SUPER FORMULA

SF:第3戦富士 終盤の降雨による大波乱。中嶋一貴が今季初勝利。平川亮が2位、国本雄資が3位で共にシリーズ戦初表彰台獲得

 7月12日(土)、13日(日)にかけて富士スピードウェイでスーパーフォーミュラの第3戦が開催された。終盤突然の降雨による大荒れの展開となる中、レインタイヤに交換した中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)が逆転で今季初勝利。平川 亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)、国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が2位、3位で続き、共に国内トップフォーミュラシリーズ戦での初表彰台を獲得した。

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今季初勝利の中嶋一貴(中央)、初表彰台となった
2位の平川亮(左)と3位の国本雄資(右)

 スーパーフォーミュラの第3戦が7月12日(土)、13日(日)の両日、静岡県の富士スピードウェイで行われた。

 第2戦から約2ヶ月のインターバルを置いての開催となる第3戦は、第2戦と同じ富士での開催。ただし、第2戦はスプリントの2レース制だったが、今大会は通常通りの1レース制、ピット義務ありの250kmレースとして行われた。

 同じ富士で2ヶ月前に行われた第2戦では、レース1はジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL)、レース2はアンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM'S)がポール・トゥ・ウィン。また、中嶋 一貴(PETRONAS TEAM TOM'S)も2位/3位に入って連続表彰台と、元シリーズチャンピオンの有力ドライバーが確実に好成績を挙げている。

 しかし、開幕戦勝者であり、今大会開催時点でのポイントリーダーであるロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)は、6月のル・マン24時間レースでのクラッシュにより、大事を取って今大会を欠場することに。このため、同チームの8号車は、昨年のスーパーフォーミュラでもWECとの重複時にデュバルの代役を勤めたアンドレア・カルダレッリがドライブすることとなった。

◆予選◆

 予選前日、11日(金)には1時間のテスト走行が設けられ、中嶋一貴がトップタイムをマーク。12日(土)の予選前に行われたフリー走行でも中嶋一貴はトップタイムを叩き出し、今季初ポールポジション獲得への期待が高まった。

 フリー走行の時点では台風一過の好天に恵まれていたものの、午後に入ると雲が増え、午後2時45分の予選開始時には黒い雲が空を覆う状況に。しかし、雨は落ちず、ドライコンディションでノックアウト方式の予選が行われた。

 Q1(20分)では、セッション中盤に中山 雄一(KCMG)がギアトラブルに見舞われ第13コーナー立ち上がりでストップ。これにより赤旗が出され、セッションは車両排除後、残り13分で再開された。

 トヨタ勢は好調に上位タイムを刻んでいったが、嵯峨 宏紀(TOCHIGI Le Beausset Motorsports)はQ2進出にわずか1000分の5秒及ばず、15番手。中山雄一も最後尾19番手グリッドとなった。

 Q2(7分間)では残り3分を切ったあたりから各車アタックを開始し、石浦 宏明(P.MU/CERUMO・INGING)が最初に1分23秒台に突入。これをオリベイラがかわし、トップタイム。平川 亮(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)は最後までアタックを続けたがわずかに及ばず9番手、クマール・ラム・ナレイン・カーティケヤン(Lenovo TEAM IMPUL)もトップから1秒以内のタイムながら11番手で、トヨタ勢ではこの2台がQ2敗退。

 Q3(7分間)は終盤激しいアタック合戦でタイムが塗り替えられていった。僅差でのポールポジション争いとなる中で、驚きのトップタイムをマークしたのがカルダレッリ。中嶋一貴、ロッテラーらも最後まで逆転を目指しアタックしたが届かず、カルダレッリは自身初となるスーパーフォーミュラでのポールポジションを獲得した。

 2番手はわずか0.062秒差のオリベイラ、このオリベイラに1000分の1秒届かなかったジェームス・ロシター(KONDO RACING)が3番手。4番手中嶋一貴も0.084秒差と、トップ4台は0.1秒以内という接戦で2列目までのグリッドが決定した。

 5番手が石浦、6番手に今大会が日本のトップフォーミュラ100戦目となるロッテラーが続き、トヨタエンジン搭載車はトップ6、予選3列目までのグリッドを独占。富士を得意とし、Q3まで進出した国本 雄資(P.MU/CERUMO・INGING)はパドルシフトの作動不良に見舞われアタック出来ず8番手。国本を除く上位7台全車が1分23秒台に入れるハイレベルな予選Q3となった。

◆決勝◆

 併催のF3が終わった後、何度か降雨があり、レース直前のウォームアップ走行はウェット宣言が出された。スタート直前にも雨はぱらついたが、路面を濡らすまでには至らず、ほぼドライコンディション、全車スリックタイヤのまま、午後2時に55周で争われる決勝レースのスタートが切られた。

 2番手グリッドのオリベイラが好スタートを切り、ポールポジションのカルダレッリをパス。ダンロップコーナーではロシターがカルダレッリをかわし2位へとポジションアップを果たした。ロッテラーはスタートをミスし、いくつか順位を落としたものの、1周目の序盤、混乱状態の中で次々と前走車をパスし、5位へと浮上した。

 スタートで4位をキープした中嶋一貴は2周目の1コーナー進入で前を行くカルダレッリをかわそうとしたが、オーバーラン。ロッテラーと石浦にかわされ、6位へと後退。

 首位を行くオリベイラは序盤からハイペースで後続を引き離し、2位以降はロシター、カルダレッリ、ロッテラー、石浦、中嶋一貴、平川という順位で上位勢が一定の間隔を保ったまま周回が重ねられていった。

 レース折り返しとなる28周目に石浦が上位勢の先陣を切ってピットに向かうと、翌周から次々に各車ピットイン。3位を争うロッテラーとカルダレッリは31周目に同時ピットイン。ピット作業のわずかな差で、ロッテラーが前に出た。

 翌32周目に、首位を争っていたオリベイラとロシターが同時にピットへ向かい、全車がピット作業を終えた後も、オリベイラが首位をキープ。ピットアウト後のオリベイラは更にペースを上げ、41周目には2位との差は8秒以上に。この日33歳の誕生日を迎えた自身のバースデーウィンへ向け、圧倒的な独走状態となった。

 後半戦もオリベイラ、ロシター、ロッテラー、カルダレッリと外国人ドライバーがトップ4を占め、各車一定の間隔を空けての膠着状態となった。しかし、残りが10周ほどになったところで南西方向から流れてきた雨雲が路面を濡らし始めると、雨脚は一気に強さを増し、あっという間にコースはフルウェットに。

 全車濡れた路面でのスリックでの走行となる中、4位走行中のカルダレッリが足をすくわれスピンアウトし、無念の戦線離脱。

 一方で、このようなコンディションを得意とするロッテラーが猛追。46周目にロシターをかわし2位に浮上すると、首位オリベイラとの差をみるみるうちに詰めていった。

 6秒以上あった差が2秒台まで詰まった49周目、ヘアピン進入で嵯峨がクラッシュ。この嵯峨を周回遅れにしようかという位置にいたオリベイラの目の前にパーツが飛び散り、避けようとしたオリベイラは痛恨のスピン。コース中央で逆向きに停止したオリベイラは、エンジンが止まってしまったため、圧倒的な速さで支配していた今レースを無念のリタイアで終えることとなってしまった。

 コース上に止まった車両を排除するため、セーフティカーが導入された。このセーフティカー導入のタイミングで、3位の平川、4位の中嶋一貴、6位の国本がレインタイヤへ交換するためにピットへ。セーフティカー導入前に唯一レインへの交換ギャンブルに出た石浦がこれに続き、スリックのままコース上に残ったロッテラー、ロシター、カーティケヤンの後ろに、中嶋一貴、平川、国本、石浦がレインタイヤで続き、残り3周で再スタートが切られた。

 視界が奪われるほどの水煙を巻き上げながらの再スタートで、まず中嶋一貴がカーティケヤンとロシターをパス。中嶋一貴はヘアピン進入でロッテラーをかわすも、コースアウト。ここで平川が首位に立った。

 平川が参戦2年目にして初優勝なるかと思われたが、残り2周の1コーナー進入で平川は止まりきれずコースオフ。まだ温まりきっていないレインタイヤで、何度もコースオフを喫しながらも平川に次ぐ2位につけていた中嶋一貴が再び首位に立った。

 平川はあきらめず、ファイナルラップも最後まで中嶋一貴を追ったが、わずかに及ばず、中嶋一貴が今季初勝利。平川が2位、国本が3位で続き、共に国内トップフォーミュラでの初表彰台(国本はシリーズ戦初)を獲得することとなった。4位には石浦。ロッテラーは6位、カーティケヤンが7位、ロシターが8位でポイントを獲得した。

 今大会の結果、ドライバーズランキングでは中嶋一貴が首位に浮上。ロッテラーが2位、デュバル、平川、オリベイラ、石浦、ロシター、国本と続き、トップ8とはトヨタ勢が占めている。

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終盤のウェット戦で逆転、今季初勝利を挙げた中嶋一貴
(PETRONAS TEAM TOM'S #37)
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惜しくも勝利は逃したが初表彰台獲得の平川亮
(KYGNUS SUNOCO Team LeMans #7)
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3位に入り、シリーズ戦初表彰台を獲得した国本雄資
(P.MU/CERUMO・INGING #39)
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残り7周まで圧倒的な速さで独走も無念のリタイアに終わった
JP・オリベイラ(Lenovo TEAM IMPUL #19)


PETRONAS TEAM TOM'S 37号車 ドライバー 中嶋 一貴:
こんなこともたまにはあると思うようなレースだった。終盤は、やや見苦しい内容となってしまったが、結果として勝てたのは大きいし、嬉しい。セーフティカーが入った周、雨脚が強くなりタイヤを交換するか悩んだが、チームの判断でレインに交換した。勝負をかけるなら早いうちが良いだろうと思っていたが、タイヤ交換をして隊列に戻ったら、前が全員スリックタイヤだったので、リスタートすれば勝ち目はあると思った。若干気持ちが空回りしてしまい、オーバーランをしてしまったので、嬉しいのと恥ずかしいのが半分半分の気持ちだ。今回は、予選も含め課題のあるレースだったので、シーズン後半に向けて次から気分を新たに、こつこつとポイントを積み重ねて行きたい。
KYGNUS SUNOCO Team LeMans 7号車 ドライバー  平川 亮:
勝てるレースだと思ったので悔しい。レースの序盤は、作戦的にも辛い状況で走っていた。ルーティンのピットインでタイヤを交換してからは、(中嶋)一貴さんに追いつこうと頑張った。そのうち雨が降り、これはチャンスだと思ったが、しばらくタイヤ交換については悩んだ。最終的にチームの判断で交換することにしたが、それが功を奏したので、チームには感謝している。最後オーバーランをしてしまい勝ちを逃してしまったので、この悔しさをバネに次戦も頑張りたい。
P.MU/CERUMO・INGING 39号車 ドライバー 国本 雄資:
予選ではクルマにトラブルがあり、満足に走ることが出来なかったが、決勝は問題なくスタートが切れた。今日のレースは非常にタフだった。スタートで順位を落としてしまったが、あまりペースが上がらず、ドライのままだったらポイントを獲れたらラッキーな状況だった。雨が降りセーフティカーが入った時に、チームの判断でレインタイヤに交換した。雨で路面はかなり危険な状況だったが、どうにか走り切り、表彰台も獲得出来て良かった。
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