SUPER FORMULA

SF:第2戦岡山 石浦宏明が悲願のトップフォーミュラ初勝利! 小林可夢偉が2位で初表彰台を獲得 (TOYOTA)

  • コース:岡山国際サーキット (3.703km)
  • 予選:5月23日(土)曇り:ドライ
  • 決勝:5月24日(日)晴れ:ドライ

 スーパーフォーミュラ第2戦が、7年ぶりのトップフォーミュラ開催となった岡山国際サーキットで行われ、石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)がトップフォーミュラ初優勝。今季よりスーパーフォーミュラに参戦した小林可夢偉(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が2位で続き、初の表彰台を獲得した。

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念願の初優勝を飾った石浦宏明(右)と2位に入った小林可夢偉(左)

 スーパーフォーミュラの第2戦が5月23日(土)、24日(日)の両日、岡山県の岡山国際サーキットで行われた。

 SUPER GTでは毎年開幕戦が行われている岡山国際サーキットだが、国内トップフォーミュラの開催は7年ぶり。スーパーフォーミュラとしての開催は初めてとなる。

 約一ヶ月前に行われた開幕戦鈴鹿では、抜群のスタートでトップに立ったアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)が独走で勝利。中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が2位で続き、トヨタエンジンが1-2フィニッシュを飾った。

 しかし、中嶋一貴は、2週間前のWECスパ6時間レースの練習走行時に負傷。現在療養中のため、今大会は、大嶋和也がPETRONAS TEAM TOM'S 1号車のステアリングを握ることとなった。

 7年ぶりとなる岡山だが、最後の開催時の車両は2世代前となるFN06。F1も開催されたテクニカルコースで、「ライト&クイック」を身上とする新生スーパーフォーミュラが、どんなレースを見せるか、注目の一戦となった。

予選

 予選が行われた23日(土)は曇天。気温22度、路面温度30度でドライコンディションの下、午後3時40分より開始された。

 20分間の予選Q1、セッションスタート前からピットロード出口に整列し、走行開始。平川亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)が1分13秒台に入れる好走を見せトップに立ち、全車一旦ピットへ。

 残りが6分半ほどになったところで、再度コースイン。アウトラップの翌周もタイヤを温め、各車アタックを開始した。残り40秒ほどのところで、小林が1分13秒184という好タイムでトップへ。チェッカー目前にロッテラーともう1台が上回ったが小林は3番手。

 このセッションでは、全19台中17台が1秒位内に入るという、相変わらずの僅差となった。中嶋一貴の代役として、今回いきなりの参戦となった大嶋はセッティングに苦しむと共にタイヤを温めきってのアタックが出来ず、19番手でQ1敗退。国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)も苦戦し16番手でQ2進出はならなかった。

 Q2(7分間)もセッション開始と共に全車コースイン。Q1を11番手で通過した中山雄一(KCMG)は、今大会より変更したパドルクラッチの設定で苦戦し、ピットロードでの発進時に2度にわたってエンジンストール。これにより大きく後れを取ってアタックに入ることとなってしまった。

 残り2分を切り、各車がアタックに入り始めたタイミングで、遅れを取り戻すべくペースを上げていた中山が、パイパーコーナーの先でスピンし、コース中央にストップ。セッションは赤旗中断となり、残り2分半での再開となった。

 Q2再開後のセッションは、アウトラップ直後、1周アタックとなったが、めまぐるしく順位が入れ替わる展開の中、アンドレア・カルダレッリ(LENOVO TEAM IMPUL)は僅か100分の3秒及ばず10番手。ロッテラーは1コーナー進入でミス。これを取り戻すべく懸命のアタックを続けたがタイムアップはならず、13番手でまさかのQ2敗退となってしまった。赤旗中断の原因となった中山が14番手グリッドとなった。

 トップ8グリッドを決定するQ3も7分間のセッション。ジェームス・ロシター(KONDO RACING)を先頭に、やや間隔を開けて各車コースへ。ほとんどの車両がアウトラップの翌周ももう1周タイヤを温めるのに対し、アウトラップ翌周にアタックしたジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(LENOVO TEAM IMPUL)が1分13秒173と好タイムでトップへ。これを翌周、小林が13秒0台に入れて上回りトップへ。

 しかし、その直後に石浦が0.6秒も小林のタイムを上回る、1分12秒429という驚速のタイムをマーク。ライバル勢も12秒台に入れてきたが、石浦のタイムは上回れず。2008年にフォーミュラ・ニッポンにデビューし、フル参戦6シーズン目(2012、13は出場せず)の石浦が、得意の岡山でコースレコードを更新し、トップフォーミュラで初めてのポールポジションを獲得した。

 小林は2列目4番手。オリベイラが5番手、平川が6番手、ロシターが7番手、デビュー2戦目にしてQ3進出を果たしたウィリアム・ブラー(KONDO RACING)が8番手から決勝をスタートすることとなった。

決勝

 24日(日)は好天に見舞われ、決勝レースがスタートする頃には、気温は28度、路面温度44度と、まるで真夏のようなコンディションで、午後3時に68周の決勝レースへのフォーメーションラップが開始された。

 スタートでは、ポールポジションの石浦がまずまずのスタートでポジションを守る一方、5番手グリッドのオリベイラが抜群のダッシュを決め、石浦に続く2位に浮上。4番手グリッドの小林も前の2台をかわし、オリベイラに次ぐ3位と、トヨタ勢がトップ3を占めてのスタートとなった。

 その後方では、隊列が大きく広がりながら1コーナーへとなだれ込んでいく中で、14番手スタートの中山と、16番手スタートの国本が接触。共にコースアウトを喫し、ここでレースを終えることとなってしまった。

 首位の石浦は序盤から快調に後続を引き離し、4周目には2位との差は2.3秒ほどに。その後も2秒以上の差をキープしながら周回を重ねていった。

 10番手グリッドからスタートで14位までポジションを落としていたカルダレッリが、15周終了時点で早くもピットへ。

 19周目には、7番手スタートから6位を走行していたロシターが突然スローダウン。電装系のトラブルにより、無念の戦線離脱となった。

 20周を過ぎると、後続勢から徐々にピットインする車両が現れ、31周目には8位走行中のロッテラー、35周目に6位走行中の平川がピットへ。しかし、共にタイヤ4本交換後のアウトラップで、先にピットインしていたライバル勢の先行を許し、ポジションを落とすこととなってしまった。

 石浦、オリベイラ、小林のトップ3はピットを引っ張り、38周目終了時点でオリベイラと小林が同時にピットイン。ここで、オリベイラは停止位置を若干オーバー。それも影響し、左前タイヤの交換でやや手間取りタイムロス。このピットで小林がオリベイラの前に出た。

 小林、オリベイラ共にタイヤを4本交換し、まだ温まりきっていないアウトラップで、先にピットインしていたライバル勢が猛追。オリベイラは2台にかわされたが、小林は冷えたタイヤながら絶妙なコントロールでこの追撃を凌ぎ、実質2位のポジションを守り切った。

 翌周に首位の石浦がピットへ。こちらもタイヤを4本交換したが、アウトラップでも首位のポジションをキープ。

 タイヤの温まったオリベイラは、再三にわたって前を行くライバルを攻めたが、逆転には至らず。

 観客の注目は、初優勝へ向け首位を逃げる石浦と、それを追う小林との一騎打ちに注がれることとなった。

 ピット終了後、1.5秒ほどあった2台の差は、翌々周には1秒を切るまでに。更に追い上げる小林は、47周目にはその差を0.661秒まで詰めると、オーバーテイクシステムを連続使用して石浦との差を詰め、ヘアピンで鋭いブレーキングからインをついたが、石浦はこれを阻止。激しい首位争いが繰り広げられた。

 後方では、9位のロッテラー、10位の平川が前を行く2台を猛追。55周目、再三アタックしていたロッテラーがヘアピンで並びかけ、続くコーナーでパス。このバトルでコースオフしたライバルを平川もかわし、それぞれ8位、9位へと順位を上げた。

 首位争いの石浦と小林は、1秒前後のタイム差のまま終盤戦へ。オーバーテイクシステムの残り回数で有利な石浦は、残り3周から、パッシングポイントであるバックストレートでオーバーテイクシステムを使用するなど、懸命な走りで小林との差を保った。

 僅かなミスでも順位が入れ替わる、僅差での息をのむような周回が続いたが、最後までペースを保って走り抜いた石浦が、小林を抑えトップでチェッカー。トップフォーミュラ6シーズン目の石浦が、ポール・トゥ・ウィンで念願の初優勝を果たした。

 最後まで石浦を追い詰めた小林が2位。国内レース復帰初年度、スーパーフォーミュラ2戦目にして、初表彰台獲得となった。

 オリベイラが5位、早めのピットが効を奏し、タイヤ無交換で走り切ったカルダレッリが6位。ロッテラーは8位、平川が9位フィニッシュとなった。

 今大会の結果、ポイントランキングでも石浦が首位に立った。

 TOYOTA GAZOO Racingへのご声援、ありがとうございました。次戦も応援の程よろしくお願いいたします。

P.MU/CERUMO・INGING 38号車 ドライバー 石浦宏明:
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トップフォーミュラ初勝利を飾った石浦宏明
(P.MU/CERUMO・INGING #38)
 スタートはいつも良いので、落ち着いて行けば1コーナーは取れると思っていた。1周目を終えてみれば少し後続と離れていたので、楽に逃げられるのかと思ったが、甘くはなかった。徐々に詰められ、可夢偉選手も見えたのでレース後半で苦しくなるという予想はしていた。ピット作業は落ち着いて丁寧にやってもらい、無事トップでコースに復帰出来たが、可夢偉選手がすごい勢いで追い上げてきた。しかし自分のペースを守りながら、他のセクターで勝負をしても苦しいので、バックストレートエンドに絞ってそこだけ守れれば良いと思って落ち着いて走っていたつもりだった。しかし、いっぱいいっぱいだったようで、ドリンクも全く飲んでいなかった。ラップ数を数えながらミスをしないように最後まで走っていたら、優勝出来たという感じだ。初優勝まで本当に長かった。インターバルもあったが、このような機会を与えてくれた関係者の皆様、そして良い車両を作ってくれたチームに感謝している。この勝利で良い恩返しが出来たと思う。これからもこのような位置で戦えるよう頑張りたい。
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 8号車 ドライバー 小林可夢偉:
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スーパーフォーミュラ2戦目にして2位表彰台を獲得した小林可夢偉
(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #8)
 ペース的にチャンスはあったかも知れないが、抜きにくいコースレイアウトで2位という結果は、スタートのポジションから考えれば満足しなくてはならないだろう。途中ぽつぽつ来て雨が降るかと思ったが結局降ることはなく、全体的にレースを楽しむことが出来、悪くないレースだった。予選が思いのほか上手く行かず、このカテゴリーは、予選のポジションが重要だということを実感させられた。開幕戦ではレースペースも良くなかったが、今回はペースも良かったので、次戦第3戦からはポジティブに挑めると思う。
トヨタモータースポーツニュース


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