SUPER GT

SGT:第8戦もてぎ SKT EXE SLS、目まぐるしい路面変化に、またも目前のポイントを逃し、ノーポイントのまま暗中模索のシーズンを終える (Arnage)

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 最終戦は、第8戦もてぎラウンド。栃木県にあるツインリンクもてぎでおこなわれる250kmのレースが、2015年SUPER GTシリーズの総決算となる。

 前戦オートポリスでは、惜しくもポイント獲得こそ逃したものの久しぶりのアルナージュらしいレース運びで無事にレースを終えることできた。ただし、もてぎラウンドまでのインターバルは2週間足らずとメンテナンス期間としては短い。そんな中チームは最後まで万全の状態で戦うべく入念なチェックとメンテナンスを行い、エンジニアがいくつかのセッティングのアイデアを盛り込んだクルマを準備した。第8戦もてぎラウンドを戦うのは、第4戦富士ラウンド以来の加納、Nanin Indra-Payoong選手のコンビ。そして、これまで通り、安岡選手がアドバイザーとして2人を手厚くサポートする体制で挑んだ。

November 14th Qualifying

  • 天候:雨 路面:ウェット 気温:13℃→13℃ / 路面温度:16℃→14℃ 入場者;17,000人

gt-rd8-arnage-01  雨の多かった2015年のSUPER GTを象徴するように、最終戦のレースウィークもウェットコンディションでのスタートとなった。9時からの公式練習は、第5戦鈴鹿ラウンド以来3戦ぶりに、Nanin選手がSKT EXE SLSのステアリングを握って走行を開始した。マシン自体に特にトラブルはなかったが、雨脚が弱まるとコースに濃い霧が立ち込める難しいコンディションに加え、昨年とはまったく性格の違うレインタイヤに雨用のセットを見直さなければならず、チームはセッティングに苦心した。タイヤの状態からはセットを決めることが難しく、ドライバーのコメントのみに頼らざるを得ない。セッティングがなかなか決まらない中、ピットインのたびに、エンジニア、加納、Nanin両選手、アドバイザーの安岡選手が話し合う場面が見られた。それでもSKT EXE SLSは時間いっぱいまでに36周を走行することができ、Nanin選手と加納選手が交互にマシンの感触を確かめて、午後の予選へ向けてのセットアップの方向性も決まった。(ベストラップはNanin選手が27Lap目に出した1'59.685)

gt-rd8-arnage-02  午後になってもウエットコンディションは変わらず、冷たい雨のそぼ降る中で14時から予選が行われ、Nanin選手がQ2進出を目指してアタックを開始した。午前中の公式練習で得たセットの延長でQ1に臨んだArnage Racingだったが、今シーズンのこれまでの流れは変えることはできず、思うようにタイムを出すことができない。Nanin選手は2'01.135をレコードしたものの22番手に沈み、SKT EXE SLSは今シーズン一度もQ1突破を果たせぬままで、最終戦の予選を終了した。この雨用のセッティングはこのまま決勝に使うことができないと判断したチームは、翌日の決勝に向けてセッティングを見直すことになった。とはいえ、日曜日は天気が好転するとの予報も出ており、セットの方向性を決断できないまま、Arnage Racingは最終戦の決勝日を迎えることになった。

November 15th Race Day

  • 天候:曇 路面:セミウエット 気温:20℃→20℃ / 路面温度:19℃→21℃ 入場者:33,000人

gt-rd8-arnage-13  天気予報では曇りマークが出ていたものの、決勝日となる日曜の朝になっても雨はやむ気配を見せず、9時からのフリー走行は時折強く降る雨の中でスタートした。前日夜遅くまでセットを見直して煮詰めた結果、決勝日の朝のフリー走行ではタイヤとマシンのフィーリングが良くなったというNanin選手と加納選手のコメントに、チームはこのままのセットで決勝に臨む算段をつけた。ただ、午後の天候次第ではセットの方向性がまったく変わる可能性もあり、状況は予断を許さない。予報通り雨は上がり、空は明るくなっていたが、路面はまだまだウェット状態から回復しないまま、決勝の時が迫っていた。

gt-rd8-arnage-16  決勝前の8分間のフリー走行が10分早いスタートとなり18分間となったため、SKT EXE SLSはハードタイプのレインタイヤを装着し、スタートドライバーのNanin選手がコースに出た。路面はまだまだ完全にウエットの状態で、各マシンが水しぶきを上げて走行する状況だったが、空は更に明るさを増して天候好転の兆し。このままでいけばドライでの走行が可能かつ有利であるとのNanin選手のコメントに、チームはマシンをピットに入れてドライタイヤに交換、グリッドにマシンを並べた。ところがグリッドウォークが始まって間もなく、空が再び暗くなり雨粒が落ちてきた。通り雨とはいえ、路面的にはすっかりウェットコンディションに戻ってしまった。ウェット路面がどこまで続くのか。53Lapを走るもてぎラウンドで、最も早いドライバーチェンジのタイミングである18周(*1人のドライバーがレースの3分の2以上を周回してはならない)までレインタイヤを保持することが可能なのか。グリッド上で緊急の話し合いが行われ、Arnage Racingは再びハードタイプのレインタイヤを再装着することをチョイス。13時40分、パレードラップとフォーメーションラップのあと、250kmの最終戦もてぎラウンドがスタートした。スタート直後から再び空は明るくなり始め、数ラップのうちに太陽が顔を覗かせたが、路面はウェットコンディションのまま、SKT EXE SLSは終始順調で、固いレインタイヤをチョイスしたことが功を奏し、22番手からスタートしたNanin選手は、10Lap目で17位、13Lap目で15位と、徐々にポジションを上げていく。どんどん乾いていく路面にマシンをピットインさせるチームが続出するなか、SKT EXE SLSは見かけ上の順位を6位まで上げていた。24Lap目に入ったときに500クラスの車両と300クラスの車両が接触するアクシデントが起きてセーフティーカーがコースイン、これを好機とチームはNanin選手をピットに呼び戻して給油ののちドライタイヤに交換、加納選手が14位でコースに復帰した。コースを整備し隊列を整えるためにセーフティーカーが4周ほどマシンを先導し、28Lap目、レースが再開された。ポイント圏内がまた、近づいている。追い上げをかけるべく加納選手の激走が始まった。しかし、次の周回、3コーナーでコース上の水に乗ってしまったか、加納選手は痛恨のスピンアウト。後続のクルマを避けるために進入したグラベルでスタックしてしまった。幸いマシンにダメージはなく、無事にコースに戻ることができたが順位は23位まで後退した。その後、加納選手は1分53秒台の好タイムで最後まで走りきり、22位でチェッカーを受けることができた。

 Arnage Racingはまたしても目前のポイントを逃し、一度もドライバーズポイントを手にすることなく、波乱の2015年SUPER GTシーズンを終了した。

ドライバー 加納政樹
gt-rd8-arnage-03  お疲れ様でした。今日はコンディションの変化が目まぐるしかったんです。ほぼドライの状態で、ナニンくんもミディアムのレインで行って順位を上げてくれて、SCが入って、ぎりぎりピットにも滑り込むことができて…っていう流れの中で、15位くらいで(コースに)戻ったんですけど、リスタートの2周目くらいに、ちょっとアウト側のまだ濡れてるところに乗ってしまってスピンしてしまったのが、ちょっと悔しかったです。最近ああいうのはなかったし、そのあとの晴れの状況でクルマの様子を探り探り、ペースをもうちょっと上げれそうな感じもしてた時だっただけに、レース自体の流れを止めしまったのが悔やまれる。もう一つは、そんな中でまわりとのタイムの比較であったりとか、ブレーキやったりとか、トラクションコントロールやったりとか、路面の変化に対してアジャストしていけるように安岡くんとやり取りしながらやってたんですけど、ABSとかの状況が路面と合わせれてなかったためか息継ぎ症状が出て、最初はそんなことはなかってんけど、どんどんどんどん乾いていく傾向になればなるほど、その症状が出てきたんで、もう少しそういうところが対応できるようにするべきやったかなと。これは、もう経験でしかないと思うし、そういう路面変化に対しては即座に車の動きをアジャストしていかなあかんので、まだ経験せなあかんことがいっぱいある、まだまだ足りてない(笑)この一年間振り返ってみて、いろんなことがあったシーズンやったけど、クルマも新しく変わって、ちらほらまたアルナージュらしいレースができるようになって得た部分もあると思うんで、それをまた次にピシッと生かせるようにせなあかんし、自分自身もそういった部分を見つめ直さなあかんと思います。でも最後は、なんとか完走はできたかな。悔しさ残りますけど、良かったと思ってます、ありがとうございました。
ドライバー Nanin Indra-Payoong
gt-rd8-arnage-09  今日のレースは、いつものように頑張ったんですけど、僕がスターティングドライバーでほんとはスリックで行きたかったんです。スリックでノータイヤチェンジがプランだったんですけど、スタートの5分前くらいから、雨が降ってきて、ウェットにしましょうって、伊藤さんとみんなと相談しました。で、ウエットのミディアムでいって、やっぱり最初の2~3周はほんとにタイヤが温まらなくて、ほんとに難しかったです。タイヤが温まってからはペースが良くなって、できれば18周までそのまま走れたらタイヤ交換でドライバーチェンジもできると思ってたところ、ちょうど24周でセーフティーカー。ほんとに、パーフェクトなタイミングだったです。ほんとに、ハーフウェットとハーフドライっていうか、難しいコンディションで、とてもいい経験でした。今年もいろんなことが勉強できるいい年でした。できれば、来年またチャンスがあったら、アルナージュの皆さんとレースをやりたいなと思います。ありがとうございました。
アドバイザー 安岡秀徒
gt-rd8-arnage-10  えーお疲れ様でした…っていつも言ってるんですけど、今回はほんとに疲れました。苦しかった週末なんですけど、レース自体はその中では一番良かったかなって気がしてるんですけど、もちろん、完走できてよかったっていうのと、ポイントに届かなくて悔しかったっていう気持ちはあり、特に今シーズンドライバーズポイントはゼロ点ですので、ほんとに悔しい。そういう絶対にポイントが欲しいという状況の中で、すごい苦しい流れの週末となり、もやもやしてました。去年までだったら「この延長で行けばより良いシーズンが送れる」という感触があったんですけど、今年は終始苦戦しまして、最後コンディションがウエットになって、(それが主たる要因だと思うんですけど、)苦しんだ。でもほんとに難しい一年でした。ペース的に箸にも棒にもかからないっていうのって、僕は今までないんです。僕は雨が得意なので、どっかで雨が降ってくれると必ずそこで輝けて、それでよかったと思えるというか、希望が持てる。でも今年は、速く走れないフラストレーションがドライバー側にあって、走らせてる側のストレスもチーム側にあって、そういう、暗中模索を続けたシーズンだったなとほんとに思います。今日のレースの話を戻すと、ナニンくんはナニンくんでベストを尽くしてポジションを上げて加納さんにつなげて、加納さんもSC状態からのスタートということで、タイヤをあっためるのが難しい、逆にタイヤがあったまってない状態で前後に車がいる状態だったので、普通のインタミディエイトのスタートよりも難しかったと思います。そこはもう経験の部分で、この先につなげていきたいと二人で話してます。で、ナニンくんは逆に言うともうちょっと勉強しないとダメだ(笑)そういう感じです。一年間お疲れ様でした。

<一年を振り返って>

 チーム結成から3年目となった2015年のシーズンは、マシンスイッチから始まり、車両の性格もなかなかわからぬまま、シーズン半ばにはクラッシュという大きな試練にも見舞われ、終始苦しみ続けた一年でした。振り返れば全戦完走はおろか8戦中2戦でリタイヤという苦杯を嘗め、一度もドライバーズポイントを取ることができませんでした。とはいえ、これまで以上に温かいご支援をお寄せくださるスポンサーやファンの皆さまに、何度も苦しい場面で助けていただき、今シーズンも一年間、最終戦まで戦うことができました。応援してくださったスポンサーの方々には深く感謝いたします。

 Arnage Racingは来る2016年シーズンに向けて準備を進める所存ですので、引き続き応援宜しくお願いいたします。

 一年間ありがとうございました。

Arnage Racing


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