1999年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン
-- よりハイレベルで激しいレースへ --
■最新の安全対策を取り入れた新車両による新しいフォーミュラ・ニッポンが
スタート
今シーズンから全日本選手権フォーミュラ・ニッポンは、新しい車両レギュ
レーションに移行し、全チームが新しい車両で戦う。
1996年に誕生したフォーミュラ・ニッポンの前身である全日本F3000選手権
シリーズは、国際F3000選手権と同じ規則の下に開催されていた。1996年から
国際F3000選手権がワンメイクに移行したため、フォーミュラ・ニッポンは、
95年の国際F3000規則を基本とする国内独自のF3000規定を採用していたが、
今季からいよいよ新マシンが導入されることになった。
今回の車両規則変更の重点は、安全性の向上。F1を頂点とする世界のモー
タースポーツを統括するFIAは、90年代中盤からレーシングカーの安全性向
上策を推し進め、すでにF1、国際F3000、F3などの車両規格を大改正してき
ている。今シーズン新たに定められた車両規則は、現在の国際F3000車両技術規
則に準じて定められたもので、最新の安全規定が導入されることになる。
■新車両規則の3つのポイント
まず第1のポイントは、モノコックのサイズの拡大。これは、主にドライバ
ーの脚が収まる部分、いわゆるフットボックス部に十分な空間を確保すること
を目的としている。
第2のポイントは、安全装置や安全構造に関わる規定の追加と変更。
例えば、これまでドライバーのヘルメットの後方に装備されていたヘッドレ
ストを、アクシデント発生時にドライバーの頭部を保護するため、両側に装備
することが義務づけられた。
第3のポイントは、車体下面に5cmの段差をつけることを義務づけるステッ
プドフロア規定の導入。現在のレーシングカーは車体下面と路面の間に空気を
流し、吸着力を生み出してダウンフォースを増やしている。しかし、あまりに
ダウンフォースが大きいと、コーナリング速度が高まりすぎ、危険性が増すと
指摘されている。ステップドフロアは、路面と車体下面の隙間を広げ、マシン
全体のダウンフォースは20~30%程度減少すると言われている。
■新しいマシンによりフォーミュラ・ニッポンはこう変わる
1)チームの技術競争の激化
新しいシャシの導入は、まずチーム間のセッティング競争、開発熟成競争に
影響を及ぼすことになる。日本のトップカテゴリーで、参加全チームがフルモ
デルチェンジを受けたニューシャシを使って一斉に開幕を迎える事態は前例が
なく、いかに短時間で要領よく未知のニューマシンから最大限の性能を引き出
すかというエンジニアリング能力が、勝負を左右する大きな要因となる。
2)ドライビング・テクニックの鮮明化
新しいマシンに乗るドライバーも、従来とは異なるドライビングを強いられ
ることになる。ダウンフォース低下により、コーナーではマシンの姿勢を保つ
ために、これまで以上に微妙な操作が必要になり、ドライビング・テクニック
の比重が高まることになる。
■新フォーミュラ・ニッポンの誕生
新しいマシンの導入は、外観上もより華やかなレースシーンをもたらすと期
待される一方、チームにもドライバーにも新たな課題を提起することになる。
その結果、今回上陸する3メーカーのマシンは、いわば第二期を迎えるとも
いえる新フォーミュラ・ニッポンを幕開けから大混戦に導くことになりそうだ。
『チームの高い技術力の戦い』
『魅せるドライビング・テクニックの戦い』
『スリリングなバトルの激化』
『しかも安全性の高いレース』
■新シャシを製造する3メーカーとそれぞれの特徴
G FORCE GF03
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Gフォース社は、ジェットエンジンを搭載した最高速度挑戦車、いわゆるレ
コードブレーカーを製作、 音速を超える自動車の最高速度記録をうち立てたこ
とで有名だが、元々はF 1グランプリカーの開発スタッフが設立したコンストラ
クターである。現在はインディ500で有名なアメリカのIRL用シャシーを量産、
供給する一方、フェラーリやベネトンなど現役F1チームから委託されて研究
開発を行ったり、自動車メーカーの試作車開発なども行っている。
Gフォース社は、IRLマシンに続く量産プロジェクトとして、フォーミュラ・
ニッポン用シャシーを開発、昨年GF02をデビューさせた。GF02は、新車両規定
を想定して設計されており、一足先に基礎データ収集を行ったうえで、最新の
GF03が開発された。
LOLA B99/51
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ローラ社は、1957年に第1号モデルを生産して以来、あらゆるカテゴリー向
けの製品を開発販売してきたレーシングカーコンストラクターの老舗。日本の
レース界との関係も深く、87年に全日本F3000選手権が始まって以来、シャシー
を供給、第一線で闘ってきた。
フォーミュラ・ニッポンでは、97年にペドロ・デ・ラ・ロサがローラ車でチ
ャンピオンを獲得している。また、CARTシリーズで大活躍したり、自動車メー
カーやチームの委託を受けてレーシングカーを開発したりとその活躍は幅広い。
現在、ローラ社は国際F3000選手権にワンメイク・シャシを供給している。
B99/51は、この最新の国際F3000シャシと関連を持ちながらも、フォーミュラ・
ニッポン向けの専用シャシとして、これまで蓄積してきたデータを基に別途開
発されたものである。
REYNARD 99L
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レイナード社は、初のF3マシン853が85年に日本に上陸して以来、国内レー
スと深く関わってきた。全日本F3000選手権には88年半ばに88Dが参戦、それ以
降レイナードのマシンはフォーミュラ・ニッポンに至るまでローラと国内トッ
プカテゴリーのシェアを分け合ってきた。96年にはラルフ・シューマッハが、
98年は本山哲がレイナード車でチャンピオンを獲得している。
CARTでも大成功をおさめる一方、自動車メーカーやレーシングチームからの
委託を受けて各種レーシングカーを開発して数々の戦果を記録し、現在のレイ
ナード社は世界最大のコンストラクターに成長した。
今シーズン、レイナードがBARの委託を受けてF1グランプリカーを開発した
のは有名。99Lの開発は、このF1開発プロジェクトと並行して進められ、各所
にF1テクノロジーが流用されている。
新マシン3車の画像およびイラスト付きのスペック表は以下を参照ください。
GフォースGF03 nifty:FMOTOR4F/LIB/5/370
ローラB99/51 nifty:FMOTOR4F/LIB/5/371
レイナード99L nifty:FMOTOR4F/LIB/5/372
スペック表&イラスト nifty:FMOTOR4F/LIB/5/373
(上記は報道資料からの抜粋です)
情報提供:株式会社日本レースプロモーション(JRP)
*** FMOTOR4F SysOp 北島滋穂(SDI00685)***
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