●インターナショナル鈴鹿１０００ｋｍレース経過
◆後半で逆転、また逆転！
　真夏の耐久、鈴鹿1000kmレースは、171周レースの折り返し点を過ぎたあた
りから、それまで安定して走っていたNo.27・フロムＡニッサンR90CKにも異変
が出始めた。
　109周目、その直前からペースが落ち始めていたフロムＡニッサンは、左ド
アのウインドーシールドがはずれかかっていることが判明し、ついにピットイ
ン。ガムテープで固定して再スタートするものの、117周目には再び同じ理由
でピットイン。ウインドシールドのテーピングをやり直すと同時に、フロント
カウルを夜間用のものに交換する。
　このピットインで２周近くあった２位No.25・伊太利屋ニッサンR92CPとの差
は１周に縮まった。
　さらに132周目、フロムＡニッサンは、今度は右側ウインドーシールドがは
ずれるトラブルに見舞われる。この補修のために緊急ピットインしたフロムＡ
ニッサンは、１分37秒を作業に費やして再スタート。１、２位の差は21.874秒
まで縮まった。
　だが、140周目には、猛追をかけていた伊太利屋ニッサンがＳ字でスピン。
再スタートしたものの、その差は再び１周近くに広がった。
　ところがこのままレースは終わらない。145周目を終了し、最後のルーチン
ピットワークに入ってきたフロムＡニッサンは、ドライバーがフレンツェンか
らマルティニに交代。右側ドアのウインドシールドをテーピングして、最後ま
で走り抜くかまえだが、左前タイヤがはずれず思わぬタイムロス。タイヤがや
っとはずれ、新しいタイヤを装着してコースに復帰したときには、伊太利屋ニ
ッサンはコントロールをとっくに過ぎ去り、デグナーへ。
　スタートからずっと確保していたトップの座を失なったフロムＡニッサンと、
トップ伊太利屋ニッサンの差は29秒。思わぬトラブルにマルティニが切れた走
りを見せ、147周目には１分55秒台のベストラップを叩き出し、トップとの差
を一気に24秒まで縮める。
　マルティニは、その後も１分56秒台を連発。１周につき１秒以上もタイムを
縮め、追い上げにかかる。
　伊太利屋ニッサンは、まだ１回の燃料補給を残しており、このまま逃げ切れ
るかどうかは微妙なところ。
　しかし、151周目、残り20周になって再び逆転が。フロムＡニッサンがデグ
ナーあたりでスピンした模様でスローダウン。トップの伊太利屋ニッサンのと
の差は40秒に広がる。
　再びペースを上げたフロムＡニッサンだが、154周目、ストレートを通過し
たときには、また、右側ウインドーシールドがはずれており、これにはマルテ
ィニもたまらず、次の周にピットイン。クルーはウインドーシールドを再びテ
ーピングしてコースに送り出すが、これで伊太利屋ニッサンとの差は１周に開
く。
　３位は、スタートからずっとコンスタントにアキュラ・スパイス。
　すでに鈴鹿の空は暗くなり、全車ライトを点灯しているが、フロムＡニッサ
ンは、片側のライトしか点つかずに、走る姿も苦しそう。
　残り10周を切り、伊太利屋ニッサンは、２分04-06秒台で周回を重ねるが、
これは最後まで燃料補給なしで走り切る作戦か。コースは荒れており、ライン
をはずすと即スピンしてしまうと、多くのドライバーがコメントしている。
　フロムＡニッサンは２分11秒台の周回。３位のアキュラ・スパイスよりも遅
いペースとなっている。
　最終ラップに入ってもトップは伊太利屋ニッサン。ステアリングを握るのは
和田孝夫。マルティニのドライブする２番手のフロムＡニッサンは、ペースダ
ウンの状態。２周遅れでタイムも２分38秒と大きくドロップ。
　スタンドで激しくカメラのストロボが光る中、伊太利屋ニッサンがトップで
チェッカーを受ける。今年最初で最後のＣカーの勇姿だ。２位には傷つきなが
らの走行でフロムＡニッサン。
　３位には、時計のようにコンスタントに走ったアキュラＮＳＸ・スパイスが
走った。アキュラ・スパイスのドライバー、パーカー・ジョンストンは、マシ
ンの上に立ち上がり、両手を突き上げて歓喜の雄叫び。いかにもアメリカンら
しい喜びのパフォーマンス。
　ウィンニングラップを終了し、今回は、完走した全車がコース上にストップ。
メインスタンド前で、止まったマシンにメカニックが駆け寄り、完走を祝う姿
が見られる。
　ライトに輝く表彰台で総合３位までの選手がシャンパンファイトをすませ、
続いてクラス別の表彰だ。
　宵闇の中にストロボの光が瞬き、夏の終わりを告げる花火が鈴鹿の夜空に大
輪の花を咲かせた。
　　すがやみつる(SDI00104)/RIJ/鈴鹿