SUPER GT

SGT:吉本大樹レースリポート"triple a vantage GT2、予選2番手から波乱の展開を制し、スーパーGTシリーズ初優勝!!"

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【Hiroki Yoshimoto Race Reprot 2011】
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2011.05.21-22
11' SUPER GT SERIES Round_1
Okayama International circuit
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【公式練習・予選】 2011.05.21 (Sta)
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triple a vantage GT2 岡山でも速さは健在!
2番手タイムで決勝フロントローを獲得!!

前戦富士、triple a vantage GT2は公式練習から速さを見せ、予選では見事決勝の3番手スタートを手に入れた。しかし迎えた決勝日、悪天候の中で下したタイヤ選択が完全に裏目に出てしまい結果はまさかのクラッシュ&リタイヤ。レース直後はさすがに落胆の色を隠す事が出来なかった吉本大樹であったが、「この借りは必ず岡山で返します・・・」とのコメントを残しサーキットを後にした。

そして迎えた本来の開幕戦、岡山ラウンド。東日本大震災の影響から当初の予定では開催されず、第2戦富士の後に回る5月3週目での開催となったラウンドであるが、今回のレースも前回同様、金曜日に特別走行枠が設けられる形でのレースウィークスタートとなった。その金曜日の走行枠では前戦のクラッシュの影響を全く感じさせない走りを見せたtriple a vantage GT2。今回の岡山ラウンドはコース特性から「JAF-GT車両勢有利」とも言われてきた中、吉本大樹、星野選手ともに順調に周回を重ね、翌日土曜日の走行にまずまずの仕上がりで挑む事となった。

迎えた土曜日の練習走行は午前9時ちょうどにスタート。このセッションは全時間帯GT500、GT300両クラスの混走で行われた。この日の岡山は早朝に小雨が降ったものの、走行開始時間には雨は上がりコースもドライ。朝の時点でウェット宣言が出されておりレインタイヤの使用も許されたものの、結局レインタイヤを装着する車両はいなかった。triple a vantage GT2はこの走行で予選、決勝に向けたセッティングの調整と最終確認を行いながら10番手のタイムをマーク。トップとは0.7秒差と、まずまずの状態を保ちこの公式練習セッションを終える。そして午後に入り、公式予選は心配された雨も降ることなく予定通りの12時30分に始まった。

今回の予選はQ1、Q2、Q3という3セッションから成るノックアウト方式。予選Q1は合計1時間の走行時間があるが、最初の40分間は500・300クラスの混走セッションとなり、ここでは全ドライバーが予選通過基準タイムをクリアする必要がある。そしてその後行われる各クラス10分間の占有セッションでQ2進出を賭けたアタックを行い、GT300クラスは16位までがQ2に進出する事が出来る。そのQ1セッション占有走行枠でtriple a vantage GT2のステアリングを握ったのは吉本大樹。その吉本はQ1終了後に「マシンが全然曲がらなくて、正直(Q1を通過出来るか)危なかった・・・」いうとコメントを残したものの、ここは悪いながらにしっかりと12番手タイムをマークしQ2に進出。さらに今度は直後のQ2セッションを担当した星野選手が7番手のタイムで上位10台が進出するQ3に危なげなく駒を進めると、最終Q3セッションでは吉本大樹が素晴らしいアタックを魅せる。

Q3セッションはQ2で使用したユーズドタイヤを使用しなければならないが、吉本は8分間のセッションの残り3分となったところでまず1"33"428をマーク、何と一気にトップに躍り出る。その直後には#43 ARTA Garaiya(高木真一選手)が1"33"389をマークし一時逆転を許すも、吉本は続くアタックラップでさらにタイムを更新、1'33"380を叩き出す圧巻のアタックで再度タイミングモニターの最上段へ返り咲く。「これで初PP獲得か!」と思われた#66 triple a vantage GT2。ところがセッション終了直前、このタイムは無情にも#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458にわずか0.1秒上回られ、最終的には惜しくもPP獲得とはならず。しかしそれでも決勝フロントロースタートとなる2番手を確保した吉本は、 チームに参戦以来最高グリッドを持ち帰り、公式予選を終了する事となった。

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【決勝】 2011.05.22 (Sun)
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トップ浮上~スピン、そして残り5周での逆転劇
波乱の展開を乗り切り、triple a vantage GT2、GT初優勝!!

前日の予選では、戦前の「JAF-GT車両有利」の下馬評を完全に覆す素晴らしいアタックを魅せたtriple a vantage GT2。しかし決勝日となった日曜日は朝から土砂降りの激しい雨が降り午前の公式練習が中止となる等、サーキットは前戦富士を彷彿させる波乱の予感に包まれた。

しかし朝から激しくサーキットを濡らした雨は昼前にあがり、スタートまで15分程となった時点でコース状況はドライコンディション。雲は多いながら時折日差しも差し込み、路面温度もじわじわと上がっていく気配をみせる。そして午前のフリー走行が中止となった事を受け決勝前に行われた25分間のウォームアップセッションを経てグリッドに着いたtriple a vantage GT2のステアリングを握ったのは星野選手。その星野選手は吉本大樹、チームスタッフの見守る中、チーム移籍後、初のスタート担当に昨年度のGT300クラスチャンピオンの堂々たる風格を携えスタートの時を待つ。そして迎えた注目のスタート。

天候は曇り、気温23度、路面温度29度、コース状態はドライというコンディションの中、時計の針が13時58分を差したところでフォーメーションラップへと動き出した各マシン。今回のレース距離は250Km。前回富士よりも50Km短く、スプリント的な要素も色濃く出てくる。当然スタート直後のポジションもレース結果に大きな影響を及ぼす為、各マシンはスタートでのジャンプアップを虎視眈々と狙い最終コーナーを立ちあがってくる。そして迎えたホームストレート上、グリーンシグナルの点灯と共に2011 SUPER GT SERIES 第1戦の戦いの火蓋が切って落とされた。

するとtriple a vantage GT2のスタートドライバーを務めた星野選手はこのスタートを落ち着いて乗り切り2番手のまま1コーナーに侵入。後続に追撃の隙を与えずオープニングラップを終えると、ここからトップの#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(田中哲也選手)と約2秒差のまま周回を重ね、8周目を過ぎたあたりでペースアップ。トップを行くフェラーリ458にプレッシャーをかけ始め、その差は9周目に1.8秒、12周目には1.3秒、13周目には0.8秒となる。その後自身のタイヤカス等の影響でその差は3秒程になったものの、星野選手はトップとの差を射程距離内に収めたまま周回を重ね21周目にピットイン。ここで吉本大樹にステアリングを託す。

するとステアリングを受けた吉本はアウトラップから見事なラップタイムを並べ、7周後にピットへ向かった#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458がピット作業を終えコースに戻ると吉本が前!見事事実上トップへの浮上を果たす事に。その後吉本は徐々に後続との差を広げていき、35周目の時点で2番手#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458との差は約10秒。チーム初優勝に向け星野選手と共に築いた盤石の態勢を確固たるものとしていく。しかしレースも終盤に近付いた54周目、ここでピットで戦況を見つめるチームにとって目を疑う光景がモニターから飛び込んでくる。

モニターに映し出されたのは何と500クラスの#38 LEXUSTEAM ZENT CERUMOとの接触でスピンを喫し、#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(平中克幸選手)にトップの座を奪われたtriple a vantage GT2の姿。この接触に関しては即座に#38 LEXUSTEAM ZENT CERUMOへペナルティーの裁定が出されたものの、これで失ったポジションが返ってくるわけではない。まさかの展開にピット内関係者は一瞬言葉を失う。しかしこの状況で全く諦めの色を見せなかったのはマシンをドライブしている吉本大樹本人であった。盤石の展開から一転、追う立場となった吉本は、ポジションを落とした後すぐにトップのマシンへの追撃を開始。その差を2周後には1.9秒差、そこからの3周で1秒差に、さらにその2周後には0.5秒差にまで縮めていく。そしてその吉本が#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458(平中克幸選手)にアタックを仕掛けたのはレースも残り5周となったアドウッドコーナー。立ち上がりでピタリと背後に付けた吉本はスリップストリームから抜け出し、ヘアピンのブレーキングで#11 JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458に並びかける。吉本は昨年のFUJI SPRINT CUPでのトップ争いを演じた因縁の2選手が交錯したこのバトルを見事に制し、再度トップに浮上する事に成功する。

そしてその後吉本は危なげのないラップを刻みながら2番手以降とのギャップを広げ、いよいよ迎えた最終ラップ。GT参戦10戦目(FUJI SPRINT CUPを含む)で遂に迎えたトップチェッカーの瞬間が近付いてくる。しかしレースはチェッカーを受けるまで何が起こるか分からない。そんな緊張感の中、逸る気持ちを抑えながら手に汗を握り見つめるチームスタッフや星野選手の視線の先、最終コーナーに姿を見せたtriple a vantage GT2。マシンはそのままホームストレートを駆け抜け、この瞬間triple a vantage GT2は見事にSUPER GT SERIES初優勝を獲得。吉本大樹は「この借りは必ず岡山で返す」という富士でのコメント通り、最高の形で借りを返す事となった。

これでドライバーズランキングで3位、チームランキングでも3位に浮上したtriple a vantage GT2。次戦セパンラウンドは吉本大樹にとってGT優勝経験もあるサーキットであり、ここから次なる頂、「シリーズチャンピオン」への挑戦が始まる事となる。

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【吉本大樹コメント】
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最高の気分です!今日は本当に特別な一日になりました。富士のレースでマシンを壊してしまい、メカニックやスタッフの懸命の作業で岡山に間に合わせてもらいました。借りは結果でしか返せないと思っていたのでホッとしています。

正直、岡山では表彰台は狙いたいと思っていましたが、優勝に手が届くとは思っていませんでした。でもマシンのセットも回を重ねるごとに良くなり、ヨコハマタイヤもとくにレースシュミレーションでとても良い方向性を見せていたのでこれはいけるかも?!と思い始めたら、もう勝つことしか考えられなくなりました。

予選のQ1ではハード側のタイヤでアタックしたのですが、これが気温との関係でグリップを引き出す事ができず、正直突破ギリギリでした...。Q2は星野選手がバッチリとキメてくれてQF3へと駒が進みました。Q3はQ2で使ったユーズドタイヤではあるものの、ウォームアップの必要がないので心おきなく全開アタックが出来ました。チェッカーが振られた後、監督が「お前がトップや~!」(笑)って無線が入りましたが、まだチェッカーを受けていないマシンもあると分かっていたので「塗り替えるな!」と願っていましたが、残念ながら初ポールポジションはお預けとなりました。それでもフロントローは絶好のポジションですし、良い予選ができたと思います。

決勝は、金曜日からの走行で燃料を多く積んでもあまりバランスが変わらない事を確認していたので、ドライになった時点で全く心配はありませんでした。スタートを担当した一樹君(星野一樹選手)が履いているタイヤはQ2, Q3で使用したタイヤ。他のマシンも状況は同じですが、タイヤの垂れやタイヤカスと戦いながら11号車との距離を保ってくれたのが本当に大きかったです。また今回はピットストップもほぼ完ぺきだったと思います。一樹君からフロントタイヤの熱垂れが酷いと情報をもらっていたのでとにかくタイヤをいたわりつつ最初の数周は攻めました。トップに出てからは11号車との差をコントロールしつつ差を詰められてもギリギリまでタイヤを温存しておこうと思ってセーブしていたのですが、それが500との接触後の追い上げに利をもたらしたのだと思います。あの接触のおかげで勝てなくなってたら怒り狂っていたことでしょう(苦笑)

A SPEEDという新参チームはこれで有力チームの仲間入りが出来たのではないかと思います。チームA SPEED、初優勝おめでとう!!

高木オーナー、瀬口監督、伊藤エンジニア、メカニック・スタッフの皆、そして星野選手に感謝したいと思います。この一勝で気を緩ませることなくどんどん攻めたレースをします。皆さん、応援ありがとうございました!

エイチワイ・マネージメント有限会社



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