全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.4/4


                     ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP
                       1997  GT INSIDE REPORT
   Round 4 JAPAN SPECIAL GT CUP                                10 Aug. '97
   Race Report                    決勝レース                   FMOTOR4版
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 '97GTC第4戦富士スピードウェイ

地獄から天国。天国から地獄へ
次々とトップに襲いかかる罠。
そして勝利の女神はデンソーサードスープラを選んだ

 8月10日、全日本GT選手権第4戦「JAPAN SPECIAL GT CUP」の決勝レースが富士
スピードウェイで行われた。心配された天候は崩れずにすんだものの、3度のセー
フティカーランに、ペナルティを受けるマシンが続出する荒れたレースとなった。
この混乱を巧みに乗り切ったNo.39デンソーサードスープラGTが、5月の第2戦に続
き今季2度目の優勝を飾った。GT300では、セーフティーカー・ラン時にタイミング
良くピットワークをこなしたNo.26タイサンスターカードRSRが、こちらも逆転で今
季2勝目となる勝利を挙げた。

 スタートでトップに立った#38カストロールセルモスープラの竹内浩典。ハコの
スペシャリストである彼は、抜群のローリングスタートからポールポジションのNo,
36カストロール・トムス・スープラのM.クルムを抑えて、1コーナー侵入時点でト
ップに立つ。そして、竹内は2周目に1分30秒449というこの日のファステストにな
るタイムで、早くも後続を引き離しに掛かる。No.38、No.36に続くのはNo.8 POWER
 CRAFT SUPRAのW.ガードナーだが、彼はローリングのスタート時にストールし、本
来なら最後尾スタートなるはずだったが、ガードナーはローリング中に元のポジシ
ョンに戻ってしまったためにペナルティ・ストップとなり、早くもトップ争いから
脱落。代わってNo.510 RH CERUMO SUPRAのガショーが3番手となる。
 その後方では、No.18 avex童無限NSXとNo.100 RAYBRIG NSXの5位争い、No,556 
KURE R33とNo.2 ZEXELスカイラインの7位争いなど、序盤は同一車種同士が激しく
バトルを繰り広げる。ここでまず脱落するのは、No.18のNSX。わずか15周で、ハブ
を壊してコース上でストップ。続いて、2台のスカイラインもヒートアップし過ぎ
たバトルで接触。互いにダメージを被り、優勝戦線から離脱する。先に止まったNo.
18 NSXを撤去するためにセーフティーカーが入った。
 このセーフティーカー・ランは18周目から6周に渡って行われ、この間に早めだ
が、ルーティンのピットストップを終わらせてしまおうという作戦変更を行った
チームが出た。中でもNo.3ユニシアジェックススカイラインとNo.12カルソニックス
カイライン、そして序盤マシンのバイブレーションのため10周ほどで余分なピット
ストップを強いられたNo.39デンソーサードスープラGTがタイミング良く素早く作業
をすませ、上位に進出する。
ところがNo.3スカイラインは、なんと追い越し禁止違反でペナルティストップ。そ
して、4番手の好位置に付けていたNo.100 NSXも再スタート時の違反でペナルティ
を受ける。
 一方、このセーフティカー・ランを利用せずNo.38、No.36はマッチレースを続
け、終盤にピットインする作戦に出た。だが、思いの外長引いたセーフティーカー
・ランのためか、この2チームがルーティンのピットストップを終えてコースに戻
ってみると、No.39デンソーサードスープラGTが25秒先方にいる。残り20周程で、
No.38とNo.36のラップタイムはマシンに不安を抱えるNo.39より、1秒以上速い。こ
のままで行くとラスト数周で逆転かと誰もが予想しだした、40周過ぎに今度は最終
コーナーでGT300クラスのマシンがクラッシュし、再度のセーフティーカー・ランと
なる。これで、No,39谷川とNo.38金石と間は一気に詰まりって再スタート。さあ、
逆転かと思ったその時、この再スタート時の違反でNo.38に痛恨のブラック・フラッ
グ。これで、No.38は優勝どころか、表彰台も失った。しかし、No.39の背後に今後
はNo.36デ・ラ・ロサが急接近。今度こそ、と思った51周目に300RでGT500のポル
シェがクラッシュ。またもやセーフティーカーがコースに。これで、獲物を目の前
にNo.36は、手が出せなくなってしまう。結局、セーフティーカーが入ったまま最終
ラップを迎え、No.39デンソーサードスープラGTの勝利となった。3位にはNo.37カ
ストロール・トムス・スープラが入り、予選同様に上位をスープラが独占すること
となった。


巧みなレース展開でタイサンスターカードRSRが2勝目
FCJフェラーリが初の表彰台をゲット

  GT300クラスでは、クラス予選トップのNo.25つちやMR2が序盤をリード。これに
No.21 ダンロップ-BP-BMWとNo.27TEAM FCJフェラーリが続く形だったが、最初のセ
ーフティカー・ランを活かしてNo.26タイサンスターカードRSR、No.910ナインテン
ポルシェが上位に進出。そして、No.25つちやMR2はピットイン時の速度制限違反と
いうミスで、ペナルティを受け、順位を大幅に下げる。そして、健闘していたNo.7
 RE雨宮SuperG RX7とNo.81ダイシンシルビアがトラブルでリタイアすると、No.
910、No.26のポルシェがトップ争いを展開。No.26はNo.910をかなり追い上げるが
わずかに届かず2位でゴール。ところが、最後のセーフティカー・ラン最中にNo.
910が他のマシンを追い越すという違反を犯して、ゴール後に1分加算となって4
位に。結果、No.26タイサンスターカードRSRが優勝となった。2位には燃圧不良に
よるエンジンのパワー不足を巧みに凌いでNo.27フェラーリが初の表彰台。3位に
はRS☆Rシルビアが入った。



☆優勝者インタビュー

総合優勝
No.39 デンソーサードスープラGT
影山正美「スタートしてすぐにオーバーステアが出て、タイヤかと思って交換した
らデフトラブルのようだった。運良くペースカーがウチのクルマの直後に入ったの
で、遅れた1周を取り戻すことができた。ピット作戦はチームの決断というか総合力
でしょう。地獄から天国と言うか、富士で2勝目できてうれしいです。え、これで
ランキング2位に16ポイント差? いやぁ、いいねぇ(笑)。でもほんと信じられ
ない。ここで勝てないと、スープラはもちろんMINEではスカラインも速いだろうし。
だから、最初にピット入ったときは、もう手袋投げつけてたんだからさ」
谷川達也「確かにマシンは本調子ではなかったです。なるべくペースを落とさず
に、丁寧に走っていました。実は無線も調子よくなくて、誰がどのくらい迫ってる
かよく分かてなかった。え、金石さんはペナルティだったんですか、知らなかった
です。3戦で2勝ですか。ラッキーというか、運だけで生きてますねぇ(笑)。僕
個人はチャンピオン争う立場ではないですが、影山さんとチームをチャンピオンに
するために全力を尽くします」
影山正美「いい奴だなぁ、お前は(笑)」


GT300クラス優勝
No.26タイサンスターカードRSR
鈴木恵一「いやぁ、表彰台の一番上に上がるのが恥ずかしいですよ。途中、なんか
踏んだらしくてバイブレーションが出て、ストレートで抜かれちゃう。あんなとこ
ろでペースカー入るから負けちゃったと思ったよ。今回は新田君がいい仕事をして
くれたからね。彼の勝利ですよ。これでNo.19のシルビアと同点だから、あとはもう
他の車を気にせずNo.19との勝負だと思ってます」
新田守男「2回目のペースカーが外れてからは、GT500も混じってもうゴチャゴチャ
で。みんな500にくっついて上に行こうとするし(笑)。玉ちゃん(No.910玉本秀
幸)とオロフソンが接触したりして、ラッキーと思ったら玉ちゃんまだ走ってるし
(笑)。もう2位ねらいで行こうと。最後は玉ちゃんにうまくやられちゃったと思
ったんだけど…。これでNo.19と同点。ここからスタートだと思います。MR2とか他
も速いのにウチは遅いから、ほんとチョーキビシイですよ(笑)」


以上
                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =


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