Formula Nippon

FN:第1戦富士 開幕戦で伊沢拓也選手が2位表彰台を獲得 (HONDA)

開幕戦で伊沢拓也選手が2位表彰台を獲得
L.デュバル選手が4位、ルーキーの塚越広大選手は6位入賞

2009年4月5日(日) 決勝 会場:富士スピードウェイ(4.563km) 天候:予選/曇り 決勝/曇り 気温:13℃(14:30時点) 決勝レース:55周(250.965km) コースコンディション:決勝/ドライ 観客:1万5500人(主催者発表)

fn_r01_h_03_b.jpg  4月5日(日)、静岡県・富士スピードウェイにおいて2009年全日本選手権フォーミュラ・ニッポン第1戦の決勝レースが開催された。

 今シーズンのフォーミュラ・ニッポンは、3年に一度のニューシャシー導入時期であり、大きな変革期にあたる。マシンが英・ローラ社製のFN06から米・スウィフト社製のFN09にスイッチされ、全長、全幅ともにひと回り大きくなり、エンジンも従来の3リッター・V8エンジンから3.4リッター・V8 エンジンへとパワーアップされた。また、新たに導入される「オーバーテイクシステム」は、ステアリングに搭載されたオーバーテイクボタンを押すとエンジン回転数が通常リミットより400回転上がるため、今まで以上にオーバーテイクのチャンスが増える。オーバーテイクボタンの使用は、決勝レース中に5回まで使用が許されており、各チーム・ドライバーの戦術がレースの見どころの1つとなる。

 今シーズンのHondaエンジンは、3.4リッター・V8エンジン「HR09E」をJRP(日本レースプロモーション)を通じ、3チーム5台に供給する。「HR09E」は、本田技術研究所が研究・開発し、M-TECが製造・組み立てとメンテナンスを行っている。

 4日(土)に開催された公式予選は昨年同様のノックアウト方式。予選第1セッションでは、今季が参戦2年目となる伊沢拓也選手(#41 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が見事、トップタイムで通過。ロイック・デュバル選手(#31 NAKAJIMA RACING)が5番手。小暮卓史選手(#32 NAKAJIMA RACING)が9番手。リチャード・ライアン選手(#40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が10番手。塚越広大選手(#10 HFDP RACING)が11番手を獲得。上位11位までが予選第2セッションへと進出できるノックアウト方式において、Honda勢3チーム5台すべてが駒を進めた。

 10分間のインターバルを経て行われた予選第2セッションは、L.デュバル選手、小暮選手、伊沢選手の3名が上位8台で争われる予選第3セッションへの進出を果たした。

 予選第3セッションにおいても、Honda勢は終始安定した走りをみせた。その結果、伊沢選手が2番手。小暮選手が5番手。L.デュバル選手が6番手、R.ライアン選手が10番手、塚越選手が11番手で5日に行われる決勝レースを迎えることになった。

 決勝日の5日は好天となり、気温13℃、路面温度18℃と絶好のコンディションとなった。1万5500人の観衆が見守る中、参加台数13台のマシンは、1周のフォーメーションラップ後、14時33分に55周の決勝スタートを切った。

 まずは予選2番手から好スタートを切った伊沢選手がトップに躍り出る。後続では、予選6番手のL.デュバル選手とチームメートの小暮選手が1コーナーのブレーキングポイントで接触し、小暮選手がコースアウトしてスピンを喫する。しかし、小暮選手のマシンはダメージが少なくコースへ復帰するものの、最後尾からの追い上げとなった。

 オープニングラップはトップを伊沢選手、3番手に、L.デュバル選手、8番手にR.ライアン選手と続く。ルーキーとして、初のフォーミュラ・ニッポンに挑む塚越選手は9番手、小暮選手は12番手を走行する。

 8周目、スピンにより最後尾から追い上げを図る小暮選手が、「オーバーテイクシステム」を使用して9番手に浮上する。3位を走行するL.デュバル選手も同システムを3回使用して2番手のポジションを狙うが、抜くまでには至らない展開となる。

 トップを走行する伊沢選手は、常に2番手との差を約1秒引き離す安定した走りをみせる。新しいマシンで始まったフォーミュラ・ニッポンは、13台すべてのマシンレベルがきっ抗しており、全車が1分28秒台のラップタイムを刻みながらレース序盤を走行している。

 最後尾から激しい走りをみせる小暮選手は、効果的に「オーバーテイクシステム」を使用しながら22周目に6番手までポジションをばん回する。

 24周終了後に、L.デュバル選手がタイヤ交換と燃料補給のためにピットインをしてコースに復帰。同じく小暮選手も27周終了時にピットインをするが、マシンの燃料口に燃料ホースがはまらないトラブルが発生し、再び順位を下げてしまう。

 33周終了時に、トップを走行する伊沢選手がピットイン。すばやいピット作業でトップのポジションを守りながらコースに復帰する。しかし、伊沢選手の交換したタイヤがグリップを発揮する前に、前周でピット作業を済ませた2番手のブノワ・トレルイエ選手(トヨタ)が猛アタックを続け、35周目のホームストレートでB.トレルイエ選手がトップのポジションを奪う。B.トレルイエ選手は徐々に2番手以下を引き離して独走状態となるものの、2位争いにはピット作業を終えてポジションを上げてきた平手晃平選手(トヨタ)が加わり、伊沢選手、平手選手、L.デュバル選手の3台で激しい2位争いが繰り広げられる展開となる。

 40周目時点では、トップにB.トレルイエ選手、4秒585遅れて2番手の伊沢選手、背後に3番手の平手選手と4番手のL.デュバル選手と続く。その約3秒後方の5番手にR.ライアン選手が走行していたが、41周目の1コーナー進入でスピンを喫し、コースサイドのタイヤバリアにマシン後方から突っ込むクラッシュを喫してしまう。このクラッシュによりR.ライアン選手はメディカルセンターに運ばれたが、大きなケガはないことが確認された。

 レース終盤、46周目に「オーバーテイクシステム」を使用した小暮選手が8番手に浮上。7番手の塚越選手も前を走る同じルーキーの大嶋和也選手(トヨタ)に対し、「オーバーテイクシステム」を多用しながらアタックを繰り返していく。

 大きく様変わりをしたフォーミュラ・ニッポンの開幕戦で勝利を飾ったのはB.トレルイエ選手だった。し烈を極めた2位争いは伊沢選手が最後まで2番手のポジションを守り、3位に平手選手、4位にL.デュバル選手が55周のチェッカーフラッグを受けた。攻め続けていた塚越選手は、最終ラップで大嶋選手をパスし、ルーキー対決を制して6位を獲得。小暮選手は8位でレースを終えた。

コメント
坂井典次(Tenji Sakai)|HR09E開発責任者
 「HR09Eの開発にあたり、十分にテストを重ねていたのでエンジンの信頼性には自信を持っていましたが、今回は開幕戦ということで、念のために信頼性を重視した使い方をしました。残念ながら伊沢選手が優勝することはできませんでしたが、初の2位表彰台を獲得してくれたので、今後はさらに期待できると思っています。次戦の鈴鹿は非常に難しいコースなので、各チームともセットアップが決まるかがポイントになります。セットアップの時間に影響を及ぼさないようにエンジンの信頼性をさらに高めるとともに、開幕戦以上に攻めたエンジンの使い方をしていきたいと思います。ぜひとも鈴鹿でのご声援をお願いします」
伊沢拓也選手(2位 #41 DOCOMO TEAM DADELION RACING)
 「開幕戦を予選・決勝ともに2位で終えることができ、個人的には初めて富士スピードウェイの表彰台に立てたことには満足していますし、シーズンのいいスタートが切れたと思います。ただし、2日間を通じてマシンのセッティングがうまくいっていただけに、わずかな差で優勝を逃したことは、チームに申し訳ないという気持ちでいます。決勝では2番手からのスタートでトップを奪ったにもかかわらず、守れなかったのは非常に悔しいですし、自分に経験が足りないからだと思います。次戦は優勝を狙っていくしかありませんので、応援よろしくお願いいたします」

Text & Photo: HONDA



トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース