Japanese F3

SKILL SPEED F3 REPORT 4/18

SPEEDMASTER SKILLSPEED INFORMATION
RACE REPORT
18th APRIL 1999
TSUKUBA CIRCUIT

波瀾のウエットレースをくぐり抜け6位入賞

 木曜日から快晴に恵まれてきたが、決勝日になって雲行きが怪しくなってき
た。結論からいうと、またもウエットレースとなった。どんな条件下において
も、かまわないが、しかし、決勝レース直前に降り始めるのだけは、やめてほ
しい。サポートイベントで赤旗中断が続出しなければ、ドライでの決勝になっ
ていたはずというほど、ぎりぎりまで雨雲も我慢してくれていたんだが。さ
て、ウエット路面で迎えた決勝レースは、ウエットセットに変更するためスタ
ート直前は各チーム混乱したが、それ以上に決勝レースは波瀾に満ちた展開と
なった。

 4番グリッドからジャンプアップを狙っていた伊藤大輔は、昨晩から何回も
シミュレーションをくり返し、それをシグナルがグリーンに変わると同時に実
行した。「ほぼイメージどおりだった」と本人が認めるほど、ベストスタート
を見せた伊藤は、予選3、4番手の金石、松田選手を攻略したかに見えた。松
田選手は完全に抜き、金石選手に対してアウト側から並んで1コーナーに突
入。しかし、アウト側で踏ん張った伊藤の方が旋回スピードにまさり車体半分
ほどリードしてコーナリングを開始。こうなると、立ち上がりで有利、これで
2位! と誰もが思った。しかし、あろうことか、ブレーキを遅らせすぎたか
金石選手のさらにイン側に好スタートを切った黒澤選手(予選5番手)がノー
ズを押し込んできて、3台並んだかたちで、1コーナーの争いとなってしまっ
た。案の定と言うべき、インに飛び込んできた黒澤選手に怯んだか金石選手が
スピン。こうなるとたまらないのが、一番アウト側にいた伊藤だ。スピンした
金石選手が伊藤の右リヤタイヤに接触、伊藤もコース外に弾き飛ばされてしま
ったのだ。金石選手はその場でリタイヤ。そしてこの混乱で松田選手、谷川選
手といったこの週末トップ争いを展開してきたメンバーが一瞬にして優勝争い
から脱落してしまった。

 伊藤のマシンにはダメージがなかったが、コースに復帰できた時は15番手
まで落ちてしまっていた。しかし、そこから伊藤はウエットの中猛烈な勢いで
追い上げを見せた。3周目に13番手、その次ぎの周には12番手に。常に混
戦の中にいたので、単独走行にばらけてしまったトップグループとラップタイ
ムでは劣っていたが、伊藤は強力にプッシュし続けた。15周目にはようやく
トップ10に入ってくる。そのあたりから雨は一段と強くなっていき完全にヘ
ビーウエットとなったが、そんな中で伊藤は7番手までポジションアップ。前
は前戦と同様谷川選手、後ろは松田選手、つまりスタート直後の1コーナーに
巻き込まれたグループが三つ巴戦を展開しながら上位に進出してきたのであ
る。サイドバイサイドの戦いを展開しながら、残りの周回を重ねていったが残
り7周で、トップグループのうちのひとりがコースアウト。自動的に6番手に
浮上した。激しい攻防の末、谷川選手、伊藤、そして松田選手の順でになだれ
込むようにしてゴールラインに飛び込んだ。

 この6位入賞をどうみるかは個々の判断にお任せするが、この週末の伊藤の
頑張りには目を見張るものがあった。特にウエットの決勝レースで見せたそれ
は、これまで以上に伊藤の速さ、強さを感じ取ることができた。手前味噌では
あるが、価値ある6位、1ポイントと考えている。それだけに単なるレースア
クシデントとして処理されてしまう1コーナーのアクシデントが悔やまれるの
だが。

 次の富士ラウンドこそは、優勝を狙う。その手応えは今回で充分あった。


◆正式決勝結果/17周(トップ10)
      ドライバー   所要時間  ファステストタイム チーム  
 1:D マニング  45分51秒043 1分00秒041   TOM'S
 2:黒澤 治樹     -3秒135 1分00秒022   LIAN RACING   
 3:W エブラヒム   -4秒253 1分00秒041  TODA RACING
 4:R ビルタネン   -16秒792 1分00秒038  TEAM 5 ZIGEN
 5:谷川 達也     -26秒508 1分00秒415  PAL SPORT
 6:伊藤 大輔     -27秒467 1分00秒214  SPEEDMASTER SKILLSPEED
  7:松田 次生     -27秒796  0分59秒737  NAKJIMA HONDA
 8:内山 清士      -51秒881 1分00秒774   NIHONKIZAI RACING TEAM
 9:五味 康隆     -55秒257 1分00秒842  TMS
10:井上 智之     -55秒413 1分00秒897   TOM'S


伊藤大輔:「悔しい。スタートはほぼ完璧だった。あれは金石選手が少し踏ん
張りすぎたかな。真横でスピンされては避け切れない。そのまま当たらずに行
っていたら、2番手になっていただけにすごく残念。マシンにダメージがなか
ったのはラッキーでした。順位は何位まで落ちたかわからないけど、とにかく
それからは全力で走った。前はまた谷川選手、そして後ろからは松田選手、彼
らとバトルしながら前のマシンを抜いていった。松田選手とは、何回かあたっ
たかな? よく頑張ったと言ってくれる方が多いのは嬉しいですが、やはりす
ごく悔しい。とにかく自分自身のためばかりでなく、応援してくれるみんなに
喜んでもらえるようなもっといい成績を残したかった。もう今度の富士では誰
にも前にいかせません!」

百田義弘:「今日のアクシデントに関しては自分のミスではないから、しかた
がない。それよりもむしろ、その後の追い上げを高く評価したい。雨で自分の
力を出し切れていないことを口には出さないけど気にしていたと思うが、今回
や前回のレースで自信をつけたと思う。もともと速いドライバーだから、これ
でこちらとしても自信を持って送り出すことができる」

深尾栄一:「スタート直後は今日は面白くなると思っていたんですが。運も含
めて勝つための要素をすべて揃えないと勝てないというのを改めて思い知っ
た。技術を磨くためや、ドライバーの練習のためにレースをやっているわけで
なく、あくまでも勝つことを目標にやってきているわけで、木、金のトップタ
イムや6位では当然満足していません。しかし、その勝つための要素をひとつ
ひとつ固めていっている段階という観点にたった場合、そのプログラムは極め
て順調といえます。次のレース、富士ではチーム一丸となって“もっと”がん
ばります。

NEXT ROUND ? 5月2日 全日本F3選手権第3戦 富士スピードウェイ


                        SKILL SPEED 深尾栄一



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