SUPER GT | SUZUKA 1000km

SGT:第5戦鈴鹿 伊藤/ロシター組 LEXUS RC Fが鈴鹿1000kmを制す! 立川/石浦組が2位でLEXUS RC Fが1-2フィニッシュ、PETRONAS TEAM TOM'Sは鈴鹿1000kmを2年連続制覇 (TOYOTA)

 8月30日(日)に鈴鹿サーキットで行われたSUPER GT第5戦鈴鹿1000kmは、ウェットスタートから乾いていく難コンディションで、2回のセーフティカーが導入され、規定時間終了となったが、伊藤大輔/ジェームス・ロシター組 PETRONAS TOM'S RC F 36号車が中盤首位に立つと、その後は独走で今季初勝利。PETRONAS TEAM TOM'Sは昨年に続き2連覇を飾った。立川祐路/石浦宏明組 ZENT CERUMO RC F 38号車が厳しいハンデ条件にも負けず2戦連続となる2位で続き、LEXUS RC Fは1-2フィニッシュ。脇阪寿一/関口雄飛組 WedsSport ADVAN RC F 19号車が後半見事な追い上げを見せ4位と今季最上位フィニッシュを果たした。

伊藤大輔/ジェームス・ロシター組が優勝、立川祐路/石浦宏明組が2位でLEXUS GAZOO Racingが1-2フィニッシュを飾った

伊藤大輔/ジェームス・ロシター組が優勝、立川祐路/石浦宏明組が2位でLEXUS GAZOO Racingが1-2フィニッシュを飾った

 8月29日(土)、30日(日)の両日、三重県北部、鈴鹿市に位置する鈴鹿サーキットで、SUPER GT第5戦「44th International SUZUKA 1000km」が開催された。

 「鈴鹿1000km」は50年近い歴史を持つ伝統のレース。現在シリーズの1戦として行われているSUPER GTではもちろん最長、これに次ぐ長さの第2戦富士の500kmの倍、通常のレースの約3倍という長丁場で競われた。

 昨年の同大会では、PETRONAS TOM'S RC F 36号車がポール・トゥ・ウィン。2年目を迎えた新規定車両での、1000kmレース連覇を目指し、LEXUS GAZOO Racingは一丸となってレースに挑んだ。

◆予選◆

 予選日の29日(土)、前夜の雨により、午前中の公式練習走行はまだ濡れた部分が残った状況から乾いていく中で行われたが、その後路面は完全に乾き、午後2時半からの予選は、空は雲に覆われていたもののドライコンディション。しかし、気温は27度、路面温度31度と、この時期としてはそれほど暑くない気候の下で行われた。

 GT300クラスのQ1を経て、午後2時50分にGT500クラスのQ1(15分)が開始。3分ほど過ぎて関口の駆る19号車がコースイン。大半の車両は残り9分あたりからコースへ向かった。

 残り時間が5分を切ると、充分にタイヤを温めた各車タイムアタックを開始。しかし、残り4分というところで、アタックに入っていた国本雄資のENEOS SUSTINA RC F 6号車がS字コーナー2つめでコースオフ。タイヤバリアに当たらずに停止はしたものの、サンドトラップにはまり脱出出来ず、セッションは赤旗中断となってしまった。

 車両回収の後、午後3時10分に残り5分でセッション再開。ピットが出口に近いLEXUS勢は伊藤の36号車、平川亮ののKeePer TOM'S RC F 37号車を先頭にコースへ。1周のウォームアップの後アタックに入ると、午前中の公式練習走行でシフト系のトラブルに見舞われ苦戦を強いられていた36号車が、その時点でのコースレコードを更新する好タイムをマークしトップに。しかし、続く平川の37号車がこれを上回ると、後続勢も続々とタイムを更新。

 GT-R 46号車がトップに立った直後、石浦の駆る38号車が好ペースでセクタータイムを刻んでいき、逆転なるかと思われたが僅かに届かず2番手タイム。最初にコースレコードを更新した36号車だったが、チェッカー後の最後のアタックで僅か1000分の2秒上回られ、無念の9番手でQ1敗退となってしまった。

 19号車が10番手、今大会GT500クラスで唯一3人目のドライバーとして元F1ドライバーのクリスチャン・クリエンが加わったDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車は平手晃平がアタックしたが11番手でQ2進出ならず。コースオフし赤旗中断の原因となった6号車はノータイムとなり、明日の決勝レースは最後尾15番手からスタートすることとなった。

 Q2(12分間)は午後3時45分に開始。9分半を過ぎたあたりから各車コースイン。このセッションも、終盤にタイムが更新され、順位が入れ替わっていく中、立川祐路の38号車が燃料リストリクター規制をものともしない好アタック。惜しくも0.15秒届かずポールポジション獲得はならなかったが、最前列2番手グリッドを獲得した。

 カルダレッリがアタックした37号車は3列目6番手グリッドとなった。

 GT300クラスでは、Q1(15分)で中山雄一が駆るTOYOTA PRIUS apr GT 31号車が、セッション残り6分ほどのところで、コースレコードタイムを更新する圧倒的なタイムを叩き出し、トップに浮上。その後、ライバル勢もタイムを上げていったが、31号車のタイムを破るものは現れず、31号車はトップでQ1を通過した。  レギュラーの飯田 章/吉本 大樹に、ドイツ・ニュルブルクリンクのVLNシリーズにLEXUS RC F GT3で参戦し開発にも加わっているドミニク・ファーンバッハーを3人目のドライバーとして加えたSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は23番手でQ2に進むことなくグリッドが決定した。

 Q2(12分間)は今大会3人目のドライバーとして加わった佐々木孝太が31号車のアタックを担当。セッション後半にアタックに入った佐々木孝太だったが、バックストレートへと向かうスプーンコーナー立ち上がりで僅かにコースアウト。その後もタイム更新を狙い最後までアタックを続けたが、大きなタイム更新は叶わず、9番手グリッドから明日の決勝レースに臨むこととなった。

◆決勝◆

 決勝日の30日(日)は朝から降ったり止んだりの天候。レースのスタート進行時にも雨が降り始め、路面は完全ウェット、気温26度、路面温度28度というコンディションで、午後0時30分からの白バイとパトカーの先導によるパレードラン、フォーメーションランを経て、173周、1000kmで競われる長いレースのスタートが切られた。

 最前列2番手グリッドの38号車は石浦がスタートを担当。スタートダッシュで1台に先行を許し、3位で序盤戦へ。9番手グリッドの36号車ロシターが好スタートを切り、7位へとポジションアップ。2周目には、36号車は前を行くチームメイトの37号車をパスし、6位へ浮上した。

 雨脚が強まり、各車水煙を上げながらのバトルで、コースオフも頻発し、序盤は上位10台ほどが連なったまま周回を続けた。

 10周ほどを過ぎて、GT300クラスの周回遅れが現れる中、38号車はバトルの中でコースをはみ出し2つポジションダウン。一方で、ロシターが勢いに乗る36号車は、ストレートでの3ワイドバトルを制し4位にポジションを上げると、更に前を追った。

 29周目終了時点で4位走行中の36号車はピットへ向かい、伊藤へとドライバーチェンジ。

 31周目、タイヤ摩耗に苦しみながらも7位を走行していた平川の37号車が、デグナーコーナー出口で曲がりきれず、タイヤバリアにクラッシュ。幸いにもダメージはそれほど大きくなく、順位は落としたものの、レースに復帰した。

 昨年同様、短い6スティント作戦とした36号車らに対し、長い5スティント作戦とした38号車は最後までピットを引っ張り34周目にピットイン。全車がピットインを終えた時点で、36号車が2位、38号車が6位、39号車10位、19号車が11位、6号車が12位、コースへ復帰した37号車は、2周遅れの最後尾15位からの追い上げを強いられることとなった。

 2位の36号車は、首位の車両に迫り、テール・トゥ・ノーズでの首位争いを10周以上に渡って展開した。

 天候は徐々に回復傾向となり、50周を過ぎる頃には、コースのライン上は一部が乾いてくる状態に。それでもすぐにスリックに交換出来る状況ではなく、各チーム、ピットタイミングと交換するタイヤに頭を悩ませる状況となった。

 スタート前のウォームアップ直前にトランスミッショントラブルに見舞われ、ピットスタートを強いられながらもハイペースで追い上げ、この時点で10位を走行していた6号車が、53周目にストレートで突然スローダウン。駆動系トラブルに見舞われ、ここでレースを終えることとなってしまった。

 61周目、首位のNSX 100号車と、2秒差で追っていた36号車が同時にピットイン。タイヤをスリックへと交換し、ドライバーはロシターへ。このピット作業で上回った36号車が事実上の首位に立った。

 空には晴れ間も見えてくる中、64周目、クラッシュ車両によりセーフティカーが導入。コース清掃などでやや長いセーフティカーランとなる中、ピットがオープンとなった68周目、この時点で首位につけるGT-R 12号車、6位まで順位を上げていた19号車、9位につける37号車らがピットへ。

 これで36号車が首位に立ち、38号車が3位で70周目に再スタート。しかし、75周目、1コーナーにエンジンブロー車両によるオイルが出てしまったため、これに乗ってコースアウトする車両が続出。コース清掃のために再度セーフティカーが導入された。

 先の再スタート時には6位につけていた39号車は、このセーフティカーラン中にエンジンのセンサートラブルに見舞われ、原因究明と交換作業のために、ピットガレージ内で長い時間を費やすこととなってしまった。

 80周目に再スタートが切られると、首位の36号車ロシターは、ハイペースで2位以下との差を周回毎に広げていき、10周でその差は約10秒に。

 38号車は4位。首位と同一周回車両が6台のみとなる中、19号車は周回遅れの8位となっていたが、上位勢に遜色ないハイペースで関口が追い上げ、ポジションアップ。

 98周目、2位に23秒の差をつけていた首位の36号車がピットへ。173周という予定周回数で残り周回数を考えると、もう2回の給油ピットが必要となるが、前半の2回のセーフティカー導入で時間がかかっており、今レースの規定では、午後6時25分でレースは終了となるため、残り時間を考慮すると、ぎりぎり残り1回のピットで走り切れる計算に。

 好タイミングでのピットとなった36号車だったが、ピット作業中に左リアタイヤのホイールナット脱着でトラブルがあり、15秒ほどタイムをロス。しかし、それまでのマージンもあり、ピットタイミングの異なる上位勢が3度目のピットを終えた106周目には、2位に26秒ほどの差を付けての首位に復帰した。

 その後方では、NSXとGT-Rの3台による2位争いが繰り広げられていたが、その後方5秒ほどの5位につけていた38号車の立川は、みるみるその差を詰め1台かわすと、2位争いに参入。前を行くGT-Rを激しく攻め、112周目、最終コーナー立ち上がりでインをつき3位へとポジションアップ。そのままの勢いで更に前を攻め、114周目には高速コーナーの130R立ち上がりでNSXをパス。2位に浮上した。

 このバトルの間に首位36号車と2位38号車の差は30秒ほどに。38号車も快調に後続との差を広げていき、盤石の1-2体制となった。

 130周目あたりから、各車最後となるピットへ。36号車は131周目にピットインすると、最後を担当するロシターがファステストラップを更新する速さで独走。2位の38号車も前後に大きなマージンを築いて最後のスティントの周回を続けた。

 19号車は133周目にピットインし、関口にドライバーチェンジすると、すぐに7位争いを繰り広げ、バックストレートで並びかけると、続く130Rで先行。ピットタイミングの異なるライバル勢がピットインしたことで、19号車は5位へポジションアップ。更に追い上げを続ける19号車関口は、151周目には前を行くNSXに追いつくと、シケインでアウトからパス。残り20分ほどで4位に浮上した。

 午後6時を過ぎ、ほぼ闇に包まれたコースで、ヘッドライトの光芒を頼りに各車がチェッカーを目指す中、残り10分ほどでコース西側では雨が降り始めたが、影響するほどコースを濡らすまでには到らず、午後6時25分を過ぎ、163周を走り切ったロシターの36号車が、2位38号車に1分25秒の大差をつけてトップチェッカー。土曜日の午前中トラブルで走れず、予選でも9番手でQ1敗退と苦しいスタートながら、長丁場のレースでさすがのチーム力を見せつけた36号車が今季初勝利、ロシターとチームにとっては昨年に続く鈴鹿1000km2連覇を飾った。36号車の伊藤とロシターは、この結果でドライバーズランキングでも3位に浮上した。

 2位には38号車が続き、LEXUS RC Fは今季初の1-2フィニッシュ。38号車は2戦連続の2位表彰台獲得で、ドライバーズランキングも2位へと2つ順位を上げた。

 後半見事な追い上げを見せた19号車は4位で、今季最高位フィニッシュ。一時最後尾まで落ちながら粘り強く走り切った37号車が8位でポイントを獲得した。

 GT300クラスでは、9番手グリッドからスタートを担当したプリウス31号車の中山雄一が、序盤の濡れた路面で好走を見せ、5周目に4位に上がると、3位争いを展開。15周目にこのバトルを制し3位、19周目には2位へと順調にポジションを上げ、更に首位よりも速いペースで追い上げていった。

 31周目にピットインし、佐々木へと後退した31号車はハイペースで周回を重ね、その後ライバル勢が次々にピットインしていくと、36周目に首位浮上。しかし、その後路面が乾き始め、タイヤの摩耗が苦しくなってくる中で後続の猛追を受け、53周目、三つ巴の首位争いで惜しくも3位に後退。

 クラッシュ車両によりセーフティカーが導入され、セーフティカーランの終盤にピットがオープンされると31号車もピットイン。嵯峨へとドライバーチェンジを行ったが、嵯峨はピットレーン出口で濡れた路面でのスリックタイヤ走行で足をすくわれスピン。幸いにもどこにも接触せずコースへ復帰したが、これがセーフティカー中のスピンということでペナルティ対象となり、再スタート後にドライブスルーペナルティ。セーフティカーランで上位勢が詰まっていたタイミングでのペナルティのため、一気に14位まで順位を落としてしまった。

 31号車はその後少しずつポジションを戻していき、一時は7位まで浮上したが、終盤、タイヤが厳しくなる中でのポジション争いで先行を許し、最後は10位でチェッカーを受けた。

 60号車は23番手スタートから粘り強く走り抜き、19位でフィニッシュ。今季3度目の完走を果たした。

 LEXUS GAZOO Racing、TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

今季初勝利、チームとしては鈴鹿1000km 2連覇を果たしたPETRONAS TOM'S RC F 36号車

 今季初勝利、チームとしては鈴鹿1000km 2連覇を果たしたPETRONAS TOM'S RC F 36号車

2戦連続の2位表彰台を獲得したZENT CERUMO RC F 38号車

 2戦連続の2位表彰台を獲得したZENT CERUMO RC F 38号車

PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー 伊藤大輔:
 土曜日のフリー走行でミッショントラブルがあり、ろくに走れないまま予選を迎え、Q1落ちと出鼻をくじかれる形となってしまった。しかし、レースは長く、路面のコンディションも変わりやすいということで、今日は焦らないことを心掛けた。スタートはウェットだったが、ジェームスが順位を確実に上げてくれた。最初はウェットで引き継いだが、ライバルとの争いは、上手く抑えられたと思う。セーフティカーが入ったため5ストップの予定が変わり、最後のピットストップもギリギリのタイミングだったが、結果的にミスなく走り切って、優勝出来て良かった。今年、個人的には37号車から36号車にクルマが変わり、速いクルマにも関わらず結果がついて来ていなかったので、フラストレーションが溜まっていたが、ようやく優勝出来、本当に嬉しい。
PETRONAS TOM'S RC F 36号車 ドライバー ジェームス・ロシター:
 最高のレースとなった。スタートがウェットコンディションで、最初のスティントは難しいチャレンジだった。トラフィックの中、出来るだけ多くのクルマをパスして上位を目指していくのは楽しかった。東條エンジニアとスリックタイヤに換えるタイミングについて相談していたが、伊藤選手が、ばっちりのタイミングでスリックに換えられたことで、更に良いペースで独走することが出来た。最後は雨も降ってきたしどうなることかと思ったが勝てて嬉しい。昨年も勝てたし、このレースは自分にとって特別だ。2年連続勝利は本当に格別な気分だ。
ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 立川祐路:
 燃料リストリクターの影響なども鑑みながらの決勝だったが、クルマは良い仕上がりで、もともとドライでのポテンシャルは非常に高く、コーナーも130Rも速かったので、間合いを計りながら、他車をパスしていった。ストレートではリストリクターの影響で苦戦するのもわかっていたが、ストレートの速いライバルも上手くパスできたと思う。レース後半、集団がばらけてきた時点では、自分のペースでタイヤを労わりながら、最後は2スティントで終わらせるべく頑張った。エンジンの水温が高くなったりと心配することもあったが、様子を見ながら走り、やっと終わったという感じだ。しっかり走れば、きちんとした結果が得られるのだということを改めて実感した。
ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 石浦宏明:
 序盤のピットで、燃料が予定よりも入っていなかったことが判明し、早めにピットインしなくてはならなかった。立川選手に無線で残り燃料と走れる周回を伝え、またレインタイヤで出るしかないかと思っていたが、奇跡的に路面が乾き、スリックで出て、タイヤが温まって本格的にアタックする前にセーフティカーが入ったので助かった。セーフティカーでマージンがなくなり、トップグループが見えるところで再スタートを切れた。その後は周回遅れに阻まれ、なかなか前に行けずイライラしたが、立川選手に交代後、2位争いをしていた3台をさっと抜いてくれた。最後、立川選手は1分近いギャップを築いて自分に渡してくれたので、終盤の雨もリスク回避でペースダウンし、着実にゴールを受けられた。
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