International F3 League

富士F3出場のドライバーズプロフィール(2)

[Continued from #467]
●マルコ・ヴェルナー(ドイツ/25歳)
 1985年にドイツFF1600でデビュー。その後ドイツ・オペル・ロー
タス・チャレンジやGMロータス・ユーロ・シリーズなどを経て1989年途
中からドイツF3選手権へ。デビュー・レースのホッケンハイムで5位に入っ
た。昨年は同選手権初のフル出場を果たす。
 今シーズンは11戦中で優勝1回(第8戦)を含め8回入賞を果たし、シリー
ズ・チャンピオンに輝いたT.クリステンセンを最後の最後まで苦しめた。だ
が、あともう一歩の所で息絶えてしまい、結局シリーズ2位でシーズンを終え
た。また、彼もF1モナコGP前座のF3レースに参戦し、11位でレースを
フィニッシュしている。
 なお、彼は最近ドイツF3で増えてきているオペル・エンジンのユーザーで、
このインターナショナルF3リーグにもオペル・エンジンを使って戦う。日本
では見ることのできないオペル・エンジンにも注目してみたい。
●ヨルグ・ミューラー(ドイツ/22歳)
 カートから1988年ドイツFF1600に。翌89年にはドイツ・オペル・
ロータス・チャレンジのチャンピオンとなる。そして、1990年にドイツF3
選手権へとステップアップ。この年2位2回でシリーズ5位となる。
 今シーズンも優勝こそなかったものの、2位2回など表彰台を数回経験し、
結局シリーズ4位となった。また、彼は今年のF1モナコGP前座のF3レー
スで他車を寄せ付けず圧勝した。なお、彼は前年のモナコF3レースでも素晴
らしいパフォーマンスを披露している。
 彼のF3デビュー・レースがトップを走りながらクラッシュ、という結果で
もわかるように、彼のドライビイングは調子がいいと滅法速いのだが、反対に
雑な面もかなり多い。たが、モナコF3が得意であったり、悪天候のレースで
は素晴らしいパフォーマンスを発揮することがある。磨けばまだまだ光る素質
の持ち主と言えよう。
●マルセル・アルバース(オランダ/24歳)
 カートを経て1989年にオランダFF1600に。翌90年にはGMロー
タス・ユーロ・シリーズにステップアップし、開幕戦のドニントンで優勝を飾
るなどしてシリーズ6位となる。
 今シーズンは名門アランドッキング・レーシングのメンバーとなり、野田英
樹のチームメイトとしてイギリスF3選手権に出場。優勝こそなかったものの
16戦中13戦でポイントを獲得してシリーズ5位となる。F3初年度として
は上出来だった。また、彼は今年の夏に母国で開催されたマールボロ・マスター
ズF3レースでも3位入賞を果たしている。
 彼がもし来シーズンもイギリスF3で走るとすれば、きっとチャンピオン争
いに加わってくるものと思われる。
●野田英樹(日本/22歳)
 日本国内でFJ1600やF3を経験した後渡英し、1989年からGMロー
タス・ユーロ・シリーズに参戦。翌90年には名門アランドッキング・レーシ
ングからイギリスF3選手権に参戦。ミカ・サロのチームメイトとなり最高位
4位を残す。
 今シーズンはアランドッキング・レーシングのエース・ドライバーに昇格。
開幕戦で2位となり順調な滑り出しを見せたかに思えたが、その後マシン・ト
ラブルなどに泣かされ思うような成績が残せず、結局シリーズ7位にとどまっ
た。
 だが、第12戦のシルバーストンでは見事優勝を飾った(日本人が海外F3
で優勝を飾ったのは桑島正美以来実に19年ぶり)。また、どんな逆境でも決
してレースを捨てない走りはイギリスでも高い評価を得ている。
 久しぶりの日本でのレース、野田が海外でどんな勉強をしてきたのか大いに
注目したい。
●ジャック・ヴィルニューブ(カナダ/20歳)
 彼の父親は、今は亡き名F1ドライバーのジル・ヴィルニューヴ。ツーリン
グ・カーなどを経て1989年からイタリアF3選手権に参戦している。
 今シーズンは予選でポール・ポジションを3回獲得して父親譲りの速さは見
せたものの、決勝レースでは優勝することができず、2位1回と3位2回とい
う成績だった。まだ荒削りな部分が多いが、速いドライバーであることは間違
いない。父親も走ったことのある富士で彼がどんなレースを見せてくれるのだ
ろうか。
●ドメニコ・スキアタレッタ(イタリア/24歳)
 FF2000を経て1988年からイタリアF3選手権にステップアップ。
また、1989年にはマカオGPで5位に入賞している。
 今シーズンはチームを移籍して第5戦と11戦で優勝を飾ったほか、2位2
回をマークしてG.ブージに次いでシリーズ2位となった。
●アンドレア・ジラルディ(イタリア/22歳)
 イタリアF3選手権には1989年から参戦しており、今シーズンはチャン
ピオン候補の筆頭に挙げられていた。だが、第3戦で優勝を飾った後は不振が
続いてしまい、結局これが響いてシリーズ3位に甘んじた。それでも、彼が見
せた後半の追い上げは素晴らしいものがあり、第9戦と最終戦では優勝を、ま
た第11戦では2位に入っている。また、F1モナコGP前座のF3レースで
は4位入賞を果たしている。
●マッシミリアーノ・アンジェレッリ(イタリア/24歳)
 彼もジラルディ同様1989年からイタリアF3に参戦しており、昨年は1勝
をマークしてR.コルチャゴ、A.ザナルディに次いでシリーズ3位となった。
だが、今シーズンはチャンピオン候補に挙げられながら期待された成績を残す
ことができず、全く不本意なシーズンとなってしまった。
 それでも、F1モナコGP前座のF3レースでは予選でフロント・ローを獲
得し、決勝でも3位につけるなど光るものを見せていた。
●フランク・ラゴルス(フランス/23歳)
 カート、FF1600、フォーミュラ・ルノーなどを経て、今シーズンから
フランスF3選手権に参戦。ルーキーながら第5戦と第8戦(フランスGP前
座)で優勝を飾り注目を集めた。その他のレースでも3位2回をマークし、結
局シリーズを4位で終えルーキーとしては上出来のシーズンとなった。
 なお、彼はフランスF3でダララ・オペルのマシンをドライブしていたが、
インターナショナルF3リーグではレイナード・アルファロメオのマシンをド
ライブする。
●イヴァン・ミューラー(フランス/22歳)
 ヨーロッパ・カート・チャンピオンやフランスフォーミュラ・ルノーを経験
して、1989年からフランスF3選手権に参戦。この年シリーズ3位となる。
翌90年は同シリーズ6位(1勝)。
 今シーズンは序盤の連続入賞と終盤の2連続2位はあるものの、中盤での低
迷が大きく響いてシリーズ7位に甘んじた。それでも、F1モナコGP前座の
F3レースでは5位入賞を果たしている。
 なお、彼はカートからF3000にまでステップアップしたキャシー・ミュー
ラーの弟。
●ジョー・ヅェラー(スイス/36歳)
 1970年代からヨーロッパ各国のF3選手権に顔を出していたが、最近は
母国スイズのF3に専念しており、昨年、今年とスイスF3選手権でチャンピ
オンに輝いた。特に今年は開幕から6連勝をマークするなど圧倒的な強さを見
せたが、スイスF3のレベルはそれほど高いわけではない。
 なお、彼も昨年のインターナショナルF3リーグを経験しており、決勝24位
という成績だった。
●ニクラス・ヨンソン(スウェーデン/24歳)
 スウェーデン・カート・チャンピオンを経て1989年からスウェーデンF3
選手権へとステップアップ。翌90年には6勝をマークし、今シーズンも4勝
をマークして2年連続でシリーズ・チャンピオンに輝いた。また、彼もこの夏
行われたマールボロ・マスターズF3レースに出場したが、トラブルのため下
位に甘んじてしまった。
 彼はスウェーデン国内だけでなくヨーロッパのF3でも速く走れる素質を持っ
ているので、今後はヨーロッパのトップF3で修行を積めばかなりの成績が残
せるのではないだろうか。
●フランコ・スカピーニ(イタリア/27歳)
 カートを経て1980年代半ばにイタリアF3選手権に参戦。84年には2勝
をマークする。1986年には国際F3000選手権にも顔を出した。最近は
SWCにランチャ・フェラーリで参戦したりしている。
●ピーター・アスルンド(スウェーデン/24歳)
 ラリーからフォーミュラへ転向し、1989年から90年にかけてGMロー
タス・ヨーロ・シリーズで活躍。今シーズンはスウェーデンF3選手権に参戦
し、最終戦で3位にくい込んだ。
-----<国内のレースで活躍している外国人ドライバー達>-----
●ヴィクトル・ロッソ(アルゼンチン/31歳)
 長い間ヨーロッパのF3を転戦した後、昨年から日本で生活しながらF3と
グループAに参戦。今シーズンは全日本F3選手権でシリーズ4位に。Tom’s
トヨタのマシンを駆使して筑波と美祢れ優勝をマークした。また、昨年のイン
ターナショナルF3リーグでは4位に入っている。
●パウロ・カルカスチ(ブラジル/27歳)
 昨年のインターナショナルF3リーグで来日し、Tom’sトヨタのF3マ
シンのデビュー・ドライバーを務めた。今シーズンはそのまま全日本F3選手
権に参戦し、優勝4回をマークして見事シリーズ・チャンピオンに輝いた。ま
た全日本F3000選手権にもシーズン途中から参戦している。
●アンソニー・レイド(イギリス/34歳)
最近は主にポルシェ962を駆ってグループCを戦っており、昨年のルマン
では3位に入賞した。今年は途中から全日本F3選手権に出場しており、菅生
では予選でグループ別トップを奪うなど多才な一面を見せている。
●マルチェロ・ブリオッティ(アルゼンチン/21歳)
 今年半ばに来日して、フォーミュラ・トヨタに参戦。いきなり優勝を飾り注
目を浴びる。F3は既に南米スダムF3選手権で経験しており、昨年は5位入
賞がある。
●ホセ・コルトヴァ(ブラジル/26歳)
 カートを経て1988年に渡英。翌89年にはFF2000でチャンピオン
に輝く。昨年はイギリスF3選手権に3レースだけ参戦したが、資金難で中断。
今年はシーズン途中から全日本F3選手権に出場している。
●ミカ・サロ(フィンランド/24歳)
 カートや国内外のFF1600を経て1989年にイギリスF3選手権に参
戦。昨年は名門アランドッキング・レーシングで野田英樹とコンビを組み、優
勝6回、ポールポジション獲得4回と素晴らしい成績を残し、同胞のM.ハッ
キネンと激しいチャンピオン争いを演じた。
 今シーズンは全日本F3000選手権に出場。思ったほどの成績が残せず苦
労した1年だったが、大雨の美祢では6位に入った。
●アンドリュー・ギルバート・スコット(イギリス/33歳)
 1981年から3年連続でイギリスFF1600のチャンピオンに輝いた後、
イギリスF3やF3000で活躍。1986年に来日して全日本F3選手権や
グループC、グループAなどで幅広く活動する。その間にもイギリスF3000
や国際F3000選手権に出場したり、レイトンハウスF1チームのテスト・
ドライバーを務めたこともある。
●エウジェニオ・ヴィスコ(イタリア/26歳)
 イタリアF3選手権で活躍した後、今年から全日本F3選手権に参戦。劣勢
のダララながら入賞3回をマーク。また、F1日本GP前座のF3レースでは
ポール・ポジションを獲得した。
●マウリシオ・サンドロ・サーラ(ブラジル/33歳)
 1986年にイギリスF3選手権でシリーズ2位となった後、活動の中心を
日本に移し、国内のトップ・カテゴリーで幅広い活動する。昨年のインターナ
ショナルF3リーグでは予選でトップと変わらないタイムをマークした。今シー
ズンはマツダの契約ドライバーとしてSWCを転戦していた。
 *浜田 貴志 (MHA01070/RIJ)*
 (プロフィールの作成にあたっては、一部インターナショナルF3リーグ・
プレス・ガイドなどを参考にさせていただきました)


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