全日本GT選手権

JGT-Rd3:無限+童無・第3戦リリース

                                                           1997年6月30日
                                                  無限+童夢プロジェクト

        '97 ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP ROUND 3
                        Hi-land GT CHAMPIONSHIP

                          台風一過、しかし!
          3・6番手からスタートするも30位・リタイア

●日時 : 1997年6月28(土)~29日(日)
●会場 : 宮城県 仙台ハイランドレースウェイ(1周/4.0296㎞)
●天候 :  28日/雨,29日/晴れ
●路面 : 28日/ウェット,29日/ドライ
●観客数: 28日/3,300人29日/37,200人(主催者発表)

 1997全日本グランドツーリングカー選手権シリーズ第3戦「ハイランドGT
選手権レース」が、2ヶ月近いインターバルの後、6月28~29日、宮城県仙台ハ
イランドレースウェイにて開催された。
 「無限+童夢プロジェクト」の「avex 童夢 無限 NSX」は、インターバルの
間の合同テストも順調に経過し、今大会に勇躍参戦。28日(土)の公式予選では
黒澤琢弥選手が、台風8号の影響で降りしきる雨の中、抜群のスピードを示し
第6位のポジションを獲得。快晴となった翌29日(日)の決勝レースでも、序盤
6番手と健闘していたが、トランスミッションオイルのリークというトラブル
が発生。残念ながら12周でリタイアした。
 一方、僚友チーム「チーム国光 with MOONCRAFT」の「RAYBRIG NSX」は、第
2戦で負ったキズも癒え、高橋国光監督兼選手が予選第3位と健闘し、決勝レー
スに大きな期待を持たせた。その決勝レースでも序盤2番手を快走していた
が、13周目頃からミッショントラブルが発生。徐々に順位を下げながらも健闘
していたが、再三のピットインも重なり、結局49周30位でレースを終えた。

 2台のNSXは、5月3~4日に開催された前大会で揃って負ったクラッシュを
修復。「avex 童夢 無限 NSX」はその後に行われた合同テストに参加したが、
「RAYBRIG NSX」は破損が大きくフレーム修正まで行ったため合同テストに参加
できず、マシンが完成した先週に第2のシェイクダウンテストを行った。この
2回のテスト走行とも結果は上々で、2台のNSXは勇躍仙台ハイランドのレ
ースウィークに臨んだ。
 しかし、金曜日のフリー走行では「avex 童夢 無限 NSX」にオイルリークが
発生。応急修理でフリー走行の3・4回目に出走したものの、フリー走行終了
後、エンジン換装を行うこととなった。このため、今回も山本勝巳選手は満足
できる走行を行えず、翌日の予選に臨むこととなった。
 一方の「RAYBRIG NSX」は順調に走行を重ね、飯田章選手はウェット・コンデ
ィションで行われたフリー走行第1回目のベストタイムを記録した。

○6月28日(土) 公式予選  参加台数38台 出走台数35台
 朝、長崎県に上陸し日本列島を縦断する台風8号の影響を受け、早朝から雨
が降り続き終日やむ気配はない。エントラントの申し合わせにより、60分の予
選時間を20分づつに分けGT500クラスから開始される公式予選は、10時30分、第
1回が定刻通り開始された。雨は降り続いているものの比較的小雨で、空模様
を睨み各チームとも早々とピットロードに並んで予選のスタートを待ち、開始
早々から激しいタイムアタックが展開された。
 その中、「avex 童夢 無限 NSX」は、黒澤選手が乗りスタートしていった
が、エンジン回転がばらつき1周でピットイン。チェック後コースに送り出す
が1周後に再びピットに戻ってしまった。メカニックたちが必死に原因を究明
するが、時間は経過しGT300クラスの予選時間となった。この20分間にプラグ交
換等を行い500/300混走の第1回最終の20分に、黒澤選手がスタート。しかし、
エンジン回転のばらつきは治まらず、黒澤選手は2分4秒796のタイムからタイム
を詰めることができずピットイン。ドライバーを山本選手に替わりコースに送
り出したが、クラッシュした車両がありコース清掃のため赤旗中断となってし
まった。チームではこの赤旗中断の間に再度プラグ交換を行うか意見が分かれ
たが、松本監督の「交換しよ。もし、間に合わなくても2回目があるやんか。
」の一言でプラグ交換に取りかかった。幸い中断の間に作業は終了し、残り10
分で再開された予選第1回は、山本選手が乗りスタートする。山本選手は合計
11ラップを走行、2分12秒306のタイムで予選第1回を終了。マシンから降りて
きた山本選手は「中断されたラップはひどかったです。シケインは落ちている
パーツを避けながらの走行で、ラインどころではなく、他もコース全体にパー
ツが散らばっていました。雨も強くなってきているし、マシンを壊さないよう
に走ってきました。」と語った。
 一方の「RAYBRIG NSX」は、高橋監督兼選手のドライブでスタート。序盤の4
周目に1分58秒590をマークして3番手。そのまま15周を走って最初の20分を終
了した。後半の20分は飯田選手が乗り、降りしきる雨の中、2分7秒206をマー
ク、予選第1回を終了。高橋監督兼選手は「最初の5分位が勝負でしたね。そ
の後は雨が強くなりコース上に水が出てタイムは望めませんでした。でも僕も
全力でアタックした訳ではなく、やってみようかなと思いましたが予選早々に
クラッシュでもしたら大変なので、自重してかなり余裕を持った走りでした。
全力でいったらポール・ポジションに手が届いたかもしれませんね。」
と語った。

 14時30分からの予選第2回間での間に、「avex 童夢 無限 NSX」は、エンジ
ンばらつきの原因をワイヤーハーネスの断線と突き止め修復。黒澤選手が乗車
してスタートすると、ただ一人2分を切る力走を見せ、予選1・2回を通して
6番手とGT500クラスで唯一順位を上げ、最初の20分を終了。本大会予選の最終
20分も黒澤選手が再びスタート。さらに強まったかに見える雨をつき、今回も
2分を切る力走を見せ、雨の中観戦する熱心なファンを沸かせたが、6周目に
シケイン後のS字登り右コーナーでスピン、コースアウト。そのまま予選を終
了。オフィシャルのトラックに引かれピットに戻ってきた黒澤選手は「コース
アウトする2周前に長谷見さんに追いついてしまった。クリアラップだったら5
8秒台に入れたし、ポールも取れたと思う。それにしても、コースアウトしたと
ころは水溜まりがあるわけでもないのに、いきなり後ろが流れて押さえられな
かった。止まった後マシンを降りてみると壁まで後50㎝位だった。どこも壊さ
ないですんでほっとしました。でも、決勝レースが雨だったら大きなチャンス
がありますよ。」と語った。
 一方のRAYBRIG NSXは、今回は出走せず、明日の決勝レースに備えていた。
 ポール・ポジションは、予選1回目の序盤で1分58秒379を記録したカストロ
ール・トムス・スープラが獲得した。

○6月29日(日) 決勝レース 63ラップ  出走台数35台 完走台数30台
 心配された台風8号は夜のうちに通り過ぎ、台風一過の良く晴れた決勝日。
気温も27℃を超えた仙台ハイランドのメインスタンドは37,200人(主催者発表)
の観衆が集まり、決勝レースのスタートを待ち受けていた。
 14時23分、定刻通りにグリーンフラッグが振られ、'97JGTC第3戦「ハイラン
ドGTチャンピオンシップ」の幕が切って落とされた。
 黒澤選手がスタートドライバーを務める「avex 童夢 無限 NSX」は、予選順
位通りの6番手でレースをスタート。順調にレースを開始したかに見えたが、
3周目頃から徐々に遅れ始め、7周目には9番手まで後退してしまい、マシン
後部から白煙を引き始める。11周目、12番手を走行中、フラッグタワーにオレ
ンジボール旗が掲示され、黒澤選手は直ちにピットイン。白煙は金曜日のフリ
ー走行から問題となっていたトランスミッションオイルのリークが原因で、オ
イルがエキゾーストパイプに落ち発煙していたものであった。この度重なるオ
イルリークは、その場での修復は不可能と判断。残念ながらリタイヤする事と
なった。岸本チーフエンジニアは「2戦続きで序盤リタイヤという結果は非常
に残念だし、ドライバーや応援していただいている皆様には申し訳ないと思っ
ています。シェイクダウンしてからロングディスタンスの走り込みが足りない
ため、トラブルの洗い出しができていません。しかし、ここ一発の速さは十分
証明できたし、セッティングも徐々に纏まりつつあるので、今後を期待してく
ださい。」と語った。

 一方僚友チームの「RAYBRIG NSX」は、高橋監督兼選手が乗車し、予選順位通
りの3番手でレースをスタート。8周目のシケインで2番手に浮上、その後も
トップの後ろにピタリと張り付き快調にラップを重ねる。ところが、「avex 童
夢 無限 NSX」がリタイヤした12周目頃から徐々にラップタイムと順位が落ち始
め、11番手まで後退した18周目には2分2秒台での走行となる。原因はミッシ
ョントラブルで、1~3速が使えず4・5速での走行を強いられていたためだ
った。しかし、高橋監督兼選手はベテランの技を見せ、22周目以降は1分54~5
6秒台で走り、11~12番手のポジションをキープ。33周を終了してピットイン、
飯田章選手と交代。タイヤも交換しガソリンを補給して、コースに復帰。飯田
選手も傷ついたマシンを労りながら賢明に走行を続けるが、2コーナーでGが
かかると異音が発生するとピットイン。リアタイヤを交換してコースに戻った
が、1周後再びピットイン。メカニックたちは必死に原因を追及するが異常は
発見できず、再度タイヤを交換してコースに送り出す。その後も再びピットイ
ンし、チェックを繰り返すが異常は見つからない。コースに戻った飯田選手
は、1分53~54秒台で力走し14周遅れの30位でチェッカーフラッグを受け、原
因の究明はガレージに持ち帰ってからとなった。

 レースは、ラスト2周の最終コーナーでZEXSELスカイラインをかわしトップ
に立つという劇的な展開で、カストロール・トムス・スープラ(M.クルム/P.デ
ラ・ロサ)が今季初優勝を飾った。  

   提供:無限&童夢




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