないとNo.37関谷/利男組の逆転チャンピオンと
なる。
 そしてこの頃からまたもや雨がコースを濡らし出す。トップNo.18はこのためか
ペースが大きく落ち、2番手No.37が差を詰めていく。一方、雨の降りはさらに強
くなり、スリックを履いている各車の挙動が安定しなくなる。
 そして、69周目の馬の背コーナーでNo.18山本がスピン。再スタートは出来たも
のの一気に4番手に落ちた。これでNo.37がトップに立つが、次の周にこの雨でも
ペースの良かったNo.38にかわされて再度2位に。だが、No.38も73周目に1コー
ナーでスピンし、グラベルにはまり自力で脱出することが出来ずに入賞圏外へと落
ちた。これでラスト8周。トップに立ったNo.37がも大逆転でチャンピオンと誰もが
思った76周目に、なんと利男がヘアピンで痛恨のスピンアウト。順位を3番手に落
とす。
 これでトップに立ったのはこの悪条件下で手堅く走ったNo.5 5ZIGEN SUPRAだっ
た。No.5はこのまま順位をキープして初優勝を飾った。ドライバーの田嶋も途中1
度スピンをしたが素早いリカバーで事なきを得て我慢の走りの結果だった。
 ラスト5周では2番手にNo.100が上がって来たのだが、その周の馬の背でスピ
ン。後半の混乱を後目に上がってきたNo.2亜久里が変わって2番手になるが、なん
とファイナルラップでスピン。再度気力の走りでリカバーしてきたNo.100 RAYBRIG
 NSX国光がこれをかわして結局2位でゴールした。3位はNo.2 ZEXELスカイライン
となった。
 チャンピオン争いだが、一時はトップを走ったNo.37は結局4番手に落ちてアウ
ト。そして、No.39谷川達也は交代してから1度スピンしたものの、コース上に残
り走り続ける。終盤、上位陣の混乱で順位を上げたが最終的に7位となった。
 この結果、No.36クルム/デ・ラ・ロサ組とNo.39影山正美は、ともに67ポイント
で同点となり、優勝回数も2回、2位1回も同じ。No.36は1度の3位入賞がある
が、No.39はこの次の入賞が5位のためにNo.36のチャンピオン獲得が決定した。な
お、チーム・タイトルはTOYOTA Castorl TEAMが獲得した。

コンディションの変化を味方に
最速つちやMR2を制したシグマテック911が初優勝
チャンピオンはわずか1ポイント差でRS☆Rシルビアの手に

 GT300クラスは、ウエットコンディションの序盤から、なるべく高いギアでトル
クをかけずに走ったNo.71シグマテック911(星野薫/城内政樹組)が、スタート直
後の2周目に4位、4周目にはNo.27フェラーリをかわし、さらに5周目にはNo.25
つちやMR2の背後に迫る。9周目にはとうとう1コーナーのブレーキングでトップ
に立ち、39周目には70秒のマージンを得てピットストップ。星野から城内へのドラ
イバー交替も無事に終える。53周目にいったんはNo.25つちやMR2の先行を許したも
のの、終盤の雨の中の69周目に再びNo.25土屋武士をかわしたNo.71城内が、見事に
初優勝のチェッカーを受けた。
 シリーズは、5位でチェッカーを受けたNo.19RS☆Rシルビア(織戸 学/福山英
朗組)がNo.26タイサンスターカードRSR(鈴木恵一/新田守男組)にわずか1ポイ
ント差をつけて獲得した。チーム・タイトルもNo.19のRS-Rレーシングチームwith 
BANDOHのものとなった。



ウィナーズ・コメント
総合優勝
No.5 5ZIGEN SUPRA
田嶋栄一「うれしーいっ!!!! 最後に勝ててほんとうによかった。勝てるなんて
全然予想してなかった。ボクも1回スピンしたんだけど、前がどんどんスピンし
てくれたんで勝つことができた。タイヤもよかった」
マーク・グーセン「とてもうれしい。チームスタッフがハードワークをこなして
くれた。メカニックにはほんとうに感謝している」

No.71シグマテック911
星野 薫「1コーナーのブレーキングでトップに立ちました。1分10秒離れてま
したが、長嶋くんから武士くんへ代わるのでわからないと思った。走り方として
クルマはなるべく高いギアを使ってトルクをかけずに走った。いいレースでした
ね。タイヤのおかげ。GT300クラスでは1年半ぶりの優勝ですね」
城内政樹「スリックではNo.25に負けていたんです。一度抜かれたが、路面が濡れ
てきたらポルシェのほうがトラクションあるんで前に出られた。雨はダンロップ
のほうが有利だと思うから、雨が幸いでした。タイヤも勝因。メカがやってくれ
たセットもよかったです」


'97 GTC総合チャンピオン
No.36 カストロール・トムス・スープラ
ミハエル・クルム「ほんとうにうれしい。トヨタ・カストロール・チームのス
タッフ、メカニックに感謝したい。ドウモアリガトウ」
ペドロ・デ・ラ・ロサ「ボクはこれでフォーミュラ・ニッポンと二つタイトルを
とることができた。でも、クルムにとっては唯一のタイトルだから、彼のために
もよかったと思う。ほんとうにうれしい。チームのみんなに感謝したい。来年の
ことはまだわからないが、日本で走る機会があったら、また応援してください」


'97 GT300クラス・チャンピオン
No.19 RS☆R シルビア
福山英朗「ほっとしたね。こんなスリリングなレースだったから。グリップが辛
かったし、前のクルマが見えないから、位置関係がわからなかった。織戸君には、
お疲れさまとしか言いようがない。よくやってくれた」
織戸 学「峠のチャンプから全日本のチャンプになれた。フレッシュマンで初チャ
ンプをとって以来で、すごくうれしい。とりあえずよかった。レース中は順位が
全然わからず、クルマを下りてきてからチャンプがわかった」


以上
                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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