Formula Nippon

NAKAJIMA RACING FN SUGO REPORT

● シリーズ名:全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
● 大会名:第5戦・スポーツランドSUGO
● 距離:3.704256km×54周
● 予選:8月2日 晴   ・観衆:  8100人(主催者発表)
● 決勝:8月3日 晴時々曇・観衆:4万1500人(  同  )

満を持したSUGOラウンド
しかし高木虎之介/山西康司選手とも無念のリタイヤ

 今季開幕直後の2戦においてリタイヤを喫したものの第3戦で3位、そして第4戦を優
勝で飾ってシリーズランキング第3位へと急浮上したPIAA NAKAJIMA RACINGのエース
ドライバー、高木虎之介選手のさらなる飛躍が期待されるフォーミュラ・ニッポン第
5戦は、真夏を迎えた宮城県スポーツランド菅生で開催。高木選手はF3000(FN)へス
テップして以来、このSUGOでポールトゥウインを2度達成しており、今回も高木選手駆
るPIAAレイナードが大活躍することを予想する関係者はけっして少なくなかった。
 また、もう1台のPIAAレイナードをドライブするFNルーキーの山西康司選手も第4戦
では予選4位を獲得するなどレースを重ねる毎に成長を遂げ、PIAA NAKAJIMA RACING
はシーズン後半突入を前にライバルチームに対し、強くチャージをかけられる充実ぶ
りを見せている。
 しかしながら、ドライバーズランキングは2回の優勝と2回の入賞により確実にポイ
ントを稼いでいるデ・ラ・ロサ選手がすでに30ポイントを得ており、それに続く黒澤琢
弥選手も第4戦こそリタイヤしたが22ポイントを貯め込んでいる。ランキング3位へ躍
り出た高木選手は14ポイント。PIAA NAKAJIMA RACING自体はもちろん、ファンの多く
が、この差をどれだけ縮められるかに最大の関心を寄せる1戦となった。
 午前中の公式練習を経た午後1時、公式予選が開始。夏空が広がりながらも気温は31
℃、そして路面温度が39℃というコンディション。トリッキーなコーナーが多く、ま
たアップダウンもきついというサーキット特性をより多く身につけることを目的のひ
とつとして、まずはコースオープン早々から山西選手がアタックを開始。一方の高木
選手は、このコースを得意としていることと、事前に行なわれたタイヤテストで充分
セッティングデータが採れていることもあって、タイヤを浪費することのないよう後
半でのわずかな周回でベストタイムをマークする作戦となった。
 予選開始当初から気を吐いた走りを見せたのは、タイヤテストですでに好調ぶりを
示していたR.ファーマン選手。しかしコースイン直後に単独コースアウトを演じ、以
降に続くデ・ラ・ロサ選手、そして黒澤選手による追撃をかわす手立てを一切放棄する
展開となってしまう。
 ファーマン選手がコース上から消えた後はやはりデ・ラ・ロサ選手と黒澤選手がトッ
プタイムに固執した走りを披露。約40分が経過するまでは、このふたりの選手のトッ
プタイム争いが加熱する。そしてこのふたりのタイムを突如として押さえ込んだのが、
予選開始から36分経った時点でコースインしたPIAAレイナードの高木選手だった。が、
フレッシュタイヤを履いた強豪はこれに屈せず、まずは黒澤選手が、そしてM.アピッ
ツェラ選手が短いサイクルでベストタイムを書き換えていく。その後、デ・ラ・ロサ選
手がそれらをあっさり更新。更に、これで予選首位は決まりかと思われたラスト1分
の時点で、黒澤選手の僚友である影山正彦選手が、逆転の最速タイムをマークするス
リリングな展開となる。デ・ラ・ロサ選手/黒澤選手がそれに続き、結局高木選手は4
位で公式予選を終了。
 一方、与えられた時間をフルに走った山西選手だったが、コースを攻略するための
ポイントが充分にマスターできなかったのか17位で決勝進出となった。また、この予
選では残り10分というタイミングで赤旗中断という事態が発生。これをラッキーチャ
ンスとしたのが、すでに争う権利を放棄していたはずのファーマン選手。中断中にマ
シンをピットに戻して応急処置を施し、数分間だけ再度アタックできることとなった
のである。これによって一旦は後端に追いやられたはずの公式予選結果を、6位という
順位にまで押し上げていた。
 公式予選結果上位6台によって行なわれる最終予選とも言うべきスペシャルステー
ジは、わずかに気温が下がった午後3時20分から行なわれた。テストでは満足いくレベ
ルに仕上がったはずのセッティングが、いざ本番当日では今ひとつ冴えない内容にな
ってしまった感のある高木選手だったが、予選4位位置を危なげなくキープ。他方、
ポールシッターとなるべき選手と予選6位に甘んじることとなったふたりのドライ
バーに、番狂わせが発生。金石勝智は、公式予選では5位となりながらも、これをスペ
シャルステージでは後位のファーマン選手にさらわれ、そして公式予選首位だった影
山正彦選手が、その座をデ・ラ・ロサ選手に奪われてしまったのであった。
 決勝当日午前中は時折色の濃い雲が上空を覆うことがあったが、スタート時刻を控
えた昼頃にはほぼ安定した夏空となる。しかし前日の予選でマシンセッティングが思
ったように仕上がっていないことが判明したPIAA NAKAJIMA RACINGは、そうしたカラ
ッとした空模様とは違う緊張の張りつめたムードで決勝に臨むこととなっていた。午
前8時10分から30分間設定されたフリー走行においても、そうしたセッティングの問
題が充分に解決されていないと結論されたからだった。
 しかし、シグナルがブルーに変わった瞬間の高木選手は、チームスタッフの誰もが
苦しい戦いになるであろう憶測を一気に吹き飛ばす素晴らしいスタートダッシュを決
める。観客の大声援と共に、第1コーナー進入時点で巧みに2番手へとジャンプアップ
に成功したのである。黒澤選手は逆にやや出遅れ、5番手にまで後退。高木選手の直後
には影山正彦選手がつくオーダーとなる。
 レースはオープニングラップから猛烈なペースでデ・ラ・ロサ選手がリード。わずか3
周の間に2番手の高木選手との差を4秒以上として、早くも逃げ切り態勢に入る。そん
なデ・ラ・ロサ選手に追い付けない高木選手は、やはり後方から追撃してくるライバル
との激しい攻防を繰り広げることとなる。その筆頭は一旦は順位後退した黒澤選手で、
11周目には高木選手は2番手の座を黒澤選手に奪われてしまうことになる。
 その後は、なんとか後方からの攻勢を阻止していた高木選手に、思ってもいなかっ
た逆風が吹いたのは17周目だった。17位スタートながら序盤から少しつづではあって
もペースと順位をアップさせていた山西選手をも巻き込んだ3台の接触アクシデント
が発生。コース上に停止したマシンを撤去するためにセーフティーカーがコースイン
してデ・ラ・ロサ選手を先頭にした隊列スロー走行が指示されたが、これによって高木
選手のマシン状況が変化。予選時から満足できるレベルに達していなかったマシンは、
スロー走行中にさらに操りづらい事態に陥ってしまったのである。
 20周目、セーテフィーカーがピットロードに戻るとともにレースは再開。すでに変
調をきたしていた高木選手のPIAAレイナードは後方からのチャージをかわすことが困
難となり、まずはファーマン選手が高木選手の前に出る。その直後、ややペースの落
ちた高木選手の後方にいた本山哲選手が仕掛ける。が、第1コーナー進入で高木選手
のイン側に無理矢理突っ込んだ本山選手は、自らのコントロールミスで車体後部を大
きく振り出してしまう。これが高木選手のPIAAレイナードを強くヒットして、ダメー
ジを与えることになり、高木選手はあえなくリタイヤする羽目となる。
 セーフティーカーコントロールにより2位との差を無いものとされたはずのデ・ラ・
ロサ
選手だったが、再スタート後も勢い良くペースを上げて2番手の黒澤選手が絡み付く
隙を与えないまま首位をキープし、そのまま逃げ切って今季3勝目を挙げ、一方、
デ・ラ・ロサ選手とのポイント差を可能な限り少なくしたいはずの黒澤選手はゴールま
で数周を残すところでトラブルが発生しリタイヤしてしまった。


■PIAA NAKAJIMA RACING:中嶋悟のコメント
『応援してくださっている皆様には大変申し訳ない、あるいは失礼な言い方であると
は思いますが、今回に関しては“惨敗"という表現を敢えて使わしてもらいます。山
西選手は走れば走るほど速くなっていて、レースでも予選並みの走りができていまし
た。高木選手については彼がここで初優勝を達成していますし、彼自身も好きなコー
スということで準備段階までは問題はなかったはずなんです。しかし気温や路面状態
などがテストの時と微妙に異なっていてそれが予選結果に出てしまい、セーフティー
カーによるスロー走行が結果的にマシンの状態というかバイオリズムのようなものを
崩してしまったのがレースの敗因です。以降はシリーズ後半になるだけに、今後はこ
うした結末とならないよう、とにかく頑張ります』

●次戦は、8月30日~31日静岡県富士スピードウェイで開催されます。


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