Japan Touring Car Championship

NAKAJIMA RACING JTCC SENDAI REPORT

シリーズ名:全日本ツーリングカー選手権
大会名:第11/12戦・ハイランドスーパーツーリングカー
距離:4.02960km×25周×2レース
予選:9月6日 曇一時雨・観衆:  2800人(主催者発表)
決勝:9月7日 曇一時雨・観衆:3万1300人(  同  )

チーム/ドライバーの両ポイントにおいて第2位のPIAA NAKAJIMA ACCORD、第6大会
は2戦続けてアンラッキーな結果ながらも、第12戦で6位入賞!
タイトル獲得戦は次の十勝大会か!?

 第5大会まで10戦を消化した(但し第1大会は悪天候のため中止)97年全日本ツー
リングカーレースシリーズ。
 これまでにカストロール無限アコードと、PIAA NAKAJIMA RACINGが独自に戦略立て
するとともにメンテナンスをするPIAA NAKAJIMA ACCORDの2台を擁するTEAM 無限
HONDAはシーズン開幕当初から好調に勝ち星をあげ続けており、チームランキングト
ップ(138pnt.)、また、ドライバーズポイントもカストロール無限アコードの中子選手
とPIAA NAKAJIMA ACCORDを駆る黒澤選手が1~2位にランキングトップ2を独占とい
う状況にある。
 しかし、NISMO(ニッサンモータースポーツインターナショナル)の2台のプリ
メーラ(星野一義選手/本山哲選手)がシーズン中盤からマシンの戦闘力を高め、
チームポイントを117pnt.としてTEAM無限HONDAを猛追。是が非でもアコードでシリー
ズタイトルを獲得したいTEAM無限HONDAは、トップランカーでありながらも、一切予
断が許されない状況で第6大会を迎えることとなった。
 その第6大会の舞台は宮城県仙台市郊外の山沿いに位置する西仙台ハイランドレー
スウェイ。最大標高差37.3mのコースはアップダウンが多く、また、深く回り込むタ
イプのコーナーが散在するテクニカルタイプのサーキット。中子選手が操るカスト
ロール無限アコードはその速さを主催側が意図的にコントロールするための規則であ
る重量ハンディキャップを上限重量である70kgを課し、黒澤選手が乗るPIAA 
NAKAJIMA ACCORDに対しても30kgものハンディウエイトを課している。このため、
TEAM無限HONDAがNISMOの台頭を阻むことが、けっして安易なことでないことはチーム
関係者の誰もが認めるところであった。
 今回のレースを戦い抜く上で、従来以上に配慮しなければならない要因となったの
が天候。空模様は公開練習日の金曜からすっきりせず、その一方で決勝当日は再び残
暑がぶり返すとの予報が出されていた。しかし山沿いというサーキットの立地条件が、
その地域だけの天候変化をもたらすことも充分懸念される。ドライ路面用のスリック
タイヤは規則によって第1レース(今回は第11戦)決勝スタートまで5本しか使用が
許されていないことから、予選でのラップタイム競争に有効なソフトタイヤは25周の
決勝を満足いくペースで走り切るには不安要素が多い。反面、決勝での好成績を最終
目標としたハードタイヤは予選順位を多少なりとも後退させる事態を招く。
 可能な限りポイントを獲得しなければならないTEAM無限HONDA、そしてPIAA 
NAKAJIMA RACINGが出した結論は決勝で勝つためのタイヤ、つまりハードタイヤのチ
ョイスだった。しかしNISMOは予選での順位を重視したソフトタイヤの選定とした。そ
してこのことはもちろん予選結果として現れ、第11戦/第12戦の各予選とも2台のプ
リメーラが、カストロール無限アコード/PIAA NAKAJIMA ACCORDを押さえた順位を獲
得。さらに今回は、ウエイトハンディのないオペル・ベクトラ(飯田選手)が両予選
でポールポジションを獲得して侮れない伏兵ぶりを披露し、また開幕以来マシンの煮
詰めに苦労していたはずのトヨタ(TOM'S)チェイサーが関谷選手のドライブによっ
て上位進出を果たしており、充分入賞が狙える予選順位圏内にはいるもののカスト
ロール無限アコードの中子選手が11戦目を4位、12戦目を6位/PIAA NAKAJIMA 
ACCORDの黒澤琢弥選手が11戦目を5位、12戦目を4位という厳しい予選結果を残
すこととなった。
 そして決勝当日。前夜からの雨は午前中まで降り続いたが、第11戦のスタート時刻
前の空は曇天。コースは一部の舗装面に水がしみ込んだ部分があるものの、予選で使
用したスリックで走れるハーフドライ。しかし、気温が低く、日射がないため路面温
度も23℃と、使用しているタイヤが本領を発揮できるレベルに達していない。
 黒澤選手がステアリングを握るPIAA NAKAJIMA ACCORDはそのスタートを絶妙なタイ
ミングでこなしたが、ここで上り勾配で加速しやすいというマシン特性をフルに発揮
したのがFR(後輪駆動)のチェイサーとBMWで、先を走る僚友の中子選手との間
にこの2台が割って入ってしまう。微妙に走り方が異なるFRマシンと絡むこととな
ったTEAM無限HONDAの中子選手と黒澤選手は、チェイサーとBMWとそのまま激しい
順位争いを早くも演じることになるが、黒澤選手はこの争いでプッシングされるよう
にコースアウトしてしまう。が、黒澤選手は巧みにマシンをコントロールしてコース
復帰に成功。その後もハイペースで走り6位でゴール。中子選手も4位でフィニッシ
ュしてTEAM 無限HONDAはポイント獲得に成功。だが、最も気になるNISMOのプリメー
ラは、本山選手が予選3位位置から1周目でトップに立ち優勝。星野選手も予選順位
をキープして2位となり、この時点でチームポイント差は大きく縮められてしまう。
 続く第12戦は、TEAM無限HONDAにとってさらに手痛い結果となった。第11戦終了直
後から雨が降り始め、ほとんどのマシンがウエットタイヤを装着。そして、その雨が
ごく一時的なものと踏んだカストロール無限アコードは、スリックタイヤでスターテ
ィンググリッドに着く。PIAA NAKAJIMA RACINGはそれをせず、ウエットタイヤを装着。
 第12戦は、ようやく本調子となった勢いに乗ってか、チェイサーを駆る関谷選手が
スタート直後からハイペースで走りオープニングラップで予選首位のベクトラ(飯田
選手)をパスしてトップに立つ。第11戦が自身にとって納得いかない結果に終わった
黒澤選手は、その憤りを晴らすがごとく速いタイムで走り4番手位置から進攻を仕掛
ける。しかしトップから後退した関谷選手との3番手争いを繰り広げている22周目に、
その関谷選手と激しく接触。大きく挙動が乱れたPIAA NAKAJIMA ACCORDは車体後端を
コンクリートウォールに強くヒットさせてしまう。マシンはピットに戻ったがダメー
ジは大きく、無念にもそのままリタイヤすることを余儀なくされてしまった。
 中盤に小降りになった雨だったが、ポイントリーダーの中子選手といえどもやはり
スリックタイヤではライバルたちとのバトルが果たせず13周目にウエットタイヤに履
き換えるためピットインし、最後尾へと後退してしまう。関谷選手からトップの座を
奪い返した飯田選手が23周目に入ったその時、そのしばらく前から照りつけた西日が
気温を上昇させたためサーキットは濃霧に覆われてしまう。
 この時点で、コース上の視界不良をいち早く危険と判断した競技委員会はレース一
時中断を決定。さらに、すでに走行周回数がレース規定の75%を超えていることを根
拠として、そのままレースを成立を決断。そして、規則上、その前周の順位が記録と
して残されることとなったため、マシンはすでに不動状態になりつつも、黒澤選手の
PIAA NAKAJIMA ACCORDはその周を6位で終了していると認められることになった。
NISMOの本山/星野選手はこの第12戦においては、レース開始後早々とトラブル発生
によって戦線離脱しており、シリーズタイトルを賭けた争いは僅差のまま次戦の十勝
大会に持ち越されることとなった。

■PIAA NAKAJIMA ACCORD 担当ディレクター:藤井一三のコメント

『タイヤの選定は、ポイントリーダーとしてのポジションを守るための策として極め
て常識的な判断だったと思います。--もし路面温度が予想通りに上がっていてくれ
れば--との思いがあることは確かですが、レースは結果がすべてですからそうした
仮定のストーリーを語っても無意味でしょう。マシンの仕上がりは充分満足できるレ
ベルに達しているので、残された2大会では今回のような天候だとかレースの流れと
いった部分においてさらに対応幅を充実させて臨みたいと思います』

●次戦は、9月20日~21日、北海道十勝モーターパークで開催されます。


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