SUPER GT

SGT:第2戦岡山 ARTA NSXが3位表彰台を獲得 (HONDA)

ARTA NSX(R.ファーマン/伊沢拓也組)が3位表彰台を獲得

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2008年4月13日(日) 決勝 会場:岡山国際サーキット(3.703km) 天候:予選/晴れ 決勝/曇り時々雨 気温:18℃(14:00現在) 路面温度:27℃(14:00現在) 決勝レース:82周(303.646km) コースコンディション:決勝/ドライ 観客:2万9000人(主催者発表)

 4月13日(日)、岡山県美作市にある岡山国際サーキットにおいて2008 オートバックス SUPER GT第2戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レースが開催された。

 開幕戦鈴鹿ラウンドでのHonda NSX-GT勢は、レギュレーションによるウエイトハンデの影響により苦戦を強いられた。しかし、この第2戦はNSX-GTが得意とするコーナーリング重視のサーキットであり、ライバル勢も開幕戦の成績により特別性能調整のウエイトハンデが課せられたために、拮抗した激しい戦いが予想された。

 12日(土)に開催された公式予選において、NSX-GTは予選1回目の上位10台で決勝グリッドが争われるスーパーラップに全車5台が出場した。スーパーラップにおいて、昨年の岡山ラウンド覇者である#1 ラルフ・ファーマン/伊沢拓也組(ARTA NSX)が1分23秒815のタイムを記録して2番手のスターティンググリッドを獲得した。また昨年ポールポジションを獲得した#18 道上龍/小暮卓史組(TAKATA童夢NSX)は5番手。#100 井出有治/細川慎弥組(RAYBRIG NSX)は7番手。#32 ロイック・デュバル/平中克幸組(EPSON NSX)は8番手、#17 金石勝智/金石年弘組(REAL NSX)は9番グリッドから決勝レースを迎えることとなった。

 13日(日)の決勝日は、午前中こそ晴れわたったが、マシンがスターティンググリッドにつく13時30分ごろには曇り空となり、ポツポツと雨粒が落ち始めた。しかし、コースコンディションに影響するほどの雨ではなく、ドライ路面でフォーメーションラップが開始された。気温18℃、路面温度27℃という少し肌寒いコンディションのもと、総勢38台(GT500クラス計16台)のマシンが14時3分にローリング・スタートを切った。

 オープニングラップは、大きな順位変動もなくクリーンなスタートとなった。10周目に入る時点で、トップの#23 XANAVI NISMO GT-Rと、2位を走行する#1 ARTA NSXのR.ファーマン選手との差は0秒785。5位を走行する#18 TAKATA童夢NSXの小暮卓史選手も、4位の#3 YellowHat YMS TOMICA GT-Rの背後につけてプレッシャーをかけ続けている。13周目の1コーナーで#100 RAYBRIG NSXの井出有治選手が#22 MOTUL AUTECH GT-Rをイン側からパスして6位に浮上した。

 NSX-GTは、エンジン搭載位置がマシン中央に位置するミッドシップ・レイアウトのため、理想的な重量配分を得られるが、フロントタイヤへの加重が低い分、新品タイヤの温度上昇に時間を要する。しかし、フロントタイヤへの負担が少なく、耐久性に優れているためにスティントの後半での勝負に自信を持っている。

 R.ファーマン選手は、自身のスティント後半に入る21周目の1コーナーでトップを脅かす走りを見せると、背後につけて虎視眈々とトップをうかがう。小暮選手も同じ1コーナーで相手の隙を突いて4位に浮上し、5秒離れた3位を追うべくペースを上げる。ところが、22周目あたりから小雨が降り始め、観客にも雨具を装着する姿が見受けられるようになった。この時点では、まだドライ路面から変化するほどでもないものの、今後のレース戦略に影響を及ぼしかねない展開となってきた。

 33周目、2位を走行していた#1 ARTA NSXが、GT300クラスの車両との接触により左フロントタイヤがパンクしたために緊急ピットイン。タイヤ交換を済ませて伊沢拓也選手がコースに復帰した。この時点で11位に後退するが、トラブルのロスを最小限に抑えたピット作業は、レース後半でのばん回に期待を持たせた。

 40周目、ドライバー交代を終えた#18 TAKATA童夢NSXの道上龍選手が、コースに戻った周のバックストレート終わりで単独スピンを喫してコースアウト。ランオフエリアの砂で身動きがとれなくなったために、コースに復帰したものの大きなビハインドを負うこととなった。

 42周目、同じくドライバー交代をした#100 RAYBRIG NSXの細川慎弥選手も、ピットアウトをした周で単独スピンを喫して順位を下げた。

 ほぼ全車がドライバー交代を終えた52周終了時点で、トップは#23 XANAVI NISMO GT-R。約18秒離れた2位に#1 ARTA NSXの伊沢選手、4位に#32 EPSON NSXの平中克幸選手、6位に#17 REAL NSXの金石勝智選手、11位に#100 RAYBRIG NSXの細川選手、14位で#18 TAKATA童夢NSXの道上選手が走行する。心配された雨も路面に影響するほどの量は降らず、ほぼ止んだ状態となった。

 残り25周となったレース終盤で、2位の伊沢選手と3位の#12 カルソニック IMPUL GT-Rがテール・トゥ・ノーズで争う展開となった。この2台は競いながらハイペースで走行し、62周終了時にはトップとの差を12秒台まで縮めている。伊沢選手は、R.ファーマン選手の接触によってハンドリングのバランスが乱れたマシンを操りながら、フル参戦2戦目とは思えない走りを見せた。

 63周目あたりから再び小雨が降り始め、路面コンディションに小さな変化が現れ始めた。65周目の最終コーナーからホームストレートの立ち上がりで、濡れた縁石にマシンをスライドさせた#17 REAL NSXがスピンを喫し、スポンジバリアに激しく接触した。この接触で#17 REAL NSXのマシンは大きなダメージを負ったために、金石勝智選手はマシンを降りて無念のリタイアとなった。

 さらに68周目、ハンドリングに苦しんでいた伊沢選手がコースアウトを喫して3位に後退。2位との差も11秒台に広がってしまうが、伊沢選手は3位のポジションを守りきって82周のチェッカーフラッグを受け、#1 ARTA NSXが今シーズン初の表彰台を獲得した。

 NSX-GT勢は、#32 EPSON NSXが5位、#100 RAYBRIG NSXが9位、#18 TAKATA童夢NSXが12位で完走を果たした。優勝したのは開幕2連勝となった#23 XANAVI NISMO GT-Rだった。

白井裕|NSX-GTプロジェクト・プロジェクトリーダー
「前回の悔しい結果を受け、駆動系のトラブルなど、万全の対策を行い挑んだ第2戦でしたが、3位が最高位という結果となりました。今回はマシンの信頼性を含め、戦闘力をさらに向上させましたが、不運なアクシデントやミスなどが重なりました。岡山は得意とするサーキットですし、もっと上位を狙えたレースだけに残念です。ただ、1号車の伊沢選手は、アクシデントによるハンドリングのトラブルにうまく対処し、ルーキーながら我慢強い走りを見せ、参戦2戦目で表彰台を獲得することができ、うれしく思っています。次の富士に向けて、万全の態勢で挑みますので、応援よろしくお願いします」
ラルフ・ファーマン選手 (3位、#1 ARTA NSX)
「スタート時点で、マシンの状態は最高でした。チームスタッフはすばらしい仕事をしてくれました。優勝を目指していたので3位という結果には不満が残ります。でも、このコースレイアウトは追い越しが難しく、トップに立つチャンスが少なかったのと、バックマーカーとの接触は避けようがなかったアクシデントだったので、今回の結果は仕方がないと思います。タクヤ(伊沢選手)はトラブルを抱えたマシンで本当によくがんばってくれました。チャンピオン争いは、これからが本番だと思いますので2年連続タイトルを目指して全力を尽くしたいと思います」
伊沢拓也選手(3位、#1 ARTA NSX)
「先週のフォーミュラ・ニッポンでも(2位争いを繰り広げた)松田次生選手とバトルをしたので、今回は是非ともやり返したいと思っていました。でも、ラルフ(ファーマン選手)が接触したときの影響で、タイヤのアライメントが大きく狂っていたために、ハンドリングがとても難しい状況となっていました。結果的に、僕のミスで2位のポジションを失った形になったのでとても悔しいですが、3位表彰台を獲得できたことはとてもよかったと思います。今回は、いいパフォーマンスを披露することができたので、次戦の富士はラルフとともに優勝を狙いたいと思います。これからも応援をよろしくお願いいたします」

Text & Photo: HONDA



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