1994年 全日本F3選手権シリーズ第2戦 決勝レポート ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ポールポジションの中野信治が、スタートの遅れを見事に挽回し、優勝を飾っ た。 朝から4月とは思えない曇り空、風も冷たくF3のスタート前の気温は7度。 15時20分、タイムスケジュールより10分遅れでフォーメーションラップが開 始された。各マシンとも、リアウィングを低い位置にマウントする「富士スペ シャル」のセッティングである。 15時24分、シグナルがグリーンに変わり、スタートが切られた。ここで、 #13中野信治が出遅れてしまい、5位にまで順位を下げる。1コーナーにトッ プで飛び込んだのは#3リチャード・ディーン。以下、#8 高木 虎之介、 #100 羽根 幸浩と続く。 #8高木は早くも、#3ディーンを捉えようと揺さぶりをかける。 2周目、#100羽根が1コーナー手前で#8高木を抜いて2位に。#13中 野は4位に上がる。その後ろを#11田嶋 栄一、#16影山 正美が追いかける。 開幕戦のウィナー、#33道上 龍は遅れてしまい、セカンドグループに飲み 込まれている。 3周目、ストレートで#100羽根がトップに立つが、1コーナーの飛び込 みで、#3ディーンがアウトから被せて、再びトップに立つ。#13中野は#8 高木を抜いて3位に浮上。 #100羽根がヘアピンでスピン、再スタートするも大きく順位を落として、 優勝戦線から脱落する。 4周目、2位争いが激しさを増し、1コーナーで6台が一団となって飛び込 む。1コーナーの通過順位は、#3ディーン、#13中野、#11田嶋、#7ミハ エル・クルム、#17ラッセル・インガル、#16影山、#8高木。 #13中野はディーンに接近をはじめる。 5周目、#3ディーンと#13中野の差が0.8秒にまで詰まる。 6周目、#13中野が#3ディーンを抜きトップ。少しづつ、2位との差を広 げはじめる。2位の#3ディーンと3位の#11田嶋の差は、2秒ほどに開いて いる。1コーナーで#16影山が#17インガルを交わそうとするが、押さえこま れる。 7周目、3位を争って、5台が1コーナーに飛び込む。#16影山がインから 隙をうかがうが押さえられる。この周回は#17インガルが3位を取る。以下、 #11田嶋、#7クルム、#16影山、#8高木の順。 8周目、トップの#13中野はリードを1秒35に広げる。 9周目、3位は#11田嶋と#17インガルが1コーナーを並んでクリア。サン トリーコーナーは、#11田嶋が制する。 10周目、#16影山が1コーナーでやや強引にインに飛び込み、#7クルム、 #8高木を交わして5位へ。 12周目、いったん間隔が開いたとおもわれた3位グループが再び接近をはじ める。インに#17インガルがつけて、#11田嶋をパス。5位争いの#7クルム と#16影山が、1コーナーを並走する。 13周目、#13中野は2位に6秒もの大差をつけて独走状態。3位争いは、#11 田嶋が1コーナーで大外刈りを決めて、#17インガルをパス。5位#7クルム、 6位#16影山。 3位グループからやや遅れた8位争いは、#62早田 岳史、#64田中 哲也、 #33道上によって争われている。 14~16周目、#11田嶋と#17インガルは毎週順位を入れ替えながら、バトル を続けている。 17周目、#17インガルが突如スロー走行。3位#11田嶋、4位#7クルム、 5位#16影山、6位#8高木、7位#64田中、8位#62早田、9位#33道上の オーダー。 #73川本 篤が1コーナー出口でストップし、1コーナーにイエローフラッ グが提示される。 18周目、1コーナー手前で、#16影山が#7クルムをパスして4位。ヘアピ ンでは、#8高木が#7クルムに追いつき、並走状態となるが抜くことは出来 ない。 20周目、1コーナーのイエローフラッグが解除される。 1位#13中野と2位#3ディーンは、それぞれ11秒以上の差をつけて、不動 の地位を築いている。 #16影山がわずかな隙を突いて、#11田嶋を抜くが、#11田嶋も譲らずAコ ーナーで3位を奪いかえす。 ファイナルラップ、1コーナーで#7クルムが思い切ったブレーキングを行 い、#11田嶋と#16影山を一気にパス。#16影山も#11田嶋を交わすが、また もAコーナーまでに抜きかえされる。 #33道上は#64田中を抜いて7位へ。 そしてフィニッシュ。 最後までペースを緩めることなく走り切った#13中野 信治が堂々の優勝。 以下、#3リチャード・ディーン、#7ミハエル・クルム、#11田嶋 栄一、 #16影山 正美、#8高木 虎之介のオーダーとなった。 F3デビュー以来、その才能を認められながらも、なぜか優勝を得ることが 出来なかった中野 信治。今回の勝利によって、そのプレッシャーから開放さ れた彼は、今シーズンの台風の目となるだろう。 そして、インターF3を思わせるバトルを繰り広げたF3ボーイズ達。今シー ズンのF3からは、目が離せなくなることは間違いない。 レポート/進藤 泰昭(GEA00555)