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SGT:第1戦岡山決勝 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)が激戦を制して開幕戦で優勝、Hondaは1-2フィニッシュ! (HONDA)

  • 2013年4月7日(日)・決勝  会場:岡山国際サーキット(3.703km)  天候:曇りのち晴れ 気温:8℃(15:00時点)  路面温度:18℃(15:00時点)  コースコンディション:ドライときどきセミウエット 観客:1万6000人(主催者発表)  周回数:81周

gt130407002L.jpg  4月7日(日)、岡山県美作市にある岡山国際サーキットにおいて、2013 オートバックス SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300KM RACE」の決勝レースが行われました。

 ウエットコンディションの中で行われた昨日の公式予選では、#32 EPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐組)が2番手に入ってフロントローを獲得。さらに#17 KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘組)が5番グリッド、#100 RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史組)が6番グリッドと、Honda勢はトップ6に3台のHSV-010 GTを送り込むことに成功しました。さらに#8 ARTA HSV-010(ラルフ・ファーマン/松浦孝亮組)は8番グリッド、#18 ウイダー モデューロ HSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組)は9番グリッドを手に入れ、岡山国際サーキットにおけるHSV-010 GTの優位性を証明しました。

 昨日から今日にかけて、台風並みの強い低気圧が日本列島を横切った影響で、決勝レースが行われた本日は、冷たい風が吹き続ける一日となりました。また、上空で強い風が吹いているために空模様の変化も早く、晴れていたかと思えば曇り、さらには時折り雨がぱらつくという不安定な天候となりました。

 午前9時15分から30分間にわたって行われた今朝のフリー走行は、最初のうちはウエットでしたが、セッション後半になるに従って乾いていく難しい路面コンディションとなりました。このため多くのマシンはセッション前半をウエットタイヤで、後半をスリックタイヤで走行しました。

 ここで決勝に向けての最終調整を行ったHonda勢は、#18 ウイダー モデューロ HSV-010の8番手を筆頭に、#32 EPSON HSV-010は11番手、#17 KEIHIN HSV-010は12番手、#100 RAYBRIG HSV-010は14番手、#8 ARTA HSV-010は15番手となるタイムを記録しました。ただし、ライバル勢との差は小さく、決勝ではどれだけ長く安定したペースを保てるかどうかで、勝敗が決すると予想されました。

 決勝でのスターティングドライバーには、#8 ARTA HSV-010はファーマン選手、#17 KEIHIN HSV-010は金石選手、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は山本選手、#32 EPSON HSV-010は道上選手、#100 RAYBRIG HSV-010は伊沢選手がそれぞれ起用されました。

 午後2時に決勝レースに向けたフォーメーションラップが始まりましたが、#32 EPSON HSV-010に乗る道上選手が1コーナーで軽いコースアウトを喫したため、少し遅れて隊列に戻る形になりました。このため、主催者はフォーメーションラップをもう1周行って隊列を整えた上でスタートを切ることを決めます。これにともない、決勝レースの周回数は予定よりも1周少ない81周となりました。

 2周のフォーメーションラップを終えたところでグリーンランプが点灯し、81周のレースが幕を開けました。ここで#32 EPSON HSV-010の道上選手は2番手のポジションを守る一方、#17 KEIHIN HSV-010の金石選手と#100 RAYBRIG HSV-010の伊沢選手は早々と2台のライバルを攻略。そろってポジションを2つ上げ、それぞれ3番手と4番手となってオープニングラップを終えます。これにより、2番手から4番手までがHSV-010 GTで占められる状況となりました。さらに、#18 ウイダー モデューロ HSV-010の山本選手もポジションを2つ上げて7番手となりましたが、ウォームアップに時間のかかるハードタイヤを装着した#8 ARTA HSV-010のファーマン選手は15番手へと後退しました。

 #18 ウイダー モデューロ HSV-010は序盤から積極的なドライビングで前を走るライバルを追い詰めていきます。そして3周目にその差を0.5秒とすると、5周目にはライバルの攻略に成功し、5番手となります。一方、路面コンディションとタイヤがマッチしない#32 EPSON HSV-010はペースが上がらず、レース序盤で#17 KEIHIN HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010、#18 ウイダー モデューロ HSV-010の3台に進路を譲る形となり、自らは6番手となります。

 #17 KEIHIN HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010、#18 ウイダー モデューロ HSV-010の3台は、互いに接近戦を繰り広げながらトップを走るライバルを追い詰めていきます。そして5周目に3.7秒だったトップと#17 KEIHIN HSV-010の差は、10周目には2.1秒差まで縮まりますが、思うようにライバルを追い詰めることができません。このため4台の戦いは一時的にこう着状態に陥ります。そのあと、15周目には#18 ウイダー モデューロ HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010がポジションを入れ替え、#18 ウイダー モデューロ HSV-010が3番手、#100 RAYBRIG HSV-010が4番手となります。さらに37周目には#32 EPSON HSV-010が周回遅れと接触してスピンし、8番手から11番手に順位を落としました。

 これと前後して各マシンは次々とピットに入り、タイヤ交換、燃料補給、ドライバーチェンジを行います。GT500クラスでは、ほとんどのチームが45周目までにピットストップを終えましたが、耐久性に優れるハードタイヤを装着した#8 ARTA HSV-010はピットストップするタイミングをだれよりも遅らせ、45周目にはトップに浮上。自らがピットストップを行った47周目まで首位を快走することとなりました。

 GT500クラスの全車がピットストップを完了し、山本選手から交代したマコヴィッキィ選手が乗る#18 ウイダー モデューロ HSV-010が、Honda勢でトップとなる2番手へと浮上しました。これに続く3番手は小暮選手の#100 RAYBRIG HSV-010で、以下、塚越選手の#17 KEIHIN HSV-010が4番手、松浦選手の#8 ARTA HSV-010は10番手、レース前半にアクシデントに巻き込まれた中嶋選手の#32 EPSON HSV-010は11番手を走行していました。

 トップを走るライバルと#18 ウイダー モデューロ HSV-010の差は、48周目に4.3秒だったのが52周目には5.5秒まで広がります。しかし、ここからマコヴィッキィ選手は反撃に転じ、62周目には3.0秒まで詰めます。さらに、3番手と4番手を走る#100 RAYBRIG HSV-010と#17 KEIHIN HSV-010も、次第に#18 ウイダー モデューロ HSV-010との差を詰めていきます。そして65周目には#18 ウイダー モデューロ HSV-010、#100 RAYBRIG HSV-010、#17 KEIHIN HSV-010の3台がわずか0.4秒の間隔で走行する接近戦となり、同じHonda勢で緊張感あふれるバトルを展開します。あわや接触かと思われる状況が何度も訪れましたが、3名のドライバーはあくまでもフェアプレーに徹し、実際に接触することはありません。一時、0.1秒差となった#18 ウイダー モデューロ HSV-010と#100 RAYBRIG HSV-010のギャップは、マコヴィッキィ選手の奮闘により67周目には0.7秒まで広がります。ところが、その直後のアトウッドカーブで#18 ウイダー モデューロ HSV-010がスピン。すぐに態勢を立て直してレースに復帰したものの、4番手へと後退してしまいます。これにともない、#100 RAYBRIG HSV-010は2番手、#17 KEIHIN HSV-010は3番手に浮上。2台はテールトゥノーズとなって、トップの追撃を再開しました。

 68周目に3.6秒だった#100 RAYBRIG HSV-010とトップとの間隔は、70周目には2.8秒となり、73周目には0.3秒まで縮まります。このあと、#17 KEIHIN HSV-010を含めた3台は手に汗握るドッグファイトを繰り広げました。そして、#100 RAYBRIG HSV-010が一瞬の隙をついてライバルの攻略に成功すると、直ちに#17 KEIHIN HSV-010もこれに追随。77周目には#100 RAYBRIG HSV-010がトップ、#17 KEIHIN HSV-010が2番手となり、Hondaの1-2態勢となりました。

 2番手の#17 KEIHIN HSV-010に乗る塚越選手は最後まであきらめずに、小暮選手が乗る#100 RAYBRIG HSV-010を追走。最終ラップには、目の前を走る周回遅れがスピンし、#100 RAYBRIG HSV-010に接触した影響で、#17 KEIHIN HSV-010が並びかける一幕もありましたが、最終的には小暮選手がトップを守りきって#100 RAYBRIG HSV-010が優勝。チームクニミツとしては2006年以来の優勝を飾りました。さらに#17 KEIHIN HSV-010が2位となり、Hondaは開幕戦で1-2フィニッシュを成し遂げました。なお、#18 ウイダー モデューロ HSV-010は最終ラップに1つ後退して、5位でフィニッシュ。#8 ARTA HSV-010は9位、#32 EPSON HSV-010は11位でチェッカーフラッグを受けました。

 この結果、ドライバー部門のタイトル争いでは#100 RAYBRIG HSV-010の伊沢拓也/小暮卓史組が20点を獲得してトップに立ち、#17 KEIHIN HSV-010の塚越広大/金石年弘組は15点で2番手。そして#18 ウイダー モデューロ HSV-010の山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ組は6点で5番手、#8 ARTA HSV-010のラルフ・ファーマン/松浦孝亮組は2点を手に入れて9番手につけています。

 一方、GT300クラスは、昨日の公式練習中にクラッシュした影響で公式予選に出走できなかった#55 ARTA CR-Z GT(高木真一/小林崇志組)がメカニックの懸命な修復作業によって決勝への出走を果たし、2台のHonda CR-Zで挑みました。

 決勝レースは、#16 MUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴組)が20番手、#55 ARTA CR-Z GTが25番手からスタート。#16 MUGEN CR-Z GTは安定した走りでばん回し、7位でフィニッシュ。#55 ARTA CR-Z GTも12位完走にこぎ着けました。

 第2戦は4月28、29日に富士スピードウェイで開催されます。

コメント
松本雅彦|Honda GTプロジェクトリーダー
 「今朝のフリー走行ではドライコンディションで好タイムを記録することができ、大きな手応えをつかみましたが、ライバルがどのようなタイヤを使い、それらをどれくらい長くもたせることができるかが読みきれなかったため、この点が勝敗を分けることになると考えていました。結果的に、#100 RAYBRIG HSV-010と#17 KEIHIN HSV-010の装着したタイヤがライバルを上回る安定性を発揮したため、開幕戦で1-2フィニッシュを果たすことができました。3年ぶりのタイトル奪還に向けて最高の滑り出しを切れたと素直に喜んでいます。そのほか、5台のHSV-010 GTがそろって高いパフォーマンスを発揮したことは開発の方針が正しかったことを証明するものであり、この点についても満足感を覚えています。次戦はストレートスピードが勝敗を分ける富士スピードウェイでの開催となりますが、HSV-010 GTらしい戦いで好成績を狙っていきます。引き続き5台のHSV-010 GTに熱い声援をお送りください」
伊沢拓也(優勝 #100 RAYBRIG HSV-010)
 「小暮選手が今シーズンからパートナーとなりましたし、オフの間にがんばってマシンを開発してくれて、みんなの思いがこの結果につながったと思います。僕自身、昨年の開幕戦ではあと一歩のところで優勝に手が届かなかったですし、GT500クラスの中ではチームクニミツがいちばん勝利から遠ざかっているチームということでプレッシャーも感じていたので、今回の優勝は“うれしい”のひと言です」
小暮卓史(優勝 #100 RAYBRIG HSV-010)
 「今シーズンからチームを移籍し、SUPER GTでは初めての移籍ということもあって、1年目みたいですべてが新鮮な気持ちです。伊沢選手という速いドライバーもいて、チャンピオンを狙える環境を整えてもらい、周りの思いも後押ししてくれました。今日のレースはいろいろとありましたが、最後には勝ててよかったです。ただ、これで安心するのではなく、HSV-010 GTにとって最後のシーズンなので、絶対にチャンピオンを取って、周囲の人たちに恩返しをしたいです」
塚越広大(2位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「Hondaマシンの1-2をサポートすることができて本当によかったです。オーバーテイクのシーンでは、小暮選手がライバルのマシンを抜きにいったので、それに付いていかないと逃げきられると思い、ずっと隙を狙っていました。マシンの調子もよいので、どのコースでも今回のようなトップ争いをし、シーズンを見越して取りこぼしのないように次戦からも戦っていければと思います」
金石年弘(2位 #17 KEIHIN HSV-010)
 「前半からペースがよく、ライバルのマシンに追いつきながらも、なかなか抜くことができない状況が続きました。なるべく引っ張れるだけ引っ張ったのですが、そのうちにタイヤがきつくなってしまい、あとは塚越選手に任せて祈るのみでした。チームのモチベーションも高いですし、このままの流れで次戦もがんばっていきたいと思います」
Text & Photo: HONDA


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