SUPER GT

SGT:第7戦チャーン P.MU EXE ASTON MARTIN、初めてのタイラウンド開催で6位入賞、ポイントも獲得して鈴鹿の雪辱を晴らす。Nanin選手も大活躍で、母国タイに錦を飾る (Arnage)

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 駆動系のトラブルによりリタイヤを喫した鈴鹿1000kmレースの後、駆動系パーツの交換と全体のメンテナンスを一週間足らずで終わらせて、チームは慌ただしくタイに向けて車両を送り出した。

 SUPER GT第7戦が開催されるチャーン・インターナショナル・サーキットを擁するブリラムは、バンコクからカンボジアとの国境付近まで約7時間車を走らせたところにある小都市。タイでの初開催となるSUPER GTは、同時にサーキットのこけら落としのレースともなり、内外からの注目が集まっていた。

 Arnage RacingのマシンAston Matrinは、通常の国内戦のエントリー名称から「P.MU Exe Aston Martin」とエントリー名称を変え、カラーリングもタイラウンドの特別仕様に衣替えした。またP.MU Exe Aston Martinのドライバーも、レギュラーの加納選手に加え、富士、鈴鹿と共に戦ってきたタイの盟友Nanin Indra-Payoong選手の二人とタイ仕様にチェンジ。そして、安岡選手が心強いアドバイザーとして、両選手のドライビングをサポートすることになった。

October 3rd Practice
  • 天候:晴れ 路面状況:ドライ
  • 気温:開始時34℃→終了時34℃ / 路面温度:開始時54℃→終了時45℃
  • 入場者:13,426人

gt-r7-arnage-03.jpg  この日、初走行となるチャーン・インターナショナル・サーキットのコースに馴染むため、通常より一日多く走行日が設けられていた。思ったより気温は高くなかったが、日差しが痛いほど強く照りつける中、金曜日の15時より慣熟走行が行われた。

gt-r7-arnage-04.jpg  Arnage Racingは加納選手からNanin選手の順でコースに車両を送り出し、初めてのサーキットでの車両の感触とコースの確認をした。車両の調子は良く、両選手ともに順調に慣熟走行を進めたが、路面の状況がまだまだ出来上がらず、ゴムの乗らない路面がおろし金のようにタイヤをささくれさせて壊してしまうため、チームは途中で一旦走行を中断した。20分ほどの小休止ののち、路面が少し改善されたタイミングを見計らって、再び加納選手がコースイン、セッティングの確認をするところまで走りこむことができた。さらにNanin選手もセッティングの確認をし、その後タイヤを新しくしてコースに進み出たNanin選手が、1'36.163をレコード。10位で金曜日の練習走行を終えることができた。

October 4th Qualify
  • 天候:晴れ 路面状況:ドライ
  • 気温:Q1開始時 33℃→Q2終了時33℃ / 路面温度:Q1開始時 48℃→Q2終了時47℃
  • 入場者:42,597人

gt-r7-arnage-06.jpg  前日の十分な慣熟走行と安岡選手の的確で熱心なサポートのおかげで、加納・Nanin両選手共に初めてのコースの感触と車両の感覚を存分に確かめて予選日を迎えていた。しかし、思いのほか順調な車両の走行に対し、チームが準備したガソリンの残量に不安が出始めていた。(*海外戦では事前にガソリンを注文するため限れた量のガソリンしか使用することができない)

 このためチームは、10時からの練習走行開始後、20分ほど車両を待機させることにして、路面の出来上がりの状況を見計らって加納、Nanin選手をコースに出した。金曜日に続き快晴でスコールの心配もなく、セットアップを行いながら25周ほどを走行、21位のポジションながら両選手共にそれぞれ順調に仕上がっている様子を見せた。

gt-r7-arnage-05.jpg  午後になって若干雲が増えたものの、相変わらず南国のまぶしい太陽が照りつける中、いよいよ15時から予選がスタートした。まず、Q1を担当するのは地元メディアの注目の的、Nanin Indra-Payoong選手。これまでの300クラスの予選同様、このタイでも僅差での熾烈な競争が繰り広げられ、Q1は1分35秒台に、何と16台のマシンがひしめき合う激しいバトルとなった。Nanin選手は15分間のQ1タイムいっぱいまで粘り、最後の最後8Lap目で1’35.656を叩き出すファイトを見せて、前戦の鈴鹿に続いて見事Q2進出を果たした。

 続いて15時40分から行われたQ2で、今度は加納選手が並み居る強豪の中最後までアタックを続け、最後のラップで1’36.201をレコード。最終的には11位という好ポジションで翌日の決勝を戦うこととなった。P.MU Exe Aston Martinの大活躍に、Nanin選手を応援する母国のスポンサーやファンはお祭り騒ぎ。ピット内は大いに沸いた。

  • P1 #99  i MOBILE AAS  V.Inthraphuvasak / A.インペラトーリ (1'33.507)
  • P2 #3  B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹 / ルーカス・オルドネス (1'34.268)
  • P3 # 0  Studie BMW Z4 ヨルグ・ミューラー / 荒 聖治(1'34.417)
  • P11 #50 P.MU Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / ナニン・インドラパユーング (1'36.201 )
October 5th Race
  • 天候:晴れ 路面状況:ドライ
  • 気温:開始時34℃→33℃→終了時31℃ / 路面温度:開始時52℃→46℃→終了時41℃
  • 入場者:75,168

gt-r7-arnage-08.jpg  決勝日。前日よりもさらに雲が多く、空模様は薄曇り。スコールの予報も出る中、チャーン・インターナショナル・サーキットには75,000人を超える観客が詰めかけて、初めて開催されるSUPER GTを熱心に見守っている。

 予想以上に順調な走行を続けて決勝日の朝を迎えたArnage Racingだったが、レースに向けての燃料の残量のほうも予想以上に厳しい状態が続いていた。このままではレースもままならないと踏んだチームは、午前中9時50分から30分間のフリー走行の時間を8Lapだけの走行に留めて車両のチェックのみ行い、そのあとのサファリの時間にも走行を最小限にとどめた。

gt-r7-arnage-07.jpg  そんなチームの窮状を助けてくれたのがピットを共用していた500クラスのチームTOM’Sと、300クラスのチームGAINER。それぞれのチームから貴重なガソリンを譲っていただき、Arnage Racingはようやくレースを無事に最後まで戦えるだけの燃料を確保し、いよいよ迫る初めてのタイラウンド決勝の時を待った。

gt-r7-arnage-09.jpg  定刻15時、心配されたスコールもなくドライコンディションのまま、いよいよ300kmのレースが始まった。スタートドライバーとなったのは、母国での初めてのSUPER GT開催に花を添えたいNanin Indra-Payoong選手。Nanin選手は、スタート直後の混戦に14位までポジションを落とすも、すぐに巻き返して順調に走行を始め、9Lap目には11位に返り咲いた。バランスと安定感に優れるAston Martin Vantage GT3の特性も手伝って、Nanin選手は、3度目のSUPER GT参戦とは思えぬ安定した走りを続ける。そして、14Lapで10位、19Lapで9位と、前半戦でのポジションアップを果たした。

gt-r7-arnage-11.jpg  チームは、ピット周りの500クラス車両が全車ピットインを済ませたタイミングを見計らって、37Lap目に300クラスでは最後から二番目でNanin選手をピットに呼び戻し、加納選手にバトンが渡された。給油のみの素早いピットインを済ませて、加納選手がコースに戻った時には、ポジションは6位。その後、加納選手は41Lapで4号車にかわされて順位を7位に落とすも、前方車両のピットインですぐに6位に戻り、並み居る強豪からのプレッシャーの中、順調に周回を重ねた。特に路面状況が30Lap前後から完全なものとなり、どの車両もラップタイムを上げてくる中、加納選手も素晴らしいタイムアップを見せて、1分35秒台を中心に走行して順位をキープ。54Lap目にはArnage Racingでのタイラウンドベストである1’35.244をレコードして、そのまま60周目、6位でのチェッカーを受けることができた。

 Arnage Racingにとって今季三度目の入賞となり、またNanin選手を見守る現地のスポンサーやファンにとっても何よりの結果となった。

  • P1#3  B-MAX NDDP GT-R 星野 一樹 / ルーカス・オルドネス
  • P2 #7   Studie BMW Z4 ヨルグ・ミューラー / 荒 聖治
  • P3#4  グッドスマイル 初音ミク Z4 谷口 信輝 / 片岡 龍也
  • P6 #50 P.MU Exe ASTON MARTIN 加納政樹 / ナニン・インドラパユーング

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 第8戦はツインリンクもてぎ(栃木県)11/15~16にて於いて開催されます。いよいよ次戦は最終戦となりますが、最後まで応援よろしくお願いします!

Arnage Racing 2014 SUPER: GT Race report


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