奮闘する井出。しかし逆転チャンピオンの望みはあと一歩で届かなかった。(Photo:Motorsports@nifty)
全日本選手権フォーミュラニッポン第9戦鈴鹿サーキット決勝は、ブノワ・トレルイエ (Mobilecast Team IMPUL)がリチャード・ライアン(DoCoMo TEAM DANDELION)とのピット ストップ勝負を制し、その後も追撃を振り切って今季2勝目を挙げた。 2位には9番手スタートながら終始安定したペースで着実に順位を上げてきた井出有治が 入り、ライアンは3位に終わった。 しかし、前戦までポイントリーダーだったアンドレ・ロッテラー(PIAA NAKAJIMA RACING) が7位に終わったため、獲得ポイント、上位入賞回数ともに両者同じとなり、シリーズ チャンピオンは最終戦の順位で上回ったライアンのものとなった。 (観客動員数:26,000人) レースは2時30分定刻にスタート。ポールのライアンが少し出遅れ、2列目から勢いよく 飛び出した本山が一気に並びかけてきたが、ライアンも一歩も譲らず1コーナーへ。 更に後方からトレルイエも巧みなライン取りで間に割って入り、ライアン、トレルイエ、 本山の順で2コーナーを立ち上がっていく。 一方、ライアンと王座を争うロッテラーはスタートに失敗し、13位まで後退してしまう。 前に立ちはだかるのは野田英樹。容易には抜かせてくれない相手だ。ロッテラーは早め のピット作業を選択して追い上げに掛かるが、中々ペースが上がっていかない。 ランキング3位の井出は順位を一つ上げて7位でオープニングラップを終えた。前方には 土屋、脇阪のルマン勢。井出は着実に6位脇阪との差を詰めていく。 トップのライアンは快調にペースを上げ、2位以下を突き放しに掛かるが、タイヤも温ま ってきた5周目辺りからトレルイエもペースを上げ、一時は2秒近くあった差も1秒以内に 縮まってくる。本山も負けじと追いすがり、上位3台が2~3秒の間隔を保つ接戦状態で レース序盤は進んでいく。 最初に動いたのは本山。14周めにピットに飛び込んでくるが、左リヤタイヤの交換に 手間取って大きくタイムロスしてしまう。これで本山は事実上トップ争いから脱落して しまった。 トップ2台はその後も接戦を繰り広げながら19周目に同時ピットイン。 互いにタイヤ4本を交換するが、ここでトレルイエがライアンの前でコース復帰に成功。 その後もペースの上がらないライアンを尻目に、トレルイエが一気にリードを広げて いく。 各車続々とピットに入ってくる中、井出はコースにとどまり、安定したペースで周回を 重ね、一時はトップに上り詰め、後方のライアンと28秒前後の差を築いて30周目にピット イン。井出もタイヤ4本交換ながら14秒3で作業を終えて4位でコースに復帰、自己ベスト を更新し続けながら前方の脇阪を猛追、36周目に抜き差って3位に浮上した。 更に井出は、一時は12秒近くあった2位ライアンとの差をも1周1秒近いペースで削り 取っていき、44周目の1コーナーで遂にライアンを捉え、ホイール同士が触れ合わんばか りの激しいバトルを制して2位に浮上。 しかしチームオーダーの発令を良しとしないインパル陣営はそのままトレルイエを先行 させ、1位トレルイエ、2位井出の順でフィニッシュ。ライアンは3位、ロッテラーは 追い上げも空しく7位ノーポイントに終わった。 これにより、最終的な獲得ポイント数は、 ライアン 33pts ロッテラー33pts 井出 32pts となり、同点のライアンとロッテラーは上位入賞回数も全て同じであるため、2004年 全日本選手権フォーミュラニッポン統一規則第42条2-2)により、最終戦における得点 の多いリチャード・ライアンが2004年フォーミュラニッポン王者となった。
2004年11月7日 鈴鹿サーキット(三重県) 決勝 天候:晴れ/コース:ドライ
Fニッポン -RIJ- (2004/11/07) Race Result Weather:Fine Course:Dry 2004 Fomula Nippon Round 9 鈴鹿サーキット 5.807km | ||||||
P | No | Driver | Team | Lap | Time | |
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1 | 19 | ブノワ・トレルイエ | mobilecast TEAM IMPUL | 46 | 1:25'15.434 | |
2 | 20 | 井出 有冶 | mobilecast TEAM IMPUL | 46 | 3.423 | |
3 | 40 | リチャード・ライアン | DoCoMo TEAM DANDELION RACING | 46 | 4.736 | |
4 | 7 | 脇阪 寿一 | Team LeMans | 46 | 16.086 | |
5 | 8 | 土屋 武士 | Team LeMans | 46 | 25.415 | |
6 | 1 | 本山 哲 | TEAM ADiRECT 5ZIGEN | 46 | 29.244 | |
7 | 31 | アンドレ・ロッテラー | PIAA NAKAJIMA RACING | 46 | 30.737 | |
8 | 32 | 小暮 卓史 | PIAA NAKAJIMA RACING | 46 | 31.250 | |
9 | 4 | 立川 祐路 | Yellow Hat KONDO Racing Team | 46 | 32.046 | |
10 | 41 | 服部 尚貴 | DoCoMo TEAM DANDELION RACING | 46 | 40.997 | |
11 | 2 | 金石 年弘 | TEAM ADiRECT 5ZIGEN | 46 | 42.966 | |
12 | 25 | 片岡 龍也 | Team LeMans Spirit | 46 | 51.200 | |
13 | 3 | 道上 龍 | Yellow Hat KONDO Racing Team | 46 | 53.202 | |
14 | 28 | 野田 英樹 | CARROZZERIA Team MOHN | 46 | 1'00.286 | |
15 | 12 | 影山 正美 | COSMO OIL RACING TEAM CERUMO | 46 | 1'34.553 | |
-------- 以上規定周回(41 Laps)完走 -------- | ||||||
16 | 11 | 松田 次生 | COSMO OIL RACING TEAM CERUMO | 7 | 39Laps |
- シャーシーは全車Lola B351、エンジンは全車無限MF308、タイヤは全車BSです。
- Fastest Lap: No.20 井出有治 1'48.788 (35/46)