D1 GRAND PRIX

D1:TOKYO DRIFT in お台場 シリーズ総合優勝は熊久保信重、シリーズ単走優勝は高橋邦明 (D1 Corp.)

12月1日(土)グランツーリスモD1GPシリーズ第7戦は末永直登が優勝! 12月2日(日) D1GPエキジビション「D1チャンピオンズ」単走チャンピオン決定戦・チャンピオンズ追走ベスト12斎藤太吾が両競技を完全制覇!

 12月1日(土)~2日(日)の2日間、TOKYO DRIFT in お台場」が東京・お台場特設会場(東京都江東区青海)で開催された。

 1日(土)のD1GPシリーズ第7戦(最終戦)には、5,520人が、2(日)のエキジビションマッチ「D1チャンピオンズ」には7,476人もの観衆で会場は歓声に包まれた。

 1日(土)、シリーズ最終戦となるグランツーリスモD1GPシリーズ第7戦。午前中の単走はドライ路面で行われたが、その後一時的に雨が降り、午後の追走前には上がるという不安定な天候の中行われた。単走決勝は、前日の予選をトップ通過した内海彰乃(TOYO/RC926)が、1本目はクラッシュするも2本目はうまくスピードをコントロール、99.63をマークし優勝した。第6戦終了時にシリーズ単走ポイントリーダーだった高橋邦明(GOODYEAR Racing With Kunny'z)は、迫力ある走りをみせるもテールをガードレールにかすめ減点となり、単走7位という結果に終わった。しかし、シリーズポイントランキング2位のたかやまけんじ(EXEDY R Magic D1 Racing)に8ポイントの差をつけ、シリーズ単走優勝を決めた。

 午後に行われた追走トーナメントでは、単走終了時点で、熊久保信重(YUKE'Sチームオレンジ with BEAST EYE)が7位以上に入れば、シリーズ総合チャンピオンが決定する状況になっていた。熊久保はベスト8で内海と対戦し敗北。しかし、シリーズ総合ポイントランキング2位の斎藤太吾(ダイゴ)に12ポイントの差をつけ、シリーズ総合優勝を果たした。

 第7戦の追走トーナメントは、熊久保のチームメイトの末永直登(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)が第4戦エビス大会以来、今シーズン2度目の優勝を飾った。翌2日(日)は、D1GPエキジビション「D1チャンピオンズ」を開催。歴代のシリーズチャンピオン、大会優勝者、各国でチャンピオン経験のある海外選手ら計23名が出場し、ハイレベルなドリフトテクニックを披露した。この日、「失敗しても勢いある走りを見せたかった」という斎藤太吾(ダイゴ)がその言葉通り、豪快な走りをみせ、単走チャンピオン決定戦、チャンピオンズ追走ベスト12とも優勝を飾った。

~D1GPシリーズ第7戦~
【11月30日(金)天候:晴れ 路面:ドライ】
■予選

 最終戦のコースレイアウトは、4月の開幕戦とは異なり、直線から振り出して審査席前に飛び込む設定となった。そして加速区間のアウト側が狭くなり、1コーナーへの進入もやや狭いコース幅で行うことになった。

 予選出走選手は、このコースレイアウトに苦戦し、振り出しで角度がつけられずに車両が流されてしまったり、逆にサイドブレーキを多用して減点されるケースが多かった。その中でまず高得点を出したのが、田中省己(e-net TAKA Neostyle with D-MAX)。振り出しの鋭さには欠けたが、大きな角度をつけてスムーズに走行ラインを描いた。しかしその得点を唄和也(ORIGIN Labo.RACING & B-West with GOODYEAR)が上回る。唄は鋭い振り出しで手前からドリフトを開始したものの、スピードと距離をピッタリ合わせることができ、勢いよく審査席前へ飛ばした。しかし、内海彰乃(TOYO/RC926)がさらに99.83の高得点をマーク。内海は高い車速から鋭い振り出しを見せ、車両を止めきれるのかと思わせる勢いで1コーナーに進入したが、見事に回りきって予選トップ通過を果たした。

 また、今回、イタリアのフェデリコ・シェリフォ(Dk17 with Team Orange)、台湾の馮仁稚(NICHIEI レーシングプロジェクト with DUNLOP)、そしてD1タイシリーズ上位3名、ドレー(PTT PERFORMA DRIFT TEAM)、エス(GOODYEAR DRIFT TEAM THAILAND)、エム(PTT PERFORMA DRIFT TEAM)が参戦したが、サイドブレーキの多用が目立つ選手が多かった。エスは高い車速から鋭い飛び込みを見せたが、オーバースピードでスポンジバリアにクラッシュ。外国勢の予選通過はならなかった。

【12月1日(土)天候:曇り 路面:ドライ】
■単走決勝

 決勝が行われた土曜日は、曇りで朝から気温が上がらず、路面温度も低いままであった。リヤタイヤはホイールスピンをさせることでグリップ力を発揮する温度まで温めることができるが、フロントタイヤを温めるのは難しく、1コーナーに向かって振り出してから、フロントタイヤが滑りドリフトが戻ってしまうというミスをした選手が多かった。

 前日の予選をトップ通過した内海彰乃(TOYO/RC926)は、1本目にオーバースピードでクラッシュしたものの、2本目はスピードコントロールに成功し、アウト側ギリギリで回りきって高得点を出した。その後、谷口信輝(HKS)が高い車速とアクセル全開度でアピールし高得点をマーク。また、末永直登(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)もキレのある振りから高い車速で回り切り高得点を獲得。そして佐久間達也(Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS)も高い車速から鋭い振りと大きな角度を見せたものの、いずれも内海の得点には及ばず、内海が予選に続いてトップに立った。

 シリーズ総合ランキング首位の熊久保信重(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)、さらに3位の斎藤太吾(ダイゴ)は問題なく予選を通過したが、2位の川畑真人(Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS)は、1本目に振り出しからスピンし、テールからクラッシュしてしまう。2本目もゆるい振り出しになり、単走敗退。タイトル争いから脱落した。

 単走シリーズタイトル争いは、2位につけるたかやまけんじ(EXEDY R Magic D1 Racing)が、鋭い振りとスムーズで速いドリフトを見せて6位。そしてランキング首位の高橋邦明(GOODYEAR Racing With Kunny'z)はガードレールにテールをかすめて減点をとられるものの迫力のドリフトで7位に入る。たかやまの逆転はならず、高橋が単走のシリーズチャンピオンを獲得した。

内海彰乃選手コメント
d1_td_01.jpg  「人並みですが、嬉しいです。12年ずっと(D1に)出場してきましたが、うまいこといかないことが多かったです。しかし、今日までの努力が結果につながったのだと思います。」


2012グランツーリスモD1GP単走シリーズ優勝【高橋邦明選手コメント】
d1_td_02.jpg  「ドリフトは主観の競技なので、審査員に対して「おっ」と思わせる走りを心がけてやってきました。誰がみてもカッコイイと思ってくれる単走をやりたかったので、インパクトをどれだけ与えられるかをテーマにおいてやってきました。今日、本当は単走優勝をしてチャンピオンを獲りたかったですね。」


■追走トーナメント(天候:曇り 路面:ハーフウェット→ドライ)

 午前中の単走終了後、一時雨が降った。追走開始前には上がったものの、路面は乾ききらず濡れた場所が残っている状態で追走が開始された。

 単走終了時点で、熊久保信重(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)が7位以上に入れば、熊久保のシリーズチャンピオンが決定する状況になっていた。その熊久保はベスト16で日比野哲也(Team UPGARAGE with DRoo-P)と対戦。熊久保はミスなく走りきり熊久保が勝利した。この時点で、シリーズランキング3位の斎藤太吾(ダイゴ)がチャンピオンを獲るには優勝するしかなくなった。その斎藤は松川和也(Team UPGARAGE with DRoo-P)と対戦。斎藤が松川の走りに合わせて勝利し、シリーズチャンピオンの可能性を残した。

 ベスト8で熊久保は内海彰乃(TOYO/RC926)と対戦。熊久保は内海に接近ドリフトをされて敗れてしまう。ここで優勝すれば、チャンピオンが決まる斎藤は谷口信輝(HKS)と対戦。1本目斎藤はストレートで谷口に離され、インをさすことができず五分。2本目は谷口が斎藤とのマシンの距離を詰め、谷口が勝利した。この瞬間に熊久保のシリーズチャ ンピオンが決まった。

 ベスト4に進出したのは、内海、谷口、末永直登(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)、佐久間達也(Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS)。準決勝最初の対戦は内海vs谷口。この日ハイスピードで大きな角度をつける安定した走りを見せていた内海が谷口のインにマシンをギリギリまで寄せて勝利する。一方、末永(直)vs佐久間の戦いは、佐久間がベスト8までいい走りをしていたが、ここで後追いの振り出しで引っかかるミスをし末永(直)に敗れた。

 3位決定戦では谷口が佐久間のマシンギリギリに迫る追走をみせ勝利した。

 決勝は内海vs末永(直)。1本目は内海が先行。内海の車速は高く、末永(直)はインに入ることができない。内海にアドバンテージがついた。しかし2本目、末永(直)のインにつけていた内海が2コーナーでマシントラブルが発生し急に失速。これによって末永(直)が逆転し、第4戦エビス大会以来、シリーズ2勝目を挙げた。

末永直登選手コメント
d1_td_03.jpg  「今年を振り返ると、前半戦はマシントラブルもあり決まらなくて苦しかったですが、エビス戦からクルマの仕様変更をしてもらい、とてもよくなりました。エボIX、エボXと乗り継いできて、世界に1台だけのクルマでセッティングデータもない中、自分が思うことをトライさせてくれるチームの環境があるのでセットアップも進みますし、本当に感謝していますし、今日の勝利もチームみんなのおかげだと思っています。」

d1_td_04.jpg
第7戦追走トーナメント決勝戦 (左:内海彰乃選手 VS 右:末永直登選手)

2012グランツーリスモD1GPシリーズランキング総合優勝【熊久保信重選手コメント】
d1_td_05.jpg  「こうやってチャンピオンが獲れたのは、チームオレンジを多くのスポンサー、ヨコハマタイヤの方々が支えてくださったからだと思っています。今年は何度もクルマを壊しましたが、メカニックが一生懸命直してくれて、チャンピオンを獲得することができました。昨年、大きな地震があり、東北地方は大打撃を受けました。しかしD1ファンのみなさんの温かいご支援のもと、なんとか走ることができ、そしてエビスサーキットで開催することもできました。なにがなんでも東北の方々、そしてみなさんに恩返しがしたく、チャンピオンカップを東北に持って帰りたいと願っていました。実現できたのは本当にみなさん の応援のおかげだと思っています。ありがとうございました。」
~D1GPエキジビション「D1チャンピオンズ」~
【12月2日(日)天候:晴れ路面:ドライ】
■単走チャンピオン決定戦

 2日(日)、D1GPエキジビションマッチ「D1チャンピオンズ」には、歴代のシリーズチャンピオン、大会優勝者、各国でチャンピオン経験のある海外選手が参戦。午前中の行われた単走チャンピオン決定戦は、通常の単走と同様に2本の走行で良かった方の得点で順位を決定し、優勝を争う。また上位8名と、9位以下の海外選手のうち上位3名が追走トーナメントに進出できる。審査には「車速の最大値」、「平均車速」、「平均角度」、「角度の変化」、「車両の振りの鋭さ」などを機械計測して採点を行うGPS機能を応用した車載計測器「DOSS(通称ドス)」が採用された。

 この日、調子がよかったのは、時田雅義(GOODYEAR Racing ZEROCROWN with Bee★R)。迫力のある振り出しからいい角度をつけ、スピードを保って97.94の高得点をマークした。一方シリーズ単走優勝者の高橋邦明(GOODYEAR Racing With Kunny'z)は、1本目は振り出しミス。2本目も角度をつけすぎてしまい敗退した。またシリーズ総合チャンピオンを決めた熊久保信重(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)もいい走りを見せたが、時田の得点には及ばなかった。しかし、斎藤大吾(ダイゴ)が迫力ある振り出し、大きな角度から勢いのある飛び込みを見せて99点を叩き出し時田を逆転。これにより斎藤が単走チャンピオンを獲得した。

斎藤太吾選手コメント
d1_td_06.jpg  「今日は失敗しても勢いをアピールしたかったので、振り出しから審査席前まで狙い通りの走りができました。2本目はもうちょっと勢いをつけようと思ったら失敗してしまいましたが、追走も前日のモヤモヤが晴らせるような走りを見せたいと思います。」


■角度番長決定戦/チャンピオンズ追走ベスト12

 単走チャンピオン決定戦後は、「角度番長決定戦」が行われた。これは、単走チャンピオン決定戦で敗退した選手が出走し、走行は1本のみで行われ、飛び込みの角度を「DOSS」で計測し、競う。ただし角度が大きくても2コーナーまでドリフトを維持できなければ失格となる。ここでの優勝者は追走トーナメントに進出することができる。

 またセントレア大会「D1チャンピオンズ」角度番長決定戦で1位となった斎藤太吾(ダ イゴ)はディフェンディングチャンピオンとして最後に出走した。まず織戸学(DRIVE M7 ADVAN MAX ORIDO RACING)が鋭い角度からきれいなラインを描き、83.8度を叩き出す。しかし、末永直登(YUKE'S チームオレンジwith BEAST EYE)がそれを上まわる角度で飛び込み、1コーナーではやや修正舵が入ったものの、なんとかドリフトは維持して87.1度という驚異的な角度をマークし、トップに立つ。日比野哲也(Team UPGARAGE with DRoo-P)も87度を出したが2コーナーまでドリフトを維持できず失格。その後出走した選手は末永を上回る角度をだせず、末永(直)が優勝した。

 そして最後にディフェンディング番長の斎藤が登場。振り出し直後に大きな角度をつけたものの、末永には及ばない78.5度。末永が新番長の座についた。

 追走トーナメントは12名で争われた。単走の上位4名は1回戦がシードとなり、2回戦からの登場となる。

 海外からの招待選手は、すべて1回戦からの登場となった。その中でノン(OVERDRIVE M150-STORM SINGHA)と戦った馮仁稚(アーツー)(NICHIEI レーシングプロジェクト with DUNLOP)は再戦の末に勝利。海外選手ではただひとりベスト8に進出した。

 ベスト8では熊久保信重(YUKE'S チームオレンジ with BEAST EYE)と川畑真人(Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS)が対戦。1本目に川畑は1コーナーでフロントが流れるミスをしてしまう。2本目先行となった川畑は勢いある走りで熊久保を寄せつけないが、挽回にはいたらず熊久保が勝った。

 ベスト4に勝ち上がったのは斎藤、熊久保、時田雅義(GOODYEAR Racing ZEROCROWN with Bee★R)、佐久間達也(Team TOYO TIRES DRIFT with GP SPORTS)。斎藤vs熊久保は、熊久保が斎藤とのマシン距離を詰めたものの、斎藤はそれ以上にマシンを寄せてみせ斎藤が競り勝った。時田vs佐久間は、佐久間が1コーナーからマシンの角度が浅くなり、2コーナーで失速してしまう。これにより時田が勝った。

 決勝は斎藤vs時田。1本目は斎藤が先行。時田はストレートでも斎藤についていき、同時振りから斎藤のマシンに寄せ、見事にドリフトを合わせた。しかし2本目は斎藤も時田のマシンギリギリにインを突き、勝負は再戦にもつれる。ここで斎藤はタイヤを交換。時田はタイヤ無交換で走行するが、直線で斎藤に離されてしまい、アドバンテージがとれない。2本目はストレートではマシン間隔が開きぎみだった斎藤が飛び込みで一気に詰め、アドバンテージを取って勝利。斎藤が優勝を決めた。

斎藤太吾選手コメント
d1_td_07.jpg  「昨日の分までうっぷんを晴らす走行をしたかったのですが、決勝の最後は後追いでシフトミスして遅れてしまい失敗でした。結果的に合わせられたのでよかったのですが、リスキーでした。」


d1_td_08.jpg

D1GP東京ドリフト製作委員会


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース