SUPER GT

【吉本大樹レースレポート SGT第3戦(富士)】

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【吉本大樹レースレポート SGT第3戦(富士)】 3-4 May, 2009
pic04-4.jpgのサムネール画像
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【Result】
FP(Sta) : 3rd
QF     : 18th
FP(Sun) : 1st
Final    : 9th (2pt)
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【Report/Free Practice~Qualify】
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 紫電、FP3位と好調滑り出しも、予選はトラブルでまさかの18番手pic04-2.jpg

第2戦鈴鹿に続き、この第3戦富士でも紫電のステアリングを握る事となった吉本大樹。前戦鈴鹿では決勝直前に出たマシントラブルにより結果は7位に甘んじたものの、レースでは怒涛の追い上げを見せ、そのスピードが確実に優勝を争えるレベルにある事を証明してみせた。第3戦の舞台となる富士スピードウェイは直線距離も長く、マシン特性から見れば決して紫電に有利なレイアウトとは言えないものの、周囲からは優勝候補の一角として注目を集める中で迎えたレースウィーク初日。

この日の富士は空にうっすらと雲がかかり、最終コーナーから1コーナー寄りに向けての風が吹くコンディション。朝の時点で気温は15℃、日陰に入れば若干の肌寒さすら感じさせる中、予定通りの9:15にこのレースウィーク最初のセッションとなるフリー走行が開始された。ここでまず紫電のステアリングを握ったのは加藤選手。その加藤選手は、セッション開始から10分程が経過した時点で1'45"772をマーク、まずは6番手につけピットへと戻ってくる。そして更にここからマシンに調整を加え再度コースイン、2周のアタックを行うと、ここで1'44"673の3番手タイムをマークする。この後もピットインアウトを繰り返しながら予選、決勝に向けたマシンセットを煮詰めていった加藤選手。セッション中盤過ぎにはNEWタイヤでのアタックも行い、最終的にこのセッションの3番手タイムとなった1'44"265までタイムを削ると、その後マシンを吉本へと託す。

ここでステアリングを受けた吉本は決勝レースでの使用を見据えたコンパウンドのタイヤを履きコースイン。まずは5周の計測を行い、ユーズドタイヤを履く他のマシンが1分46秒台中盤~47秒台前半のタイムで走行するなか、安定して1分46秒台前半~中盤のラップタイムを刻んでいく。その後も決勝レースを見据えたマシンのセッティングを煮詰めていき、最終的には「無理をせず、あくまでもレースラップを見据えて走らせた」としながらも1'45"773をマークしこのセッションを終了した。

その後3時間程のインターバルを置いて迎えた公式予選1回目。フリー走行終了後には徐々に日差しも差し込み始め、午前中に比べ温かさを感じる中で始まったこのセッション。セッション開始30秒前にピットを後にした紫電のステアリングを握るのは吉本大樹。その吉本はコースイン後早々に、確実に予選通過基準タイムをクリアする1'46"298をマーク。そしてすぐさまピットに戻り加藤選手とドライバーチェンジ。ステアリングを受けた加藤選手は、まずSL(スーパーラップ)で使う予定のタイヤの皮むきを行うためピットを後にする。ところがここで加藤選手から「今ネッツコーナーで一瞬パワステがおかしかった・・・」という気になる無線が。ピットに若干不穏な空気が流れ始める中、一旦ピットに戻った加藤選手は最初の予選アタックを行うためNEWタイヤを履き再度コースイン、3周の計測予定でコースへと向かう。

しかしこの直後、前のラップで加藤選手が感じた違和感は現実のトラブルとなってしまう。コースに入って程なくしたところで電気式のパワステモーターが完全に作動しなくなってしまい、マシンはパワステのアシストが全くない状態に。ステアリングを動かすことすら難しい状態となってしまった加藤選手は急遽アタックを中止、ここで緊急のピットインを余儀なくされてしまう。この時点でセッション残り時間は15分。この時点で加藤選手は1周の計測も行えておらず、順調だったフリー走行から一転、今度は時間内に最低限のアタックを行えなければ「予選落ち」すらあり得る状況に追い込まれてしまう。しかしこのモーターの交換には時間がかかる為、加藤選手は基準タイムをクリアさせるためだけにパワステのないマシンのまま再度コースイン。予選アタックとは程遠い走行ながら、想像を絶する重さのステアリングを操り1分47秒台のタイムを出して何とか基準タイムはクリアする。しかし「せめてトップ5には入っていたかった」という思惑とは裏腹に、紫電はまさかの予選18番手に沈むことになってしまった。

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【Report/Final】
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紫電、18番手スタートからの追い上げ
アクシデントにも見舞われながら、最後は9位フィニッシュ
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晴天に包まれたGW中日という事もあり、スタンドやパドックが5万人を超える観戦者に埋め尽くされたスーパーGT第3戦決勝日。コンディションも気温17℃、湿度46%と、観戦者にとっては絶好のレース観戦日和となる中、まさかのトラブルで決勝18番手スタートに沈んだ紫電もこの日午前中のフリー走行ではトップタイムをマーク、更に13:05から行われた決勝直前のフリー走行でもトップタイムをマークし、スタートのステアリングを握る加藤選手も「必ず追い上げる」という気迫に満ちた表情でマシンに乗り込んだ。

スタート進行イベントも順調に進み、定刻通りの14:00に開始されたフォーメーションラップ。そして1周の隊列走行を終えたマシン群がゆっくりと最終コーナーを立ち上がってくると、ホームストレート上ではレッドシグナル消えがグリーンに点灯。21台のGT300マシンも1コーナーに向け各車が一気に加速、サーキットが爆音に包まれる中、いよいよレース距離400Km、約2時間半に渡るスーパーGT第3戦決勝の戦いが始まった。するとファーストスティントを受け持った加藤選手はスタートから果敢にポジションアップ。18番手スタートから2周目に15番手、3周目には14番手と、最初の3周でまずは4台のマシンをオーバーテイクして見せる。しかし迎えた4周目、今度はアクシデントが加藤選手を襲う。後ろにいたポルシェ(111号車)が紫電に追突、紫電はリアウィング、テールランプ、リアガーニー周りを破損してしまう。結局この接触については111号車にドライブスルーペナルティーが言い渡されたものの、これで紫電のポジションを取り戻せるわけでもなく、結局振り出しに戻る19番手にまでポジションを落とす事となってしまった。

それでも加藤選手はあきらめることなくここから再度追い上げを開始。徐々にポジションを取り戻していくと、レース開始から10周目の時点では再度14番手までポジションを盛り返し、更にここからトップグループよりも速い1分46秒台前半のラップタイムを連発。15周目には11番手、16周目には10番手にまで浮上し、この後も前を行くマシンよりも1周1秒~2秒ほど速いペースで差を縮め、1回目のピットイン直前の数周で更にポジションをアップ。このスティントをハイペースで駆け抜けた加藤選手は、最終的に7番手までポジションを上げピットへと戻ってきて見せる。ところが4周目の追突で破損したリア周りへの応急処置が必要になった為、無常にもこのピットストップで大幅に余計な時間がかかってしまった紫電。交代した吉本が再度コースへと戻った時には、またしても17番手にまでポジションが落ちてしまっていた。

それでもレースを諦めないカーズ東海ドリーム28陣営。このスティントを任された吉本も加藤選手に負けじとトップグループを凌駕するラップタイムを並べながら3度目の追い上げを見せていく。ステアリングを受けた2周後の31周目には14番手にまで浮上、更に33周目には最終的にこのレースの紫電のベストラップとなる1'45"503のラップをマークし、35周目に13番手、38周目には12番手と、戦前には苦戦も予想されたこの富士で着実にポジションを取り戻していく。その後も吉本の勢いは衰えず、2回目のピットストップではタイヤを交換しない作戦だった為タイヤをいたわりながらの走行となったにも関わらず、トップを行くマシンと変わりないラップタイムをマークし続けBOXサインの出された55周目には9番手までポジションアップ、ここで最後のスティントを加藤選手に託すためピットへと戻ってくる。そして再度ステアリングを受けた加藤選手は最終26ラップのスティントで最後の追い上げへ。その加藤選手はタイヤ無交換ながら、やはりトップグループのマシンと遜色のないタイムを刻みつつ8番手のマシンとの差を詰めていく。しかし、このスティントでコースに復帰した時点で8番手を行くマシンとの差は30秒以上。さすがにこの差を残り周回数で詰めることは叶わず、最後は9番手のポジションでチェッカーフラッグを受けることとなった。
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【吉本大樹コメント】======================================================================
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18位からのスタートではありましたが、レース序盤でのアクシデントがなければ5位、悪くても6位には入れていたと思います。あのアクシデントでポジションを落とした事は勿論、ピットストップでの修復作業に必要のない時間がかかってしまいましたから...。やはり後方からスタートすればこういったアクシデントの確率も上がってしまいますから予選でのトラブルが何よりも痛かったですね。

レースでは1回目のピットストップを終えて僕がコースに戻った時には既に周回遅れでした。前をゆくマシンが何番手なのかあまり把握できていない状況でしたが、とにかく前へ出ることばかり考えていました。1周前を行くRX7が前を走っていて、そのペースが目に見えていたので、最初からまともに走れてさえいれば...。と悔しい気持ちになりましたが、仕方がありません。タイヤ無交換で最後に走った加藤さんのペースはかなり良かったんですが、レースが終わってみればタイヤからは既にワイヤーが見えていました。出来る限りの仕事はしたと思います。

2戦続けてまともにレースが出来なかった悔しさはありますが、チームのモチベーションが更に高まった事は間違いないです。次のセパン、まだ決まっていませんが、もし乗れる事になれば確実に勝ちにいきます。
応援ありがとうございました!



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