全日本GT選手権

GTインサイドレポートAllStar/8

■ NICOS CUP GT ALL STAR RACE'99 in AUTOPOLIS
■ GT INSIDE REPORT                          FMOTOR4 EDITION
   GT INSIDE REPORT     インサイドレポート特集       99/11/28
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NICOS CUP GTオールスター戦'99 オートポリス(11/27,28)


■コンストラクター、チームに2000年シーズンの構想を訊く

TRD 木村芳郎部長(スープラ コンストラクター)
「99年のスープラは98年に比べて大幅に戦闘力が上がったと言われて、われわれも
それを認めていたんですが、細かいトラブルが多くて後退してしまうことが多かっ
たですね。それはわれわれの反省すべき点です。(GTCは)完全な耐久レースとは言
えないまでも距離が長いわけですから、安定して走れるということがだいじですよ
ね。今、来年のクルマを開発している段階ですが、そこにそうとう力を入れてます。
今年の性能を維持したままで、つまらないトラブルをなくすことを目指しています。
98年型から99年型のときのように、ガラッと変えてしまうということはないですね。
 チーム体制についてはほぼ今年と同じとお考えいただいていいと思います。台数
的には、増やしたいという話が持ち上がっているチームもあるんですが、エンジン
を供給するのがウチだけですから物理的に可能かどうかということと、チーム側の
スポンサーなどの問題で、確定はしていません。それは新規チームではなくて、既
存のチームが台数を増やすという話が出ているということです。
 2000年モデルは、開幕に何台間に合うかということとトータルで何台作るかとい
うことがありますんで、99年型をモディファイして混走させることも考えています。
まだ2000年モデルの戦闘力もわかりませんから、そのへんのようすも見ながら、と
いうことになるでしょう。明らかに戦闘能力が違えば全部2000年モデルになるんで
しょうけど、逆に99年モデルのほうが速かったら…どうしたらいいかわからないで
すね(笑)。今のところは2000年モデルは5台は作ろうと考えています。
 GT300については、基本的にはプライベートのために空けておこうという考え方な
んですが、できれば新しい車型で動きたいものですから、今年走っているセリカが
新しいセリカになるとか、MR2がMR-Sになるとか、そういうかたちで新しい車種を投
入することは考えていますし、現実にそれで動いてもいます。今はMR-Sのほうが先
行してますね。今までのユニットがそのまま使えてスタイルが新しい車両になると
いうことを考えています。エンジンは3Sターボです。オープンボディで不利な面も
あるんですが、ディーラーオプションでハードトップがあるんで、そんなものも活
用しようかなと考えています。とりあえずは1台、A'PEXチームが名乗りを上げてい
ますので、われわれとの共同開発ということで動いています。あとから増やしても
いいな、と思っています。
 セリカのほうはFFでターボというのはむずかしいので、NAの2リッターの新型セリ
カということが考えられます。今年セリカでやっているチームが2チームあります
が、それがそのまま新型に移行するかどうかはまだわからないんですが、われわれ
としてはできれば新型でやっていただきたいとは思っています。それ以外にはFRで
やりたいという話もあるんですが、GT500で使っているスープラをGT300でも走らせ
るのもおかしいですし、ほかに適当なFRのクルマもありませんしね…。ハチロ
ク(AE86トレノ)に関しては、チームのほうでは来年もやりたいと考えているよう
です」

NISMO 岡 寛監督(スカイラインGT-R コンストラクター)
「来年のことは今検討中です。でも、GTはやりますし、R34のニューマシンも、少し
遅れてはいますが、現在開発しています。どういうクルマになるかということです
が、今年の結果を見ていただければわかるように、スカイラインは一発の速さが足
りなかったですよね。だから、来年型では一発のタイムを出せるクルマにするよう、
開発陣にネジを巻いているところです。予選でもっと上のポジションにいければ今
までよりもラクに戦えますから。コスト、効率などを考えなければいけないので台
数などはまだわかりません。1号車は早ければ1月に仕上がると思います。今年より
もちょっと遅れ気味ではありますが、ちゃんとしたものができてくれば、その遅れ
はカバーできると思いますよ。
 GT300のシルビアについてもやる方向で検討中ですが、今はっきりしたことは言え
ないですね。スポンサー活動を含めて活動中なので、年末には、はっきりするんじゃ
ないでしょうか。
 会社としてはドライバーラインナップも検討中です。今年ももちろん速かったん
ですが、来年も速いドライバーを乗せたいですね」

無限 技術部 永長 真マネジャー(NSX コンストラクター)
「クルマを供給する側としては、来年も現在の4台という規模は維持したいと考え
ています。ただ、その中身はチーム側の体制作りですとかスポンサーさんの意向な
どもある話ですので、今のところはなんとも言えません。ドライバー構成も含めて、
このオールスター戦が終わって、シーズンが終了してから考えるということになる
と思います。今あるチーム以外からもNSXでやりたいという話をいただいています
が、われわれのキャパシティとしては台数を増やすのはむずかしいですね。
 クルマのほうですが、設計にはもう取りかかっています。来年のレギュレーショ
ンは空力的ダウンフォースを減らす方向になっています。NSXは、ターボ勢に対する
エンジンパワーの不利を足回りや空力などでおぎなってきたわけです。つまり来年
のレギュレーションでは空力面での影響を一番大きく受けることになりますから、
その影響をいかに減らすかということがひとつのテーマですね。足回りについても、
98年から99年と基本的に同じクルマでやってきたなかで『ここをこうしたい』とい
うことが出てきていますから、それを改良していきます。それから、来年はABSが禁
止になるわけですが、その点に関してはわれわれ(NSX勢)はABSがある状態とない
状態の両方を経験していますから、アドバンテージがあると思います。エンジンの
ターボ化は選択肢のひとつとしてありうるとは思います。ですが、ひとまずは手持
ちの(技術の)なかで見きわめようということですね。
 今年は昨年同様、4チームに対してまったく同じクルマを供給しデータも共有す
る、またチャンピオンシップポイントについて各チーム間にオーダーは出さないと
いう方針でやってきました。結果的には3チームが1勝ずつ挙げるかたちになり、
タイトルはコンスタントにポイントをかせいだところが獲得しました。ある意味で
(この結果は)なるべくしてなったと言えると思います。われわれとしてもニスモ
さんを見習わなければならない点はあります。ただ、(ニスモと)同じことをでき
るかと言われれば、できないでしょう。われわれもタイトルを獲ることを第一にす
るのならこれまでと違ったアプローチのしかたもあるとは思います。ですが、すべ
てのチームが同じアプローチをするのではなく、チームごとに特色を出していくこ
とでシリーズがおもしろくなるという面もあると思います。
 今のレギュレーションについては、お客さんが満足してくれているのだったら、
いいと思います。技術的にはハンディなしでやりたいという気持ちはありますけれ
どね。
 (S2000がGT300クラスに出る可能性は)個人的にはたいへん興味はあります。た
だ、今のGT300でトップを争うのはむずかしいでしょう。小排気量のNAでは勝ちにく
い状況にありますからね。仮にターボをつけてパワー面をクリアにしても、オープ
ンボディですから空力面でのむずかしさがある。お客さんから期待されているクル
マであることは理解していますが、だからこそ簡単には出ていきにくいでしょう」

No.26/55 チーム・タイサン 千葉泰常監督
「来年はGT500はやめ、GT300クラスを2台態勢でやることになるでしょう。1台は
ポルシェGT3Rで、もう1台はシーズン序盤の3戦はRSR、ル・マンのあとは新車の
GT3Rということになると思います。ドライバーは、1台は松田秀士とドミニク・シュ
ワガーの予定ですが、シュワガー選手はあくまでフォーミュラ・ニッポンが最優先
ですので、そちらの動向しだいになるでしょう。もう1台は、ポルシェから『若手
を育ててください』と言われていることもあって、若手組になると思います。こち
らの人選についてはまだ白紙です。今回(オールスター戦で)乗る本庄康幸も候補
の一人ですが、いずれにしてもスポンサーしだいという部分があります。スポン
サーについてもまだわかりません。
 ル・マンは、来年はポルシェ・ワークスが出場しないので、これと組んで出場で
きるよう話し合っていきます。いずれにしても組んでやらないと、日本から全部持っ
ていくというのはできませんからね。やるからにはクラス優勝したいですね。ドラ
イバーは、今のところ松田秀士と近藤真彦を予定しています。あともう一人はポル
シェとの話し合いで決めることになると思います」

No.81 チーム・ダイシン 大八木信行代表
「今年使ったクルマそのもので、もう1年やる予定です。ただ、来年はレギュレー
ションが少し変わりますから、エンジンもシャシーもそれに合わせた改良をして、
そのテストをオフのあいだにやるようになるでしょう。ドライバーも今年と同じで
す。カラーリングも、これから大きいスポンサーでもつけば別ですが、今のところ
はそのままの予定です。GTC以外には例年どおり鈴鹿1000kmなどをやりたいな、と
思ってます」(福山英朗「まだ大八木さんとそういう話はしていないんですけど、
ボクの感じではチームとしてのスキルアップを考えているのかな、と感じていま
す。スタッフも、ドライバーも、施設も、少しずつステップアップしていかないと
ね」)

No.19 RACING PROJECT BANDOH 坂東正明監督
「来年のことはカネしだいということでまだはっきりは決まっていないが、スポン
サーが集まればGT500クラスに出たいと思う。スポンサーがちょっとだったらGT300
クラスだけど、車種変更の可能性はあるね。来年はレギュレーションが変更になる
から、その内容しだい。NAが今より50kg重くなってセリカでも925kgから975kgにな
るけど、ターボは重量も積まれたうえにリストリクターの径も絞られる。どちらが
戦闘力があるのか考えて、セリカからMR-Sに変える可能性があるね。ドライバー
は、織戸は今年でウチのチームを卒業。だから12月8~9日にTIであるヨコハマの
テストでは何人か乗せる予定にしている。今言える範囲では脇阪薫一、青木孝行、
藤原靖久が乗ることになってるよ」

No.77 クスコレーシング 加勢裕二代表
「このままGT300クラスで、インプレッサのニューマシンを投入します。このマシ
ンは、重量配分や基本のレイアウトを詰めて、今年型をいい方向に進化させていこ
うと思っています。マシンの仕上がりは開幕1ヶ月前をメドにしています。テスト
など細かい予定はまだ決まっていませんが、チャンスがあればいっぱい走りたいで
すね。来シーズンの目標は全戦表彰台。高い目標を持たないとね。ターボは来年リ
ストリクターが小さくなるんですが、それがウチのマシンのエンジンにとってはい
い方向だと思うので、期待していてください。ドライバーは今のところ未定です。
チームとしては今年と同じメンバーでいきたいんですが、ドライバーのほうにもい
ろいろ都合があると思いますし。いずれにしても、年明けの早いうちに決めたいで
すね」

No.7 RE雨宮レーシング 雨宮勇美代表
「マツダスピードはサポートしてもらったわけじゃなくて、おカネを払ってたお客
さんの立場だから。パーツは来年できるぐらい十分ある。N1(スーパー耐久)も考
えたけど、お客さんがあれぐらいの入り方だしね…。プライベートでがんばりたい
気持ちはあるけど、予算の状況からいって現状では(来年もGTをできるかどうか)
五分五分ぐらい。来年はきびしいかもしれないなあ。今のところはわからない」

No.25 MOMOCORSE Racing Team with Tsuchiya 土屋春雄監督
「まだ、正式にはなにも決まってない。(シーズン途中での新車投入の話があった
が)MR2は新車を作っても速くなる可能性が見込めなかったからやめた。TIは予定外
だったけれど、タイトルは獲れたから。現状では、MR2のパーツがそっくりそのまま
使えるのでMR-Sをやろうかと、とりあえず思っている。GT500の可能性はゼロではな
いけど、2~3%かな…」



@99年のGTインサイドレポートは以上です。1年間ありがとうございました。

                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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