SUPER GT

吉本大樹レースレポート(SGT第8戦オートポリス)

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【スーパーGTシリーズ第8戦(オートポリス)】
17-18 October, 2009
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紫電、トラブルでまさかのノーポイント
タイトル奪取に向けては、最終戦もてぎに全てを賭ける事に

【Result】

(Sta) FP : 7 th / QF : 5 th / SL : 4 th
(Sun) FP : 8 th / Final : 16 th (0 pt / Team Point : 1 pt)
(Drivers Ranking) 加藤選手:5 th (63 pt) 吉本大樹:6 th (58 pt)
(Teams Ranking) 5 th (83 pt)

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【Qualify】
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天候:曇|路面:ドライ|気温:17℃|路面温度:19℃(予選開始時)

■紫電、予選はセカンドロー4番手を確保

近年稀に見る大混戦となった2009年スーパーGTシリーズのタイトル争い。悲願のタイトル獲得を狙うカーズ東海ドリーム28&紫電も、最終戦もてぎに少しでも優位な位置で挑むため、この第8戦での必勝を期しここオートポリスへとやってきた。

迎えた土曜日のフリープラクティス。この日のオートポリスは朝から小雨の混じる冷たい風が吹いていたものの、その雨はコースを濡らすほどではなく、セッションはドライコンディションで行われる事となった。紫電はまず加藤選手がコースイン。しかし直後にハブから出るバイブレーションの影響でブレーキが深くなってしまうトラブルが出たためすぐにピットイン。この修復には30分程を要したものの、修復が済むと再度加藤選手がコースイン。その後吉本大樹、もう一度加藤選手とドライバーをチェンジしながら周回を重ね、マシンの確認&セットアップを進めていき、最終的にトップから0.498秒差の7番手でこのセッションを終えることとなった。

そして午後の公式予選1回目。空には厚い雲が残っていたものの、その隙間からは時折日も差し気温は上昇。路面コンディションはドライ、気温17℃、路面温度19℃というコンディションでセッションが開始された。紫電はまず吉本がステアリングを握りコースイン。その吉本は、気温が低かったため2周の計測を行うと、この時点で2番手となるタイムをマークしピットへと戻ってくる。そしてここで加藤選手にドライバーチェンジ。加藤選手は300クラスの占有走行となったところでNEWタイヤでのアタックをかけると、このアタックで最終的にこのセッション5番手となる1'52"718をマーク。スーパーラップ(SL)へと駒を進めることとなった。

そして公式予選1回目から1時間程のインターバルを挟み迎えたSL。このセッションでは、コンディションの変化から、このSLに進出したほぼ全てのマシンが先の公式予選1回目より1秒前後もタイムを上げてくる事となった。その中8台中の4番目にアタックを行った加藤選手も予選1回目のベストタイムから大きくタイムを伸ばす1'51"552をマーク。このタイムは7台のアタックが終わった時点で3番手。しかし最後は#43(ARTA Garaiya)がトップタイムを更新し、これにより紫電は4番手に。それでも他陣営から「一発のタイムでは太刀打ちできない」と言われていたミシュラン勢に対しても僅差となるタイムで予選1回目の5番手からひとつポジションを上げることに成功、翌日の決勝に挑むこととなった。

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【Final】
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天候:晴|路面:ドライ|気温17℃|路面温度26℃

■紫電、レース中盤のトラブルでまさかのノーポイント
■タイトル争いは最終戦もてぎに全てを賭ける事に

朝に行われたフリープラクティスでは気温11℃、路面温度13℃というコンディションのなか、決勝スタート時には上昇するであろう気温と路面温度を予想しながら走行を重ねた紫電。決勝のスタートは4番グリッドからながら「レースではタイヤの持ちが鍵になる」と、逆転優勝を狙いスターティンググリッドへとマシンを着けた。

そして迎えた注目のスタート。スタートドライバーを務めた加藤選手は綺麗なスタートを決めると4番手のポジションのままオープニングラップを終え、その後も常にトップから4秒程の差をキープ。逃げきりを計る事が予想されたトップの2台から大きく遅れることなく、逆に前を行く#11(JIMGAINER ADVAN F430)にプレッシャーを与え続けていく。その後レースはトップから9番手までが10秒差以内で続く接戦となっていったものの、中盤が近づき各マシンのペースが落ちてくると、紫電はこの団子状態で走り続ける展開を避け、レース折り返しよりも若干早目の26周目にピットイン。ここで吉本大樹へとドライバーチェンジを行っていく。

ところがここでまず最初の不運が紫電を襲う。ピットインの周に直前まで紫電のすぐ前を走っていた#11(JIMGAINER ADVAN F430)が500クラスのマシンと接触しポジションを落とした後、このマシンが紫電のすぐ後からピットに入ってくると、何と両マシンはピットが隣同士だったことから、#11(JIMGAINER ADVAN F430)が紫電の前を塞ぐ形でピットストップ。これはピットの配置やスペースを考えればどうしようもなく、紫電にとってはまさに「不運」としか言いようのない展開であったものの、ここはメカニックがすぐさまマシンを後ろに押し戻しピットアウト。何とかロスタイムを最低限に抑えたかに思われた。

しかしこの直後、紫電には更なる不運が待ち構えていた。何とピットアウトしようと吉本がマシンをスタートさせたところ突然クラッチが滑る症状が。結局ピットロードを出た後もその症状が全く治まらず、「いたわりながら走り続ける事も出来ない状態だった」とクラッチが滑ったままの状態で1周を走り再度ピットイン。ここで完全にトップ争いからは脱落する事となってしまった。しかしチームはそれでもレースを諦めることなく、完全に温度が上がりきってしまったクラッチの温度をエアガンで冷やす等の対処を施すと、トップから5周遅れで再度マシンをコース上へと送りだしていく。その後は、一度動き出せば後はマシンが停止しない限りクラッチは使用しない為、コース復帰後にストップする事も無く、更にペース的にはトップグループを上回る程のペースでチェッカーまでの28周を走りきり、最終的には16番手でレースを終えた。

トラブルは重量が重い事でクラッチに負担がかかっていたことが原因だと思われるが、レースを制したのが紫電よりも5秒後方でピットストップを終えた#11(JIMGAINER ADVAN F430)であったこと、トラブルを抱えながらも追い上げた後半でのペースを考えると、まさに「確実に勝てる」レース展開であっただけに、今回の第8戦は紫電にとって何とも悔しい、そして何とも痛いノーポイントでのレースという事になってしまった。

シリーズは今回の第8戦を終え、いよいよ最終戦を残すのみとなった。紫電は今回のノーポイントでタイトル獲得に向け非常に厳しい立場に置かれることになったものの、トップとの差はドライバーズランキングで11pt(加藤選手)、チームランキングでも15pt差と、完全にタイトルの可能性が無くなったわけではなく、チーム&ドライバーは次戦、最終戦のもてぎに全てを賭けて挑むことになる。シリーズの流れを変えたセパンでの優勝は最後尾からの大逆転優勝であったが、シリーズにおいても奇跡の大逆転劇を見せることは出来るか。最終戦での紫電の走りに期待がかかる。

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【吉本大樹コメント】
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フリー走行の走り始めはグリップレベルが低くて少し焦りましたが、周りの状況や自分達の状況を冷静に見ていくことで、チェッカーで帳尻を合わせる戦略やセットアップが出来ました。予選も加藤さんカッコイイ走りでセカンドローでしたし、レースも序盤は常にプッシュしてトップグループで争っていてくれた事で、トップから4秒差の状態でピットイン。それは全車がピットストップを終えた時点で確実に我々がトップに立っているという完璧のシナリオでした。

不運にも500クラスのマシンと絡んでスピンした11号車が同じタイミングでピットインし、すぐ目の前のピットだったのでこの2台が絡む形で作業を行い、少しタイムロスしてしまいましたが、それでも11号車の5秒前でコースインしていますからね。

ピットからクラッチが滑って加速しなかった時は頭が真っ白になりました。滑り続けた状態で一周走ってピットに戻ったのでかなり温度が上がってしまっていましたが、皆諦めずに走り続ける事を選択してくれました。クラッチの温度を冷まし、5周遅れで再度コースインした後は、トップ2台にも追いついていっていました。完全に勝っていたレース...本当に悔しいレースになりました。が、もっと僕がクラッチにかかっている負担を理解して安全に、確実にピットからマシンを発進させていたらクラッチの状態は悪化していなかったかもしれません。自分にも責任があります。
後からいくらでも「ああしていたら...、こうしていたら...」と悔やみが耐えませんが、これで完全にタイトルの可能性が無くなった訳ではありません。我々が優勝しても他のマシンがどのポジションでチェッカーを受けるか次第。そんなレースになるかとは思いますが、諦めません。意地を見せます。引き続き最後まで応援宜しくお願いします!



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