岡山国際サーキットで行われた全日本F3選手権第8戦の決勝は、塚越広大(ホンダ・チーム・リアル)が、ウェット- ドライとめまぐるしく変化する路面コンディションに見事に対応し、今季初、通算では昨年7月の鈴鹿以来の2勝目を挙げることとなった。
スタート直前に降り始めた雨のため、第8戦決勝はセーフティーカーの先導のもと、午後0時40分にスタートした。
雨は次第に強くなったため、1周終わりでロベルト・ストレイトがピットインしたのを皮切りに、
レインタイヤに履き替えるドライバーが相次いだ。
そうした中、予選4位の塚越と、最後尾スタートの大嶋和也は敢えてスリックのままコースに留まることを選んだ。
この結果、隊列は塚越を先頭にストレイト、大嶋の順になった。
5周のセーフティーカーランの後、6周目に追越が解除された。
早速2番手につけていたストレイトが1コーナーで塚越に襲い掛かるが、塚越も暴れるクルマを操りながら押さえ込みにかかる。
しかしスリックタイヤでレインのストレイトに抗うことは容易ではなく、巧みにラインをクロスさせたストレイトに2コーナーでインに並ばれ、
トップを奪われてしまう。
塚越はその後も立て続けに安田裕信、関口雄飛、オリバー・ジャービス、石浦宏明、嵯峨宏紀らに順位を明け渡さざるを得ず、
結局7周を走り終えたときには8位にまで後退してしまう。
同じくスリックの大嶋も同様に、塚越の後ろ、9位に後退した。
しかしこの頃になって雨は止み、8周目、9周目と次第に路面は乾き始めた。
そして遂に9周目のセクター1、2で大嶋と塚越が区間ベストを更新した。
10周目には塚越がファステストを更新、直後に大嶋がそのタイムを塗り替えてみせた。
トップのストレイトは1分39秒台のペースだが、スリックの二人は35秒台に入ってきた。
ここから塚越と大嶋の逆転劇が始まった。
塚越は12周目の2コーナーで嵯峨を抜くと、13周目には安田、関口を立て続けにかわして4位に浮上。 石浦は9周目のアトウッドで既にスピンを喫して後退していた。
前を走るのはポイントリーダーのジャービスだ。
ジャービスはウェットタイヤながらも36秒台にペースを上げて逃げにかかるが、塚越はなおもジャービスを追い詰め、
15周目のアトウッドでこれをかわすと、続くヘアピンで3位の伊沢をも抜き去って一気に2位に浮上した。
残るはトップのストレイト。
しかし1周4秒もの差をつけて追い上げる塚越は、17周目の1コーナーで早くもストレイトを抜き去り、トップに立った。
その後も塚越は次第にペースを上げて後続を突き放し、最後は2位に7.7秒もの大差をつけて波乱の25周を制した。
2位には最後尾スタートの大嶋。3位には塚越のチームメイトの伊沢が入った。
次戦は鈴鹿サーキット。第9戦は7月7日、第10戦は7月8日決勝だ。
Text:Kazuhisa SUEHIRO / Photo: Motorsports Forum