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F3参戦レポート JULY9RACING細野智行

     ’90 RACE DE NIPP●N
       全日本F3選手権 第7戦
       参戦レースレポート No17
                      レーシングドライバー 細野 智行
 今年も、レースドニッポンの季節がやってきました。やっぱり筑波のリースドニッポ
ンというと、暑い!真夏!って印象がどうしてもします。そして、ほんの3年程前まで
は暑い中、自分のレース活動の合間に観戦していたこのレースも、昨年はF3クラスに
初めてエントリーしましたが、5/100秒差でDNQとなり筑波F3レースの厳しさ
を味わったものでした。そのレースドニッポンが、今年もやってきました。やはり天気
は照りつけるような夏の太陽の下、今年もいろんな事があました。
8月17日(金) 僕にとって2週間続けての筑波サーキットは、お盆をはさんで先週
の9時間耐久レースからすっかり模様替えされ、レースドニッポンの
雰囲気そのものでした。パドックはグループAマシンとF3マシンが
運び込まれ、9時間耐久の時とはまた違ったムードでした。
 公開練習は金曜日より始まりしまた。走行は2回、35分間が2回
です。マシンは前回のSUGOのレースの時のクラッシュを急ピッチ
で直してなんとか間に合いました。また、今回はメンテナンス(整備
)をやって頂いているトリイレーシングさんが、同日開催されるグル
ープAも担当しているため、若干いつものメンバーと違います。僕の
方は月曜日から水曜日まで自宅で過ごし、木曜日にはサーキットへ入
っていました。
 そして、金曜日。公開練習がはじまりました。気温は午前中であり
ながらかなり上がっていました。2周目のピットイン、フロントの挙
動が安定しません。マシンの性質が極端をオーバーステアなのです。
僕はメカさんに、必死にそれを訴えました。病状はこうでした。最終
コーナでステアリングの切り角を一定で、アクセルも一定の状態でマ
シンがどんどんイン側に入っていってしまうのです。僕達ドライバー
がよく言うところの、巻き込み症状です。
この日、1回目、2回目の走行中に色々とこの病状に対して対策をし
ました。もちろん走るラインもいろいろアタックしてみました。
しかし、オーバーはなかなか消えてくれません。キャンパー・トーイ
ンウイング・スフリングプレロードなどいろんなセットを試しました
 そして、この日のベストタイムは55秒フラット
 僕たちのチームに、不安の空気がただよいはじめていました。「こ
のままのタイムでは予選が?? 明日新品タイヤを付けてどれだけタ
イムアップが期待できるか?」マシン状態も極端に良くなっしはいま
せん。スタッフ全員、うつむきかげんでこの日の夜を迎えたのです。
8月18日(土) ついに予選日になりました。全てがこの日に決まってしまいます。
特に、筑波の予選はシビアです。いつもよりグリッド数が少なく、コ
ースを狭いためクリアラップを取るのが困難になります。タイムも
1/100秒単位で順位が入れ代わってしまうのです。
そんな予選を前にして、僕は朝のフリー走行を走りました。しかし、
マシンの状態はまだオーバーステアがきつく、いまひとつでした。タ
イムも54秒91と思っていた程上がりませんでした。スタッフも僕
も焦っていました。とにかくこのままでは・・・・・・・・・・・
しかし、そんな中僕は走り方をすこしづつ変えていました。決して乗
りやすい状態ではありませんでしたが、タイムを出すためにはどうす
ればいいかそれでけを考えていました。
 公式予選が始まりました。後は、僕が頑張るしかありません。タイ
ムアタック出来るのは20分間の中僅か数周。とにかく、必死で走り
ました。正直いって結果は後からついてくるものだと思っていました
。自分の力の限り、精一杯走りました。ピットでは、P13のサイン
タイムは、それまでのベストの54秒70が出ていました。そして予
選は終わり、僕はA組13位でした。
 このサーキットのグリットは25台。ようするに、片方の組から1
台多く出ることになります。そして、その基準タイムがトップとのタ
イム差なのです。
 僕のタイムは54秒70。そして、トップは53秒94でした。そ
の差は、0.76秒です。B組では13位とのトップ差が1.1秒も
あったため、A組の僕が予選を通過する事が出来ました。ちなみに、
A組はみんなタイムが良く、僕のタイムはB組ではクラス9位のタイ
ムでした。
 筑波の予選は、このように各クラス上位12~13台、しかもタイ
ム差は1秒無いとあって、ひとつリズムを崩してしまうとたちまちこ
のような心配をしなければならなくなってしまうのです。そして、セ
ッティングを完全に出すことの出来なかった自分にも、深く反省しま
した。しかし、決勝グリットを手にできたの時は本当に”ほ~”っと
しました。
 本当に皆さんに感謝しています(心に残る、厳しい予選でした)
8月19日(日) 朝のフリー走行は、AM8:30からでした。この日、ホテルを出
たのはAM6:00。これは、混雑を予想しての行動でした。お客さ
んのお目当ては、F3レースとグループA。特に関東で初めて走るス
カイラインGT-Rをひとめ見ようと、朝早くから沢山のお客さんが
サーキットへつめかけるため、僕たちエントラントも早起きをした訳
けなのです。ドライバーが遅れてはしょうがないですからね。
 しかし、前売り券が4万枚売れたとゆう噂とおり、その時間でもサ
ーキットの周りは大渋滞でした。何とかパドックまでたどりつき、A
M8:30、F3のフリー走行がはじまりました。マシンのバランス
は少しづつ良くなっていました。内心、決勝レースがだんだん楽しみ
になっていました。このところレースで、自分としてはしなり競り合
いに自身を持っていました。レースがスタートすれば、駆け引きでは
負けない気がしていました。
 AM11:00過ぎ、決勝レースがスタートしました。僕は第一コ
ーナーまでで、2台をバス。トラブル二も巻き込まれずに1周目をク
リア。追い上げをはじめました。まずは、すぐ前を走るレイナード9
03。そのマシンは既に、1周目に接触をしたようで最終コーナーで
もふらついていました。そして,メインストレートに戻り僕はすかさ
ずそのマシンのインへ入りました。2台はそのまま第1コーナーへ、
その時僕の目の前にアウト側からそのマシンが・・・・・・・・・
 ダメージは、思った以上に大きいものでした。コーナーを曲がった
後左前から異音がでるのです。そして、右コーナーをまがる時全然ス
テアリングが効かないのです。実はそうではなく、ステアリングを切
っても、マシンが曲がっていなかったのです。左フロントウイング大
破でした。僕は一瞬迷いました。「このままピットへ入るか?それと
もレースを続けるか?」しかし、1~2周してみてもコントロールタ
ワーからはオレンジボールも出されることもなく、僕はそのままレー
スを続行しました。とにかく、右周りのサーキットで右コーナーでの
フロントのダウンフォースが無いのですから、大変です。最終コーナ
ーでき高速時では、ちょっと気を抜くとあっとゆうまにアウト側にマ
シンをもっていかれてしまい、何回となく飛び出しそうになってしま
いました。
 既に、追い上げをするには非常に厳しい状況になっていましたが、
レースは最後まで走ってこそレース。僕は何がなんでも完走する気で
いました。この5万の観衆の中、最後まで走りきるのもまた、レース
だと思いました。
 コクピットの中で、リヤのスタビライザーの調整をフルハードにし
アクセルワークを微妙に行い、何とか45周を走りきることができま
した。レース中のベストタイムも、55秒11でトップから1秒も落
ちずに走る事が出来ました。
 結果は19位。いつもの倍はレースをした気がしました。チェッカ
ーフラッグを受け、パドックにマシンを止めると僕はコクピットから
降り、マシンのフロントを見ました。ウイングはいやってほど曲がり
、その半分は路面にこすれて削り取られていました。僕は自分のマシ
ンの尊さを感じました。
 とにかく、今回のレースは前半に接触してしまい、いいレースをお見せすることが出
来ず、自分としては力不足を感じています。しかし、あのマシンの状況の中45周のレ
ースをペースを落とさず走れた事は、ドライバーの僕にとって非常に得たものは多かっ
た気がします。次回の9月の鈴鹿では練習走行を充分に取り、今年前半のリズムを取り
戻し上位を確実に狙いたいと思います。
 関係者の皆様、ご支援有り難うございまた。次回9月23日鈴鹿サーキットで行われ
る第8戦も、自分の力を充分に出せるよう頑張りたいとおもいます。
                              細野 智行
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 これは、F3ドライバー細野 智行選手がスポンサーを始めとするレース関係者宛に
だしている手記です。
                    提供:July9RACING
                    Flying Saucer RACING/鈴木規之/PFG01270


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