スーパー耐久

吉本大樹レースレポート スーパー耐久シリーズ第5戦(富士

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【吉本大樹レースレポート スーパー耐久シリーズ第5戦(富士)】 
1-02 August, 2009
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CAU8UDZY.jpg■ 5ZIGEN NSX 
■ 最終ラップの劇的逆転劇で今シーズン初優勝!!
【Result】

(Sta) QF : 3 rd (Sun) Final : 1st (20 pt)
(Ranking) 2 nd (51 pt)
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【Qualify】
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■ 5ZIGEN NSX
■ ブレーキにトラブルを抱え、予選はクラス3番手

7月18日~20日に行われる予定であった第4戦「十勝24時間」が中止となったため、前戦鈴鹿からは約2か月ぶりの開催となった今期のスーパー耐久シリーズ。

今シーズンは開幕からの3戦を終えた時点で2度の表彰台に上っているTeam 5ZIGEN NSX。しかしながら未だ表彰台の頂点には手が届いておらず、チーム、ドライバーはこの富士に必勝を期して乗り込んできた。金曜日に設けられた走行枠では、1本目に松浦選手が主にウィング等のテスト、2本目は平中選手と吉本大樹がマシンに乗り込み新仕様のダンパーの確認やセットアップ、3本目は雨でNEWタイヤでのアタックこそ出来なかったものの、ガソリン積載量によるマシンバランスチェック等を行った5ZIGEN NSX。そして迎えた土曜日の公式予選。

まずAドライバー予選に出走したのは平中選手。ところがその平中選手は数周はクリアな状態でアタックをしたものの終盤にはブレーキのフィーリングに違和感を感じ始め、タイムはトップに0.09秒届かず1'53"133。それでもまずは2番手つけBドライバー予選の吉本へと繋いでいく。ところがこのブレーキトラブルはBドライバー予選までに解決できず、さらにアタック1周目にはステアリングのチルトが動いてしまうトラブルも発生したため吉本はここでのアタックを断念。その後もブレーキに違和感を感じながらもアタックを試みたものの、左フロントだけがロックしてしまう症状が続きタイムを伸ばせず、結局A+Bドライバー合算タイムでの予選結果はクラス3番手。その後ブレーキに抱えていた問題はブレーキバランスをコントロールするPバルブという装置の認識にあった事がわかったため、Cドライバー予選までにはトラブルも何とか解消。「まだブレーキは完璧ではなかった」とはいうものの、ここで松浦選手が決勝に向けてのセットアップを行った。

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【Final】
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■ 5ZIGEN NSX、 雨中の劇的大逆転!!
CAJX8QV3.jpgCARS3E3X.jpg
一夜明け迎えた決勝日。予選はトラブルにより満足のいくポジションを得られなかったものの、ドライバーは「マシンバランスはこれまでのレースの中で一番良いフィーリング」とコメント。さらに予選終了後には不安のあったクラッチの調整の他、ドライブシャフトやハブなど駆動系の部品を全て交換。予報の出ていた雨を意識したセッティングも進め、必勝を期してこの日を迎える事となった。

ところがこの日の富士スピードウェイは朝から目まぐるしく天候が変化する難しいコンディション。朝のフリー走行は完全なウェット路面だったものの、スタート直前には寸前まで降っていた豪雨がやみ路面は徐々に乾き始めていく方向へ。しかしその後またすぐに雨が降り出しウェットコンディションに戻っていく等、レースはまさに天候が展開を大きく左右するレースとなった。そんな状況の中、まずスタートを担当したのは平中選手。その平中選手はこれまでのレースにも見られたガソリン満タン時の挙動が安定しない状態でスタート後一時はポジションを落としたものの、途中からまた雨が強まりだすとペースを上げて徐々にポジションをアップ。その後もスタート直後に失ったポジションを果敢に取り戻していくと最後は実質2番手でピットイン、松浦選手にステアリングを託していく。さらに松浦選手は2位のままコースへと入ったものの、このピットインで更に順位を上げると、この時点でついにトップに躍り出ることに成功する。松浦選手はその後、レース前から不安を抱えていたクラッチとギアのフィーリングが少しづつ悪化していくなか、それでも安定したペースを守りこのスティントを危なげなく走り切りると、後続との差が50秒程となったところで、いよいよ最後の第3スティント吉本へとステアリングを繋いでいく。

その吉本は降り続ける雨の中、前の二人が作り上げたマージンを持って今期初のトップチェッカーに向けコースイン。しかし程なくして吉本からは「ギアがやばい。多分クラッチが完全に切れていない」との無線が。それでも吉本は1コーナーやヘアピン、最終コーナー等、通常は2速で抜けるコーナーも3速までしかシフトダウンをせずに抜けていく等、ギアをいたわる走りで周回を重ねながら、ペースは2位とのマージンを保つペースで走行。マシンに不安を抱えながらも、今期初のトップチェッカーに向けひた走っていく。ところがレースもチェッカーまで残りわずかというところにまさかの展開が待ち受けていた。なんと黄旗区間中での追い越しがあったとして5ZIGEN NSXに10秒ストップのペナルティ裁定が下され、この裁定については「全く身に覚えがない」裁定であったものの、一度出されたペナルティを無視するわけにもいかず吉本はここでやむなくピットイン。すぐさまコースに復帰したものの、このピットインで順位は逆転、2番手にいたマシンにトップの座を明け渡し、4時間レースの残り10分を切った時点で10秒前方を行かれる事となってしまった。

しかしここから吉本は猛然と追い上げを開始、それまでギアを労わっていたため2分10秒~12秒程であったペースを一気に上げると、この時点のコース上でただ一人2分8秒台のラップタイムをマークしながらすぐさまその差を7秒にまで縮め、前を行くマシンに対し精神的なプレッシャーをかけていく。ところがその直後、吉本は「プッシュしすぎた」とBコーナーの侵入でオーバーラン。これでここまでに縮めたトップとの差は再度12秒にまで広がってしまい、さすがにピットには暗い空気が張り詰める。しかし迎えた最終ラップ、ここに最後のドラマが待ちかまえていた。

吉本はオーバーラン後もあきらめる事なく追い上げを見せたものの、最終ラップに入った時点でのトップとの差は約7秒程。さすがにその差は優勝への黄色信号が灯り始めたと誰もが思ったその時、何と突然雨脚が急激に強まり出すと、そのあまりの雨量にコース上ではスピンやコースアウトをするマシンが続出。この日一番の豪雨で各マシンのペースが極端に落ちていく。するとその中でただひとりペースを落とすことのなかった吉本が猛然とその差を一気に詰めていき、何と最終コーナーまでにトップを行くBMWの背後にまで接近。すると次の瞬間、5ZIGEN NSXの執念が伝わるかのようにトップを行くBMWがハイドロプレーニングを起こし最終コーナーでスピンアウト!これにより吉本は最後の最後、土壇場でポジションを取り戻し最終コーナーを立ち上がると、最後は全開でアクセルを踏むことすら出来ない程の雨量になっていたストレートを通過し見事にトップでチェッカー。ピットのスタッフ・ドライバー達は、映像モニターには映っていなかったこの大逆転劇をチェッカーと同時に切り替わったタイミングモニター表示で把握、一瞬の間を置き、喜びの雄叫びを爆発させる事となった。

まさかのペナルティ後退から最後まであきらめることなく追走を続けた5ZIGEN NSXが土壇場での大逆転劇で今期初優勝を遂げた今回のレース。これで5ZIGEN NSXは4戦中3戦で表彰台を獲得したことになると同時にポイントも大きく追加。ランキングも首位から2ポイント差の2位に浮上し、シーズン後半のタイトル争いに向け大きく弾みをつけこの第5戦を締めくくる事となった。

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【吉本大樹コメント】
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めっちゃ嬉しいです!今回のレースで勝たなければ参戦を取り止める話もあったんです。マシンは古いのでくたびれているかもしれないけど、プロのチーム、そしてプロのドライバーが揃っているのに一度も勝てないのはやはり格好がつきませんから。そんな皆の思いが一つになって得た最高の結果でした。

初走行の時からブレーキには不安を抱えていて、それは今現在も続いています。さらにクラスの中では排気量も小さい我々のNSXでは、ストレートの長い富士での勝負は厳しいと思っていました。でも雨の予報を信じていたし、金曜日、土曜日と続いた良くない流れも鵜呑みにせず決勝を迎えられました。平中選手は辛かった序盤のスティントをしっかり成し遂げポジションを回復させてくれたし、松浦選手もクラッチとギアの状況が少しずつ悪化していくなか良いペースをコンスタントに進めてくれました。

自分が受けたペナルティーに関しては、手前のポストと黄旗が出ていたポストも確認しているのでまったく納得していません。そもそも40秒以上もギャップがあって全く焦る必要の無い場所でわざわざ危険な行為を起こす訳が無い。2位のまま終わっていたなら暴れてしまっていたかもしれませんが、最後は勝てたのでもういいです。喜んで、怒って、キレて、また喜んで。今、間違いなく流れが良いのでこの勢いでスーパー耐久もチャンピオンを目指して頑張ります。

チームの皆、応援してくれたファンの皆さんありがとうございました!すぐにマレーシアで行われる12時間耐久レースのMMEに5ZIGEN CIVICで、同じ5ZIGENメンバーで参戦するのでこちらも勝ちに行きます!4レースもかかってしまったけど、応援してくれた皆さんありがとうございました。引き続き頑張ります!



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