SUPER GT

SGT:第3戦もてぎ ODYSSEY SLS、レース序盤のアクシデントで今季最高位の予選結果を生かせず26位に終わるも、完走ポイントを奪取 (Arnage)

 10月にタイで行われた第7戦の後、ODYSSEY SLSは再び3週間の船旅を経て11月初めにガレージに戻ってきた。次戦となるMOTEGI FINALは10日後に迫っており、メンテナンス期間は6日間とあまりに短かかったが、2日間で2つのレースを行うハードスケジュールが予定されており、かねてより不安材料だったミッションセンサのハーネスを交換したり、タイでの激戦の名残となった小傷を直したりしてできる限りのメンテナンスを施し、チームは慌ただしくツインリンクもてぎへと出発した。

 熊本復興支援大会として土日に行われる2つのレースに先立ち、金曜日に公式練習が行われた。午前、午後に1時間ずつの練習走行が予定されていたが、この日のツインリンクもてぎは天気予報どおり朝から強い雨が降っており、午前の走行前からウェット宣言が出されていた。雨脚が強い上に気温、路面温度ともに9℃と低く、とても安全に走行できる状態ではなかったため、コース上に出るマシンは少なく、ODYSSEY SLSも走行を見合わせて午後からの天気の回復を待った。午後になるといったん雨は上がったものの、路面は完全にウェット状態。午前中に走行できなかったマシンも多かったため、午後の走行枠は40分延長となり、Arnage Racingも安岡選手からウェットタイヤでコースに出て、凜太郎選手と交代しながら練習走行を行った。車両のコンディションは良好だったが、走行時間の半ばから再び細かい雨が降り始めた。天気予報では明日以降天候が回復することが見込まれており、レインタイヤでの練習は意味がないと判断したチームは、25周で走行を切り上げ、翌日からの連戦に備えることにした。

November 12th MOTEGI FINAL(熊本復興支援大会)入場者数;23500人

<QUOLIFY> 天候;晴れ 路面状況:ウェット 気温;11℃ 路面温度:12℃

 5月に行われるはずだったオートポリス大会の代替戦として、第3戦となったこの日のレースは、午前中にノックアウト方式で予選が行われ、午後から250kmのレースが行われるスケジュールとなっていた。この日は朝のうちこそ雲が多かったものの、次第に天気は回復し、予選開始の頃には日差しが戻っていた。しかし、前夜遅くまで降り続いた雨のため路面は乾かず、8時35分、ウェット宣言が出されての予選スタートとなった。次々とコースインするマシンはドライタイヤとウェットタイヤが混在していたが、各マシンが水しぶきを上げて走行する様子を見ていたチームは、ウェットタイヤでのアタックを決断、安岡選手が満を持してコースに出た。チームのチョイスは正しく、安岡選手は果敢な攻めをみせて1'58.433の好タイムをレコード、今シーズン最高位の17位から午後の決勝を戦えるチャンスを得た。

 なお、予選の結果は次のとおり。

  • P1 #11 GAINER TANAX AMG GT3  平中克幸 / ビヨン・ビルドハイム (1'54.932)
  • P2 #21 Hitotsuyama Audi R8 LMS  リチャード・ライアン / 藤井誠暢 (1'55.522)
  • P3 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT  井口卓人 / 山内英輝  (1'56.137)
  • P17 #50 ODYSSEY SLS  安岡秀徒 / 久保凜太郎 (1'58.433)

<RACE> 天候;晴れ 路面状況:ドライ 気温;18℃→22℃ 路面温度:24℃→24℃

 昨シーズンの最終戦以来久しぶりのスタートドライバーとなった安岡選手が、17番手からスタート。Arnage Racingは、安岡選手のスティントをできるだけ長くしてタイヤ温存を図り、タイヤ無交換作戦を手堅く成功させたいところ。目論見が当たれば250kmのレースで300クラストップのマシンとのマージンを1Lap以内に収め、チームポイント3点を取ることは難しいことではない。安岡選手は順調なスタートを切り、早々に前方のマシンをかわしてポジションアップ。16番手からレースを開始した。ところがタイヤが温まるまもなく、2Lap目に2箇所で相次いでクラッシュが発生し、セーフティーカーインとなってしまう。7周目にリスタートとなったが、その直前からODYSSEY SLSはトラクションコントロールの誤作動によると思われるノッキングの症状が出始めていた。後続車を引き離すのに苦労した安岡選手は、最終コーナーの出口でステアリングを右に切った状態で63号車と接触。マシンは右に曲がれなくなった状態のまま、這う這うの体でピットまで戻ってきた。メカニックが駆け寄りマシンをチェックしたところ、フロント右側のタイロッドブラケットが破損していることが確認された。急ピッチでパーツを交換し、右の前輪を交換したのちODYSSEY SLSは、7周遅れてなんとかコースに戻ることができた。安岡選手はアククデントのハンデを跳ね返すように1分52秒前半のタイムを連発しながら残りのスティントを走行、26Lap目に凜太郎選手と交代するためにピットに戻ってきた。チームは予定どおりのタイヤ無交換作戦を敢行、素早いピットワークで凜太郎選手をコースに送り出した。しかし、凜太郎選手のスティントになってもトラクションコントロールの誤作動の症状が治まらない。凜太郎選手は、監督の指示でトラクションコントロールをオフにしたままの走行を強いられることになった。さらに、接触の後遺症とも思われるバイブレーションとも戦いながら、凜太郎選手は後半のスティントを最後まで辛抱強く走りぬき、無事にチェッカーを受けることができた。

 ODYSSEY SLSは、接触によるピットインでレースの勝負権を失ったことは痛手ではあった。しかし、迅速なピットワークで最悪の事態を免れ、完走ポイント1点を手にすることができた。

  • P1 #21  Hitotsuyama Audi R8 LMS  リチャード・ライアン / 藤井誠暢
  • P2 #33  Excellence Porsche  山野直也 / J.ベルグマイスター
  • P3 #88  マネパ ランボルギーニ GT3  織戸学 / 平峰一貴
  • P26 #50  ODYSSEY SLS  安岡秀徒 / 久保凜太郎
ドライバー 安岡秀徒
 今日は朝早くの予選っていうことで、朝のセッションが苦手なのでどうかなと思ったんですけど、路面が濡れてるコンディションで集中して走ることができて、今季ベストの17番グリッドを獲得することができて、良かったし、本当に全てがうまくいけば、13番手14番手あたりが狙えたと思うんで、そこはちょっと悔しかったです。レースに関して言えば、スタートはすごくいいスタートが切れて、ポジションもなんとか上げられてたのに、リスタート直前から、トラクションコントロールの誤作動で完全にトラブルが出ているような状態になってしまっていて、苦しんでるところをコーナーの出口のところで接触しました。もうダメだと思ってたんですけど、ピットアウト後クルマはそんなに悪くなくて、凜ちゃんに繋ぐことができました。凜ちゃんはトラコンなしで走ることになって、接触のせいで振動とかもあって、凜ちゃんには二重三重の意味で気の毒なことをしました。しかも、タイヤは余計に3セット使うことになっちゃったし、車も破損した部品があるし、あーあ・・・って。久しぶりにスタートドライバーだったのに、もてぎの1周目は本当に難しいなって思いました。でもまあ、やっとたどり着いた最終戦で、また完走ならずか・・って思ってすごい落胆してたのがなんとか完走扱いになって良かったです。明日は凜ちゃんが予選なんで、応援して、レースはおそらく僕が後半なんで、今日の分を挽回できるように、最後、楽しみたいと思います。
ドライバー凜太郎選手
 今日はいつもと違って後半スタートで、ちょっと序盤トラブルがあって、僕が乗ったときには周回遅れって形で、レースの権利がない形で僕の番が来たので、正直言うと気が楽といえば楽でした。ペース的にはタイヤ無交換で、クルマのほうにもトラブルが残ってて、あの厳しい中、もうちょっと頑張ってペースが上げられれば、そんなに遜色なく走れるんじゃないかって言うのが今日、青旗振られながらも確認できたんで、その辺は明日に向けてはポジティブかなと。あとは、タイヤ無交換をしてその後半どうなってるのか、っていうのも今日わかったので、明日ちょっと僕がスタートで予選もあって、どういう風に走ったらいいのかっていうのは、なんとなく雰囲気は見えたかなって思います。明日は明日でウエイトハンデがなくなるんでトップとの差とかはすごい厳しくなっちゃうだろうけど、まあいつもの感じでうまく追いげられればなと思います。

Arnage Racing


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

検索

最新ニュース