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SGT:第4戦SUGO決勝 ARTA HSV-010が今季初優勝、GT300のARTA CR-Z GTとMUGEN CR-Z GTは2戦連続の1-2フィニッシュ (HONDA)

  • 2013年7月28日(日)・決勝 会場:スポーツランドSUGO(3.704km) 天候:曇りときどき雨 気温:26℃(14:00時点) 路面温度:40℃(14:00時点) コースコンディション:ドライのちウエット 観客:2万6500人 周回数:81周

 7月28日(日)、宮城県仙台市郊外のスポーツランドSUGOにおいて、2013 オートバックス SUPER GT第4戦「SUGO GT 300km RACE」の決勝レースが行われました。

gt130728001L.jpg  昨日の予選では深い霧に覆われる天候に加え、セッション終盤には強い雨が降り始めるコンディションの中、#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)がHonda勢のトップとなる3番グリッドを獲得。そして#17 KEIHIN HSV-010(金石年弘/塚越広大組)も4番グリッドを獲得し、Honda勢の好調ぶりを印象づけました。さらに#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)は6番グリッド、ポイントリーダーの#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)は7番グリッド、そして#32 EPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐組)は15番グリッドから、シーズン前半の締めくくりとなる一戦に挑むことになりました。

 この日のスケジュールは午前9時から30分間で行われるフリー走行で始まりました。このときは早朝に降った雨の影響で、コースの一部が湿っていましたが、セッションが始まったときは、すでに雨は止んでおり、その後、コースは次第に乾いていきました。このため、各車ともセッション終盤に向けて徐々にタイムを上げていく展開となりました。途中、GT300の車両がコースアウトした影響で赤旗が2回提示され、セッションは予定より5分延長して9時35分まで行われましたが、残り10分を切ると#100 RAYBRIG HSV-010、#17 KEIHIN HSV-010、#18 ウイダー モデューロ HSV-010がトップ3を独占。さらにセッションの終了間際には#8 ARTA HSV-010が1分17秒153を記録してトップに浮上し、4台のHSV-010 GTがトップ4を独占。決勝に向けて期待の持てる結果となりました。

 決勝レースでは、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は山本選手、#17 KEIHIN HSV-010は金石選手、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手、そして#32 EPSON HSV-010は道上選手がスタートドライバーを務めました。

 スタートの午後2時が近づくとサーキット周辺には時折り薄日が差し込み、雨の心配がない空模様となりました。1周のフォーメーションラップ後にローリングスタートが切られると、3番グリッドからスタートした#18 ウイダー モデューロ HSV-010の山本選手は2番手への浮上を狙い、1コーナーでライバルのイン側に飛び込もうとしましたが、十分なスペースがないために、いったん後退してポジションは変わらず3番手でオープニングラップを終えました。後続の#17 KEIHIN HSV-010は4番手、#8 ARTA HSV-010は6番手、#100 RAYBRIG HSV-010は7番手、#32 EPSON HSV-010は15番手と、いずれもスターティンググリッドと順位は変わらずに、それぞれオープニングラップを走りきりました。

 5周目、それまで4番手を走行していた#17 KEIHIN HSV-010は駆動系のトラブルが発生したためスロー走行となり、ピットに戻りました。ここで補修作業を受けた#17 KEIHIN HSV-010はコースに復帰しましたが、間もなくトラブルが再発し、リタイアに追い込まれました。これと前後して14番手を走行していたライバルの1台もトラブルのためリタイア。この結果、GT500クラスは13台で競われることとなりました。

 スポーツランドSUGOは、SUPER GTが開催されるサーキットとしては3.704kmと全長が比較的短いため、GT500クラスの車両は次から次へとGT300クラス車両を追い越さなければなりません。しかも、コース幅が狭いために追い越しは容易ではなく、わずかにタイミングを逃すだけでも大きなタイムロスにつながります。このため、各ドライバーはアクシデントを起こさないように慎重にドライビングを心がけながらも、ときには一気にオーバーテイクを仕掛ける大胆さを発揮しなければなりません。順位の変動は少ないものの、一瞬も目を離すことができない緊張した戦いが繰り広げられました。

 13周目、反則スタートを行ったとして6番手を走っていたドライバーにドライブスルー・ペナルティが科せられます。このドライバーは14周目にペナルティを消化し、最後尾へと後退しました。

 15周目、周回遅れの処理でわずかに遅れた#18 ウイダー モデューロ HSV-010は、直後につけていたライバルに攻略され、4番手へと後退しました。また、#8 ARTA HSV-010も19周目にライバルに攻略され、20周目には#100 RAYBRIG HSV-010にも追い越されて7番手へと後退します。しかし、その後は順位の変動は少なく、各ドライバーは慎重に周回を重ねて中盤戦を迎えます。

 31周目を迎えるとGT500クラスにもピットストップを行うチームが出てきました。Honda勢で最初にピットストップを行ったのは#100 RAYBRIG HSV-010の37周目。続いて#18 ウイダー モデューロ HSV-010は39周目、#8 ARTA HSV-010は40周目、#32 EPSON HSV-010は41周目にピットストップを行いました。GT500クラスの全車がピットストップを終えた47周目の段階で、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は4番手、#100 RAYBRIG HSV-010は5番手、#8 ARTA HSV-010は8番手、#32 EPSON HSV-010は13番手につけています。後半を受け持つドライバーは、#8 ARTA HSV-010は松浦選手、#18 ウイダー モデューロ HSV-010はマコヴィッキィ選手、#32 EPSON HSV-010は中嶋選手、#100 RAYBRIG HSV-010は小暮選手です。

 この直後、2番手争いを演じていた2台のライバルが激しいバトルの末に接触。1台はダメージを受けてピットに戻り、もう1台もスピンを喫して遅れます。この間隙をついて#18 ウイダー モデューロ HSV-010は2番手に浮上しました。

 55周目、コースの一部で雨が降り始めました。雨はやがてサーキット全体で降り始め、これに伴い、それまで1分19秒台のラップタイムで走行していたトップグループは1分22秒台までペースを落とします。各チームはこのままスリックタイヤでいくか、レインタイヤに切り替えるかの判断をするため、戦況を見守っていましたが、雨脚が強まると予想した#32 EPSON HSV-010は59周目にいち早くピットストップを行うと、レインタイヤへの交換を行い、コースへと復帰していきました。

 60周目、雨脚はさらに強まり、ラップタイムは1分25秒台まで低下しました。ドライ用のスリックタイヤで走行するにはギリギリのコンディションで、#32 EPSON HSV-010以外にもレインタイヤに交換するチームが出てきますが、上位陣はそのままスリックタイヤでの走行を続行することを選択します。

 65周目、滑りやすいコンディションのなか、周回遅れの処理で手間取った上位陣のギャップが急速に縮まり、トップから4番手までの間隔は2秒ほどになります。この段階で#18 ウイダー モデューロ HSV-010は2番手、#100 RAYBRIG HSV-010は4番手、#8 ARTA HSV-010は6番手につけていました。

 67周目、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は直後につけていたライバルに攻略され、3番手に後退します。このライバルは続いてトップを狙って先頭のマシンとの争いを演じましたが、2台は接触。追い上げていったライバルの1台はスピンして遅れ、残る1台も接触でダメージを負います。ここでペースが鈍ったライバルを、#18 ウイダー モデューロ HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010は左右に分かれて同時に追い抜こうと試みましたが、3台は相次いで接触。#18 ウイダー モデューロ HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010はこのアクシデントで深刻なダメージを負い、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は、その場でリタイア。#100 RAYBRIG HSV-010はピットまで戻ったところでリタイアに追い込まれました。ここで2台のHSV-010 GTに挟まれる形となったライバルもダメージを負ったためにペースが鈍り、わずか1周の間にトップ争いを繰り広げた4台が優勝戦線から脱落する波乱の展開となりました。

 この多重アクシデントの影響で#8 ARTA HSV-010が2番手へと浮上し、さらにトップのライバルの背後へと急速に迫っていきます。そして73周目にはライバルの攻略に成功、このレースで初めてトップに立ちます。

 その後、雨脚はさらに強まり、各車は滑りやすいコンディションのなか1分26~8秒台までペースを落とします。しかし、#8 ARTA HSV-010に乗る松浦選手はミスのないドライビングで81周のレースを走りきり、2番手のライバルに2.5秒の差をつけてフィニッシュ。今季、初優勝を果たしました。なお、ARTAがGT500クラスを制したのは2010年第6戦鈴鹿大会以来のことです。

 #32 EPSON HSV-010はレース終盤にピットストップを行った影響もあり、トップから2周遅れの8位でフィニッシュ。今季、初の入賞を果たしました。#100 RAYBRIG HSV-010と#18 ウイダー モデューロ HSV-010はいずれも最後まで走りきれませんでしたが、規定周回数を満たしていたため、アクシデント後にピットまでたどり着いた#100 RAYBRIG HSV-010は12位、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は13位となりました。

 この結果、ドライバー部門のシリーズポイント争いは、#100 伊沢/小暮組(RAYBRIG HSV-010)が35点で引き続きトップを守り、今回の優勝で20点を手に入れた#8 ファーマン/松浦組(ARTA HSV-010)は計28点で4位に浮上しました。#17 塚越/金石組(KEIHIN HSV-010)は計21点で9位、#18 山本/マコヴィッキィ組(ウイダー モデューロ HSV-010)は計15点で11位、#32 道上/中嶋組(EPSON HSV-010)は3点で14位となっています。

 一方、GT300クラスでは#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)と#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)が激しいトップ争いを演じた末に、#55 ARTA CR-Z GTが優勝。#16 MUGEN CR-Z GTも2位に入り、前戦に続いて1-2フィニッシュを達成。ARTAはGT500クラス、GT300クラスの同時優勝を果たしました。

 次戦は8月17日(土)、18日(日)に鈴鹿サーキットで開催されます。

松本雅彦|Honda GTプロジェクトリーダー
 「今季ここまで不振に苦しんできた#8 ARTA HSV-010が優勝し、本当にうれしく思っています。予選を6番手で終えた#8 ARTA HSV-010は、レース序盤を手堅く走りきったほか、雨が降り始めたレース後半に入っても、1つもミスを犯すことなく、松浦選手は安定したペースで最後まで走りきってくれました。これでシリーズポイント争いでは4番手に立ったので、今後の展開次第ではチャンピオンも狙えます。非常に楽しみな状況だと言えます。一方、上位入賞だけでなく、優勝も狙えた#100 RAYBRIG HSV-010と#18 ウイダー モデューロ HSV-010が、ともにアクシデントで倒れたことは残念でなりません。ただし、ポイント争いで上位につけているチームの多くも今回は無得点に終わったので、そういった意味では不幸中の幸いだったといえるかもしれません。現時点では#100 RAYBRIG HSV-010がポイントリーダーの座を守っていますが、ランキング6番手との差はわずかに11点で、ウイナーに25点が与えられる第5戦鈴鹿大会の結果次第では大きく順位が変動する可能性も残されています。したがって、今後も気を緩めることなく、毎戦確実にポイントを積み重ねることを目標に後半戦を戦っていくつもりです。今後とも5台のHSV-010 GTへのご声援をよろしくお願いします」
ラルフ・ファーマン(優勝 #8 ARTA HSV-010)
 「最高の気分です。いつもサポートしてくれているHondaやチームのみなさまに感謝しています。そして、雨の中でのパフォーマンスがすばらしかった松浦選手にも、とても感謝しています。今シーズンはなかなかいい結果に結びつきませんでしたが、この優勝を皮切りにチャンピオンシップを目指してがんばりたいと思います」
松浦孝亮(優勝 #8 ARTA HSV-010)
 「自身では2003年以来10年ぶりの優勝で、SUPER GTでは初めて優勝ができました。苦しい時期もありましたが、Hondaやチーム、多くのスポンサーが僕たちを支え続けてくれたことが、この優勝につながりました。これからはウエイトも重くなり、難しいレースが続くかと思いますが、今日よりも、もっといいマシンをファーマン選手と一緒に作り上げていきたいと思います。この優勝で浮かれずに気を引きしめて次戦以降も戦い、また表彰台のセンターに立てるようにがんばります」
鈴木亜久里|AUTOBACS RACING TEAM AGURI 代表/監督
 「とても荒れたレースになりましたが、なんとか生き残って優勝できました。今までGT500クラスとGT300クラスが同タイミングでの表彰台はありましたが、同時優勝はチーム創設以来、初のことなので、本当にうれしいです。実は、雨が降り始めた際、個人的には、レインタイヤに履き替えさせようと思っていました。なぜピットインしないのか、と怒りもしましたが、松浦選手が難しいコンディションの中でも、がんばっていたし、小林選手は冷静かつ的確に状況を報告してくれていたので、ピットに入れずにそのまま戦う判断となりました。そのような選手のがんばりが今回の同時優勝という結果につながったと思います」
Text & Photo: HONDA


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