Formula Nippon

FN:第3戦富士 塚越広大選手が5位入賞、ルーキーの中嶋大祐選手が初の8位入賞を果たす (HONDA)

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7月17日(日)、静岡県・富士スピードウェイにおいて2011年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第3戦の決勝レースが開催されました。

開幕戦鈴鹿、第2戦オートポリスに続いて開催された本大会は、昨年同様、日曜日に公式予選と決勝レースを行う1DAY方式で開催されました。ただし、金曜日には1時間の合同テスト(1セッション)、土曜日には計1時間45分のフリー走行(2セッション)を行ってから日曜日の公式予選を迎えるというスケジュールです。すでに静岡県地方が梅雨明けしていることもあり、富士スピードウェイ周辺は3日間とも強い日差しが照りつけ、最高気温が30℃を超えるコンディションとなりました。

第3戦のレース距離は昨年と同じ200km。これは年間を通じて、フォーミュラ・ニッポンの決勝レースとしては最も短い距離となります。一方で、今回は決勝レース中に2回のピットストップと4本のタイヤ交換を2度行うことが義務づけられているため、スピーディーでスリリングな展開の決勝レースとなることが期待されました。

16日(土)に行われた2回のフリー走行で、総合でHondaドライバーの最上位となったのは#16 山本尚貴選手(TEAM 無限。1分26秒689)で6番手。以下、7番手に#41 塚越広大選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING。1分26秒743)、8番手に#32 小暮卓史選手(NAKAJIMA RACING。1分26秒830)、9番手に#40 伊沢拓也選手(DOCOMO TEAM DANDELION RACING。1分26秒850)、12番手に#31 中嶋大祐選手(NAKAJIMA RACING。1分27秒332)、13番手に#10 小林崇志選手(HP REAL RACING。1分27秒663)というオーダーでした。ルーキーの中嶋選手と小林選手は残念ながら1分26秒台をマークできませんでしたが、このセッションでトップだったドライバー(タイムは1分26秒252)と9番手伊沢選手とのタイム差は0.6秒を切る僅差。日曜日の公式予選と決勝レースでも接戦となることが予想されました。

翌17日(日)、F1と同じノックダウン方式でスターティンググリッドを決める公式予選が午前8時10分に開始。出場16台から12台に絞られる第1セッションは20分間で競われるため、ほとんどのドライバーが途中1回のピットストップを挟んで計2回のタイムアタックを行いました。この結果、Hondaドライバーでは山本選手が5番手タイムとなる1分25秒666をマーク。さらに塚越選手が8番手、中嶋選手が9番手、小暮選手が10番手、伊沢選手が12番手となって第2セッション進出を決めました。なお、塚越選手はセッション中に走路外走行を行ったペナルティとしてベストラップを削除されましたが、それでも8番手に留まりました。一方、小林選手は15番手で、残念ながら第1セッション突破はなりませんでした。

出場12台が8台に絞られる第2セッションでは、1分25秒413を記録した塚越選手が3番手、山本選手が5番手でこれに続きました。一方、小暮選手は9番手、伊沢選手は10番手、中嶋選手は12番手となったため、3人はこの段階でスターティンググリッドが確定しました。

上位8台で最終グリッドを決める第3セッションでは、塚越選手が1分25秒452をマークして5番グリッドを手に入れたほか、山本選手も1分25秒549で6番グリッドを獲得しました。この日のポールタイムは1分25秒263。つまり、塚越選手とトップとのタイム差は0.189秒、山本選手もわずか0.286秒でした。両選手にとっては、表彰台はもちろんのこと、優勝も十分に期待できる僅差の予選結果だったといえます。

決勝レース直前の気温は34℃。強い日差しの影響で路面温度は50℃まで上昇し、非常に厳しいコンディションの中、スタートが切られることとなりました。午後2時40分に始まったフォーメーションラップには、Hondaドライバーの乗る6台を含む全15台が出走。残る1台はトラブルのために遅れてスタートする形となりました。

スタートはクリーンに切られ、塚越選手は4番手に浮上。これに山本選手が5番手で続き、以下、伊沢選手が7番手、中嶋選手が10番手、小林選手が11番手、小暮選手は13番手でオープニングラップを走りきりました。このうち、小暮選手は1周目終了時点で1回目のピットストップを敢行。残る5人のHondaドライバーも10周目から15周目までの間に次々とピットストップを行いました。

全選手が1回目のピットストップを終了した16周目の段階で、塚越選手は5番手、山本選手は7番手、小暮選手は9番手、中嶋選手は11番手、伊沢選手は12番手、小林選手は13番手につけています。この時、塚越選手はトップと9秒差、山本選手は14秒差で、後半の巻き返しを期して懸命の力走を続けました。

この後、塚越選手はトップグループに匹敵する1分28秒台前半のペースで追走。山本選手もほぼ同じラップタイムで周回を重ねていきますが、なかなかトップとの差は縮まりません。

Hondaドライバーの中でいち早く2回目のピットストップを行ったのは、小暮選手で23ラップ目。残る5選手も26周目から29周目にかけてピットストップを行いました。このうち、山本選手は給油ホースが完全に外れる前に走り出そうとしたため、勢いでメカニックの1人が転倒するアクシデントの影響でやや遅れましたが、幸いメカニックにケガはなく、順位も変動はありませんでした。

レースが残り10周となった34周目、Hondaドライバーでは引き続き5番手を走る塚越選手がトップ。ライバルがマシントラブルなどで後退したため、小暮選手が7番手、中嶋選手はルーキーながら入賞圏内の8番手へと浮上。さらに山本選手は9番手、伊沢選手は10番手、小林選手は11番手で粘り強く追走しました。

結局、6名のHondaドライバーはこのまま44周のレースを走りきり、塚越選手が5位、小暮選手が7位、中嶋選手が8位、山本選手が9位、伊沢選手が10位、そして小林選手が11位でチェッカードフラッグを受けました。

この結果、塚越選手は4ポイントを追加して13点とし、シリーズポイント争いで4位の座を守っています。以下、小暮選手は10ポイントで6位、伊沢選手は8ポイントで8位、山本選手は5ポイントで9位、中嶋選手は1ポイントで12位となっています。

次戦は栃木県のツインリンクもてぎで8月6~7日に開催されます。

坂井典次|「HR10E」開発責任者
「データを解析したところ、今回は低速コーナーの続く第3セクターでライバル陣営に差をつけられていることが分かりました。その原因についてはギアレシオの設定やシャシーのトラクション性能など、いくつかの要因が考えられますが、この点に関しては現在、解析中です。中嶋選手は期待以上の活躍を示して初ポイントを獲得してくれました。これについては、エンジニアとのコミュニケーションが良好になり、マシンのセッティングやレースの組み立てがうまくできるようになった結果だと捉えています。あとは予選一発の速さを身につけることだけが課題です。今後が楽しみです。次戦のツインリンクもてぎでは、富士スピードウェイの第3セクターと同じで、低速コーナーからの立ち上がりの速さが重要となります。ただし、開催までにはまだ時間がありますので、今回の結果をよく解析して対策を行い、巻き返しを図りたいと思っています。どうぞご期待ください」
塚越広大選手(5位 #41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)
「5位入賞は果たせましたが、スタートから最初のピットインまでの間でもう少しタイムが上げられれば、もっと上位にいけたのではないかと思っています。1周で0.1秒か0.2秒速く走ることができれば、その積み重ねで上位陣と勝負ができるので、次戦までに調整したいです。次戦の開催場所であるツインリンクもてぎは地元のサーキットということもあり、過去にもよいレースを何度もしているので、優勝争いができるようにがんばります」
中嶋大祐選手(8位 #31 NAKAJIMA RACING)
「200kmという短い距離で2回のピットストップは初めての経験で、まるで予選のアタックを繰り返しているような感覚でした。ただ、細かいミスやトラブルはあったものの、チーム全体で考えた作戦が功を奏し、確実に順位を上げることができたことで入賞が果たせました。予選では12番手でしたが、自分の思いきりの無さが上位陣との差になったと悔しい気持ちでした。たかが1ポイント、という見方もありますが、今レースでポイントを獲得できたことは精神的にも大きいです。今までは小さくまとまってしまう部分がありましたが、これを機にもっと思いきって攻めの走りをしていきたいと思います」
Text & Photo: HONDA


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