全日本GT選手権

GTインサイドレポート Rd.2/5

                     ALL JAPAN GRAND TOURING CAR CHAMPIONSHIP
                       1997  GT INSIDE REPORT
   Round 2 FUJI GT RACE                                         3 May '97
   Qualify Topics                 予選の話題                   FMOTOR4版
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                               注:カーNo.前の#はGT500、*はGT300を表します
☆練習日(2日)のトピック

*57 SiFo Spider Ver. GT
 今回から新規参戦を予定していたが、金曜日にエンジンを壊し、残念ながらエン
トリー取り消しとなった。クルマは、昨年発売されたルノーの2シーターのミドシッ
プマシン。カタカナ表記は“ルノースポール・スピダー”。ワンメイクレースのた
めに作られたマシンで、ロードバージョンも市販される。チーム名はecurie SiFo(エ
キュリー・シーフォ)。「GTに関してはスポンサー問題もあり、まずは富士に出る
ことになりました。資金的な問題がクリアされれば、さらに続けての参戦も考えら
れます。GT500クラスへの参戦も検討されたが、プライベーターの手に負えないこ
とから、規定にもちょうど合うGT300クラスへ参戦する。重量も900kgの規定に合う
んです。ベース車両が850kgですから。ただ、クリオ・マキシというラリー用のエン
ジンなので、エンジンが250ps程度のパワーしかないんで、富士に関して言えばパ
ワー不足から厳しいコースだと予想されます」(藤井監督)

◎お詫びと訂正
*7 RE雨宮SuperG RX7に関して、第1戦鈴鹿の予選日レポートの文中、「トルクも
26.5kgから37kgへと増えました」との記述がありますが、正しくは「33.5kgへと増
えました」の誤りでした。お詫びして訂正します。

*17 東京科学芸術専門学校RXー7
 今回、セカンドドライバーが輿水敏明から細野智行に変更になった。細野によれ
ば、「野上さんと私は168cm位の身長なんで問題ないんですが、輿水さんは180cm近
くあるようで、今回は間に合わなかったユーノスロードスターだと、背の高いドラ
イバーにはきついコクピットなんです。で、私が選ばれたようなんです。真偽のほ
どは定かではありません(笑)。鈴鹿1000kmレースでは野上さんと組んでますし、
学校でも講師をやっています。学生の実習としてやってるんで無理は出来ないんで
すが、いい結果が出るよう頑張ります」とのこと。ロードスターは今回は展示のみ
だが、次回は間に合う予定。サスペンションを前後ともプッシュロッド式のイン
ボードにするなど、かなり本格的な作りだ。

#88 和田孝夫(JLOCディアブロGTR)
「フランスでクルマが出来上がった後ちょっとテストをして、和田久のほうが少し
乗ったんですが、ボクは金曜日が初めて。まだクルマが全然完成してないんです。
リヤのスタビがないもんだから、コーナーでクルマがこんなに(手で左右に揺れ動
くしぐさ)なっちゃうんです。おまけにパワステの具合がおかしくてエンジン回転
が落ちると極端に重くなるもんだから、カウンターもあてられない。外から見る
と、まるで下手クソが乗っているみたいに見えるんじゃないかな。エンジンはリス
トリクターが小さくなったぶん辛いけど、まあポテンシャルはあると思います。こ
れから煮詰めれば期待できると思うけど、おカネか時間か、どっちかかけないと
ね。おカネはないから(笑)、もう少し時間が必要ですね」


☆予選日(3日)のトピック

#39 デンソーサードスープラ(予選2位)
影山正美「アタックの時にホンのちょっとミスしたけど、それがなくても1分28秒
台は厳しかったかもしれないですね。クルムのタイムは速すぎって感じです。ただ
マシン的には凄く良い状況なんで、決勝は自信ありますよ。無理しないでじっくり
行って、最後一番高いところに立てればいいですね」
谷川達也「タイヤは期待していた以上にグリップがいいし、走り込んでいってもタ
レてこない。金曜日に影山選手が出したタイムはロングのセットで、タイヤは一度
使ったもの、ガスもけっこう入っていました。それで29秒台真ん中までいっていま
すから、決勝は順調にいって完走すれば表彰台に上れると思います。ボク次第です」

#5 5ZIGEN SUPRA(予選4位)
 鈴鹿ではシェイクダウン直後だったため上位に食い込めなかったが、今回は予選
1回目で4番手につけた。田嶋栄一は「鈴鹿とはダンパーとバネを換えたくらいで、
ダウンフォースはそのままなんです。それでちょうどよいんだから、いかに鈴鹿で
ダウンフォースが足りなかったかということですよね。チームの雰囲気はいいし、
グーセンとのコンビもうまくいってます。グーセンはヘンなわがままを言ったりす
ることなく、与えられた仕事をきっちりとやってくれます。さすが向こうのF3000
で勝ったドライバーですね。タイヤが他のスープラと違うのはリスクもあります
が、チャレンジしがいもあります。すべてがうまくマッチングすれば勝てるチャン
スもあるでしょう」と力強いコメント。一方のグーセンは、「94,95,96年とヨー
ロッパのF3000で走っていた。でも長距離レースの経験がないわけじゃないよ。昨
年のル・マン24時間ではE・バン・デ・プールと組んでフェラーリ333SPに乗ってい
るんだ。今年はチーム5ZIGENからGTCとフォーミュラ・ニッポンに出る契約をして
いる。GTカーでレースに出るのはまったく初めてだが問題はない」とのことだった。

#38 カストロール・セルモ・スープラ(予選5位)
竹内浩典:「タイムアタック中にミッションが入らなくなってしまって2秒は損し
てるんです。トップは無理だとしても2番手3番手はねらえたんで、悔しいです。ラ
イバルは回り(のスープラ)になっちゃいましたね。コンスタントラップでは負け
ていないんで、明日は暴れます。スタートは多分ボクでしょう」
金石勝智:「前回は不甲斐ないレースをしてしまったんで、今回は行くしかないで
です。もちろん、勝ちをねらいますよ。ストレートは他のクルマよりスープラが速
いんで有利なんですよ」

#100 飯田章(RAYBRIG NSX 予選6位)
「まだそんなに無理してるつもりはないんですけどね。このタイムがすっと出るっ
てことは、もともとクルマの出来がいいってことでしょう。やっぱりコーナーリン
グは速いですよ。心配してた直線もかなり速いみたいなんで安心している」


#3 ユニシアジェックススカイライン(予選7位)
長谷見昌弘「先週合同テストがあったが、そのときよりも良くなっている。鈴鹿で
はアンダーステアに悩まされたが、ここ富士ではある程度解消されてバランスは良
い。それがスカイラインのなかでは一番良いタイムにつながっているのではないか
と思う。スカイラインは大きいし、フロントヘビーだし、バランスをとるのは難し
い。1分29秒台の後半はうちも先週のテストで一度入っているが、今日は一所懸命
走ったが30秒台。1分28秒台には届かない。スープラはストレートが速い。空力もあ
るだろうし、エンジンもパワーアップしている。ただ、スカイラインはグループA時
代からの蓄積がある。とくにウチはスカイラインしかやっていないのでトラブルに
は強いと思う。決勝はスープラについてゆくことはできると思う。ついていけば相
手も焦るだろうし、おもしろくなるんじゃないか。しかしNSXは速い。ストレートも
速いし、コーナーはミドシップで速いし、美祢や仙台、菅生、鈴鹿に行ったらめ
ちゃくちゃ速いだろう」

#2 鈴木亜久里(ZEXELスカイライン 予選12位)
「クルマは絶好調なんだよ。コーナーなんか凄く気持ち良く走れるし、挙動も安定
しているの。ただストレートが他のクルマの3倍遅いんだ(笑)。なんせプライベ
ートのポルシェにストレートで抜かれちゃったからね。だもんで、これからエンジ
ン載せ換えることにしたんだ。今回は最初からエンジン換えてくれって言ってるの
に換えないもんだから、予選でこの結果でしょ…。まぁエンジン換えれば多少はス
トレート速くなると思うんで、決勝はそれほど心配してないけどね」

*25 土屋武士(つちやMR2 予選クラス2位)
「予選のタイムはピットから出ていって1周目で出したんですよ。実は予選開始か
ら20分たってGT300クラスのクルマが走り始めた途端に雨が降ってきたんです。だ
からセカンドドライバーが基準タイムをクリアできないといけないんで、取り敢え
ずタイム出してすぐ交代したんです。本当はあとコンマ数秒はいけたと思うんです
けどね。今回はクルマが本当に調子いいんですよ。今までこんなに調子良い状態で
乗ったことがないくらい。ただコーナーはものすごく速いんですけど、直線がやは
りターボ付きのマシンに比べると遅いんで、決勝は前半抑えめに前について行っ
て、後半で勝負に出ようかと思ってます」

*51池谷勝則(コブラポルシェ 予選3位)
「昨日の練習走行でも同じようなタイムが出てたんです。だから今日はうまくいっ
たってことじゃないかな。途中、混んでてクリアラップがとれなかったんですが、
まあしょうがないでしょう。決勝は、ポルシェはタイヤのタレが少ないんで、あわ
よくば表彰台に上りたいですね。スタートは石原さんで行く予定です」

*6加藤寛規(ワイズダンロップBP MR-2 予選クラス4位)
「首都高の渋滞にハマっちゃいました(笑)。まわりでスピンしてるクルマもいた
りして、上位には行けないかなと思ったんですが。決勝ではMR2はちょっとつらい
かもしれません」

*21 一ツ山康(ダンロップ-BP-BMW、予選クラス5番手)
「出て行ったときにちょっと雨が降っていて、あと2周ぐらいあれば良かったんで
すけれど。遅い車に引っかかったけれど、Bドライバーを乗せないと基準タイムを
クリアできないんで、行かせました。前回はエンジントラブルで3周で終わっちゃっ
たんで、今回はまず完走することが先決です。スタートは山本君が行きます」

*26 鈴木恵一(タイサンスターカードRSR、予選クラス9位)
「ちょっとコースインが遅れて、Aコーナーと100Rで引っかかって雨にはまっちゃっ
た。あとは頑張ったけど雨が強くなるばかりで…。タイヤが極端に温まりにくかっ
たってことはない。テストの感触良かったし10番手あたりからのスタートでも決勝
は行けると思う。前回は新田君がスタートだったんで、今回からは以前のパターン
に戻してボクが行きます」


☆ポールシッター・インタビュー

ポールポジション
#36 カストロール・トムス・スープラ
ミハエル・クルム「スゴクイイクルマデス。昨日シェイクダウンをしたばかりで、
昨日の午前中はトラブルがありました。でも午後はクルマがすごく良くなって、と
くにコーナーでは素晴らしく、96モデルに比べてクラッチやギアボックスが良くなっ
たこともあり、非常に運転しやすくなりました。エンジンも良くてストレートも速
いし、パフォーマンスは最高です。予選のタイムには満足してます。昨日は29秒台
だったので、28秒台が出たことは非常にうれしいです。でも一番大事なのは、タイ
ムではなくポールポジションを取れたことですね」
ペドロ・デ・ラ・ロサ「クルマはファンタスティックです。ことに富士のようなハ
イスピードトラックでは。ギアボックスは昨年型より明らかに素晴らしいですし、
シャシーの剛性も上がっていて、それが速さに結びついているためとてもハッピー
です。クルマが良いので、運転するのも楽です。GTレースでもっとも重要なポイン
トのひとつが、1人ではなく2人でドライブすることだと思います。2人がお互いに
勝利に向かって協力しあうことが重要です。鈴鹿では僕がタイムアタック役をしま
したが、今回はマイケル(クルム)がその役をしました。次回はまた僕が担当しま
す。こういったことが、お互いの関係でも重要だと思っています」
クルム「同じチームの同じマシンに乗る2人が、争うのではなく2人の良いところを
大切にして協力し合うことが大切です。予選を交代で担当して集中力を持続するの
も、我々には良いことだと思いますし、ペドロと2人で勝利を分かちあいたいと思っ
ています。そしてペドロ・デ・ラ・ロサとコンビを組めたことを嬉しく思います」
デ・ラ・ロサ「ドモアリガトウゴザイマス」
クルム「ドウイタシマシテ。明日の決勝についてですが、まず申し上げたいのは、
私はポールポジションからローリング・スタートするのは初めてなんです。だから
1コーナーでグラベルに飛び出さないように注意します(笑)。そしてとにかくゴー
ルまで走り続けることがもっとも重要です。なにしろ鈴鹿ではリタイアをしてし
まっていますから」
デ・ラ・ロサ「なにしろ長いシーズンなので、フィニッシュをして大きなポイント
を得ることを目指します。前回のようなことがないように、必ずチェッカーを受け
たいです」


GT300ポールポジション
*19 RS☆Rシルビア
福山英朗「GT300クラスが走り始めてすぐ雨が強くなったんですが、僕、自分のこと
しか考えてなくて、他の速いクルマに負けちゃいけないと思いながら、自分がうま
く走れなかったこともあって、ずっと繰り返し走っちゃったんです。あとで考えた
ら、いけね、織戸君がクォリファイできないじゃないかって気がついて…、大ドジ
こいちゃいましたけど(笑)。自分がタイムを出したときはまだなんとかドライで
走れたもので良かったんですけどね。クルマは前回の鈴鹿からいっぱい変わってま
す。数え上げたらキリがないですけど、良くなってることは、ここでポールが取れ
たことがそれを証明してますし、おまけに30kg積んでいることを跳ね返すだけのこ
とをチームがやってくれてると思います。どこをどう直したかは内緒です。坂東組
長の目がつり上がってますんで(笑)。ストレートはそれほど速い方じゃないです
よ。それよりコーナーと立上がりのピックアップが凄くいい部類じゃないかと思い
ます。ただ予選タイムは満足してないんですよ。まったくタコでした、今日は。冗
談じゃなくて、腕に覚えのある人なら誰でも今日のタイムが出せるくらいです。
まぁ、それほどクルマがよく仕上がっている、ということですね」
織戸学「ステアリングを福山さんから渡されたときは、まだ大雨じゃなくてスリッ
クで行ったんですけど、2~3周で午後もあるから問題ないだろうと思ってピットに
入ったんです。で、午前中は基準タイムをクリアできなかったので、午後は最初か
ら乗りました。GT300クラスの走行が始まる頃からまた雨が強くなったんですが、
なんとかなるだろうと思って走って、なんとか午後基準タイムをクリアできました。
実は金曜日に福山さんが僕になるべく乗らせてくれましたので、だいぶこのシルビ
アにも慣れてきたところなんです」
福山「昨日はほら暑かったから(笑)。年寄りは疲れるし(笑)」
織戸「明日はかなり楽にレースをできそうです。僕はとりあえず、最後の周を失敗
しないようにすれば(笑)」


☆スペシャル・インタビュー

ニューNSXについて聞く
#100 RAYBRIG NSX
高橋国光「シェイクダウンは3週間くらい前に菅生でしたんですが、そのときはマ
イナートラブルであまり走れなかったんです。ですからブレーキもあまり踏んでい
ない。先日富士でテストした時も同様で、ほとんど走行できなかったんです。です
から実質昨日がシェイクダウンのようなものでした。またスケジュールの関係で章
が乗っていなかったので、昨日は最初から章に乗ってもらいました。もう本当にク
ルマは高いレベルに最初からできていて、トントン拍子にタイムが上がってきてい
ます。そして僕も初めて強くブレーキを踏んで走り込むことができたんですが、NSX
の完成度の高さに驚いているところです。最初はちょっと跳ねるようなところもあ
りましたが、童夢のマシンとデータを共用しあえますので、驚くほど早くセッティ
ングができたということですね」
飯田章「金曜日に初めてこのクルマで走ったんですが、今日の29秒台のタイムはま
だ満足していません。本当は28秒台を狙っていたんですが…。クルマは最初からか
なりフィーリングが良かったんですが、あまり慌ててもしょうがないのでマイペー
スで行きました。なにしろギアレシオもスプリングもまだ選べないような状況です
から。そんなにシャカリキになってもしょうがないですし。でもとりあえず目一杯
だと思っておいてください(笑)。予選ではスカイラインより前でしたが、レース
はまた違いますからね。NAよりターボ車の方が有利になると思いますし…。正直
言ってロングランもしてないから、クルマの耐久性も確認してないし、フルタンク
の挙動も、タイヤの変化もわからないわけです。だからただクルマをチェッカーま
で運べるようにしようかな、と思っています。正直言うとあのクルマ、ドライビン
グがなかりハードなんで、皆さんが想像している以上に大変です。クルマがすごく
トリッキーでフォーミュラ的なんですよ。面白いことは面白いんですけど、それを
ロング・ディスタンスでどう操るかは、やってみないとわからないですね」

*決勝日のトピックスに続く

                       GTアソシエイション事務局
                         GTインサイドレポート班
                        古屋 知幸 = QYB04322 =



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